説明

廃蛍光体のリサイクル方法

【課題】廃蛍光体から高精度且つ効率的に特定の蛍光体を分離し、回収することができ、回収した蛍光体の再利用を容易にする方法を提供すること。
【解決手段】廃棄された複数種類の蛍光体(G、B、R)が混在する混合物から、少なくとも1種類の蛍光体(R)を分離する方法であって、
前記混合物を溶媒に投入する第1ステップと、
勾配を有する磁場中に前記溶媒の少なくとも一部を位置させ、前記蛍光体(G、B、R)に発生する磁気力により少なくとも1種類の蛍光体(R)を分離する第2ステップとを含み、
1種類の蛍光体(R)に発生する磁気力、重力及び浮力の合力が鉛直上向きであり、これにより1種類の蛍光体(R)を溶媒表面に浮上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄された蛍光ランプやプラズマディスプレイなどに使用されている蛍光体を、色毎に分離して回収する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、希土類元素を初めとしたレアメタルの価格が高騰している。プラズマディスプレイ、蛍光ランプに使用される蛍光体には、Tb、Euなどの高価な希土類元素が多量に含まれている。従って、下記非特許文献1に開示されているように、廃棄されたそれら製品から蛍光体を回収して化学的処理により希土類元素を分離して抽出する方法が検討されている。
【0003】
通常ランプ用の蛍光体には、青色蛍光体としてBAM(BaMgAl10O17:Eu2+)又はSCA(Sr10(PO4)6Cl2:Eu又は(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6Cl2:Eu)を、赤色蛍光体としてYOX(Y2O3:Eu3+又はYVO4:Eu)を、緑色蛍光体としてLAP(LaPO4:Tb,Ce)を混合して白色を示す三波長蛍光体と、白色蛍光体を使用したハロリン酸カルシウムの両者が使用されている。また、ランプの使用や回収作業による劣化の度合いは各蛍光体によって異なっており、三波長蛍光体の中では青色蛍光体のみが、Eu2+→Eu3+の変化のために著しく劣化する。そのため、回収した蛍光体を再度新しい蛍光ランプに使用することができず、新品蛍光体と混合する場合においても添加可能な割合は数%以下とごくわずかである。従って、蛍光体を品種ごと(三波長ごと、即ち色ごと、さらには同じ色でも組成物ごと)に分離し、再使用率を向上する方法が要望されている。
【0004】
蛍光体の種類を分別する方法では、一般的に蛍光体の物理的性質の差が利用される。まず、蛍光体の比重(密度)差を利用して分離することが考えられる。表1に各蛍光体の密度を示す。
【0005】
【表1】

【0006】
上の表で、「白」は、ハロリン酸を意味する。
【0007】
このように、一部の蛍光体の比重が異なることは公知であり、遠心分離によって分離する方法が下記特許文献1に開示されている。蛍光ランプ、プラズマディスプレイで使用される蛍光体の組み合わせにおいて、異なる色であっても比重に大きな差がないものがあるので、すべてを遠心分離によって分離することはできない。例えば、プラズマディスプレイ用では、B(青色)とG(緑色)の蛍光体は比重に大きな差がない。その他にも比重が近似するものがある。この問題を解決するために、特許文献1においては、比重の小さい青色蛍光体のみを遠心分離によって分離した後、表面帯電の差を利用して赤色蛍光体と緑色蛍光体とを分離する方法が開示されている。
【0008】
また、下記特許文献2には、蛍光体のゼータ電位が異なることを利用して、界面活性剤と溶媒組成を選択することで各色の蛍光体を抽出・分離する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−137320号公報
【特許文献2】特開2004−262978号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】高橋徹ほか,風力分級及び硫酸浸出法による廃蛍光体スラッジからの希土類元素の分離回収,資源と素材,Vol.117,579-585(2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、非特許文献1に開示されている、一度、蛍光体を酸処理して分離する方法は、高コストであるという欠点があり、本来は蛍光体そのままとして使用することが望ましい。
【0012】
また、上記特許文献1及び2に開示されている方法では、使用後の蛍光体は表面にバインダーなどが付着しているために、現実には表面状態が変化しているので、使用しにくいことや、青色蛍光体の回収時に劣化した蛍光体も混ざって回収されるという欠点がある。
【0013】
本発明は、上記した問題を解決するためになされたものであり、廃蛍光体から高精度且つ効率的に特定の蛍光体を分離し、回収することができ、回収した蛍光体の再利用を容易にする方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者は鋭意研究を行った結果、各種蛍光体には磁化率に有意な差があることを見出し、これによって各種蛍光体を分離する方法を発明した。即ち、本発明の目的は、以下の手段によって達成される。
【0015】
即ち、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(1)は、廃棄された複数種類の蛍光体が混在する混合物から、少なくとも1種類の蛍光体を分離する方法であって、前記混合物を流体に投入する第1ステップと、勾配を有する磁場中に前記流体の少なくとも一部を位置させ、前記蛍光体に発生する磁気力により少なくとも1種類の蛍光体を分離する第2ステップとを含むことを特徴としている。
【0016】
本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(2)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(1)において、前記勾配が鉛直方向に形成され、複数種類の前記蛍光体の各々に作用する磁気力、浮力及び重力の合力のうち、少なくとも2種類の前記蛍光体に作用する前記合力が逆向きになるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴としている。
【0017】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(3)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(2)において、前記合力が逆向きになる2種類の前記蛍光体以外の蛍光体のうち、1種類の蛍光体に作用する前記合力が0になるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴としている。
【0018】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(4)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(1)〜(3)の何れかにおいて、前記流体が液体の溶媒であり、前記第1ステップが、前記溶媒に投入された前記蛍光体を懸濁させる第3ステップを含んでいることを特徴としている。
【0019】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(5)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(4)において、前記溶媒が、界面活性剤を含む水、又は水酸基を有するアルコール類であることを特徴としている。
【0020】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(6)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(4)又は(5)において、複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてLaPO4:Ce,Tbを、青色蛍光体としてBaMgAl10O17:Eu及び(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Euを含み、前記溶媒
の比重が1以上であり、前記第2ステップが、前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が34.1T/m以上107T/m未満になるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光
体を採取する第4ステップを含んでいることを特徴としている。
【0021】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(7)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(4)又は(5)において、複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mnを、赤色蛍光体として(Y,Gd)BO3:Euを含み、前記溶媒の比重が1以上であり、前記第2ステップが、前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が21.2T/m以上110T/m未満になるように磁場分布を設定し、前記赤色蛍光体を採取する第5ステップと、前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が110T/m以上209T/m未満なるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光体を採取する第6ステップとを含んでいることを特徴としている。
【0022】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(8)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(1)〜(7)の何れかにおいて、前記第2ステップにおいて、前記磁場中を、前記混合物が投入された前記流体を通過させることを特徴としている。
【0023】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(9)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(1)〜(7)の何れかにおいて、前記混合物が投入された前記流体の表面近傍に、前記蛍光体を吸着可能な吸着手段を設け、前記流体の表面に浮上する前記蛍光体を、前記吸着手段に付着させて採取することを特徴としている。
【0024】
また、本発明に係る廃蛍光体のリサイクル方法(10)は、上記の廃蛍光体のリサイクル方法(1)〜(7)の何れかにおいて、前記第2ステップが、内部に局所的に前記勾配が形成されている流路に沿って、前記混合物が投入された前記流体を流す第7ステップと、前記勾配が形成された近傍に存在する前記流体を採取する第8ステップとを含んでいることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の廃蛍光体のリサイクル方法によれば、廃蛍光体から高精度且つ効率的に、特定の蛍光体を分離することも、全ての蛍光体を色毎に分離することもできる。従って、回収した蛍光体の再利用が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る廃蛍光体のリサイクル方法(方法1)を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る廃蛍光体のリサイクル方法(方法2)を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る廃蛍光体のリサイクル方法(方法3)を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る廃蛍光体のリサイクル方法(方法6)を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例(実施例1)を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例(実施例3)を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施の形態を、添付した図面に基づいて説明する。
【0028】
強度が不均一な磁場中に物質を配置すると、その物質に磁気力が発生する。発生する磁気力の大きさは、物質の磁化率(χ)と、物質の位置での磁束密度の大きさ(B)と、その空間的な勾配である磁場勾配(gradB)との積に比例し、物質が常磁性体であれば、磁束密度の大きくなる方向に磁気力が作用し、反磁性体であれば、磁束密度の小さくなる方
向に磁気力が作用する。従って、本発明では、蛍光体の磁化率の違いに注目し、磁化率に応じて蛍光体を分離する。
【0029】
具体的に、表2に、プラズマディスプレイ、ランプに一般に使用されている蛍光体と、その特性値を示す。
【0030】
【表2】

【0031】
表2において、各蛍光体の磁化率は、磁場強度が1000Gaussにおける単位質量(1
g)当たりの磁化(emu/g)として表されている。なお、表2は一例であり、同じ色の蛍
光体であってもメーカーによって組成が異なることや、同じメーカーであっても同じ色の蛍光体の組成が型番によって異なることがあり得る。
【0032】
表2から分かるように、プラズマディスプレイに使用される蛍光体がZSM、YBO、BAMの場合には、磁化率は、青色、緑色、赤色の順に大きくなる。そこで、本発明では、廃棄されたプラズマディスプレイから回収された、粉砕された状態の赤色、青色、緑色の蛍光体が混在している混合物を、所定の溶媒中に投入し、これを勾配を有する不均一な磁場中に配置する。これによって、赤色、青色、緑色の蛍光体のそれぞれに異なる大きさの磁気力が発生するので、各色の蛍光体を分離することができる。
【0033】
一方、ランプ用の蛍光物質に関しては、同じ色でも異なる磁化率を有するものや、異なる色でも近似する磁化率を有するものがあるが、蛍光体種別毎に磁化率が異なる。従って、プラズマディスプレイ用の蛍光体の混合物について上記した方法と同様の方法で、ランプ用蛍光体の混合物についても、蛍光体種別毎に分離することができる。
【0034】
具体的に示せば、以下のような種々の方法が可能である。なお、以下では、主として表
2に示したプラズマディスプレイ用の蛍光体の混合物を分離とする場合について説明する。
【0035】
方法1:
混合された赤色、青色、緑色蛍光体を、それらよりも比重が小さい溶媒(液体)中に投入し、磁場強度が鉛直上方で大きく、鉛直下方で小さくなるように磁場勾配が存在する磁場中に、その溶液(溶媒及び蛍光体)を配置する(図1参照)。図1の(a)に示したように、投入された蛍光体G、B、Rは、重力によって溶媒M中の下方(溶媒を収容している容器の底)に沈殿する。その状態の溶媒Mを磁場中に配置すると、図1の(b)に示したように、赤色蛍光体Rには上向きの最も大きい磁気力FRが発生するので、磁気力FRと浮力Fuとの和FR+Fuが重力Fdよりも大きくなり(ここでFR、Fu、Fdは何れも単位
質量当たりの値である。以下同様)、赤色蛍光体Rを浮上させることができる。従って、液面に浮上した物質を採取すれば、赤色蛍光体Rのみを採取することができる。浮上した物質を採取するには、公知の手段、例えば吸引手段(スポイトなど)や吸着手段(蛍光体が自然に付着する部材)を使用すればよい。
【0036】
そして、赤色蛍光体Rを採取した後、磁場及び勾配を大きくする。これによって、緑色蛍光体Gには、青色蛍光体Bよりも大きい鉛直上向きの磁気力が発生するので、上記と同様に、緑色蛍光体Gを浮上させることができる。従って、液面に浮上した物質を採取すれば、緑色蛍光体Gのみを採取することができる。最後に、残存する青色蛍光体Bを採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
【0037】
方法2:
使用可能な多くの溶媒は比重が蛍光体よりも小さいので、溶媒に投入された蛍光体は沈殿する。しかし、蛍光体よりも溶媒の比重が大きい場合には、磁場強度が鉛直下方で大きく、鉛直上方で小さくなるように分布する磁場中に、その溶液を配置する(図2参照)。この場合、蛍光体G、B、Rは溶媒Mの液面に浮上する(図2の(a)参照)。その状態の溶媒Mを磁場中に配置すると、図2の(b)に示したように、赤色蛍光体Rには、下向きの最も大きい磁気力FRが発生するので、磁気力FRと重力Fdとの和FR+Fdが浮力Fuよりも大きくなり、赤色蛍光体Rを沈殿させることができる。
【0038】
赤色蛍光体Rを採取した後、磁場及び磁場勾配を大きくする。これによって、緑色蛍光体Gには、青色蛍光体Bよりも大きい鉛直下向きの磁気力が発生するので、緑色蛍光体Gを沈殿させることができる。緑色蛍光体Gを採取した後に残存する青色蛍光体Bを採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
【0039】
方法3:
図3に示したように、混合された赤色、青色、緑色の蛍光体G、B、Rを、それらよりも比重が小さい溶媒M中に投入し、蛍光体を溶媒M中で懸濁させた状態で、鉛直上方で強度が大きく鉛直下方で強度が小さい磁場分布中を、水平な一方向に所定の流速vで移動させる。図3では、左端の容器内で3種類の蛍光体G、B、Rが懸濁した状態の溶媒Mを、左端から移送管に投入し、移送管中を右側に向かって通過させる。磁場勾配は、移送管内中の、符号Lで示した範囲内に形成されている。この場合、3種類の蛍光体のうち、赤色蛍光体Rが鉛直上向きの最も大きい磁気力FRを受けるので、沈殿するまでに、最も長い
距離移動する(「Rの軌跡」と記載した破線参照)。青色蛍光体Bは鉛直上向きの最も小さい磁気力FBを受けるので、沈殿するまでに、最も短い距離移動する(「Bの軌跡」と
記載した破線参照)。そして、緑色蛍光体Gが受ける磁気力は、青色及び赤色蛍光体B、Rの間の値であるので、青色及び赤色蛍光体B、Rが沈殿する位置の間に沈殿する。即ち、蛍光体が沈殿する位置は、青色、緑色、赤色の順に移送管の入力端から遠くなり、3種類の蛍光体を、それぞれ異なる位置に沈殿させ、採取することができる。
【0040】
方法4:
混合された赤色、青色、緑色の蛍光体を、それらよりも比重が大きい溶媒中に投入し、その蛍光体を溶媒中で懸濁させた状態で、鉛直上方で強度が小さく鉛直下方で強度が大きく分布する磁場中を、水平な一方向に所定の流速で移動させる。この場合、3種類の蛍光体中、赤色蛍光体が鉛直下向きの最も大きい磁気力を受けるので、赤色蛍光体に作用する磁気力と重力との和が、浮力よりも大きくなるように、磁場及び勾配の大きさを設定しておけば、赤色蛍光体を沈殿させて採取することができる。
【0041】
そして、沈殿しなかった青色及び緑色蛍光体を含む溶液を、再度、蛍光体を溶媒中で懸濁させた状態で、鉛直上方で強度が小さく鉛直下方で強度が大きく分布する磁場中を、水平な一方向に所定の流速で移動させる。このとき、事前に磁場及び勾配の大きさを、緑色蛍光体に作用する磁気力と重力との和が、浮力よりも大きくなるように、調節しておけば、緑色蛍光体を沈殿させて採取することができる。最後に、沈殿せずに浮遊する青色蛍光体を採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
【0042】
方法5:
方法3と同様の方法であるが、磁場勾配が存在する領域L(図3参照)をより大きくし、緑色蛍光体に作用する磁気力と浮力との和が、重力よりも少し大きくなるように、磁場及び勾配の大きさを設定する。このように磁場分布を形成すれば、赤色蛍光体についても、磁気力と浮力の和が重力よりも大きくなるので、緑色及び赤色蛍光体を沈殿させず、青色蛍光体のみを沈殿させることができる。したがって、沈殿した物質を採取すれば、青色蛍光体を採取することができる。
【0043】
そして、排出された液体を回収し、再度、勾配を有する磁場中を通過させる。このとき、赤色蛍光体が沈殿しないように、赤色蛍光体に作用する磁気力と浮力の和が、重力よりも少し大きくなるように、磁場及び勾配の大きさを設定する。このように磁場分布を形成すれば、緑色蛍光体に作用する磁気力と浮力の和を、重力よりも小さくし、緑色蛍光体を沈殿させることができる。沈殿した物質を採取すれば、緑色蛍光体を採取することができる。最後に、排出される液体を回収し、赤色蛍光体を採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
【0044】
なお、図3は磁場勾配が鉛直方向に形成されている場合を示すが、磁場勾配が水平方向に形成されていてもよい。磁場勾配を水平方向に形成するには、例えば、ボアを横向きにして超伝導磁石を移送管の内部に配置すればよい。
【0045】
方法6:
図4に示すように、3種類の蛍光体G、B、Rを、鉛直に配置された移送管に、内側管壁の近傍の一箇所から投入する。移送管中では、溶媒Mが、例えば重力によって、下方に向かって移動する。移送管の外壁近傍(蛍光体が投入される位置に対向する側)には、磁石(例えば永久磁石)が配置されている。
【0046】
図4の左端付近に投入された3種類の蛍光体G、B、Rのうち、赤色蛍光体Rには、他の2種類の蛍光体B、Gよりも大きい右向きの磁気力が発生するので、赤色蛍光体Rは、下方に移動する間に右側に移動する(「Rの軌跡」と記載した破線参照)。一方、青色及び緑色蛍光体B、Gに発生する磁気力は比較的小さいので、青色及び緑色蛍光体B、Gは、ほとんど右方向に移動せずに、下方に移動する。したがって、図4の右端付近の溶液を容器に採取して静止させれば、沈殿物として赤色蛍光体Rのみを回収することができる。
【0047】
その後、排出された溶媒Mを容器内で静止させ、得られた沈殿物を、上記と同様に移送
管に投入する。このとき、事前に、緑色蛍光体Gに発生する右向きの磁気力が、緑色蛍光体Gが下降中に右端の内壁近傍まで移動するように、磁場及び勾配の大きさを設定しておく。従って、右端付近の溶液を容器に採取して静止させれば、沈殿物として緑色蛍光体Gのみを回収することができる。最後に、排出された溶液から青色蛍光体Bを採取すれば、3種類の蛍光体を分離して採取することができる。
【0048】
なお、最初の1回で、全ての赤色蛍光体Rを回収することができない場合には、複数回繰り返し、その後、磁場及び勾配の大きさを設定し直して緑色蛍光体Gを回収する処理を行えばよい。
【0049】
方法7:
磁場及び磁場勾配を水平又は斜め方向に形成する場合には、磁化率の大きな蛍光体ほど磁場が強くなる方向に磁気力が働き、例えばプラズマディスプレイ用の蛍光体ZSM、YBO及びBAMの混合した混合物では、磁場の強くなる部位にYBOが集中する。従って、蛍光体を分散させた溶媒を所定の流路に沿って流し、その流路内に予め磁石を配置して局所的に磁場勾配を形成しておけば、磁石の近傍と、磁石から離れた下流部分とをそれぞれ別に採取することにより、磁化率の大きな蛍光体(磁石の近傍から採取)と、それ以外の蛍光体(下流から採取)とを分離して回収することができる。磁石の数は1つに限定されず、複数であってもよい。
【0050】
上記した各方法において、廃蛍光体を投入する溶媒としては、水や通常の有機溶媒などの反磁性を示す液体を用いることが必須である。分散させるためには、界面活性剤を含む水、水酸基を有するアルコール類やアセトン等の有機溶媒が好ましく、前者の水は特に凝集が少なくより好ましい。界面活性剤としては、LAS、高級アルコール系など蛍光体粉末を分散できるものが使用できるが、分離後の除去操作を考えると、イオウ分、リン、ハロゲン、灰分を含まないポリカルボン酸系などの界面活性剤が特に好ましい。
【0051】
後述するように、実験を繰り返した結果、分離された蛍光体の純度を上げるためには、分散溶媒中に蛍光体の粉末をいったん分散させ、10分から2時間程度で重力により沈降させることが望ましく、粉末の一部が凝集した状態では分離の精度が低下することが分かった。
【0052】
また、磁場勾配を発生させる手段としては、公知の超伝導磁石や電磁石や永久磁石や、外部磁場によって磁化された状態の強磁性体(鉄など)を使用することができる。強力な磁場を発生させることができる超伝導磁石が特に望ましい。永久磁石に関しては、強力な磁場を発生させることができる希土類磁石(磁石材料の一部に希土類を用いた永久磁石)であることが望ましい。
【0053】
上記した表2の右端列には、水(比重が1)に投入した蛍光体(沈殿する)を浮上させるために必要な磁場強度と勾配磁場強度との積(B・gradB)を示す。また、表3は、表2の各行を、プラズマディスプレイとランプとを区別して、B・gradBが大きくなる順に並べ替えたものである。
【0054】
【表3】

【0055】
水以外の溶媒(有機溶媒、界面活性剤など)を使用する場合をも考慮すると、比重が1以上の溶媒を使用する場合、プラズマディスプレイ用の蛍光体に関しては、浮上させるためのB・gradBの値は、赤色蛍光体YBOについては21.2T/m以上、緑色蛍光体ZSMについては110T/m以上、青色蛍光体BAMについては209T/m以上とすることが望ましい。すなわち、B・gradBの値を21.2T/m以上110T/m未満の値に設定することで、沈殿している赤色蛍光体YBOのみを浮上させることができる。より確実に分離するためには、B・gradBを23〜90T/mの範囲の値に設定するのが望ましい。また、赤色蛍光体を採取した後、B・gradBを110T/m以上209T/m未満の値とすることで緑色蛍光体ZSMのみを浮上させることができる。より確実に分離するためには、B・gradBを120〜190T/mの範囲の値に設定するのが望ましい。
【0056】
ランプ用の蛍光体の場合にも同様に、B・gradBを適切に設定すれば、蛍光体種別毎に分離することができる。例えば、比重が1以上の溶媒を使用する場合、浮上させるためのB・gradBの値は、緑色蛍光体のLAP(L)については33.8T/m以上、LAP(W)については34.0T/m以上、LAP(C)については34.1T/m以上である。そして、その他の色に関しては、最も小さいB・gradBが107T/m(BAM)である。従って、B・gradBを34.1T/m以上107T/m未満の値に設定することで、沈殿している蛍光体の内、3種類の緑色蛍光体のみを浮上させることができる。ここで、34.1T/m以上としたのは、3種類の緑色蛍光体LAP(L)、LAP(W)、LAP(C)を共に浮上させるためであり、107T/m未満としたのは、その他の蛍光体を全て浮上させないためである。より確実に分離するためには、B・gradBを36〜90T/mの範囲の値に設定するのが望ましい。また、緑色蛍光体を採取した後、B・gradBを107T/m以上141T/m未満の値に設定することで、沈殿
している青蛍光体の内、BMA(1)のみを浮上させることができる。より確実に分離する
ためには、B・gradBを115〜130T/mの範囲の値に設定するのがより望ましい。その他の蛍光体に関しても、同様にして分離することができる。
【0057】
なお、比重が1より小さい溶媒を使用する場合には、各蛍光体を浮上させるためのB・gradBの値は、上記の値(比重が1以上の溶媒を使用する場合)よりも大きくなければならない。具体的に一例を示せば、溶媒の比重が約0.78(アルコールであれば、エタノール(比重0.786)、2−プロパノール(比重0.781)、1−ブタノール(比重0.806)など)のとき、表2の右端列の値に対応する値(比重が0.78の溶媒に投入した蛍光体を浮上させるためのB・gradBの値)は、上から119、22.4、225、35.7、35.8、35.5、637、904、115、251、714、629、640、313、155、816T/mとなる。
【0058】
上記では、7種類の方法を例示したが、本発明はこれらに限定されない。磁場勾配が鉛直方向に形成される場合(例えば図1〜3)には、蛍光体を投入する溶媒の比重と各蛍光体の比重との大小関係を考慮して、蛍光体が投入された溶媒を配置又は流す領域の磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。例えば、3種類の蛍光体の混合物の場合、各々の蛍光体に作用する磁気力、浮力、重力の合力F1、F2、F3のうち、少なくとも2つが逆向き
になるように、磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。一例として、合力F1が合力F2及びF3と逆向きである場合が考えられる。この場合、1種類の蛍光体(合力F1を受ける蛍光体)を空間的に集合させることができ、容易に採取可能となる。その後、残存する2種類の蛍光体を分離するには、上記と同様に、それぞれに作用する合力F2、F3が逆向きになるように、磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。また、合力F1が合力F2と逆向きであり合力F3がほぼ0である場合には、2種類の蛍光体(合力F1、2を受ける蛍光
体)をそれぞれ異なる場所に集合させる(一方を沈殿させ、他方を浮上させる)ことができ、容易に採取可能となる。ほぼ0である合力F3を受ける蛍光体は、最初に拡散された
状態であれば溶媒中に拡散されたままとなる。
【0059】
例えば、プラズマディスプレイ用の蛍光体については、赤色蛍光体に作用する合力が鉛直上向きになり、青色及び緑色蛍光体の各々に作用する合力が共に鉛直下向きになるように、磁場及び勾配の大きさを設定すれば、赤色蛍光体と、青色及び緑色蛍光体とを分離することができる。浮上した赤色蛍光体を採取した後、青色及び緑色蛍光体の各々に作用する合力が逆向きになるように磁場及び勾配の大きさを設定すれば、青色蛍光体と緑色蛍光体とを分離して採取することができる。
【0060】
また、プラズマディスプレイ用の蛍光体については、赤色及び緑色蛍光体の各々に作用する合力が共に鉛直上向きになり、青色蛍光体に作用する合力が鉛直下向きになるように、磁場及び勾配の大きさを設定すれば、青色蛍光体と、緑色及び赤色蛍光体とを分離することができる。沈殿した青色蛍光体を採取した後、緑色及び赤色蛍光体の各々に作用する合力が逆向きになるように磁場及び勾配の大きさを調節すれば、緑色蛍光体と赤色蛍光体とを分離して採取することができる。
【0061】
また、プラズマディスプレイ用の蛍光体については、赤色蛍光体に作用する合力が鉛直上向きになり、青色蛍光体に作用する合力が鉛直下向きになり、緑色蛍光体に作用する合力がほぼ0になるように、磁場及び勾配の大きさを設定すれば、赤色蛍光体を浮上させ、青色蛍光体を沈殿させ、緑色蛍光体を溶媒中に拡散された状態のままとすることができる。従って、浮上した赤色蛍光体及び沈殿した青色蛍光体を分離して採取できる。 上記した各分離方法は、4種類以上の蛍光体の混合物にも同様に適用可能である。即ち、4種類以上の蛍光体を含むランプ用の蛍光体の混合物についても、適用可能である。
【0062】
また、水平方向に勾配が形成される場合(例えば図4)には、少なくとも1種類の蛍光体に、他の蛍光体よりも大きい水平方向の磁気力が生じるように、磁場及び勾配の大きさを設定すればよい。
【0063】
また、上記では、磁場勾配の方向や容器が配置される方向が、鉛直方向又は水平方向である場合を主として説明したが、斜め方向であってもよい。その場合にも、磁気力、重力、浮力を3次元ベクトルとして扱い、容器壁面の位置を考慮して、磁場及び勾配の大きさを適宜設定すれば、3種類の蛍光体を分離することができる。
【0064】
また、上記では、プラズマディスプレイ、蛍光ランプで使用される蛍光体を回収する場合について説明したが、本発明の適用対象はこれらに限定されない。磁化率が異なる複数種類の蛍光体が粉末状に混在している混合物であれば、本発明を適用して、蛍光体を種類毎に分離して回収することができる。
【0065】
また、上記では、液体の溶媒を使用する場合を説明したが、流体であればよく、気体(例えば空気)を使用してもよい。例えば、廃蛍光体を細かく粉砕し、十分な圧力ないし流量の空気を用いて、噴霧器で混合物を(溶媒はあってもなくてもよい)磁場勾配に向けて噴霧しても、上記したように蛍光体を分離することができる。
【0066】
また、上記では廃蛍光体が劣化していることを考慮せずに分離する場合を説明したが、蛍光体の磁化率は主として希土類イオンによって決まるため、青色蛍光体が劣化すると磁化率が変化する。従って、磁場分離と遠心分離とを適宜組み合わせれば、例えば赤色蛍光体、青色蛍光体、劣化した青色蛍光体に分離することが可能となる。
【0067】
また、上記では、表1〜3に示した具体的な数値を基に本発明について説明したが、既に述べたように、これらの表の数値は一例であり、同じ色の蛍光体であってもメーカーによって組成が異なることや、同じメーカーであっても同じ色の蛍光体の組成が型番によって異なることがあり得る。例えば、表2に示したプラズマディスプレイ用の蛍光体の磁化率は、青色(BAM)、緑色(ZSM)、赤色(YBO)の順に大きくなるが、組成の違いによって、これと異なる順序になる場合もある。しかし、そのような場合にも本発明を適用可能であり、蛍光体の磁化率や密度、溶媒の比重などに応じて適切な分離条件を設定すればよい。従って、同じメーカーの同じ色の蛍光体を、品番ごとに分離することも可能である。
【実施例1】
【0068】
以下に、実施例を示し、本発明の特徴をより明確にする。本実施例では、図5に示すように、上記した方法1を用いて蛍光体の分離を行った。
【0069】
使用済蛍光灯(ランプ)から回収したLAP、BAM、YOXを含有する蛍光体粉末の混合物を、ポリカルボン酸系界面活性剤を含有する水中に分散させ、ガラス容器に入れ、超伝導磁石の下部に挿入した(図4の(a)参照)。使用した超伝導磁石は、円筒型のトロイダルコイルが、円筒軸が鉛直方向になるように配置されたものであり、円筒の中心で最も磁場(鉛直方向)が強く、円筒軸に沿って中心から外側に移動すると磁場が小さくなるように磁場勾配が形成されている(磁場強度の等高線を破線で示す)。その結果、磁化率の大きなLAPは磁場の強い超伝導磁石の中心方向への磁気力によって浮上し、一部はガラス容器の上部壁面に付着した(図5の(b)参照)。その他の蛍光体BAM、YOXは下部に沈降した。
【0070】
このとき、分離された蛍光体の純度を上げるために、溶媒中の蛍光体粉末をいったん分散させた後、10分から2時間程度で重力により沈降させた。LAPの採取時にはガラス
容器を超伝導磁石から取り出し、ガラス容器の上部壁面に付着したLAPをへらで採取し、液面付近の溶液(LAPを含む)をスポイトで採取した。ガラス容器を超伝導磁石から取り出すと、溶液中でLAPは沈降していくが、下部の溶液は採取せず他の色の蛍光体の混入を避けた。さらに、LAPを多く回収するために、残りの溶液(蛍光体を含む)に界面活性剤入り水を加えて、再び上記したように磁場による分離操作を繰り返し行った。その後、採取した溶液を700℃に加熱して界面活性剤を除去することにより、200mgの蛍光体の混合物から99%以上の純度のLAPを56mg回収することができた。
【実施例2】
【0071】
蛍光体の混合物をイソプロピルアルコール又はノルマルブチルアルコール中に分散させた以外は、実施例1と同様である。その結果、磁化率の大きなLAPを、磁場の強い超伝導磁石の中心方向への磁気力によって浮上させ、その一部をガラス上部壁面に付着させ、採取することができた。
【実施例3】
【0072】
本実施例では、図6の(a)に示すように、使用済蛍光灯から回収したLAP、BAM、YOXを含有する蛍光体の混合物を、界面活性剤を含有する水中に分散させ、ガラス容器中に入れ、傾斜させたガラス容器の外側壁の近傍に希土類永久磁石を配置した。これによって、希土類永久磁石が配置された側の、ガラス容器の側壁近傍にLAPを集中させることができた。希土類永久磁石には、直方体のディスク状であり、ディスクの厚さ方向に磁化されたもの(厚さ方向の両面に磁極が形成されている)を使用した。
【0073】
その後、図6の(b)に示したように、ガラス容器を鉛直に立て、希土類永久磁石をガラス容器から離すことによって、LAPを、BAM及びYOXから分離させて沈殿させることができた。その結果、希土類永久磁石を配置していた側の沈殿物から純度99%以上のLAPを回収することができた。
【実施例4】
【0074】
本発明を用いない比較実験として、使用済蛍光灯から回収したLAP、BAM、YOXを含有する蛍光体粉末の混合物を、界面活性剤を含有する水中に分散させ、ガラス容器中に入れ、静止させた。LAPは遅れて沈降し、沈降物上部及び懸濁部はLAP含有率の高い状態であったが、大部分のLAPはBAM、YOXと混合して沈降した。即ち、3種類の蛍光体を分離することはできなかった。
【実施例5】
【0075】
本発明を用いない比較実験として、使用済蛍光灯から回収したLAP、BAM、YOXを含有する蛍光体の混合物を、蒸留水中に分散させ、ガラス容器中に入れ、超伝導磁石の下部に挿入した。蛍光体は蒸留水中でわずかに凝集して5分以内に沈降し、磁化率の大きなLAPの分離は明瞭には観測できなかった。
【符号の説明】
【0076】
G、LAP 緑色蛍光体
B、BAM 青色蛍光体
R、YOX 赤色蛍光体
M 溶媒
G、R 磁気力
d 重力
u 浮力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄された複数種類の蛍光体が混在する混合物から、少なくとも1種類の蛍光体を分離する方法であって、
前記混合物を流体に投入する第1ステップと、
勾配を有する磁場中に前記流体の少なくとも一部を位置させ、前記蛍光体に発生する磁気力により少なくとも1種類の蛍光体を分離する第2ステップとを含むことを特徴とする廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項2】
前記勾配が鉛直方向に形成され、
複数種類の前記蛍光体の各々に作用する磁気力、浮力及び重力の合力のうち、少なくとも2種類の前記蛍光体に作用する前記合力が逆向きになるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項3】
前記合力が逆向きになる2種類の前記蛍光体以外の蛍光体のうち、1種類の蛍光体に作用する前記合力が0になるように、前記磁場及び前記勾配の強度が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項4】
前記流体が液体の溶媒であり、
前記第1ステップが、前記溶媒に投入された前記蛍光体を懸濁させる第3ステップを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項5】
前記溶媒が、界面活性剤を含む水、又は水酸基を有するアルコール類であることを特徴とする請求項4に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項6】
複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてLaPO4:Ce,Tbを、青色蛍光体としてBaMgAl10O17:Eu及び(Sr,Ca,Ba)10(PO4)6Cl2:Euを含み、
前記溶媒の比重が1以上であり、
前記第2ステップが、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が34.1T/m以上107T/m未満になるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光体を採取する第4ステップを含む請求項4又は5に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項7】
複数種類の前記蛍光体が、緑色蛍光体としてZn2SiO4:Mnを、赤色蛍光体として(Y,Gd)BO3:Euを含み、
前記溶媒の比重が1以上であり、
前記第2ステップが、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が21.2T/m以上110T/m未満になるように磁場分布を設定し、前記赤色蛍光体を採取する第5ステップと、
前記磁場の強度と前記勾配の強度との積が110T/m以上209T/m未満なるように磁場分布を設定し、前記緑色蛍光体を採取する第6ステップとを含む請求項4又は5に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項8】
前記第2ステップにおいて、前記磁場中を、前記混合物が投入された前記流体を通過させることを特徴とする請求項1〜7に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項9】
前記混合物が投入された前記流体の表面近傍に、前記蛍光体を吸着可能な吸着手段を設け、
前記流体の表面に浮上する前記蛍光体を、前記吸着手段に付着させて採取することを特徴とする請求項1〜7に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。
【請求項10】
前記第2ステップが、
内部に局所的に前記勾配が形成されている流路に沿って、前記混合物が投入された前記流体を流す第7ステップと、
前記勾配が形成された近傍に存在する前記流体を採取する第8ステップとを含む請求項1〜7の何れか1項に記載の廃蛍光体のリサイクル方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−13626(P2010−13626A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88758(P2009−88758)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】