説明

廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品

【課題】使用済み注射針ユニットの取り外しを行う際に、使用者が使用済み注射針ユニットに直接、手を触れず、また、複雑な器具を使用せずに簡単に取り外しをすることができる廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品を提供すること。
【解決手段】注射器本体90の先端に保持体94を介して螺合された注射針部96を回収する廃棄針用回収容器10。廃棄針用回収容器10は、容器本体12と、容器本体12の上面に位置し、保持体94が挿入される挿入孔100が形成された開口部14とを備える。開口部14は、保持体94を把持する把持手段64と、把持手段64の挿入孔100が延びる孔方向への線運動に伴って、把持手段64を回転運動させるボールスプライン軸48と軸受50とを有する。挿入孔100に挿入された保持体94は、これが孔方向に動かされることで注射器本体90から分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、注射器用カートリッジホルダーの注射針を取り外す場合、使用前に収納していた注射針収納容器を被せてから注射用カートリッジホルダーより取り外し、収納容器キャップで蓋をして所定の廃棄処分をしている。しかし、取り外した針が刺さる針刺し事故による感染のおそれがあり、かつ、取り扱いが繁雑であった。また、注射針を自動的に取り外すことを目的として、電動モーターを使用し注射針を握持する機構を設け、ギヤ等を介して握持機構を駆動して注射針を取り外し廃棄針用回収容器に収納する装置(例えば、特許文献1)が知られているが、機構が複雑であり高価であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−224985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、使用済み注射針ユニットの取り外しを行う際に、使用者が使用済み注射針ユニットに直接、手を触れず、また、複雑な器具を使用せずに簡単に取り外しをすることができる廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る廃棄針用回収容器は、注射器本体の先端に保持体を介して螺合された注射針部を回収する。廃棄針用回収容器は、容器本体と、この容器本体の上面に位置し、前記保持体が挿入される挿入孔が形成された開口部と、を備える。前記開口部は、前記保持体を把持する把持手段と、この把持手段の前記挿入孔が延びる孔方向への線運動に伴って、前記把持手段を回転運動させる運動変換機構と、を有する。前記挿入孔に挿入された保持体は、前記孔方向に動かされることで前記注射器本体から分離される。
【0006】
前記把持手段は、前記線運動が、前記廃棄針用回収容器の重心を通る軌道で行われる位置に設けられている。
【0007】
前記把持手段は、前記保持体に設けられた凹凸に噛合して、前記把持手段に対する前記保持体の相対的な回転を禁止する噛合部を有する。
【0008】
廃棄針用回収容器は、前記把持手段を上方向に付勢する付勢手段をさらに備える。
【0009】
前記開口部を有する分離部は、前記容器本体に対して着脱可能に設けられている。
【0010】
前記容器本体は、分離された注射針部を廃棄するための廃棄口と、この廃棄口を開閉する開閉部材と、を有する。
【0011】
前記容器本体は、注射器本体の先端に保持体を介して嵌合された注射針部を回収する回収手段をさらに備える。
【0012】
本発明に係る廃棄針用回収部品は、注射器本体の先端に保持体を介して螺合された注射針を回収する廃棄針用回収容器に用いられる。廃棄針用回収部品は、前記廃棄針用回収容器の容器本体に接続される接続手段と、前記保持体が挿入される挿入孔が形成された開口部と、を備える。前記開口部は、前記保持体を把持する把持手段と、この把持手段の前記挿入孔が延びる孔方向への線運動に伴って、前記把持手段を回転運動させる運動変換機構と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、開口部は、保持体を把持する把持手段と、この把持手段の挿入孔が延びる孔方向への線運動に伴って、把持手段を回転運動させる運動変換機構と、を有するので、挿入孔に挿入された保持体は、孔方向に動かされることで注射器本体から分離される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の一部を断面にした正面図である。
【図2】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の部分断面図である。
【図3】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の別の部分断面図である。
【図4】図3に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の開閉部材の正面図である。
【図5】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品のフック部の正面図である。
【図6】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品のカバーの部分断面図である。
【図7】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品に用いられる注射針を示す断面図である。
【図8】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品に用いられる別の注射針を示す断面図である。
【図9】図1に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の使用手順を示す部分断面図である。
【図10】図9に続く廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の使用手順を示す部分断面図である。
【図11】本発明の別の廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の一部を断面にした正面図である。
【図12】図11に示した廃棄針用回収容器及び廃棄針用回収部品の別の一部を断面にした正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1から図6を参照して、本発明を実施するための一実施形態について説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0016】
図1から図4において「上方向」とは、図1における矢印X1の方向をいい、「下方向」とは、矢印X2の方向をいう。また、ある位置よりも上方向の側を「上側」、ある位置よりも下方向の側を「下側」という。
【0017】
図1に示すように、廃棄針用回収容器10は、図7に示す注射器本体90の先端92に、保持体94を介して螺合された注射針部96を回収するために用いられる。廃棄針用回収容器10は、容器本体12と開口部14とを備えている。さらに、廃棄針用回収容器10は、開口部14を覆う蓋部114を備えている。
【0018】
容器本体12は、円柱側面状の側部16と、側部16の下部を覆う底部18と、側部16の上部16aに形成された円筒形状の口部20(図9参照)を有する、縦断面が略U字状の容器である。側部16は、円柱側面状としたが、他の形状、例えば、四角柱側面状、八角形側面状、楕円柱側面形状等であってもよいし、裁頭円錐形状、裁頭角錐形状であってもよい。
【0019】
底部18は、例えば、略円盤状の底を備える。底部18は、さらに、底の下側に配置される滑止部22を備えてもよい。滑止部22は、机の上面のような設置面Fと滑止部22とが相対的移動しにくくなるような材料で形成されており、例えば、ゴムのような弾性体で形成されている。滑止部22は、滑止部22と設置面Fとが側部16の円柱形状の中心軸Cの周りを回転させる回転力で互いに摺動することを防止する作用を奏する。
【0020】
側部16は、注射器本体90から分離され、回収された複数の注射針部96を収容することができる大きさを有している。側部16は、さらに、収容された複数の注射針部96を廃棄するための廃棄口部24と、廃棄口部24を開閉するキャップのような開閉部材26とを有する。
【0021】
廃棄口部24は、側部16の中心軸Cと平行の方向に伸びる中心軸を有する円筒形状に形成されているが、これに限定されず、任意の方向に伸びる中心軸を有する円筒形状に形成されていてもよい。
【0022】
図2に示すように、廃棄口部24は、例えば、円筒形状を有し、廃棄口部24の上端部に円盤形状の鍔部24aが形成されている。したがって、鍔部24aと上部16aとによって、溝部24bが形成されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、開閉部材26は、例えば、廃棄口部24を覆うことができる大きさの円盤形状の基部26aと、基部26aの一方の面の周囲から延在し、基部26aの中央に向けて伸びる鍔部26bと、基部26aから延在している板状のヒンジ部26fと、ヒンジ部26fに形成されている円盤部26eとを備えている。開閉部材26は、例えば、容器本体12と同じ材料で形成されていることが好ましい。
【0024】
鍔部26bと基部26aとは、溝部26cを形成している。円盤部26eには、溝部24bの谷の直径より若干大きい直径の穴26dが形成されている(図2参照)。溝部26cの谷の直径は、鍔部24aの先端の直径と略同じ大きさを有している。
【0025】
図2に示すように、円盤部26eの穴26dが廃棄口部24の溝部24bに嵌合している。開閉部材26は、ヒンジ部26fが折り曲がった状態で、溝部26cが鍔部24aに嵌合することにより、廃棄口部24を塞いでいる。したがって、開閉部材26は、必要なときに、開閉部材26を上方方向に引っ張ったり、溝部26cに鍔部24aを嵌合させたりすることにより、開閉部材26と廃棄口部24とが弾性変形し、廃棄口部24を開けたり閉じたりする。
【0026】
図5に示すように、廃棄口部24の内部には、例えば、図8に示すインシュリン用注射器の注射器本体98に嵌合している注射針部99を片手で注射器本体98から取り外すためのフック部25が形成されていてもよい。フック部25は、例えば、廃棄口部24と同じ材料で形成されていることが好ましい。フック部25は、例えば、廃棄口部24の内周面のうち、およそ半分の内周面から内側に延在した基部25aと、基部25aの両端から廃棄口部24の中央に延在する延在部25cと、延在部25cの端部に、廃棄口部24の中央近傍で十字のスリット25bを形成するスリット形成部25dとを備える。
【0027】
図8に示すように、インシュリン用注射器は、注射器本体98と、注射器本体98の先端98aに嵌合している注射針部99とを備える。注射針部99は、注射器本体98の先端98aを嵌合する筒状部99bと、筒状部99bの端部に形成されている鍔部99aとを備える。筒状部99bの外径は、スリット25bの幅よりも若干小さいことが好ましい。鍔部99aの外径は、スリット25bの幅よりも若干大きいことが好ましい。
【0028】
図9に示すように、口部20は、側部16の円柱形状の中心軸Cと一致するように、上部16aに円筒形状に形成されている。口部20の円筒形状の外周面には、雄ネジ28が形成されている。雄ネジ28の回転軸は、側部16の円柱形状の中心軸Cと略一致している。
【0029】
図1に示すように、容器本体12の側部16、上部16a、底部18、及び、口部20は、いずれも、プラスチックのような樹脂材料、特に、可視性のある樹脂材料で形成されていることが好ましいが、ステンレス、スチール等の金属材料で形成されていてもよい。
【0030】
図1及び図6に示すように、開口部14は容器本体12の上面に位置する。開口部14は、容器本体12の口部20の雄ネジ28に螺合する雌ネジ30が形成されている分離部32を有する。分離部32は、円筒形状を有し、下側に開口している凹部を有する。凹部の内周面には、雌ネジ30が、雌ネジ30の中心軸が側部16の円柱形状の中心軸Cと一致するように、形成されている。分離部32の上面には円柱形状の凸部32aが形成されており、後述する圧縮コイルバネ54の下端が配置されている。なお、圧縮コイルバネ54は、例示であって、付勢手段であれば、これに限定されない。
【0031】
分離部32には、凹部の底部33と分離部32の上面の凸部32aとを貫通する円筒形状の貫通孔34が形成されている。貫通孔34の中心軸は、側部16の円柱形状の中心軸Cと一致している。したがって、分離部32は、分離部32を中心軸Cの周りを回るように、容器本体12に対して回転させると、雄ネジ28と雌ネジ30との螺合が解けるので、分離部32、ひいては開口部14は、容器本体12から分離する構造を有する。
【0032】
分離部32の底部33には、例えば、ボールスプライン軸48と螺合する軸受50がボルトのような公知の取付手段によって、組み付けられている。軸受50は、例えば、ボールスプライン軸48に軸線が中心軸Cと一致するように、分離部32の底部33に取り付けられている。なお、ボールスプライン軸48と軸受50とは、回転運動を直線運動に変換する機構の一例としてあげたものであって、例えば、台形ネジや、一般の雄ネジ、雌ネジであってもよい。また、材質は、金属として説明しているが、回転運動を直線運動に変換する機能を発揮できれば、限定されず、例えば、樹脂であってもよい。
【0033】
ボールスプライン軸48は、ボールスプライン軸48がボールスプライン軸48の軸線の周りを回転すると、軸受50に対して、ボールスプライン軸48の軸線が伸びる方向に回転しながら移動する。換言すると、ボールスプライン軸48と軸受50とは、ボールスプライン軸48がボールスプライン軸48の軸線が伸びる方向に移動するためには、ボールスプライン軸48の軸線の周りを回転しなければならない構造を有している。したがって、ボールスプライン軸48と軸受50とは、ボールスプライン軸48が中心軸Cの伸びる方向に移動に伴って、ボールスプライン軸48を回転運動させる運動変換機構として作用する。ここで、中心軸Cは、廃棄針用回収容器10の重心を通るので、ボールスプライン軸48の軸線は、廃棄針用回収容器10の重心を通ることになる。
【0034】
ボールスプライン軸48は、ボールスプライン軸48が伸びる方向において、ボールスプライン軸48の中心を通る貫通孔52を有する。
【0035】
ボールスプライン軸48の上端部分には、凹部56が形成されている。凹部56の内周側面は、円筒形状を有する。
【0036】
開口部14は、保持体94の円筒側面を保持するインナー把持部60とインナー把持部60が差し込まれるアウター把持部62とを有する。インナー把持部60とアウター把持部62とは、協働して保持体94を把持する把持手段64として作用する。
【0037】
アウター把持部62の下側端部は、ボールスプライン軸48の凹部56に相対的回転不能に嵌合されている。アウター把持部62は、円柱形状を有し、上側が開口する凹部66と、凹部66の底部に形成された貫通孔68とを備える。凹部66の開口近傍は、裁頭円錐形状の側面のような外側に広がるテーパーに形成されている。このテーパーは、インナー把持部60の下端部を凹部66に案内する案内機構として作用する。凹部66の内周面の中心と貫通孔68の中心とはいずれも中心軸Cの延長線上に位置している。
【0038】
アウター把持部62の凹部66には、例えば、付勢手段の一例である圧縮コイルバネ70が圧縮された状態で配置されている。圧縮コイルバネ70は、圧縮コイルバネ54のバネ定数よりも小さいバネ定数を有することが好ましい。圧縮コイルバネ70の上側には、スペーサー72が摺動可能に配置されている。スペーサー72は、円筒形状を有する。スペーサー72は、スペーサー72の対向する側面に、スペーサー72の円筒形状の軸線が伸びる方向に長い2つの長孔74が形成されている。
【0039】
スペーサー72の上側には、インナー把持部60の下側の端部がスペーサー72の上側に接触するように、インナー把持部60が配置されている。
【0040】
圧縮コイルバネ70の上側の端部には、上側バネ受部材78が配置されている。上側バネ受部材78は、円柱形状を有する。上側バネ受部材78の下側の端部には、凹部76が形成されている。凹部76は、圧縮コイルバネ54の外径よりも若干大きい直径の内周面を有している。上側バネ受部材78の上側にも、凹部80が形成されている。凹部80は、例えば、ベアリング82を保持する。本実施形態では、ベアリングを挙げているが、これに限定されず、摩擦抵抗が少なくなる構成ならかまわず、例えば、オイルレス軸受けや、ブッシュであってもよい。上側バネ受部材78には、凹部76の底面と凹部80の底面とを貫通する貫通孔84が形成されている。貫通孔84の中心は、中心軸Cの延長線上に位置している。
【0041】
インナー把持部60の上側の端部には、カバー86が配置されている。カバー86は、円盤部85と円盤部85の下側に形成された筒状部87とを有する。円盤部の中央に貫通孔88が形成されている。筒状部87の内径は、インナー把持部60の外径、アウター把持部62の外径よりも大きく、筒状部87の外径は、圧縮コイルバネ54の内径、貫通孔84の内径、ベアリング82の内径のいずれよりも小さい。
【0042】
インナー把持部60は、上下方向に貫通する貫通孔61を有する。貫通孔61は、保持体94の外径よりも若干大きい直径を有する。貫通孔61の内側面には、インナー把持部60の外径が小さくなる際の逃げしろとして作用するスリット63が形成されている。貫通孔61の内周面には、保持体94とインナー把持部60とが相対的回転不能に、保持体94に設けられた凹凸に噛合する噛合部(図示せず)が形成されている。
【0043】
インナー把持部60は、上側の端部は円筒形状を有し、中央の部分がテーパーですぼんでいる形状を有し、下側の端部は円筒形状を有する構造を備えている。上側の端部は、アウター把持部62の外径と略同じ直径を有する。下側の端部は、アウター把持部62の内径とほぼ同じか、若干小さい直径を有する。
【0044】
カバー86の筒状部87には、貫通孔が形成され、また、アウター把持部62には、雌ネジ穴が形成されている。そして、筒状部87の貫通孔をとおって雌ネジ穴に止めネジ83が螺合している。したがって、ボールスプライン軸48は、アウター把持部62、止めネジ83を介してカバー86と相対的移動不能に組み付けられている。
【0045】
圧縮コイルバネ54は、圧縮コイルバネ54が若干圧縮された状態で、その下側端部が下側バネ受部材40の凹部42に、その上側端部が上側バネ受部材78の凹部76に配置されているので、上側バネ受部材78を、常に上側に移動しようと、付勢する。この付勢の力は、上側バネ受部材78、ベアリング82を介して、カバー86の円盤部85に伝わる。
【0046】
止めネジ83の先端は、アウター把持部62の凹部66の内周面よりも内側に出ており、スペーサー72の長孔74に差し込まれている。
【0047】
スペーサー72は、アウター把持部62の凹部66の内周面において、長孔74の長さだけ、上下方向に摺動することができる。また、圧縮コイルバネ70は、若干圧縮された状態でアウター把持部62の凹部66の内周面の内部に配置されているので、圧縮コイルバネ70は、スペーサー72を付勢している。
【0048】
このように、開口部14には、保持体94が挿入され、また、後述する注射器本体90から分離された保持体94が通る挿入孔100が、貫通孔52、68、61、スペーサー72の貫通孔によって形成されている。
【0049】
分離部32の上側には、開口部14を覆うカバー110が設けられている。カバー110は、例えば、円筒側面形状の筒状部112と、筒状部112の上端に形成された開口部116と、開口部116の近傍に形成された外側に広がる鍔部118とを備える。開口部116の直径は、円盤部85の外径より若干大きい。カバー110は、例えば、樹脂で形成されていることが好ましい。カバー110の上部には、ヒンジ支持部119が設けられており、ヒンジ支持部119は、円盤形状の蓋部114の外周から延在したヒンジ部に枢軸122を介して回転可能に支持されている。蓋部114は、開口部116側に設けられた鍔部120を備える。鍔部120は、蓋部114の外周近傍から円筒側面状に延在し、その端部において内側にリングを形成するように延在している。図1及び図6に示すように、蓋部114の鍔部120は、通常、開口部116の鍔部118とカバー110の上部との隙間に入り込んだ状態とされ、これにより、開口部116を密封している。
【0050】
図1に示すように、以上の廃棄針用回収容器10は、通常、圧縮コイルバネ54、70によって、上方向の付勢力が、それぞれ、上側バネ受部材78、スペーサー72に作用しているので、ボールスプライン軸48、インナー把持部60は、いずれも、最も上側に位置している。また、蓋部114は、開口部116を覆っている。
【0051】
廃棄針用回収容器10は、以下のようにして用いる。
【0052】
使用者は、注射器本体90を用いてインシュリン等の薬を身体に投与する。そして、使用済みとなった注射器本体90を、廃棄針用回収容器10を用いて、注射針部96を注射器本体90から確実にかつ簡単に取り外す。
【0053】
以下、詳細に説明する。まず、図9に示すように、使用者は、蓋部114を、枢軸122の回りを回転させるように、持ち上げて、開口部116を開ける。これにより、使用者は、インナー把持部60の貫通孔61を視認することができ、また、注射器本体90の保持体94をインナー把持部60の貫通孔61に差し込むことができる。
【0054】
次に、使用者は、注射器本体90の針が下に向くように、片手で、使用済みとなった注射器本体90を持ち、廃棄針用回収容器10の上方に位置させる。このとき、注射器本体90の中心軸とインナー把持部60の中心軸、すなわち、中心軸Cとを合わせる。
【0055】
次に、注射器本体90を下方向に移動させ、保持体94の外周面がインナー把持部60の貫通孔61の内周面に接触させる。貫通孔61は、保持体94の外径よりも若干大きい直径を有するので、スムーズに保持体94を貫通孔61に挿入することができる。
【0056】
さらに、注射器本体90を下方向に移動させると、注射器本体90の下端部がインナー把持部60の上端部に接触する。
【0057】
さらに、注射器本体90を下方向に移動させると、注射器本体90とインナー把持部60とが一緒に下方向に移動する。このとき、圧縮コイルバネ70は圧縮コイルバネ54のバネ定数よりも小さいバネ定数を有するので、圧縮コイルバネ70が圧縮コイルバネ54より先に注射器本体90を下方向に移動させる力に屈する。
【0058】
そして、インナー把持部60の下側端部は、スペーサー72を下方向に押しながら、かつ、アウター把持部62の上端部のテーパーに接触しながらアウター把持部62の貫通孔に挿入される。スペーサー72は、止めネジ83の先端が長孔74に挿入されているので、長孔74の長手方向、すなわち、下方向に移動する。
【0059】
インナー把持部60がアウター把持部62の貫通孔に挿入されると、スリット63の隙間を狭めながら貫通孔61の内径を若干小さくするから、インナー把持部60は、保持体94を、貫通孔61と保持体94とが相対的回転不能になるように、確実に把持する。
【0060】
また、インナー把持部60が保持体94を確実に把持すると同時に、インナー把持部60の下側端部がアウター把持部62の貫通孔に挿入すると、インナー把持部60の下側端部のテーパーと、アウター把持部62の上側端部のテーパーとによって、インナー把持部60とアウター把持部62とは、嵌合状態になるので、インナー把持部60とアウター把持部62とは、相対的回転不能状態になる(この状態を、把持回転開始状態という)。
【0061】
さらに、注射器本体90を下方向に移動させると、圧縮コイルバネ54の付勢が屈し、ボールスプライン軸48が下方向に移動する。ボールスプライン軸48が下方向に移動すると、ボールスプライン軸48と軸受50との螺合により、ボールスプライン軸48が回転しながら下方向に移動する。ボールスプライン軸48の回転は、アウター把持部62、インナー把持部60を介して、一方は、保持体94に、他方は、さらに止めネジ83を介してカバー86に伝わる。
【0062】
このとき、注射器本体90は、使用者がしっかり注射器本体90を保持しているので、注射器本体90と保持体94との間に回転力が作用し、実際に回転する。つまり、使用者が注射器本体90を下げると、注射器本体90の先端92と保持体94との螺合を解く回転力が作用する。また、注射器本体90の先端92と保持体94との螺合を解く回転力は、容器本体12にも作用するが、滑止部22によって、ほとんど回転しない。
【0063】
また、ボールスプライン軸48の上下動は、容器本体12の中心軸Cの延長線上、換言すると、廃棄針用回収容器10の重心を通る軌道で行われる。つまり、中心軸Cは、挿入孔100が延びる孔方向と一致し、また、保持体94は、孔方向への線運動をすることになる。
【0064】
圧縮コイルバネ54は、上側バネ受部材78と下側バネ受部材40とによって両端を保持されているので、上側バネ受部材78は、下方向に略平行移動する。そこで、仮に、滑止部22の滑り止め力よりも大きい回転力が容器本体12に作用して、容器本体12が回転しそうになったら、使用者は、注射器本体90を保持している手と反対の手で上側バネ受部材78や容器本体12を保持すればよい。
【0065】
なお、使用者は、使用者の手等がカバー86に接触しない状態で、注射器本体90をしっかり持って、下方向に押す作業をするだけでいいので、ボールスプライン軸48の移動にともなって、カバー86が回転しても、押し下げるという作業に支障はほとんどない。
【0066】
そして、さらに、注射器本体90を下方向に移動させると、やがて、図10に示すように、上側バネ受部材78の下側が、下側バネ受部材40の上面に接触して、注射器本体90の下方向への移動ができなくなる(この状態を把持回転終了状態という)。
【0067】
このようにして、把持回転開始状態から把持回転終了状態にすることにより、保持体94を注射器本体90の先端92から分離させる。注射器本体90の先端92から分離した保持体94は、重力によって、挿入孔100、すなわち、スペーサー72の貫通孔、インナー把持部60の貫通孔68、ボールスプライン軸48の貫通孔52を、自由落下状態で、通って、容器本体12に収容され、回収される。
【0068】
もし、一回の把持回転開始状態から把持回転終了状態への操作で、保持体94が若干回転しつつも、保持体94が注射器本体90の先端92から完全に分離しなかった場合、把持回転終了状態で、使用者は、注射器本体90を保持している手の小指球でカバー86を下側に押さえながら注射器本体90を上側に引き抜く。このとき、カバー86が下側に押さえられているから、止めネジ83を介してアウター把持部62は、下方向に押しつけられている。
【0069】
このような状態で、注射器本体90を上側に引き抜くと、インナー把持部60がアウター把持部62とインナー把持部60との嵌合による引っ張り強さに屈して、やがて、インナー把持部60がアウター把持部62から抜け、ひいては、インナー把持部60の貫通孔61の内径が元の大きさに戻り、貫通孔61が作用していた保持体94の保持力がほとんどなくなり、インナー把持部60の貫通孔61から保持体94が抜ける。
【0070】
次に、使用者の手を上方に移動させると、圧縮コイルバネ54の付勢力により、ボールスプライン軸48が上方向に移動し、図9に示すような元の状態になる。
【0071】
そして、使用者は、蓋部114を回転させて、開口部116を覆う。これにより、容器本体12に収容され、回収された保持体94は、蓋部114の密閉により、容器本体12にほぼ隔離された状態になるので、保持体94の針に付着した血液等から接触による使用者等への感染をより確実に防止することができる。
【0072】
使用者は、把持回転開始状態から把持回転終了状態を含む上述の作業を反復することにより、確実に、かつ、簡単に、保持体94を注射器本体90の先端92から完全に分離させることができる。特に、使用者が、把持回転開始状態から把持回転終了状態を含む以上の作業を反復する手の動きに着目すれば、使用者は、単に、手に注射器本体90を保持した状態で、中心軸Cの延長線上を上下させているだけであるので、廃棄針用回収容器10は、従来のような複雑な機構や電源を必要としない。
【0073】
ところで、廃棄針用回収容器10の容器本体12は一般の容器を用いることができる。その場合、その一般の容器に取り付ける廃棄針用回収部品を用いればよい。
【0074】
そのような廃棄針用回収部品は、例えば、図1、図9において、その一般の容器本体の雌ネジに螺合によって接続される雌ネジ30のような接続手段と、保持体94が挿入される挿入孔100が形成された開口部14と、を備えればよい。そして、開口部14は、保持体94を把持する把持手段64と、この把持手段64の挿入孔100が延びる孔方向への線運動に伴って、把持手段64を回転運動させる運動変換機構とを有すればよいことは、当業者であれば自明なことである。
【0075】
図11及び図12を参照して、別の実施形態について説明する。
【0076】
図11及び図12に示す廃棄針用回収容器10は、スペーサー36と、下側バネ受部材40とが設けられていること、及び、廃棄口部24の向きがことなること以外は、図1から図6に示す廃棄針用回収容器10と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
廃棄口部24は、側部16の中心軸Cと略直角の方向に伸びる中心軸を有する円筒形状に形成されているが、これに限定されず、任意の方向に伸びる中心軸を有する円筒形状に形成されていてもよい。廃棄口部24の外周は、雄ネジが形成されている。開閉部材26は、例えば、円盤形状の基部と、この基部の一方の底面に形成された凹部と、基部の外周側面に形成された把持部とを有する。凹部の内周面には、例えば、廃棄口部24の外周の雄ネジと螺合可能な雌ネジが形成されている。したがって、開閉部材26は、必要なときに、開閉部材26を回転させることにより、廃棄口部24を開閉させることができる。
【0078】
開口部14は、例えば、分離部32の上側に円柱形状のスペーサー36を有する。スペーサー36は、分離部32の円筒外周面の直径と略同じ直径を有する。スペーサー36には、その円中軸が伸びる方向に貫通孔38が形成されている。貫通孔38は、貫通孔38の中心軸が側部16の円柱形状の中心軸Cと一致するように、形成されている。
【0079】
開口部14は、スペーサー36の上側に下側バネ受部材40を有する。下側バネ受部材40は、略円柱形状を有し、その上側中央に凹部42が形成されている。凹部42の底部44の中央には、下側バネ受部材40の下側の面を貫通する貫通孔46が、貫通孔46の中心軸が側部16の円柱形状の中心軸Cと一致するように、形成されている。したがって、貫通孔34、貫通孔38、貫通孔46は、いずれも、側部16の円柱形状の中心軸Cと一致しているので、同心円を形成している。また、貫通孔34、貫通孔38、貫通孔46は、いずれも、ボールスプライン軸48を非接触かつ回転可能に挿通できる直径を有する。
【0080】
下側バネ受部材40の凹部42には、圧縮コイルバネ54の下端が配置されている。圧縮コイルバネ54は、ボールスプライン軸48が圧縮コイルバネ54の内側に位置し、回転可能に上下することができるように、ボールスプライン軸48の外径よりも大きい内径とすることが好ましい。
【0081】
開口部14は、分離部32の上側に円柱形状のスペーサー36やスペーサー36の上側に下側バネ受部材40を有するので、図1から図6に示す廃棄針用回収容器10よりも、ボールスプライン軸48のストロークを短くすることができる。
【0082】
以上のように、使用者は、図11及び図12に示す廃棄針用回収容器10を把持回転開始状態から把持回転終了状態までの作業を含む上述の作業を反復することにより、確実に、かつ、簡単に、筒状部99bを注射器本体98の先端98aから完全に分離させることができる。特に、使用者が、把持回転開始状態から把持回転終了状態を含む上述の作業を反復する手の動きに着目すれば、使用者は、単に、手に注射器本体98を保持した状態で、中心軸Cの延長線上を上下させているだけであるので、図11及び図12に示す廃棄針用回収容器10も、従来のような複雑な機構や電源を必要としない。
【0083】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。例えば、上述の廃棄針用回収容器は、注射針と共に、医療廃棄物として処理できる材質(例えば、注射針がステンレスで形成されている場合、廃棄針用回収容器に用いられている金属は、ステンレスで形成されていることが好ましい。)であることが好ましい。また、実施形態で示した具体的な構成は、すべて例示であって、同一作用効果を奏する別の構成に置き換えてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
C 中心軸
F 設置面
10 廃棄針用回収容器
12 容器本体
14 開口部
16 側部
18 底部
20 口部
22 滑止部
24 廃棄口
26 開閉部材
28 雄ネジ
30 雌ネジ
32 分離部
33 底部
34 貫通孔
36 スペーサー
38 貫通孔
40 下側バネ受部材
42 凹部
44 底部
46 貫通孔
48 ボールスプライン軸
50 軸受
52 貫通孔
54 圧縮コイルバネ
56 凹部
60 インナー把持部
61 貫通孔
62 アウター把持部
63 スリット
64 把持手段
66 凹部
68 貫通孔
70 圧縮コイルバネ
72 スペーサー
74 長孔
76 凹部
78 上側バネ受部材
80 凹部
82 ベアリング
83 止めネジ
84 貫通孔
85 円盤部
86 カバー
87 筒状部
88 貫通孔
90 注射器本体
92 先端
94 保持体
96 注射針部
100 挿入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器本体の先端に保持体を介して螺合された注射針部を回収する廃棄針用回収容器であって、
容器本体と、この容器本体の上面に位置し、前記保持体が挿入される挿入孔が形成された開口部と、を備え、
前記開口部は、前記保持体を把持する把持手段と、この把持手段の前記挿入孔が延びる孔方向への線運動に伴って、前記把持手段を回転運動させる運動変換機構と、を有し、
前記挿入孔に挿入された保持体が、前記孔方向に動かされることで前記注射器本体から分離される廃棄針用回収容器。
【請求項2】
前記把持手段は、前記線運動が、前記廃棄針用回収容器の重心を通る軌道で行われる位置に設けられている請求項1記載の廃棄針用回収容器。
【請求項3】
前記把持手段は、前記保持体に設けられた凹凸に噛合して、前記把持手段に対する前記保持体の相対的な回転を禁止する噛合部を有する請求項1又は2記載の廃棄針用回収容器。
【請求項4】
前記把持手段を上方向に付勢する付勢手段をさらに備える請求項1から3いずれか記載の廃棄針用回収容器。
【請求項5】
前記開口部を有する分離部は、前記容器本体に対して着脱可能に設けられている請求項1から4いずれか記載の廃棄針用回収容器。
【請求項6】
前記容器本体は、分離された注射針部を廃棄するための廃棄口と、この廃棄口を開閉する開閉部材と、を有する請求項1から5いずれか記載の廃棄針用回収容器。
【請求項7】
前記容器本体は、注射器本体の先端に保持体を介して嵌合された注射針部を回収する回収手段をさらに備える請求項1から6いずれか記載の廃棄針用回収容器。
【請求項8】
注射器本体の先端に保持体を介して螺合された注射針部を回収する廃棄針用回収容器に用いられる廃棄針用回収部品であって、
前記廃棄針用回収容器の容器本体に接続される接続手段と、前記保持体が挿入される挿入孔が形成された開口部と、を備え、
前記開口部は、前記保持体を把持する把持手段と、この把持手段の前記挿入孔が延びる孔方向への線運動に伴って、前記把持手段を回転運動させる運動変換機構と、を有する廃棄針用回収部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−110356(P2012−110356A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−84506(P2009−84506)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(392036108)株式会社みくに工業 (17)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【Fターム(参考)】