説明

廃水処理方法及びその処理装置

【課題】危険性のある試薬や有毒なオゾンを使用せず、容易にかつ簡単な構成で水中に含まれるシアン化物とアンモニアを安価に分解することができる廃水処理方法及びその処理装置を提供する。
【解決手段】少なくともシアン化物とアンモニアを含有する廃水に光触媒の存在下で紫外線を照射してシアン化物とアンモニアを分解することを特徴とする廃水処理方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭を乾溜させる工程にて発生する石炭ガスを水洗する際に発生する石炭乾溜廃水中のシアン化物とアンモニアなどを分解処理する廃水処理方法及びその処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、石炭を乾溜させる工程にて発生する石炭ガスを水洗する際に発生する石炭乾溜廃水には、シアン化物(遊離シアン(CN)をアニオン有する塩やシアンを含む化合物(配位子としてシアノ基を有するシアノ錯体等)等)やアンモニア等が含まれており、これらのうち、シアン化物やアンモニアは強い毒性を有するため、処理が法律により義務づけられている。
【0003】
石炭乾留廃水のようなシアン化物が含まれた廃水を処理する方法として、石炭乾溜廃水に苛性ソーダを添加してpHを10.0に調整しながら、次亜塩素酸ソーダを添加してシアン化物をシアノ酸へ分解し、次工程にてシアノ酸とアンモニアを分解するアルカリ塩素法(特許文献1)や、石炭乾溜廃水にオゾンガスを注入しながら、紫外線を照射させ、シアン化物とアンモニアとを一槽で分解するオゾン酸化(促進酸化)法(特許文献2)、石炭乾溜廃水を電解処理する電気分解法(特許文献3)などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭50−118962号公報
【特許文献2】特開2006−341229号公報
【特許文献3】特開2005−219001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたアルカリ塩素法は、シアン化物をシアノ酸に分解する工程と、シアノ酸処理およびアンモニアを分解処理する2つの工程が必要となるため、処理が煩雑であり、また苛性ソーダ取り扱いの危険性や分解処理中のpH管理を誤るとシアンガスが放出されるという危険性を有する。
【0006】
また、特許文献2に記載されたオゾン酸化(促進酸化)法は、分解に使用するオゾンに人体に対する毒性があり、またオゾンが残留するので、シアン化物とアンモニアを分解した後に残留しているオゾンの無害化処理工程が必要となる。さらに、オゾンと廃水の反応は、気液接触反応となるので反応率が悪く、その為に過剰量のオゾンを添加する必要があるという問題がある。
【0007】
さらに、特許文献3に記載された電気分解法は、電極に白金やイリジウムを使用するために処理にかかる費用が高価であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、危険性のある試薬や有毒なオゾンを使用せず、容易にかつ簡単な構成で水中に含まれるシアン化物とアンモニアを安価に分解することができる廃水処理方法及びその処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成するため、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、少なくともシアン化物とアンモニアを含有する廃水に光触媒の存在下で紫外線を照射してシアン化物とアンモニアを分解することによって、危険性のある試薬や有毒なオゾンを使用せず、容易にかつ簡単な構成で水中に含まれるシアン化物とアンモニアを安価に分解することができることを見出した。すなわち、本発明は、少なくともシアン化物とアンモニアを含有する廃水に光触媒の存在下で紫外線を照射してシアン化物とアンモニアを分解することを特徴とする廃水処理方法である。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、危険性のある試薬や有毒なオゾンを使用せず、容易にかつ簡単な構成で水中に含まれるシアン化物とアンモニアを安価に分解することができる廃水処理方法及びその処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る廃水処理装置の実施形態が含まれた処理工程を示す概念図である。
【図2】本実施形態に係る廃水処理装置の平面断面概念図である。
【図3】本実施形態に係る廃水処理装置の正面断面概念図である。
【図4】本実施形態に係る廃水処理装置に用いられる光触媒カートリッジの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明に係る廃水処理装置の実施形態について説明する。本実施形態に係る廃水処理装置は、石炭を乾溜させる工程にて発生する石炭ガスを水洗する際に発生する石炭乾溜廃水を処理するものであり、その排水中のシアン化物とアンモニアなどを分解するものである。すなわち、図1に示すように原料石炭を乾留する際にガスが発生するが(A)、そのガスを冷却する(B)。その冷却には、水をスプレーする方式が一般的で、水洗した水は、シアン化物やアンモニア、ベンゼン等を含有するが、ベンゼンは水に対し不溶なので分離除去が可能で(C)、そのベンゼンを取り除いた水が廃水処理工程(D)に移される。また、水洗されたガスについては、脱硫等の精製処理が行われるが(E)、この際に使用される触媒再生工程にてシアンやベンゼンが回収され、これらも廃水処理工程(D)に送られる。廃水処理工程(C)においては、まず凝集沈殿処理を行い、本実施形態に係る廃水処理装置は、固形物が取り除かれた廃水中のシアン化物とアンモニアなどの分解処理を行なうものである。
【0013】
本実施形態に係る廃水処理装置は、図2に示すように廃水が流動可能な流動槽10と、流動槽10内を流動する廃水が通過可能に配置され、光触媒機能を有する繊維からなる光触媒カートリッジ12と、流動槽10内の流動する廃水に紫外線を照射可能な紫外線照射ランプ14と、を備えている。
【0014】
流動槽10は、内部を前後2つの領域に二分する仕切り板16が設けられており、この仕切り板16は、その左側辺と流動槽10の左側面との間には間隔が空いており、この間隔によって流動槽10の左側面側に前後2つの領域を連通するよう構成されている。また、流動槽10内前側領域の右側面には、廃水が流入可能な流入口10Aが形成され、後側領域の右側面には、廃水が流出可能な流出口10Bが形成されている。また、流動槽10の流入口10A及び流出口10B近傍には、所定の高さを有し、廃水の流入又は流出方向に対して垂直に交わるように幅方向全域に亘って底面から立脚する第1流動方向変更板18A、18Bが設けられ、流動槽10の左右方向の略中間位置には、所定の高さを有し、廃水の流入又は流出方向に対して垂直に交わるように幅方向全域に亘って上面から立脚する第2流動方向変更板20A、20Bが設けられており、第1流動方向変更板18A、18Bの上端は、第2流動方向変更板20A、20Bよりも上方に位置するように構成されている。循環槽10がこのように構成されることによって、流入口14Aから前側領域に流入された廃水は、全体的に図2の左方向に流動しながら、第1流動方向変更板18Aに当たり、流動方向が上方に変更され、次いで第2流動方向変更板20Aに当たり、流動方向が下方に変更され、左側の間隔から後側領域に流動させ、全体的に図2の右方向に流動しながら、第2流動方向変更板20Bに当たり、流動方向が下方に変更され、第1流動方向変更板10Bに当たり、流動方向が下方に変更され、流出口10Bから流出させることができる。
【0015】
光触媒カートリッジ12は、洗浄排水の流動方向に対して垂直に交わる面の全域に亘って、前側領域の第1流動方向変更板18A近傍下流側(図2及び3の左側)、仕切り板20の左側辺に当接する位置、及び後側領域の第1流動方向変更板18B近傍上流側(図2及び3の左側)の3カ所に設置されている。各光触媒カートリッジ12は、図4に示すように平板状不織布12Aと一対の金網12B、12Bとからなり、平板状不織布12Aが一対のステンレス製の金網12B、12Bに狭持されている。このように金網12B、12Bをサポート材として用いてカートリッジ状にすることにより、光触媒機能が劣化した平板状不織布12Aを容易に取り換えることができる。多段の光触媒カートリッジを枠体等を用いて連結構造とすることにより、脱着を容易にすることができる。本実施形態において、光触媒カートリッジを3個としたが、求められる水質等に応じて、任意にその数を決定することができ、例えば1〜50個とすることができる。また、本実施形態においては、光触媒カートリッジ12として平板状不織布12Aを流動槽10に固定したが、他の手段により設置してもよい。さらに、本実施形態において、各光触媒カートリッジ12は、その面が水の流動方向に垂直に交わるように設置したが、流動する水が効率良く平板状不織布12Aを通過すれば良く、例えば流動方向に対して10°前後、好ましくは5°前後、傾いて設置されても良い。
【0016】
紫外線照射ランプ14は、円柱状に形成されており、その外表面には、円筒状のカバー部材(図示省略)が設けられている。このカバー部材は、250〜260nmだけでなく、180から190nmのピーク波長を透過する材質、例えば、合成石英からなる。一般的な低圧水銀ランプは、本来、185nmと254nmの2つの波長を有するが、通常のカバー部材の素材であるガラスが短波長の紫外線を透過しないため、254nmの波長のみを照射する。本実施形態に係る紫外線酸化装置において、紫外線照射ランプ18は、上述のようにカバー部材の素材を特殊なものにすることによって、180〜190nmと250〜260nmにピーク波長を有する紫外線を照射可能に構成されている。紫外線照射ランプ11から照射される紫外線は、180〜190nm、好ましくは185nmにピーク波長を有し、かつ、250〜260nm、好ましくは254nmにピーク波長を有する。この紫外線照射ランプ14は、光触媒カートリッジ16の間に4本、後側領域及び前側領域に亘って、上下左右に2つずつ平設されており、その長手方向が光触媒カートリッジ16に対して平行な状態に設けられている。下の二つの紫外線照射ランプ14の下方には、紫外線照射ランプ14、及び流動槽10の底面の間の幅方向全域に亘って、第3流動方向変更板22が設けられており、これら第3流動方向変更板22によって、紫外線照射ランプ14と流動槽10の底面の間には、廃水が流動しないよう構成されている。
【0017】
本実施形態に係る紫外線酸化装置に用いられる平板状不織布12Aは、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が繊維の表層に向かって傾斜的に増大している光触媒繊維からなる。
【0018】
光触媒繊維の表面は、必要に応じて白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、インジウム(In)及びスズ(Sn)のうちの1以上が担持されていてもよい。担持方法は、特に限定されないが、前記担持される金属イオンが含まれる液と光触媒繊維とを接触させながら、第2相を構成する金属酸化物のバンドギャップに相当するエネルギー以上のエネルギーを有する光を照射することによって、担持させることができる。
【0019】
第1相は、シリカ成分を主体とする酸化物相であり、非晶質であっても結晶質であってもよく、またシリカと固溶体あるいは共融点化合物を形成し得る金属元素あるいは金属酸化物を含有してもよい。シリカと固溶体を形成し得る金属元素(A)としては、例えば、チタン等が挙げられる。シリカと固溶体を形成し得る金属酸化物の金属元素(B)としては、例えば、アルミニウム、ジルコニウム、イットリウム、リチウム、ナトリウム、バリウム、カルシウム、ホウ素、亜鉛、ニッケル、マンガン、マグネシウム、及び鉄等が挙げられる。
【0020】
第1相は、シリカ基複合酸化物繊維の内部相を形成しており、力学的特性を負担する重要な役割を演じている。シリカ基複合酸化物繊維全体に対する第1相の存在割合は40〜98重量%であることが好ましく、目的とする第2相の機能を十分に発現させ、なお且つ高い力学的特性をも発現させるためには、第1相の存在割合を50〜95重量%の範囲内に制御することがさらに好ましい。
【0021】
一方、第2相は、チタンを含む金属酸化物相であり、光触媒機能を発現させる上で重要な役割を演じるものである。金属酸化物を構成する金属としては、チタンが挙げられる。この金属酸化物は、単体でもいいし、その共融点化合物やある特定元素により置換型の固溶体を形成したもの等でも良いが、チタニアであることが好ましい。第2相は、シリカ基複合酸化物繊維の表層相を形成しており、シリカ基複合酸化物繊維の第2相の存在割合は、金属酸化物の種類により異なるが、2〜60重量%が好ましく、その機能を十分に発現させ、また高強度をも同時に発現させるには5〜50重量%の範囲内に制御することがさらに好ましい。第2相のTiを含む金属酸化物の結晶粒径は15nm以下が好ましく、特に10nm以下が好ましい。
【0022】
第2相に含まれる金属酸化物のチタンの存在割合は、シリカ基複合酸化物繊維の表面に向かって傾斜的に増大しており、その組成の傾斜が明らかに認められる領域の厚さは表層から5〜500nmの範囲に制御することが好ましいが、繊維直径の約1/3に及んでもよい。尚、第1相及び第2相の「存在割合」とは、第1相を構成する金属酸化物と第2相を構成する金属酸化物全体、即ちシリカ基複合酸化物繊維全体に対する第1相の金属酸化物及び第2相の金属酸化物の重量%を示している。
【0023】
紫外線酸化装置において、平板状不織布上の平均紫外線強度は、1〜10mW/cmであることが好ましく、さらに2〜8mW/cmの範囲であることが好ましい。平板状不織布表面での紫外線強度が1〜10mW/cmであると、2つの紫外線成分による水処理を高効率に行うことができる。このような範囲にするには、紫外線照射手段と平板状不織布との距離等を適当な範囲になるようにすればよい。ここで、平均紫外線強度は、不織布表面の中央部から端部までの複数個所の紫外線強度を測定し、これらの値を平均して平均紫外線強度とすることができる。
【0024】
上記のような傾斜構造を有する光触媒繊維は、既知の方法によって製造することができ、例えばWO2009/63737号公報に記載の方法に基づいて製造することができる。
【0025】
次に、本実施形態に係る廃水処理装置を用いた排水処理する方法について説明する。先ず、流入口10Aに供給された廃水は、光触媒カートリッジ12を通りながら、流動槽10内を流動する。平板状不織布12Aは、繊維一本一本がある程度の空隙を有して分散した構造になっているために、水が通過する際、光触媒との接触面積が非常に大きい。このため、光触媒機能を有する平板状不織布12Aによって効率的にラジカルが発生し、シアン化物及びアンモニアを分解する。光触媒繊維からなる平板状不織布12Aの表面及び裏面の両面に紫外線が照射されることにより、さらに効率的にラジカルを発生させることができる。
【0026】
通常、チタニア光触媒を利用した紫外線酸化装置においては、紫外線照射ランプは、波長351nmのブラックライト蛍光ランプ又は波長254nmの殺菌ランプが用いられる。チタニア光触媒は、387nm以下の波長であれば励起することができ、又これらのランプは製品として入手しやすいためである。廃水処理装置においては、従来用いられなかった紫外線を利用し、かつ光触媒を所定の配置構造にすることにより、高い分解効率を得ることができる。すなわち、本発明に係る紫外線酸化装置においては、光触媒繊維からなる平板状不織布と、この平板状不織布と平行になるように設置され、180〜190nmと250〜260nmとにピーク波長を有する紫外線を照射する紫外線照射手段とを有するので、上記光触媒への光照射効率と処理流体との接触効率を維持しながら、180〜190nmの紫外線が光触媒によって遮断されることはない。
【実施例】
【0027】
以下、本発明に係る廃水処理装置の実施例を説明する。
【0028】
(製造例)
先ず、実施例に用いられる平板状不織布としてチタニア/シリカ繊維を製造した。すなわち、5リットルの三口フラスコに無水トルエン2.5リットルと金属ナトリウム400gとを入れ窒素ガス気流下でトルエンの沸点まで加熱し、ジメチルジクロロシラン1リットルを1時間かけて滴下した。滴下終了後、10時間加熱還流し沈殿物を生成させた。この沈殿をろ過し、まずメタノールで洗浄した後、水で洗浄して、白色粉末のポリジメチルシラン420gを得た。ポリジメチルシラン250gを水冷還流器を備えた三口フラスコ中に仕込み、窒素気流下、420℃で30時間加熱反応させて数平均分子量が1200のポリカルボシランを得た。
【0029】
ポリカルボシラン16gにトルエン100gとテトラブトキシチタン64gを加え、100℃で1時間予備加熱させた後、150℃までゆっくり昇温してトルエンを留去させてそのまま5時間反応させ、更に250℃まで昇温して5時間反応させ、変性ポリカルボシランを合成した。この変性ポリカルボシランに意図的に低分子量の有機金属化合物を共存させる目的で5gのテトラブトキシチタンを加えて、変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物の混合物を得た。
【0030】
この変性ポリカルボシランと低分子量有機金属化合物の混合物をトルエンに溶解させた後、ガラス製の紡糸装置に仕込み、内部を十分に窒素置換してから昇温してトルエンを留去させて、180℃で溶融紡糸を行った。紡糸繊維を空気中、段階的に150℃まで加熱し不融化させた後、1200℃の空気中で1時間焼成を行い、チタニア/シリカ繊維を得た。
【0031】
(実施例1)
製造例で得られたチタニア/シリカ繊維を用いて、図4に示される平板状不織布を含む光触媒カートリッジを作成し、図2及び3に示される廃水処理装置を作製した。用いた紫外線照射ランプは、ヘレウス社製NNI60/35XL(出力:65W)を4本使用した。紫外線照射ランプは、波長254nmにピークをもつ250〜260nmの紫外線を放射するものである。紫外線照射ランプと光触媒カートリッジの距離は、最短部で50mmとし、平板状不織布表面の平均紫外線強度は2mW/cmであった。紫外線強度は、浜松ホトニクス社製C9536紫外線照度計を用いて測定し、平板状不織布表面の中央部から端部まで9箇所を測定し、この平均値を平均紫外線強度とした。
【0032】
処理水は、シアン化カリウムを2000ppmとフェリシアン化カリウムを420ppm、アンモニアを濃度1000ppmになるように作成した。この際シアンガス発生を抑制するため水酸化ナトリウムをpH10.5となるように添加した。
【0033】
試料水25Lを5L/minの流量で前記試験装置を用いて試験を行った。処理方法は循環処理である。一定時間毎にサンプリングを行い、シアン濃度とアンモニア濃度を測定した。その結果運転開始から6時間後には全シアン濃度0ppmまで低下させることが出来た。またアンモニア濃度も10ppmまで低下した。
【0034】
(実施例2)
図2及び3に示される廃水処理装置の光触媒カートリッジへ照射される紫外線の平均強度を1mW/cmとなるように配置しそれ以外は実施例1と同じように試験を行った。その結果、6時間経過後の全シアン濃度は200ppmに低下し、アンモニアは450ppmまで低下した。
【0035】
これら実施例1及び2の結果を表1に示す。全シアン濃度及びアンモニア濃度が著しく低くなっていることは明らかである。
【0036】
【表1】

【符号の説明】
【0037】
10 流動槽
12 光触媒カートリッジ
14 紫外線照射ランプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともシアン化物とアンモニアを含有する廃水に光触媒の存在下で紫外線を照射してシアン化物とアンモニアを分解することを特徴とする廃水処理方法。
【請求項2】
前記廃液は、石炭乾留排水であること特徴とする請求項1記載の廃水処理方法。
【請求項3】
前記光触媒が繊維状であり、シリカ成分を主体とする酸化物相(第1相)とチタンを含む金属酸化物相(第2相)との複合酸化物相からなるシリカ基複合酸化物繊維であって、第2相を構成する金属酸化物のチタンの存在割合が繊維の表層に向かって傾斜的に増大していることを特徴とする請求項1又は2記載の廃水処理方法。
【請求項4】
前記光触媒が平板状不織布であり、該不織布の面が、被処理水の流動方向に対して垂直になるように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の廃水処理方法。
【請求項5】
前記平板状不織布は、前記流動槽から着脱可能であることを特徴とする請求項4記載の廃水処理方法。
【請求項6】
前記平板状不織布の面に紫外線が照射可能であることを特徴とする請求項4又は5記載の廃水処理方法。
【請求項7】
光触媒及び紫外線照射部を有し、少なくともシアン化物とアンモニアを含有する廃水に光触媒の存在下で紫外線を照射してシアン化物とアンモニアを分解する廃水処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−212571(P2011−212571A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82437(P2010−82437)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】