説明

延長された熱履歴を伴う方法によって製造される熱可塑性樹脂製品に適したUV吸収添加剤

熱圧着積層法によって得られるUV保護積層品。この積層品は、ベンゾトリアジンUV吸収剤の使用によって低下されたヘイズを特徴とする。このような積層品の製造方法並びに加熱及び加圧の間にUV保護積層品にヘイズが発生するのを防止又は抑制する方法も記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、熱圧着積層法によって得られるUV保護積層品に関する。この積層品はベンゾトリアジンUV吸収剤の使用によって低下されたヘイズを特徴とする。本発明は、一般に、このような積層品の製造方法並びに加熱及び加圧の間にUV保護積層品にヘイズが発生するのを防止又は抑制する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)波長を含む光源に暴露されるであろう熱可塑性樹脂製品には、紫外線暴露による損傷からの保護が必要であることが多い。この保護は、多くの場合、押出又は成形プロセスにおける樹脂全体へのUV安定剤の「バルクローディング(bulk-loading)」によって、又は安定剤を含む共押出層若しくは積層フィルムを用いた製品表面への添加剤の集中によって、提供される。
【0003】
これらのUV安定化熱可塑性樹脂は、それらを異なる用途の完成品に加工するための下流加工によって更なる熱履歴を受けることが多い。下流加工には、熱圧着積層、熱成形、ドレープ成形、インライン・フィルム積層、二次加工(fabrication)(例えばエッジ研磨又は表面研磨)、滅菌などがある。特定の状況下では、これらの追加熱履歴は、熱履歴を加えなければ明澄である部分に、不所望なヘイズを発生させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この問題、並びに明細書の他の部分及び添付した特許請求の範囲を読めば当業者に明白であろう他の問題を解決することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一面において、本発明は2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することよって得られる積層品を提供する。この製品中の少なくとも1つの層はベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれたポリマーを含む。
【0006】
第2の面において、本発明は積層品の製造方法を提供する。この方法は、2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することを含んでなり、その少なくとも1つの層はベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれたポリマーを含む。
【0007】
第3の面において、本発明は加熱及び加圧の間にUV吸収剤含有積層品にヘイズが発生するのを防止又は抑制する方法を提供する。この方法は、UV吸収剤として、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール又は2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールを使用することを含んでなる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは、意外なことに、下流加工による追加熱履歴に供されたUV吸収剤含有熱可塑性樹脂製品において発生するヘイズの問題の原因及びその解決法の両者を見出した。意外にも、ある種のUV吸収剤はこの問題を引き起こすが、追加の熱履歴に耐えることができ、不所望なレベルのヘイズを生じないUV吸収剤もあることがわかった。
【0009】
具体的には、意外なことに、高ローディング量で使用でき且つ延長された熱履歴に暴露しても高明澄度を保持できるUV吸収剤はベンゾトリアジン類、ベンゾトリアゾール類及びベンゾフェノン類などであることがわかった。他方、ベンゾオキサジノン類のようなUV吸収剤は使用できない。
【0010】
好ましい種類のUV吸収剤はベンゾトリアジン類である。この種類に含まれる化合物の例としては、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール(CAS No.2725−22−6;Cytec Industries Inc.からCyasorb(登録商標)UV−1164として市販)及び2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノール(CAS No.147315−50−2;Ciba Specialty Chemicals Inc.からTinuvin(登録商標)1577として市販)が挙げられる。
【0011】
UV吸収剤の使用量は用途によって異なり得る。典型的には、UV吸収剤の濃度は、それを混和する層の重量に基づき、約1〜20重量%、1.8〜12重量%又は2.6〜9重量%の範囲であることができる。
【0012】
従って、一面において、本発明は、2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することによって得られる積層品を提供する。この製品中の少なくとも1つの層はベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれたポリマーを含む。
【0013】
UV吸収剤(UVA)を含む層は透明又は半透明であることができ、その他の層は目的とする個々の美的効果に応じて透明、半透明又は不透明であることができる。異なる層は透明度又は半透明度、更に色も異なり得る。
【0014】
熱及び圧力を用いた積層品の製造方法は一般に熱圧着積層として知られている。典型的な熱圧着積層操作は、積層すべきアイテムの「ブック」を、約120℃のプラテン温度及び約75ポンド/平方インチの圧力を有する加熱プレスに約2〜90分のサイクル時間の間入れることを含む。この温度及び圧力は、封入材料又は包含物(もしあれば)の特性によって異なり、サイクル時間の長さは、1回のプレス開放において積み重ねられる場合に積層される物品の厚さと積層されるアイテムの総数によって異なる。典型的なブックレイアップは、以下の層状配列(下から上に):金属転写板;圧力分散パッド(シリコーンゴム、段ボール紙、耐熱性織物など);薄く、任意的に研磨された金属板;任意的な剥離フィルム又は剥離紙;艶消テクスチャーが上向きにされた(艶消テクスチャーは次に記載するシートに向いている)、UV添加剤を含む薄く、明澄な押出コポリエステルフィルム;艶消面が上向きのコポリエステルプラスチックシート材料;封入される装飾又は機能層;及び1つの積層構造を構成するレイアップを完成させるための前記層の逆順での繰り返しを含むであろう。1つのブックはいくつかの積層品を1回のプレス開放で製造できるように構成できることに留意されたい。また、前記例の変形も可能であることに留意されたい。
【0015】
本発明の積層品は、熱可塑性フィルム若しくはシートの1つの層の表面に接着された又は熱可塑性フィルム若しくはシートの2つ若しくはそれ以上の層の間に封入された、1つ又はそれ以上のアイテムを含むことができる。接着又は封入されるアイテムとしては、布帛(fabric);金属の線、ロッド若しくはバー;石;紙;着色フィルム;装飾フィルム;調光フィルム(light modifying film);印刷画像;植物;木材;木材チップ;竹;松葉;コケ;地衣類;草;わら;花;花びら;小麦;穀粒;ビーズ;ペレット;ガラス;破砕ガラス;小石などが挙げられるが、これらに限定するものではない。接着又は封入されるアイテムとしては更に、発光用コンデンサ(LEC)、発光ダイオード(LED)及びプリント「回路基板」を含む通電装置;通電時に発光する紙;エレクトロクロミック層;太陽電池;送信機;受信機;アンテナ;電磁石;電極;並びに風速及び風向、温度、圧力、相対湿度、雨量、運動、放射線又は特定の化学種を検知できる高性能センサーが挙げられる。アイテムは前記のいずれかの組合せであることもできる。
【0016】
本発明の積層品は、装飾品又は機能性物品として使用することができる。このような物品としては、カウンタートップ、テーブルトップ、キャビネット扉、ゲームボード、玩具、シャワー室用パネル、温水浴槽、マーカーボード、室内及び屋外のサイン;流し台、石けん入れ、バックスプラッシュを含むバニティトップ;床材、ビルボード・サイネージ、バックライト付きバス広告、ストリートファーニチャー、バス待合所、POP(店頭)ディスプレイ、床材、キオスク、高性能センサー、装飾壁、パーティション、つや出し用途などが挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0017】
本発明の積層品は、その表面に米国特許第6,025,069号(引用することにその内容全体を本明細書中に組み入れる)に記載されたような装飾テクスチャー又はデザインを含むことができる。
【0018】
本明細書中で使用する用語「ポリエステル」は、「コポリエステル」を含むものとし、1種又はそれ以上の二官能価カルボン酸と1種又はそれ以上の二官能価ヒドロキシル化合物との反応によって製造された合成ポリマーを意味するものと解する。典型的には、二官能価カルボン酸はジカルボン酸であることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は二価アルコール、例えばグリコール及びジオールなどであることができる。或いは、二官能価カルボン酸はヒドロキシカルボン酸、例えばp−ヒドロキシ安息香酸などであることができ、二官能価ヒドロキシル化合物は2個のヒドロキシル置換基を有する芳香核、例えばヒドロキノンなどであることができる。本明細書中で使用する用語「残基(residue)」は、対応するモノマーから重縮合及び/又はエステル化反応によってポリマー中に組み入れられた任意の有機構造を意味する。本明細書中で使用する用語「反復単位」は、カルボニルオキシ基によって結合されたジカルボン酸残基及びジオール残基を有する有機構造を意味する。従って、例えばジカルボン酸残基は、ジカルボン酸モノマー若しくはその関連酸ハロゲン化物、エステル、塩、無水物又はそれらの混合物に由来することができる。本明細書中で使用する用語「ジカルボン酸」は、ポリエステルを製造するためのジオールとの反応プロセスにおいて有用なジカルボン酸並びにその関連酸ハロゲン化物、エステル、半エステル、塩、半塩、無水物、混合無水物を含むジカルボン酸の任意の誘導体又はそれらの混合物を含むものとする。
【0019】
本発明において使用するのに適当な透明なコポリエステルとしては、Eastman Chemical CompanyからPETG Spectar(登録商標)コポリエステルとして市販されているコポリエステルが挙げられる。これらのコポリエステルは二酸残基及びジオール残基の反復単位を含む。二酸残基の少なくとも80モル%はテレフタル酸残基である。コポリエステルの二酸成分は、ジカルボン酸単位の合計が100モル%に等しくなるように、任意的に20モル%以下の1種又はそれ以上のその他のジカルボン酸を含むことができる。このような他のジカルボン酸の例としては、フタル酸;イソフタル酸;1,4−、1,5−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸;1,3−又は1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(シス、トランス又はそれらの混合物であることができる);シクロヘキサン二酢酸;トランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸;4.4’−オキシジ安息香酸;3,3’−及び4,4’−ビ−フェニルジカルボン酸;並びに脂肪族ジカルボン酸、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン、デカン及びドデカンジカルボン酸が挙げられる。二酸残基はジカルボン酸;そのジアルキルエステル、例えばテレフタル酸ジメチル及びテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル);その酸塩化物;並びに場合によってはその無水物に由来することができる。
【0020】
一態様において、コポリエステルのジオール成分は、98〜1モル%のエチレングリコール残基並びに2〜99モル%の1,3−シクロヘキサンジメタノール及び/又は1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含む。全ジオール残基の合計が100モル%となるように、ジオール成分の20モル%以下はエチレングリコール及びシクロヘキサンジメタノール以外の1種又はそれ以上のジオールの残基で構成されることができる。このような追加ジオールの例としては、炭素数3〜16の脂環式ジオール及び炭素数3〜12の脂肪族ジオールが挙げられる。このような他のジオールの具体例としては、1,2−プロパンジオール;1,3−プロパンジオール;ネオペンチルグリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;1,4−ブタンジオール;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール(トランス−、シス−又はそれらの混合物);及びp−キシリレングリコールが挙げられるが、これらに限定するものではない。コポリエステルはまた、エラストマー的挙動を向上させるために、少量のポリエチレングリコール又はポリテトラメチレングリコール、例えば重量平均分子量が約500〜2000の範囲であるポリエチレングリコール及びポリテトラメチレングリコールで改質できる。
【0021】
本発明の別の態様において、コポリエステルのジオール成分はエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの残基を含み、エチレングリコール残基:1,4−シクロヘキサンジメタノール残基のモル比は約5:95〜約95:5又は好ましくは約30:70〜約88:12又はより好ましくは約50:50〜約77:23である。
【0022】
別の態様において、コポリエステルのジオール部分はネオペンチルグリコール及び1,4−又は1,3−シクロヘキサンジメタノール(シス、トランス又はそれらの混合物)の残基を含む。別の態様において、コポリエステルのジオール部分はエチレングリコール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの残基を含む。別の態様において、コポリエステルのジオール部分はエチレングリコール及びネオペンチルグリコールの残基を含む。別の態様において、コポリエステルのジオール部分は1,3−又は1,4−シクロヘキサンジメタノール(シス−、トランス−又はそれらの混合物)及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの残基を含む。別の態様において、コポリエステルのジオール部分はネオペンチルグリコール及び2−メチル−1,3−プロパンジオールの残基を含む。ジオールのこれらの混合物のモル比はEGとCHDMのモル比と同じであることができる。
【0023】
コポリエステルは、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml当たりポリマー0.50gを用いて25℃において測定した場合に、0.5〜1.2dL/gの範囲のインヘレント粘度を有することができる。本発明の積層品中に使用するコポリエステルは好ましくは0.6〜0.9dL/gの範囲のインヘレント粘度を有する。
【0024】
本発明において有用なコポリエステルは、当業界でよく知られた汎用の重縮合法によって製造できる。このような方法としては、ジカルボン酸とジオールとの直接縮合又はジカルボン酸ジアルキル又はジアリールを用いたエステル交換が挙げられる。例えばテレフタル酸ジアルキル、例えばテレフタル酸ジメチル若しくはテレフタル酸ビス(2−ヒドロキシエチル)又はジアリールエステル、例えばテレフタル酸ジフェニルを、高温において重縮合触媒の存在下に、ジオールとエステル交換させる。
【0025】
ポリエステル重縮合に典型的な触媒又は触媒系は当業界でよく知られている。適当な触媒は、例えば米国特許第4,025,492号、第4,136,089号、第4,176,224号、第4,238,593号及び第4,208,527号に開示されており、これらの特許の開示を引用することによって本明細書中に組み入れる。更に、R.E.Wilfong,Journal of Polymer Science、54,385(1961)は、ポリエステル縮合反応において有用な典型的触媒を記載している。好ましい触媒系としては、Ti、Ti/P、Mn/Ti/Co/P、Mn/Ti/P、Zn/Ti/Co/P、Zn/Al及びLi/Alが挙げられる。コバルトを重縮合に用いない場合には、共重合性トナーをコポリエステル中に混和して、色が望ましい性質である可能性がある用途に適当であるようにこれらのコポリエステルの色を制御することができる。触媒及びトナーに加えて、酸化防止剤、染料などのような他の従来の添加剤も典型的な量でコポリエステル化に使用できる。
【0026】
本発明に使用するのに適当な混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドとしては、
(a)(i)脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジカルボン酸(ここで前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数6〜20であり、前記脂肪族又は脂環式ジカルボン酸の脂肪族又は脂環式部分は炭素数3〜20である)の残基を含む二酸成分と
(ii)40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基及び任意的に炭素数2〜20の少なくとも1種の追加脂肪族グリコールの残基を含むジオール成分(ここでジオール成分の総モル百分率は100モル%に等しい)
を含むポリエステル1〜99重量%;並びに
(b)ポリカーボネート1〜99重量%
を含んでなる(ここでポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルとポリカーボネートの総計重量百分率は100重量%に等しい)ものが挙げられる。このようなブレンドは、米国特許第6,896,966号に記載されており、引用することによってその全内容を本明細書中に組み入れる。
【0027】
一態様において、ポリエステル/ポリカーボネートブレンドは50〜90重量%のポリエステル及び10〜50重量%のポリカーボネートを含む。別の態様において、このブレンドは60〜80重量%のポリエステル及び20〜40重量%のポリカーボネートを含む。
【0028】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンドへの使用に特に適当なポリエステルとしては、式III:
【0029】
【化1】

【0030】
[式中、Rは1,4−シクロヘキサンジメタノール又は1,4−シクロヘキサンジメタノールと少なくとも1種の炭素数2〜20のアリール、アルカン若しくはシクロアルカン含有ジオールとの混合物の残基であり;R1は炭素数3〜20のアリール、脂肪族又はシクロアルカン含有二酸に由来する脱カルボキシル化残基である]
の反復単位を有するものが挙げられる。
【0031】
ジオール部分Rの炭素数2〜20のジオールの例としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−若しくは1,3−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールが挙げられる。一態様において、Rは1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールの混合物の残基である。
【0032】
二酸部分R1の二酸の例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−、1,5−及び2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸並びにシス−若しくはトランス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。有用な芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸;イソフタル酸;4,4’−ビフェニルジカルボン酸;トランス3,3’−又はトランス4.4’−スチルベンジカルボン酸;4,4’−ジベンジルジカルボン酸;及び1,4−、1,5−、2,3−、2,6−又は2,7−ナフタレンジカルボン酸が挙げられる。これらの二酸の化学的同等物としては、エステル、アルキルエステル、ジアルキルエステル、ジアリールエステル、無水物、塩、酸塩化物、酸臭化物などが挙げられ、これらを本発明の範囲内に含める。一部の態様において、好ましいジカルボン酸はテレフタル酸若しくはイソフタル酸又はそれらの混合物である。一部の態様において、好ましい化学的同等物は、テレフタル酸又はイソフタル酸のジアルキルエステルである。任意のこれらの酸又は同等物の混合物も使用できる。
【0033】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンドの一態様において、ポリエステルは、ポリエステル中のグリコール成分の総モル百分率に基づき、40〜100モル%、より好ましくは60〜80モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を有する。グリコール成分の残りは、本明細書に記載した任意のその他のグリコールを含むことができるが、一部の態様では好ましくはエチレングリコール残基を0〜60モル%、より好ましくは20〜40モル%の量で含む。本明細書中に記載した任意の二酸を使用できるが、80〜100モル%のテレフタル酸残基が好ましい。
【0034】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンドの別の態様において、ポリエステルは、ポリエステル中のグリコール成分の総モル百分率に基づき、100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を有する。また、この特定の態様においては、イソフタル酸残基が好ましくは5〜50モル%、より好ましくは20〜40モル%の量で存在する。本明細書中に記載した任意の二酸を使用できるが、テレフタル酸残基は95〜50モル%の量で存在するのが好ましい。
【0035】
本発明において有用なポリエステルの製造には、汎用の重縮合方法を使用できる。これらは、酸とジオールとの直接縮合又は低級アルキルエステルを用いたエステル交換が挙げられる。
【0036】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルのインヘレント粘度は、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒100ml中にポリエステル0.50gを溶解させることによって測定した場合に、25℃において約0.4〜約1.0dL/gの範囲であることができる。
【0037】
一部の態様においては、1種又はそれ以上の分岐剤が本発明のコポリエステル又はポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルの製造に有用であることができる。分岐剤は、ポリエステルの酸単位部分若しくはグリコール単位部分に分岐を形成するものであることができ、又は混成物であることができる。このような分岐剤の例は多官能価酸、多官能価アルコール、酸/アルコール混成物及び反応性エポキシドである。分岐剤の例としては、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシグルタル酸、樹枝状ポリマー、メタクリル酸グリシジル及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定するものではない。トリメリット酸無水物が好ましい分岐剤である。分岐剤は、コポリエステル又はポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルの重量に基づき、約0.05〜約0.75重量%、約0.05〜約0.5重量%又は約0.05〜約0.25重量%の範囲の量で存在できる。
【0038】
本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドにおいて有用なポリカーボネートは、カーボネート結合によって結合された二価フェノール類の二価残基を含み、構造式I及びII:
【0039】
【化2】

【0040】
[式中、Aは炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロアルキリデン基、カルボニル基、酸素原子、硫黄原子、−SO−若しくは−SO2;又はe及びg(いずれも0又は1の数を示す)に従う基を示し;
ZはF、Cl、Br又はC1〜C4アルキルを示し;いくつかのZ基が1つのアリール基中の置換基である場合には、それらは同一であっても、互いに異なってもよく;
dは0〜4の整数を示し;そして
fは0〜3の整数を示す]
で表される。
【0041】
用語「アルキレン」は、2つの原子価が異なる炭素原子上に存在する二価飽和脂肪族基、例えばエチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,4−ブチレン、1,3−ブチレン、1,2−ブチレン、アミレン及びイソアミレンなどを意味する。
【0042】
用語「アルキリデン」は、2つの原子価が同一炭素原子上に存在する二価の基、例えばエチリデン、プロピリデン、イソプロピリジン、ブチリデン、イソブチリデン、アミリデン、イソアミリデン及び3,5,5−トリメチルへキシリデンを意味する。
【0043】
「シクロアルキレン」の例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン及びシクロヘキシレンが挙げられる。
【0044】
「シクロアルキリデン」の例としては、シクロプロピリデン、シクロブチリデン及びシクロへキシリデンが挙げられる。
【0045】
1〜C4アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル及びイソブチルが挙げられる。
【0046】
使用する一部の二価フェノール類の典型的なものは、ビスフェノール類、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA);3,3,5−トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン;2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン;1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン;α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン;2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン;2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン;2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン;ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド;ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホキシド;ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン;ジヒドロキシ−ベンゾフェノン;2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン;α,α’−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン;及び4,4’−スルホニルジフェノールである。他の二価フェノール類としては、ヒドロキノン、レソルシノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)エーテル類、ビスー(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド類、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド類、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホン類及びα,α−ビス−(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン類並びにそれらの核アルキル化化合物である。これらの及び更なる適当な二価フェノール類は、例えば米国特許第2,991,273号;第2,999,835号;第2,999,846号;第3,028,365号;第3,148,172号;第3,153,008号;第3,271,367号;第4,982,014号;及び第5,010,162号に記載されており、これら全てを引用することによって本明細書中に組み入れる。本発明のポリカーボネートはその構造中に、1種又はそれ以上の適当なビスフェノール類に由来する単位を伴うことができる。最も好ましい二価フェノール類は、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)である。
【0047】
カーボネート前駆体は典型的にはハロゲン化カルボニル、ジアリールカーボネート又はビスハロホルメートである。ハロゲン化カルボニルとしては、例えば臭化カルボニル、塩化カルボニル及びそれらの混合物が挙げられる。ビスハロホルメート類としては、二価フェノール類のビスハロホルメート、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ヒドロキノンなどのビスクロロホルメート又はグリコールのビスハロホルメートなどが挙げられる。前記カーボネート前駆体は全て有用であるが、ホスゲンとしても知られる塩化カルボニル及び炭酸ジフェニルが好ましい。
【0048】
芳香族ポリカーボネートは、任意の既知の方法によって、例えば二価フェノールをホスゲン、ハロホルメート又は炭酸エステルのようなカーボネート前駆体とメルト又は溶液の状態で反応させることによって製造できる。適当な方法は米国特許第2,991,273号;第2,999,846号;第3,028,365号;第3,153,008号;及び第4,123,436号に記載されており、これら全てを引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0049】
本発明の一部の態様において、ポリカーボネートは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定した場合に、約10,000〜200,000、好ましくは15,000〜80,000の重量平均分子量を有することができ、300℃におけるASTM D−1238によるそれらのメルトフローインデックスは約1〜65g/10分、好ましくは約2〜30g/10分であることができる。ポリカーボネートは分岐していても分岐していなくてもよい。ポリカーボネートは種々の既知の末端基を有することができると考えられる。これらの樹脂は周知であり、商業的に容易に入手できる。
【0050】
本発明のポリカーボネートの製造には、1種又はそれ以上の分岐剤を使用できる。三官能価及び四官能価フェノール類及び炭酸類並びに炭酸側鎖を有するビスフェノール類のような分岐剤を使用できる。例としては、1,4−ビス(4’,4”−ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン及びトリスフェノールTCが挙げられる。窒素含有分岐剤も使用できる。例としては、塩化シアン(cyanic chloride)及び3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドールが挙げられる。
【0051】
本明細書中では、ポリマー混和性はポリマーブレンド又は単相を形成する混合物と定義する。
【0052】
本発明において有用な混和性ポリマーブレンドは、ポリカーボネートとテレフタル酸並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールとの混合物を基材とするポリエステルとのブレンドに関係するResearch Disclosure 22921,May,1983に初めて開示された。同様な混和性ブレンドが米国特許第4,786,692号及び5,478,896号に開示されている。ポリカーボネートと別の系列のポリエステル、テレフタル酸及びイソフタル酸の混合物並びに1,4−シクロヘキサンジメタノールを基材にするポリエステルとのブレンドが米国特許第4,188,314号及び第4,391,954号に開示されている。英国特許明細書第1,599,230号(1980年1月16日発行)は、ポリカーボネートと1,4−シクロヘキサンジメタノール及び6員炭素環式ジカルボン酸のポリエステルとのブレンドを開示している。Mohらは、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸又はテレフタル酸/イソフタル酸混合物を基材とするポリエステルとポリカーボネートとのブレンドの熱的性質について報告した[J.Appl.Polym.Sci.,23,575(1979)]。
【0053】
本発明において有用なポリエステル/ポリカーボネートブレンドは汎用の溶融加工法によって製造できる。例えばポリエステルのペレットをポリカーボネートのペレットと混合し、その後に一軸又は二軸スクリュー押出機上で溶融ブレンドして均質混合物を形成することができる。
【0054】
本発明の種々の態様においてにおいて有用なコポリエステル及びポリエステル/ポリカーボネートブレンドは、耐衝撃性改良剤、安定剤(減色用リン系安定剤を含む)、成核剤、増量剤、難燃剤、強化材、充填剤、帯電防止剤、抗微生物剤、抗真菌剤、セルフクリーニング剤又は低表面エネルギー剤、離型剤、香り物質、着色剤、酸化防止剤、押出助剤、スリップ剤、剥離剤、カーボンブラック、他の顔料並びにそれらの混合物を含むことができる。
【0055】
第2の面において、本発明は積層品の製造方法を提供する。この方法は、2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することを含んでなり、少なくとも1つの層は、本明細書中に記載するように、ベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれたポリマーを含む。
【0056】
本発明に係る方法は2つ又はそれ以上の層を有する積層品を製造するために利用できる。層の数は特に限定しない。しかし、説明を簡潔にするために、2層構造の製造方法について以下に記載する。
【0057】
積層品はシート材料から製造できる。積層品の製造に使用する上部及び下部シート材料は同一でも異なっていてもよい。例えばシート材料の一方をバージンポリエステルから製造し、他方を再生コポリエステルから製造することができる。積層品の製造に使用するシート材料の厚さは、機能性、重量、コストなどのような多数の因子によって異なり得る。上層を形成するシート材料は一般に約0.015〜0.500インチの範囲、好ましくは約0.050〜0.250インチの範囲の厚さを有する。下層を形成するシート材料は典型的には0.015〜0.500インチの範囲、好ましくは約0.050〜0.250インチの範囲の厚さを有する。
【0058】
本発明の積層品は上部シート材料と下部シート材料を接着又は融着させるのに充分な温度及び圧力に層を供することによって製造できる。包含物を層の間に挟む場合には、上部シート材料と下部シート材料を封入される物体の周囲で接着又は融着させるのに充分な熱及び圧力を適用する。上部及び下部シートは封入される物体に接着することもできるが、これは必要ではない。しかし、封入材料に分解、変形又は他の不所望な影響をもたらす温度は回避しなければならない。接着温度は、典型的には、約80〜220℃(176〜425°F)の範囲、好ましくは約82〜200℃(180〜392°F)の範囲である。本発明の一部の態様の場合には、この温度は80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210又は220℃の下限値を有する。この温度は220、210、200、190、180、170、160、150、140、130、120、110、100又は90℃の上限値を有する。本発明の種々の態様の場合には、温度の範囲は前記温度下限値と任意の温度上限値との任意の組合せであることができる。本発明の熱可塑性樹脂製品の接着又は積層に使用する圧力は好ましくは約0.034〜2.41MPa(約5〜350ポンド/平方インチゲージ(psig))の範囲である。本発明のいくつかの態様の場合には、この圧力は5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、175、200、225、250、275、300又は325psigの下限値を有する。本発明のいくつかの態様の場合には、この圧力は10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、175、200、225、250、275、300、325又は350psigの上限値を有する。本発明の種々の態様の場合には、圧力の範囲は前記圧力下限値と任意の圧力上限値との任意の組合せであることができる。
【0059】
積層品を接着させるための温度は、例えば使用する個々の材料又はブレンド及び使用するシート材料の厚さによって異なるであろう。この温度は当業者ならば本明細書中の開示を用いて決定できる。圧力は、封入される物体の感圧性によって異なるであろう。一例を挙げると、発光用コンデンサ(LEC)パネルは約0.10MPa(15psig)においてプレスできる。積層品は適当な温度及び圧力に、約5〜45分間又は上部シート材料と下部シート材料との間に接着が生じる時間まで、保持する。5〜45分後に、接着/融着熱可塑性樹脂製品は約0.034〜2.41MPa(約5〜350psig)、好ましくは約0.10MPa(15psig)の圧力下で、シート材料のガラス転移温度未満に冷めるまで、冷却させる。本発明の一部の態様においては、接着プロセスの間に、シート材料は封入される物体に、接着剤を用いずに接着又は融着させることができる。
【0060】
単一積層品レイアップ(layup)構造には一般に5〜45分の滞留時間を適用できる。複数の積層品を1回だけの加熱プラテン開放で製造できるように垂直に積み重ねられ且つ剥離紙及び当て板(caul plates)で隔てられた複数積層品レイアップもまた、作成できる。これらの複数レイアップ構造の滞留時間は45分を超えることができる。複数レイアップ構造に適切な滞留時間は、当業者ならば本明細書中の開示を用いて決定できる。単一積層品レイアップの滞留時間の下限は5、10、15、20、25、30又は40分であることができる。単一積層品レイアップの滞留時間の上限は45、40、35、30、25、20、15又は10分であることができる。本発明の種々の態様の場合には、滞留時間の範囲は前記滞留時間下限と任意の滞留時間上限との任意の組合せであることができる。
【0061】
本発明の一面は、感圧性電気的構造を製造するための熱圧着積層操作の間に比較的小さい力を用いることを含む。しかし、小さい力の使用は空気の閉じ込めを引き起こす場合がある。典型的な空気除去方法としては、真空下での積層;原料の予備乾燥;又は空気を逃がすための流路(例えばシート面上の艶消テクスチャー、艶消テクスチャー加工された剥離紙)の作成、又は空気を閉じ込めやすい領域の間への「ガラスシーン(glass sheen)」PET布帛(Danzianから入手可能)の組込みが挙げられる。より厚いパネル(厚さ約10mil又はそれ以上)の場合には、封入される物品の周囲にポリマー薄膜シムを加えて、空気の除去を更に助けることができる。艶消シートを用いる場合には、艶消面を封入されるアイテムに向ける。目標「Ra」又は表面粗度測定値は約90マイクロインチでなければならず、好ましい表面粗度値は封入されている包含物の型によって異なる。
【0062】
感温性の物体の場合には、パネルの感温性部分を更に保護するために更なる断熱層を加えることができる。断熱層は、完成積層パネルの一部となる内部層であることもできるし、又は積層パネルを積層プレス機から取り出す際に除去される外部層であることもできる。
【0063】
前述のように、本発明の積層品の製造に使用する上部及び下部シート材料は同一であっても異なっていてもよい。例えば上部及び下部シート材料は、異なるコポリエステル若しくはポリエステル/ポリカーボネートブレンド又は異なる添加剤を含む組成物から製造することができる。上部及び下部シート材料を化学的に異種の材料から製造する場合には、異種材料は熱相容性でなければならない。ここで使用する用語「熱相容性」は、シート材料の層同士が高温高圧条件下で接着された場合に固体表面が実質的に平面となるようにほぼ等しい熱膨張又は収縮を受けることを意味する。積層プロセスと相容性の異種材料の例としては、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネートなどが挙げられる。
【0064】
一部の封入材料は、屋外環境への暴露時に感湿性である可能性がある。原料の予備乾燥に加えて、既に存在するコポリエステル又はポリエステル/ポリカーボネートシート材料以外に、EVOH又はナノクレイ含浸メタキシレンジアミン(MXD6)の層のような追加の防湿層の封入が望ましい場合がある。これらの防湿層はフィルムとして積層品レイアップに加えることもできるし、プラスチックシート材料上に直接同時押出することもできる。乾燥剤又は他の親水性水分捕捉剤もパネルによって封入できる。
【0065】
本発明の物品の製造に使用するシート材料を構成する組成物及びブレンドは一部の最終用途に必要とされる又は望まれるほどには硬くもないし耐引掻き性でもないかもしれない。例えば熱可塑性樹脂製品の外面が引掻き傷又は擦り傷を受ける可能性のある最終用途(例えば壁の装飾)は、外面に耐摩耗性コーティングを適用することが必要な場合がある。その場合には、フッ素化炭化水素、DuPont製のTEDLARのようなポリ(ペルフルオロエチレン)又はDuPont製のMYLARのような配向ポリ(エチレンテレフタレート)から製造されたフィルムを用いて、耐薬品性と耐摩耗性の両方を改善することができる。耐摩耗性フィルムは典型的には、約0.025〜0.254mm(0.001〜0.01インチ)の範囲、好ましくは約0.051〜0.178mm(0.002〜0.007インチ)の範囲、最も好ましくは約0.076mm(0.003インチ)の厚さを有する。しかし、このようなフィルムの厚さは装置入手コスト及び機能性の問題によってのみ制限されるので、これらの範囲より薄いか厚い耐摩耗性フィルムも使用できる。任意的には、熱可塑性樹脂シートと耐摩耗性フィルムの間に接着剤を使用することができる。
【0066】
別法として、耐摩耗性コーティングをプラスチックフィルムに適用してから、耐摩耗性コーティングが施されたフィルムを本発明の物品の片面又は両面に積層することができる。フィルムは、ポリ(塩化ビニル)、PETGコポリエステル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステル/ポリカーボネートブレンドなどのような、積層プロセスと相容性の多数の熱可塑性樹脂材料から選ばれることができる。
【0067】
フィルムの厚さは0.0025〜0.381mm(0.001〜0.015インチ)の範囲であることができ、0.0762〜0.203mm(0.003〜0.008インチ)の厚さが最も好ましい。コーティングは、熱によって硬化されるポリウレタン、フッ素化ポリウレタン及びシリコーン樹脂のような多種の市販材料から選択することもできるし、或いは紫外線(UV)又は電子線(EB)によって硬化される材料から選択することもできる。このようなUV/EB硬化材料は、一般的な種類のアクリル酸樹脂及びフッ素、シリコーン、エポキシ、ポリエステル、ポリエーテル若しくはカプロラクトン残基若しくは官能基を含む改質アクリル酸樹脂に分類される。選択される個々のコーティング材料は主として、必要とされる耐摩耗性の程度によって決まるであろう。耐摩耗性コーティングの液体の、熱又はUV/EB−硬化性前駆体の適用は、常法に従って実施でき、通常はロール塗布機上で行う。フィルムに適用するコーティングの厚さは一般に0.0076〜0.051mm(0.0003〜0.002インチ)であり、約0.0127mm(0.0005インチ)の厚さが最も好ましい。プライマー又はタイ層も、接着を促進するためにハードコートとフィルム層の間に使用できる。
【0068】
これらのコーティングは、ペイントの適用と同様にして適用できる。コーティングは、ほとんど揮発分を含まないほとんど稀釈されていない材料として、又は溶剤若しくは水を基材とする材料として存在する。方法の一部として構造に積層できるフィルムに適用される他に、これらのコーティングは完成品に直接適用することもできる。適用は、ロール、ペイント、スプレイ、ミスト、ディップなどのような種々の方法によって実施できる。
【0069】
本発明に係る熱可塑性樹脂積層品はその後に種々の有用な製品に造形又は熱成形することができる。例示として、積層品は湾曲サイネージ、シャワー扉、プライバシーパーティション及びテーブルトップ並びに他の家具部分に熱成形するか又は他の方法で造形することができる。通電装置の性質に応じて、本発明の熱可塑性樹脂製品を形成し、加熱ドレープ成形し又は成形することができる。更に、本発明の物品はそれから製造される建築材料の輸送及び設置を容易にするために低密度でありながら、魅力的な外観を有することができる。
【0070】
第3の面において、本発明は、加熱及び加圧の間にUV吸収剤含有積層品にヘイズが発生するのを防止又は抑制する方法を提供する。この方法は、UV吸収剤として2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール又は2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールを使用することを含んでなる。好ましいUV吸収剤は、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである。
【実施例】
【0071】
本発明をその好ましい態様の以下の実施例によって更に説明することができるが、これらの実施例は説明の目的でのみ記載するのであって、本発明の範囲を限定するものではない。また、全ての重量百分率は、特に断らない限り、重量に基づく。
【0072】
例1(実施例)
Eastman Chemical CompanyのSpectar(登録商標)コポリエステルの3mil厚フィルム及びCyasorb 3638(ベンゾオキサジノン)を一緒にブレンドして、1.8、2.6、4.3及び6.0重量%のUV安定剤濃度を得た。
【0073】
同様なフィルムを、Spectar(登録商標)コポリエステルとCyasorb 1164(ベンゾトリアジン)とのブレンドを同じローディングレベルで用いて製造した。
【0074】
フィルムは1.5インチ・ベント式Killion押出ライン上でL/D30:1で製造した。押出条件は幅12インチ厚さ3milのフィルムの16フィート/分に相当する30rpmで500°Fの直線プロファイルゾーン温度を走行することを含む。
【0075】
これらの8枚のフィルムサンプルを、安定化させていないSpectar(登録商標)フィルム対照と共に、Carverプレス上で120℃のプラテン温度及び10,000lbf(約70psig)においてSpectar(登録商標)の2枚の118milシートに10分間積層した。
【0076】
厚さ約0.239インチの合計27枚のプラークが形成されるように、この積層プロセスを、新しいフィルム及びシートを用いて総積層時間30分及び60分で繰り返した。
【0077】
同様に、前記の全プロセスを、更なる27個のサンプルについて3milのフィルムのみを用いて(2枚の118mil Spectar(登録商標)シートを省いた)繰り返した。
【0078】
各サンプルのヘイズを、ASTM D1003 Method A,Illuminant Cに従ってBYK Gardner Haze−Gard Plus検出器を用いて測定した。この測定方による標準偏差は0.1〜0.4%である。結果を以下の表Iに報告する。
【0079】
【表1】

【0080】
加熱後のフィルム及び積層プラークの検査から、物品が目視によって明澄であり続けるには約2.3%未満のヘイズレベルが必要であることが示される。この値より高くなると、サンプルは局部でヘイズを示し始める。例えば10分の加熱を受けた4.3%のCyasrob 3638を用いて製造された積層品は、2.85%のヘイズ測定値を有し、布でこすった場合にきれいにならない汚れた表面を有するようであった。これに対して、Cyasorb 1164では、試験したいずれのUV安定剤濃度及び熱履歴においても明澄のままであった。
【0081】
表Iのデータからいくつかの観察をすることができる。第一に、Spectar(登録商標)コポリエステルは熱処理の間にヘイズを生じない。
【0082】
第二に、ベンゾオキサジノンUVAであるCyasorb 3638に関しては、いずれの熱処理時間長においても、UVA濃度の増加につれてヘイズ量も増加する。また、UVA(≧2.6%)のより高い濃度においても、熱処理時間の増加につれて、ヘイズ量も増加する。これらの傾向は、物品を積層するか否かにかかわらず存在する。
【0083】
第三に、Cyasorb 3638に関連するこれらの傾向は、ベンゾトリアジンUVAであるCyasorb 1164では見られない。
【0084】
表Iのデータに基づき、Cyasorb 3638は熱処理の間に曇りを生じるが、Cyasorb 1164は生じないと結論づけることができる。
【0085】
例2(実施例)
Eastman Chemical CompanyのSpectar(登録商標)コポリエステルの3mil厚フィルムとTinuvin 234(ベンゾトリアゾール)を一緒にブレンドして、1.8、2.6、4.3及び6.0重量%のUV安定剤濃度を得た。
【0086】
同様なフィルムを、Spectar(登録商標)コポリエステルとTinuvin 327(ベンゾトリアゾール)とのブレンドを同じローディングレベルで製造した。
【0087】
同様なフィルムを、Spectar(登録商標)コポリエステルとTinuvin P(ベンゾトリアゾール)とのブレンドを同じローディングレベルで製造した。
【0088】
同様なフィルムを、Spectar(登録商標)コポリエステルとUvinul 3049(ベンゾフェノン)とのブレンドを同じローディングレベルで製造した。
【0089】
これらのフィルムは1.5インチ・ベント式Killion押出ライン上でL/D30:1で製造した。押出条件は幅12インチ厚さ3milのフィルムの16フィート/分に相当する30rpmで500°Fの直線プロファイルゾーン温度を走行することを含む。
【0090】
これらの16枚のフィルムサンプルを、Carverプレス上で120℃のプラテン温度及び10,000lbf(約70psig)において、Spectar(登録商標)コポリエステルの2枚の118milシートに10分間積層した。厚さ約0.239インチの合計48枚のプラークが形成されるように、このプロセスを、新しいフィルム及びシートを用いて総積層時間30分及び60分で繰り返した。
【0091】
同様に、前記の全プロセスを、更なる48個のサンプルについて3milのフィルムのみを用いて(2枚の118mil Spectar(登録商標)シートを省いた)繰り返した。
【0092】
各サンプルのヘイズを、ASTM D1003 Method A,Illuminant Cに従ってBYK Gardner Haze−Gard Plus検出器を用いて測定した。結果を以下の表IIに報告する。
【0093】
【表2】

【0094】
フィルム及び積層プラークの検査から、フィルム単独の構造でも積層構造でもサンプルはいずれも、加熱後に曇ら(hazy)なかった。例1及び2を要約すると、ポリエステル中のベンゾオキサジノンは前記の特定の濃度及び加熱条件においてヘイズを生じるが、ベンゾトリアジン類、ベンゾトリアゾール類及びベンゾフェノン類は目視によって検出可能なレベルのヘイズを示さない。
【0095】
例3(実施例)
例1及び2において生成したフィルムのいくつかを、ASTM G155 Cycle 1プロトコールに従ってキセノン−アーク人工暴露に供した。ヘイズの変化を300時間間隔で記録した。結果を以下の表IIIに示す。
【0096】
【表3】

【0097】
表IIIの結果はSpectar(登録商標)コポリエステルベース中のベンゾトリアジンUV吸収剤は他の種類の吸収剤に比較して最適の耐候性能を与えることを示している。即ちベンゾトリアジンUV吸収剤サンプルが長期にわたって最少量のヘイズを生じた。
【0098】
例4(実施例)
この例は屋外使用のための明澄な装飾積層品を製造するための方法を記載する。
【0099】
レイアップは、以下の層状配列(下から上に)に従って構成した:(1)圧力分散用の60milシリコーンゴムパッド1枚;(2)30mil研磨金属板;(3)「Ultracast特許」剥離紙(Sappi-Warrenから入手可能);(4)空気の閉じ込めを防ぐための、上向きに配置された約90マイクロインチの表面粗度(Ra)を有する6%のCyasorb 1164を含む厚さ約3milの明澄な押出コポリエステルフィルム(艶消テクスチャーが次に記載するシートに向いている);(5)艶消面が上向きの118mil Spectar(登録商標)コポリエステルプラスチックシート材料;(6)ランダムに分布させた化石の葉(装飾的包含物);及び前記層(1)〜(5)の逆順での繰り返し。
【0100】
このレイアップを上部及び下部プラテン温度設定値が120℃の加熱プレスに移した。また、前記構造をプレス中に適切に位置付けるのを助けるために、前記レイアップの真下に金属転写板を用いた。プレスを約15,000フィート−ポンド(製品上において約100psig)の設定を用いて前記構造の周囲で閉じた。約8分後(シート間界面温度が約230°Fに達した時)に、プレスへの加熱をオフにし、冷却水をオンにした。界面シート温度が130°Fに達した時、検査のためにレイアップをプレスから取り出した。この熱履歴からはヘイズは存在しなかった。
【0101】
例5(予言的例)
例4のレイアップを繰り返し、次いで「ブック」を真空バッグ中に入れ、50mmHgまで排気する。熱接着を行うために加熱プラテンを用いる代わりに、レイアップを対流式オーブン又はオートクレーブ中に入れて同様な効果を達成する。
【0102】
例6(実施例)
例4において製造した明澄な装飾積層品のエッジを切り落として、見た目に美しい製品を形成した。カットエッジは、エッジが光沢仕上げ又はガラス状となるまでブタンミクロトーチで火炎研磨した。この追加熱履歴を用いた場合でも、積層品のエッジは依然として目視によって明澄であった。
【0103】
例7(実施例)
6%のCyasorb 1164を上部3milに集中させたSpectar(登録商標)コポリエステルの明澄な155milシートを、熱成形オーブン中で290°Fに加熱した(約6分を要した)。垂れ下がっているシートをオーブンから取り出し、天窓の金型上に押しつけた。シートを強制空気循環下で冷めるまで約4分間冷却した。この追加熱履歴を用いた場合でも、シート材料の表面は依然として目視によって明澄であった。
【0104】
例8(比較例)
木製テーブルの外面に、1層のSpectar(登録商標)プラスチックシート材料層及び2.6%のCyasorb 3638を含むSpectar(登録商標)コポリエステルの1層の同時押出層をコーティングした。テーブルトップ面にはハードコート層を適用しなかったので、これらの層は時間が経つにつれて、テーブルがもはや見た目に美しくないほどまで傷ついた。
【0105】
スクラッチ傷を除去するためにヒートガンを用いた。スクラッチ傷は除去されたが、テーブルトップは曇り、真下の木肌を部分的に隠した。
【0106】
同時押出表面層に2.6%のCyasorb 1164を含むSpectar(登録商標)コポリエステルを用いると、この審美的欠陥は阻止されたであろう。
【0107】
例9(予言的例)
強力な短波長(UVを含む)放射線を受けるであろう明澄な医療機器を、コポリエステルから製造する。従って、この医療機器には、3.0重量%のCyasorb 1164によってUV保護を与える。この明澄な製品は、121℃で15分間の滅菌を受けても、明澄のままである。
【0108】
このローディングレベルでCyasorb 3638を用いると、そうでない場合には明澄な製品に曇りが生じたであろうことに留意されたい。
【0109】
本発明を特にその好ましい態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内において変形及び変更が可能なことがわかるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することよって得られ、前記層の少なくとも1つがベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれる、ポリマーを含む積層品。
【請求項2】
前記ベンゾトリアジンUV吸収剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール又は2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールである請求項1に記載の積層品。
【請求項3】
前記ベンゾトリアジンUV吸収剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである請求項1に記載の積層品。
【請求項4】
前記コポリエステルが、二酸残基100モル%及びジオール残基100モル%に基づき、
(a)少なくとも80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分;並びに
(b)30〜88モル%のエチレングリコール残基及び12〜70モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基若しくはネオペンチルグリコール残基又はその両者を含むジオール成分
を含む請求項1に記載の積層品。
【請求項5】
前記コポリエステルが分岐剤の残基を更に含む請求項4に記載の積層品。
【請求項6】
前記分岐剤がトリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシグルタル酸、樹枝状ポリマー、メタクリル酸グリシジル及びそれらの混合物から選ばれる請求項5に記載の積層品。
【請求項7】
前記ポリエステル/ポリカーボネートブレンドが、
(a)(i)脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジカルボン酸(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数6〜20であり、前記脂肪族又は脂環式ジカルボン酸の脂肪族又は脂環式部分は炭素数3〜20である)の残基を含む二酸成分と
(ii)40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基及び任意的に炭素数2〜20の少なくとも1種の追加脂肪族グリコールの残基を含むジオール成分(ジオール成分の総モル百分率は100モル%に等しい)
を含むポリエステル1〜99重量%;並びに
(b)ポリカーボネート1〜99重量%
(ここでポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルとポリカーボネートの総計重量百分率は100重量%に等しい)を含む請求項1に記載の積層品。
【請求項8】
前記ポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルがトリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシグルタル酸、樹枝状ポリマー、メタクリル酸グリシジル及びそれらの混合物から選ばれた分岐剤の残基を更に含む請求項7に記載の積層品。
【請求項9】
前記の2つ又はそれ以上の層の間に、布帛;金属ワイヤー、ロッド若しくはバー;石;紙;着色フィルム;装飾フィルム;調光フィルム;印刷画像;植物;木材;木材チップ;竹;松葉;コケ;地衣類;草;わら;花;花びら;小麦;穀粒;ビーズ;ペレット;ガラス;破砕ガラス;小石;発光用コンデンサ、発光ダイオード及びプリント回路基板から選ばれた通電装置;通電時に発光する紙;エレクトロクロミック層;太陽電池;送信機;受信機;アンテナ;電磁石;電極;風速及び風向、温度、圧力、相対湿度、雨量、運動、放射線又は特定の化学種を検知できる高性能センサー;並びにそれらの組合せから選ばれた包含物を更に含む請求項1に記載の積層品。
【請求項10】
装飾テクスチャー又はデザインをその表面に含む請求項1に記載の積層品。
【請求項11】
2つ又はそれ以上の層を加熱及び加圧することを含んでなり、前記の層の少なくとも1つがベンゾトリアジンUV吸収剤と透明なコポリエステル及び混和性ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから選ばれたポリマーを含む、積層品の製造方法。
【請求項12】
前記ベンゾトリアジンUV吸収剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール又は2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールである請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベンゾトリアジンUV吸収剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記コポリエステルが、二酸残基100モル%及びジオール残基100モル%に基づき、
(a)少なくとも80モル%のテレフタル酸残基を含む二酸成分;並びに
(b)30〜88モル%のエチレングリコール残基及び12〜70モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基若しくはネオペンチルグリコール残基又はその両者を含むジオール成分
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記コポリエステルが分岐剤の残基を更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記分岐剤がトリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシグルタル酸、樹枝状ポリマー、メタクリル酸グリシジル及びそれらの混合物から選ばれる請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリエステル/ポリカーボネートブレンドが、
(a)(i)脂肪族、脂環式及び/又は芳香族ジカルボン酸(ここで前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数6〜20であり、前記脂肪族又は脂環式ジカルボン酸の脂肪族又は脂環式部分は炭素数3〜20である)の残基を含む二酸成分と
(ii)40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基及び任意的に炭素数2〜20の少なくとも1種の追加脂肪族グリコールの残基を含むジオール成分(ここでジオール成分の総モル百分率は100モル%に等しい)
を含むポリエステル1〜99重量%;並びに
(b)ポリカーボネート1〜99重量%
(ここでポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルとポリカーボネートの総計重量百分率は100重量%に等しい)を含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリエステル/ポリカーボネートブレンド中のポリエステルがトリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、クエン酸、酒石酸、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、3−ヒドロキシグルタル酸、樹枝状ポリマー、メタクリル酸グリシジル及びそれらの混合物から選ばれた分岐剤の残基を更に含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記積層品が、前記の2つ又はそれ以上の層の間に、布帛;金属の線、ロッド若しくはバー;石;紙;着色フィルム;装飾フィルム;調光フィルム;印刷画像;植物;木材;木材チップ;竹;松葉;コケ;地衣類;草;わら;花;花びら;小麦;穀粒;ビーズ;ペレット;ガラス;破砕ガラス;小石;発光用コンデンサ、発光ダイオード及びプリント回路基板から選ばれた通電装置;通電時に発光する紙;エレクトロクロミック層;太陽電池;送信機;受信機;アンテナ;電磁石;電極;風速及び風向、温度、圧力、相対湿度、雨量、運動、放射線又は特定の化学種を検知できる高性能センサー;並びにそれらの組合せから選ばれた包含物を更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記積層品が装飾テクスチャー又はデザインをその表面に含む請求項11に記載の方法。
【請求項21】
2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノール又は2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−ヘキシルオキシ−フェノールを、UV吸収剤として、使用することを含んでなる、加熱及び加圧の間にUV吸収剤含有積層品にヘイズが発生するのを防止又は抑制する方法。
【請求項22】
前記UV吸収剤が2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチルオキシ)フェノールである請求項21に記載の方法。

【公表番号】特表2011−500389(P2011−500389A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531002(P2010−531002)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/011727
【国際公開番号】WO2009/054897
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】