説明

廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法

【課題】容器内雰囲気の初期的昇温・昇圧のための熱負荷及び加圧負荷を軽減するとともに、反応容器を大型化することなく、廃棄物処理量を増大する。
【解決手段】廃棄物処理装置(1)は、有機性廃棄物(W1)を高温・高圧の容器内領域(18)で攪拌して加水分解させる第1容器(10)と、加水分解した廃棄物(W2)を高温・低圧の容器内領域(28)で加熱乾燥させる第2容器(20)と、第1容器内の雰囲気を解放せずに廃棄物(W0)を第1容器の容器内領域に導入する廃棄物供給装置(30)と、第1容器内の雰囲気を解放せずに第1容器内の廃棄物(W1')を第2容器内に移動させる廃棄物移動装置とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法に関するものであり、より詳細には、有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ、食品廃棄物、農業廃棄物、林産廃棄物等の有機性廃棄物を加熱容器内に収容して加熱・攪拌し、水の存在下に進行する水熱反応によって廃棄物を減容し、微細化し又は微粉化する水熱方式の廃棄物処理装置が知られている(特開2003−306825号公報)。
【0003】
このような有機性廃棄物を容器内に収容し、高温・高圧(200〜250℃、30〜50気圧程度)の水蒸気によって廃棄物を数十分間加熱(蒸煮)した後、容器内圧力を瞬間的に開放し、水の断熱膨張のエネルギーによって固体成分を粉砕(爆砕)する水蒸気爆砕(蒸煮爆砕)方式の廃棄物処理装置が知られている(特開2003−47409号公報、特許第3613567号公報)。
【0004】
高温・高圧の反応容器内に原料を導入する装置として、下水汚泥等の処理液を複数のピストンポンプによって超臨界水反応器に供給するように構成した超臨界水反応装置が知られている(特開2000−271468号公報)。また、固形物を含む原料を高温・高圧反応容器に導入する装置として、閉塞防止手段を原料供給部に備えたピストン・シリンダ方式の原料注入装置が知られている(特開2006−7108号公報)。
【特許文献1】特開2003−306825号公報
【特許文献2】特開2003−47409号公報
【特許文献3】特許第3613567号公報
【特許文献4】特開2000−271468号公報
【特許文献5】特開2006−7108号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜3に記載された各種方式の廃棄物処理装置によれば、高温・高圧水蒸気による有機性廃棄物の加水分解、熱分解、乾燥、炭化等の作用(水熱作用)、容器内圧力の急激な減圧による含水廃棄物の爆砕作用(水蒸気爆砕作用)、或いは、水熱作用及び水蒸気爆砕作用の両作用により、固形分を多量に含む任意の廃棄物を無害化し且つ微粉砕し、無害且つ有用な再生原料を得ることができる。かくして得られた再生原料は、有機肥料、発電原料、燃焼装置用燃料等の用途に有効利用される。
【0006】
都市建築物から廃棄される多量の廃棄物の処理が、近年殊に問題視されている。上記水熱作用及び/又は水蒸気爆砕作用を利用した廃棄物処理装置は、比較的小型の装置として設計し得ることから、このような廃棄物処理装置を比較的大規模な都市建築物の各々に設置し、或いは、複合的建築群の共用設備として設置し、各建築物又は建築群において発生した廃棄物を上記廃棄物処理装置によって処理し又は再生することが考えられる。このような廃棄物処理装置が実現した場合、廃棄物の発生源において廃棄物を減容し且つ無害化し得るのみならず、有効利用可能な燃料等の再生原料を廃棄物から得ることができるので、地域・地区の廃棄物処理量を減量することが可能となるであろう。しかも、多くの建築物又は建築群においては、冷暖房設備等の熱源として水蒸気供給設備が設けられることから、このような水蒸気供給源を利用することにより、専用の水蒸気供給設備を格別に設けることなく上記廃棄物処理装置を建築物又は建築群に設置し得ると考えられる。
【0007】
しかしながら、水熱作用や水蒸気爆砕作用を利用した従来の廃棄物処理装置は、処理後の廃棄物を反応容器外に排出した後に、新たに処理すべき廃棄物を反応容器内に装入するように構成されており、反応容器内の高温・高圧水蒸気は、単位処理量の廃棄物処理工程が終了すると、その都度、容器外に排出される。このため、後続する単位処理量の廃棄物処理工程を開始するには、容器内雰囲気及び容器自体の温度及び圧力を初期的に立ち上げるウォームアップ工程が廃棄物処理プロセスの開始時に常に必要とされる。従って、単位処理量のバッチ処理毎に生じる降温・減圧及び昇温・昇圧の過程で多大なエネルギー損失が発生し、かなりの外熱及び動力が装置稼働のために要求される。
【0008】
また、従来の廃棄物処理装置では、新たに処理すべき廃棄物は、前段の廃棄物処理プロセスが完全に完了した後に反応容器内に導入しなければならず、しかも、前述の如く、昇温・昇圧のためのウォームアップ工程がバッチ処理毎に常に必要とされる。このため、廃棄物処理時間を短縮するには限界があり、多量の廃棄物を処理するには、反応容器等の容量を増大して装置を全体的に大型化しなければならない。しかし、廃棄物処理装置を建築物等に設置する場合には、装置の設置スペースに制約又は限界が生じることから、反応容器等の容量を減少させて装置を全体的に小型化することが望まれる。
【0009】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法において、容器内雰囲気の初期的昇温・昇圧のための熱負荷及び加圧負荷を軽減するとともに、反応容器を大型化することなく、廃棄物処理量を増大することができる廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成すべく、固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置において、
有機性廃棄物を導入可能な高温・高圧の容器内領域を備え、前記廃棄物を該容器内領域で攪拌して加水分解させる第1容器と、
該第1容器の容器内領域の圧力よりも低い圧力を有する高温・低圧の容器内領域を備え、前記第1容器内で加水分解した前記廃棄物を高温・低圧の容器内領域で乾燥させる第2容器と、
前記第1容器内の雰囲気を解放せずに前記廃棄物を前記第1容器の容器内領域に導入する廃棄物供給装置と、
前記第1容器内の雰囲気を解放せずに前記第1容器内の前記廃棄物を前記第2容器の容器内領域に移動させる廃棄物移動装置とを有することを特徴とする廃棄物処理装置を提供する。
【0011】
本発明の上記構成によれば、第1容器は、含水率が高い廃棄物、或いは、加水により含水率を調整した廃棄物を高温・高圧の容器内雰囲気において攪拌し、これにより、廃棄物の加水分解反応を生じさせる。廃棄物は、高温の加水分解処理によって無害化される。廃棄物は、加水分解時に少なくとも部分的に微細化又は微粉化し、或いは、第1容器に移動する際に生じる周囲雰囲気の急激な減圧によって水蒸気爆砕して微細化又は微粉化する。微粉化又は微細化した廃棄物は、第2容器内で乾燥・脱臭され、有用な廃棄物再生原料として第2容器から排出される。
【0012】
本発明の廃棄物処理装置は、廃棄物を加水分解し且つ乾燥させ、或いは、加水分解し且つ爆砕・乾燥させる反応容器を第1及び第2容器に分割した構成を有する。本発明の廃棄物処理装置は又、第1容器内の雰囲気を解放せずに(従って、第1容器内の温度及び圧力を実質的に維持した状態で)廃棄物を第1容器に供給する廃棄物供給装置と、第1容器内の雰囲気を解放せずに加水分解後の廃棄物を第1容器から第2容器に移動させる廃棄物移動装置とを備える。従って、本発明の廃棄物処理装置は、加水分解用の反応容器(第1容器)を降温・減圧させることなく、新たな廃棄物を加水分解用反応容器(第1容器)に供給し、乾燥後の再生原料を系外に排出することができる。かくして、本発明によれば、各バッチ処理毎に必要とされていた容器内雰囲気の初期加熱及び初期加圧を省略し、装置系全体のエネルギー効率を向上することができる。また、初期的な加熱・加圧工程の省略により、廃棄物処理時間を短縮し、これにより、廃棄物処理量を増大することができる。
【0013】
本発明は又、固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理方法において、
高温・高圧の容器内領域を有する第1容器に対して、該容器の容器内雰囲気を解放せずに有機性廃棄物を導入する廃棄物導入工程と、
該廃棄物を前記容器内領域で加熱し且つ攪拌して前記廃棄物の加水分解反応を生じさせる加水分解処理工程と、
前記第1容器の容器内雰囲気を解放せずに加水分解後の廃棄物を第2容器内に移動させる廃棄物移動工程と、
高温・低圧の前記第2容器の容器内領域で前記廃棄物を乾燥させる加熱乾燥処理工程と、
加水分解処理及び乾燥処理によって微細化又は微粉化した前記廃棄物を前記第2容器から排出する払出し工程とを有することを特徴とする廃棄物処理方法を提供する。
【0014】
本発明の廃棄物処理方法においては、第1容器の容器内雰囲気を解放せずに有機性廃棄物を第1容器に導入するとともに、第1容器の容器内雰囲気を解放せずに加水分解後の廃棄物を第2容器に移動させる。従って、加水分解用の反応容器(第1容器)を降温・減圧させることなく、新たな廃棄物を加水分解用反応容器(第1容器)に供給し、乾燥後の再生原料を系外に排出し得るので、単位処理量の廃棄物処理過程毎に必要とされていた容器内雰囲気の初期加熱及び初期加圧を省略し、装置系全体のエネルギー効率を向上することができ、しかも、初期的な加熱・加圧工程の省略により、廃棄物処理時間を短縮し、これにより、廃棄物処理量を増大することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法において、容器内雰囲気の初期的昇温・昇圧のための熱負荷及び加圧負荷を軽減するとともに、反応容器を大型化することなく、廃棄物処理量を増大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の好適な実施形態を示す廃棄物処理装置のブロック図である。図1には、廃棄物処理装置の作動工程が段階的に示されている。
【0017】
図1(A)に示す如く、廃棄物処理装置は、上記第1容器を構成する第1反応器と、上記第2容器を構成する第2反応器とを有する。第1反応器は、有機性廃棄物W0が導入される高温・高圧の容器内領域を有する。第1反応器及び第2反応器の容器本体は、内殻(内側ハウジング)及び外殻(外側ハウジング)の間に水蒸気充填領域(スチームジャケット)を形成した二重構造の反応容器からなり、水蒸気充填領域には、第1及び第2容器の容器内領域を加熱するための水蒸気が充填される。水蒸気供給源として、各建築物の水蒸気供給設備、或いは、地域冷暖房用の水蒸気供給設備が使用される。所望により、水蒸気加熱用又は過熱用の加熱装置を水蒸気供給設備に更に設け、或いは、高温・高圧の水蒸気の供給が可能な水蒸気ボイラを付加的に設置し、廃棄物処理装置の水蒸気供給源を確保するようにしても良い。第1反応器の水蒸気充填領域には、150〜240℃(例えば、200℃)の水蒸気が供給される。第2反応器の水蒸気充填領域には、80〜200℃(例えば、160℃)の水蒸気が供給される。水蒸気充填領域に供給された飽和水蒸気又は過熱水蒸気の熱は、内殻を構成する容器壁を介して第1及び第2反応器の容器内領域に伝熱するので、第1反応器の容器内領域は、150〜240℃(例えば、200℃)に加熱され、第2反応器の容器内領域は、80〜200℃(例えば、160℃)に加熱される。
【0018】
第1反応器の容器内領域を加圧するための圧縮空気がコンプレッサ等の圧縮空気供給装置から第1容器内に供給され、第1容器内に高圧雰囲気が形成される。第1反応器の容器内圧力は、5〜30気圧(例えば、20気圧)に設定される。他方、第2反応器の容器内圧力は、第1反応器の容器内圧力よりも低い圧力(例えば、0.7〜2気圧)に設定される。
【0019】
水蒸気の外熱作用と、圧縮空気の加圧作用とによって昇温・昇圧した第1反応器の容器内領域においては、原材料(廃棄物W0)に含まれた水分、或いは、原材料(廃棄物W0)に供給された水分は加熱され、蒸発する。好ましくは、第1反応器の容器内領域の温度及び圧力は、飽和水蒸気が容器内領域に生成するように制御される。
【0020】
廃棄物処理装置は又、第1容器内の雰囲気を解放せずに廃棄物W0を第1反応器内に導入する廃棄物供給装置を備える。廃棄物処理装置は、複数の廃棄物供給機から構成され、各供給機は、切換弁装置を介して第1反応器に接続される。ピストン・シリンダ式押出機等の供給機を切換運転することによって、第1容器内の容器内雰囲気を解放せずに廃棄物W0を第1容器内に導入することができる。
【0021】
第1反応器は、第1容器の容器内領域において廃棄物に加水する給水装置(図示せず)を有する。給水装置は、廃棄物W0が70%以下の含水率を有する場合、破線で示す如く廃棄物W1に加水する。所望により、廃棄物処理装置は、廃棄物W0の含水率調整及び/又は粗粉砕を行う前処理設備を備える。
【0022】
第1反応器の攪拌装置が作動され、廃棄物W1は、高温・高圧(例えば、200℃、20気圧)の容器内で攪拌される。廃棄物W1の加水分解反応が進行し、廃棄物W1は、微細化又は微粉化し、減容する。
【0023】
図1(B)に示す如く、加水分解した廃棄物W1’は、前述の廃棄物移動装置によって第2反応器に移動される。廃棄物移動装置は、第1容器内の雰囲気を解放せずに廃棄物W1’を第2容器の容器内領域に移動させる。第2容器に移動する際、或いは、第2容器内に移動した直後には、廃棄物W1’の周囲雰囲気は、急激に減圧する。所望より、このような減圧作用を利用し、廃棄物W1’を水蒸気爆砕によって微細化又は微粉化するように条件設定しても良い。
【0024】
廃棄物W1’の移動後、新たに処理すべき廃棄物W1が第1反応器に導入され、第1反応器内の廃棄物W1は、前述の加水分解処理を受ける。
【0025】
図1(C)に示す如く、第2反応器内の廃棄物W2は、高温・低圧(例えば、160℃、1気圧)の容器内領域で加熱される。第2反応器は、容器内領域に常温・常圧(大気温・大気圧)の空気を導入する給気設備と、容器内領域の雰囲気を排気する排気設備とを備える。給気設備は、ブロワ等の給気装置を備え、排気設備は、排気ガス中の大気汚染物質、塵埃等を除去する排気処理装置と、排気ガスの臭気成分を除去する脱臭処理装置とを備える。廃棄物W2に含まれる水分は、排気設備を介して系外に排気される。なお、給気設備及び排気設備の稼働により、第2反応器内の温度は、100℃程度に低下する(図1(D))。
【0026】
廃棄物W2は、その含水率が30%以下に低下するまで第2容器において加熱乾燥処理を受けた後、図1(D)に示す如く、第2容器から払い出される。
【0027】
好ましくは、第1反応器に廃棄物W0を供給するための上記廃棄物供給装置は、複数の押出式供給機と、第1容器の容器内領域を各供給機の供給口と選択的に連通させる切換弁とを有し、切換弁は、第1の供給機の供給口を第1反応器の容器内領域に連通させる間、第2の供給機の供給口と第1反応器の容器内領域との連通を遮断し、第2の供給機の供給口を第1反応器の容器内領域に連通させる間、第1の供給機の供給口と第1反応器の容器内領域との連通を遮断する。廃棄物W0は、複数の供給機を切換運転することによって、第1容器内の温度及び圧力を低下させずに第1容器内に導入される。
【0028】
更に好ましくは、反応器W1’を第1反応器から第2反応器に移動させるための上記廃棄物移動装置は、同時開放を禁止した複数の開閉弁からなり、第1容器内の廃棄物は、開閉弁の中間領域に過渡的に留まった後、第2容器内に移動する。所望により、バッファ容器又は加圧容器等の中継容器を開閉弁の間に配設しても良い。
【0029】
図2は、廃棄物処理装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【0030】
図2に示す廃棄物処理装置においては、高温・高圧の飽和水蒸気が第1反応器内に直に供給され、圧縮空気供給装置を含む前述の圧縮空気供給系は、省略される。水蒸気温度は、150〜240℃(例えば、200℃)に設定され、水蒸気圧は、5〜30気圧(例えば、15気圧)に設定される。第1反応器の容器内領域は、高温・高圧の水蒸気によって加圧され且つ加熱される。所望により、高温・高圧水蒸気の一部が、第1反応器の水蒸気充填領域(スチームジャケット)に供給される。図2に示す実施形態の他の構成は、図1に示す実施形態の構成と実質的に同一であるので、図1の実施形態に関する前述の記載を引用し、重複した説明を省略する。
【0031】
図3は、廃棄物処理装置の更に他の実施形態を示すブロック図である。
【0032】
図3に示す廃棄物処理装置においては、第2反応器として、容器内に攪拌装置を備えた構成の乾燥機が使用される。乾燥機は、前述の実施形態の如く水蒸気充填領域(スチームジャケット)を加熱手段として備え、或いは、輻射伝熱式、対流伝熱式、電気加熱式等の任意の方式の加熱手段を備える。図3に示す実施形態の他の構成は、図1に示す実施形態の構成と実質的に同一であるので、図1の実施形態に関する前述の記載を引用し、重複した説明を省略する。
【実施例1】
【0033】
図4及び図5は、本発明の好適な実施例に係る廃棄物処理装置のシステム構成図及び平面図である。
【0034】
図4及び図5には、大規模建築物の廃棄物処理室、或いは、複合的建築群の共用施設に配設された廃棄物処理装置1が示されている。廃棄物処理装置1は、廃棄物W1を加熱・攪拌する高温・高圧の第1反応器10と、反応器10で加熱・攪拌した廃棄物W2を加熱・攪拌する高温・低圧の第2反応器20と、第1反応器10に対して有機性廃棄物W0を供給する廃棄物供給装置30とから構成される。
【0035】
第1反応器10は、内殻(内側ハウジング)11及び外殻(外側ハウジング)12の間に水蒸気充填領域(スチームジャケット)13を形成した二重殻構造の反応容器である。反応器10は、攪拌装置14を備える。攪拌装置14は、内殻11に水平に支承された回転軸15と、回転軸15に径方向に固定された攪拌羽根16と、回転軸15を回転駆動する電動モータ17とを有する。回転軸15は二重構造の容器殻体11、12を貫通して容器外に延びる。電動モータ17の回転駆動軸(出力軸)は、回転軸15に連結される。
【0036】
外殻12には、水蒸気導入口41が配設される。水蒸気給送管42が、水蒸気導入口41に接続される。流量制御弁43が、水蒸気給送管42に介装される。水蒸気給送管42は、加熱装置44を介して水蒸気供給路45に接続される。水蒸気供給路45は、建築物又は建築群の建築設備に水蒸気を供給する水蒸気供給主管(図示せず)又はその分岐管からなり、水蒸気ボイラー等の建築設備用熱源機器において発生した高温・高圧の水蒸気が、水蒸気供給路45を介して加熱装置44に供給される。加熱装置44は、電熱又は燃焼熱によって水蒸気を加熱する加熱器、或いは、高温熱媒体との熱交換により水蒸気を加熱する熱交換器からなる。水蒸気は、加熱装置44によって加熱され、水蒸気充填領域13に流入する。水蒸気が保有する熱は、内殻11を構成する容器壁を介して第1反応器10の反応域18に伝熱する。水蒸気充填領域13に供給すべき水蒸気の流量は、流量制御弁43によって調節される。また、水蒸気充填領域13において生成した凝縮水は、蒸気トラップ装置等の排水設備(図示せず)によって系外に排水される。本例において、水蒸気供給路45の水蒸気温度及び水蒸気圧は、例えば、160℃、8atmに設定され、加熱装置44によって加熱された水蒸気の温度及び圧力(水蒸気給送管42の水蒸気温度及び水蒸気圧)は、例えば、200℃、8atmに設定される。反応域18は、水蒸気充填領域13の過熱水蒸気が保有する熱によって概ね200℃に加熱される。
【0037】
給水管47が、容器殻体11、12を貫通し、給水ポート46が、反応域18に開口する。給水管47には、給水制御弁48が介装される。内殻11の底面には、排水口97が配置される。排水口97には、開閉制御弁99を介装した排水管98が接続される。排水管98は、排水処理装置(図示せず)に接続される。排水設備97〜99は、主として装置のメンテナンス時等に使用される。
【0038】
内殻11には、圧縮空気導入口51が配設される。流量制御弁53を介装した圧縮空気供給管52が、圧縮空気導入口51に接続される。圧縮空気供給管52は、コンプレッサ54に接続される。コンプレッサ54は、吸引管55を介して外気を取込み、約20atmの圧縮空気を圧縮空気供給管52に送出する。圧縮空気の空気圧は、圧縮空気導入口51を介して反応域18に作用し、反応域18は20atmの圧力を維持する。
【0039】
加水分解処理した廃棄物を第1反応器10から第2反応器20に移送するための廃棄物移動装置90が、反応器10、20の間に配設される。廃棄物移動装置90は、垂直シュート91、第1開閉弁92及び第2開閉弁93から構成される。シュート91は、円形断面の金属管又はセラミック管からなる。反応器10の底部には、排出口19が開口し、シュート91の頂部は、排出口19に接続される。シュート91の底部は、第2反応器20の頂壁に接続され、反応器20の頂面に開口する。開閉弁92、93は、所定間隔を隔ててシュート91に配置される。開閉弁92、93は夫々、アクチュエータ(図示せず)によって回転駆動される水平弁軸94と、弁軸94に固定された弁体95と、弁体95の外周縁が着座可能な円形弁座96とから構成される。
【0040】
第2反応器20は、第1反応器10と同じく、内殻(内側ハウジング)21及び外殻(外側ハウジング)22の間に水蒸気充填領域(スチームジャケット)23を形成した二重殻構造の反応容器からなる。反応器20は、攪拌装置24を備え、攪拌装置24は、内殻21に水平に支承された回転軸25と、回転軸25に径方向に固定された攪拌羽根26と、回転軸25を回転駆動する電動モータ27とを有する。回転軸25は二重構造の容器殻体21、22を貫通して容器外に延びる。電動モータ27の回転駆動軸(出力軸)は、回転軸25に連結される。
【0041】
外殻22には、水蒸気導入口61が配設される。水蒸気給送管62が、水蒸気導入口61に接続される。流量制御弁63が、水蒸気給送管62に介装される。水蒸気給送管62は、水蒸気供給路45に接続される。水蒸気供給路45の水蒸気(160℃、8atm)が、水蒸気供給管62及び水蒸気導入口61を介して水蒸気充填領域23に流入する。水蒸気が保有する熱は、内殻23を構成する容器壁を介して反応域28に伝熱し、反応域28の雰囲気は、概ね160℃の温度に加熱される。水蒸気充填領域23において生成した凝縮水は、蒸気トラップ装置等の排水設備(図示せず)を介して系外に排水される。内殻21の底面には、排水口107が配置される。排水口107には、開閉制御弁109を介装した排水管108が接続される。排水管108は、排水処理装置(図示せず)に接続される。排水設備107〜109は、主にメンテナンス時等に使用される。
【0042】
内殻21には、空気導入口71が配設される。流量制御弁73を介装した空気給送管72が、空気導入口71に接続される。空気給送管72は、ブロワ74に接続される。ブロワ74は、吸気管75を介して外気を取込み、空気給送管72に送出する。大気温及び大気圧(常温・常圧)の空気が、空気導入口71から反応域28に導入される。
【0043】
内殻21には更に、排気口81が配設される。開閉制御弁83を介装した排気管82が、排気口81に接続される。排気管82は、排気処理装置84に接続され、排気処理装置84は、排気管85を介して脱臭処理装置86に接続される。脱臭処理装置86は、排気管87を介して建築物の排気口又は排気設備等(図示せず)に接続される。
【0044】
空気導入口71、空気給送管72、流量制御弁73、ブロワ74、吸気管75、排気口81、排気管82、85、87、開閉制御弁83、排気処理装置84及び脱臭処理装置86は、反応域28を外気によって換気する給排気設備を構成する。
【0045】
反応器20の底部には、排出口29が開口する。乾燥後の廃棄物W2を再生原料Rとして第2反応器20から払い出すための排出装置100が、反応器20の底壁に接続される。排出装置100は、垂直シュート101及び開閉弁102から構成される。シュート101は、円形断面の金属管又はセラミック管からなる。シュート101は、底部開口103を有し、底部開口103の直下には、頂部開口形の搬出容器110が配置される。
【0046】
廃棄物供給装置30は、左右一対のピストン・シリンダ式押出機31から構成される。各押出機31は、廃棄物投入用ホッパー32、シリンダ33及び往復動ピストン34を備える。ピストン34は、回転ギア35を貫通し、ピストン34の後端部がガイド38によって軸方向変位可能に支承される。ホッパー32の廃棄物導入用開口39が、シリンダ33の筒体上部に配置される。図4及び図5において右側に図示する押出機31のピストン34は、最前進位置に位置し、開口39は、ピストン34によって閉塞している。他方、図4及び図5において左側に図示する押出機31のピストン34は、最後退位置に位置し、開口39はシリンダ33内に開口している。
【0047】
ピストン34の外螺子部が回転ギア35の内螺子部に螺合し、回転ギア35の回転は、ピストン34の軸線方向運動に変換される。回転ギア35は、図5に示す如く、ギアトレーン36を介して電動モータ37の出力軸(回転駆動軸)に作動的に連結される。回転ギア35は、電動モータ37の駆動トルクによって回転する。
【0048】
シリンダ33の先端面には、切換弁装置120の流入ポート121が開口する。切換弁装置120は、水平弁軸122を中央に配置した左右対称の構造を有する。弁体123が弁軸122に固定される。弁軸122は、アクチュエータ(図示せず)によって回転駆動され、流入ポート121を選択的に密閉する。図4及び図5には、弁体123が、右側の流入ポート121を開放し且つ左側の流入ポート121を密閉した状態が示されている。廃棄物導入管125が切換弁装置120から下方に延びる。導入管125の下端部は、反応器10の容器殻体11、12を貫通し、反応域18の頂面に開口する。
【0049】
廃棄物処理装置1の各機構は、制御装置130によって制御される。制御装置130は、制御信号線(一点鎖線で示す)によって制御弁43、48、53、63、73、83の駆動部、電動モータ17、27、37の駆動部、開閉弁92、93、102のアクチュエータおよび切換弁装置120のアクチュエータに夫々接続され、これらの作動機器の作動を制御する。制御装置130は又、制御信号線(図示せず)を介して加熱装置44、コンプレッサ54及びブロア74の各駆動部又は作動部に接続され、これらの設備機器の作動を制御する。所望により、制御弁99、109の駆動部を制御信号線(図示せず)によって制御装置130に接続し、制御弁99、109を制御装置130の制御下に作動しても良い。
【0050】
反応域18の温度及び圧力を検出する温度検出器131及び圧力検出器132が第1反応容器10に取付けられる。温度検出器131及び圧力検出器132は、制御信号線(一点鎖線で示す)によって制御装置130に接続される。所望により、反応域28の温度及び圧力を検出する温度検出器及び圧力検出器(図示せず)が第2反応容器20に取付けられ、これら検出器も又、制御装置130に接続される。制御装置130は、反応域18、28の温度検出値及び圧力検出値等に基づいて廃棄物処理装置1の各種制御弁、電動機、アクチュエータ及び開閉弁等の作動を制御する。
【0051】
次に、廃棄物処理装置1の作動について説明する。
【0052】
図6は、廃棄物供給装置30の作動形態を示す断面図である。
【0053】
各押出機31は、廃棄物受入工程及び廃棄物押出工程を交互に実行する。図6(A)及び図6(B)に示すように左側の押出機31がピストン34を前進させて廃棄物押出工程を実行する間、右側の押出機31は、ピストン34を後退させ、廃棄物受入工程を実行する。図6(A)に示すように、切換弁装置120は、左側の流入ポート121を開放し、右側の流入ポート121を密閉しており、左側の押出機31は、シリンダ内の廃棄物W0を廃棄物導入管125内に押出し、廃棄物W0は、第1反応器10の反応域18に導入される。新たな廃棄物W0が、図6(B)に示すように、右側の押出機31のホッパー32に投入され、開口39からシリンダ33内に供給される。
【0054】
次いで、切換弁装置120は、図6(C)に示すように弁体123の位置を切換え、右側の流入ポート121を開放し且つ左側の流入ポート121を密閉する。右側の押出機31は、図6(D)に示すようにピストン34を前進させて廃棄物押出工程を実行し、シリンダ内の廃棄物W0は、廃棄物導入管125を介して第1反応器10の反応域18に導入される。他方、左側の押出機31は、ピストン34を後退させ、図4に示すように廃棄物受入工程を実行する。
【0055】
かくして、切換弁装置120の弁体位置を切換制御するとともに、左右の押出機31を交互切換運転することにより、反応域18の高温・高圧雰囲気を解放せずに廃棄物W0を第1反応器10に実質的に連続的に供給することができる。なお、このような切換弁装置120及び廃棄物供給装置30の切換及び作動は、制御装置130によって制御される。
【0056】
前述の如く、第1反応器10の反応域18は、高温・高圧の雰囲気(200℃、20atm)を維持するように制御され、攪拌装置14の回転軸15及び攪拌羽根16は、継続的に回転駆動される。図4に矢印で示すように、反応域18に装入された廃棄物W1は、攪拌羽根16の運動によって攪拌されながら、排出口19に向かってゆっくりと移動し、廃棄物W1の加水分解反応が、反応域18の高温・高圧雰囲気の下で進行する。
【0057】
生ゴミ等の多くの廃棄物W1は、70%程度の含水率を有するので、廃棄物W1に含まれる水分は、反応域18の高温・高圧雰囲気下に亜臨界領域の高温・高圧水として廃棄物W1内の固形分に作用する。廃棄物W1は、約30分程度の攪拌時間で微細化・微粉化し且つ減容するとともに、無害化する。なお、廃棄物W1の含水率が70%未満の場合、給水制御弁48が作動され、給水ポート46は、廃棄物W1に給水する。
【0058】
図7は、微細化・微粉化した廃棄物W1を第2反応器20に移動させる工程を示す断面図である。
【0059】
微細化・微粉化した廃棄物W1は、図4に破線で示すように排出口19からシュート91内に重力落下し、排出口19と開閉弁92との間のシュート内領域に廃棄物W1’として滞留する。制御装置130は、開閉弁92、93のアクチュエータを適切な時期に作動させ、反応域18、28を連通させることなく廃棄物W1’を反応域28に移動させる。即ち、図7(A)に示すように開閉弁93が密閉した状態で開閉弁92は開放し、廃棄物W1’は、開閉弁92、93の間のシュート内領域に重力落下し、開閉弁92、93の間に過渡的に滞留する。次いで、図7(B)に示すように、開閉弁92は密閉し、開閉弁93は開放する。廃棄物W1’は、反応域28に重力落下する。このような開閉弁92、93の段階的開閉制御の間、開閉弁92、93は同時開放せず、従って、開閉弁92、93は、反応域18、28を相互連通させることなく、廃棄物W1’を反応域28に移動させる。
【0060】
第2反応器20の反応域28に移動した廃棄物W1’は、図4に示すように廃棄物W2として反応域28の底部に堆積する。前述の如く、反応域28は、水蒸気充填領域23に供給される水蒸気の熱によって約160℃程度の温度に加熱されるが、外気温の空気が空気導入口71から反応域28に供給されることから、反応域28の温度は、100℃程度に低下する。反応域28の圧力は、大気圧(1atm)であり、反応域18から反応域28に移動する廃棄物W1’の周囲環境は、急激に減圧する。所望により、反応域18から反応域28に移動する廃棄物W1’を水蒸気爆砕作用によって微細化・微粉化するように条件設定することも可能である。
【0061】
図8は、反応器20の作用を示す断面図である。
【0062】
攪拌装置24の回転軸25及び攪拌羽根26は、継続的に回転駆動され、反応域28の廃棄物W2は、反応域28の高温雰囲気によって加熱されるとともに、攪拌羽根26の運動によって攪拌され且つ排出口29に向かってゆっくりと移動する。反応器20の給排気設備71〜75、81〜87は、外気によって反応域28を換気するので、廃棄物W2に含まれる水分の気化が、反応域28の低圧雰囲気及び換気によって促進し、廃棄物W2は乾燥する。
【0063】
排出口29に移動した廃棄物W2は、排出装置100のシュート101内に重力落下する。制御装置130は、開閉弁102のアクチュエータ(図示せず)を適切な時期に作動させて弁軸104を回転させ、弁体105は、弁座106から離座する。開閉弁102は、所定時間、開放し、廃棄物W2は、搬出容器110内に重力落下し、廃棄物再生原料Rとして容器110内に堆積する。かくして容器110内に払い出された再生原料Rは、反応器10、20の加水分解作用及び加熱乾燥作用等により、微細化又は微粉化し、減容し且つ無害化しており、しかも、再生原料の含水率は、30%以下に低下している。このような再生原料Rは、例えば、セメント製造施設等の各種製造施設の熱源用燃料又は発電用燃料、或いは、有機肥料として建築物又は建築群から搬出される。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態及び実施例について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。
【0065】
例えば、廃棄物W1、W2中の水分を反応器10、20の運転中に排水設備97〜99、107〜109から排水し、廃棄物W1、W2の乾燥を促進するように条件設定することも可能である。
【0066】
また、図4〜図8に示す第1反応器10は、図1に示す実施形態に相応する構成を備えたものであるが、図2に示す実施形態の如く、反応器10内に高温・高圧の水蒸気を直に導入し、反応域18を水蒸気の熱及び圧力で直に加熱・加圧するように廃棄物処理装置1を構成しても良い。
【0067】
更に、上記実施例では、攪拌機構を備えた二重壁構造の乾燥装置を第2反応器20として使用したが、輻射伝熱式、対流伝熱式、電気加熱式、低圧加熱乾燥式等の如く、他の方式の加熱手段を備えた乾燥装置を第2反応器20として使用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法に適用される。本発明によれば、建築物又は建築群から排出される生活系生ゴミ、廃プチスチック、バイオマス系廃棄物等の各種廃棄物を無害化し且つ微細化・微粉化し、有機肥料、発電原料、燃料等の用途に有効利用な再生原料として建築物又は建築群から搬出することができる。例えば、このような再生原料は、製造設備を有する民間企業等によって回収され、製造設備稼働用の熱源燃料や、資材製造用の原料として有効に活用される。これは、廃棄物を焼却処理する大規模な廃棄物処理施設への廃棄物輸送の問題を解消するとともに、この種の廃棄物処理施設の負荷を軽減するので、環境負荷軽減の観点からも極めて有益である。
【0069】
また、本発明によれば、異種材料が混合した未分別の廃棄物を一括処理し得るので、廃棄物分別のための作業又は予工程を大幅に簡素化することが可能となる。
【0070】
更に、本発明の廃棄物処理装置及び廃棄物処理方法は、生活系生ゴミ、廃プチスチック、バイオマス系廃棄物のみならず、家畜糞尿系廃棄物(鶏糞、牛糞、豚粉等)、食品加工残渣等の食品産業系廃棄物、廃魚及び魚加工残渣等の水産物系廃棄物、建築廃材(木材等)及び間伐材等の木質系廃棄物等の各種廃棄物を無害化し且つ微粉砕し、再生原料として再生するのに使用することができるので、その実用的価値は、顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の好適な実施形態を示す廃棄物処理装置のブロック図であり、廃棄物処理装置の作動工程が段階的に示されている。
【図2】本発明の他の実施形態に係る廃棄物処理装置の作動工程を段階的に示すブロック図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態に係る廃棄物処理装置の作動工程を段階的に示すブロック図である。
【図4】本発明の好適な実施例に係る廃棄物処理装置のシステム構成図である。
【図5】図1に示す廃棄物処理装置の平面図である。
【図6】図4及び図5に示す廃棄物供給装置の作動形態を段階的に示す断面図である。
【図7】図4及び図5に示す廃棄物処理装置において、微細化・微粉化した廃棄物を第1反応器から第2反応器に移動させる過程を段階的に示す断面図である。
【図8】図4及び図5に示す第2反応器の作動形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 廃棄物処理装置
10 第1反応器(第1容器)
14 攪拌装置
18 反応域(容器内領域)
20 第2反応器(第2容器)
24 攪拌装置
28 反応域(容器内領域)
30 廃棄物供給装置
31 ピストン・シリンダ式押出機
90 廃棄物移動装置
W0、W1、W1’、W2 有機性廃棄物
R 廃棄物再生原料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理装置において、
有機性廃棄物を導入可能な高温・高圧の容器内領域を備え、前記廃棄物を該容器内領域で攪拌して加水分解させる第1容器と、
該第1容器の容器内領域の圧力よりも低い圧力を有する高温・低圧の容器内領域を備え、前記第1容器内で加水分解した前記廃棄物を高温・低圧の容器内領域で乾燥させる第2容器と、
前記第1容器内の雰囲気を解放せずに前記廃棄物を前記第1容器の容器内領域に導入する廃棄物供給装置と、
前記第1容器内の雰囲気を解放せずに前記第1容器内の前記廃棄物を前記第2容器の容器内領域に移動させる廃棄物移動装置とを有することを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記第1容器及び第2容器の容器本体は、内殻及び外殻の間に水蒸気充填領域を形成した二重構造の容器からなり、前記充填領域には、第1及び第2容器の容器内領域を加熱するための水蒸気が充填されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記第1容器の容器内領域を加圧するための圧縮空気を該容器内領域に供給する圧縮空気供給手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記第1容器の容器内領域を加圧し且つ加熱する水蒸気が該容器内領域に導入されることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記廃棄物供給装置は、複数の押出式供給機と、前記第1容器の容器内領域を前記供給機の供給口と選択的に連通させる切換弁とを有し、該切換弁は、第1の供給機の供給口を前記容器内領域に連通させる間、第2の供給機の供給口と前記容器内領域との連通を遮断し、第2の供給機の供給口を前記容器内領域に連通させる間、第1の供給機の供給口と前記容器内領域との連通を遮断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
前記廃棄物移動装置は、直列に配置され且つ同時開放を禁止された複数の開閉弁からなり、前記第1容器内の廃棄物は、前記開閉弁の間の領域に過渡的に留まった後、前記第2容器内に移動することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記第2容器は、容器内領域の前記廃棄物を攪拌する攪拌装置と、該容器内領域に常温・常圧の空気を供給する給気装置と、前記容器内領域の雰囲気を系外に排気する排気装置とを有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の廃棄物処理装置。
【請求項8】
固形物を含む有機性廃棄物を高温・高圧の容器内領域で加水分解して微細化又は微粉化する廃棄物処理方法において、
高温・高圧の容器内領域を有する第1容器に対して、該容器の容器内雰囲気を解放せずに有機性廃棄物を導入する廃棄物導入工程と、
該廃棄物を前記容器内領域で加熱し且つ攪拌して前記廃棄物の加水分解反応を生じさせる加水分解処理工程と、
前記第1容器の容器内雰囲気を解放せずに加水分解後の廃棄物を第2容器内に移動させる廃棄物移動工程と、
高温・低圧の前記第2容器の容器内領域で前記廃棄物を乾燥させる乾燥処理工程と、
加水分解処理及び乾燥処理によって微細化又は微粉化した前記廃棄物を前記第2容器から排出する払出し工程とを有することを特徴とする廃棄物処理方法。
【請求項9】
前記第1容器の容器内領域の圧力は、5気圧〜30気圧の範囲内に設定され、該容器内領域の温度は、150℃〜240℃の範囲内に設定されることを特徴とする請求項8に記載の廃棄物処理方法。
【請求項10】
前記第2容器の容器内領域の圧力は、0.7気圧〜2気圧の範囲内に設定され、該容器内領域の温度は、80℃〜200℃の範囲内に設定されることを特徴とする請求項8又は9に記載の廃棄物処理方法。
【請求項11】
前記廃棄物が70%以下の含水率を有する場合、該廃棄物は、前記第1容器の容器内領域において加水されることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の廃棄物処理方法。
【請求項12】
前記廃棄物は、前記第1容器の容器内領域における加水分解反応によって微細化又は微粉化して減容した後、前記2容器に移動されることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の廃棄物処理方法。
【請求項13】
前記廃棄物は、前記第1容器の容器内領域において加水分解処理を受けた後、前記第2容器に移動する際、或いは、該第2容器内に移動した後、該第2容器の低圧雰囲気によって水蒸気爆砕し、微細化又は微粉化することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の廃棄物処理方法。
【請求項14】
前記廃棄物は、該廃棄物の含水率が30%以下に低下するまで前記第2容器において加熱乾燥処理を受けることを特徴とする請求項8乃至13のいずれか1項に記載の廃棄物処理方法。
【請求項15】
前記廃棄物を第1容器に導入するための廃棄物供給装置を複数の廃棄物供給機によって構成し、該供給機を切換運転することによって、前記第1容器内の温度及び圧力を低下させずに前記廃棄物を前記第1容器内に導入するようにしたことを特徴とする請求項8乃至14のいずれか1項に記載の廃棄物処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−246300(P2008−246300A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88097(P2007−88097)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】