説明

廃水処理方法及び廃水処理装置

【課題】従来のアンモニウムイオン及びリン酸イオン含有の有機性廃水処理システムにおいて、マグネシウム製アノード空気電池手段により効率よく継続して窒素及びリンをMAPとして除去・回収すると共に発電する手段は開示されていなかった。
【解決手段】マグネシウム金属またはマグネシウム合金の電気化学的に卑電位の金属をアノードとし、前記アノードよりも貴電位の金属、炭素質材または前記貴電位の金属及び炭素質材に金、白金、バナジウム、ヘモグロビン、動物の血液等から選択した触媒を担持高温処理したものをカソードとした電極対と、電極接続導電手段と、溶存酸素供給手段と、有機性窒素及びリン酸イオン含有の電解液とで空気電池を構成することで、効率よく継続して水酸化物及びMAPを製造する空気電池式電気化学反応手段とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理施設、畜産廃水処理施設や各種有機性工場廃水処理施設等における処理システムに係り、さらに具体的にはリン酸イオンとアンモニウムイオン濃度の高い有機性廃水を、冨栄養化物質のリンと窒素を有用肥料であるリン酸マグネシウムアンモニウム(以降MAPと称する)として除去・回収処理する廃水処理方法及び廃水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リン酸イオンとアンモニウムイオン濃度の高い有機性廃水を、冨栄養化物質のリンと窒素を有用肥料であるMAPとして除去・回収処理する廃水処理方法及び廃水処理装置における一つの手段として、pH調整剤として水酸化ナトリウム等を添加すると共に不足マグネシウム源として塩化マグネシウム等を添加している(例えば、特許文献1。)。
また、MAPとして除去・回収処理する廃水処理方法及び廃水処理装置における一つの手段として、処理対象汚水を曝気することによりpH調整している。(例えば、特許文献2。)。また、鶏糞焼却灰からリンを回収する知見が示されている(例えば、特許文献3。)。又、リン含有有機物焼却灰からリンを回収する知見が示されている(例えば特許文献4。)。そして又、亜リン酸含有めっき廃液からリン酸マグネシウム等を分離回収する方法が開示されている(例えば特許文献5。)。
【0003】
しかし、純マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とした空気電池式の電気化学反応手段を廃水処理システムに配設してMAPの結晶粒子を生成及び成長させる廃水処理方法と廃水処理装置は開示されていない。そして又、廃棄物から回収したリンを、難分解性窒素化合物含有廃水中の窒素化合物を分解変性したアンモニウムイオンとマグネシウムイオンとで有用資源のMAPとすると共に廃水中の富栄養化物である窒素を低減する方法は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−45889
【特許文献2】特開2004−195453
【特許文献3】特開2010−202491
【特許文献4】特開2010−202491
【特許文献5】特開2004−284908
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水処理システムにおいて、マグネシウム金属およびマグネシウム合金アノード電極を配設した空気電池手段により効率よく継続してリン酸イオンおよびアンモニウムイオンをMAPとして除去・回収する手段が開示されていなかった。
【0006】
又、都市下水、畜舎汚水等において、晶析反応でリン酸アンモニウムマグネシウムを生成するに必要なアンモニウム含有必要量に対してリン含有必要量は等量であるが、都市下水、畜舎汚水等におけるリン含有量はアンモニウム含有量に対して極めて少ないが、活性汚泥焼却灰、家畜骨、魚骨、鶏糞、亜リン酸含有ニッケルめっき廃水等のリンを抽出して、都市下水、畜舎汚水等における、晶析反応の不足リン源として活用し、廃水処理放流水中の富栄養化物質である窒素を低減すると共に有用肥料であるリン酸アンモニウムマグネシウムの収率を向上する手段は開示されていなかった。
【0007】
又、電源を有する電気分解法では、電気設備費と電力費が必要である問題があった。
【0008】
従って、本発明においては、マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極を配設した空気電池手段により効率よく継続してMAPを製造することを課題とする。
【0009】
又、MAP製造単価を低減することを課題とする。
【0010】
又、マグネシウム合金廃棄物を空気電池のアノード電極として配設して未利用エネルギー資源を有効活用することを課題とする。
【0011】
又、本発明は、冬季における水温の低下に伴って電気化学反応速度の低下及び生物化学反応の低下を阻止して、より一層の効率良い電気化学反応と生物化学反応とすることを課題とする。
【0012】
又、効率よい継続したMAPの製造と、水素ガスの製造と、窒素及びリンの除去を一部並行するか全て平行して、又は別々に操業しながら、電気設備費と電力費をほとんど必要とせずに、効率よく継続して水素ガスを製造し、発電し、又は窒素・リンを除去・回収することを課題とする。
【0013】
又、マグネシウム合金廃棄物を空気電池のアノード電極として配設し、生成した水酸化マグネシウム及び/叉はMAPとマグネシウム合金製アノードから剥離脱落した金属を分離捕集することを課題とする。
【0014】
そして又、マグネシウム合金廃棄物を空気電池のアノード電極として配設し、生成した水酸化マグネシウムで豚舎汚水又は糞堆肥化施設、牛舎又は糞堆肥化施設、し尿処理施設等の臭気を脱臭することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記目的を達成するため、以下に記載されるような技術構成とする。即ち、マグネシウム金属又はマグネシウム合金等の電気化学的に卑電位の金属をアノード電極とし、前記アノード電極よりも貴電位の金属、炭素質材または前記貴電位の金属及び炭素質材に金、白金、バナジウム、ヘモグロビン、動物の血液等から選択した触媒を担持高温処理したものをカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオンを含有するか、又はリン酸イオン生成手段とアンモニウムイオン生成手段で生成するアンモニウムイオン及びリン酸イオンを含有する有機性廃水を電解液とした空気電池を構成することで、効率よく継続して水酸化物及びMAPを製造する空気電池式電気化学反応手段とする。
【0016】
又、都市下水又は各種畜産廃水を前記電解質に適用する手段として、前記都市下水または各種畜産廃水には、リン酸イオンおよび尿素を含有しているが、該尿素は尿素分解酵素(ウレアーゼ)を保持する微生物の混入により、分解酵素の作用により、二酸化炭素とアンモニアに分解されるので、リン酸イオンに対するアンモニウムイオンのモル比が1:1以下になる時間数以上の貯留時間を確保する必要がある。アンモニア濃度の上昇に従って、pHも上昇し貯留時間100時間で9程度に上昇する。
【0017】
又有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥の最終沈殿余剰汚泥を濃縮手段で濃縮した濃縮汚泥を、主に通性嫌気性菌による生物学的酸醗酵処理により、前記有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥から溶出するリン酸イオンとアンモニウムイオンを高濃度で含有する酸醗酵処理脱離液を混合して生成した混合液を電解液とするか、又は、前記酸醗酵処理脱離液を単独で電解液とすることも出来る。
【0018】
又、前記濃縮汚泥を酸醗酵処理すると、汚泥中の有機物質が酢酸やプロピオン酸などの有機酸への分解が進むに伴って、リンやアンモニアの溶出が生起する。リンの溶出は、リン化合物が加水分解によるリン酸の放出と、酸性代謝産物である有機酸や硝酸、硫酸によるリン酸カルシウムの可溶化等による。又、アンモニアの溶出は、通性嫌気性菌群によりたんぱく質が分解され、アミノ酸となり、該アミノ酸が脱カルボキシル、脱アミノによる分解の結果、生起する。
【0019】
又、都市下水、畜舎汚水等において、晶析反応でリン酸アンモニウムマグネシウムを生成するに必要なアンモニウムイオン必要モル数に対してリン酸イオン必要モル数は等量であるが、都市下水、畜舎汚水等におけるリン酸イオン含有量はアンモニウムイオン含有量に対して極めて少ないが、活性汚泥、活性汚泥焼却灰、家畜骨、魚骨、鶏糞、亜リン酸含有めっき廃水等のリン酸イオンを抽出して、都市下水、畜舎汚水等における、晶析反応の不足リン酸イオン源として活用し、廃水処理放流水中の富栄養化物質である窒素を低減すると共に有用肥料であるリン酸アンモニウムマグネシウムの収率を向上する手段とする。そして、有機性廃水のアンモニウムイオン含有量が低減すると、後続工程の好気性処理でアンモニアを亜硝酸および硝酸へ酸化するに要する酸素量が低減する。
【0020】
又、不足リン酸イオン源として、活性汚泥をリン酸イオン資源剤とするには、該活性汚泥スラッジを加熱して、活性汚泥中のポリリン酸をポリリン酸またはリン酸イオンとして溶出する既往の方法で得られるリン酸イオンを添加剤として利用出来る。
【0021】
又、活性汚泥焼却灰をリン酸イオン資源剤とするには、該活性汚泥焼却灰のリン酸イオンをクエン酸等の弱酸または硫酸液中に抽出する既往の方法で得られるリン酸イオンを添加剤として利用出来る。
【0022】
又、家畜骨、魚骨等を炭化処理後粉砕したものを、高温で炭化処理後に微粉砕したものを水中過熱処理又は水酸化ナトリウム溶液で液中に抽出し、固液分離した液を不足リン源とする。
【0023】
又、亜リン酸含有無電解ニッケルめっき廃液中のニッケルイオンを苛性ソーダでpH調整して生成する水酸化ニッケルを分離した残余の分離液中の亜リン酸を、既往の方法であるヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム存在下過酸化水素で酸化処理して生成するリン酸イオンをリン酸イオン源とすることが出来る。
【0024】
又、飽和食塩水叉は海水を電解液として、マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とし、該アノード電極よりも貴電位の金属または炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続導電手段と、溶存酸素供給手段とで構成した空気電池式水酸化マグネシウム製造手段の空気電池と、リン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性電解質廃水処理において、マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とし、該アノード電極よりも貴電位の金属又は炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性電解質廃水とで構成した空気電池を直列接続して、安価な水酸化マグネシウム及びMAPを製造する空気電池式電気化学反応手段とすると共に、効率良く窒素及びリンを除去回収する空気電池式電気化学反応手段とする。
【0025】
又、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、前記マグネシウム金属またはマグネシウム合金よりも貴電位の金属または炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性廃水を収納すると共にpHセンサーを配設した空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置に、マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウム金属又はマグネシウム合金よりも貴電位の金属又は炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上9までを限度として添加して、短時間かつ効率よく窒素及びリンを除去回収する空気電池式電気化学反応手段とする。
【0026】
又、カソードの表面積をアノードの表面積よりも大きくして、電気化学反応速度大きくする手段とする。
【0027】
又、空気電池式電気化学反応手段の電解水に活性化マグネシウム微粉抹と電導手段及び吸水性ポリマーをイオン透過性袋に収納したものを浸漬して、水酸化物,MAP及び水素ガスの収量が増加する手段とする。
【0028】
又、マグネシウム合金廃材を空気電池のアノードとして配設し、生成した水酸化マグネシウム及び/叉はMAPとマグネシウム合金製アノードから剥離脱落した金属を分離捕集する手段として、水酸化マグネシウム及び/叉はMAPとマグネシウム合金製アノードから剥離脱落した金属との比重差による重力沈降速度叉は遠心力作用の差を利用して分離捕集する。また、磁性金属は磁力選鉱手段で分離捕集する。
【0029】
又、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水を収納すると共にpHセンサーを配設した空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置に、マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウム金属またはマグネシウム合金よりも貴電位の金属または炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加して、水酸化物及びMAPを製造する空気電池式電気化学反応手段とする。
【0030】
又、家畜糞を家畜尿廃水に適宜溶解して、リン酸イオンの濃度を高めることも出来る。
【0031】
又、水酸化マグネシウムを家畜糞堆肥化処理中に投入して、該家畜糞のアンモニアを吸着して悪臭防止手段とすると共に、家畜堆肥中にMAPを生成する手段とする。
【0032】
又、マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極および/またはカソード電極と電線等の電導体の接続部を防水手段で防水することにより、前記接続部における、前記マグネシウム金属又はマグネシウム合金アノード電極の酸化溶解現象による電通不良防止手段とする。
【0033】
そして又、同一金属または炭素質材をアノード電極およびカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、外部直流電源手段と、攪拌手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水とで反応手段を構成して、該反応手段の前記リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水に、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加してリン酸マグネシウムアンモニウムを製造する手段とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0035】
水酸化マグネシウムは凝集作用があるので、微粒子を凝集してSS除去効果がある。
【0036】
又、中性以上で、水酸化マグネシウム、MAPは溶解度が極めて小さいので、沈殿又は濾過等で固液分離が容易である。
【0037】
又、リン酸イオン、アンモニウムイオン及びマグネシウムイオンが共存する処理対象廃水のPhが7以上のアルカリ側、好ましくはpH8.5付近では結晶化するが、陰イオンのリン酸イオンは電気泳動によりカソードに集まり、カソード付近のリン酸イオン濃度が高まり、カソード電極にMAPの結晶が析出するので、高純度のMAPを簡単に採取することが出来る。
【0038】
又、水酸化マグネシウムの生成反応は発熱反応であるため、発熱反応エネルギーが大きいほど、電気化学反応速度が大きくなることへ有利に働く効果がある。
【0039】
また、生成する微細な水素ガスの湧昇により、水の対流現象が現れ、該対流現象によって、水表面では大気中酸素が水に溶存酸素として溶解する現象を伴うので、空気電池の電気化学反応に必要な酸素を供給する曝気動力をそれだけ低減出来ると共に電気化学反応を阻害する生成物質濃度を低減することが出来る。従って、省エネルギー効果も達成出来る。
【0040】
又、空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置へ流入するリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水において、アンモニウムイオン濃度がリン酸イオン濃度に対して高い廃水のリン酸イオンおよびアンモニウムイオン濃度計量手段で測定した不足リンをリン供給手段で供給することにより、処理水のアンモニウムイオン濃度が低減するので、難分解性の窒素化合物が減少することにより、有機性廃水処理における後処理工程の嫌気性処理および好気性処理に対する負荷が低減するので、嫌気性処理および好気性処理槽容量を低減出来き、好気性処理における曝気動力を低減出来ると共に、処理水の富栄養化物質の窒素化合物濃度を低減出来る。
【0041】
又、電気化学反応で生成する水酸化マグネシウムは酸中和剤、脱臭剤としても利用できるので、堆肥化工程で添加すると、堆肥化促進、アンモニア脱臭、優良堆肥化に寄与する。
【0042】
又、有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥の最終沈殿余剰汚泥を濃縮手段で濃縮した濃縮汚泥を、主に通性嫌気性菌による生物学的酸醗酵処理により、前記有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥から溶出するリン酸イオンとアンモニウムイオンの濃度比は、都市下水又は各種畜産廃水のリン酸イオンとアンモニウムイオンの濃度比よりも大きいだけでなく、リン酸イオン濃度も大きいので、生成MAP量が多くなり、空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置以降の難分解性窒素化合物を低減出来るので、生物学的処理時間が短くなると共に処理水質が向上する。
【0043】
又、空気電池はカソード電極での還元反応に酸素を必要とするので、反応を持続させるためには、酸素を補給する必要があるが、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性電解質廃水を生物処理している曝気槽に電極対を浸漬して空気電池式リン除去装置とする場合には特段の曝気は必要とせず、又、エアーリフトポンプで処理水を返送する途中において電極を浸漬する場合には補助的曝気でよいので、省エネルギー効果がある。又、アンモニア及びリン酸イオン含有の電解質廃水は冬季の低水温下では、電気化学反応速度が水温の低下に伴って小さくなるので、リン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性電解質廃水に電極対を浸漬して空気電池式リン酸アンモニウムマグネシウム製造装置の空気電池と空気電池式水酸化マグネシウム製造装置の空気電池とを直列及び並列接続すると、前記リン酸イオン含有の電解質廃水に電極対を浸漬して空気電池式リン除去装置の電圧と電流が増大するので、電気化学反応速度が大きくなり、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン除去速度が大きくなる効果がある。
【0044】
又、電極対のカソード電極の面積がアノード電極の面積と同じ場合に対して多い場合における閉回路電圧と発生電流が増加する閉回路電圧が増大し、負荷電流に対する電圧降下が小さくなり、利用可能電力量が増大するので、リン酸イオンおよびアンモニウムイオンを除去しながら発電し、水素ガスを生産出来るので、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン除去コストが低減出来る。
【0045】
又、空気電池式電気化学反応手段の電解液に活性化マグネシウム微粉抹と導電手段及び吸水性ポリマーをイオン透過性袋に収納したものを浸漬して、水酸化物,MAP及び水素ガスの収量が増加する手段とする。イオン透過性袋に収納したものを浸漬すると、水素ガスの生成量を増加する効果がある。
【0046】
又、処理水、有機性粒子、水酸化マグネシウム粒子およびマグネシウム合金含有合金金属の順に比重差があるので、重力沈降分離または遠心分離により、容易に分離することが出来る。
【0047】
又、アンモニア及びリン酸イオン含有の有機性廃水を収納すると共にpHセンサーを配設した空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置に、マグネシウム金属又はマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウム金属又はマグネシウム合金よりも貴電位の金属又は炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加することにより、短時間にリン酸マグネシウムアンモニウ晶析反応を達成出来る。
【0048】
又、水酸化マグネシウムはアンモニアを吸着するので、家畜糞堆肥製造時に生起する悪臭を防止する効果があると共にリン取り込んでMAPを生成するので家畜糞の肥料価値を高める効果がある。
【0049】
そして又、グネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極および/またはカソード電極と電線等の電導体の接続部を防水手段で防水することにより、前記接続部における、前記マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極の酸化溶解現象による電通不良を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は第三発明第一実施例の空気電池式MAP製造装置概略説明斜視図
【図2】図2は第四発明第一実施例の空気電池式MAP製造装置概略説明系統図
【図3】図3は第五発明第一実施例の空気電池式MAP製造装置概略説明系統図
【図4】図4は第六発明第一実施例の空気電池式MAP製造装置概略説明系統図
【図5】図5は第七発明第一実施例の概略説明系統図
【図6】図6は第八発明第一実施例のマグネシウム合金微粉末を活性化マグネシウム合金微粉末にする概略説明系統図
【図7】図7は第九発明第一実施例の活性化マグネシウム合金粉末をアノード電極とする概略説明縦断面図
【図8】図8は第十発明第一実施例の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置の混合固液を横流式沈殿槽で固液分離する概略説明縦断面図
【図9】図9は第十一発明第一実施例の堆肥製造に水酸化マグネシウムを利用する概略説明縦断面図
【図10】図10は第十二発明第一実施例の電極接続部防水加工の概略説明正面図
【図11】図11は第十三発明第一実施例のイオン透過性撥水シート配設の概略説明斜視図
【図12】図12は第十五発明第一実施例の外部直流電源電気分解式MAP製造装置概略説明系統図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【実施例1】
【0052】
図1は、マグネシウム合金製アノード電極1と、マグネシウム合金よりも電気化学的に貴電位のステンレスメッシュ製カソード電極2とで電極対3とし、前記マグネシウム合金製アノード電極1とステンレスメッシュ製カソード電極2を絶縁電線4で電気的に接続した二組の前記電極対3をリン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性廃水5に浸漬し、収納槽6に収納して2組の空気電池7を構成し、さらに散気装置8で空気を供給して前記リン酸イオン及びアンモニウムイオン含有の有機性廃水5を曝気すると共に攪拌して空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9を構成している。尚、前記電極対3の対数は二組としているが、組数は何組でも任意に選択出来、さらに前記マグネシウム合金製アノード電極1とステンレスメッシュ製カソード電極2はそれぞれ電気的に並列接属することも出来る。そして、前記電極対3は電極支持部材10で支持されている。尚、曝気及び攪拌手段としては、本実施例では前記散気装置9で空気を供給して前記リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水5を曝気すると共に攪拌している。前記マグネシウム合金製アノード1が酸化溶出してマグネシウムイオンとなり、電子がアノードからカソードへ移動すると共に前記ステンレスメッシュ製カソード電極2の活物質である酸素と水が電子を受け取り、水酸イオンを生成し、水酸化マグネシウムが生成する主反応が生起する。一方、水とマグネシウムが反応して、水酸化マグネシウムと水素ガスが生成する副反応も生起する。このようにして水酸化マグネシウムが生成すると共に空気曝気により炭酸ガスを水中から追い出す作用も加わり、廃水のアルカリ化が進み、Phが上昇する。そして、Phが7未満の酸性側で大部分が水溶性であったマグネシウムイオン、アンモニウムイオン及びマグネシウムイオンは、pHが7以上のアルカリ側になると、リン酸マグネシウムアンモニウムが結晶化するが、陰イオンであるリン酸イオン等は前記マグネシウム合金製アノード電極1方向に電気泳動で向かうので前記マグネシウム合金製アノード電極1近傍における前記リン酸イオン濃度が高くなる。また、陽イオンである前記マグネシウムイオンとアンモニウムイオン等は、前記ステンレスメッシュ製カソード電極2方向に電気泳動で向かうので前記ステンレスメッシュ製カソード電極2近傍における前記マグネシウムイオンとアンモニウムイオン濃度が高くなる。結果として、前記マグネシウム合金製アノード電極1と前記ステンレスメッシュ製カソード電極2に難溶性の前記リン酸マグネシウムアンモニウムが付着して晶析する。ところが、前記マグネシウム合金製アノード電極1に付着析出した前記リン酸マグネシウムアンモニウムはマグネシウムが酸化溶出するに伴い剥離する。カソード電極の素材としては、ステンレスだけでなく鉄、ニッケル、炭素質材とこれらに金、銀、白金、バナジウム、ビスマス、熱処理動物の血液、ヘモグロビン等の触媒を担持したものでも良く、叉、形状としては、平板状だけでなく、パンチングメタル、エキスパンドメタル、メッシュを円筒状にしたものでも良く、何ら制約するものでない。叉、一部の前記リン酸マグネシウムアンモニウムは水中でも晶析化して、浮遊状と沈殿状のリン酸マグネシウムアンモニウム固形物となる。尚、浮遊物は前記リン酸マグネシウムアンモニウムだけでなく、有機性廃水に含有の有機性及び無機性微粒子の混合物であって、叉、沈殿物は前記リン酸マグネシウムアンモニウムだけでなく、剥離合金金属物及び有機性廃水に含有の有機性及び無機性微粒子の混合物である。前記カソード電極としては、本実施例ではステンレスメッシュ製としているが、銅製、炭素質材、銀、金白金及び鉛等のマグネシウムよりも電気化学的に貴電位のものであれば排除しないが、経済性及び人体に無害性を考慮して決定すべきである。尚、し尿、下水、畜舎汚水等には、リン酸イオンとアンモニウムイオンの他にも、マグネシウムイオン、塩素イオン等も含有しているが、処理対象の有機性廃水には、マグネシウムイオンが含有していても含有していなくてもよい。
【0053】
図2は、都市下水処理施設の最初沈殿槽11の上澄水を貯留する貯留槽12を、図1記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9の前処理装置として配設していて、前記貯留槽12においては、廃水中にリン酸イオンおよび尿素を含有していて、該尿素は尿素分解酵素(ウレアーゼ)を保持する微生物の混入により、分解酵素の作用により、二酸化炭素とアンモニアに分解される。前記貯留槽12は、該貯留槽12における廃水のpHが7.5程度になる滞留時間である48時間を有していて、リン酸イオンに対するアンモニウムイオンのモル比が1:1以上が余裕を持って達成される。前記pH8の数値は限定すべき数値ではないが、リン酸マグネシウムアンモニウムの結晶を空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9において、効率よく分離出来る大きさに成長させるために好ましい数値である。尿素が尿素分解酵素により、そのほとんどが分解されるには、4日ないし5日程度を要するが、一般的に有機性廃水におけるリン酸イオン含有濃度はアンモニウムイオン濃度に対して極めて低いので、前記貯留槽の滞留時間は必要に応じて選定すれば良い。前記空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9には、電気化学反応を持続させると共に槽内液均一化のために散気装置8によって曝気している。試験の結果、マグネシウム合金製アノード電極1とステンレスメッシュ製カソード電極2には析出物が付着するが、電極と同じステンレスメッシュを電極とせずに、単に電解液に浸漬した対照試験片には析出物が目視出来なかった。この試験結果により、陰イオンはカソードへ向かい、陽イオンはアノードへ向かう電気泳動現象によるものと考えられる。前記マグネシウム合金製アノード電極1は電気化学反応の進行に伴って、マグネシウム金属は溶出するので、析出物とマグネシウム合金中の合金重金属化合物又は金属元素は前記マグネシウム合金製アノード電極1から剥離して沈降分離するので、三流路流体サイクロン13で重金属、MAPおよび液体に固液分離し、液体は活性汚泥法曝気槽14へ流入し、該活性汚泥法曝気槽内混合液を最終沈殿槽15で固液分離して上澄水を処理水としている。該最終沈殿槽15で固液分離した汚泥の内の余剰汚泥と前記最初沈殿槽11の沈殿汚泥を嫌気性消化槽16へ投入し、該嫌気性消化槽16で分解液化した処理液は前記活性汚泥法曝気槽14へ流入する。
【0054】
図3は、図2における空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9の前工程に都市下水処理施設の最初沈殿槽11の上澄水を貯留する貯留槽12を配設して尿素を酵素ウレアーゼで二酸化炭素とアンモニアに分解していることに加えて、有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥の最終沈殿余剰汚泥をデカンター型連続式遠心分離機17で濃縮した濃縮汚泥を、主に通性嫌気性菌による生物学的酸発酵の環境を提供する通気量0.12vvmに設定した散気装置8を配設した滞留時間70時間を有する通性嫌気性発酵槽18で酸発酵している。酸発酵により有機物質を一構成物質であるリンは可溶化し、又同じく一構成物質である蛋白質が通性嫌気性菌群で分解され、アミノ酸を経てアンモニアを生成する。前記酸発酵して固形物が減少するに伴って液体が増加した固液混合物を沈降分離し、固液分離した上澄液を前記貯留槽12に流入している。前記濃縮汚泥が酸発酵して生成するリン酸イオンがアンモニウムイオンに対する比率は都市下水または畜産廃水で生成するリン酸イオンのアンモニウムイオンに対する比率の10倍程度高い。又同時に不足リン分を補うために、活性汚泥焼却灰のリンを2w/v%クエン酸溶液で溶解抽出したリン酸液をリン酸溶液貯槽19から前記貯留槽12へ、リン酸イオン及びアンモニウムイオン濃度制御装置20によって制御されるポンプ21で注入している。このように不足リンを補充することにより、本処理系統のアンモニア除去量を増大すると共に、難分解性の窒素化合物の濃度を低減し、富栄養化物質である窒素濃度低減効果を伴っている。又、難分解性の窒素化合物の濃度が低減することにより、活性汚泥法曝気槽の容量を低減出来ると共に曝気時間の短縮により、曝気動力費を低減出来る。なお、本実施例では、前記リン酸イオン及びアンモニウムイオン濃度制御装置20で濃度測定装置による制御で前記ポンプ21によりリン酸液を注入しているが、定期的濃度測定資料を参考してリン酸液注入量を決定してもよい。
【0055】
図4は、図1記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9における空気電池7を一組とした該空気電池7と、海水22を電解液として、マグネシウム合金製アノード電極1と、ステンレスメッシュ製カソード2とした電極対3と、前記マグネシウム合金製アノード電極1とステンレスメッシュ製カソード電極2を絶縁電線4で電気的に接続した前記電極対3を前記海水22に浸漬し、収納槽6に収納して空気電池7を構成し、さらに散気装置8で空気を供給して前記海水22を曝気すると共に攪拌して空気電池式水酸化マグネシウム製造装置23の前記空気電池7を電気的に絶縁電線4で直列接続している。尚、前記空気電池7の組数には何ら制限はなく一組以上何組でもよい。
【0056】
図5は、pHセンサー24及びpH制御装置25を配設した空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9に、空気電池式水酸化マグネシウム製造装置23で生成した固液混合液を横流式沈殿槽26で固液分離した水酸化マグネシウム27を、前記pHセンサー24及びpH制御装置25で制御しているポンプ28で注入している。なお、固液混合液を固液分離する単位操作装置としては、前記横流式沈殿槽26に限定するものではなく、三流路液体サイクロン等も使用出来る。
【0057】
図6は、マグネシウム合金微粉末29を100℃以上に加熱後0℃以下に急冷して、前記マグネシウム合金微粉末29に超微細なクラックを生じさせることにより、マグネシウムと水との接触面積を増大化することにより、マグネシウムと水との水和反応により、水酸化マグネシウムと水素ガスが生成する化学反応速度が大きくなる活性化マグネシウム合金微粉末30が得られる。該活性化マグネシウム合金微粉末30を飽和食塩水に投入すれば、有用資源である水酸化マグネシウム27を生産し、燃料電池の燃料として利用できる水素ガスを生産出来る。本実施例では、電解液として飽和食塩水として例示したが、食塩が未飽和であっても良く、海水であっても良い。
【0058】
図7は、図4で生産した活性化マグネシウム合金30、活性炭31及び吸湿性ポリマー32をイオン透過性袋33に収納し、該イオン透過性袋33の内部に線状電導体34を張りめぐらし、該線状電導体34と電気的に接続した絶縁電線4で構成したマグネシウム合金製アノード電極1である。
【0059】
図8は、空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置9で生成して、水中で浮遊状態のリン酸マグネシウムアンモニウム、マグネシウム合金製アノード電極1のマグネシウムが酸化溶出するに伴って、水中へ剥離脱落した合金金属微粒子及びアンモニウムイオンとリン酸イオン含有の有機性廃水5中に含有の無機及び有機性浮遊固形物を横流式沈殿槽26で沈降分離している。なお、水中へ剥離脱落した合金金属微粒子及びアンモニアとリン酸イオン含有の有機性廃水5中に含有の無機及び有機性浮遊固形物を沈降分離する単位操作装置としては、前記横流式沈殿槽26に限定するものではなく、三流路液体サイクロン等も使用出来る。
【0060】
図9は、家畜糞で堆肥を生産していて、そこに水酸化マグネシウム27およびリン酸溶液を投入すると、堆肥に含有しているアンモニアが前記水酸化マグネシウム27に吸着され、脱臭すると共にリン酸イオンと結合して堆肥中にMAPが生成する。
【0061】
図10は、マグネシウム合金製アノード電極1と絶縁電線4の接続部35Aおよびステンレスメッシュ製カソード電極2と絶縁電線4の接続部35Bに耐水性接着剤36を塗布防水加工している。本実施例では、耐水性接着剤36を例示しているが、熱可塑性高分子樹脂を溶着防水加工してもよく、防水加工方法は何ら制限されない。
【0062】
図11は、マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極よりも貴電位のステンレスメッシュを内側と外側に配設した内筒カソード電極37及び外筒カソード電極38の間に円筒状のイオン透過性撥水性シート39を配設している。本実施例では円筒状としているが、平面状でもよく、何ら制限されない。そして、前記内筒カソード電極37および外筒カソード電極38の接続端子37a、38bに絶縁電線支線4a、4bで絶縁電線4と接続している。
【0063】
図12は、ステンレスメッシュ製アノード電極40とステンレスメッシュ製カソード電極2とで電極対3とし、該電極対3をリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水5に浸漬し、収納槽6に収納すると共に該電極対3を絶縁電線4で電気的に接続した電気回路に、空気電池式水酸化マグネシウム製造装置23の空気電池7を挿入して直流電源として、電気分解装置41を構成すると共に曝気攪拌している。そして、マグネシウム源として、前記空気電池式水酸化マグネシウム製造装置23で生産した水酸化マグネシウム27をpHセンサー24及びpH制御装置25を配設した前記収納槽のリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水5に、前記pHセンサー24及びpH制御装置25で制御しているポンプ28で注入している。前記電気分解装置42の電極素材としては低コストで耐久性のあるステンレス製が好ましいが、白金、パラジウム、インジウム等の貴金属、あるいは前記貴金属をチタン等に被服したものを挙げることができる。本実施例では直流電源として、前記空気電池式水酸化マグネシウム製造装置23の空気電池7を例示しているが、太陽電池、交流電源を直流変換したもの等でも良く、何ら制限されない。そして、Phが7未満の酸性側で大部分が水溶性であったマグネシウムイオン、アンモニウムイオン及びマグネシウムイオンは、pHが7以上のアルカリ側になると、リン酸マグネシウムアンモニウムが結晶化するが、陰イオンであるリン酸イオン等は前記マグネシウム合金製アノード電極1方向に電気泳動で向かうので前記マグネシウム合金製アノード電極1近傍における前記リン酸イオン濃度が高くなる。また、陽イオンである前記マグネシウムイオンとアンモニウムイオン等は、前記ステンレスメッシュ製カソード電極2方向に電気泳動で向かうので前記ステンレスメッシュ製カソード電極2近傍における前記マグネシウムイオンとアンモニウムイオン濃度が高くなる。結果として、前記マグネシウム合金製アノード電極1と前記ステンレスメッシュ製カソード電極2に難溶性の前記リン酸マグネシウムアンモニウムが付着して晶析する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
し尿脱離水、下水最初沈殿水、豚舎汚水、牛舎汚水、有機性工場廃水等には、高濃度のアンモニア及びリン酸イオンを含有していて、省エネルギー・創エネルギーを達成しながら、枯渇資源であるリンをアンモニアと共にリン酸マグネシウムアンモニウムとして除去回収する方法、装置として有用な技術である。
【符号の説明】
【0065】
1 マグネシウム合金製アノード電極
2 ステンレスメッシュ製カソード電極
3 電極対
4 絶縁電線
5 有機性廃水
6 収納槽
7 空気電池
8 散気装置
9 空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置
10 電極支持部材
11 最初沈殿槽
12 貯留槽
13 三流路流体サイクロン
14 活性汚泥法曝気槽
15 最終沈殿槽
16 嫌気性消化槽
17 デカンター型連続式遠心分離機
18 通性嫌気性発酵槽
19 リン酸溶液貯槽
20 リン酸イオンおよびアンモニウムイオン濃度測定装置
21、28 ポンプ
22 海水
23 空気電池式水酸化マグネシウム製造装置
24 pHセンサー
25 pH制御装置
26 横流式沈殿槽
27 水酸化マグネシウム
29 マグネシウム合金微粉末
30 活性化マグネシウム合金微粉末
31 活性炭
32 吸湿性ポリマー
33 イオン透過性袋
34 線状電導体
35A、35B 接続部
36 耐水性接着剤
37 内筒カソード電極
38 外筒カソード電極
39 イオン透過性撥水性シート
37a、38b 接続端子
4a、4b 絶縁電線支線
40 ステンレスメッシュ製アノード電極
41 電気分解装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水とで空気電池を構成してリン酸マグネシウムアンモニウムを製造することを特徴とする廃水処理方法。
【請求項2】
リン酸イオンおよび尿素含有廃水の前記尿素を微生物担持酵素(ウレアーゼ)で二酸化炭素とアンモニアに分解して生成したリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水、または有機性廃水処理の最初沈殿汚泥および生物処理最終沈殿濃縮汚泥を、主に通性嫌気性菌による生物学的酸醗酵処理により、前記有機性廃水の最初沈殿汚泥と活性汚泥から溶出するリン酸イオンとアンモニウムイオンを高濃度で含有する酸醗酵処理脱離液をそれぞれ単独に電解液とするか、または混合して生成した混合液を電解液とする請求項1記載の廃水処理方法。
【請求項3】
同一金属または炭素質材をアノード電極およびカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、外部直流電源手段と、攪拌手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水とで反応手段を構成して、該反応手段の前記リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水に、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加してリン酸マグネシウムアンモニウムを製造することを特徴とする廃水処理方法。
【請求項4】
請求項1記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造方法を利用して、リン酸マグネシウムアンモニウムを製造することを特徴とする請求項1記載の廃水処理装置。
【請求項5】
請求項2記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造方法を利用して、リン酸マグネシウムアンモニウムを製造することを特徴とする請求項2記載の廃水処理装置。
【請求項6】
請求項3または4記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置へ流入するリン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水において、アンモニウムイオン濃度がリン酸イオン濃度に対して高い廃水のリン酸イオンおよびアンモニア濃度計量手段で測定または既知資料の不足リン酸イオンをリン酸イオン供給手段で供給することを特徴とする請求項3または4記載の廃水処理装置。
【請求項7】
マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水とで構成してリン酸マグネシウムアンモニウムを製造するようにした空気電池と、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成して水酸化マグネシウムを製造するようにした空気電池を電気的に直列接属したことを特徴とする請求項3、4または5記載の廃水処理装置。
【請求項8】
請求項3、4、5叉は6記載のグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水を収納すると共にpHセンサーを配設した空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置に、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加するようにしたことを特徴とする請求項3、4、5または6記載の廃水処理装置。
【請求項9】
請求項3、4、5、6、7叉は8記載の空気電池における電解水に、マグネシウム微粉末を急熱後急冷熱処理した活性化マグネシウム微粉末を添加することを特徴とする、請求項3、4、5、6、7叉は8記載の廃水処理装置。
【請求項10】
請求項3、4、5、6、7叉は8記載の空気電池におけるアノード電極代替として、マグネシウム微粉末を急熱後急冷熱処理した活性化マグネシウム微粉末、活性炭及び吸湿性ポリマーをイオン透過性袋に充填すると共に電導体で前記イオン透過性袋の内側から外側への電気的な電導手段としたことを特徴とする請求項3、4、5、6、7叉は8記載の廃水処理装置。
【請求項11】
請求項3、4、5、6、7、8叉は9記載の空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置で処理した流出水叉は沈殿スラリの沈降性粒子を、異種物質間比重差及び同種物質間粒度差を利用して分級する分級手段を前記空気電池式リン酸マグネシウムアンモニウム製造装置の後処理装置として配設することを特徴とする請求項3、4、5、6、7、8叉は9記載の廃水処理装置。
【請求項12】
アンモニア含有有機性固形物での堆肥製造工程で請求項6記載の水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムおよびリン酸溶液をアンモニア含有有機性固形物に混入することを特徴とする請求項6記載の廃水処理装置。
【請求項13】
マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極および/またはカソード電極と電線等の電導体の接続部を防水手段で防水することを特徴とする請求項2、3、4、5、6、9、10叉は11記載の廃水処理装置。
【請求項14】
マグネシウム金属またはマグネシウム合金アノード電極よりも貴電位の金属メッシュを内側と外側に配設し、前記内側と外側に配設した前記グネシウム合金アノード電極よりも貴電位の金属メッシュの間にイオン透過性撥水性シートを配設することを特徴とする請求項2、3、4、5、6、9、10、11叉は12記載の廃水処理方法。
【請求項15】
同一金属または炭素質材をアノード電極およびカソード電極とした電極対と、電極接続電導手段と、外部直流電源手段と、攪拌手段と、リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水とで反応手段を構成して、該反応手段の前記リン酸イオンおよびアンモニウムイオン含有の有機性廃水に、マグネシウム金属またはマグネシウム合金をアノード電極とし、マグネシウムよりも貴電位の金属または炭素質材をカソードとした電極対と、電極接続電導手段と、溶存酸素供給手段と、塩化ナトリウム含有水とで構成した水酸化マグネシウム製造装置で製造した水酸化マグネシウムを、Ph7以上10以下までを限度として添加してリン酸マグネシウムアンモニウムを製造することを特徴とする廃水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−11375(P2012−11375A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104549(P2011−104549)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(306037861)ブルーアクア・インダストリー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】