説明

廃熱発電装置

【課題】廃熱発電装置において、緊急停止時に作動媒体流路の圧力上昇を抑制し、作動媒体流路等の損傷を防止する。
【解決手段】遮断弁7によって発電装置2への作動媒体の供給が停止しかつバイパス弁9によってバイパス流路8が閉鎖されている状態において、発電装置2を迂回して作動媒体を発電装置2の下流側に流す補助迂回機構20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃熱発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、工場や焼却施設等で放出される廃熱エネルギーを回収して発電が行われており、この発電によって得られた電気エネルギーが再利用されることで省エネルギーが図られている。このような工場や施設では、発電機を駆動するため、高圧の蒸気を生成しやすいということから約300℃以上(場合によっては1000℃近く)の廃熱が発電に用いられており、約300℃以下の低温廃熱はその多くが依然として大気中に放出されていた。よって、従来は殆ど回収されていなかった低温廃熱の廃熱エネルギーを回収して発電を行えば、更なる省エネルギーを実現することができると考えられている。
【0003】
以下の特許文献1には、低沸点の作動媒体を用いたランキンサイクルによって、300℃以下の低温廃熱の廃熱エネルギーを用いて発電を行う廃熱発電装置が開示されている。
このようなランキンサイクルを用いる廃熱発電装置では、特許文献1に示すように、廃熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、発電装置を介した蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより蒸気を凝縮する凝縮器と、凝縮器で凝縮された作動媒体を蒸発器に向けて送出するポンプとを備えている。
【0004】
一方で、廃熱発電装置を緊急停止させる必要が生じる場合がある。例えば、廃熱発電装置が、外部電源と同一系統で電力を工場等に供給するように接続されている場合には、規則上、外部電源からの電力供給が停止した場合に廃熱発電装置を停止させる必要がある。
このような場合には、発電装置への作動媒体の供給を停止することによって発電を停止することとなる。このため、例えば、廃熱発電装置は、特許文献2に示すような、発電装置への作動媒体の供給を停止する遮断弁と、発電装置を迂回させて作動媒体を流すバイパス流路とを備えることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−110514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
定常時には、バイパス流路に作動媒体を流す必要がないことから、バイパス流路を閉鎖しておく必要がある。このため、バイパス流路には、当該バイパス流路の開閉を行うバイパス弁が設置されている。
しかしながら、一般的に、遮断弁及びバイパス弁は、電力によって駆動される電磁弁が使用されており、制御装置の制御の下、開閉状態が規定される。このため、緊急停止の際に、遮断弁とバイパス弁との制御タイミングにずれが生じると、遮断弁及びバイパス弁の両方が閉鎖状態となる可能性がある。このような遮断弁及びバイパス弁の両方が閉鎖状態となると、作動媒体の逃げ場がなくなり、作動媒体流路の圧力が上昇し、作動媒体流路等を損傷するおそれがある。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、廃熱発電装置において、緊急停止時に作動媒体流路の圧力上昇を抑制し、作動媒体流路等の損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、廃熱発電装置に係る第1の解決手段として、廃熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、該蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、該発電装置を介した前記蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより前記蒸気を凝縮する凝縮器と、該凝縮器で凝縮された作動媒体を前記蒸発器に向けて送出するポンプと、前記発電装置への前記作動媒体の供給を遮断する遮断弁と、前記発電装置を迂回して前記作動媒体を前記凝縮器に向けて案内するバイパス流路と、当該バイパス流路の開閉を行うバイパス弁とを備える廃熱発電装置であって、前記遮断弁によって前記発電装置への前記作動媒体の供給が停止しかつ前記バイパス弁によって前記バイパス流路が閉鎖されている状態において、前記発電装置を迂回して前記作動媒体を前記発電装置の下流側に流す補助迂回機構を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明では、廃熱発電装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記補助迂回機構が、前記発電装置の上流側と下流側とを連結する補助バイパス流路と、前記発電装置の上流側における圧力が定常圧力以上の規定圧力を超えた際に前記補助バイパス流路を開放する逆止弁と備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、廃熱発電装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記補助迂回機構が、前記発電装置の下流側に流す前記作動媒体を前記凝縮器の上流側に案内することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、遮断弁によって発電装置への作動媒体の供給が停止しかつバイパス弁によってバイパス流路が閉鎖されている状態において、発電装置を迂回して作動媒体を発電装置の下流側に流す補助迂回機構を備える。このため、遮断弁及びバイパス弁の両方が閉鎖状態であったとしても、補助迂回機構により作動媒体を逃がすことが可能となり、作動媒体流路の圧力上昇を抑えることができる。
したがって、本発明によれば、廃熱発電装置において、緊急停止時に作動媒体流路の圧力上昇を抑制し、作動媒体流路等の損傷を防止することができる。
【0012】
また、本発明によれば、補助迂回機構によって発電装置を迂回した作動媒体が、発電装置の下流側に案内される。
このため、作動媒体が当該作動媒体の流路から漏れ出すことがないため、周辺環境への影響をなくし、また廃熱発電装置の再起動を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における廃熱発電装置の全体構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における廃熱発電装置の外観を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態における廃熱発電装置の動作を説明するためのブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態における廃熱発電装置の動作を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態による廃熱発電装置Gの全体構成の概要を示すブロック図である。また、図2は、本発明の一実施形態による廃熱発電装置Gの外観を示す斜視図である。
これらの図に示すように、本実施形態の廃熱発電装置Gは、蒸発器1、タービン発電機2(発電装置)、凝縮器3、ポンプ4及びリザーバタンク5を備えるランキンサイクルを利用した発電装置であり、工場や焼却施設等から放出される約300℃以下の廃熱媒体(温水X)の熱エネルギーを用いて発電を行う。なお、廃熱媒体は、温水Xに限られるものではなく、工場や焼却施設等から放出されるガスを用いることもできる。
【0015】
蒸発器1は、工場等から放出される温水Xとポンプ4から送出される作動媒体Yとが別経路にて供給され、内部にて熱交換を行うことで作動媒体Yの蒸気を生成するものである。
蒸発器1は、図2に示すように、複数(本実施形態では2つ)設けられおり、架台6によって支持されて配置されている。
各蒸発器1は、図3に示すように、水平方向を向く正面1Aと当該正面1Aの裏側に位置する背面1Bとを有する箱型に形状設定されている。そして、各蒸発器1においては、温水Xと作動媒体Yとの出入口が正面1Aに集約されて設けられている。
【0016】
また、図2に示すように、廃熱発電装置Gは、蒸発器1に温水Xを供給するための温水供給配管11(流路配管)と、蒸発器1から温水Xを回収するための温水回収配管12(流路配管)とを備えている。
そして、図2に示すように、2つの蒸発器1は、温水Xの流路配管に対して並列接続されている。
【0017】
また、図2に示すように、廃熱発電装置Gは、作動媒体Yを循環する循環配管13(作動媒体流路)を備えている。
そして、図2に示すように、2つの蒸発器1は、作動媒体Yの流路配管に対して並列接続されている。
【0018】
タービン発電機2は、蒸発器1で生成された蒸気を膨張させつつ発電を行うものであり、図2に示すように、循環配管13の途中部位に配置されている。より詳細には、タービン発電機2は、作動媒体Yの流れ方向において、蒸発器1と凝縮器3との間に配置されている。
そして、このタービン発電機2は、架台6に支持されることによって、蒸発器1及び凝縮器3よりも僅かに上方に配置されている。これによって、循環配管13内で作動媒体Yが凝集しても、液体の状態で作動媒体Yがタービン発電機2に供給されることを防止できる。
【0019】
凝縮器3は、冷却水Z(冷却媒体)とタービン発電機2を介した後の蒸気(作動媒体Y)とが別経路にて供給され、内部にて熱交換を行うことで作動媒体Yを凝縮させるものである。
【0020】
凝縮器3は、図2に示すように、複数(本実施形態では4つ)設けられており、架台6によって支持されて配置されている。
各凝縮器3は、図3に示すように、水平方向を向く正面3Aと当該正面3Aの裏側に位置する背面3Bとを有する箱型に形状設定されている。そして、各凝縮器3においては、冷却水Zと作動媒体Yとの出入口が正面3Aに集約されて設けられている。
【0021】
また、図2に示すように、廃熱発電装置Gは、凝縮器3に冷却水Zを供給するための冷却水供給配管14(流路配管)と、凝縮器3から冷却水Zを回収するための冷却水回収配管15(流路配管)とを備えている。
そして、4つの凝縮器3は、冷却水Zの流路配管に対して並列に接続されている。また、4つの凝縮器3は、作動媒体Yの流路配管に対して並列接続されている。
【0022】
そして、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいては、図2及び図3に示すように、蒸発器1の背面1Bと凝縮器3の背面3Bとが対向するように、蒸発器1と凝縮器3とが対向配置されている。
つまり、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいては、媒体の出入口(廃熱媒体、作動媒体及び冷却媒体の出入口)が蒸発器1及び凝縮器3の正面に集約され、媒体の出入口が設けられていない蒸発器1及び凝縮器3の背面3B同士が対向されている。
【0023】
ポンプ4は、凝縮器3で凝縮された作動媒体Yを加圧して蒸発器1に向けて送出するものであり、架台6によって支持されて配置されている。
このポンプ4は、図2に示すように、循環配管13の最下部に配置されており、具体的には作動媒体Yの流れ方向においてリザーバタンク5と蒸発器1との間に配置されている。
【0024】
リザーバタンク5は、作動媒体Yを一時的に貯留するものであり、作動媒体Yの流れ方向において凝縮器3とポンプ4との間に配置されている。このリザーバタンク5は、循環配管13の途中部位に接続されており、凝縮器3の下方に配置されるように架台6によって支持されている。
【0025】
また、本実施形態の廃熱発電装置Gは、遮断弁7、バイパス流路8、バイパス弁9及び補助迂回機構20を備えている。
【0026】
遮断弁7は、緊急時等にタービン発電機2への作動媒体Yの供給を遮断するものであり、タービン発電機2の上流側において循環配管13に対して設けられている。なお、本実施形態において遮断弁7は、不図示の制御装置によって電気的に開閉状態を制御される電子制御弁とされている。
【0027】
バイパス流路8は、遮断弁7によって循環配管13が閉鎖された際にタービン発電機2を迂回して作動媒体Yを凝縮器3に向けて案内するための流路であり、タービン発電機2を挟んで循環配管13に対して接続されている。
【0028】
バイパス弁9は、バイパス流路8に対して設けられており、不図示の制御装置の下、バイパス流路8の開閉を電子制御弁である。
このバイパス弁9は、遮断弁7が循環配管13を開放している状態においてバイパス流路8を閉鎖し、遮断弁7が循環配管13を閉鎖している状態においてバイパス流路8を開放する。
【0029】
補助迂回機構20は、遮断弁7によってタービン発電機2への作動媒体Yの供給が停止しかつバイパス弁9によってバイパス流路8が閉鎖されている状態において、タービン発電機2を迂回して作動媒体Yをタービン発電機2の下流側に流すものである。
より詳細には、本実施形態における補助迂回機構20は、補助バイパス流路21と、逆止弁22とを備えている。
【0030】
補助バイパス流路21は、タービン発電機2を挟んで循環配管13に接続されている。つまり、補助バイパス流路21は、タービン発電機2の上流側と下流側とを連結している。
なお、補助バイパス流路21は、タービン発電機2の下流側において、凝縮器3の上流側にて循環配管13と接続されている。つまり、補助迂回機構20は、タービン発電機2の下流側に流す作動媒体Yを凝縮器3の上流側に案内するように構成されている。
【0031】
逆止弁22は、タービン発電機2の上流側の圧力が高くなった場合に開放され、タービン発電機2の上流側から下流側に向けてのみ作動媒体Yを流すものである。
なお、逆止弁22は、タービン発電機2の上流側における圧力が定常圧力である場合には開放せず、定常圧力以上の規定圧力を受けた場合に開放するように抵抗力が設定されている。ここで、定常圧力とは、廃熱発電装置Gが定常運転している場合の圧力を意味している。また、規定圧力は、定常圧力以上であってかつ循環配管13等の耐圧性能を上回らない範囲に設定されている。
【0032】
なお、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいて、作動媒体Yとしては、約300℃以下の低温廃熱の廃熱エネルギーを利用した発電を可能とすべく、沸点が低いものを用いることが好ましい。
具体的には、作動媒体Yとして、ハイドロフルオロエーテル(HFE)、フルオロカーボン、フルオロケトン、パーフルオロポリエーテル等を用いることができる。
【0033】
次に、本実施形態の廃熱発電装置Gの動作について図3及び図4を参照して説明する。なお、図3(a)は定常運転時の動作を説明するための図面であり、図3(b)は緊急停止時の動作を説明するための図面である。また、図4は、何らかの原因によって遮断弁7及びバイパス弁9が閉鎖された状態での動作を説明するための図面である。
【0034】
まず図3(a)を参照して定常運転時の動作について説明する。
定常運転時においては、遮断弁7が開放され、バイパス弁9が遮蔽された状態とされる。
そして、ポンプ4が駆動されると、ポンプ4によって圧送されることで作動媒体Yが循環配管13中を循環する。より詳細には、作動媒体Yは、ポンプ4から、蒸発器1、タービン発電機2、凝縮器3、リザーバタンク5の順に圧送されて再びポンプ4に戻る。
一方で、温水供給配管11を介して蒸発器1に温水Xが供給され、冷却水供給配管14を介して凝縮器3に冷却水Zが供給される。このため、蒸発器1において作動媒体Yが蒸気とされ、凝縮器3において作動媒体Yが凝縮される。
【0035】
ポンプ4から圧送された作動媒体Yは、蒸発器1で蒸発され、蒸気としてタービン発電機2に供給される。タービン発電機2に供給された作動媒体Yは、膨張しつつタービン発電機2を駆動する。この結果、タービン発電機2で発電が行われる。タービン発電機2を介した蒸気の作動媒体Yは凝縮器3で冷却されることにより凝縮する。凝縮器3によって凝縮された作動媒体Yは、ポンプ4によって加圧されて再び蒸発器1に向けて送出される。
このように、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいては、作動媒体Yの蒸発及び凝縮が繰り返されることにより、低温廃熱の廃熱エネルギーを用いた発電が行われる。
【0036】
また、緊急停止時においては、図3(b)に示すように、遮断弁7が閉鎖され、バイパス弁9が開放された状態となる。
この結果、蒸発器1によって蒸気とされた作動媒体Yは、タービン発電機2に供給されることなく、バイパス流路8を介してタービン発電機の下流側に流される。
これによって、タービン発電機2における発電が停止し、電力の出力が停止する。
【0037】
一方、制御タイミングのばらつき等の何らかの原因によって、遮断弁7及びバイパス弁9が閉鎖された状態となった場合には、作動媒体Yの逃げ場がなくなり、タービン発電機2の上流側の圧力が上昇する。
そして、タービン発電機2の上流側の圧力が定常圧力以上に設定された規定圧力を超えると、図4に示すように、タービン発電機2の上流側の圧力によって逆止弁22が開放され、補助バイパス流路8を介してタービン発電機2の下流側に作動媒体Yが流れる。なお、凝縮器3側は作動媒体Yの温度がタービン発電機2側よりも低く圧力が低いため、逆止弁22が開放されれば、作動媒体Yが凝縮器3側に流れる。
【0038】
次に、以上のような本実施形態の廃熱発電装置Gの効果について説明する。
本実施形態の廃熱発電装置Gは、遮断弁7によってタービン発電機2への作動媒体Yの供給が停止しかつバイパス弁9によってバイパス流路8が閉鎖されている状態において、タービン発電機2を迂回して作動媒体Yを発電装置の下流側に流す補助迂回機構20を備える。このため、遮断弁7及びバイパス弁9の両方が閉鎖状態であったとしても、補助迂回機構20により作動媒体Yを逃がすことが可能となり、循環配管13の圧力上昇を抑えることができる。
したがって、本実施形態の廃熱発電装置Gによれば、緊急停止時に循環配管13等の圧力上昇を抑制し、循環配管13等の損傷を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態の廃熱発電装置Gによれば、補助迂回機構20によってタービン発電機2を迂回した作動媒体Yが、タービン発電機2の下流側に流される。
このため、作動媒体Yが循環配管13から漏れ出すことがないため、周辺環境への影響をなくし、また廃熱発電装置Gの再起動を容易に行うことができる。
【0040】
また、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいては、補助迂回機構20が、タービン発電機2の上流側と下流側とを連結する補助バイパス流路21と、タービン発電機2の上流側における圧力が定常圧力以上の規定圧力を超えた際に補助バイパス流路21を開放する逆止弁22と備えている。
このため、補助迂回機構20を電気的に制御することなく、補助迂回機構20を動作させることができる。
【0041】
また、本実施形態の廃熱発電装置Gにおいては、補助迂回機構20が、タービン発電機2の下流側に流す作動媒体Yを凝縮器3の上流側に案内する。
補助バイパス流路21を流れる作動媒体Yは、蒸発器1からのものであるため、蒸気である。このため、タービン発電機2の下流側に流す作動媒体Yを凝縮器3の上流側に案内することによって、蒸気の作動媒体Yを凝縮して確実に液化することが可能となる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、補助迂回機構20が、タービン発電機2の上流側と下流側とを連結する補助バイパス流路21と、タービン発電機2の上流側における圧力が定常圧力以上の規定圧力を超えた際に補助バイパス流路21を開放する逆止弁22とを備える構成を採用した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、逆止弁に換えて電動弁や電磁弁を使用することも可能である。
【0044】
また、上記実施形態においては、補助バイパス流路21が凝縮器3の上流側に作動媒体Yを案内する構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、補助迂回機構20によってタービン発電機2を迂回させる作動媒体Yを、循環配管13の途中部位であってリザーバタンク5等の作動媒体Yが液体とされている領域に案内するようにしても良い。
【符号の説明】
【0045】
1……蒸発器、1A……正面、1B……背面、2……タービン発電機(発電装置)、3……凝縮器、3A……正面、3B……背面、4……ポンプ、5……リザーバタンク、6……架台、7……遮断弁、8……バイパス流路、9……バイパス弁、11……温水供給配管(流路配管)、12……温水回収配管(流路配管)、13……循環配管(作動媒体流路)、14……冷却水供給配管(流路配管)、15……冷却水回収配管(流路配管)、X……温水(廃熱媒体)、20……補助迂回機構、21……補助バイパス流路、22……逆止弁、Y……作動媒体、Z……冷却水(冷却媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃熱媒体と作動媒体との熱交換を行うことにより前記作動媒体の蒸気を生成する蒸発器と、該蒸気の熱エネルギーから電力を生成する発電装置と、該発電装置を介した前記蒸気と冷却媒体との熱交換を行うことにより前記蒸気を凝縮する凝縮器と、該凝縮器で凝縮された作動媒体を前記蒸発器に向けて送出するポンプと、前記発電装置への前記作動媒体の供給を遮断する遮断弁と、前記発電装置を迂回して前記作動媒体を前記凝縮器に向けて案内するバイパス流路と、当該バイパス流路の開閉を行うバイパス弁とを備える廃熱発電装置であって、
前記遮断弁によって前記発電装置への前記作動媒体の供給が停止しかつ前記バイパス弁によって前記バイパス流路が閉鎖されている状態において、前記発電装置を迂回して前記作動媒体を前記発電装置の下流側に流す補助迂回機構を備えることを特徴とする廃熱発電装置。
【請求項2】
前記補助迂回機構は、
前記発電装置の上流側と下流側とを連結する補助バイパス流路と、
前記発電装置の上流側における圧力が定常圧力以上の規定圧力を超えた際に前記補助バイパス流路を開放する逆止弁と
備えることを特徴とする請求項1記載の廃熱発電装置。
【請求項3】
前記補助迂回機構は、前記発電装置の下流側に流す前記作動媒体を前記凝縮器の上流側に案内することを特徴とする請求項1または2記載の廃熱発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−7369(P2013−7369A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142096(P2011−142096)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】