説明

廃液処理装置、廃液の処理方法、金属表面処理装置及び金属表面処理方法

【課題】
処理効率がよく、コストも低く、処理能力も高い廃液処理装置及び廃液の処理方法を提供する。
【解決手段】
ジルコニウムイオンを含有する廃液を処理する廃液処理装置であって、電解槽、上記電解槽内へ廃液を供給するための供給手段、上記電解槽内の被処理液を排出するための排出手段、上記電解槽内に設置された電極、上記電極に接続された電源、上記電解槽内の被処理液を攪拌するための攪拌手段及び上記電源の出力を調整する出力調整手段を有してなる電解反応手段と、電気分解処理後の処理済液を固体と液体とに分離するための分離手段とを備えてなる廃液処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃液処理装置、廃液の処理方法、金属表面処理装置及び金属表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料表面にカチオン電着塗装や粉体塗装を施す場合、通常、耐食性、塗膜密着性等の性質を向上させる目的で、化成処理が施されている。化成処理を行う方法としては、塗膜の密着性や耐食性の向上効果に優れたクロメート処理、リン酸亜鉛処理等が広く知られているが、環境負荷の低減を目的として、ジルコニウム含有化成処理液を用いる方法が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなジルコニウム含有化成処理液を化成処理工程で使用した後の廃液は、再利用等のため処理することが必要とされている。ジルコニウムに限定されず、重金属を含有する廃液の処理方法としては、例えば、電気分解装置を使用して、廃液を処理する方法が提案されている(例えば、特許文献2〜3参照)。また、特許文献4には、電気分解処理後のpHを測定しながら電気分解処理を行う方法が記載されている。これらの方法は、電極から溶出してくるイオンが不溶性の酸化物となり、電解作用によって発生した水素によって浮上する際に、更に種々の金属イオンの水酸化物と凝集物を形成し、浮上してきた凝集物を定期的にスクレイパ等で除去することによって分離排除するものである。このような方法は、凝集剤や薬品等を使用する必要がない、水の電気分解により発生する活性酸素がバクテリア等を殺菌するために脱臭効果がある等の有利な点が挙げられる。
【0004】
しかしながら、特許文献2〜4に記載された方法は、凝集物を浮上させることによって分離除去する装置を使用するものであり、凝集物を浮上させるために、電解槽内の被処理液をゆっくりとした流れで流れさせることが必要であるため、種々の問題が生じてしまう。
【0005】
即ち、ここで使用されている装置は、槽内の被処理液が非常にゆっくりとした流れで流れているため、槽内流速にばらつきが生じてしまい、その結果、電解槽中の被処理液において、流速の遅い部分では電極が充分に溶解するが、流速の速い部分では重金属の除去が不充分となってしまい、安定した電気分解を行うことができないという問題点がある。また、このように、局所的な電極の消耗があるため、電極の寿命が短いという問題点もある。
【0006】
また、このような装置は、電気分解によって生成したスラッジを浮上させて除去するものであるため、浮上したスラッジを除去する装置を設ける必要があるが、このようなスラッジを除去する装置は、高価であり、コストアップの原因となる。また、このような装置を使用する場合には、電解槽中で浮上しないスラッジが槽内で沈降してしまうため、沈降したスラッジが電解槽の底部に蓄積してしまう。このため、浮上分離型の装置では、電解槽の底部に沈降したスラッジを除去する除去装置(例えば、ホッパー等)、排出するための電磁弁等が必要である。
【0007】
また、このような装置を使用する場合、電気分解処理後において、スラッジが混入した処理済液を沈降槽でスラッジと再利用水とに分離するが、スラッジの沈降速度が遅いため、沈降槽を大きくする必要があり、省スペース化することができないという問題がある。また、水素ガスを充分に含んでいないスラッジで水とほぼ同じ比重になるものが存在してしまうため、再利用水が分離できないスラッジを含むものとなり、白濁してしまうという問題がある。また、pH値が大きくなった場合に過剰に溶解した金属イオン(アルミニウムイオン)は白濁の原因となるものであることから、電気分解槽内の液のpH値が不安定であるために、過剰に溶解した電極の金属イオン(アルミニウムイオン)が白濁の原因となり、このようにして発生した白濁を沈降分離で分離することが困難であるという問題がある。
【0008】
また、このような装置は、浮上したスラッジを除去するためのスラッジ除去装置を電解槽内の被処理液の液面付近に設置することが必要であるため、電極の全部分が被処理液中に浸漬されている必要があり、電極と電極に接続する配線(電源及び電極を接続する配線)との接する部分が被処理液中に浸漬されていることとなる。その結果、接触部での異種金属間腐蝕が発生し、電極端子や端子近傍の電極の腐蝕が激しくなってしまい、電極寿命が短くなってしまうという問題が発生してしまう。
【0009】
更に、特許文献4記載の方法を使用すると、局所的な電極の消耗が生じる場合があるため、電気分解における電流量をむやみに増加させることができない。このため、電気分解での負荷を軽減することを目的として、電解槽に廃液を流入させる前に、水酸化カルシウム等を廃液に添加して中和することによって、廃液中に含まれるある程度の量の重金属を除去することが通常必要とされている。このため、工程の増加、システム全体の大型化、コストアップの原因ともなっていた。
【0010】
上述したように、従来から行われているスラッジを浮上させることによって分離除去する方法は、種々の問題点を有するものである。このような問題点は、従来の手法を用いてスラッジを除去するために生じる問題点であって避けることが困難な問題であった。このため、このような問題点が生じることが充分に抑制された廃液処理装置及び処理方法が開発されることが望まれていた。
【0011】
【特許文献1】特開2002−266080号公報
【特許文献2】特開平7−116666号公報
【特許文献3】特開平10−99777号公報
【特許文献4】特開2002−85671号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記に鑑み、処理効率がよく、コストも低く、処理能力も高い廃液処理装置及び廃液の処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ジルコニウムイオンを含有する廃液を処理する廃液処理装置であって、電解槽、上記電解槽内へ廃液を供給するための供給手段、上記電解槽内の被処理液を排出するための排出手段、上記電解槽内に設置された電極、上記電極に接続された電源、上記電解槽内の被処理液を攪拌するための攪拌手段及び上記電源の出力を調整する出力調整手段を有してなる電解反応手段と、電気分解処理後の処理済液を固体と液体とに分離するための分離手段とを備えてなることを特徴とする廃液処理装置である。
【0014】
上記廃液処理装置において、上記電解反応手段は、更に、電解反応進行度測定手段を有してなるものであることが好ましい。
上記廃液処理装置において、上記電解反応手段は、更に、電気的に絶縁された状態で上記電解槽に連結された被処理液循環流路及び上記被処理液循環流路内に設置されたpH測定手段を有してなるものであることが好ましい。
上記廃液処理装置において、上記分離手段は、沈降槽であることが好ましい。
上記廃液処理装置において、上記分離手段は、更に、沈降剤の添加手段を備えてなることが好ましい。
上記廃液処理装置において、上記電極は、アルミニウム電極であることが好ましい。
【0015】
本発明は、上記廃液処理装置を使用して被処理液を電気分解処理する工程からなる廃液の処理方法であって、上記電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行われるものであることを特徴とする廃液の処理方法でもある。
上記廃液の処理方法において、上記電気分解処理は、更に、電解反応進行度測定手段を用いて行われるものであることが好ましい。
上記廃液の処理方法において、上記沈降剤は、高分子凝集剤、並びに、水酸化カルシウム及び/又は硫酸アルミニウムであることが好ましい。
上記廃液の処理方法において、上記電気分解処理は、更に、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものであることが好ましい。
【0016】
本発明は、化成処理反応手段を備えてなる金属表面処理装置であって、上記化成処理反応手段は、廃液処理手段として、上記廃液処理装置を備えてなるものであることを特徴とする金属表面処理装置でもある。
【0017】
本発明はまた、上記金属表面処理装置を使用して行う金属表面処理方法であって、電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行われるものであることを特徴とする金属表面処理方法でもある。
上記金属表面処理方法において、上記電気分解処理は、更に、電解反応進行度測定手段を用いて行われるものであることが好ましい。
上記金属表面処理方法において、上記電気分解処理は、更に、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものであることが好ましい。
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の廃液処理装置は、電解槽に供給された廃液を電気分解することによって、廃液中に存在するジルコニウムイオンをスラッジ(不溶性の金属水酸化物等)として除去し、処理において分離された液体を再利用水等として使用することができるものである。なお、本明細書では、電解槽に供給される前のものを廃液という。
【0019】
本発明の廃液処理装置は、攪拌手段によって被処理液の攪拌を行いながら電気分解処理を行うことができる装置である。
上記廃液処理装置は、電気分解処理に際して、攪拌しながら電気分解反応を行い、電気分解処理後にスラッジを除去するものである。このため、電解槽内で均一に電気分解処理を行うことができる。また、浮上したスラッジ及び電解槽の底部に沈降したスラッジの除去装置を設けることは特に必要とされなく、装置を小型化することができる。更に、異種金属間腐蝕を防止することも可能である。
【0020】
本発明の廃液処理装置において、上記電解反応手段は、上記電解槽、供給手段、排出手段、電極、電源、攪拌手段及び出力調節手段以外に、更に、電解反応進行度測定手段を有してなるものであることが好ましい。このような場合の廃液処理装置は、被処理液又は処理済液の状態を電解反応進行度測定手段によって管理することができる装置である。また、上記電解反応手段は、被処理液循環流路内に設置されたpH測定手段(電解反応進行度測定手段として使用されるpH測定手段)を有してなるものであることが好ましい。このような場合の廃液処理装置は、攪拌手段によって被処理液を電解槽内で攪拌し、被処理液循環流路内で循環させながら、被処理液循環流路内の絶縁された状態での被処理液のpH値を測定し、このpH値を一定範囲内に保持するように管理することができる装置である。なお、本明細書では、電解槽内及び被処理液循環流路内に存在する不溶性の金属水酸化物等が混入したものを被処理液という。
【0021】
また、上記被処理液循環流路内に設置されたpH測定手段を有してなる装置を使用する場合には、被処理液循環流路が電気的に絶縁されているため、被処理液のpH値を正確に測定することができる。また、上述のように被処理液の循環により被処理液が均一な組成となっており、その結果、応答性良く被処理液のpH値を制御することができる。また、このような機能を有する装置であるため、電気分解処理が過剰に進行することによる電極の過剰な消耗、被処理液の白濁化、被処理液の電解処理不足等の問題を発生することを防止し、効率的に廃液中に含まれるジルコニウムイオンを除去することができる。
【0022】
本発明の廃液処理装置は、電解槽、上記電解槽内へ廃液を供給するための供給手段、上記電解槽内の被処理液を排出するための排出手段、上記電解槽内に設置された電極、上記電極に接続された電源、上記電解槽内の被処理液を攪拌するための攪拌手段及び上記電源の出力を調整する出力調節手段を有してなる電解反応手段と、電気分解処理後の処理済液を固体と液体とに分離するための分離手段とを備えてなるものである。本発明の廃液処理装置の一例を図1に示し、以下、図1を用いて本発明の廃液処理装置を詳細に説明する。
【0023】
図1は、電極1、電源2、出力調節手段3、電解槽4、攪拌手段5、供給手段6、排出手段7、被処理液循環流路8、流量調整手段9及びpH測定手段10(電解反応進行度測定手段の一例として使用されるpH測定手段10)からなる電解反応手段、分離手段11並びに処理後排水手段12を有する本発明の廃液処理装置を示した概略図である。
【0024】
電極1は、電気分解処理に使用される電極である。上記電極1は、上記電解槽内に設置されたものであり、電解槽4内に設置された電極1を被処理液に浸漬した状態において、電気分解処理を行うことができる。例えば、pH測定手段を有する廃液処理装置を使用した場合、被処理液のpH値を所定範囲となるように管理しながら、電極1の溶解を伴う電気分解処理が行われることによって廃液中に含まれているジルコニウムイオンを不溶性の金属水酸化物等とすることができる。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を有する場合であっても同様に管理しながら電気分解処理を行うことができる。
【0025】
上記電極1の素材としては特に限定されず、従来から電気分解処理を行う際に電極として使用されているものを使用することができ、例えば、アルミニウム電極、鉄電極、マグネシウム電極、マグネシウム合金電極等を挙げることができる。なかでも、電極金属の過剰溶出を防ぐためのpH管理が容易なことからアルミニウム電極が好ましい。陰極は導電体で腐食しにくいイオン化傾向の高い金属なら他の金属や合金でもよいが、電極極性を所定間隔で交互に切り換える場合には、陽極と同一の電極で構成することが好ましい。電極極性を交互に切り換えた場合には、電気分解により消耗する電極の消費バランスが均等化され、電極の交換頻度を低減することでメンテナンス性を向上することが可能であり、効率的な微小スラッジの凝集分離を行うことができる。
【0026】
上記電極1は、少なくとも一部が被処理液に浸漬された状態で電気分解処理が行われるが、この場合、回路との接続部は、非浸漬状態であることが好ましい。これにより、異種金属間腐蝕が生じることが充分に防止され、電極の寿命を長くすることができる。
【0027】
上記電源2は、電気分解処理に使用する電流の供給源であり、電極1に接続されたものである。本発明の廃液処理装置を使用した場合、電源2が電極1に接続され、電極1に電流を供給し、電気分解を行うことができる。
【0028】
上記電源2としては、例えば、直流電源、交流電源等を挙げることができる。本発明の廃液処理装置がpHの自動制御を行うものである場合には、外部制御機能が付いた電源が望ましい。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用して自動制御を行うものである場合であっても、外部制御機能が付いた電源が望ましい。なかでも、ジルコニウム化成処理廃液の処理のように、ジルコウニムイオンが低濃度で含まれる廃液を処理する場合には、被処理液中の電解質が少ないために電圧出力を高めることが必要であり、このような観点から、直流電流が好ましい。
【0029】
上記出力調節手段3は、電源2の出力を調整する制御手段である。
上記出力調節手段3としては、電源の出力を調整することができるものであれば特に限定されない。本発明の廃液処理装置としてpH測定手段を有するものを使用する場合には、pH測定手段で測定したpH値の信号が入力されることが可能であり、そのpH値に応じて電源の出力を調整することができるpH指示変換制御機であることが好ましい。上記出力調節手段3を使用すると、pH値の変化に応じて自動的に電源2の出力を調整することによって容易に被処理液のpH値を管理することができる点で好ましい。上記出力調節手段3の市販品としては、例えば、TD−311(堀場製作所社製)等を挙げることができる。
【0030】
上記廃液処理装置がpH測定手段を有するものである場合において、上記出力調節手段3を使用することによって、pH値を所定範囲に保持するように電源2の出力を調整することができ、また、所定のpH値に到達すれば、電源2の出力を止めることができる。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を有する場合であっても同様に電源2の出力を調整することができたり、出力を止めることができる。
【0031】
上記出力調節手段3の制御方法としては特に限定されず、供給される廃液のpH値や廃液中のジルコニウム成分の時間変動量に応じて、例えば、ON−OFF制御、比例制御、PID制御等の一般的な制御方法を選択して使うことができる。
【0032】
上記電解槽4は、被処理液の電気分解処理を行う処理槽である。本発明の廃液処理装置を使用した場合、電解槽4内で被処理液を攪拌しながら電気分解反応を行うものであることから、不溶性の金属水酸化物等が浮上、沈降することなく、被処理液中に分散している。電気分解は、電極から溶出してくる金属イオンが不溶性の金属水酸化物となり、更に廃液中のジルコウニムイオンを不溶性の金属水酸化物等とすることができる。図1で示した廃液処理装置を使用した場合には、上記電解槽4内で、所定のpH値の範囲内で電気分解処理を行うことができる。また、生成した不溶性の金属水酸化物等は、被処理液中の固体成分となり、被処理液中の液体成分とともに、電解槽4内で攪拌され、被処理液循環流路8内で循環することとなる。上記電解槽4の容量、材質、形状等は特に限定されるものではない。なお、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を有する場合であっても同様に管理しながら電気分解処理を行うことができる。電気分解処理は、電解槽4内で適当な間隔で固定された金属板や金属棒又は炭素電極を被処理液に浸漬し、それらを配線で電源に接続するような従来公知の方法により行うことができる。
【0033】
上記攪拌手段5は、電解槽4内に存在する被処理液を攪拌するためのものである。これにより、電解槽内で被処理液がゆっくりと流れていることに起因する種々の問題点を防止することができる。
【0034】
上記被処理液を攪拌するための攪拌手段5は、被処理液を攪拌することができるものであれば特に限定されず、例えば、ポンプ攪拌、攪拌翼、スクリュ、プロペラ等の従来公知の攪拌するためのものを使用することができる。
【0035】
図1で示した装置においては、上記攪拌手段5によって、上記電解槽4内に存在する被処理液を攪拌し、上記被処理液循環流路8内に存在する被処理液を循環させている。図1で示した廃液処理装置を使用した場合には、上記攪拌手段5によって被処理液を電解槽4内で攪拌し、被処理液循環流路8内で被処理液を循環させることができる。図1で示した廃液処理装置では、被処理液循環流路8から電解槽4に戻す際に、被処理液に圧力を付与して噴出させることによって、電解槽4内の被処理液を攪拌する攪拌手段としての役割も果たしている。また、図1で示した装置では、攪拌手段5によって被処理液循環流路8内及び電解槽4内の被処理液が均一な組成となるため、pH測定手段10及び出力調節手段3によって応答性良く電解槽4内の被処理液のpH値を測定することができる。このため、電気分解処理の過剰な進行を抑制することができ、被処理液の白濁等を防止することができる。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用することによっても同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、攪拌手段5として、図1で示したように、ポンプを介した被処理液循環流路8を挙げることもできる。図1で示したように、ポンプを介した被処理液循環流路8を電解槽4に連結したような場合には、ポンプの動力によって、被処理液循環流路8内に被処理液を循環させるとともに、電解槽4内で被処理液を攪拌することができる。図1で示したように、ポンプを介した被処理液循環流路8を使用した場合には、被処理液循環流路8内の被処理液を循環させるとともに、電解槽4内の被処理液を攪拌することができ、電解槽4内及び被処理液循環流路8内において被処理液の組成がより均一となるため、pH値の応答性がより良好となる。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用することによっても同様の効果を得ることができる。
【0037】
上記攪拌手段5は、1個備えるものであっても、複数個備えるものであってもよい。例えば、攪拌手段5として、電解槽4内に攪拌翼を設置し、被処理液循環流路8内にポンプを設置する場合には、電解槽4内に設置された攪拌翼によって電解槽4内の被処理液が攪拌され、被処理液循環流路8内に設置されたポンプによって被処理液循環流路8内の被処理液が循環することとなり、結果として、被処理液を均一な組成とすることができる。
【0038】
上記攪拌手段5は、攪拌中に電解槽内に生成した不溶性の金属水酸化物等が沈降しないことや水素ガスとスラッジとを完全に分離させることが望ましいため、槽内に不溶性の金属水酸化物や、電極から発生した錆粉やスケール、廃液に含まれる個体不純物等が沈降しない攪拌力を有するものであることが好ましい。水素ガスとスラッジとを完全に分離させることにより、沈降槽を使用する場合には、沈降槽でのスラッジの沈降性を高めることができる。
【0039】
上記供給手段6は、電解槽4内へ廃液を供給するためのものである。本発明の廃液処理装置を使用した場合、上記供給手段6によってジルコニウムイオンを含有する廃液が電解槽4内に供給され、被処理液が攪拌されながら電解槽4内で電気分解処理されることによって廃液中に含まれるジルコニウムイオンを不溶性の金属水酸化物等として除去することができる。
上記供給手段6は、電解槽へ廃液を供給することができるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
【0040】
上記排出手段7は、上記電解槽4内中の被処理液を排出するためのものである。本発明の廃液処理装置を使用した場合には、被処理液は、電解槽4内での攪拌が攪拌手段5によって行われながら、電気分解処理が行われ、処理後の被処理液が排出手段7によって排出される。上記排出手段7によって排出された処理済液は、不溶性の金属水酸化物等を含んだものであり、分離手段11において固体(不溶性の金属水酸化物等)と液体とに分離される。
【0041】
上記排出手段7としては、電解槽4内の被処理液を電解槽4外へ排出することができるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。なお、本明細書では、電気分解処理が終了し、電解槽4から排出されたものを処理済液という。
【0042】
上記廃液処理装置は出力調節手段3を有するものであるため、バッチ式の処理も連続式の処理も行うことができる点で好ましい。
上記廃液処理装置を連続式の装置として使用する場合には、上記供給手段6及び上記排出手段7によって、所定流速で廃液の供給、処理済液の排出が行われることが好ましい。また、上記廃液処理装置をバッチ式の装置として使用する場合には、上記供給手段6によって所定量の廃液を電解槽4に供給した後、電気分解処理が行われ、処理後に、上記排出手段7によって処理済液が排出されることになる。
【0043】
本発明の廃液処理装置は、被処理液循環流路8を有してなるものであってもよい。
上記被処理液循環流路8は、電解槽に流入及び流出可能な状態で連結され、電解槽内の電気分解処理時における電流から絶縁された状態の被処理液の流路である。被処理液が被処理液循環流路8内に流入、流出することによって、被処理液循環流路8内を被処理液が循環することになる。図1で示したような装置の場合には、攪拌手段5による動力によって、被処理液を電解槽4内で攪拌するとともに、被処理液循環流路8内を循環させることができる。また、絶縁された状態で被処理液のpH値が測定され、出力調節手段3によって電源2の出力を調整することができる。このような場合には、電解槽4内の被処理液のpH値を正確で連続的に、かつ、応答性良く測定することができ、その結果、過剰に電気分解が進行することが防止され、被処理液の白濁化が防止されるため、より好ましい。また、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用することによっても同様の効果を得ることができる。
【0044】
上記被処理液循環流路8は、電解槽4に流入及び流出可能な状態であり、かつ、電解槽4内の電気分解処理時における電流から絶縁された状態で連結されているのであれば、その連結状態は特に限定されず、例えば、電解槽4の側面の上部及び下部で連結されている場合を挙げることができる。側面の上部及び下部で連結されている場合には、攪拌手段によって被処理液を攪拌し、被処理液循環流路8内に被処理液を循環させた場合、被処理液をより均一に攪拌することができる。被処理液循環流路8は、1個であっても複数個であってもよい。また、それぞれの被処理液循環流路8は、1つの流路であっても途中で分岐するものであってもよい。
【0045】
上記被処理液循環流路8は、絶縁材料によって形成されたものである。上記絶縁材料としては特に限定されず、例えば、塩化ビニル配管材、絶縁パッキン、絶縁継ぎ手等を挙げることができる。上記絶縁材料によって構成されることによって被処理液循環流路8内は電気分解反応のための電圧の影響を受けることがほとんどない。
【0046】
本発明の廃液処理装置は、流量調整手段9を有してなるものであってもよい。
上記流量調整手段9は、上記被処理液循環流路8の流路中に介され、被処理液の噴出する圧力を調整する装置である。上記流量調整手段9を備えてなる本発明の廃液処理装置を使用した場合、流量調整手段9から噴出する被処理液の圧力を調整することができるため、噴出圧によって電解槽4内での被処理液の攪拌状態を制御することができる。
上記流量調整手段9としては、例えば、流量調整弁、流通セル用メンテナンス弁との兼用等を挙げることができる。
【0047】
本発明の廃液処理装置は、電解反応進行度測定手段を有するものであってもよい。
上記電解反応進行度測定手段は、被処理液又は処理済液の状態を測定するための手段である。上記電解反応進行度測定手段を有するものである場合には、被処理液又は処理済液の状態を測定することができ、測定値に基づいて電気分解処理を制御することができる。上記電解反応進行度測定手段としては特に限定されず、例えば、pH測定手段や、被処理液の色(画像処理による制御)、被処理液の光の透過度、被処理液の電気伝導度、被処理液の酸化還元電位等を測定する手段を挙げることができる。上記廃液処理装置が被処理液循環流路8を有するものである場合には、上記電解反応進行度測定手段による測定を被処理液循環流路8内で行うことが好ましい。
【0048】
図1は、上記電解反応進行度測定手段としてpH測定手段10を有するものを示している。
上記pH測定手段10は、被処理液のpH値を測定するための手段である。上記pH測定手段10によるpH値の測定は、電解槽4内に存在する被処理液、被処理液循環流路8内に存在する被処理液、連続式の処理の場合は排出手段7内に存在する処理済液(排出手段7内の流路内を流れる処理済液)、分離手段11(沈降槽)内に存在する処理済液のいずれを測定してもよいが、図1で示したように、被処理液循環流路8内で測定することが好ましい。
【0049】
例えば、特許文献3記載の処理方法を用いてスラッジを除去する場合、電解槽内の被処理液中にpH測定手段を設置してpH値を測定すると、通電の影響をpH測定手段が受けてしまうため、正確なpH値を測定することが困難である。このため、特許文献3記載の方法を用いる場合には、通常、電解槽外に設置されたクッションタンク(緩衝タンク)や沈降槽(処理済液中のスラッジを沈降させることによって分離させることを目的として設置された槽)中にpH測定手段を設置して処理済液のpH値を測定している。このようにしてpH値を測定すると、測定されるpH値の電解槽中のpH変化に対する応答性が悪いため、電気分解が過剰に進行する場合があり、その結果、電極の過剰な消耗、被処理液の白濁化等の問題が発生してしまう。
【0050】
これに対して、図1で示した廃液処理装置を使用した場合には、上記pH測定手段10は、被処理液循環流路8内に設置されたものであり、上記pH測定手段10によって被処理液循環流路8内に存在する被処理液のpH値を測定することとなる。図1で示した廃液処理装置を使用する場合には、上記攪拌手段5によって被処理液が電解槽4内で攪拌され、被処理液循環流路8内を循環し、均一な組成となっているため、応答性良く電解槽4内に存在する被処理液のpH値を被処理液循環流路8内に設置されているpH測定手段10によって測定することができる。また、絶縁された状態でpH値が測定されるため、電気分解処理の影響を受けることなく、正確な被処理液のpH値を測定することができる。従って、電気分解処理の過剰な進行を抑制することができ、被処理液の白濁等を防止することができる。なお、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用することによっても同様の効果を得ることができる。
【0051】
また、上記廃液処理装置がpH測定手段10を有するものである場合には、被処理液のpH値を管理しながら電気分解処理を行うことができるため、あるpH範囲で析出する物質であれば、ジルコウニムイオンだけでなく、廃液中に含まれる他の元素や化合物も当然除去することができる。
【0052】
上記pH測定手段10としては、廃液のpH値を測定することができるものであれば特に限定されず、例えば、pH電極、pHメーター等を挙げることができる。上記pH測定手段10の市販品としては、例えば、6170−60B(堀場製作所社製)等を挙げることができる。
【0053】
上記pH測定手段10が被処理液循環流路8内に設置される場合には、上記pH測定手段10の被処理液循環流路8内に設置される方法としては、被処理液循環流路8内に存在する被処理液のpH値を測定することができる状態で設置されていれば特に限定されるものではなく、流通セル等を設けてpH値を測定することができる。上記pH測定手段10が排出手段7内(連続式の処理の場合の排出手段7内の流路内)に設置される場合は、上記pH測定手段10の排出手段7内に設置される方法としては、被処理液循環流路8内に設置される場合と同様に、流通セル等を設けてpH値を測定することができる。また、上記pH測定手段10が分離手段11(沈降槽)に設置される場合には、上記pH測定手段10の沈降槽内に設置される方法としては、沈降槽内に存在する処理済液のpH値を測定することができる状態で設置されていれば特に限定されるものではない。なお、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用する場合には、被処理液、処理済液に対して、使用する手段によって測定することができる状態で設置されていれば特に限定されるものではない。
【0054】
本発明の廃液処理装置において、上記pH測定手段10が被処理液循環流路8内に設置される場合には、上記pH測定手段10が、上記被処理液循環流路8内に設けられた流通セル内に設置されるものであってもよい(図1では、流通セル20として図示している。)。これにより、流通セル内で安定してpH値を測定することができる。上記流通セルの形態は特に限定されるものではない。
【0055】
上記電解反応進行度測定手段として、被処理液の色(画像処理による制御)、被処理液の光の透過度、被処理液の電気伝導度、被処理液の酸化還元電位等を測定する手段(pH測定手段10以外の手段)を使用する場合であっても、電気分解処理で分離する物質によっては、pH測定手段10を有する場合と同様の効果を得ることができる。
【0056】
上記分離手段11は、電気分解処理後に電解槽4から排出された処理済液を固体と液体とに分離するためのものである。本発明の廃液処理装置を使用した場合、上記排出手段7によって排出された処理済液を、上記分離手段11によって固体(不溶性の金属水酸化物等)と液体(処理済液から固体成分を除いたもの)とに分離することができる。これにより、スラッジ(不溶性の金属水酸化物等)を除去することができ、液体を再利用水として使用することができる。
【0057】
上記分離手段11は、図1では、沈降槽を使用した例を示した。沈降槽は、排出された処理済液を静置するための槽であって、これによって、固体(不溶性の金属水酸化物等)を沈降させ、沈降槽の底部に固体を蓄積させることができ、固体と液体とに分離することができるものである。
【0058】
図1では、分離手段11の例として沈降槽を示したが、分離手段としては、固体と液体を分離することができるものであれば特に限定されるものではない。
上記分離手段11としては特に限定されず、例えば、沈降槽、ろ過機、遠心分離機等を挙げることができる。
【0059】
上記処理後排水手段12は、固体と液体とに分離された処理済液の液体を排水するためのものである。図1で示した廃液処理装置を使用した場合、不溶性の金属水酸化物等(固体)を分離除去した後の液体を処理後排水手段12によって排出し、再利用水として使用することができる。なお、上記処理後排水手段12は、分離除去した後の液体を再利用水として使用する際に必要となるものであり、本発明の廃液処理装置では、上記処理後排水手段12は特に必須ではない。
【0060】
上記分離手段11は、沈降剤の添加手段を有してなるものであってもよい。図2は、図1で示した廃液処理装置に、更に、沈降剤の添加手段を備えてなる廃液処理装置を示した概略図である。図2では、沈降剤の添加手段の一例として、沈降剤が貯蔵されている沈降剤槽21とポンプ22と沈降剤供給手段23とからなるものを示している。電気分解処理によって生じた不溶性の金属水酸化物等は、比重が軽いためにそのままでは水中に分散してしまい、分離効率が悪化し、処理効率の低下につながるおそれがある。このため、沈降剤の添加手段を備えることによって、分離効率を向上させることができる。
【0061】
上記沈降剤槽21は、沈降剤が貯蔵されている槽である。図2に示した廃液処理装置を使用した場合、上記沈降剤槽21内の沈降剤が処理済液に添加されることによって固体と液体とに分離される分離速度が促進される。
【0062】
上記沈降剤としては、不溶性の金属水酸化物等の沈降を促進することができるものであれば特に限定されず、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、硫酸アルミニウム、高分子凝集剤等を挙げることができる。上記高分子凝集剤は、水中の懸濁粒子の表面電荷を中和し、個々の粒子を不安定化させ、凝集現象を推進させるものである。上記高分子凝集剤としては特に限定されず、通常一般的に使用されるものを使用することができ、粒状、液状のいずれであってもよく、また、アニオン性、ノニオン性及びカチオン性のいずれでもよい。上記沈降剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。電極としてアルミニウム電極を使用する場合、高分子凝集剤に加えて水酸化カルシウム及び/又は硫酸アルミニウムを併用して使用することが特に好ましい。
【0063】
上記ポンプ22は、上記沈降剤槽21中の沈降剤を処理済液に供給するための動力源である。図2で示した廃液処理装置を使用した場合、上記ポンプ22によって、沈降剤が処理済液が貯蔵された沈降槽に供給される。図2では、供給するための動力源として、ポンプ22を示したが沈降剤槽21内の沈降剤を供給できる他の動力源も使用することができる。また、ポンプ22のような動力源がなくても、沈降剤槽21内の沈降剤を処理済液に供給することができる場合には、特に上記ポンプ22は必要とされない。
【0064】
上記沈降剤供給手段23は、ポンプ22の動力によって沈降剤槽21から流出された沈降剤を処理済液に供給するためのものである。図2で示した廃液処理装置を使用した場合、上記沈降剤供給手段23によって、沈降槽に貯蔵された処理済液に沈降剤が供給される。
上記沈降剤供給手段23としては、処理済液へ沈降剤を供給することができるものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
【0065】
図2では、沈降剤が貯蔵されている沈降剤槽21とポンプ22と沈降剤供給手段23とからなる沈降剤の添加手段を示したが、沈降剤を処理済液に添加することができるものであれば特に限定されることなく、沈降剤の添加手段として使用することができる。
【0066】
図2で示したように、廃液処理装置が上記沈降剤の添加手段を備えるものである場合には、沈降剤が処理済液に添加されることになり、不溶性の金属水酸化物等の沈降が促進され、沈降速度が速められる。その結果、処理済液中の固体(不溶性の金属水酸化物等)と処理済液中の液体とをより効率的に分離することができる。
【0067】
また、図2の廃液処理装置では、上記沈降剤の添加手段以外の構成要素は、図1で示した廃液処理装置と同様に機能し、廃液中に含まれるジルコウニムイオンを除去することができ、固体(不溶性の金属水酸化物等)と液体(再利用水)とを分離することができる。
【0068】
本発明の廃液の処理方法は、上述した廃液処理装置を使用して被処理液を電気分解処理する工程からなる廃液の処理方法であって、上記電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行われるものである。攪拌しながら行うことにより、電極接続部の腐蝕がなく、浮上したスラッジを除去する装置を使用する必要もなく、また、電解槽の底部に沈降したスラッジを除去する装置を設ける必要もなくなる等の利益を得ることができる。本発明の廃液の処理方法の一例を図1を用いて、以下に詳細に説明する。
【0069】
先ず、ジルコニウムイオンを含有する廃液が供給手段6を使用して電解槽4に供給される。図1の廃液処理装置では、電解槽4と被処理液循環流路8との下方の連結部から、被処理液が被処理液循環流路8内に流入し、被処理液循環流路8内を上方に流れ、上方の連結部から電解槽4中に流出するようにする。このように、図1の廃液処理装置では、攪拌手段5の動力によって被処理液が被処理液循環流路8内を循環するとともに、電解槽4内で攪拌され、充分に被処理液が均一になるようにする。被処理液循環流路8内での被処理液の流量は、流量調整手段9によって調整することができる。攪拌手段5による攪拌は、電気分解処理によって生成する不溶性の金属水酸化物等が沈降することなく、被処理液の組成が均一になるように行うようにする。
【0070】
このようにして被処理液の電気分解処理を行い、ジルコニウムイオンを不溶性の金属水酸化物等とした後、不溶性の金属水酸化物等を含んだものが処理済液として、排出手段7を通じて分離手段11(沈降槽)に送られるようにする。
【0071】
排出手段7によって排出された処理済液を、分離手段11内に送られた後に静置しておくと、処理済液中に含まれる不溶性の金属水酸化物等(固体)が分離手段11の底部に蓄積されることになり、固体と液体とを分離することができる。分離手段11によって固体成分を分離手段11の底部に分離された後、処理後排水手段12によって分離された液体が排出されることことなる。本発明の廃液の処理方法は、アルミニウム製の電極により廃液を処理することから、水酸化アルミニウムからなるスラッジが生じる。このスラッジは比重が軽いため、上記分離手段11内に1時間以上静置することにより、液体と充分に分離することが好ましい。
【0072】
本発明の廃液の処理方法において、上記電気分解処理は、更に、pH測定手段や、被処理液の色(画像処理による制御)、被処理液の光の透過度、被処理液の電気伝導度、被処理液の酸化還元電位等を測定する手段等の電解反応進行度測定手段を用いて行うことができる。電解反応進行度測定手段によって被処理液又は処理済液の状態を管理することができ、電極の過剰な溶出を抑制すること等の利益を得ることができる。
【0073】
本発明の廃液の処理方法において、上記電気分解処理は、上記pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものであることが好ましい。pH値を管理することにより、電極の過剰な溶出を抑制すること等の利益を得ることができる。
【0074】
図1で示した廃液処理装置では、被処理液が上述のように循環、攪拌されながら、被処理液循環流路8内に設置されたpH測定手段10によって、絶縁された状態で、pH値を測定する。充分に攪拌され、かつ、絶縁された状態でpH値が測定されるため、測定したpH値は、正確で連続的に、かつ、電解槽4内に存在する被処理液のpH値変化に応答性良く反映して測定される。
【0075】
被処理液は、電極1及び電源2を使用して電解槽4内で、電気分解処理を行い、廃液中に含まれていたジルコウニムイオンを不溶性の金属水酸化物等として固体成分とする。電気分解処理は、pH測定手段10によって測定される被処理液のpH値を所定範囲内に保持するように行うようにする。
【0076】
図1の廃液処理装置では、電気分解処理が、攪拌手段5による被処理液の攪拌及び出力調節手段3による電源2の出力の調整を行うことによって、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を所定範囲に保持するように管理しながら行うようにする。このため、電解槽4内に存在する被処理液のpH値を、pH測定手段10を使用して応答性良く測定することができる。その結果、電解槽4内の被処理液に対して、不溶性の金属水酸化物等が生成するような所定範囲のpH値に調整しながら、電気分解処理を行うことができるため、電気分解処理の過剰な進行を抑制することができ、被処理液の白濁等を防止することができる。
【0077】
図1で示した廃液処理装置を連続式の装置として使用する場合には、上記出力調節手段3によって電源2の出力を調整し、被処理液のpH値を所定の範囲内に保持させることによって所定のpH値範囲内で電気分解処理を連続的に行うことができる。また、この場合、本発明の廃液処理装置では、被処理液が電解槽4内及び被処理液循環流路8内を循環し、上記出力調節手段3で電源2の出力が調整されながら被処理液のpH値が測定されているため、過剰に電気分解処理が行われることを防止することができ、被処理液が白濁化することが防止される。連続式の場合には、適当な容量を持った電解槽であることが好ましい。流入する被処理液の流量に対して電解槽容量が小さすぎる場合は、制御性が悪くなり連続処理できなくなるおそれがある。また、図1で示した廃液処理装置をバッチ式の装置として使用する場合には、所定量の廃液が供給手段によって電解槽に供給され、被処理液を電気分解処理する際に、不溶性の金属水酸化物等を生成する所定のpH値になった時点(電気分解処理の終点)を出力調節手段3を使用して判断させ、電源2の出力を止めるように制御する。このように、上記廃液処理装置において、上記出力調節手段3による電源の出力の調整は、自動的に制御してもよいし、マニュアル操作によって行ってもよい。
【0078】
図1で示した廃液処理装置を使用する場合、pH値の制御は、例えば、電気分解反応の電圧のON−OFF制御等によって簡便に行うことができる。pH値の制御は、測定したpH値が所定の数値よりも高すぎる場合には、電気分解反応の電圧を低くするかOFF状態とし、低すぎる場合には、電気分解時間を長くしたり、電気分解反応の電圧を高くする等によって制御することができる。
【0079】
図1で示した廃液処理装置を使用する場合の廃液の処理方法において、アルミニウム電極を使用する場合、上記出力調節手段によるpH値の管理は、pH値が下限7.10、上限7.90であるように管理することが好ましい。7.10未満であると、廃液中のジルコウニムイオンを充分に除去することができないおそれがある。7.90を超えると、アルミニウム電極を使用した場合、電気分解処理によって溶解したアルミニウム電極に由来するアルミニウムイオンが多量となり、処理後の液中のアルミニウムイオン濃度が高くなり、沈降分離槽で分離できない白濁液が発生する。上記下限は、7.1であることがより好ましく、上記上限は、7.9であることがより好ましい。pH値を7.7で一定制御することが特に好ましい
【0080】
上記廃液処理装置を使用して、本発明の廃液の処理方法を行った場合には、上述したように、固体と液体とを分離できる。また、上記廃液の処理方法がpH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものである場合には、廃液処理装置における電気分解処理が上述したように行われるため、電気分解処理の過剰な進行を抑制することができ、被処理液の白濁等を防止することができる。
【0081】
なお、上記廃液の処理方法において、pH測定手段以外の電解反応進行度測定手段を使用する場合であっても、電気分解処理の過剰な進行、被処理液の白濁等を防止することができる等の効果を得ることができる。
【0082】
上記廃液の処理方法によって、ジルコニウムイオンを含有する廃液の処理を好適に行うことができる。上記廃液の処理方法は、更に、Cr3+、Mn2+、Mg2+、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Ni2+、Mo3+等の重金属イオンを含有する廃液の処理にも好適に使用することができる。上記廃液の処理方法では、廃液中のジルコニウムイオンの濃度が比較的高い場合であっても処理することができる。すなわち、本発明の廃液の処理方法は、ジルコニウムイオン量を低減させるための前処理工程を特に必要としない。また、上記廃液の処理方法は、ジルコウニムイオンの含有量が5〜20ppm程度の低濃度である廃液の処理にも好適に用いることができる。また、本発明の廃液の処理方法は、Fイオン、PO3−イオン等の除去性能においても優れているため、これらのイオンも同時に含有する廃液の処理方法としても好適である。
【0083】
図2で示した廃液処理装置を使用して、本発明の廃液の処理方法を行う場合には、図1で示した装置で行うのと同様に電気分解処理を行い、処理済液が分離手段11に排出される。ここで、図2で示した廃液処理装置は、沈降剤の添加手段を備えるものであるため、沈降剤を処理済液に添加することになる。添加すると、不溶性の金属水酸化物等の沈降が促進され、沈降速度が速められ、その結果、処理済液中の固体(不溶性の金属水酸化物等)と処理済液中の液体とをより効率的に分離することができる。
【0084】
図3に、特開2002−273447号公報記載の洗浄廃液の処理方法で使用される従来の処理装置の一例の概略図を示した。図3に示した装置を使用する場合には、電源56の制御が非常に困難であり、事実上不可能であるため、電流値又は電圧値を一定にして運転される。このような場合、供給される廃液のpH値やジルコウニムイオン成分量が変化すると充分に電解槽57内で電気分解処理できなかったり、過剰に電極55を溶解させたりする問題が発生する。このため、図3で示した装置では、電気分解処理前に消石灰による中和槽53を設け、中和槽53内において供給された廃液の性状を一定(pH値を6程度)にし、その後、中和後の廃液を電解槽57に供給し、電気分解処理される。ここでの電気分解処理は、沈降槽60に設置されたpH測定手段61によって処理済液のpH値(好ましくは7〜8.5)を管理しながら行われる。
【0085】
これに対して、図1で示した廃液処理装置(電気的に絶縁された状態で電解槽4に連結された被処理液循環流路8及び被処理液循環流路8内に設置されたpH測定手段10を有してなる装置)を使用して廃液を処理する場合には、出力調節手段3、電解槽4、攪拌手段5、被処理液循環流路8、pH測定手段10等の手段を使用することによって、正確な被処理液のpH値を応答性よく測定することが可能であるため、電源1の制御が可能となる。このため、被処理液の成分やpH値が変動しても電源1の制御により、適切な電解運転が継続して可能になる。また、図3の中和槽53は必須として設置する必要はなく、電解槽4単独で最適な電気分解処理を行うことができる。更に、図3の掻き取り装置58も必須として設置する必要はなく、メンテナンス性の向上、省スペース化、電極の長寿命化、電解出力の向上等を達成することができる。
【0086】
本発明の金属表面処理装置は、化成処理反応手段を備えてなる金属表面処理装置であって、上記化成処理反応手段は、廃液処理手段として、上述した廃液処理装置を備えてなるものである。上記金属表面処理装置を使用して、上述した廃液処理装置を使用して化成処理反応手段に使用した化成処理液の廃液を処理することによって、廃液を脱脂後水洗処理に再利用することができる。
【0087】
即ち、上記金属表面処理装置は、化成処理反応手段を備えてなる金属表面の表面処理を行う装置である。
上記化成処理反応手段とは、化成処理において使用することによって化成処理を行うことができるものである。上記化成処理反応手段としては、化成処理を行うことができるものであれば特に限定されず、従来公知の化成処理装置を使用することができる。
【0088】
上記金属表面処理装置において、廃液処理手段として、上述した廃液処理装置を備えてなる化成処理反応手段を使用する場合においては、上述した廃液処理装置を使用し上述したように廃液を処理するのと同様にして、化成処理反応手段に使用された廃液を処理することができる。従って、上記金属表面処理装置を使用することによって、化成処理反応手段に使用された化成処理液の廃液中に含まれるジルコウニムイオンを不溶性の金属水酸化物等として除去することができ、処理後(不溶性の金属水酸化物等の分離後)の排水は、脱脂後水洗処理における供給原水として再利用することができる。
【0089】
本発明の金属表面処理方法は、上記金属表面処理装置を使用して行う金属表面処理方法であって、電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行うものである。また、上記金属表面処理方法は、上記電気分解処理が、更に、電解反応進行度測定手段を用いて行われるものであることが好ましい。更に、上記金属表面処理方法は、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものであることが好ましい。
【0090】
上記金属表面処理方法に適用される被塗装物については特に限定されず、例えば、アルミホイール、食缶、自動車部品等の金属成形物等を挙げることができる。
【0091】
上記金属表面処理装置を使用し、自動車等の金属成形物に本発明の金属表面処理方法を適用する概略を図4に示す。自動車等の金属成形物は、図4には示していないが、トロリー式の連続コンベアー等につり下げられ、各工程間を搬送される。上記金属成形物は、まず、表面に付着している油分や汚れを除去するために、脱脂水槽31において脱脂処理が行われる。上記脱脂水槽31には、アルカリ脱脂洗浄液、無リン・無窒素脱脂洗浄液等の脱脂剤が満たされており、通常40〜50℃において数分間程度の浸漬処理がなされる。所望により、脱脂処理の前に、予備脱脂処理を行うことも可能である。
【0092】
次いで、上記脱脂剤を水洗するために、水洗ブース32及び33において第1水洗及び第2水洗が行われる。この脱脂後水洗においては、通常、大量の水洗水によってスプレー処理される。脱脂後水洗処理は、2段階又はそれ以上で行うことが好ましく、汚れが少ない第2水洗の使用後の水洗水を第1水洗に使用する。
【0093】
上記脱脂後水洗処理を行った後、金属成形物の耐食性や耐磨耗性を向上させるために、化成処理槽34において化成処理が行われる。本発明の金属表面処理方法において、上記化成処理槽34に満たされている化成処理液は、ジルコニウムイオンを含有する化成処理液である。上記化成処理液としては、ジルコニウムイオン以外に、例えば、カチオン成分としてNi2+、Mg2+、Co2+、Cu2+、Mn2+、Ca2+、Na、Fe2+、NH4+、H、アニオン成分として、PO3−、NO、NO、F、SiF2−、ClO、SO2−等が含まれていてもよい。特に、アルミニウム電極を使用する場合、Fイオン及びPO3−イオン処理効果を高めることができる。また、一部有機酸等を含むこともできる。上記化成処理槽34においては、40〜50℃程度において数分間浸漬処理される。
【0094】
上記化成処理槽34において化成処理された使用後の化成処理液は、ポンプ38の駆動によって、所定の給水圧力で廃液処理手段39に供給される。
上記廃液処理手段39は、上述した廃液処理装置を備えてなるものである。上述したように廃液処理装置を使用することによって、供給された洗浄廃液を電気分解処理し、廃液中に含まれていたジルコウニムイオンを不溶性の金属水酸化物等にする。電気分解処理が終了した後、電解槽40から沈降槽41に処理済液が送られる。
【0095】
上記処理済液を再利用する場合には、沈降槽においてスラッジを分離した処理済液を、ポンプによって、脱脂後水洗処理の第2水洗における水洗水として使用することができる。図1には、脱脂後水洗処理の第2水洗における水洗水として使用する場合を示したが、脱脂後水洗処理の第1水洗における水洗水として使用することも可能である。上記のように処理済液を再利用することによって、水洗水の新規使用量及び排出量の大幅な低減を行うことができる。
【0096】
上記化成処理槽34において化成処理を行った後、上記化成処理液を水洗するために、化成後水洗処理を行う。上記化成後水洗処理においては、水洗ブース35、36及び37において第3水洗、第4水洗及び第5水洗が行われる。この化成後水洗においては、スプレー水洗又は浸漬水洗のどちらでもよく、これらの方法を組み合わせて水洗することもできるが、化成後水洗が不充分であるとその後の電着塗装等の各種塗装において塗膜外観等に悪影響を及ぼすことから、数段水洗することが好ましく、最終の水洗は、純水で行うことが適当である。工程数としては、3段階又はそれ以上で行うことが好ましい。上記金属成形物は、化成後水洗の後は、公知の方法に従って、必要に応じて乾燥され、その後、各種塗装を行うことができる。
【0097】
上記化成後水洗においては、全使用水量及び廃棄水量の削減の点から、各水洗処理後の洗浄廃液は、それぞれその前段階の水洗工程における水洗水として使用される。即ち、水洗ブース37において純水により第5水洗された使用後の洗浄廃液は、第4水洗における水洗水として使用される。更に、水洗ブース36において第4水洗された使用後の洗浄廃液は、第3水洗における水洗水として使用される。
【0098】
本発明の廃液処理装置は、浮上分離型の装置ではないため、浮上スラッジの除去装置を必須として設ける必要がないものであり、装置にかかるコストを削減することができる。また、本発明の廃液処理装置を使用する場合、電気分解によって生成した不溶性の金属水酸化物等(スラッジ)も廃液とともに攪拌されるため、電解槽の底部に不溶性の金属水酸化物等が沈降することがほとんどない。このため、本発明の廃液処理装置を使用する場合には、電解槽の底部に沈降したスラッジを除去する除去装置を必須として設ける必要がない。従って、装置にかかるコストを削減することができるとともに、装置をコンパクト化することができる。
【0099】
また、本発明の廃液処理装置では、特に、沈降槽に少なくとも一種の高分子凝集剤及び/又は消石灰を添加する場合には、スラッジの沈降速度が速いため、従来の浮上分離型の装置に比べて沈降槽を小型化することができる。また、浮上分離型の装置ではないため、再利用水が分離できないスラッジを含むものとなることを充分に抑制することができる。
【0100】
また、本発明の廃液処理装置は、局所的な電極の消耗が抑制されたものであるため、電気分解における電流量を増加させることもできる。このため、予め、電気分解前に、ある程度の量のジルコウニムを除去するための中和工程等が必須とされることがなく、また、システム全体の大型化、コストアップを防止することができる。
【0101】
本発明の廃液処理装置は、更に、電解反応進行度測定手段を有するものであってもよい。また、本発明の廃液処理装置が、更に、電気的に絶縁された状態で上記電解槽に連結された被処理液循環流路及び上記被処理液循環流路内に設置されたpH測定手段を有してなるものである場合、応答性良く電解槽内に存在する被処理液のpH値を測定することができるため、電気分解処理が過剰に進行することによって、電極の過剰な消耗、被処理液の白濁化等を防止することができる。
【発明の効果】
【0102】
本発明の廃液処理装置は、上述した構成よりなるので、処理効率がよく、コストも低く、処理能力も高いものである。また、廃液処理装置を使用する廃液の処理方法、金属表面処理装置及び金属表面処理方法も同様に優れたものである。
【実施例】
【0103】
以下本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
【0104】
実施例1
Al3+イオン60ppm、Zr2+イオン6ppm、PO3−イオン26ppm、NOイオン147ppm、及び、Fイオン141ppmを含む廃液(日本ペイント製アルミ用化成液:品名「アルサーフ501N−2」)を図2の概略図で示した廃液処理装置を使用して処理した。なお、沈降剤は、水酸化カルシウム水溶液と高分子凝集剤を使用した。
【0105】
処理条件は、以下の通りである。
処理液;25L
電解時間;60分間
電極板;アルミニウム、全6枚(1枚の面積;30cm×40cm)
電解条件;定電圧16.0V、電流値12.5〜13.8A
pH変化;4.0〜7.8
【0106】
電気分解処理中において、電解槽中の被処理液のpH値と、被処理液中に含まれるZr2+イオン、鉄イオン(Fe2+イオン及びFe3+イオンの合計量)及び、PO3−イオンの濃度との関係を図5に示した。また、電解槽中の被処理液のpH値と、被処理液中に含まれるAl3+イオン、NOイオン、及び、Fイオンの濃度との関係を図6に示した。更に、pH=7.13まで処理した場合の各成分の濃度を図7に示した。なお、各成分の濃度は、原子吸光法分析によって測定した。
図より本発明の廃液の処理方法は、Zr2+イオン、PO3−イオン及びFイオンの処理に特に適していることが示された。
【0107】
実験例2
電極板を鉄、全6枚(1枚の面積;30cm×40cm)に変更したこと以外は実験例1と同様にして処理した。処理開始後、20分程度で処理液が黒く濁り始めた。また、1時間30分処理後の鉄イオン濃度は約80ppmであった。これより、鉄電極を使用した場合は、処理後の溶液を再利用することが困難であり、鉄電極の成分の溶出によってかえって鉄イオン成分を増大させてしまう点で好ましくない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の廃液処理装置は、例えば、自動車部品等に適用する金属表面処理における化成処理で使用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の廃液処理装置の一例の概略図を示した図である。
【図2】本発明の廃液処理装置の一例の概略図を示した図である。
【図3】従来の処理装置の一例の概略図を示した図である。
【図4】金属成形物の塗装前処理工程の概略図である。
【図5】実施例における電解槽中の被処理液のpH値と、被処理液中に含まれる重金属イオンの濃度との関係図である。
【図6】実施例における電解槽中の被処理液のpH値と、被処理液中に含まれる重金属イオンの濃度との関係図である。
【図7】pH=7.13まで処理した場合の各成分の濃度を表した図である。
【符号の説明】
【0110】
1 電極
2 電源
3 出力調節手段
4 電解槽
5 攪拌手段
6 供給手段
7 排出手段
8 被処理液循環流路
9 流量調整手段
10 pH測定手段
11 分離手段
12 処理後排水手段
20 流通セル
21 沈降剤槽
22 ポンプ
23 沈降剤供給手段
31 脱脂水槽
32 水洗ブース
33 水洗ブース
34 化成処理槽
35 水洗ブース
36 水洗ブース
37 水洗ブース
38 ポンプ
39 廃液処理手段
40 電解槽
41 沈降槽
51 供給手段
52 消石灰溶液供給手段
53 中和槽
54 pH測定手段
55 電極
56 電源
57 電解槽
58 掻き取り装置
59 排出手段
60 沈降槽
61 pH測定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニウムイオンを含有する廃液を処理する廃液処理装置であって、
電解槽、前記電解槽内へ廃液を供給するための供給手段、前記電解槽内の被処理液を排出するための排出手段、前記電解槽内に設置された電極、前記電極に接続された電源、前記電解槽内の被処理液を攪拌するための攪拌手段及び前記電源の出力を調整する出力調整手段を有してなる電解反応手段と、
電気分解処理後の処理済液を固体と液体とに分離するための分離手段とを備えてなる
ことを特徴とする廃液処理装置。
【請求項2】
電解反応手段は、更に、電解反応進行度測定手段を有してなるものである請求項1記載の廃液処理装置。
【請求項3】
電解反応手段は、更に、電気的に絶縁された状態で前記電解槽に連結された被処理液循環流路及び前記被処理液循環流路内に設置されたpH測定手段を有してなるものである請求項1記載の廃液処理装置。
【請求項4】
分離手段は、沈降槽である請求項1、2又は3記載の廃液処理装置。
【請求項5】
分離手段は、更に、沈降剤の添加手段を備えてなる請求項1、2、3又は4記載の廃液処理装置。
【請求項6】
電極は、アルミニウム電極である請求項1、2、3、4又は5記載の廃液処理装置。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の廃液処理装置を使用して被処理液を電気分解処理する工程からなる廃液の処理方法であって、
前記電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行われるものである
ことを特徴とする廃液の処理方法。
【請求項8】
電気分解処理は、更に、電解反応進行度測定手段を用いて行われるものである請求項7記載の廃液の処理方法。
【請求項9】
沈降剤は、高分子凝集剤、並びに、水酸化カルシウム及び/又は硫酸アルミニウムである請求項7又は8記載の廃液の処理方法。
【請求項10】
電気分解処理は、更に、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものである請求項7,8又は9記載の廃液の処理方法。
【請求項11】
化成処理反応手段を備えてなる金属表面処理装置であって、
前記化成処理反応手段は、廃液処理手段として、請求項1、2、3、4、5又は6記載の廃液処理装置を備えてなるものである
ことを特徴とする金属表面処理装置。
【請求項12】
請求項11記載の金属表面処理装置を使用して行う金属表面処理方法であって、
電気分解処理は、攪拌手段によって被処理液を攪拌しながら行われるものである
ことを特徴とする金属表面処理方法。
【請求項13】
電気分解処理は、更に、電解反応進行度測定手段を用いて行われるものである請求項12記載の金属表面処理方法。
【請求項14】
電気分解処理は、更に、pH測定手段によって測定された被処理液のpH値を管理しながら行われるものである請求項13記載の金属表面処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−70352(P2006−70352A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−258614(P2004−258614)
【出願日】平成16年9月6日(2004.9.6)
【出願人】(000230054)日本ペイント株式会社 (626)
【Fターム(参考)】