説明

廃棄物処理装置

【課題】処理槽内に生じた結露や処理槽に付着した処理混合物を除去することにより、長時間の使用に耐え、高効率で短時間に廃棄物の分解や減量処理を行うことのできる廃棄物処理装置を提供する。
【解決手段】廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽10と、処理槽により軸支されて処理槽の開口部を開閉する蓋体20と、蓋体の開閉動作に連動して移動することにより処理槽内壁面、又は/及び、蓋体表面に付着した付着物を除去する除去部材(51、52)と、蓋体と除去部材とを連動させるリンク機構43と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ、枯葉、枯草、果汁などの搾りカス、汚泥等の廃棄物を発酵させて分解、堆肥化、減量化させたり、乾燥させて減量化させたりする廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の廃棄物処理装置には種々のタイプのものがあり、その一つに、微生物の発酵・分解作用を利用して生ゴミや汚泥などの廃棄物を処理するものがある。これは、微生物をオガクズ、木質チップ、コーヒーの搾りカスなどの多孔質担体で保持した微生物資材を予め処理槽に投入しておき、これに処理したい廃棄物を投入し、処理槽に組み込まれた攪拌機構により十分に攪拌混合して廃棄物を処理するものである。
微生物には適度の温度と水分と酸素が必要であり、このような条件の整った環境のもとで廃棄物の発酵が進み、例えば有機物系の廃棄物であれば、水と二酸化炭素等に分解されて処理される。処理槽の底部には、生ゴミや汚泥などの投入に伴う水分、及びこれらの分解過程で生じた水分が溜まるので、この水分が腐敗して悪臭が発生するという問題につながることがある。また、微生物資材と廃棄物との混合物である処理混合物が発酵・分解される時には熱が発生し、そのために処理混合物から水蒸気が生じて、処理槽の蓋や内壁の表面が結露する。この結露水が処理槽内に戻ると処理混合物の水分比率が高くなり、処理負荷の増加につながり処理能力の低下を招くという問題が生じることがある。
このような問題を解決するべく、特許文献1には、蓋の内側に結露水の案内片を設けて、開蓋時に結露水を処理槽側部の排水口に案内する構造が記載されている。また、特許文献2には、内蓋に断面が三角形状の波状凸板部を設けて蓋に付着した結露水を落下・回収し易くした構造が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1、2に記載された発明は、いずれも結露水の自然落下を利用するものであり、自然落下しない結露水を除去・回収することができないという欠点がある。さらに、処理混合物の処理が進行するにつれてその全体量が減量する一方、廃棄物投入初期に処理槽内壁に付着した処理混合物の固化が進行し、また、新たな付着物が増加することで、悪臭を発生させるという問題が生じることがある。また、処理槽壁面から剥離して落下した固着物が処理混合物に混入することで、廃棄物処理装置の処理負荷の増加につながるという問題が生じることがある。
本発明は、上記問題を解決するものであり、処理槽内に生じた結露や処理槽に付着した処理混合物を除去することにより、長時間の使用に耐え、高効率で短時間に廃棄物の分解や減量処理を行うことのできる廃棄物処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽と、前記処理槽により軸支されて該処理槽の開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の開閉動作に連動して移動することにより前記処理槽内壁面、又は/及び、前記蓋体表面に付着した付着物を除去する除去部材と、前記蓋体と前記除去部材とを連動させるリンク機構と、を備えた廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項2に記載の発明は、前記リンク機構は、前記蓋体の開閉動作に連動して該蓋体に沿って直線的に進退する第1の進退部材と、該第1の進退部材により一部を回動自在に軸支されると共に前記蓋体の開閉動作により他の部位に設けた第2の進退部材を前記処理槽内壁に沿って進退させる少なくとも一つのリンク部材と、前記蓋体から離間する方向へ前記第2の進退部材を付勢する弾性部材と、を備え、前記除去部材は、前記第1の進退部材、又は/及び、前記第2の進退部材と共に進退するように構成されている請求項1記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記処理槽は、前記廃棄物及び菌床が直接投入される内槽と、前記内槽の外表面から所定距離を隔てて配置された外槽と、該内槽と該外槽との間に形成される廃棄用空間と、を有し、前記除去部材により除去された付着物を該廃棄用空間内に廃棄するように構成した請求項1又は2記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項4に記載の発明は、前記蓋体の閉止時及び開放時に前記第一の進退部材を係止する係止部を前記蓋体に備えた請求項1乃至3の何れか一項記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
【0005】
請求項5に記載の発明は、前記リンク部材の中間部に一端部を回動自在に軸支され、他端部に他の除去部材を備え、且つ前記蓋体の開閉動作に伴って前記他の除去部材を前記内槽内壁面に摺接しつつ移動させる第2のリンク部材を備えた請求項3又は4記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項6に記載の発明は、廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽と、前記処理槽により軸支されて該処理槽の開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の開閉動作に連動して移動することにより前記処理槽内壁面に付着した付着物を除去する除去部材と、を備え、前記除去部材は、前記蓋体から前記処理槽内部に向けて突出し、該蓋体の開閉動作に連動して該処理槽内壁と摺擦して付着した付着物を除去するように構成されている廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項7に記載の発明は、前記付着物が前記廃棄物を発酵処理する際に生ずる結露水であり、前記結露水を加熱乾燥させるヒータを前記処理槽下部に備えた請求項1乃至5の何れか一項記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
請求項8に記載の発明は、前記付着物が前記廃棄物と前記菌床とが混合された処理混合物である請求項1乃至6の何れか一項記載の廃棄物処理装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、蓋体表面や処理槽内壁面に付着した結露水、あるいは処理混合物を蓋の開閉時に除去・回収することができるので、結露水に腐敗が生じて発生する悪臭を解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示し、(c)は蓋体の全開状態を示す図である。
【図2】図1(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。
【図3】蓋体、除去部材及び受け樋との関係を模式的に示した側断面図である。
【図4】図2のX−X断面図及び側面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示し、(c)は蓋体の全開状態を示す図である。
【図5】第二の実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示す図である。
【図6】図5(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。
【図7】図5の他の例に係る廃棄物処理装置の正面断面図である。
【図8】第三の実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の全開状態を示す図である。
【図9】図8(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明の第一の実施形態について図1乃至図3に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示し、(c)は蓋体の全開状態を示す図である。図2は、図1(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。図3は、蓋体、除去部材及び受け樋との関係を模式的に示した側断面図である。本実施形態に係る廃棄物処理装置は、蓋体表面に付着した結露水と、処理槽内壁面に付着した結露水及び処理混合物等の付着物を除去する除去部材が蓋体の開閉に連動して蓋の表面に沿って移動する点に特徴がある。
廃棄物処理装置1は、廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽10と、処理槽10により軸支されて処理槽10の開口部11を開閉する蓋体20と、蓋体20の開閉動作に連動して移動することにより処理槽10の内壁面、又は/及び、蓋体20の表面に付着した結露水や処理混合物を除去する除去部材50と、蓋体20と除去部材50とを連動させるリンク機構40と、を備える。
処理槽10は、廃棄物と菌床が直接投入される内槽12と、内槽12の外表面から所定距離を隔てて配置された外槽13と、からなる二重構造であり、内槽12と外槽13とが対向する空間は除去部材にて回収した結露水を処理する廃棄用空間14となっている。内槽12と外槽13は、共に上方に開口を有し、この開口から廃棄物と菌床が投入される。
処理槽10内には、投入された廃棄物と菌床とを混合して処理混合物とする攪拌部材15(攪拌羽根)と、攪拌部材15を回動自在に軸支する攪拌軸16とが配置され、攪拌軸16は処理槽10外部に配置された不図示のモータから回転動力を得る。菌床は、オガクズ、木質チップなどの多孔質担体に微生物を保持したものである。廃棄物と菌床とを攪拌部材15により攪拌混合して処理槽10内を微生物の活動に適した環境に保持することにより、微生物の働きを利用して廃棄物を発酵処理することができる。
【0009】
内槽12の内壁の高さは、処理混合物の攪拌混合が行われているときに処理混合物が溢れることなく、かつ必要以上に内槽12の壁面が露出しない高さとなっている。一方、外槽13の内壁は、内槽12の内壁より高い位置にあって、蓋体20を保持している。従って、内槽12に付着する結露水の量を少なくすることができる。つまり、処理混合物内に流下する結露水の量を少なくすることができ、処理混合物の水分比率を適切な状態に保持することができる。また、外槽13の内壁に付着した結露水がある一定の量を超えた場合には、直接廃棄用空間14に自然落下するので、蓋を開閉しなくとも結露水が除去・回収される。
内槽12の下方外面には、廃棄用空間14に廃棄された結露水を乾燥させるヒータ17が配置されている。また、外槽13の最下方には、廃棄用空間14に集められた結露水や処理槽10から飛散した処理混合物を廃棄物処理装置1外へ排出するドレイン18が配置されている。ドレイン18は、必要に応じて使用される。
【0010】
蓋体20は、回動軸21により回動自在に軸支されて、処理槽10の開口部11を開閉する。蓋体20の回動軸21の軸方向両端部側には、開閉動作に連動してリンク機構40を移動させるための案内部22を有する。案内部22は、リンク機構40を移動させることができればよく、例えば溝状、孔状又は棒状等とすることができる。案内部22は、蓋体20の回動軸21側から自由端側へと直線的に形成され、蓋体20が閉止状態から開放状態となる時に除去部材51を自由端側から回動軸21側へと移動させる。
リンク機構40は、案内部22に案内されることにより蓋体20の開閉動作に連動して蓋体20に沿って直線的に進退移動する第1の進退部材41と、第1の進退部材41により一部を回動自在に軸支されると共に、蓋体20の開閉動作により他の部位に設けた第2の進退部材42を内槽12と外槽13の対向する壁面に沿って進退させる第1のリンク部材43と、第1のリンク部材43の他の部位を蓋体20から離間させる方向へ弾性付勢するコイルバネ44(弾性部材)と、を備えている。なお、本実施形態におけるコイルバネ44は引っ張りコイルバネである。また、リンク機構40は、回動軸21の軸方向両端部に配置されている。
第1のリンク部材43は、蓋体20の回動軸側に位置する第1のリンク部材43aと、蓋体20の自由端側に位置する第1のリンク部材43bとを有し、共に一端部を第1の進退部材41にて回動自在に接続されている。第1のリンク部材43aと第1のリンク部材43bは、夫々内槽12と外槽13との対向面内に配置された夫々コイルバネ44a、44bによって図中下方向に付勢されている。言い換えれば、第1のリンク部材43aはコイルバネ44aによって蓋体20を開放する方向に付勢され、第1のリンク部材43bはコイルバネ44bによって蓋体20を閉止する方向に付勢されている。
【0011】
除去部材50は、蓋体20表面の結露水を除去する除去部材51と、処理槽10の内壁面に付着した結露水や処理槽から飛散した処理混合物等を除去する除去部材52とを有する。いずれの除去部材50も、回動軸21と略平行に配置され、リンク機構40により蓋体20の開閉に連動して移動する。除去部材51は蓋体20の表面に沿って直線的に進退移動し、除去部材52は処理槽10の内壁面に沿って進退移動する。除去部材50は、結露水に接触して結露水を滴下させることができればよく、蓋体20表面又は処理槽10の内壁面に摺接又は近接した状態にて移動する。
除去部材51の下方には、除去部材51と接触して蓋体20表面から滴下した結露水を受け止める半円筒状の受け樋53が配置されている。受け樋53は、除去部材51の周囲を覆うように構成され、蓋体20の開閉動作に伴って除去部材51とともに移動し、蓋体20表面から滴下した結露水が処理槽10内に滴下しないように保持する。受け樋53内に集められた結露水は、不図示のパイプ等を用いて廃棄用空間14に案内される。廃棄用空間14に集められた結露水は、ヒータ17の熱あるいは菌床又は処理混合物内に存在する微生物が発生させる発酵熱又は分解熱によって乾燥される。
図示する除去部材51は、ローラ状であるが、結露水と接触して滴下させることができればよく、ブレード状、ブラシ状としてもよい。
【0012】
ここで、第1の進退部材41と蓋体20との関係を図4に基づいて説明する。図4は、図2のX−X断面図及び側面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示し、(c)は蓋体の全開状態を示す図である。
案内部22の自由端側と回動軸21側には、それぞれ第1の進退部材41の移動を阻止する係止部23(23a、23b)が形成されている。係止部23は、第1の進退部材41を処理槽10側に移動させるように案内部22に対して階段状に形成されている。上述のように、第1の進退部材41は第1のリンク部材43を介してコイルバネ44にて処理槽10側に付勢されているため、第1の進退部材41が案内部22の案内方向各端部を超えて移動したとき、つまり蓋体20が全閉状態及び全開状態となったときに、第1の進退部材41は処理槽10側に移動して係止される。
第1の進退部材41が案内部22の自由端側を超えたとき、つまり、蓋体20が全閉状態となったときに、第1の進退部材41は係止部23bに掛止され、蓋体20の開放が阻止される。蓋体20を開放するときには、廃棄物処理装置1の外部に備えられた不図示の解除機構にて第1の進退部材41をコイルバネ44bの付勢力と反対の方向に移動させつつ蓋体20を開けば、容易に係止状態が解除される。
一方、第1の進退部材41が案内部22の回動軸21側を超えたとき、つまり、蓋体20が全開状態となったときに、第1の進退部材41は係止部23aに掛止され、蓋体20の閉止方向への移動が阻止される。蓋体20を閉止するときには、除去部材51又は受け樋53をコイルバネ44aの付勢力に反する方向へ移動させつつ蓋体20を閉じ始めれば、容易に係止状態を解除できる。
【0013】
蓋体20の開閉動作と除去部材51、52の移動について説明する。図1中、矢印A乃至Dは夫々蓋体20、除去部材51、52a、52bの移動方向を示している。
図1(a)に示す蓋体20の閉止状態のとき、回動軸21側のコイルバネ44aは延びた状態であり、自由端側のコイルバネ44bは縮んだ状態である。コイルバネ44は、第1のリンク部材43の除去部材52側を処理槽10底部側に付勢している。閉止状態では、除去部材51は蓋体20の自由端側に位置し、除去部材52aは処理槽10の上方に位置し、除去部材52bは処理槽10の下方に位置している。
蓋体20を閉止状態から矢印A1方向に移動させて少しずつ開放すると、(b)に示す半開状態となる。
除去部材51は、案内部22により案内されて蓋体20の自由端側から回動軸21側(矢印B1方向)へ、蓋体20表面に付着した結露水に接触しつつ移動する。蓋体20に付着した結露水は、除去部材51と接触することで受け樋53に滴下し、蓋体20から除去、回収される。
このとき、第2の進退部材42は内槽12と外槽13の対向する壁面に沿って移動する。除去部材52aは第2の進退部材42aとともに処理槽10の開口側から底部側(矢印C1方向)に移動し、除去部材52bは第2の進退部材42bとともに処理槽10の底部側から開口側(矢印D1方向)に移動し、結露水又は処理混合物等を除去する。
蓋体20を更に開放すると、(c)に示す全開状態となり、回動軸21側のコイルバネ44aは縮み、自由端側のコイルバネ44bは延びた状態となる。
【0014】
以上のように、本実施形態によれば、蓋体の開閉に伴って移動する除去部材によって、蓋体又は処理槽内に付着した結露水を除去・回収することができるので、結露水が処理槽内に戻ることがなく、処理混合物の水分比率を適切な状態に保持でき、処理負荷及び処理能力を維持することができ、効率的な廃棄物処理を可能にする効果がある。
また、蓋体の開閉を阻止する係止部を備えたので、蓋体が自然に開放することがなく、また廃棄物の投入時に蓋体を手で押さえる必要がない。また、係止部を案内部と兼用する構成としたので、廃棄物処理装置の簡素化を図ることができる。
また、廃棄用空間に収集された結露水を乾燥させるヒータを備えたので、結露水が腐敗して悪臭を発する前に、結露水を乾燥処理することができる。
【0015】
〔第二の実施形態〕
本発明の第二の実施形態について、図5乃至図7に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の半開状態を示す図である。図6は、図5(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。図7は、図5の他の例に係る廃棄物処理装置の正面断面図である。本実施形態に係る廃棄物処理装置は、蓋体から処理槽内部に向けて突出し、蓋体の開閉動作に連動して処理槽内壁に付着した付着物を除去する除去部材を備えた点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
廃棄物処理装置2は、回動軸21の軸方向両端部に蓋体20から処理槽10内部に向けて突出した除去部材61を備えている。蓋体20の開閉動作に連動して、外槽13の内壁に沿って移動して付着した結露水を除去することができる。結露水は除去部材61と接触すると廃棄用空間14に流下するので、除去部材61は外槽13の内壁に必ずしも摺接移動する必要はなく、少なくとも結露水と接触する位置にて外槽13の内壁に沿って移動するように構成する。除去部材61は、パイプ状の部材を湾曲加工して作製することにより、強度の向上と軽量化を図ることかできる。
本実施形態によれば、処理槽の内壁に付着した結露水が腐敗する前に除去・回収することができるので、結露水の腐敗により生ずる悪臭を解消できる。
【0016】
また、図7に示すように、本実施形態の他の例に係る廃棄物処理装置3は、廃棄物処理装置2の除去部材61と同様の除去部材62を内槽12の内壁に沿って摺接移動させるようにした点が特徴的である。除去部材62は、内槽12に付着した廃棄物を含む処理混合物を除去する。
上述の通り、廃棄物の処理が進むにつれて、内槽12の内壁に付着して固化した処理混合物の発酵処理が適切に行われず、腐敗して悪臭を発生させることがある。また、処理槽壁面から剥離した固着物が処理混合物に混入することで、廃棄物処理装置の処理負荷の増加につながるという問題が生じることがある。
本実施形態によれば、内槽内壁に付着した廃棄物を含む処理混合物を除去することができるので、悪臭の発生や落下した固着物による処理負荷の増大という問題を解消できる。
【0017】
〔第三の実施形態〕
本発明の第三の実施形態について図8、図9に基づいて説明する。図8は、本実施形態に係る廃棄物処理装置を模式的に示した側断面図であり、(a)は蓋体の全閉状態を示し、(b)は蓋体の全開状態を示す図である。図9は、図8(b)に示す廃棄物処理装置の正面断面図である。本実施形態に係る廃棄物処理装置は、第一の実施形態に係る廃棄物処理装置に、更に内槽内壁面に付着した固着物を除去する除去部材を備えた点に特徴がある。以下、第一の実施形態と同一の構成には同一の符号を付してその説明を省略する。
廃棄物処理装置4は、第1のリンク部材43の中間部に一端部71(71a、71b)を回動自在に軸支され、他端部に内槽12に付着した処理混合物(付着物)を除去する除去部材72(72a、72b)を備え、且つ蓋体20の開閉動作に伴って除去部材72を内槽12内壁面に沿って進退移動させる第2のリンク部材70(70a、70b)を備える。第2のリンク部材70は、回動軸21の軸方向両端部側に配置されている。
一端部71には、除去部材72を内槽12に圧接する方向に弾性付勢するトーションばね(不図示)を備えている。除去部材72は、処理混合物を除去できれば、ローラ状、ブレード状等の形状とすることができる。
【0018】
除去部材72の処理混合物除去動作について、図8に基づいて説明する。
第一の実施形態において説明したように、蓋体20を閉止状態から矢印A1方向に移動させて開放すると、第1のリンク部材43の両端部にある第1の進退部材41と除去部材52が移動する。
(a)に示すように、回動軸21側に位置する第1のリンク部材43aの移動に伴って、除去部材72aは、内槽12の表面に沿って矢印E1方向、すなわち内槽12の開口側から底部側へと移動して、内槽12に付着した処理混合物を除去する。
また、自由端側に位置する第1のリンク部材43bの移動に伴って、除去部材72aは、内槽12の表面に沿って矢印F1方向、すなわち内槽12の底部側から開口側へと移動して、内槽12に付着した処理混合物を除去する。
以上のように、本実施形態によれば、蓋体の開閉に伴い内槽内壁に沿って移動する除去部材を備えたので、処理槽内に付着した廃棄物を含む処理混合物を除去することができる。従って、処理槽に付着した処理混合物が原因で発生する悪臭を防止することができる。また、処理槽壁面にて固着した処理混合物が処理槽内に落下することにより装置の処理負荷の増大を防止することができる。
【符号の説明】
【0019】
1、2、3、4…廃棄物処理装置、10…処理槽、11…開口部、12…内槽、13…外槽、14…廃棄用空間、15…攪拌部材、16…攪拌軸、17…ヒータ、18…ドレイン、20…蓋体、21…回動軸、22…案内部、23、23a、23b…係止部、40…リンク機構、41…第1の進退部材、42、42a、42b…第2の進退部材、43、43a、43b…第1のリンク部材、44、44a、44b…コイルバネ、50、51、52、52a、52b…除去部材、53…受け樋、61、62…除去部材、70、70a、70b…第2のリンク部材、71、71a、71b…一端部、72、72a、72b…除去部材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開平10−076242号公報
【特許文献2】特開平10−235329号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽と、前記処理槽により軸支されて該処理槽の開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の開閉動作に連動して移動することにより前記処理槽内壁面、又は/及び、前記蓋体表面に付着した付着物を除去する除去部材と、前記蓋体と前記除去部材とを連動させるリンク機構と、を備えたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記リンク機構は、前記蓋体の開閉動作に連動して該蓋体に沿って直線的に進退する第1の進退部材と、該第1の進退部材により一部を回動自在に軸支されると共に前記蓋体の開閉動作により他の部位に設けた第2の進退部材を前記処理槽内壁に沿って進退させる少なくとも一つのリンク部材と、前記蓋体から離間する方向へ前記第2の進退部材を付勢する弾性部材と、を備え、
前記除去部材は、前記第1の進退部材、又は/及び、前記第2の進退部材と共に進退するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記処理槽は、前記廃棄物及び菌床が直接投入される内槽と、前記内槽の外表面から所定距離を隔てて配置された外槽と、該内槽と該外槽との間に形成される廃棄用空間と、を有し、
前記除去部材により除去された付着物を該廃棄用空間内に廃棄するように構成したことを特徴とする請求項1又は2記載の廃棄物処理装置。
【請求項4】
前記蓋体の閉止時及び開放時に前記第一の進退部材を係止する係止部を前記蓋体に備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項記載の廃棄物処理装置。
【請求項5】
前記リンク部材の中間部に一端部を回動自在に軸支され、他端部に他の除去部材を備え、且つ前記蓋体の開閉動作に伴って前記他の除去部材を前記内槽内壁面に摺接しつつ移動させる第2のリンク部材を備えたことを特徴とする請求項3又は4記載の廃棄物処理装置。
【請求項6】
廃棄物を菌床と混合して発酵処理する処理槽と、前記処理槽により軸支されて該処理槽の開口部を開閉する蓋体と、前記蓋体の開閉動作に連動して移動することにより前記処理槽内壁面に付着した付着物を除去する除去部材と、を備え、
前記除去部材は、前記蓋体から前記処理槽内部に向けて突出し、該蓋体の開閉動作に連動して該処理槽内壁と摺擦して付着した付着物を除去するように構成されていることを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項7】
前記付着物が前記廃棄物を発酵処理する際に生ずる結露水であり、前記結露水を加熱乾燥させるヒータを前記処理槽下部に備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の廃棄物処理装置。
【請求項8】
前記付着物が前記廃棄物と前記菌床とが混合された処理混合物であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項記載の廃棄物処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121014(P2011−121014A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281869(P2009−281869)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】