説明

廃棄物減容方法

【課題】 比較的比重が小さく嵩張る廃棄物について、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利な廃棄物減容方法を提供する。
【解決手段】 逆止弁1を具備した脱気口2を有する減圧収納袋3内に内容物4を内封した後、脱気口2から減圧ポンプ吸引口5により減圧収納袋3に残存する気体を脱気する廃棄物減容方法において、脱気口2と減圧ポンプ吸引口5との間に、一端6が脱気口2と連結可能に形成されるとともに他端7に異なる内径を有する減圧ポンプ吸引口5と適合し得る複数の内径部8を有し、且つ、この内径部8が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部9を有するジョイント管10を介在せしめるので、特に、比重が小さく嵩張る廃棄物についての減容において、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物減容方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃プラスチックス類等の、比較的比重が小さく嵩張る廃棄物については、運搬の利便性等の観点から、その処理に先だって減容することが望ましく、例えば、油圧圧縮減容方式で減容した後、その内容物4をバンド19でバンド締め梱包(図7参照)して運搬し得る。
【0003】
一方、かかる油圧圧縮減容方式の減容装置は大掛かりな設備を要するものが大半で価格的にも高額であるのみならず作業性が良好とはいえず、一般的にはフレキシブルコンテナ[フレコン]20により減容しないまま運搬される場合(図8参照)が多いのも現状である。
【0004】
他方、特開2002−370712号公報(特許文献1)には、リベット、釘等の使用済保持体を圧縮袋に収納し、その圧縮袋内の空気を吸引して減圧し、全体の容積を圧縮縮小した後、開口を密封し、減容して処理する減容方法が開示されている。かかる減容方法は、必ずしも大掛かりな設備を要しない点で上記した油圧式の減容装置による減容方法よりも有利な側面を有するが、より汎用的な廃棄物処理の局面を想定した場合、さらなる改良の余地を残すものであった。
【特許文献1】特開2002−370712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたものであり、その課題は、特に、比重が小さく嵩張る廃棄物について、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利な廃棄物減容方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の廃棄物減容方法にあっては、逆止弁を具備した脱気口を有する減圧収納袋内に内容物を内封した後、前記脱気口から減圧ポンプ吸引口により前記減圧収納袋に残存する気体を脱気する廃棄物減容方法において、前記脱気口と前記減圧ポンプ吸引口との間に、一端が前記脱気口と連結可能に形成されるとともに他端に異なる内径を有する前記減圧ポンプ吸引口と適合し得る複数の内径部を有し、且つ、前記複数の内径部が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部を有するジョイント管を介在せしめることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明の廃棄物減容方法にあっては、請求項1記載の廃棄物減容方法において、前記脱気口と前記ジョイント管の連結部を、前記ジョイント管外周面から前記脱気口近傍の前記減圧収納袋外表面にわたる粘着シートで封止することを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に係る発明の廃棄物減容方法にあっては、請求項1または請求項2記載の廃棄物減容方法において、前記内容物がフィルム状合成樹脂片を含んでなる内容物であって、前記フィルム状合成樹脂片に複数の貫通孔を形成した後に前記減圧収納袋内に内封することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に係る発明の廃棄物減容方法にあっては、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の廃棄物減容方法において、前記内容物が合成樹脂片を含んでなる内容物であって、前記減圧収納袋が前記合成樹脂片を構成する成分と同一のまたは共通する成分を含んで構成されることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の廃棄物減容方法では、逆止弁を具備した脱気口を有する減圧収納袋内に内容物を内封した後、前記脱気口から減圧ポンプ吸引口により前記減圧収納袋に残存する気体を脱気する廃棄物減容方法において、前記脱気口と前記減圧ポンプ吸引口との間に、一端が前記脱気口と連結可能に形成されるとともに他端に異なる内径を有する前記減圧ポンプ吸引口と適合し得る複数の内径部を有し、且つ、前記複数の内径部が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部を有するジョイント管を介在せしめるので、特に、比重が小さく嵩張る廃棄物についての減容において、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、本発明の廃棄物減容方法は、下記の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において使用可能な減圧収納袋を模式的に示す斜視図である。図2は、本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋に入れた状態を模式的に示す斜視図である。また、図3は、本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋に入れた後、密閉状態とした様子を模式的に示す斜視図である。さらに、図4は、本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋内に密閉状態とした後、脱気口から残存する気体(空気)を脱気した後の様子を示すもので、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。一方、図5は、本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法を具体的に示すもので、(a)は、内容物(PPバンド)を減圧収納袋内に密閉状態とした後、脱気口から残存する気体(空気)を脱気する際の様子を模式的に示す図、(b)は、ジョイント管及び粘着シートの配置関係を模式的に示す斜視図である。
【0013】
すなわち、本実施形態の廃棄物減容方法は、逆止弁1を具備した脱気口2を有する減圧収納袋3(図1参照)内に内容物4であるPPバンド[比較的空気の抜けの良いもの]4aを内封した後(図2、図3参照)、脱気口2から減圧ポンプ吸引口5により減圧収納袋3に残存する気体(ここでは、空気)を脱気する廃棄物減容方法(図4(a)、4(b)参照)である。
【0014】
また、本実施形態の廃棄物減容方法では、脱気口2と減圧ポンプ吸引口5との間に、その一端6が脱気口2と連結可能に形成されるとともに他端7に異なる内径を有する前記減圧ポンプ吸引口5(図5(a)では、減圧ポンプ吸引口5a、5b、5c)と適合し得る複数の内径部8(図5(a)では、内径部8a、8b、8c)を有し、且つ、前記複数の内径部8(ここでは、内径部8a、8b、8c)が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部9を有するジョイント管10を介在せしめるものである。(図5参照)その結果、特に、比重が小さく嵩張る廃棄物についての減容において、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利となる。
【0015】
さらに、本実施形態の廃棄物減容方法では、脱気口2と前記ジョイント管10の連結部11を、ジョイント管10の外周面12から脱気口2の近傍の減圧収納袋3の外表面13にわたる粘着シート14で封止することを特徴とするものである。その結果、脱気口2と前記ジョイント管10の連結部11の気密性が高まり、より高効率で脱気と減容を実現し得ることとなる。
【0016】
具体的操作手順を例示すると以下のようになる。
(1)内容物4(PPバンド4a)を減圧収納袋3に入れる。(図1、図2参照)
(2)チャック15を閉め、密閉状態にする。(図3参照)
(3)逆止弁1を具備した脱気口2から減圧ポンプ吸引口5により減圧収納袋3に残存する気体(空気)を脱気する。(図4、図5参照)
この結果、内容物4の体積が、減容操作前の1/5〜1/10に減容でき、効率的な運送が可能となる。具体的には、運送コストが、減容操作前の1/3〜1/10に低減し得ることとなる。
【0017】
[第2の実施形態]
図6は、本発明の第2の実施形態を具体的に示すもので、フィルム状合成樹脂片を含んでなる内容物についての廃棄物減容方法を模式的に示す図である。すなわち本実施形態の廃棄物減容方法は、上記第1の実施の形態と略同様であるが、内容物4がフィルム状合成樹脂片16を含んでなる内容物4bであって、このフィルム状合成樹脂片16に複数の貫通孔17を形成した後に減圧収納袋3内に内封することを特徴とするものである。すなわち、このフィルム状合成樹脂片16(ここでは、シュリンクフィルム[ポリエチレン製]
16a)が、上記第1の実施形態における内容物4であるPPバンド4aのような比較的空気の抜けの良いものと異なり、シュリンクフィルム16aに代表される空気の抜けの悪いものであっても、パンチにて複数の貫通孔17を形成することにより、空気抜けを良くすることができ、その結果として迅速で高効率の脱気と減容を実現し得ることとなる。
【0018】
また、本実施形態の廃棄物減容方法は、内容物4が合成樹脂片18(ここでは、ポリエチレン片18a、すなわち、上記シュリンクフィルム[ポリエチレン製]16a)を含んでなる内容物4bであって、減圧収納袋3が前記合成樹脂片18であるポリエチレン片18a(すなわち、上記シュリンクフィルム[ポリエチレン製]16a)を構成する成分と同一のまたは共通する成分を含んで構成されることを特徴とするものである。
【0019】
具体的には、本実施形態における減圧収納袋3をポリエチレン製減圧収納袋3aとした。この結果、減容後の合成樹脂片18であるポリエチレン片18a(すなわち、上記シュリンクフィルム[ポリエチレン製]16a)を含んでなる内容物4bをポリエチレン製減圧収納袋3aとともに、減容後のリサイクル処理において、ポリエチレンのリサイクル処理として、一括処理可能となり効率的な処理に寄与し得ることとなる。
【0020】
このように、本実施形態においては、減圧収納袋3が前記合成樹脂片18であるポリエチレン片18aを構成する成分であるポリエチレンと同一の成分(ポリエチレン)を含んで構成されるポリエチレン製減圧収納袋3aを用いたが、本発明は、本実施形態のように、減圧収納袋3と合成樹脂片18とが、ともに同一の成分[ポリマー成分] を含んで(例えば、触媒担体、重合触媒等とともに)構成される場合にのみ限定されるものではなく、例えば、減圧収納袋3と合成樹脂片18とが、ともに共通する成分[ポリマー成分]を含有する異なるポリマーブレンドで構成される場合等においても適切なリサイクル処理により、一括処理可能となる場合等においては、効率的な処理に寄与し得ることとなる。
【0021】
以上のように、本発明の廃棄物減容方法では、逆止弁を具備した脱気口を有する減圧収納袋内に内容物を内封した後、前記脱気口から減圧ポンプ吸引口により前記減圧収納袋に残存する気体を脱気する廃棄物減容方法において、前記脱気口と前記減圧ポンプ吸引口との間に、一端が前記脱気口と連結可能に形成されるとともに他端に異なる内径を有する前記減圧ポンプ吸引口と適合し得る複数の内径部を有し、且つ、前記複数の内径部が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部を有するジョイント管を介在せしめるので、特に、比重が小さく嵩張る廃棄物についての減容において、大掛かりな設備を要せず、効率的で経済的にも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において使用可能な減圧収納袋を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋に入れた状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋に入れた後、密閉状態とした様子を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法において、内容物(PPバンド)を減圧収納袋内に密閉状態とした後、脱気口から残存する気体(空気)を脱気した後の様子を示すもので、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態である廃棄物減容方法を具体的に示すもので、(a)は、内容物(PPバンド)を減圧収納袋内に密閉状態とした後、脱気口から残存する気体(空気)を脱気する際の様子を模式的に示す図、(b)は、ジョイント管及び粘着シートの配置関係を模式的に示す斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を具体的に示すもので、フィルム状合成樹脂片を含んでなる内容物についての廃棄物減容方法を模式的に示す図である。
【図7】従来例に係る廃棄物減容方法における減容後のバンド締め梱包の様子を示すもので、(a)は、正面図、(b)は、側面図である。
【図8】従来例に係る廃棄物梱包[フレキシブルコンテナによる]の様子を例示する斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 逆止弁
2 脱気口
3 減圧収納袋
3a ポリエチレン製減圧収納袋
4 内容物
4a PPバンド(内容物4)
4b フィルム状合成樹脂片16を含んでなる内容物(内容物4)
5 減圧ポンプ吸引口
5a 減圧ポンプ吸引口
5b 減圧ポンプ吸引口
5c 減圧ポンプ吸引口
6 一端(ジョイント管10)
7 他端(ジョイント管10)
8 内径部(異径管部9)
8a 内径部(異径管部9)
8b 内径部(異径管部9)
8c 内径部(異径管部9)
9 異径管部(ジョイント管10)
10 ジョイント管
11 連結部(脱気口2、ジョイント管10)
12 外周面(ジョイント管10)
13 外表面(減圧収納袋3)
14 粘着シート
15 チャック(減圧収納袋3)
16 フィルム状合成樹脂片
16a シュリンクフィルム[ポリエチレン製]
17 貫通孔(フィルム状合成樹脂片16)
18 合成樹脂片
18a ポリエチレン片(合成樹脂片18)
19 バンド
20 フレキシブルコンテナ[フレコン]

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆止弁を具備した脱気口を有する減圧収納袋内に内容物を内封した後、前記脱気口から減圧ポンプ吸引口により前記減圧収納袋に残存する気体を脱気する廃棄物減容方法において、前記脱気口と前記減圧ポンプ吸引口との間に、一端が前記脱気口と連結可能に形成されるとともに他端に異なる内径を有する前記減圧ポンプ吸引口と適合し得る複数の内径部を有し、且つ、前記複数の内径部が外側から内側に向かって順次内径寸法が小さくなるように配置された異径管部を有するジョイント管を介在せしめることを特徴とする廃棄物減容方法。
【請求項2】
前記脱気口と前記ジョイント管の連結部を、前記ジョイント管外周面から前記脱気口近傍の前記減圧収納袋外表面にわたる粘着シートで封止することを特徴とする請求項1記載の廃棄物減容方法。
【請求項3】
前記内容物がフィルム状合成樹脂片を含んでなる内容物であって、前記フィルム状合成樹脂片に複数の貫通孔を形成した後に前記減圧収納袋内に内封することを特徴とする請求項1または請求項2記載の廃棄物減容方法。
【請求項4】
前記内容物が合成樹脂片を含んでなる内容物であって、前記減圧収納袋が前記合成樹脂片を構成する成分と同一のまたは共通する成分を含んで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の廃棄物減容方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−142592(P2006−142592A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−333936(P2004−333936)
【出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】