説明

廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置および方法

供給廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置(100)は、ハイパースペクトルセンサ(102)と、センサに対して、センサの検知領域を通して供給廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段(112)と、ハイパースペクトルセンサから処理手段に出力された信号に基づいて、供給廃棄物の流れ中の目標物を分類する処理手段(108)とを含む。この装置は、多様な物質の1つで構成される目標物の分類を可能にし、また異なる等級の同一物質を含む目標物の識別を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭廃棄物の自動識別および分類のために、本来は防衛用途に開発された、ハイパースペクトル検知および分類技術の利用に関する。再生物質はその後、再利用される場合がある。本発明は一般的な家庭廃棄物に関するものであり、特定の危険性を伴う廃棄物、例えば核廃棄物類は、対象にしない。しかし、本発明は他の廃棄物の流れまたは分類用途にも利用できる。
【背景技術】
【0002】
家庭廃棄物は現在、物質再生施設(MRF)で分類される。これらは一般的に、大きさなど、物質または目標物の特性に基づいて廃棄物の種類の分類を達成する機械装置を使用する。例えば、トロンメル(穴を備える回転ドラム)が紙およびフィルム廃棄物から容器を分離するために使用される。これらの装置は一般的にあまり精巧ではなく、異なる等級の同一物質、例えば、異なる種類のプラスチックまたは有色ガラスを分類できない。MRFでは、手動による分類を幅広く使用して、プラスチック、ガラスおよび紙の分離を達成するか、またはこのような物質の分離された流れから汚染物質を除去することにより品質の制御を達成する。近年、いくつかのより高度な工業技術装置が開発されているが、このような事例は一度に1つの特定物質を分類することに的を絞っている傾向がある。例えば、混合したプラスチックの流れから高密度ポリエチレン(HDPE)が抽出され、その後、同じ流れからポリプロピレン(PP)が抽出される。
【0003】
現在、物質再生プロセスにおける自動識別および分類システムを実行する、多数のシステムが存在する。その大部分は、物質を分類するためにいくつかの方式の近赤外の識別プロセスを利用し、識別された目標物を分類するために空気噴出プロセスを利用する。これらの方式のシステムは、主として特定種類の物質に的を絞り、一般に、相互に異なる種類のプラスチックを分類するのに利用されるようなプラスチック分類のみに、好都合に適合するだけであった。したがって、これらのシステムは、この技法が適用される前段階で、混合した家庭廃棄物からプラスチックを分類するいくつかの方式の上流での処理に依存する。
【0004】
プラスチックの主な種類への分類に加えて、これらのシステムのいくつかはさらに、色によりプラスチックを分類し、廃棄物の流れ内にカートンが存在する場合は、それも除去できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
米国特許第5,260,576号は、X線照射を利用して目標物の透過率を測定する技法に関する。しかし、この技法は幅広い範囲の物質ではなくプラスチック容器にのみ好都合に適合するだけである。
【0006】
欧州特許出願公開第1026486号は、光源により目標物を照射でき、また反射光を、目標物からの反射光が本質的に散乱するまたは反射するかどうかによって、2つの方法で集光できるリレーレンズシステムを開示している。このシステムは、例えば一般的な家庭廃棄物において見られるような、様々な異なる物質の目標物を分類する目的でなく、再利用のためのみにプラスチック物質を分類することを目的としている。
【0007】
欧州特許出願公開第0554850号は、物体の赤外線透過率の測定に基づいてプラスチック目標物を分類する方法を説明している。この方法は他の種類の廃棄物には利用できない。
【0008】
既存の検知技法は、限られた範囲の物質を識別および分類できるだけである。ある種類内の物質、例えば様々なプラスチック内の物質を分類する、いくつかのシステムが存在するが、これらのシステムは、その作業に関して最適化され、例えば、他の廃棄物と混合されているアルミニウム缶を識別することができない。
【0009】
例えば、米国特許出願第2002/0135760号において説明されている、物質を画像化しその後分類する、少数の波長帯を使用する、ある特定のシステムが存在する。そのシステムでは、システムの目的を達成するのに十分な、すなわち汚染された(汚れた)鶏肉および汚染されていない(清潔な)鶏肉の簡単な区別を達成するのに十分な、わずか3つまたは4つの波長帯で物質を画像化する。しかし、そのような多スペクトルシステムは多数の異なる物質の種類を区別できない。
【0010】
上述の問題点を改良することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、この目的は廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置によって達成され、その装置は、センサと、センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段と、センサから処理手段に出力された信号に基づいて廃棄物の流れ中の目標物を分類する処理手段とを含むものであって、センサがハイパースペクトルセンサであることを特徴とする。
【0012】
廃棄物の流れが静止したハイパースペクトルセンサに対して移動するか、あるいは、ハイパースペクトルセンサが廃棄物の静止した流れに対して移動してよい。
【0013】
本発明のシステムの別の利点は、必要な空間分解能を備えるハイパースペクトルセンサのコストが比較的低く、標準的な低コストの照明源(白色光および/または中赤外線)を使用できることである。
【0014】
ハイパースペクトルセンサは、通常の家庭廃棄物の流れ内にある極めて広範囲の物質を識別できるデータ信号を提供し、したがって、物質再生施設で利用される、例えば、近赤外線センサのような従来の種類のセンサに比べて、優れた性能を提供できる。ハイパースペクトル技術は、一般的なセンサ技術を用いて広範囲の物質を識別できることにより、極めて高い柔軟性を備える。既存のプロセスは、家庭廃棄物を分類するためには、ある範囲の技法ならびに人間による介在に依存する。このような技法は、電磁石、渦電流選別、機械的なサイズ識別、プラスチックの近赤外線識別、PVCおよびガラスのX線検出を含む。ハイパースペクトル技術はまた色(例えば有色ガラス)を識別する可能性を提供する。
【0015】
ハイパースペクトル検出は、物質のスペクトル特性を識別に使用する。ハイパースペクトル画像化システムを用いて、物質から反射、伝達、または放射されたエネルギーを測定することにより、従来のカラーカメラまたは熱探知カメラの使用では不可能なレベルまで、そのスペクトルの特徴に基づいた物質の分類または識別を可能にする。
【0016】
ハイパースペクトルセンサは、光源により照射される目標物の各領域に対するスペクトル放射輝度を測定する、放射−エネルギーデバイスとして機能する。ハイパースペクトル画像化技術(HIT)は、目標物のスペクトル特徴をカバーする多数の(例えば数百)隣接する狭い波長帯を利用することができる。空間および放射データは、画像化およびスペクトル抽出装置(例えばプリズム)によって収集される。反射モードおよび放射モードのどちらかまたは両方が使用され、収集された情報は、空間情報を表す二次元のデータキューブの形式およびスペクトル次元として三次元のデータキューブの形式で表されてよい。その後、データ削減ルーチン(例えば、主成分分析またはウェーブレット変換によるデータ削減)、従来の対象物検出、変化検出および分類手順が、空間の特徴形態の分析に適用される。
【0017】
好ましくは、装置はさらに、ハイパースペクトルセンサにより画素化領域が検知されるより前に、供給(投入)廃棄物の流れのある領域の画素化画像データを生成し、および処理手段に上記画素化画像データを提供するように構成された、広帯域カメラを含み、処理手段は、
(i)ハイパースペクトルセンサから出力された上記画像データおよび信号を使用して、画素化画像データの各画素内の物質を分類し、
(ii)目標物と同一物質を含むと識別された、隣接する画素グループを結合し、
(iii)物質を目標物に関連付けする、ように構成される。
【0018】
これは、特定の画素に対応するハイパースペクトルデータを使用して物質の種類を分類し、次いで、その目標物の画像内の各画素に対する分類された出力に基づいて目標物の物質を分類することによって、分類を促進する。
【0019】
広範囲の物質から作られた目標物の分類、および目標物の異なる等級の単一物質への分類は、ハイパースペクトルセンサから出力された画素化画像および信号を使用して、スペクトルの特徴形態分析を実施することにより実行される。
【0020】
好ましくは、処理手段はサポートベクタマシン(SVM)アルゴリズムによりスペクトル特徴分析を実行するように構成される。なぜなら、このアルゴリズムは、削減データを用いても信頼性のある分類を提供するからである。SVMは、各画素の分類に付随する高信頼度の測定を可能にする、信頼度測定を導入することにより強化されてよい。特に、高精度の分類種別が要求される場合、信頼度レベルは、信頼度の所定の最小レベルに分類される画素のみを受け入れるように構成される場合がある。このレベルはシステムの作動中に調整できる。画素レベルの物質の分類に加えて、信頼度レベルも目標物の分類において適用できる。
【0021】
物質、形状、色、方向、廃棄物の流れ中の位置、および分類された目標物の識別時間に対応する、出力データは、好ましくは、処理手段からデータパケットとして出力され、そのパケットのそれぞれが、供給された流れ中の目標物に対応し、分類された目標物の効果的な再生を可能にする。
【0022】
システムの検出効率は、様々な複合物質を有する目標物の存在にはあまり影響されないが、広い面積の汚染された表面は、その面積に比例して目標物の識別を誤らせる。この潜在的な問題は、ハイパースペクトルセンサからのデータに追加入力を組み合わせることにより対処できる。例えば、分類プロセスは、ハイパースペクトルセンサからのデータに、金属検出器アレイなどの他のセンサからのデータを組み合わせることにより、高信頼性を実現できる。
【0023】
ハイパースペクトルセンサの動作波長帯は、可視光(VIS)から長波長赤外線(LWIR)までである。実験による測定結果は、可視/短波長赤外線(VIS/SWIR)範囲が、個々の物質の区別および有色グラスの分類に対しては、中波長赤外線/長波長赤外線(MWIR/LWIR)範囲より有効であることを示している。テストではさらに、MWIR/LWIR範囲は高分子に被覆されたガラスと無被覆のガラス間との区別により適しており、他の物質とプラスチックとガラスの種別との間のより高い分離性を提供する。本明細書の目的に関しては、上述の電磁スペクトルの範囲は、次のように定義される。
可視光:0.38−0.78μm
近赤外線:0.78−1.0μm
短波長赤外線:1.0−3.0μm
中波長赤外線:3.0−5.0μm
長波長赤外線:7.5−14.0μm
【0024】
本明細書の目的に関しては、「ハイパースペクトル」が10以上の数のスペクトル帯を指すのに対し、「多スペクトル」は10未満の数のスペクトル帯を指す。分類性能および能力は、画像化が100以上の数のスペクトル帯で実行される場合には、向上する。
【0025】
現在の商用自動システムは、識別段階および分類段階の両方からなる。大部分の商用システムの識別段階は近赤外識別システムを基にしており、近赤外スペクトルにおける物質の吸収特性を利用する。これらの方式のシステムはプラスチックの処理/分類に限られており、したがって、システムが処理できる物質の範囲が限定される。本発明のシステムは、公知の自動システムとは異なり、広範囲の物質を識別して分類できる。家庭廃棄物の流れにおいて識別される必要がある典型的な物質の種類は、金属、プラスチック、紙、ガラスおよびTetra Pak(登録商標)容器のようないくつかの複合物質である。本発明のシステムは様々な種類の物質を区別でき、各物質の種類(例えば様々な種類のプラスチック)内で異なる種別を区別できる。また、様々に着色された製品(例えばガラスビン)を区別できる。自動システムを実現するために分類ユニットにハイパースペクトルセンサを組み込むことにより、従来技術に欠けている多くの分類能力を提供できる。
【0026】
本発明の装置は広範囲の物質を自動的に分類して、再利用できる。物質再生施設(MRF)内のプロセス数は本発明の結果として低減されてよく、したがって、運転費用の低減、手動分類への依存が低減するため減少した人員コスト、および健康および安全に対するリスクの低減により、潜在的節減が可能になる。これに加えて、本発明の特定のシステムの機能に応じて、システムの出力流れについての品質レベルを設定できる。自動化特性の結果として、本発明のシステムは再生物質の優れた品質制御を達成し、その結果として、MRFはより高価格で再生物質を販売し、またはより多くの正規契約を確保できる。現在、多量の再生物質が品質問題の理由から、再生業者により拒否されている。
【0027】
本発明の第2の態様は廃棄物の流れ中の目標物を分類する方法を提供し、その方法は、
(i)センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動するステップと、
(ii)センサから処理手段に出力された信号に基づいて、供給廃棄物の流れ中の目標物を分類するステップと、を含むことを特徴とし、
さらに、センサがハイパースペクトルセンサであることを特徴とする。
【0028】
本発明の別の態様は、目標物のハイパースペクトル画像化から生成される画像データに基づいて、目標物に含まれる物質を識別する方法を提供し、上記方法は、入力データとして上記画像データを用いて、サポートベクタマシンアルゴリズムを実行するステップを含む。
【0029】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して下記に説明され、図面では、本発明のシステムを全体として符号100で示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
システム100は異なる物質の種類を区別し、混合した家庭廃棄物の流れ中の様々な物質の種別を識別し、再利用のために所定の物質の種類の物体を排出することができる。システム100はハイパースペクトルカメラ102および従来の広帯域カメラを含み、カメラの出力はプロセッサ108に接続されている。システム100のモニタリングおよび制御は、プロセッサ108に接続され、かつオペレータ端末110を有するコンピュータ112により実行される。システム100はさらにコンベヤベルト112を含み、ベルトの速度は、制御ユニット116と、コンベヤベルト112上の廃棄物の流れから目標物を排出し、対応する容器119、121、123に廃棄物を送る排出ユニット118、120、122とにより、制御される。排出ユニット118、120、122は、フラップゲートまたは空気分離器など公知の排出システムに基づいている。さらに排出ユニットは分類される物質の種別の数によって、必要に応じて追加できる。ハイパースペクトルカメラ102は、帯域幅0.9μmから1.76μmの範囲の128のスペクトル帯で画像化するが、帯域幅最大0.94μmから最大1.6μmの範囲の98のスペクトル帯内のデータのみが、プロセッサ108により処理される。金属検出器アレイ115はプロセッサ108に別のデータを出力するように配列される。
【0031】
システム100は次のように動作する。廃棄物の流れから識別、分類および抽出/再生される目標物を含む混合廃棄物の流れが、システム100のコンベヤベルト112上に供給される。カメラ104は、ハイパースペクトルカメラ102の少し「上流」に配置され、供給廃棄物の流れを走査して、プロセッサ108に画素化画像データを出力する。またカメラ104からのデータは、目標物がコンベヤベルト112上のどこに存在するかを確認する追跡機能を提供する。
【0032】
プロセッサ108は、特に、高信頼性のカメラ104により出力される画像データを分割するようにプログラムされる。廃棄物の流れは、次にハイパースペクトルカメラ102により走査され、その結果生成されたデータはまたプロセッサ108に出力され、プロセッサ108は、ハイパースペクトルカメラ102により走査された各画素を、供給廃棄物の流れ中の特定の物質、および特定の廃棄目標物に関連付けるように動作する。
【0033】
プロセッサ108は分類アルゴリズムを実行し、このアルゴリズムは2つの主分類段階、すなわち、
(i)各画素に関して、その画素について取得されたハイパースペクトルデータに基づいて物質の種類を分類し、
(ii)その目標物の分割された画像内の各画素の分類に基づいて目標物の物質を分類する、分類段階を含む。
【0034】
分割された画像の境界線の外側にある画素は、背景であり対象物質ではないと推定されるため無視される。
【0035】
一旦、供給廃棄物の流れ中の目標物が分類され、目標物の物質、形状、場所、色、方向および位置によって特徴付けされると、プロセッサ108はこれらの特性に対応するデータパケットを生成する。データパケットはコンピュータ112によりベルトの速度と共に評価され、制御信号はコンピュータ112からデータ通信ネットワークを介して、サーバ108にインタフェースで接続された排出ユニット118、120、122の1つに送られ、その結果、目標物の物質の種類または目標物の物質等級に対応する容器119、121、123に、目標物が排出される。
【0036】
カメラ102、104からプロセッサ108へのデータ入力は、適切な技法により減少され、主要情報を維持すると同時に、リアルタイムの処理を可能にする。プロセッサ108で実行される分類アルゴリズムは、次に、この情報を処理して物質の種類の予測を提供する。プロセッサ108は、形状またはテンプレート一致を実行するようにプログラム化される必要はないが、誤った識別を防止するため論理テストを実行するようにプログラム化されてよい。
【0037】
システム100の検出効率は、様々な複合物質を有する目標物の存在にはあまり影響されないが、広い面積の汚染された表面は、その面積に比例して目標物の識別を誤らせる。この潜在的な問題は、ハイパースペクトルカメラ102からのデータに追加入力を組み合わせることにより対処できる。例えば、分類プロセスは、ハイパースペクトルカメラ102からのデータに、金属検出器アレイ115などの他のセンサからのデータを組み合わせることにより、高信頼性を実現できる。
【0038】
分類アルゴリズムがハイパースペクトルカメラ102からのデータ出力に適用され、スペクトル特性から物質を識別する。このアルゴリズムは、分類に関するパブリックドメインアルゴリズムである、「サポートベクタマシン」(SVM)として従来技術で知られている分類技法を用いる。他の分類技法も使用できるが、SVMは削減または限定されたデータを用いる分類技法の実行において特に有効である。
【0039】
サポートベクタマシン(SVM)は数学的に綿密な統計的学習理論に基づいた学習手法である(例としてV.N.Vapnik「学習理論の統計的特性(The Statistical Nature of Learning Theory)ISBN0−387−98780−0」を参照)。SVMは履歴データを使用してアルゴリズムを演習(トレーニング)させ、収集される未来データを認識する。このプロセスは、データ内の情報に基づいて入出力間の関係のモデルを構築することを含む。最良の解決方法は、「演習データ」を過剰に特殊化することなく、利用可能な情報を使用することである。いくつかのアルゴリズムは、この方法で過剰に演習し、予測能力が低下する。SVMは、統計的学習理論に基づきこのトレードオフを制御する確立された方法を提供するが、これは、ニュートラルネットワークなど他の技術に欠けている。これによりSVMは優れた一般性を備える。
【0040】
システム100により実行される特定のアルゴリズムは、特定の方法を使用して、SVMを解くときに生じる二次最適化の問題を解決する。この方法は「逐次最小最適化(Sequential Minimal Optimization)」と呼ばれ、「逐次最小最適化(Sequential Minimal Optimization):サポートベクタマシンを演習させるための高速アルゴリズム(A Fast Algorithm for Training Support Vector Machines)、J.Platt、Microsoft Research Techinical Report、MSR−TR−98−14、(1998)」に詳細が説明されている。
【0041】
SVMアルゴリズムは下記のように演習する。最初に、データは、公知の組成のサンプル目標物を使用して、高スペクトル分解能で光学帯域全体にわたるハイパースペクトルセンサから収集される。データは利用可能なセンサ技術に対応する4つのセグメントに分割され、スペクトル分解能は隣接するサブバンドからのデータの平均化により段階的に低減される。
【0042】
システム100においては、プロセッサ108は、識別された各物質の種類の割合に基づいて、目標物に対する全体的な分類を見出すように動作する。例えば、鋼製の食品缶はラベルによる90%の紙と10%の鋼を示すが、鋼製品として分類される必要がある。プロセッサ108により実行される分類ルールは、一旦多数の目標物がシステム100により処理されると、最適化され得る。
【0043】
システム100は特定の範囲の物質を識別するために演習するが、新しい物質を識別する能力は、ハイパースペクトルセンサ102からの演習データを収集し、およびSVMアルゴリズムを再演習させて種別の境界を再定義することにより、追加できる。このようにして生成された新しいSVMパラメータは、次に、システム100が動作するときに使用される。ソフトウェアパッチは試験室で作成でき、100のような動作システムに提供される。
【0044】
SVMは、信頼性の判断基準を各画素の分類に付与する、信頼性基準の導入により強化されてよい。特に高精度の分類類別が必要な場合、信頼度レベルは、所定の最小レベルの信頼度に分類される画素のみを受け入れるように設定される。このレベルはシステム100の作動中に調整できる。画素レベルの物質の分類に加えて、信頼度レベルも目標物の分類において適用できる。
【0045】
供給された混合廃棄物の流れ中の目標物の方向および表面形状は、絶対反射率に影響を与えるが、スペクトル特性にはほとんど影響しない。したがって、スペクトル特性の比較は単なる絶対値の比較よりさらに確固としたものである。これは特に、光学的特性が方向に大きく依存している鏡面物質の場合に当てはまる。ただし、絶対値のいくつかの依存性は、ほとんど特徴を備えないかまたは全く備えない物質間を区別するために、必要とされ得る。
【0046】
廃棄物の照射は、誤って配置された照射源が大きい度合いの反射または影を生成できることにより、サーバ108で実行される目標物分割アルゴリズムを混乱させ得るため、重要である。
【0047】
本発明は、主として、物質再生産業を対象とし、家庭廃棄物の分別および分類に的を絞っている。しかし、本発明の技術は、ある一定範囲の物質が識別される必要がある他の領域にも適用できる。例えば、冷蔵庫の破砕、車の破砕または廃棄電化製品からの残余物の分類、または場合によっては、果物および野菜または複合廃棄物など有機物の目標物の分類が挙げられる。
【0048】
特徴の区別および物質間を区別するためのハイパースペクトルカメラ102に必要な分解能は5nmから10nmである。全体的に、鋼、アルミニウム、紙、カード、ガラス、プラスチック、およびTetra Pak(登録商標)容器を含む、ある一定範囲の物質の種類を正確に分類する最高の可能性を提供すると見なされる範囲は、SWIRであると考えられる。他の帯域もまた機能し、場合によっては、物質の一定のサブセットに対してよく機能する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明によるシステムの全体図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物の流れ中の目標物を分類する装置(100)であって、この装置は、
センサ(102)と、
センサに対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動する手段(112)と、
センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の目標物を分類する処理手段(108)と、を含み、
センサがハイパースペクトルセンサ(102)であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
供給廃棄物の流れのある領域がハイパースペクトルセンサにより検知されるより前に、供給廃棄物の流れの前記領域の画素化画像データを生成し、前記画素化画像データを処理手段に提供するように構成された、広帯域カメラ(104)をさらに含み、
処理手段は、
(i)ハイパースペクトルセンサから出力された画素化画像データおよび信号を使用して、画素化画像データの各画素内の物質を分類し、
(ii)目標物と同一物質を含むと識別された、隣接する画素グループを結合し、
(iii)物質を目標物に関連付けする、
ように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
処理手段が、ハイパースペクトルセンサから出力された前記画像データおよび信号を使用して、スペクトル特徴分析を実行することにより、画素化画像データの各画素内の物質を識別するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
処理手順が、サポートベクタマシンアルゴリズムによりスペクトル特徴分析を実行するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
処理手段が、前記物質が最小レベルの信頼度で識別される場合のみ、画素内の物質をある一定の物質種類に属するものとして分類するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
処理手段が、物質、形状、色、方向、廃棄物の流れ中の位置、および分類された目標物の識別時間に対応するデータを、それぞれが供給されるの流れ中の目標物に対応するデータパケットとして出力するように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
装置がさらに金属検出器アレイを含み、
処理手段が、ハイパースペクトルセンサおよび金属検出器アレイの両方から出力されたデータに基づいて物質を分類するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
ハイパースペクトルセンサが電磁スペクトルの短波長の赤外線帯域に応答する、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
ハイパースペクトルセンサが100以上の波長帯に応答する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
(i)センサ(102)に対して、センサの検知領域を通して廃棄物の流れ中の目標物を移動するステップと、
(ii)センサから処理手段に出力された信号に基づいて、廃棄物の流れ中の目標物を分類するステップと、
を含む、廃棄物の流れ中の目標物を分類する方法であって、
センサがハイパースペクトルセンサ(102)であることを特徴とする、方法。
【請求項11】
(i)供給廃棄物の流れの領域をハイパースペクトルセンサにより検知するより前に、廃棄物の流れの領域の画素化画像データを生成するステップと、
(ii)ハイパースペクトルセンサから出力された前記画像データおよび信号を使用して、画素化画像データの各画素内の物質を分類するステップと、
(iii)目標物と同一物質を含むと識別された、隣接する画素グループを結合するステップと、
(iv)物質を目標物に関連付けするステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ハイパースペクトルセンサから出力された前記画像データおよび信号を使用して、画素化画像データの各画素内の物質を分類するステップが、スペクトル特徴分析により実行される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
スペクトル特徴分析がサポートベクタマシンアルゴリズムにより実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
画素内の物質が、前記物質が最小レベルの信頼度で識別される場合のみ、ある一定の物質の種類に属するとして分類される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
物質、形状、色、方向、廃棄物の流れ中の位置、および供給される流れ中の分類された目標物の識別時間に対応する、データパケットを出力するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
分類が、ハイパースペクトルセンサおよび金属検出器アレイからの出力データを使用して実行される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
分類が、電磁スペクトルの短波長赤外線帯域において、目標物から受け取る放射を分析することにより実行される、請求項10から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
分類が、100以上の波長帯において目標物から受け取る放射を分析することにより実行される、請求項10から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
廃棄物の流れの中の目標物を分類するための、ハイパースペクトルセンサ(102)の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2007−505733(P2007−505733A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526701(P2006−526701)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004032
【国際公開番号】WO2005/028128
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】