説明

廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備

【課題】スラリー濃度変動に対してスラリー化用水の循環流量とスラグ処理設備の各機器の液位を制御して安定操業できる、廃棄物溶融処理設備のスラグ処理設備の提供。
【解決手段】溶融物の水砕処理物から篩分けされたスラグとメタルとを分離する湿式磁選機6と、湿式磁選機6で分離されたスラグをスラリーにするスラリー供給槽8からスラリーポンプ17で搬送されたスラリーを水切りする水切りコンベア12を備えたスラグ処理設備において、スラリー化用水を重力でスラリー供給槽8へ送水可能なレベルに設置されており、スラグ水切りコンベア12のスラリー化用水オーバーフロー口21からオーバーフローしたスラリー化用水を重力でスラリー供給槽8へ送水する配管13を有し、スラリー供給槽8から湿式磁選機6へスラリー化用水を送る送水ポンプを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物溶融処理設備の廃棄物溶融炉の溶融物の水砕化処理物から湿式磁力選別で選別したスラグをスラリー化して搬送するスラグ処理設備において、スラリー化用水の循環流量制御と設備内機器の液位制御が可能なスラグ処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
都市ごみ、各種産業廃棄物などの廃棄物を廃棄物溶融炉で溶融処理する際に、廃棄物溶融炉から排出される溶融物の処理方法として、溶融物を水砕水槽に流下させてスラグ分と金属分を水砕処理し、水砕処理したスラグと金属を分離し、スラグはスラリー化して後処理工程へ搬送する方式が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
前記特許文献1には、図2に示すように、廃棄物溶融炉から排出される溶融物1は、水砕水槽2内へ流下して水砕処理され、水砕処理後の水砕処理物3は搬送コンベア4により掻き上げられて振動篩5へ供給される。
【0004】
振動篩5に供給される水砕処理物3には、スラグ、メタルおよび大塊が混在しているので、振動篩5により大塊を分離し、大塊を分離した水砕処理物は湿式磁選機6へ送られてスラグとメタルに分離される。
【0005】
湿式磁選機6で分離されたスラグは、振動篩7に送られてスラリー搬送に適したスラグ粒度5mm以下のスラグが篩い分けられる。
【0006】
振動篩7で分離された5mm以下のスラグはスラリー供給槽8へ供給され、撹拌水により撹拌される。スラリー供給槽8には、後工程のスラグ水切りコンベア12からスラリー化用水が循環ポンプ19により返水配管13を経て湿式磁選のための磁選用水として湿式磁選機6に戻され、振動篩7を経て戻される(なお、通常運転時、返水配管13は湿式磁選機6への配管とスラリー供給槽8への配管とに分岐しているが、スラリー供給槽8への配管はスラリー供給槽8への分岐後、開閉バルブを設けて、常時は閉じている。)。
【0007】
スラリー供給槽8の下部には、複数本の撹拌ノズル9が間隔をおいて配置され、撹拌ノズル9からは撹拌ポンプ10によりスラリー供給槽8の上部の排水口14から抜かれた上澄み液が撹拌水として撹拌水循環用配管11を通って噴出され、スラリーが撹拌される。なお、排水口14の近傍に仕切り壁15を設置して上澄み液が排水されるようにして撹拌ポンプ10へのスラリー流入を防止して撹拌ポンプ10の損傷を防ぐ。
【0008】
スラリー供給槽8内には、スラリー吸込口16を配置し、スラリーポンプ17によりスラリーを吸い込んでスラリー搬送配管18を経てスラグ水切りコンベア12へスラリーを送り込む。スラグ水切りコンベア12のスラリーは、スクレーパ式あるいはスクリュー式等の水切りコンベア12で水切りされ、水切りされたスラグはスラグヤードに送られる。水切りコンベア12は、スラリー供給槽8及び湿式磁選機6にスラリー化用水を送るためのスラリー化用水タンクとしても使用するので、水切りコンベア12内には返水配管13に接続された循環ポンプ19が配置されている。
【0009】
前記特許文献1記載のスラグ処理設備では、スラリー供給槽8からスラリーポンプ17でスラリー搬送配管18を経てスラグ水切りコンベア12ヘスラリー搬送する際には、図3に示すように、流量計(FT)、流量指示調節計(FIC)、インバータ(INV.)を利用してスラリーポンプ17の回転数を制御することによりスラリーの流量が一定となるようにしている。
【0010】
スラリー化用水はスラグ水切りコンベア12から循環ポンプ19で返水配管13を経て湿式磁選機6に磁選水として戻されて水砕物と合流する。湿式磁選機6の磁選水はスラリー供給槽8へ送られる。スラリー供給槽8の液位はレベル計(LT)で測定され、レベル指示警報計(LIA)で監視し、スラリー供給槽8の液位変動に対して循環ポンプ19の吐出流量が調整される。
【0011】
スラグ水切りコンベア12の液位はレベル計(LT)で測定され、液位が下がるとレベル指示警報計(LIA)により開閉弁20が開かれて工業用水(PS)が供給される。
【0012】
このように、スラリー供給槽8でスラグをスラリー化するスラリー化用水は、スラリー供給槽8、スラグ水切りコンベア12、湿式磁選機6、スラリー供給槽8の間で循環使用されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−178802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記特許文献1記載のスラグ処理設備では、操業安定性や機能面で以下の問題がある。
【0015】
(1)処理設備の機器の構成上、出湯間隔や出湯量により水砕槽2から湿式磁選機6へ流入する水砕物3の流入量が変動するため、湿式磁選機6からスラリー供給槽8へ送られるスラリー濃度も変動する。一方、スラリー供給槽8からスラグ水切りコンベア12へ搬送するスラリーの流量をスラリーポンプ17の回転数制御により一定に制御する。
【0016】
スラリー供給槽8の液位はレベル計LTで測定され、スラリー供給槽8の液位変動に対しては、スラグ水切りコンベヤ12の循環ポンプ19の吐き出し流量が調整されるが、スラリー供給槽8へ供給されるスラリー化用水は、水切りコンベヤ12から循環ポンプ19で返水配管13を経て湿式磁選機6に磁選水として戻され、さらに振動篩7を経てスラリー供給槽8へ戻るため、循環ポンプ19の吐出流量の調整後、スラリー供給槽8に流入するスラリー化用水の流量が調整されるまでの間には大きな時間遅れが発生する。一方で、スラリー濃度の制御が不能であることから、スラリーが高濃度の時には、スラリー供給槽8からスラグ水切りコンベヤ12へスラリーポンプ17で送られるスラリー中のスラグ分が多く、水分量が少なくなるので、スラリー供給槽8からスラリーポンプ17で抜かれる水量が少なくなり、さらにスラグ水切りコンベヤ12から湿式磁選機6、振動篩7を経て時間遅れでスラリー供給槽8へのスラリー化用水の供給が調整されるまでスラリー供給槽8の液面レベルが高くなる。
【0017】
逆に、スラリーが低濃度の時には、スラリー供給槽8からスラグ水切りコンベヤ12へスラリーポンプ17で送られるスラリー中のスラグ分が少なく水分量が多くなり、スラリー供給槽8から抜かれる水量が多くなると、スラリー供給槽8の液面レベルは低くなる。
【0018】
このように、スラリー濃度が変動すると、スラリー供給槽8の液位が変動する。
【0019】
例えば、スラリー供給槽8の液位が変動して液位が低下すると、機械保護を目的とする液位低下時の送水量不足によるスラリーポンプ17のインターロック停止が発生し、その都度、溶融物処理系統の自動運転が中断されて操業の安定性が損なわれる。
【0020】
(2)スラリー供給槽8はスラグ水切りコンベア12とスラリー化用水の返水配管13で接続されており、スラリー供給槽8の液位制御は、スラグ水切りコンベア12内に設けられている、返水配管13の循環ポンプ19の吐出流量の増減操作で行われる。
【0021】
しかしながら、廃棄物溶融処理設備の機器の配置上、通常、スラグ水切りコンベア12が湿式磁選機6やスラリー供給槽8の上方階に設置されている。この場合、上方階のスラグ水切りコンベア12の循環ポンプ19の停止にかかわらず、返水配管13のサイホン効果によるスラリー供給槽8へスラリー化用水が流入したり、気液混相流による流動抵抗が作用してスラリー供給槽8への返水流量が安定しなかったりして、前項(1)のスラリー濃度変動によりスラリー供給槽液位は安定せず、一定に制御できない場合があった。
【0022】
(3)湿式磁選機6への磁選水の供給は、スラリー化用水がスラグ水切りコンベア12から循環ポンプ19により返水配管13を通して送られるが、その流量はスラリー供給槽8の液位変動に対して循環ポンプ19の吐出流量の増減操作で行うため、スラリー化用水の流量が湿式磁選機6への水砕物流入量の変動に追随できず、湿式磁選機6の入口での水砕物の滞留や磁選効率の低下が発生し湿式磁選機6の機能が損なわれることがあった。
【0023】
そこで、本発明は、湿式磁選機、スラリー供給槽、スラグ水切りコンベアの機器の間でスラリー化用水を循環させる廃棄物溶融処理設備のスラグ処理設備において、スラリー濃度変動に対してスラリー化用水の循環流量と前記各機器の液位を制御して安定操業できるスラグ処理設備を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融処理設備の廃棄物溶融炉から排出される溶融物を水砕処理した水砕処理物から篩分けされたスラグとメタルとを分離する湿式磁選機と、前記湿式磁選機で分離されたスラグから大塊を篩分けする振動篩と、前記振動篩で分離されたスラグをスラリーにするスラリー供給槽と、前記スラリー供給槽からスラリーポンプで搬送されたスラリーを水切りする水切りコンベアを備えた廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備において、前記スラグ水切りコンベアがスラリー化用水をスラリー化用水の重力で前記スラリー供給槽へ送水可能なレベルに設置されており、前記スラグ水切りコンベアに設けられたスラリー化用水オーバーフロー口からオーバーフローしたスラリー化用水を前記スラリー供給槽へスラリー化用水の重力で送水する配管を有し、前記スラリー供給槽から前記湿式磁選機へスラリー化用水を送る送水ポンプを備えたことを特徴とする。
【0025】
前記構成において、前記スラリー供給槽のスラグの落下位置の近傍に、通水路を有する仕切り壁を設けたり、前記スラグ水切りコンベアのオーバーフロー口の近傍に、通水路を有する仕切り壁を設けたりすることができ、さらに、複数の仕切り壁を縦方向に平行に設け、各仕切り壁の通水路を上下に交互に配置させて上下方向に蛇行する水路を形成してもよい。また、スラリー供給槽と水切りコンベアの液位を検出する検出器と、検出したそれぞれの液位を個別に監視するとともに合算監視する演算器と、系内のスラリー化用水の全貯留量の減少分を補給する工業用水の開閉弁を設けることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、水切りコンベアからオーバーフローするスラリー化用水が重力式の返水配管で流下することで、水切りコンベアに流入したスラリーは、その量の変化に応じてスラリー化用水がスラリー供給槽に返送される。そのため、水切りコンベアとスラリー供給槽の液位は、水切りコンベアからのスラグ付着による持ち出し減少分で低下するのみであり、スラグ付着による持ち出し減少分は、水切りコンベアに開閉弁を開いて工業用水PWを補給するため安定しているので、操業の安定性を確保することができる。
【0027】
本発明は、スラグ水切りコンベアが、スラリー化用水を重力式でスラリー供給槽へ送水可能なレベルに設置されるので、水切りコンベアからスラリー供給槽へのスラリー化用水が循環ポンプをなくして重力式で返水されることにより、スラリー供給槽への返水流量が安定してスラリー供給槽液位の変動を安定的に一定に制御可能になるため、スラリー供給槽液位が低下してスラリーポンプのインターロックが働いて停止することを防ぐことができ、安定操業が可能となる。
【0028】
本発明は、湿式磁選機へのスラリー化用水を溶融物の流入量変動の最大値に見合った流量で一定して供給する循環ポンプをスラリー供給槽に設置することで、湿式磁選機入口での溶融物の滞留及び磁選効率の低下を防止できるので、良好な湿式磁選機の機能を確保することができる。
【0029】
本発明は、スラリー供給槽のスラグの落下位置の近傍およびスラグ水切りコンベアのオーバーフロー口の近傍に、通水路を有する仕切り壁を設けることによって、清澄な上澄み液を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明のスラグ処理設備のスラリー化用水の流れを示す図である。
【図2】従来のスラグ処理設備の全体図である。
【図3】従来のスラグ処理設備のスラリー化用水の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の一実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例】
【0032】
図1は本発明のスラグ処理設備を示し、図2および図3に示す従来のスラグ処理設備と同一部材には同一符号を付している。図1において、本発明のスラグ処理設備は、図2のスラグ処理設備と同じく湿式磁選機6、スラリー供給槽8、スラグ水切りコンベア12を備える。スラグ水切りコンベア12は、スラリー供給槽8の上方階など、スラリー化用水をこのスラリー化用水の重力でスラリー供給槽8へ送水可能なレベルに設置される。
【0033】
本発明のスラグ処理設備におけるスラグの流れは従来のスラグ処理設備と同じである。図1において、廃棄物溶融炉から排出される溶融物は水砕水槽に流下して水砕処理され、振動篩により大塊を分離した水砕処理物は湿式磁選機6へ送られてスラグとメタルが分離される。分離されたスラグは、振動篩7に送られて大塊が除去され、スラリー搬送に適した粒度のスラグが選別され、選別されたスラグはスラリー供給槽8へ送られる。なお、スラリー供給槽8には、図2に示すスラリー供給槽8と同様に、撹拌水の噴出によるスラリー撹拌手段を設けてもよい。
【0034】
スラリー供給槽8のスラリーは、スラリー供給槽8内のスラリー吸込口16からスラリーポンプ17によりスラリーを吸い込んでスラグ水切りコンベア12へ送り込む。
【0035】
スラグ水切りコンベア12では、スラリーがスクレーパ式あるいはスクリュー式等の水切りコンベアで掻き上げられて水切りされ、水切りされたスラグはスラグヤードへ送られる。
【0036】
次に、本発明のスラグ処理設備における各機器間を流れるスラリー化用水、各機器の液位について説明する。
【0037】
湿式磁選機6の磁選用水は、スラリー供給槽8から送水ポンプ20でスラリー化用水をくみ上げて供給循環される。スラリー供給槽8の貯留容積は送水ポンプ20の設置に必要十分な容積とする。
【0038】
スラリー供給槽8には、振動篩7で分離されたスラグの落下位置の近傍に下部に通水路を有する仕切り壁15を設置して送水ポンプ20側へのスラグの混入を抑えて上澄み液が排水されるようにしてスラリー流入を防止して送水ポンプ20の損傷を防ぐ。仕切り壁15の上端をスラリー供給槽8の天井まで延ばしてスラリーの水面での跳ね返りが侵入しないようにする。
【0039】
仕切り壁を単独ではなく、複数の仕切り壁15を縦方向に平行に設けるとともに、各仕切り壁15の通水路が上下に交互に配置されて上下方向に蛇行する水路が形成されようにし、上部に通水路を有する仕切り壁15は下端を槽の底面まで延ばしてスラリーの侵入を防ぐことにより、清澄な上澄み液が得られるようにすることができる。
【0040】
湿式磁選機6の磁選用水が送水ポンプ20でスラリー供給槽8から供給されるので、スラリー供給槽8の液位変動に対して循環ポンプ19の吐出流量の増減操作を行う図2に示す従来技術による供給に比べて、本発明では、溶融物の流入量の変動に関係なく、必要最大流量の磁選用水を一定して供給できるので、湿式磁選機入口の磁選用水流量不足を防ぎ、湿式磁選機入口での流入溶融物の滞留を防ぎ、磁選効率の低下を防ぐことが可能となる。
【0041】
スラリー供給槽8においてスラグをスラリー化するスラリー化用水は、スラリー供給槽8の上方階に設置されているスラグ水切りコンベア12から供給される。スラグ水切りコンベア12には、その上部にスラリー化用水がオーバーフローするオーバーフロー口21が形成されている。
【0042】
スラグ水切りコンベア12内には、オーバーフロー口21の近傍に下部に通水路を有する仕切り壁15を設置してオーバーフロー口21側へのスラグの混入を抑えて上澄み液が流出するようにしてスラリー流入を防止する。仕切り壁15の上端をスラグ水切りコンベア12の天井まで延ばしてスラリーの水面での跳ね返りが侵入しないようにする。
【0043】
スラリー供給槽8と同様に、仕切り壁15を単独ではなく、複数の仕切り壁15を縦方向に平行に設けるとともに、各仕切り壁15の通水路が上下に交互に配置されて上下方向に蛇行する水路が形成されようにして、清澄な上澄み液が得られるようにすることができる。上部に通水路を有する仕切り壁15は下端を槽の底面まで延ばしてスラリーの侵入を防ぐ。
【0044】
オーバーフロー口21は、返水配管13によりスラリー供給槽8と接続されている。重力式の返水配管は、オーバーフロー流量を制限なく流下せしめるに十分な口径とする。スラグ水切りコンベア12がスラリー供給槽8の上方階等のスラリー化用水を重力式でスラリー供給槽8へ送水可能なレベルに設置されていることを利用して、オーバーフロー口21をオーバーフローしたスラリー化用水を重力により送水する返水配管13を通してスラリー供給槽8返水する。
【0045】
スラリーがスラリー供給槽8からスラグ水切りコンベア12へ送られてスラリー供給槽8の液位が下がってもその分、スラグ水切りコンベア12の液位が上昇し、スラリー化用水がオーバーフロー口21からオーバーフローして重力により返水配管13を通ってスラリー供給槽8へ返水されるので、スラリー搬送によりスラリー供給槽8の液位が急激に下がることはない。
【0046】
スラリー供給槽8と水切りコンベア12の液位を個別及び合算監視し、系内全貯留量の減少分(水切りコンベア12からスラグに付着して持ち出される量)は、水切りコンベアに開閉弁22を開いて工業用水(PW)を補給する。例えば、スラリー供給槽8とスラグ水切りコンベア12の液位はレベル計(LT)により検出され、レベル演算器(LY)で演算されてレベル指示警報器(LIA)により、不足分は開閉弁22を開いて工業用水(PW)が供給されて、オーバーフローしてスラリー供給槽8に流れ落ちるので、スラグ水切りコンベア12とスラリー供給槽8の液位が一定に保持される。
【0047】
したがって、スラリー供給槽8の液位の変動が小さく、液位低下時の送水量不足によりスラリーポンプ17がインターロックにより停止することが防止され、継続して自動運転が可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1:溶融物
2:水砕水槽
3:水砕処理物
4:搬送コンベア
5:振動篩
6:湿式磁選機
7:振動篩
8:スラリー供給槽
9:撹拌ノズル
10:撹拌用ポンプ
11:撹拌水循環用配管
12:スラグ水切りコンベア
13:返水配管
14:撹拌水排水口
15:仕切り壁
16:スラリー吸込口
17:スラリーポンプ
18:スラリー搬送配管
19:循環ポンプ
20:送水ポンプ
21:オーバーフロー口
22:開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を溶融処理する廃棄物溶融処理設備の廃棄物溶融炉から排出される溶融物を水砕処理した水砕処理物から篩分けされたスラグとメタルとを分離する湿式磁選機と、
前記湿式磁選機で分離されたスラグから大塊を篩分けする振動篩と、
前記振動篩で分離されたスラグをスラリーにするスラリー供給槽と、
前記スラリー供給槽からスラリーポンプで搬送されたスラリーを水切りする水切りコンベアを備えた廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備において、
前記スラグ水切りコンベアがスラリー化用水をスラリー化用水の重力で前記スラリー供給槽へ送水可能なレベルに設置されており、
前記スラグ水切りコンベアに設けられたスラリー化用水オーバーフロー口からオーバーフローしたスラリー化用水を前記スラリー供給槽へスラリー化用水の重力で送水する配管を有し、
前記スラリー供給槽から前記湿式磁選機へスラリー化用水を送る送水ポンプを備えたことを特徴とする廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備。
【請求項2】
前記スラリー供給槽のスラグの落下位置の近傍に、通水路を有する仕切り壁が縦方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備。
【請求項3】
前記スラグ水切りコンベアのオーバーフロー口の近傍に、通水路を有する仕切り壁が縦方向に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備。
【請求項4】
複数の前記仕切り壁が縦方向に平行に設けられるとともに、各仕切り壁の通水路が上下に交互に配置されて上下方向に蛇行する水路が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備。
【請求項5】
スラリー供給槽と水切りコンベアの液位を検出する検出器と、検出したそれぞれの液位を個別に監視するとともに合算監視する演算器と、系内のスラリー化用水の全貯留量の減少分を補給する工業用水の開閉弁を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の廃棄物溶融処理設備におけるスラグ処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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