説明

廃棄物を化学的に減少させる装置及び方法

【課題】廃棄物を安全且つ安上がりに処理して処分する手段を提供する。
【解決手段】本発明によれば、廃棄物を化学的に減少させるシステム、方法及び装置に関する。この装置は、互いに温度的連絡関係をなして配置された温度センサを有する実質的に耐アルカリ性の容器と、容器と熱的連絡関係にある加熱器と、容器内に配置されるようになった実質的に耐アルカリ性の磁気攪拌ロッドと、容器内に配置された磁気攪拌ロッドをスピンさせることができる回転磁界を容器内に生じさせるようになった磁気攪拌機とを有する。この装置は、容器に作動的に連結された水入口弁と、容器に作動的に連結された水出口弁とを更に有する。電子制御装置が、加熱器、磁気攪拌機、水入口弁、水出口弁及び温度センサに電気的連絡関係をなして接続されていて、実質的に耐アルカリ性容器の温度を実質的に所定値に維持するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本願は、2001年1月24日に出願された米国仮特許出願第60/178,051号の優先権主張出願である。本願は又、1998年10月20日に出願された米国特許出願第09/171,447号(発明の名称:Methods for Treatment and Disposal of Regulated Medical Waste )及び2002年8月20日発行された米国特許第6,437,211号にも関連しており、これら両方の特許文献の記載内容をここに参照により引用する。
発明の技術分野
本発明は、廃棄物の処理分野に関し、特に、廃棄物、例えば感染性廃棄物及び他の有害廃棄物、生物学的有害廃棄物又は放射性廃棄物の蒸解及び衛生的処分のためのシステム及び方法に関する。
【0002】
(背景技術及び発明が解決しようとする課題)
多くの施設、例えば病院、種々の健康管理機関、研究機関及び教育機関、食品調理設備等は、相当多くの量の感染性廃棄物、生物学的有害廃棄物又は放射性廃棄物を出す。かかる廃棄物としては、外科的及び病理学的組織、動物の組織、死骸、血液及び他の体液、血液及び患者又は動物の他の潜在的に感染性のある又は危険な体液に触れた処分可能な物質が挙げられる。かかる廃棄物は、米国において州の規則では「規制された医療廃棄物」(RMW)として分類されており、適用される政府規則を厳密に遵守して処分されなければならない。
【0003】
健康関連機関及び政府規制機関は、既存の洗浄及び処分方法の妥当性にますます関心を持つようになっている。潜在的に生物学的に有害な或る物質、例えば原核生物(又は原始核細胞)又は感染性蛋白(プリオン)は事実、標準的な加圧滅菌手順に耐えて生き延びることが判明した。かくして、固形の感染性のある生物医学的廃棄物及びかかる廃棄物を含む水溶液を処理する一層効果的な滅菌法が求められている。
【0004】
加うるに、大学及び他の研究施設も同様に、かなりの量のかかる廃棄物を出している。例えば、細胞系、組織又は動物に関する実験を行なう際、色素、毒性化学物質又は病原菌を被験体中に導入するのが普通である。さらに、放射性物質も又、化学的、生物化学的、薬学的、生物医学的及び生物学的研究を促進するツールとして一般に用いられている。薬剤又は化合物が体内で代謝されて取り込まれる場所を効率的且つ正確に研究するためにかかる薬剤又は化合物を放射性同位体で標識付けするのが普通である。試験及び分析の完了後、組織中への病原体又は有害物質若しくは放射性物質の導入に起因して、残っている組織又は動物の死骸が、「規制された医療廃棄物」、有害廃棄物又は低レベル放射性廃棄物(“LLRW”)の分類に属する場合がある。加うるに、動物の廃棄物、動物の敷材(敷きわら)、取扱い物質及び動物の体液又は排泄物に触れた他の物質も又、感染性のある又は有害な廃棄物として処理される必要があり、かくして、適用される政府の規則に従って処分を行なう必要がある。
【0005】
さらに、今日、健康管理機関が、人畜共通性媒介物を含む病原菌に触れた物質、器具又は表面領域を消毒薬、例えばホルムアルデヒド又はグルタルアルデヒドで洗浄するのが普通である。使用済み洗浄溶液は、有害な液体廃棄物と考えられ、又、政府の規則に従って処分されなければならない。かかる廃棄物の処分費用は、慣例を基準とすれば極めて高い場合がある。さらに、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、フェノール等の物質は、組織に防腐処理を施したり感染性の生物学的材料の固定の際に一般的に用いられている。かくして、これら組織及び固定剤も又、「規制された医療廃棄物」、有害廃棄物又は混合廃棄物として適用される政府の規則に従って処分されなければならない場合がある。
【0006】
さらに、14C又は3H又は他の放射性同位体で標識付けされた化合物を含む動物の死骸は、LLRWとして分類されている。州及び連邦政府の指針はLLRWの処分を規制しているので、これらの処分にあたっては特別な予防措置を採用しなければならない。現在、この種の廃棄物の処分の際に一般的に用いられる2つの方法は、焼却と陸上埋設である。現在、連邦法では、動物の死骸が或る特定レベル以下の放射性同位体濃度を含む場合にのみ焼却が許可されている。しかしながら、放射性同位体の濃度がこのレベルを下回っている場合でも、州及び地方の当局により焼却は更に制限される場合がある。動物の死骸中の放射能レベルが連邦、州及び地方の当局により定められた許容最小レベルを下回っている場合、その処分は、放射性廃棄物としての追加の規制を受けない。しかしながら、一段と厄介なこととして、どのようなレベルであっても放射性の動物の死骸の焼却は、或る特定の大都市圏では禁止されている。それにもかかわらず、焼却それ自体の一般的な方法は、例えば放射性物質が含まれていなくても、追加の規制、例えば、州又は地方環境局から許可を受けなければならない規制を受ける。加うるに、大気浄化規則の下における焼却炉の設計及び機能に関する要件が将来厳しくなるので、LLRWとして分類された動物の死骸又は非放射性の死骸又は人の病理学的廃棄物を処分する実用的な方法として焼却の有効性の存続について懸念が抱かれている。
【0007】
現時点では、放射性の動物死骸について焼却に代わる唯一実在の代替手段は、許可を受けたLLRW処分施設で死骸を埋設することである。この方法では、死骸全体を石灰及び吸収剤で包装し、これらを特定のドラム内に再包装し、ドラムをLLRW場所まで輸送することが必要である。現在、米国には、かかる場所は、ワシントン州のハンフォード及びサウスカロライナ州のバーンウェルの2箇所しかない。米国で現在稼働している陸上埋設場所の数が限定されているので、この方法で放射性廃棄物を処分するには極めてコスト高であり、死骸のサイズ及び重量に起因して、低レベル放射性廃棄物を含む動物の死骸に関してはコストが不相応に高くつく。陸上埋設と関連した極めて高いコスト及び現在の場所の利用機会の制限に起因して、LLRWとして分類された動物の死骸を処分する方法としての陸上埋設の実現性は、不透明なままである。
【0008】
当該技術分野においては、低レベルの或る特定の放射性廃棄物を適正な記録保持及び(又は)モニタリングをした上で連邦規則に従って汚水渠に処分できることが知られている。これは、10C.F.R.20によって定められた最大許容濃度(MPC)を下回るレベルの水溶液に溶けた同位体及びヒトの廃棄物中の放射性同位体を含む。かかる手順は、例えば、癌の治療を受けた多くの患者により生じた放射性廃棄物の処分の際に利用されている。今日、癌を治療する一般的な方法は、放射線療法によってであり、この放射線療法では、放射性化合物の体内吸収が行われる場合が多い。これら放射性化合物の多くは最終的に、糞便及び尿排泄物を介して身体を出る。これら排泄物は、少量の放射性物質を含むことになる。しかしながら、この放射性物質は一般的な下水設備で処分される。というのは、身体により下水設備中へ排出された放射性物質のレベルが十分に希釈されてもはや公衆の健康及び安全に対して危害を加えないようになっているからである。この方法は、LLRW処分に関する州及び連邦処分規則に十分に適合している。しかしながら、動物の残留物中に含まれているLLRWは、かかる手段によっては容易に処分できない。というのは、動物は、当然のことながら固形の廃棄物だからである。
【0009】
また、当該技術分野においては、ケラチン(角質)、例えば髪の毛や爪を含む物質は、ジーグラーに付与された米国特許第1,974,554号明細書に開示されているように、酸又はアルカリ加水分解によって溶解できることが知られている。さらに、ケラチンを含むたんぱく質の加水分解は、アルカリ性溶剤を用いて実施できることが知られている。さらに、かかる加水分解を放射性物質で汚染されたたんぱく質に対して利用できることがカィエー博士及びウェーバー博士に付与された米国特許第5,332,532号明細書に開示されており、かかる米国特許は、本出願人の譲受人によって共通所有されている。
【0010】
感染性、生物学的に有害な又は低レベル放射性廃棄物の公知の処分方法は各々、取扱い領域が絶えず変化している環境法の下で不確実な将来に直面している。さらに、各方法は、コストが極めて高くつき、病院、大学及び他の機関の既に限界を超えている研究予算及び廃棄物管理予算に不必要な負担をかける。かくして、有機廃棄物を安全且つ安上がりに処理して処分する手段が要望されている。
本発明は、この要望に応えるものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、望ましくない物質に制御されたアルカリ加水分解サイクルを施すことにより望ましくない物質を分解し、蒸解し、又は中和するシステムに関する。このシステムは、一形態では、望ましくない物質を受け入れる手段、例えば閉鎖可能な反応容器を備えた装置を有する。この装置は、システムの作動を制御する手段を更に有する。この装置は、容器の最大容積に基づく所定量の水を容器の内部に導入する手段及び容器の最大容量に基づく所定量のアルカリ性化合物をこの容器の内部に導入する手段を更に有している。加うるに、この装置は、容器内部への水及びアルカリ性化合物の導入後、安全に処分可能な結果物を生じさせるのに十分な時間をかけて容器の内部を第1の所定温度レベルに加熱する手段を有する。
【0012】
本発明により提供される方法は主に、密封可能な容器を用意する工程、容器に高アルカリ度溶剤を充填する工程、望ましくない要素を含む廃棄物を高アルカリ度溶剤中に浸漬する工程及び高アルカリ度溶剤を加熱する工程を有する。廃棄物は、加水分解可能な物質が分解され又は蒸解される(即ち、実質的に加水分解される)まで高アルカリ度溶剤中に留まったままであるようになり、それにより滅菌溶液及び滅菌固形廃棄物を生じさせる。次に、水溶液及び結果物としての固形廃棄物を従来型手段、例えば汚水渠、嫌気性発酵槽、局所的陸上埋立施設により、或いは必要ならば、肥料(液体の形態又は固形の形態のいずれであってもよい)としての陸上利用により、或いは泥炭、堆肥又は他のセルロース系材料との混合により処分できる。
本発明の一目的は、加水分解可能な廃棄物を処分する改良型システム、方法及び装置を提供することにある。本発明の関連の目的及び利点は、以下の説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の現時点において好ましい実施形態により提供されるシステムの略図である。
【図2】本発明の現時点において好ましい実施形態により提供される方法のフローチャートである。
【図3A】蒸解サイクル中、廃棄物を容器チャンバ内部に受け入れて貯蔵する本発明の第1の実施形態の保持容器の側面図底面図である。
【図3B】蒸解サイクル中、廃棄物を容器チャンバ内部に受け入れて貯蔵する本発明の第1の実施形態の保持容器の平面図である。
【図3C】蒸解サイクル中、廃棄物を容器チャンバ内部に受け入れて貯蔵する本発明の第1の実施形態の保持容器の底面図である。
【図4A】本発明により提供される新規な真空平衡装置の分解図である。
【図4B】図4Aの真空バランサを開放状態で示す図である。
【図4C】図4Aの真空バランサを閉鎖状態で示す図である。
【図5A】本発明により提供される一攪拌インゼクタ手段の図である。
【図5B】本発明により提供される別の攪拌インゼクタ手段の図である。
【図5C】本発明により提供される別の攪拌インゼクタ手段の種々の図である。
【図5D】本発明により提供される別の攪拌インゼクタ手段の種々の図である。
【図6A】加水分解蒸解サイクル中、廃棄物を受け入れて貯蔵する本発明の第2の実施形態の容器チャンバの平面図である。
【図6B】加水分解蒸解サイクル中、廃棄物を受け入れて貯蔵する本発明の第2の実施形態の容器チャンバの正面図である。
【図6C】加水分解蒸解サイクル中、廃棄物を受け入れて貯蔵する本発明の第2の実施形態の容器チャンバの側面図である。
【図6D】図6A〜図6Cの実施形態の分解斜視図である。
【図6E】図6A〜図6Cの実施形態の配管図である。
【図7A】本発明の第3の実施形態の容器チャンバの平面図である。
【図7B】本発明の第3の実施形態の容器チャンバの側面図である。
【図7C】本発明の第3の実施形態の容器チャンバの端面図である。
【図7D】図7A〜図7Cの実施形態の配管/電気図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、望ましくない作用剤又は要素、例えば動物の死骸、動物の組織、有機物質、有機リン酸エステルペプチド、神経ガス、硝酸エステル、芳香族ニトロ化合物、化学療法剤、関連のアルキル化薬(例えばサルファマスタード、窒素(ナイトロジェン)マスタード及びホスゲン)、抗生物質、植物、動物及びバクテリアの毒素、非タンパク毒素(例えばアフラトキシン及びテトロドキシン)、動物の毒液(例えばヘビ、クモ、サソリ、魚及び両生類の毒液)、植物のカテコール、ポリフェノール、感染性、生物学的有害な、危険な及び放射性物質(これらには限定されない)を含む廃棄物を処理し、安全に処分するシステム及び方法を提供する。本発明のシステム及び方法は、現在かかる廃棄物の処分に適用可能に存在している全ての連邦、州及び地方の法律に適合するよう設計されると共にそのように意図されている。
【0015】
本発明の方法は、閉鎖可能な容器を用意する工程、高アルカリ度溶剤を用意する工程、望ましくない要素を含む廃棄物を容器の内部の溶剤中に浸漬する工程、溶剤及び廃棄物を加熱する工程、及び廃棄物を蒸解(digesting)され又は分解されるまで溶剤中に止まることができるようにし、それにより滅菌水溶液及び滅菌固形廃棄物を形成する工程を有する。廃棄物の蒸解又は分解の程度を高めるには、廃棄物を1気圧以上の圧力下で処理し又は触媒を溶剤浴(bath)に添加し、或いはこれら両方を行うのがよい。冷却後、次に蒸解後最終生成物を従来型処分手段、例えば汚水渠又はゴミ埋立地により直接処分してもよく、陸上用途において肥料として用いる等の処分をすることができる。好ましい場合、蒸解後工程は、結果的に得られた廃棄物及び容器の内部のすすぎ洗い又はフラッシングを更に含むのがよい。本発明のシステム及び方法は又、処分される蒸解後固形廃棄物の量を実質的に減少させる。
【0016】
本発明者は、蒸解プロセスが進行しているとき、アミノ酸の生成量を測定することにより蒸解/分解(時間と温度の関係を表す曲線)が完了したかどうかを判定できることを発見した。蒸解プロセスは漸近線に達すると、蒸解が完了したと考えられる。
【0017】
作用を説明すると、オペレータが廃棄物、例えば動物の死骸又は残存物を処分する準備ができると、例えば廃棄物を保持用入れ物内に入れ、次にこの保持用入れ物を容器の内部に入れる。次に、容器の蓋を従来型蓋クランプにより固定する。蒸解のために容器に入れられた廃棄物の装入量は、容器容量の少なくとも10%(重量を基準として)であるが、容器の容量の総重量の60%以下であることが必要である。次に、蒸解サイクルを開始させ、最終結果として、廃棄物が完全に強塩基性溶剤中に浸漬されるようにする。
【0018】
本発明の目的上、「高アルカリ度溶剤」又は「強塩基性溶剤」は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ性土類金属水酸化物又はアルカリ性土類金属酸化物の1−2モル(M)水溶液を含むのがよい。好ましくは、この溶剤のpHは、少なくとも13以上、好ましくは13〜14である。ナトリウム水酸化物の水溶液(NaOH−通常、苛性ソーダ又は水酸化ナトリウムとも呼ばれている)又はカリウム水酸化物(KOH−通常、苛性カリ又は水酸化カリウムとも呼ばれている)が好ましい。NaOH又はKOHの水溶液が好ましいが、カルシウム酸化物(CaO−通常、焼石灰、生石灰又は酸化カルシウムとも呼ばれている)、アンモニウム水酸化物(NH4OH−通常、水酸化アンモニウムとも呼ばれている)又はマグネシウム水酸化物も又、用途によっては適している。適当な高塩基性溶剤の一例は、NaOHの0.1M〜2.5Mの水溶液又は水に溶けた約0.4%〜10%(重量を基準として)ナトリウム水酸化物であるのがよい。
【0019】
蒸解中、加水分解可能な材料を分解し又は蒸解するのに十分な量の溶剤中にかかる加水分解可能な材料を浸漬させることが必要である。廃棄物を完全に蒸解させる上で余分の塩基を確保する一つの比率は、アルカリ金属水酸化物と湿潤状態の組織が重量を基準として1:10である。この比について別の表現をすれば、これは、水の900リットル中に溶解した40キログラムのNaOHを100キログラムの乾燥重量タンパクに添加したもの又は500LのH2O中に溶解した40キログラムのNaOHを500キログラムの新たな又は凍結された廃棄物に添加したものである。これら比は、本明細書において説明する方法を実施すると共にシステムを動作する仕方に関しての取扱い説明として与えられているに過ぎず、本発明の本質又は範囲を限定するものではなく、本明細書に記載したシステム及び方法を用いる当業者は、本発明を実施するときにより経済的且つ正確な比を見出すことができる。原核生物(又は原始核細胞)を含む全ての感染性廃棄物の分解を確実にするためには、高塩基性溶剤を少なくとも約90℃、好ましくは110℃〜150℃に加熱する必要がある。
【0020】
反応が廃棄物を溶剤中に浸漬させた後、閉鎖された反応容器内で進むことができるようにすることが好ましい。反応に役立つCO2の量を減少させることは、反応の理想的な速度及び化学当量を維持するためには有益である。これは、高塩基性溶剤と環境との接触を単に減少させ又は制限することによって実施できる。
【0021】
廃棄物、例えば動物の死骸と高塩基性溶剤の反応がその自然な速度で進行するようになったとすれば、これは、非実用的なほどの長さの時間がかかる。したがって、反応速度をその自然な進行度を超えて高めることが有利である。反応プロセスの速度を高める一方法は、溶剤を好ましくは110℃〜150℃の温度に加熱することである。反応を上昇させた大気圧下において密閉容器内で行うことは又、動物の組織を蒸解するのに必要な反応時間を短くする。好ましいモードは、溶剤を約55PSIG(又は約3.8気圧)の圧力で約3時間かけて約150℃の温度に加熱することを含む。10℃毎の温度上昇に関し、閉鎖容器内で起こる化学反応の反応速度が2倍に増大し、それにより結果的に蒸解時間が約50%短縮されるので熱力学の基本規則、即ち「Q10規則」が本発明に当て嵌まることが判明した。かかる現象は、アレニウスの式に基づいている。
【0022】
さらに、所望ならば、例えばラウリル硫酸ナトリウム又はデオキシコレートである溶剤に対し濃度が最高1%までの洗浄薬も又添加すると蒸解速度を増大させることができる。また、溶剤への洗浄薬の追加は又、非鹸化脂質を分散させ、生物学的物質の滅菌を助けるという追加の利点をもたらす。
【0023】
最終的に、反応速度は、特定の変数、例えば溶剤の温度、反応容器内の圧力、廃棄物の性状及び量、即ち死骸又は廃棄物組織の物理的サイズ及び廃棄物と高塩基性溶剤の量の比で決まることになる。反応速度が変化すると、廃棄物が溶剤中に浸漬した状態のままでなければならない時間も又変化することになる。しかしながら、反応速度とは無関係に、廃棄物は、溶解されて加水分解されるまで溶剤内に完全に浸漬されたままであることが必要である。蒸解が達成されるまで廃棄物が溶剤中に留まることが出来るようにすることは又、より滅菌性の高い溶液を生じさせるのに役立つことになる。
【0024】
廃棄物、例えば動物の組織をいったん蒸解すると、2つの形式の固形デブリが残る場合が多い。第1の形式のデブリは、ゴム、プラスチック又は実験用動物が蒸解したセルロース系材料並びに実験又は外科手術で残ったデブリ、例えば外科用クリップ、縫合糸、ガラス及びプラスチック又は紙の小片から成る。例えばこれらのような固形物品は、放射性同位体を決して含まない。いったん滅菌すると、かかる固形物品も又、大抵の管轄区域では生物医学的廃棄物とは見なされない。この種のデブリは、溶液から隔離され、そして洗浄されると、通常の滅菌固形廃棄物として単に処分される場合が多い。
【0025】
非分解状態のまま残る第2の形式の固形デブリは、動物の骨構造及び歯の無機質部分を含む。骨及び歯の無機質部分内に取込み可能な放射性同位体がもし用いられなければ、骨格残留物の無機質成分は、放射性同位体を含まず、固形滅菌廃棄物として処分可能である。骨格残留物は、溶剤から取り出されて洗浄されると、きわめて砕けやすい。
【0026】
生物学的廃棄物を溶剤中で蒸解し、固形デブリを取り除いた後では、溶液は、連邦規則の下でのMPC要件に適合する希釈濃度の放射性同位体並びにアミノ酸及びペプチドのアルカリ金属塩、糖酸、ヌクレオチド、小さなペプチド、脂質からの脂肪酸、脂質及び核酸の分解から生じるリン酸エステル、可溶性カルシウム塩、色素、糖、糖アルコール、炭水化物、通常は体液の溶液中に存在する電解質に由来する無機酸のアルカリ性混合物を含むのがよい。これら副生物は、全ての商業用厨房及び家庭台所から生じる調理残り物及び廃棄物から極めて多くの量で放出される副生物と同一である。かくして、溶液は、非毒性であり、土壌及び汚水処理システムに見られる細菌又はかびにより生分解可能な化合物及び場合によっては非常に希釈された量の放射性溶質を含む。
【0027】
蒸解サイクルの終わりでの溶液は、動物の組織から放出された非毒性の生分解性物質及び水を含むに過ぎないので、溶液のそれ以上の希釈は、安全処分上必要ではない場合がある。しかしながら、溶液のアルカリ度を減少させるためのそれ以上の希釈は、容器及び無機残留物を過剰の水ですすぎ洗いすることや流出水及び現場、機関又は会社の一般的な日々の排出水の量についての温度調整コフラッシュ(co-flush)によって達成されることになる。(可溶性放射性廃棄物の計画的な又は故意の希釈は、適用される地方、州、連邦及び国家の規則によっては許可されないのが通例である。)さらに、二酸化炭素をこの段階で溶液中に注入してそのpHを最低約7.5〜10まで調節するのがよい。しかしながら、この段階では、溶液中の放射性同位体の濃度は、汚水渠に安全に放出できるレベル内に十分に収まっているべきである。
【0028】
細胞及び組織の分解生成物を含み、更に放射性同位体で標識付けされた溶質の残存物を含む場合のあるこの滅菌中性水溶液は、一般に毎日の非毒性で且つ生分解性物質を処分するために用いられている方法を利用して安全に処分できる。処分手段、例えば下水設備及びこれら単純な生分解性化合物の処分に適した他の処分手段を用いてこの溶液を処分することは全く安全である。
【0029】
次に図1を参照すると、本発明を実施する好ましいシステム10が概略的に示されており、このシステム10は、溶剤溶液及び廃棄物、例えば動物の組織又は死骸、或いは規制された医療廃棄物を収容することができる閉鎖反応チャンバ又は容器12を有している。容器12の一部は、以下に説明する目的で2重壁構造によって構成されている。当然のことながら、この容器は、本発明で用いられる種々のpHレベル、温度及び圧力に耐えることができる材料で構成されなければならない。適当な材料としては、ステンレス鋼の或る特定の調合物が挙げられる。容器12は又、制御されたアルカリ加水分解サイクルを完了まで実施するのに必要な環境を容器内部14内に提供するよう気密状態に閉鎖できなければならない。かくして、容器12の蓋又はカバー16は、蒸解サイクルの温度及び圧力に耐えると共に容器内部への大気(特に二酸化炭素)の不用意な導入を阻止し、或いは、より重要なこととして大気中への容器内部の内容物の逃げ出し又は不用意な排出を阻止するよう緊密に、即ち圧力密及び気密状態に閉鎖できなければならない。容器のかかる密閉は、当該技術分野において周知である従来型蓋クランプ(図示せず)によって達成できる。
【0030】
本発明により実施されるシステム及び方法は、自動化操作を行なうことができるようコンピュータ化されたプログラム可能マルチループ機械コントローラによって構成される従来型プログラム可能ロジックコントローラ(PLC)手段(図示せず)によって制御される。かかる制御手段は好ましくは、情報スクリーン、自動プログラムソフトウェア用のディスクドライブ、動作中のプロセスパラメータ及びデータを記録するディスクドライブ又はこれと同様な記録手段、及び二者択一的なマニュアル入力又は操作のためのキーボードを有する。
【0031】
システム10は、容器12の脚部のうち1以上に結合されていて、容器内に受け入れられた廃棄物の重量を測定し、かかる重量データを指示する出力信号を発生する重量変換器18(概略的に示されている)を更に有している。変換器は、内容物の無い容器の重量が重量ゼロとなるようにあらかじめ設定されている。次に、内容物重量データをPLC制御手段に入力し、それにより、重量出力データに基づいて、導管20a及び容器内部に設けられたスプレーボール又はノズル20eを介する水供給源20及び溶剤ループ導管24及びポンプ26を介する溶剤供給源22を利用して容器の内部に導入されるのに適した量の水及び溶剤を求める。溶剤をインゼクタ手段28を介して容器12の内部に注入し、これらインゼクタ手段28は、図1に概略的に示されており、図5A〜図5Dに詳細に示されている。インゼクタ手段28は、容器内部14の内容物を混合すると共に攪拌し、溶剤溶液のジェット流を入れ物60の底部62(図5A参照)のところで上方に差し向けて容器内容物が動くのを保つと共に廃棄物が入れ物60の底部に堆積するのを阻止し、しかも溶剤と完全に混合しないのを阻止することにより高アルカリ度溶剤と蒸解されるべき廃棄物の相互作用を高める。このようにすることにより、攪拌インゼクタ手段も又、蒸解サイクル時間を短縮する。
【0032】
本発明は、本明細書で説明する攪拌インゼクタ手段には限定されず、溶剤を容器の内部に導入する任意の手段を想定していることは理解されるべきである。溶剤を容器内に単に導入することにより、アルカリ−水溶液と廃棄物が「混合」されることになる。熱を加えることによっても、混合が引き起こされる。さらに、内容物の攪拌は、種々の手段によって達成でき、かかる手段としては、容器に結合された外部機構、例えば容器を物理的に動かす揺動又は振動組立体が挙げられる。容器内容物を混合し又は攪拌するかかる全ての代替手段は、本発明によって想定されている。
【0033】
上述したように、好ましいプロセスでは、蒸解プロセスを加速して動物の組織、死骸又は医療廃棄物を完全に分解するために溶剤溶液を加熱することが必要である。この目的のため、システム10には、好ましくはステンレス鋼蒸気ジャケット30により構成された加熱手段が更に設けられ、この蒸気ジャケット30は、容器12の垂直側部及び底部周りに円周方向に配置されていて、容器内部14内への水及び溶剤の導入後、容器の内部を第1の所定の温度レベルに加熱するようになっている。加熱された水又は蒸気を2重壁容器12の壁相互間に循環させる。蒸気ジャケットが好ましい実施形態を構成するが、溶液を加熱するために一般に知られていて用いられている任意の加熱手段を本発明で利用できる。蒸気は、遮断弁32b及び調整弁32cを備えた導管32a付き蒸気供給源32によってジャケット30に供給される。このシステムは、ベント34を更に有し、このベントは、サイクルの開始時には開放状態にあり、しかる後、容器内部の温度が所定の第1の温度に達すると、PLC制御手段によって閉じられる。容器12内の温度は、容器熱電対36aによって計測され、容器内の圧力は、PSI変換器38によって計測される。溶剤ループ内の温度は、ループ熱電対36bによって計測される。
【0034】
好ましい実施形態では、真空を容器内部14内に生じさせるエダクタ装置40が利用される。ベント34が開いていて、フラッシング水を導管20b経由で水供給源20によってエダクタに導入すると、エダクタの作用により、空気及び臭気ガスが導管34aを通って容器の内部から引き込まれ、次いで空気及び臭気ガスが最終的に、エダクタ40のところでフラッシング水に取り込まれてドレン導管42aを介してシステムから衛生ドレン42に取り出される。ドレンのところの流体の温度は、汚水渠での処分前に流出液温度をモニタする熱電対44によって計測できる。真空を生じさせるエダクタは、容器の充填中、ベント弁34を閉じる前に腐敗中の死骸から出る臭気ガスを実質的に減少させる。
【0035】
サイクル中、容器の内容物を蒸解サイクル(加熱及び冷却)後にいったん排出すると、容器の内部をドレン弁41が開いている状態で、スプレーボール20eを介して冷水ですすぎ洗いする。数分後、ドレン弁41を閉じて容器への水充填の開始を可能にする。容器を廃棄物が覆われる程度までいったん充填すると、インゼクタ手段28を通って水溶液を数分間注入することにより内容物を攪拌してすすぎ洗い効果を高める。次に、ドレン弁41を再び開き、容器の液体内容物が出るようにする。しかる後、所望ならば又は必要ならば、ドレン弁41を第2の時間の間閉じ、容器が再び水で満たされるようにする。次に、再び熱を容器に加えて容器内の液体を約95℃(203°F)に加熱し、次いで効果の高められたすすぎ洗いを開始させる。この蒸解後加熱段階で用いられる時間及び温度は様々であってよい。
【0036】
蒸解後冷却サイクル中に容器内に作られている真空を平衡させ又は制御すると共に真空が容器の排出を妨げないようにするために、図4A〜図4Cに示されていて、これらと関連して以下に説明する真空平衡装置又はバランサ46が設けられ、この真空平衡装置は、内部真空圧力が真空バランサ46のしきい圧力に達し又はこれを超えると周囲空気を容器内部に選択的に導入する。本明細書に開示する真空バランサは、独特の設計のものであるが、流体を漏らさない又は凝縮流体を集める任意の真空平衡装置が、本発明の効果的な作用に適している場合がある。
【0037】
次に、図4Aを参照すると、真空クランプ47、真空プラグ(栓)48、環状エンドキャップ49、真空ガスケット50、Oリング51、平座金52、袋ねじ53、上側フェルール部分54、下側フェルール部分55、ばね56及び温度計キャップ57を有する真空バランサ46が詳細に示されている。図4Cに示すような閉鎖状態では、ばね56は、袋ねじ53、座金52及び真空プラグ48を上方に押圧してOリング51が真空ガスケット50に当接し、それにより空気がこれを通過するのを阻止するようになっている。容器12内の内部真空圧力が或る特定の点に達すると、これはばね56の力に打ち勝ち、それによりプラグ48が下方に動くことができ、それによりOリング51が図4Bに示すようにガスケット50から外れて、エダクタ40が空気を容器内部から引き出している間、周囲空気を容器内部に導入する。
【0038】
好ましいシステムは、廃棄物を溶剤溶液中に完全に浸漬するために蒸解サイクル中、廃棄物としての組織又は残存物、或いは医療廃棄物を容器内部14内に保持できる透過性の入れ物を更に有している。図3A〜図3Cに示すように、かかる入れ物は好ましくは、上側リム部分64、下側リム部分66及び廃棄物としての組織を入れ物60内に収容する蓋68を備えたスチールメッシュスクリーン62により構成されている円筒形物品60から成る。(入れ物の好ましい形状は円筒形であるが、円筒形ではない他の形状も適しており、かかる他の形状は、本発明の範囲に属すると考えられるべきである。)好ましくは、取っ手68aが蓋68に取り付けられる。図3B及び図3Cに示すように、蓋68と入れ物の底部は両方共、ステンレス鋼メッシュ62を有し、このステンレス鋼メッシュは好ましくは、約3mm〜約6mm(1/8〜1/4インチ)のスクリーンメッシュを有するステンレス鋼スクリーンメッシュから作られている。蓋68は、従来手段により入れ物の本体61に解除自在に固定されるものであるのがよい。取っ手68aは、入れ物を上げ下げして容器内部から出し入れするための取付け手段を受け入れるアイレット状部分68bを備えるのがよい。廃棄物としての組織を蒸解すると、透過性入れ物60を吊り上げて容器12から出し又は以下に説明するように「クリーンサイド」取出しの際、容器12の側に配置された別のポートから取り出すのがよく、それにより入れ物60内に残っている未蒸解固形デブリを除去する。容器の高さ“h”(図3A)及び直径“d”(図3C)は、様々な量の様々の寸法の動物の廃棄物としての組織又は死骸或いは様々な体積又は量の医療廃棄物を収容するよう様々であってよい。大型の入れ物の場合、機械式巻上げシステムを用いて大型の動物の死骸又は大量の医療廃棄物から成る重く又は容積の大きな装入物を容器内部へ下降させることが必要な場合がある。
【0039】
上述のように、好ましい実施形態は、反応が起こっている間、溶剤を運動状態に保つことにより溶剤溶液と廃棄物としての組織の反応速度を加速させる図5A〜図5Dに示された攪拌インゼクタ手段28を有している。かかる手段の1つは、溶剤をループ24及びポンプ26(図1)を介して循環させ、全体として保持用入れ物60の底部を目掛けて様々な角度に配置された多数のジェットポート(図5A参照)を介して溶剤を注入することにより溶剤を容器内部に導入することによって達成される。かかる構成は、溶剤を容器内部で運動状態に保つと共に廃棄物が入れ物60の底部上に堆積しないようにし、その結果、蒸解プロセスを延長させ又は遅くすることができる。攪拌インゼクタ手段28は好ましくは、エルボ部材28bに対応関係をなして結合された複数の同心流れレジューサ又はノズル28aを有し、エルボ部材28bは、それぞれの管部材28cに結合され、これら管部材28cは最後に、それぞれの横部材28dに結合されている。各横部材28dは、インゼクタ手段を流入導管24aの上端部に取り付けるねじ結合部材28eに連結されている。ノズルは、図5A〜図5Dに示すように円錐形である必要は無く、特定の用途に合うよう形状寸法が様々であってよい。好ましい実施形態では、互いに反対側のノズル29aは、約22.5°の夾角Aをなして配置され(図5C)、互いに反対側のノズル29bは、約45°の夾角Bをなして配置され(図5D)、それによりインゼクタの加工及び混合作用を高めて蒸解反応を促進させる。変形例として、角度A,Bは、特定の用途に合うよう様々であってよい。
【0040】
図5Aに示すように、溶剤をインゼクタ28に送り込む流入導管24aは、流出導管24b内へ延び、そして同軸状にこれを貫通して上方に延びている。流入導管24aは、流出導管24bよりも直径が小さく、したがって、容器12の水性内容物が図5Aの矢印“a”によって示されるように流出導管24b内へ下方に排出可能になっている。流出導管24bは、溶剤を溶剤ループ24及びポンプ26(図1参照)に運搬して戻し、必要な時、ドレン弁41を通って衛生ドレン42に運搬する。当業者には理解されるように、図5Aに示す連結箇所“b”は、十分に気密であり、高アルカリ度高温且つ高圧の環境に耐えなければならない。さらに理解されるべきこととして、インゼクタ手段は、溶剤を廃棄物に差し向けるよう容器内部の周りに一定の配置関係をなして設けられた別々のインゼクタノズルを有するのがよい。かかる形態は、大径容器及び大量の廃棄物を扱う大規模な用途で有用である。かかる別々の固定された注入は、本明細書に開示したインゼクタ組立体28に代えて又はこれに加えて利用できる。
【0041】
図2は、本発明のサイクルプロセスを示すフローチャートである。作用を説明すると、廃棄物を秤量し、重量及び水と溶剤の比をPLC制御手段によって自動的に求める(ボックスa)。次に、適量の水(ボックスb)及び溶剤(ボックスc)をPLC制御手段によって行なわれた重量計算に基づいて容器の内部に導入する。代表的には、水を60重量%の水と40重量%の組織の比で添加するが、廃棄物の特定の装入量及び種類に関する要件に応じて他の量で添加してもよい。アルカリを組織重量に基づいて所定の濃度で添加する。これは代表的には、全組織重量の15%〜25%の比で加えられる50重量%のNaOHの溶液に相当している。加熱手段30(図1)は次に、容器内部(ボックスd)を蒸解サイクル温度まで加熱し、その間、ベント34を閉じる(ボックスe)。次に、システム10は、その上昇温度を蒸解のために容器内に入れられた廃棄物の重量に基づいてPLC制御手段によって計算された所定の持続時間(ボックスf)の間、維持する。システムは代表的には、蒸解温度を約3時間約150℃(302°F)に、或いはこれよりも低い温度で動作している場合、100℃の場合に16時間の理論的完全蒸解時間に基づいて、上述の熱力学方程式に従って10℃ごとの温度上昇について蒸解サイクル時間を半減させるその温度について適当な時間の間維持する。より好ましくは、所与の温度の場合、装入物の寸法、組成、分布状態等のばらつきに基づいて生じる差に対応するよう適当な安全係数を理論的蒸解時間に追加する。
【0042】
次に、システムは、蒸解後、冷却サイクルに入り、次いで、冷却水を水供給源20(図1)から導管20cを介して蒸気ジャケット内部30に導入し、それにより容器内部の温度を下げる(ボックスg)。これは、容器内の内部圧力が圧力計又は変換器に表示されるゼロの読みとして示されたほぼ大気圧(101.3キロパスカル/14.7ポンド/平方インチ(PSI))に達するまで続く。なお、かかる圧力計又は変換器は、1.0気圧を超える圧力を測定する。システムを十分にいったん冷却すると、制御手段がベント34を開き(ボックスh)、ドレン弁41を開く(ボックスi)により容器の内容物を汚水渠(衛生ドレン)42に排出して液体内容物を容器内部から所定の箇所まで排出し、この所定の箇所で、ドレン弁41を閉じ(ボックスj)、その間、フラッシング水は引き続き導入されて容器内部をフラッシングし(ボックスk)、遂には内部が好ましくは約半分になる。サイクル中のその時点で、容器内部にすすぎ洗い液を吹き付け、所定の時間の間、インゼクタ28を通って内容物を循環させ、その後、ドレンを再び開いて容器の内部に残っている残留物をすすぎ洗い落とす(ボックスl及びm)。次に、ドレンを再び閉じ(ボックスn)、容器を再び部分的に満たし、最終の加熱すすぎ洗いサイクルを実施する(ボックスo,p,q)。この段階で、蒸解及び冷却サイクルが完了し、容器を開放するのがよく、そして廃棄物保持容器を取り出して空にする。次に、空になった容器を容器内に戻し、それによりシステムがいつでも次の操作ができるようにする。
【0043】
本発明は又、有機組織又は感染性廃棄物、生物学的有害廃棄物、有害物質又は放射性廃棄物を含む廃棄物に制御されたアルカリ加水分解サイクルを施すことによりかかる廃棄物を蒸解し又は中和し、そして従来型衛生的処分に適した滅菌結果物を生じさせる方法を提供する。好ましい方法は、以下の工程、即ち、
(a)加熱−冷却手段に結合させた閉鎖反応容器12を用意する工程、
(b)廃棄物を閉鎖反応容器12内に受け入れる工程、
(c)前記容器内に受け取った廃棄物の重量を測定し、容器12に結合された重量変換器18により重量出力データを発生させる工程、
(d)システムの動作を制御する工程、この工程は、重量測定変換器18により生じた重量出力データを受け取ってこれを考慮し、容器12の内部に導入される水及び溶剤の適量を求める工程を含む、
(e)容器の内部に導入される水及び溶剤の適量を求めた後、真空を容器のベントに働かさせて臭気を除去し、他方、重量出力データに基づいて水供給源20及び導管20aを介してPLCコントローラによって決定された量の水を容器内部に導入すると共に重量出力データに基づいてPLCコントローラによって決定された量の高アルカリ度溶剤を容器の内部に導入する工程、
(f)容器内部への水及びアルカリ溶液の導入後、容器の内部を加熱手段(蒸気ジャケット30)により第1の所定の温度レベルに加熱する工程、
(g)容器の内容物を混合し又は攪拌して攪拌インゼクタ手段28による溶剤と組織の相互作用を高める工程、
(h)蒸解サイクルの開始時に、ベント34を介して容器の内部を通気し続け、容器内の温度が第1の所定の温度に達すると、ベントを閉じる工程、
(i)容器内部を蒸解サイクル温度に加熱し、その温度を所定時間の間、維持する工程、
(j)蒸解サイクルの稼働後、冷却水を供給源20から加熱手段30に導入することにより容器内部を冷却する工程、
(k)エダクタ40を動作させると共にベント34を開き、それにより真空を生じさせて蒸解後プロセスの残部全体を通じ、臭気ガスを容器内部から除去する工程、
(l)周囲空気を蒸解後プロセスの残部中、容器内部に選択的に導入することにより、エダクタ40により生じた真空を真空バランサ46を介してバランスさせてかかる真空が容器の排出を邪魔しないようにする工程、
(m)ドレン弁41を開いて容器内容物の蒸解した液体部分を排出し、ライン20aを開くことによりスプレーすすぎ洗いを開始させて溶剤溶液の残遺物を容器内部の固形廃棄物の残存物から除去する工程、
(n)スプレーライン20aを開いた状態に保ちながらドレン弁41を閉じてスプレーボール20eを介するスプレーすすぎ洗いを続行し、水ライン20dを開いて容器に蒸解用入れ物60の底部よりも約15cm(6インチ)上まで水を補充し、ポンプ26を再始動して所定時間の間、ループ24を介して固形廃棄物の残存物全体を通じてすすぎ洗い溶液を再循環させて固形廃棄物の残存物の追加のすすぎ洗いを可能にする工程、
(o)ドレン弁41を開いて容器内容物のすすぎ洗い液体部分を排出する工程、
(p)ライン20aを開くことにより別のスプレーすすぎ洗いを開始させて残りの溶剤すすぎ洗い溶液を固形残存物から更に除去する工程、
(q)スプレーライン20aを開いた状態に保ちながらドレン弁41を閉じ、水ライン20dを開いて再び容器に蒸解用入れ物60の底部よりも約15cm(6インチ)上まで水を補充し、ポンプ26を再始動してすすぎ洗い溶液を固形廃棄物の残存物全体中に第2の時間の間、再循環させる工程、
(r)第2のすすぎ洗い溶液を所定温度に加熱し、第2の加熱されたすすぎ洗い容器を所定時間の間循環させて溶液が同伴された蒸解溶液を固形廃棄物の残存物から除去できるようにする工程、
(s)ドレン弁41を開いて第2の加熱されたすすぎ洗い溶液が出ることができるようにする工程、
(t)ドレン弁41を開いた状態に保ちながら、スプレーライン20aを開いて容器内部及び固形廃棄物の残存物の最終すすぎ洗いを行なう工程、
(u)スプレーライン20aを閉じてすすぎ洗いを中断し、容器の液体内容物が出ることができるようにする工程、
(v)最後に、容器の蓋16を開けて廃棄物残存物を主要開口部から除去して衛生埋立地での処分ができるようにし又は固形肥料として利用できるようにする工程を有する。
【0044】
注目されるべきこととして、上述の充填レベルは、廃棄物の装入サイズの関数として変更でき、大きな荷重では、高い充填レベルが必要である。換言すると、廃棄物をアルカリ性溶液による減少のために完全に浸漬するよう十分な液体を追加することが必要である。
【0045】
上述のように、閉鎖容器の追加の特徴は、固形廃棄物残存物を容器の垂直側部に設けられた補助開口部(図示せず)から除去できるようにすることにある。この特徴により、容器を主要開口部が設備の汚染部分内に設置でき、他方、システムの残りの部分を設備の清浄な部分内に配置するような形態に位置決めすることができる。これにより、汚染物質を処理して滅菌でき、次に滅菌固形廃棄物残存物を滅菌残存物として補助開口部から清浄な領域に移して最終処分を行なうことができる。しかる後、主要開口部の開放に先立って補助開口部を封止し、別の処理サイクルのための廃棄物の装入を行なう。かかる形態は、「汚れ側供給/清浄側取出し」と呼ばれている。かかる実施形態は、上述の工程(u)を次のように変更する。
【0046】
(u)最後に、容器を開放して固形廃棄物残存物を補助開口部から除去して衛生埋立地での処分ができるようにし又は固形肥料として利用できるようにし、次に補助開口部を閉じて再び封止し、その後主要開口部を開いて次のサイクルのために新たな廃棄物の装入を行なう工程、この場合、汚れ側ドア又は蓋及び清浄側ドア又は蓋を電気的に連動させて規則遵守を保証すると共に清浄側の汚染を防止する。
【0047】
最後に、本発明のシステム及びその使用方法を以下に説明する。
実施例1
容器に例えば病原体又は有害物質を含む動物の死骸を充填する前に、容器の蓋を閉じて装入量秤を「零点調整」する。次に、蓋を開け、廃棄物を容器に所望の量まで充填する。好ましくは、装入量は、容器の容量の少なくとも20%(重量を基準として)であるが、容器の許容の収容重量以下であることが必要であり、許容収容重量の場合、システムは、稼働せず、過剰の重量を除かなければならない。次に、容器蓋を閉じて固定する。次に、PLCコントローラを起動させ、先ず最初に容器内の廃棄物の重量を測定することにより蒸解プロセスを開始させる。次に、蒸解サイクルを開始させ、それにより水を好ましくは60重量%水と40重量%の組織の比で添加し、アルカリを組織重量を基準として所定の濃度で添加する。かかる濃度は通常、全組織重量の15%〜25%の比で加えられる50重量%のNaOHの溶液に相当している。
【0048】
次に、加熱工程を開始させて容器の内部の温度を所定時間の間、所定の第1の蒸解サイクル温度まで上昇させて死骸を完全に蒸解させる。好ましいモードでは、サイクルは、蒸解温度を少なくとも110℃、好ましくは約130℃、最も好ましくは約150℃に保持する。150℃では、蒸解サイクルは通常は、約3時間持続する。
【0049】
蒸解サイクルがいったん完了すると、PLC制御手段は、容器のスリーブジャケット30を通ってフラッシングされた冷水を利用して冷却サイクルを開始させる。容器がいったん十分に冷えると、容器の中身を汚水渠に排出し、次にこれに冷水を部分的に補充し、内部をすすぎ洗いする。次に、容器を再び排水し、再び部分的に補充し、所望ならばこの第2のすすぎ洗い溶液を加熱する。この高温すすぎ洗い後、容器を排水し、その内容物に最終スプレーすすぎ洗い液を吹き付ける。次に、冷却サイクルが完了し、システムは、ドレンが開かれた状態で稼働を停止し、容器の内部を完全に空にする。
【0050】
オペレータが冷却サイクルの完了時に居る場合、容器をその時点で開けて廃棄物支持バスケットを取り出して空にする。次に、バスケットを元に戻し、システムが新たなサイクルをいつでも行なうことができるようにする。しかしながら、オペレータが冷却サイクルの完了時にいない場合、冷却サイクルが例えば夜中に稼働しているとき、オペレータは、スプレーすすぎ洗いサイクルを短い時間の間、好ましくは約30秒開始させることが必要である。最終スプレーの完了後、容器を開けて廃棄物を安全に処分するのがよい。
【0051】
図6A〜図6Eは、本発明の別の好ましい実施形態、即ち、最高約25ポンド(11.34kg)までの量の加水分解可能な廃棄物を化学的に減少させる化学的廃棄物減少システム110を示している。システム110は、高アルカリ度溶剤溶液及び或る量の廃棄物(例えば、動物の組織又は死骸、規制された医療廃棄物、手術用器具に付着した汚染物等)を収容できる閉鎖可能な反応チャンバ又は容器112を有している。変形例として、加水分解可能な廃棄物は、手術用器具には特段限定されない医療用器具に付着した有機汚染物であってもよい。
【0052】
好ましくは、容器112の一部は、2重壁構造によって構成されている。また、好ましくは、容器内部114を耐アルカリ性材料、例えばステンレス鋼又はセラミック材料で被覆することが必要である。より好ましくは、容器112は、加水分解操作中に受ける場合のあるpHレベル、温度及び圧力の組合せに耐えることができる材料で作られる。適当な材料としては、ステンレス鋼の或る特定の調合物が挙げられる。容器112は好ましくは、制御されたアルカリ加水分解サイクルを完了まで実施するのに必要な環境を容器内部14内に提供すると共によう高アルカリ度溶剤及び廃棄物が周囲環境中へ逃げ出るのを阻止するよう気密状態に閉鎖できなければならない。かくして、容器112の蓋又はカバー116は好ましくは、蒸解サイクルの温度及び圧力に耐えると共に容器112内部への大気(特に二酸化炭素)の不用意な導入を阻止し、そして、より重要なこととして大気中への容器112内部の内容物の逃げ出し又は不用意な排出を阻止するよう緊密に閉鎖可能であり且つ遮断状態に密封可能である。容器のかかる密閉は、当該技術分野において周知である従来型蓋クランプ(図示せず)又は当業者に利用可能な任意の便利なクロージャ手段によって達成できる。
【0053】
システム110は、電子コントローラ117、例えば、上述した従来型のプログラム可能ロジックコントローラ(PLC)手段を更に有する。好ましくは、システム110は、容器112に作動的に結合されると共に電子コントローラ117に電気的に結合されていて、容器112内に受け入れられた廃棄物の重量を測定し、かかる重量データを含むコントローラ117への出力信号を発生させる重量センサ又は変換器118(概略的に示されている)を更に有する。変換器118は通常、内容物の無い容器112の重量が重量ゼロとなるようにあらかじめ設定されている。次に、内容物重量データを電子コントローラ117に入力し、それにより、重量出力データに基づいて、容器112の内部に導入されるのに適した量の水及び溶剤を求める。小型容器112(例えば約2〜約20ポンド(0.9kg〜9.1kg)の廃棄物を蒸解する能力を備える)の場合、容器112の最大装入量までの任意の量の廃棄物に用いるのに所定量のアルカリ溶剤(容器112の最大廃棄物装入量を蒸解するよう配合されている)が好ましい。この場合、これとは異なり、もし容器112の最大容量を超えていれば、重量データを用いてシステム110を稼働停止させてもよい。
【0054】
システム110は、例えば導管120aを介して容器112に作動的に連結された水供給源120を更に有する。高アルカリ度溶剤が、水と乾燥状態のアルカリ土類金属、アルカリ水酸化物又はアルカリ金属酸化物を混合して高アルカリ度溶液を形成することによって容器112内で作られる。変形例として、先ず最初に高アルカリ度溶液を調製し、次に容器112内へ添加してもよい。図6Eは、システムの配管状態を詳細に示している。導管120aが、水を容器112内へ導入するために弁124を介して水入口126及び(又は)インゼクタ手段128に連結されている。
【0055】
先の実施形態の場合と同様、加水分解可能な廃棄物の化学的減少を効果的且つ迅速に達成するためにはこのように形成された溶剤溶液を加熱することが好ましい。したがって、システム110は好ましくは、容器112に作動的に連結されると共にこれと熱的関係をなして配置された加熱器130を有する。より好ましくは、加熱器130は、容器112の底部と熱的接触関係にあり、容器内部114内への水及び溶剤の導入後、容器112の内部を第1の所定の温度レベルに加熱できる電気ホットプレートである。変形例として、容器112を加熱するのに任意の都合のよい形式の加熱器130、例えば、先の実施形態で説明した蒸気ジャケット又は当業者に知られている任意他の加熱手段を用いてもよい。電気が電源132により導管132aを介して加熱器130に供給される。好ましくは、温度センサ119(例えば、熱電対等)が、容器内部114と熱的連絡関係をなして配置されていて、容器内部114の温度を連続的にモニタし又は要望があれば調べることができるようになっている。より好ましくは、加熱器130と温度センサ119は両方共電子コントローラ117と電気的連絡関係をなして接続され、電子コントローラ117が所定の又は所望の時間/温度プロフィールに従って加熱器130の出力を調整して容器114の内部の温度を維持することができるようになっている。
【0056】
システム110は好ましくは、ベント140(以下に詳細に説明する)を更に有し、このベント140は、好ましくは、サイクルの開始時に開放状態にあり、しかる後、容器112内の温度が所定の第1の温度に達すると、好ましくは電子コントローラ117によって閉鎖される。容器熱電対119によって計測され、容器112内の圧力は、圧力センサ(図示せず)、例えばPSI変換器により測定できる。
システム110は好ましくは、溶剤と部分的に溶解した廃棄物を循環させてこれらを混合する攪拌手段133を更に有する。攪拌手段133は好ましくは、磁気式のものであり、例えば、磁界を容器112内に生じさせ、これを用いて容器112内に配置された1以上の磁気攪拌ロッド137を回転させることができるよう位置決めされた磁気攪拌機135である。磁気攪拌機135を、例えば当業者に容易に分かるホットプレート/攪拌機の組み合わせの状態で加熱器130と機能的に組み合わせるのがよい。磁気攪拌機135が好ましいが、攪拌手段133としては、容器内部114の内容物を混合して攪拌する当業者になじみのある任意の都合のよい攪拌手段が挙げられる。かかる攪拌により、高アルカリ度溶剤と溶解廃棄物の相互作用が高まり、容器内容物が運動状態に維持され、廃棄物が容器112の底部に堆積するのが阻止される。攪拌のもう1つの利点は、蒸解サイクル時間が短縮されることにある。内容物の攪拌は、種々の手段により達成でき、かかる手段としては、容器112に結合された外部機構、例えば容器112を物理的に動かす揺動又は振盪組立体が挙げられる。容器内容物を混合し又は攪拌するかかる変形手段は全て、本発明によって想定されている。
【0057】
システム110は好ましくは、容器112を閉鎖すると過剰な圧力を容器内部114から抜くための通気システムを更に有する。流体導管142が、ベント140をドレンライン144に連結している。好ましくは、容器112の汚染を阻止するために逆止弁146がベント140とドレンライン144との間に連結されている。ドレンライン144は又、容器112内に形成されていて、溶剤溶液及び溶解廃棄物の排出を行なう水出口148に連結されている。
【0058】
システムは、水出口148とドレンライン144との間に連結されたエダクタ150を更に有するのがよい。フラッシング水を導管120b経由で水供給源120によってエダクタ150に導入する。エダクタ150の作用により、空気及び臭気ガスが流体導管142を通って容器112の内部から引き込まれ、次いで空気及び臭気ガスが最終的に、エダクタ150のところでフラッシング水に取り込まれてドレン導管144を介してシステムから取り出される。ドレンのところの流体の温度は、汚水渠での処分前に流出液温度をモニタする熱電対(図示せず)によって計測できる。真空を生じさせるエダクタ150は、容器112の充填中、腐敗中の死骸から出る臭気ガスを実質的に減少させ、そして所望ならば廃棄物が加水分解されている間又はその加水分解後、ガスを容器112から引き出すようかかるエダクタを作動させることができる。
【0059】
作動にあたり、容器の内容物を蒸解サイクル(加熱及び冷却)後にいったん排出すると、水出口148が開いている状態でスプレーボール20eを介して容器の内部を冷水ですすぎ洗いする。数分後、水出口148を閉じて容器への水充填の開始を可能にする。容器112は今や、いつでも次の加水分解サイクルを実施できる状態にあると考えられ、かかる容器に廃棄物を充填し、その減少を行なうことができる。容器112をいったん所定量の水(少なくとも、廃棄物を覆うに足るほどの量)で満たすと、所定量の高アルカリ度粉末を添加し、水と組み合わせて高アルカリ度溶剤溶液を生じさせる。次に、磁気攪拌機135及び攪拌ロッド137で内容物を攪拌し、廃棄物を化学的に減少させるために内容物を所定時間の間、約98℃に加熱する。次に、容器112を放冷し、水出口148を開き、すすぎ洗い水を容器112内へ導入する。水出口を閉じると、すすぎ洗い水が溜まって残っている固形物をすすぎ洗い落とすことができる。次に、水出口148を再び開き、容器112の液体内容物が出ることができるようにする。しかる後、所望ならば又は必要ならば、水出口148を第2の時間の間閉じ、容器112が再び水で満たされるようにする。次に、再び熱を容器に加えて容器内の液体を約95℃(203°F)に加熱し、次いで効果の高められたすすぎ洗い/拡散を開始させる。この蒸解後加熱段階で用いられる時間及び温度は様々であってよい。
【0060】
好ましいシステムは、廃棄物を溶剤溶液中に完全に浸漬するために蒸解サイクル中、廃棄物としての組織又は残存物、或いは医療廃棄物を容器内部114内に保持できる透過性の入れ物160、例えばバスケットを更に有している。図3A〜図3Cに示すように、かかる入れ物は好ましくは、上側リム部分64、下側リム部分66及び廃棄物としての組織を入れ物60内に収容する蓋68を備えたスチールメッシュスクリーン62により構成されている円筒形物品60から成る。(入れ物の好ましい形状は円筒形であるが、円筒形ではない他の形状も適しており、かかる他の形状は、本発明の範囲に属すると考えられるべきである。)好ましくは、取っ手68aが蓋68に取り付けられる。入れ物60は、容器114の内部に嵌まり込むように寸法決めされている。図3B及び図3Cに示すように、蓋68と入れ物の底部は両方共、ステンレス鋼メッシュ62を有し、このステンレス鋼メッシュは好ましくは、約3mm〜約6mm(1/8〜1/4インチ)のスクリーンメッシュを有するステンレス鋼スクリーンメッシュから作られている。蓋68は、従来手段により入れ物の本体61に解除自在に固定されるものであるのがよい。取っ手68aは、入れ物を上げ下げして容器内部から出し入れするための取付け手段を受け入れるアイレット状部分68bを備えるのがよい。廃棄物減少作業の完了後、入れ物60を吊り上げて容器112から出すのがよく、それにより入れ物60内に残っている未蒸解固形デブリを除去する。
【0061】
システム110の使用方法は、上述の第1の実施形態の使用法と類似しており、かかる方法は、実質的に耐アルカリ性容器を用意する工程、高アルカリ度溶剤を用意する工程、所定の最大量以下の量を持つ廃棄物を用意する工程と、廃棄物を容器の内部に入っている溶剤中に浸漬させる工程、溶剤及び廃棄物を加熱する工程、及び廃棄物が蒸解されるまで溶剤内に留まることができ、それにより残留固形廃棄物を含む水溶液を形成する工程とを有する。好ましくは、廃棄物は、所定の最大質量の廃棄物を所定の作業温度で実質的に完全に溶解させるよう計算された所定の時間の間、溶剤中に留まる。好ましくは、所定の作業温度は、約95℃〜約98℃である。しかしながら、所与の溶剤pH又は濃度の場合、加水分解は、サイクル時間を上述したようにQ10規則に従って増加させることにより低い温度(即ち、90℃以下)で達成できる。廃棄物の蒸解又は分解の程度を増大させるには、廃棄物が所定の温度で溶剤中に浸漬される時間の長さを長くし、溶剤及び廃棄物の温度を高くし、触媒材料を追加し、又は上述の手段の幾つかの組合せによって行なうのがよい。
【0062】
冷却後、次に、蒸解後最終生成物を従来型処分手段、例えば汚水渠又はゴミ埋立地により直接処分してもよく、陸上用途において肥料として用いる等の処分をすることができる。好ましい場合、蒸解後工程は、結果的に得られた廃棄物及び容器の内部のすすぎ洗い又はフラッシングを更に含むのがよい。本発明のシステム及び方法は又、処分される蒸解後固形廃棄物の量を実質的に減少させる。
【0063】
図7A〜図7Dは、本発明の更に別の好ましい実施形態、即ち、最高約3000ポンド(1361kg)以上までの量の加水分解可能な廃棄物を化学的に減少させる化学的廃棄物減少システム210を示している。システム210は、高アルカリ度溶剤溶液及び或る量の廃棄物(例えば、動物の組織又は死骸、規制された医療廃棄物、手術用器具に付着した汚染物等)を収容できる閉鎖可能な反応チャンバ又は容器212を有している。好ましくは、容器212は、2重壁構造によって構成されている。また、好ましくは、容器内部214を耐アルカリ性材料、例えばステンレス鋼又はセラミック材料で被覆することが必要である。より好ましくは、容器212は、加水分解操作中に受ける場合のあるpHレベル、温度及び圧力の組合せに耐えることができる材料、例えばステンレス鋼の或る特定の調合物で作られる。容器212は好ましくは、制御されたアルカリ加水分解サイクルを完了まで実施するのに必要な環境を容器内部14内に提供すると共によう高アルカリ度溶剤及び廃棄物が周囲環境中へ逃げ出るのを阻止するよう気密状態に閉鎖できなければならない。かくして、容器212の蓋又はカバー216は好ましくは、蒸解サイクルの温度及び圧力に耐えると共に容器212内部への大気(特に二酸化炭素)の不用意な導入を阻止し、そして、より重要なこととして大気中への容器212内部の内容物の逃げ出し又は不用意な排出を阻止するよう緊密に閉鎖可能であり且つ遮断状態に密封可能である。容器212のかかる密閉は、当該技術分野において周知である従来型蓋クランプ(図示せず)又は当業者に利用可能な任意の便利なクロージャ手段によって達成できる。
【0064】
システム210は、電子コントローラ217、例えば、上述した従来型のプログラム可能ロジックコントローラ(PLC)手段を更に有する。好ましくは、システム210は、容器212に作動的に結合されると共に電子コントローラ217に電気的に結合されていて、容器212内に受け入れられた廃棄物の重量を測定し、かかる重量データを含むコントローラ217への出力信号を発生させる重量センサ又は変換器218(概略的に示されている)を更に有する。変換器218は通常、内容物の無い容器112の重量が重量ゼロとなるようにあらかじめ設定されている。次に、内容物重量データを電子コントローラ217に入力し、それにより、重量出力データに基づいて、容器212の内部に導入されるのに適した量の水及び溶剤を求める。小型容器212(例えば約200〜約500ポンド(90.7kg〜226.8kg)の廃棄物を蒸解する能力を備える)又は任意的にこれよりも大型の容器の場合、容器212の最大装入量までの任意の量の廃棄物に用いるのに所定量のアルカリ溶剤(廃棄物装入量のうち小刻みに一定量蒸解するよう配合されている)が好ましい。この場合、これとは異なり、もし容器212の最大容量を超えていれば、重量データを用いてシステム210を稼働停止させてもよい。
【0065】
システム110は、例えば導管220aを介して容器212に作動的に連結された水供給源220を更に有する。高アルカリ度溶剤が、水と乾燥状態のアルカリ土類金属、アルカリ水酸化物又はアルカリ金属酸化物を混合して高アルカリ度溶液を形成することによって容器212内で作られる。導管220aが、水を容器212内へ導入するために弁224を介して水入口226及び(又は)インゼクタ手段228に連結されている。
先の実施形態の場合と同様、加水分解可能な廃棄物の化学的減少を効果的且つ迅速に達成するためにはこのように形成された溶剤溶液を加熱することが好ましい。したがって、システム210は好ましくは、容器212に作動的に連結されると共にこれと熱的関係をなして配置された加熱器230を有する。より好ましくは、加熱器230は、容器212の下に延び、しかも容器212と熱的連絡関係にあり又はこの中に挿入されると共に容器内部と直接的な熱的関係にあるバーナ(例えば天然ガスバーナ及びオイルバーナ等)である。バーナは好ましくは、容器内への水及びアルカリ溶剤の導入後、容器内部214を第1の所定の温度レベルに加熱するのに十分な熱エネルギを発生させるようになっている。変形例として、容器212を加熱するのに任意の都合のよい形式の炉又は加熱器230、例えば、先の実施形態で説明した蒸気ジャケット又は当業者に知られている任意他の加熱手段を用いてもよい。
【0066】
好ましくは、温度センサ219(例えば、熱電対等)が、容器内部214と熱的連絡関係をなして配置されていて、容器内部214の温度を連続的にモニタし又は要望があれば調べることができるようになっている。より好ましくは、加熱器230と温度センサ219は両方共、電子コントローラ217と電気的連絡関係をなして接続され、電子コントローラ217が所定の又は所望の温度プロフィールに従って加熱器230の出力を調整して容器214の内部の温度を維持することができるようになっている。
【0067】
システム210は又、溶剤と部分的に溶解した廃棄物を循環させてこれらを混合する攪拌手段を更に有するのがよいが、このようにするかどうかは任意である。システム210は好ましくは、ベント240を更に有するのがよく、このベント240は好ましくは、サイクルの開始時に開放状態にあり、しかる後、容器212内の温度が所定の第1の温度に達すると、好ましくは電子コントローラ217によって閉鎖される。流体導管242が、ベント240を流体ドレンライン又は煙道244に連結している。容器21内の温度は、容器熱電対219によって計測され、容器212内の圧力は、圧力センサ(図示せず)、例えばPSI変換器により測定できる。
【0068】
サイクル中、容器の内容物を蒸解サイクル(加熱及び冷却)後にいったん排出すると、水出口248が開いている状態で水入口228を介して容器の内部を冷水ですすぎ洗いする。数分後、水出口248を閉じて容器212への水充填の開始を可能にする。容器212は今や、いつでも次の加水分解サイクルを実施できる状態にあると考えられ、かかる容器に廃棄物を充填し、その減少を行なうことができる。容器212をいったん所定量の水(少なくとも、廃棄物を覆うに足るほどの量)で満たすと、所定量の高アルカリ度粉末を添加し、水と組み合わせて高アルカリ度溶剤溶液を生じさせる。変形例として、濃縮アルカリ溶液を水に添加して高アルカリ度溶剤溶液を生じさせてもよい。次に、攪拌手段により、例えば高アルカリ度溶剤溶液を容器212中へ圧送することにより内容物を攪拌し、廃棄物を化学的に減少させるために内容物を所定時間の間、約98℃に加熱する。次に、容器212を放冷し、水出口248を開き、すすぎ洗い水を容器212内へ導入する。水出口を閉じると、すすぎ洗い水が溜まって残っている固形物をすすぎ洗い落とすことができる。次に、水出口248を再び開き、容器212の液体内容物が出ることができるようにする。しかる後、所望ならば又は必要ならば、水出口248を第2の時間の間閉じ、容器212が再び水で満たされるようにする。次に、再び熱を容器に加えて容器内の液体を約95℃(203°F)に加熱し、次いで効果の高められたすすぎ洗い/拡散を開始させる。この蒸解後加熱段階で用いられる時間及び温度は様々であってよい。
【0069】
好ましいシステムは、廃棄物を溶剤溶液中に完全に浸漬するために蒸解サイクル中、廃棄物としての組織又は残存物、或いは医療廃棄物を容器内部214内に保持できる透過性の入れ物260、例えばバスケットを更に有している。入れ物260は好ましくは、容器212に嵌まり込むように形作られたバスケットであり、好ましくは、耐アルカリ性有孔ステンレス鋼で作られる。孔は好ましくは、ステンレス鋼バスケット260を貫通して形成された6mm(3/8インチ)穴のパターンとして作られる。廃棄物減少作業の完了後、入れ物260を吊り上げて容器212から出すのがよく、それにより入れ物260内に残っている未蒸解固形デブリを除去する。
【0070】
システム210の使用方法は、上述の実施形態の使用法と類似しており、かかる方法は、実質的に耐アルカリ性容器を用意する工程、高アルカリ度溶剤を用意する工程、所定の最大量以下の量を持つ廃棄物を用意する工程と、廃棄物を容器の内部に入っている溶剤中に浸漬させる工程、溶剤及び廃棄物を加熱する工程、及び廃棄物が蒸解されるまで溶剤内に留まることができ、それにより残留固形廃棄物を含む水溶液を形成する工程とを有する。好ましくは、廃棄物は、所定の最大質量の廃棄物を所定の作業温度で実質的に完全に溶解させるよう計算された所定の時間の間、溶剤中に留まる。好ましくは、所定の作業温度は、約95℃〜約98℃である。廃棄物の蒸解又は分解の程度を増大させるには、廃棄物が所定の温度で溶剤中に浸漬される時間の長さを長くし、溶剤及び廃棄物の温度を高くし、触媒材料を追加し、又は上述の手段の幾つかの組合せによって行なうのがよい。冷却後、次に、蒸解後最終生成物を従来型処分手段、例えば汚水渠又はゴミ埋立地により直接処分してもよく、陸上用途において肥料として用いる等の処分をすることができる。好ましい場合、蒸解後工程は、結果的に得られた廃棄物及び容器の内部のすすぎ洗い又はフラッシングを更に含むのがよい。本発明のシステム及び方法は又、処分される蒸解後固形廃棄物の量を実質的に減少させる。
【0071】
好ましい実施形態を用いて本発明を説明したが、当業者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく改造例及び変形例を想到できることは理解されよう。かかる改造例及び変形例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容及び範囲に含まれるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
望ましくない物質に制御されたアルカリ加水分解サイクルを施すことにより望ましくない物質を蒸解し又は中和するシステムであって、
(a)望ましくない物質を受け入れ、内部を備えた閉鎖反応容器を形成する手段と、
(b)システムのアルカリ加水分解サイクルを制御する手段と、
(c)前記容器の内部に所定量の水を導入する手段と、
(d)前記容器の内部に所定量のアルカリ化合物を導入して溶剤溶液を形成する手段と、
(e)容器の内部への水及びアルカリ化合物の導入後、望ましくない物質を実質的に完全に加水分解するのに十分な時間をかけて容器の内部を第1の所定温度レベルまで加熱する手段とを有し、
前記工程(d)の実施後における溶剤溶液のpHは、約12〜14であることを特徴とするシステム。
【請求項2】
(f)容器の内容物を混合してアルカリ化合物と望ましくない物質の相互作用を高める手段を更に有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
(g)前記容器の内部を通気し、前記サイクルの開始時には開放状態にあり、前記容器内の温度が第1の所定レベルに達すると、前記制御手段により閉じられるよう動作できる手段と、
(h)冷却剤を前記容器に導入することによりアルカリ加水分解サイクルが稼働した後、容器の内部を冷却する手段と、
(i)真空を前記容器の内部に生じさせる手段と、
(j)サイクル中、周囲空気を容器内部に選択的に導入することにより、前記真空手段によって前記容器の内部に生じた真空を平衡させ、それにより前記システムの作動中、前記容器内に存在している真空が所定レベルを超えるのを阻止する手段と、
(k)スプレーすすぎ洗いを開始させて蒸解溶液を固形残留物からすすぎ洗い落とす手段とを更に有することを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
(l)前記容器の内部から内容物を排出する手段を更に有し、
前記加熱手段は、前記容器の内部を所定時間かけて第2の所定のサイクル温度に加熱するようになっており、その後、前記冷却手段が、容器内部の温度を第3の所定温度まで低下させ、それにより容器内の内部圧力が約0psiに達するようにし、その後、前記水導入手段が、前記容器の内部をフラッシングし、前記制御手段が、前記通気手段を開き、前記排出手段が、内容物を前記容器内部から所定レベルまで排出させ、その後、容器内部が部分的に満たされるまで水導入手段が引き続き容器内部をフラッシングしている間、前記排出手段が閉じ、その後、最終のすすぎ洗い液を容器内部に吹き付け、排出手段を通して容器の内部に残っている化合物をすすぎ洗い流すことを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記すすぎ洗い液は、水であることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項6】
前記冷却剤は、水であることを特徴とする請求項3記載のシステム。
【請求項7】
前記望ましくない物質は、動物の組織、ヒトの組織、動物の死骸、ヒトの死体、病理学的廃棄物又は医療用器具に付着した汚染物質を更に含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項8】
望ましくない物質は、防腐処理剤、毒性汚染要因物、病原体、抗悪性腫瘍薬又は抗菌剤を含むことを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項9】
前記防腐処理剤は、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びフェノールを含むことを特徴とする請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記アルカリ化合物は、水酸化ナトリウム(NaOH)であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記アルカリ化合物は、水酸化カリウム、酸化カルシウム、水酸化アンモニウム又は水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項12】
前記望ましくない物質は、汚染された手術用器具であることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項13】
前記容器の内部の温度をモニタする熱電対手段を更に有することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記アルカリ化合物及び水導入手段は、導管手段、アルカリ化合物を供給源から導管手段を経て容器に圧送して攪拌手段を通って容器内部に導入するポンプ及びループ温度をモニタする熱電対手段を含むループ供給システムを構成することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項15】
廃棄物を蒸解し又は中和する方法であって、
(a)高アルカリ度溶剤浴を用意する工程と、
(b)前記廃棄物を前記高アルカリ度溶剤浴中に浸漬する工程と、
(c)前記高アルカリ度溶剤浴及び前記浸漬廃棄物を、前記廃棄物を実質的に蒸解するのに十分な時間をかけて少なくとも約90℃の温度まで加熱する工程とを有し、それにより、生分解性物質及び固形廃棄物から成る混合物を生じさせることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記高アルカリ度溶液のpHは、約12〜約14であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記高アルカリ度溶剤は、水と少なくとも1つのアルカリ水酸化物の混合物であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記廃棄物は、医療用器具に付着して存在している有機汚染物質であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
前記廃棄物は、動物の死骸であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記工程(c)において高アルカリ度溶剤を混合し、循環させ又は攪拌することを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項21】
廃棄物を減少させる方法であって、
(a)所定量の高アルカリ度溶剤を収容する工程と、
(b)所定量の廃棄物を前記所定量の高アルカリ度溶剤中に浸漬させる工程と、
(c)前記所定量の高アルカリ度溶剤及び前記浸漬廃棄物を、前記廃棄物を実質的に蒸解させるのに十分な時間をかけて少なくとも約90℃の温度に加熱する工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項22】
前記廃棄物は、手術用器具に付着した有機汚染物質であり、前記時間は、前記手術用器具に付着して存在している感染性プリオンを破壊するのに十分であることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
加水分解可能な望ましくない物質にアルカリ加水分解サイクルを施すことにより加水分解可能な望ましくない物質を蒸解し又は中和し、従来型衛生的処分又は土壌施用に適した結果物を生じさせる方法であって、
(a)温度制御手段に結合された閉鎖反応容器を用意する工程と、
(b)所定の最大質量値以下の質量の望ましくない物質を前記容器内に受け入れる工程と、
(c)望ましくない物質の質量を考慮し、容器の内部に導入されるべき水及びアルカリ化合物の適当な量を決定する工程を含むシステムの稼働制御工程、
(d)前記工程(c)の実施後、望ましくない物質の質量に基づく量のアルカリ化合物を前記容器の内部に導入する工程と、
(e)前記工程(d)の実施後、望ましくない物質の質量に基づく量の水を前記容器の内部に導入する工程と、
(f)前記工程(d)及び(e)の実施後、安全に処分可能な結果物を生じさせるのに十分な時間をかけて容器内部を第1の温度に加熱する工程とを有し、前記第1の温度は、少なくとも約90℃であることを特徴とする方法。
【請求項24】
(g)前記工程(e)及び(f)の実施中、真空の発生を前記容器のベント内に開始させて容器の充填中廃棄物の臭気を除去する工程と、
(h)前記工程(e)及び(f)の実施中、容器の内容物を混合してアルカリ化合物と望ましくない物質の相互作用を高める工程と、
(i)前記工程(g)の実施後、容器の内部を蒸解サイクルが稼働した後、所定温度まで冷却する工程と、
(j)前記工程(i)の実施後、容器が所定の第2の温度に達し、圧力が約1気圧に達すると、容器の内部を通気する工程と、
(k)前記工程(j)の実施中、真空を前記容器の内部に生じさせて臭気を容器内部の中から除去する工程と、
(l)前記工程(k)の実施中、上記のように作られた真空を平衡させて前記真空が前記容器の排出を妨げないようにする工程と、
(m)前記工程(l)の実施後、前記容器の内容物の液体溶液部分を前記容器の内部から排出する工程と、
(n)前記工程(m)の実施後、前記容器の内部をすすぎ洗いして残存している容器残留物を望ましくない物質の固形残留物から除去する工程とを更に有することを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項25】
(o)前記工程(n)の実施中、前記容器のすすぎ洗い及び部分的補充を続行すると共に固形廃棄残存物全体中ですすぎ洗い溶液を攪拌している間、ドレンを閉鎖する工程と、
(p)前記工程(o)の実施後、すすぎ洗い溶液を所定時間の間、循環させてすすぎ洗い溶液が同伴蒸解溶液を望ましくない物質の固形廃棄残存物から除去できるようにする工程と、
(q)前記工程(p)の実施後、すすぎ洗い溶液を前記容器の内部から排出する工程とを更に有することを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記工程(o)又は前記工程(p)の実施中、すすぎ洗い溶液を加熱する工程を更に有することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
(r)前記工程(q)の実施後、前記容器の内部の次のすすぎ洗いを実施して固形廃棄物残存物を望ましくない物質から除去する工程と、
(s)前記工程(r)の実施中、結果物としての流出液を従来型手段により処分する工程とを更に有することを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
(t)前記工程(s)の実施後、前記容器を開放し、前記固形廃棄残存物を除去して衛生埋立て処分又は固形肥料として用いる工程を更に有することを特徴とする請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記高アルカリ度溶剤のpHは、少なくとも約13であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記高アルカリ度溶剤は、水とアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物の混合物であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記所定質量の望ましくない物質は、有機汚染要因物が付着した金属製ツールであることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項32】
前記所定質量の望ましくない物質は、有機物で汚染された手術用器具であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項33】
前記所定質量の望ましくない物質は、動物の幾つかの部分であることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項34】
前記アルカリ化合物及び水は、望ましくない物質の所定最大質量値に基づいて導入されることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項35】
前記所定の最大質量値は、約5キログラムであることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項36】
前記所定質量の望ましくない物質は、有機リン酸エステルペプチド、神経ガス、硝酸エステル、芳香族ニトロ化合物、化学療法剤、アルキル化薬、抗生物質、植物の毒素、動物の毒素、バクテリアの毒素、非蛋白毒素、動物の毒液、植物のカテコール及びポリフェノールから選択されることを特徴とする請求項23記載の方法。
【請求項37】
廃棄物を蒸解し又は中和する方法であって、前記廃棄物は、有害又は生物学的有害薬剤又は病原菌を含む規制された医療廃棄物を含み、前記病原菌は、加水分解可能な物質から成り、
(a)高アルカリ度溶剤を用意する工程と、
(b)前記廃棄物を前記高アルカリ度溶剤中に浸漬する工程と、
(c)前記高アルカリ度溶剤及び前記浸漬廃棄物を、前記加水分解可能な物質を蒸解するのに十分な時間をかけて少なくとも90℃の温度まで加熱する工程とを有し、
それにより、無毒の生分解性物質を含むと共に前記病原菌の無い滅菌固形廃棄物を含有した滅菌溶液を生じさせることを特徴とする方法。
【請求項38】
廃棄物は、金属製器具に付着存在し、滅菌溶液は、感染性プリオンを含んでいないことを特徴とする請求項37記載の方法。
【請求項39】
廃棄物を化学的に減少させる装置であって、
温度を持つ実質的に耐アルカリ性の容器と、
容器と熱的連絡関係にある加熱器と、
実質的に耐アルカリ性容器の内容物を攪拌する攪拌手段と、
容器に作動的に連結された水入口弁と、
容器に作動的に連結された水出口弁と、
実質的に耐アルカリ性の容器の温度を測定するよう配置された温度センサと、
加熱器、磁気攪拌機、水入口弁、水出口弁及び温度センサに電気的連絡関係をなして接続された電子コントローラとを有し、
電子コントローラは、実質的に耐アルカリ性の容器の温度を実質的に所定値に維持するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項40】
前記実質的に耐アルカリ性の容器内に入れられた高アルカリ度溶剤浴を更に有することを特徴とする請求項39記載の装置。
【請求項41】
実質的に耐アルカリ性容器及び高アルカリ度溶剤浴は、約97℃の温度に維持されることを特徴とする請求項40記載の装置。
【請求項42】
実質的に耐アルカリ性容器及び高アルカリ度溶剤浴は、100℃の最高温度以下に維持されることを特徴とする請求項40記載の装置。
【請求項43】
実質的に耐アルカリ性の容器の最大装入容量は、約5キログラムであることを特徴とする請求項39記載の装置。
【請求項44】
実質的に耐アルカリ性の容器に作動的に連結されると共に電子コントローラに電気的に接続された重量センサを更に有し、電子コントローラは、実質的に耐アルカリ性の容器の重量が、所定最大値を超えると、加熱器及び磁気攪拌機を動作不能にするようになっていることを特徴とする請求項43記載の装置。
【請求項45】
耐アルカリ性容器内から延びていて、収納された有機物の化学的減少中に生じたガスを除去できる通気導管と、前記容器内に作動的に連結されていて、冷却剤を前記容器に導入する冷却剤弁とを更に有することを特徴とする請求項39記載の装置。
【請求項46】
加熱器は、電気式であることを特徴とする請求項39記載の装置。
【請求項47】
攪拌手段は、前記容器内に配置されるようになった実質的に耐アルカリ性の磁気攪拌ロッドと、前記容器内に配置された磁気攪拌ロッドをスピンさせることができる回転磁界を前記容器内に生じさせるようになった磁気攪拌機とを更に有すること特徴とする請求項39記載の装置。
【請求項48】
廃棄物を化学的に減少させる装置であって、
実質的に耐アルカリ性の容器と、
容器に作動的に連結された加熱器と、
容器内に形成された流体入口と、
容器内に形成された流体出口と、
容器内に配置された温度センサと、
加熱器、流体入口、流体出口及び温度センサと電気的連絡関係にある電子コントローラと、
容器内に嵌まるよう寸法決めされた実質的に耐アルカリ性のバスケットとを有し、
電子コントローラは、前記容器内に約97℃の最高作業温度を維持するようになっていることを特徴とする装置。
【請求項49】
前記容器は、最高約3000ポンド(1360.77kg)までの廃棄物を収容するようになっていることを特徴とする請求項48記載の装置。
【請求項50】
前記容器は、最高約2000ポンド(907.18kg)までの廃棄物を収容するようになっていることを特徴とする請求項48記載の装置。
【請求項51】
前記容器は、最高約1000ポンド(453.59kg)までの廃棄物を収容するようになっていることを特徴とする請求項48記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【公開番号】特開2011−156531(P2011−156531A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33590(P2011−33590)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2004−570934(P2004−570934)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(502267372)ウェイスト リダクション バイ ウェイスト リダクション インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】