説明

廃棄物供給装置

【課題】装置を小型化しつつ廃棄物を適正に搬送できる廃棄物搬送装置を提供する。
【解決手段】コンベアベルト22を、排出部13の直下に水平に延びる姿勢で配置し、排出部13のうち排出口11bのコンベアベルト搬送方向下流端の下方付近に、廃棄物のコンベアベルト搬送方向下流側への移動を制限する制限部材16を設けるとともに、排出部13のコンベアベルト22の搬送方向上流端に、廃棄物を制限部材16の下端よりもコンベアベルト22に近い位置でコンベアベルト搬送方向下流側に向けてこのコンベアベルト22上に落下させる案内部材18を設け、案内部材18を、コンベアベルト搬送方向と略直交する方向に延びてコンベアベルト搬送方向下流に向かうに従って下方に傾斜する板状部材で構成するとともに、その下端を制限部材16の下端よりもコンベアベルト22に近い位置に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理設備に廃棄物を供給するための廃棄物供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、廃棄物を処理するための焼却炉等の廃棄物供給装置に廃棄物を供給するためのものとして、廃棄物が投入されるホッパーと、当該ホッパーから落下した廃棄物を焼却炉等に搬送するコンベアとを備えたものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ホッパーと、コンベアベルトを含むコンベアとを有し、ホッパーから落下した廃棄物が破砕機で破砕された後、コンベアベルトで下流側の給じん機に搬送される装置が開示されている。この装置では、前記コンベアベルトが破砕機の下方から上方に延びて、上方に向かって廃棄物が搬送される。このように廃棄物がコンベアベルトによって上方に搬送される装置では、コンベアベルト上に過剰な量の廃棄物が落下した場合、その自重によって余分な量の廃棄物が下方に落下するため、搬送される廃棄物の量が適正な量に維持される。しかしながら、このようにコンベアベルトを上方に延びるよう配設した場合には、装置全体が大型化するという問題や廃棄物が落下してコンベアベルト上流側に蓄積された場合には大塊物となり、コンベアの運転に支障をきたすおそれがある。
【0004】
これに対して、図6に示すように、コンベアベルトB22が水平方向に延びるよう構成された装置がある。このような装置は、例えば、特許文献2に開示されている。図6に示す装置では、ホッパーB10の下方にコンベアベルトB22を含むコンベアB20が配置されており、ホッパーB10の底部に形成された排出口B11bからコンベアベルトB22上に廃棄物が落下する。そして、コンベアベルトB22は、この排出口B11bから落下した廃棄物を水平方向に搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−227416号公報
【特許文献2】特開平10−061924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6に示す従来の装置では、ホッパーB10の排出口B11bのコンベアベルト搬送方向の下流端付近のコンベアベルト上方の領域A1において、この排出口B11bの下流端付近から落下してコンベアベルト搬送方向下流側へ進行する廃棄物と、この排出口B11bの下流端よりも上流側においてコンベアベルトB22上に落下してコンベアベルトB22により下流側へ搬送された廃棄物とが合流する結果、この下流端付近A1において廃棄物が詰まり圧密されて、廃棄物の搬送が困難になるとともにコンベアベルトB22にかかる負荷が大きくなるという問題がある。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑み、コンベアベルトにより廃棄物を水平方向に搬送させつつ、廃棄物の搬送を適切に行うことができるとともにコンベアベルトにかかる負荷を小さく抑えることができる廃棄物搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、廃棄物を処理するための廃棄物処理設備に廃棄物を供給する廃棄物供給装置であって、上方から廃棄物が投入されて当該廃棄物を貯留するとともに当該貯留している廃棄物を落下させる排出口が底部に形成されたホッパー本体と、前記ホッパー本体の下方に当該ホッパー本体の排出口と連通する状態で設けられて前記排出口から落下する廃棄物が内側を通過する排出部とを備えたホッパーと、前記排出部と連通した状態で設けられて、当該排出部から落下した廃棄物を前記廃棄物処理設備に搬送するコンベアベルトを備えたコンベアとを備え、前記コンベアベルトは、前記排出部の直下に設けられているとともに、廃棄物を水平方向に搬送するよう水平方向に延びており、前記排出部は、前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向上流端の下方となる位置から、前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向下流端の下方となる位置よりもコンベアベルト搬送方向の下流側の位置まで延びており、前記ホッパーは、前記排出部のうち前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向下流端の下方となる部分付近に設けられて当該排出部内における廃棄物の前記コンベアベルト搬送方向下流側への移動を制限する制限部材と、前記排出部の前記コンベアベルト搬送方向上流端に設けられて当該上流端において廃棄物を前記制限部材の下端よりも前記コンベアベルトに近い位置で前記コンベアベルトの搬送方向下流側に向けてこのコンベアベルト上に落下させる案内部材とを有し、前記案内部材は、前記コンベアベルト搬送方向と略直交する方向に延びるとともに前記コンベアベルト搬送方向下流に向かうに従って下方に傾斜する板状部材であって、当該案内部材の下端は、前記制限部材の下端よりも前記コンベアベルトに近い位置に配置されていることを特徴とする廃棄物供給装置を提供する。
【0009】
この装置によれば、コンベアベルトが水平方向に延びているので装置の小型化が実現されるとともに、前記制限部材と前記案内部材とが排出口下流端の下方付近における廃棄物の圧密を抑制するので廃棄物の適切な搬送およびコンベアベルトにかかる負荷の低減が実現される。
【0010】
具体的には、前記制限部材は、ホッパー本体の排出口の下方に位置する排出部のうち排出口のコンベアベルト搬送方向下流端の下方となる部分付近において、廃棄物のコンベアベルト搬送方向下流側への移動を制限して、排出口の下流端付近からコンベアベルト側に落下してコンベアベルト搬送方向下流側に進もうとする廃棄物の量を少なく抑える。そして、前記案内部材は、排出部のコンベアベルト搬送方向上流端において廃棄物を前記制限部材の下端よりもコンベアベルトに近い位置でコンベアベルトの搬送方向下流側に向けて落下させて、排出口から落下する廃棄物のうちコンベアベルト搬送方向上流側の廃棄物を下流側の廃棄物の下方にもぐりこませる。そのため、排出口からコンベアベルトまでの間の領域において廃棄物の流れはコンベアベルト搬送方向下流側を向くように整流されて、コンベアベルト搬送方向上流側から下流側に向かうに従って廃棄物が順次上方から落下して追加されるのが抑制される。従って、排出口の下流端の下方に過度の廃棄物が集中するのが抑制されて、この排出口下流端で廃棄物が詰まり圧密されるのが抑制される。
【0011】
本発明において、前記制限部材は、水平に、かつ、前記コンベアベルト搬送方向と略直交する方向に延びるとともに、その下側部分の方がその上側部分よりも前記コンベアベルト搬送方向下流側に位置する形状を有し、当該制限部材と接触する廃棄物を下方に向かうに従ってコンベアベルト搬送方向下流側に傾斜する方向に案内するのが好ましい(請求項2)。
【0012】
この構成によれば、ホッパーの排出口のコンベアベルトの搬送方向下流端においても、前記制限部材が、廃棄物の流れをコンベアベルトの搬送方向下流側へ整流する。そのため、排出口からコンベアベルトまでの間の領域において、廃棄物全体の流れがよりコンベアベルトの搬送方向下流側を向くように整流される。このことは、排出口の下流端の下方付近で廃棄物が詰まるのをより確実に抑制する。
【0013】
ここで、前記案内部材の水平面に対する傾斜角度は、前記制限部材が廃棄物を案内する方向の水平面に対する傾斜角度以下に設定されているのが好ましい(請求項3)。
【0014】
この構成によれば、制限部材が、廃棄物の流れをコンベアベルトの搬送方向下流側へ整流しつつ、案内部材が、この制限部材付近から落下する廃棄物よりもよりコンベアベルトの搬送方向下流側に向けて廃棄物をコンベアベルト上に落下させて、上流側の廃棄物を上方から落下した下流側の廃棄物の下方にもぐりこませる。そのため、廃棄物全体の流れがよりコンベアベルトの搬送方向下流側を向くように整流されて、排出口の下流端の下方付近で廃棄物が詰まるのがより確実に抑制される。
【0015】
また、本発明において、前記制限部材は、水平に、かつ、前記コンベアベルトの搬送方向と略直交する方向に延びて上下方向に並ぶ複数の棒状部材を含み、前記各棒状部材は、各棒状部材間に廃棄物が進入可能なように互いに離間し、下側の棒状部材が上側の棒状部材よりも前記コンベアベルトの搬送方向下流側に位置するように配設されているのが好ましい(請求項4)。
【0016】
この構成によれば、各棒状部材が、廃棄物全体の流れがよりコンベアベルトの搬送方向下流側を向くように整流しつつ、それら間に廃棄物を入り込ませることで、これら棒状部材付近すなわちホッパー排出口のコンベアベルト搬送方向下流端の下方付近において、過度の量の廃棄物がコンベアベルト上に落下するのを抑制する。このことは、ホッパー排出口の下流端の下方付近における廃棄物の集中を抑制して、排出口の下流端の下方付近で廃棄物が詰まるのを抑制する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、装置を小型化しつつ廃棄物の適正な搬送およびコンベアベルトにかかる負荷の抑制を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄物供給装置の概略断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1に示す廃棄物供給装置における廃棄物の流れを示す概略断面図である。
【図4】図3の一部を拡大して示す概略断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る廃棄物供給装置を示す概略断面図である。
【図6】従来の廃棄物供給装置を示す概略断面図である。
【図7】図1に示す廃棄物供給装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本発明の実施形態に係る廃棄物供給装置1を示した概略断面図である。
【0021】
この廃棄物供給装置1は、焼却炉等の廃棄物を処理する廃棄物処理設備(不図示)に連結されており、廃棄物処理設備に廃棄物を搬送する。この廃棄物供給装置1は、ホッパー10と、コンベア20とを備える。
【0022】
ホッパー10は、上方から投入された廃棄物を貯留するとともにこの貯留している廃棄物を下方に落下させる。コンベア20は、ホッパー10から落下した廃棄物を廃棄物処理設備側に搬送する。
【0023】
コンベア20は、コンベアケース21と、コンベアケース21内に収納されたコンベアベルト22とを備える。コンベアベルト22は、水平方向に延びており、その上面に載置された廃棄物を水平方向に搬送する。コンベアケース21の上面のうちコンベアベルト22の上方に位置する部分には、開口部21aが形成されている。コンベア20は、ホッパー10の直下に配置されている。コンベア20の開口部21aは、ホッパー10と連通しており、ホッパー10内の廃棄物はこの開口部21aを通ってコンベアベルト22上に落下する。コンベアケース21の底面のうちコンベアベルト22の搬送方向下流端付近には、下方に開口する開口部21bが形成されている。廃棄物処理設備はこの開口部21bと連通しており、コンベアベルト22によって搬送された廃棄物は、この開口部21bを通じて廃棄物処理設備側に排出される。
【0024】
ホッパー10は、ホッパー本体11と、ホッパー本体11の下方に位置する排出部13と、複数の制限棒(制限部材)16と、案内板(案内部材)18とを備える。本実施形態では、ホッパー10は、2本の制限棒16a,16bを有する。
【0025】
ホッパー本体11には、上方から廃棄物が投入される。ホッパー本体11は、投入された廃棄物を内側に貯留する。ホッパー本体11の上端には、投入口11aが開口している。廃棄物は、この投入口11aを通じて上方からホッパー本体11内に投入される。ホッパー本体11の底部には、排出口11bが開口している。ホッパー本体11に投入・貯留された廃棄物は、この排出口11bを介してコンベアベルト22側に落下する。
【0026】
本実施形態では、図1および図2に示すように、ホッパー本体11は、鉛直方向に延びる筒状であって内側の流路面積が下方に向かうほど縮小する略角錐台状を有する。具体的には、ホッパー本体11は、互いに対向するとともに下方に向かうに従ってホッパー本体11の内側に傾斜する下流壁12aおよび上流壁12bと、これら下流壁12aと上流壁12bとの間に延びるとともに下方に向かうに従ってホッパー本体11の内側に傾斜する側壁12c,12dとを有する。下流壁12aは、コンベアベルト22の搬送方向(以下、単に搬送方向という場合がある)下流側に位置しており、上流壁12bは、この搬送方向上流側に位置している。そして、各壁12a,12b,12c,12dの上端で囲まれた部分が投入口11aを構成し、各壁12a,12b,12c,12dの下端部がホッパー本体11の底部を構成し、各壁12a,12b,12c,12dの下端で囲まれた部分が排出口11bを構成する。
【0027】
排出部13は、ホッパー本体11の排出口11bと連通している。また、排出部13は、コンベア20の開口部21aと連通している。排出口11bから落下したホッパー本体11内の廃棄物は、この排出部13の内側を通過して開口部21aからコンベアベルト22上に落下する。
【0028】
排出部13は、図7に示すように、排出口11bの搬送方向上流端の下方となる位置から、排出口11bの搬送方向下流端の下方となる位置よりも搬送方向下流側の位置まで延びている。従って、排出部13の内側には、排出口11bの下方に位置する空間と、この空間から搬送方向下流側に延びる空間とが形成されている。
【0029】
本実施形態では、排出部13は、排出口11bと一致する開口が上面に形成され、かつ、コンベア20の開口部21aと一致する開口が底面に形成された箱状を有する。具体的には、排出部13は、搬送方向上流端に位置して上下方向(垂直方向)に延びる上流壁13bと、搬送方向下流端に位置して上下方向に延びる下流壁13aと、これら上流壁13bと下流壁13aとの間に延びる側壁13c,13dとを有する。排出部13の下流壁13aは、排出口11bの搬送方向下流端よりも搬送方向下流側に位置している。これに伴い、側壁13c、13dは、排出口11bの搬送方向上流端から、排出口11bの搬送方向下流端よりも搬送方向下流の位置まで延びている。そして、排出部13は、側壁13c、13dのうち排出口11bの搬送方向下流端よりも搬送方向下流側の部分の上端間に延びて、排出部13の上面を構成する上壁13eを有する。
【0030】
排出部13の上流壁13bは、ホッパー本体11の上流壁12bと一体に形成されており、ホッパー本体11の上流壁12bの下端から下方に延びている。また、排出部13の側壁13c,13dのうち排出口11bの搬送方向下流端よりも上流側の部分は、それぞれホッパー本体11の側壁12c,12dと連続して、これら側壁12c,12dの下端から下方に延びている。
【0031】
各制限棒16a,16bは、排出部13内に配置されている。すなわち、これら制限棒16a,16bは、上下方向において、排出口11bよりも下方に設けられている。また、これら制限棒16a,16bは、排出部13のうち、排出口11bの搬送方向下流端の下方に位置する部分付近に設けられている。
【0032】
各制限棒16a,16bは、いずれも水平に、かつ、搬送方向と直交する方向に延びる中心軸x1,x2(図4参照)を有する円筒面を有する。本実施形態では、これら制限棒16a,16bは、円柱部材である。
【0033】
これら制限棒16a,16bは、各中心軸x1,x2が下方に向かうに従って搬送方向下流側に傾斜する傾斜面に沿って並ぶように、配設されている。すなわち、一方の制限棒16bが、他方の制限棒16aよりも下方、かつ、搬送方向下流側に位置している。本実施形態では、前記各中心軸x1,x2を通る傾斜面の水平面に対する角度α1であって制限棒16a,16bの並び方向の水平面に対する角度α1、ひいては、これら制限棒16a,16bの接面(図4の破線L1)と水平面との角度α1は45度に設定されている。これら制限棒16a,16bは、互いに離間しており、これら制限棒16a,16bの間を廃棄物が通過可能なようになっている。
【0034】
上側の制限棒16aは、上下方向において、その上端が前記排出部13の上壁13eとほぼ接する位置に設けられている。この上側の制限棒16aは、水平方向において、その搬送方向上流端が排出口11bの搬送方向下流端とほぼ同じ位置となる位置に設けられている。そして、下側の制限棒16bは、上下方向において、その下端が排出部13の下端、詳細には、排出部13の上流壁13bの下端とほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。これら制限棒16a,16bは、図2に示すように、水平かつ搬送方向と直交する方向において、それぞれ、前記排出部13のほぼ全体にわたって延びている。
【0035】
案内板18は、板状部材であり、排出部13の搬送方向上流端に設けられている。本実施形態では、この案内板18は、排出部13とは別体で構成されており、排出部13に取り付けられている。この案内板18は、排出部13の上流壁13bに取り付けられている。
【0036】
この案内板18は、搬送方向と直交する方向に延びるとともに排出部13の上流壁13bのうちその下端よりも上方の部分から搬送方向下流に向かうに従って下方に傾斜している。本実施形態では、この案内板18は、上流壁13bのうち上下方向(垂直方向)の中央部分よりも下側の部分から、前記下側の制限棒16bの下端よりも下方まで延びている。すなわち、案内板18の下端とコンベアベルト上面との距離h1(図4参照)は、制限棒16bの下端とコンベアベルト上面との距離h2(図4参照)よりも小さくなっている。そして、案内板18は、ホッパー本体11の下端よりも下方であって前記コンベアケース21の内側まで延びている。例えば、前記案内板18の下端とコンベアベルト上面との距離h1は、420mmに設定されており、制限棒16bの下端とコンベアベルト上面との距離h2は、500mmに設定されている。
【0037】
また、この案内板18は、搬送方向において、排出部13の上流壁13bから、下流側に向かって、排出部13の下流壁13aよりも上流側に離間した位置まで延びている。本実施形態では、排出口11bの搬送方向中央付近まで延びている。
【0038】
案内板18の傾斜角度α2(図4参照)は、制限棒16a,16bの接面(図4の破線)L1と水平面との角度α1以下に設定されている。本実施形態では、この案内板18の傾斜角度α2前記接面L1の傾斜角度α1の45度よりも小さい30度に設定されている。また、この案内板18の傾斜角度α2は、ホッパー本体11の上流壁12bの傾斜角度α3(図1参照)よりも小さく設定されている。具体的には、この上流壁12bの水平面に対する傾斜角度α3は45度に設定されている。従って、案内板18の傾斜角度α2=30度は、上流壁12bの上側部分の傾斜角度α3=45度よりも小さい。
【0039】
案内板18は、図2に示すように、コンベアベルト22の上方に配置されている。本実施形態では、水平かつ搬送方向と直交する方向において、その下方に位置するコンベアベルト22の幅方向ほぼ全体にわたって延びている。
【0040】
次に、以上のように構成された廃棄物供給装置1における廃棄物の流れについて説明する。
【0041】
ホッパー本体11の投入口11aから廃棄物が投入されると、図3に示すように、廃棄物は、ホッパー本体11の下部に落下する。ホッパー本体11の下部に位置する廃棄物は、排出口11bを通って排出部13内に進行する。さらに、この廃棄物は、排出部13を通り、コンベアケース21の開口部21aを通ってコンベアベルト22上に落下する。
【0042】
コンベアベルト22が駆動されると、コンベアベルト22上の廃棄物には、搬送方向下流側へ向かう力が作用する。このとき、排出口11bの搬送方向下流端の下方付近では、廃棄物は、コンベアベルト22の搬送力を受けて搬送方向下流側に向かって順次進行しようとするが、制限棒16a,16bと衝突することで、その進行は制限される。そして、この下流端の下方付近において、廃棄物は制限棒16a,16bに沿って移動する。すなわち、この下流端において、廃棄物は、図3の矢印Y1に示すように、制限棒16a,16bの並び方向すなわちこれら制限棒16a,16bの接面L1に沿って、下方に向かうに従って搬送方向下流側に進む。
【0043】
また、排出口11bの搬送方向下流端の下方付近において、制限棒16a,16bと衝突した廃棄物の一部は、制限棒16a,16bの間を通って、排出部13のうち制限棒16a,16bよりも搬送方向下流側の空間にリークする。具体的には、廃棄物は、その下流側の圧力が所定以上になると、これら制限棒16a,16bを通って前記空間にリークする。
【0044】
このように、排出口11bの搬送方向下流端の下方付近では搬送方向下流側へ移動する廃棄物の量が少なく抑えられる。そのため、この排出口11bの下流端付近の圧力が過剰に上昇するのが抑制される、すなわち、廃棄物が圧密するのが抑制される。
【0045】
また、排出部13の搬送方向上流端では、廃棄物は、案内板18に沿って移動する。すなわち、この上流端において、廃棄物は、鉛直方向に沿って進まず、下方に向かうに従って搬送方向下流側に進む。ここで、前述のように、案内板18は、下側の制御棒16bの下端よりも下方まで延びている。そのため、案内板18に沿って移動した上流側の廃棄物は、図3の矢印Y2に示すように、制御棒16b側すなわち下流側の廃棄物の下側にもぐりこむようにして搬送方向下流側に進む。特に、本実施形態では、案内板18の傾斜角度が制限棒16a,16bの接面L1の傾斜角度よりも緩やかに設定されている。そのため、上流側の廃棄物の移動方向が下流側の廃棄物の移動方向に比べてよりコンベアベルト22の搬送方向下流側に向かう方向となり、上流側の廃棄物はより容易に下流側の廃棄物の下側にもぐりこむことができる。ここで、制限棒16b付近の廃棄物および案内板18付近の廃棄物の流れに引きずられて、排出部13の搬送方向中央付近においても、廃棄物は、図3の矢印Y3に示すように、下方に向かうに従って搬送方向下流側に進む。
【0046】
このようにして、排出部13において、上流側の廃棄物が下流側の廃棄物の下方にもぐりこむようにして移動して、廃棄物の流れはコンベアベルトの搬送方向下流側を向くように整流される。そのため、排出口11bの搬送方向下流端の下方付近A1(図3および図4参照)において、廃棄物が過剰に集中して圧密するのが抑制され、廃棄物の適正な搬送が実現される。また、コンベアベルト22にかかる負荷が小さく抑えられる。
【0047】
ここで、前記案内板18とホッパー本体11とは一体に形成されてもよい。例えば、図5に示すように、ホッパー本体11の上流壁12bが制限棒16bの下端よりも下方まで延びており、この上流壁12bの下端部が前記案内板18として機能してもよい。
【0048】
また、前記制限棒16aの数は前記に限らない。例えば、図5に示すように、各中心軸x1,x2が下方に向かうに従って搬送方向下流側に傾斜する傾斜面に沿って並ぶよう配設された上側の制限棒16aと下側の制限棒16bとに加えて、上側の制限棒16aの下方に下側の制限棒16bと平行に、制限棒16cを設けてもよい。
【0049】
また、前記制限棒16a,16bは、円柱部材に限らず、三角柱や四角柱といった角柱部材であってもよい。また、制限棒16a,16bとして、C型鋼や、H型鋼や、L型鋼を用いてもよい。
【0050】
また、前記制限棒16a,16bに代えて、板状部材を用いてもよい。この場合には、この板状部材を下方に向かうに従って搬送方向下流側に傾斜する姿勢で配置すれば、廃棄物の搬送方向下流側への移動を制限しつつ廃棄物をより搬送方向下流側に向かわせることができる。
【0051】
また、前記案内板18の傾斜角度は前記に限らない。ただし、実験により、この案内板18の傾斜角度を30度よりも小さくすると廃棄物の下方への移動が過剰に制限されて、廃棄物の搬送効率が悪化することが分かっている。また、この案内板18の傾斜角度を45度よりも大きくすると廃棄物を十分に搬送方向下流側に向けて移動させることが困難となり、排出口11bの搬送方向下流端付近における圧密を十分に抑制できないことが分かっている。そのため、案内板18の水平方向に対する傾斜角度は、30度以上45度未満とするのが好ましい。
【符号の説明】
【0052】
1 廃棄物供給装置
10 ホッパー
11b 排出口
16 制限部材
18 案内板(案内部材)
20 コンベア
22 コンベアベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を処理するための廃棄物処理設備に廃棄物を供給する廃棄物供給装置であって、
上方から廃棄物が投入されて当該廃棄物を貯留するとともに当該貯留している廃棄物を落下させる排出口が底部に形成されたホッパー本体と、前記ホッパー本体の下方に当該ホッパー本体の排出口と連通する状態で設けられて前記排出口から落下する廃棄物が内側を通過する排出部とを備えたホッパーと、
前記排出部と連通した状態で設けられて、当該排出部から落下した廃棄物を前記廃棄物処理設備に搬送するコンベアベルトを備えたコンベアとを備え、
前記コンベアベルトは、前記排出部の直下に設けられているとともに、廃棄物を水平方向に搬送するよう水平方向に延びており、
前記排出部は、前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向上流端の下方となる位置から、前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向下流端の下方となる位置よりもコンベアベルト搬送方向の下流側の位置まで延びており、
前記ホッパーは、前記排出部のうち前記排出口の前記コンベアベルト搬送方向下流端の下方となる部分付近に設けられて当該排出部内における廃棄物の前記コンベアベルト搬送方向下流側への移動を制限する制限部材と、前記排出部の前記コンベアベルト搬送方向上流端に設けられて当該上流端において廃棄物を前記制限部材の下端よりも前記コンベアベルトに近い位置で前記コンベアベルトの搬送方向下流側に向けてこのコンベアベルト上に落下させる案内部材とを有し、
前記案内部材は、前記コンベアベルト搬送方向と略直交する方向に延びるとともに前記コンベアベルト搬送方向下流に向かうに従って下方に傾斜する板状部材であって、当該案内部材の下端は、前記制限部材の下端よりも前記コンベアベルトに近い位置に配置されていることを特徴とする廃棄物供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の廃棄物供給装置において、
前記制限部材は、水平に、かつ、前記コンベアベルト搬送方向と略直交する方向に延びるとともに、その下側部分の方がその上側部分よりも前記コンベアベルト搬送方向下流側に位置する形状を有し、当該制限部材と接触する廃棄物を下方に向かうに従ってコンベアベルト搬送方向下流側に傾斜する方向に案内することを特徴とする廃棄物供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の廃棄物供給装置において、
前記案内部材の水平面に対する傾斜角度は、前記制限部材が廃棄物を案内する方向の水平面に対する傾斜角度以下に設定されていることを特徴とする廃棄物供給装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の廃棄物供給装置において、
前記制限部材は、水平に、かつ、前記コンベアベルトの搬送方向と略直交する方向に延びて上下方向に並ぶ複数の棒状部材を含み、
前記各棒状部材は、各棒状部材間に廃棄物が進入可能なように互いに離間し、下側の棒状部材が上側の棒状部材よりも前記コンベアベルトの搬送方向下流側に位置するように配設されていることを特徴とする廃棄物供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−91534(P2013−91534A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232646(P2011−232646)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000192590)株式会社神鋼環境ソリューション (534)
【Fターム(参考)】