説明

延長した半減期を有する分子ならびにその組成物および用途

【課題】IgG定常ドメインまたはそのFcRn(Fc Receptor-neonate)結合性ドメインの修飾によりin vivo半減期が増加した分子の提供。
【解決手段】FcRnに対するIgG定常ドメインまたはそのFcRn結合性フラグメントの親和性を増加させる1以上のアミノ酸修飾を有するIgG定常ドメインまたはそのFcRn結合性部分の存在のために増加したin vivo半減期を有する、IgG、非IgG免疫グロブリン、タンパク質および非タンパク質物質を含めた分子を提供する。増加した半減期を有するそのようなタンパク質および分子は、かかる分子の治療、予防または診断用途において、より少量および/またはより低頻度の投与しか必要としないという利点を有する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
野生型ヒトIgG CH3ドメインを含む対応するIgGに対して、KabatのEU番号付けに基づくアミノ酸残基433、434および436でのアミノ酸置換を有するヒトIgG CH3ドメインを含むIgG定常ドメインを含む修飾されたIgGであって、野生型ヒトIgG CH3ドメインを含む対応するIgGの半減期と比較して増加した半減期を有し、前記アミノ酸残基433での置換がリシンによる置換であり、前記アミノ酸残基434での置換がフェニルアラニンによる置換であり、かつ前記アミノ酸残基436での置換がヒスチジンによる置換である、上記修飾IgG。
【請求項2】
前記IgG定常ドメインがヒトIgG定常ドメインである、請求項1に記載の修飾IgG。
【請求項3】
対応する野生型ヒトIgG定常ドメインに対して、KabatのEU番号付けに基づくアミノ酸残基251、253、255、285-290、308-314、385-389、428-433および435のうち1以上での1以上のアミノ酸置換をさらに含む、請求項2に記載の修飾IgG。
【請求項4】
アミノ酸残基251でのアミノ酸置換がアルギニンによる置換であり、アミノ酸残基255でのアミノ酸置換がロイシン、グリシンまたはイソロイシンによる置換であり、アミノ酸残基308でのアミノ酸置換がトレオニンまたはイソロイシンによる置換であり、アミノ酸残基309でのアミノ酸置換がプロリンによる置換であり、アミノ酸残基311でのアミノ酸置換がセリン、グルタミン酸またはロイシンによる置換であり、アミノ酸残基312でのアミノ酸置換がアラニンによる置換であり、アミノ酸残基314でのアミノ酸置換がアラニンによる置換であり、アミノ酸残基385でのアミノ酸置換がアルギニン、アスパラギン酸、セリン、トレオニン、ヒスチジン、リシンまたはアラニンによる置換であり、アミノ酸残基386でのアミノ酸置換がトレオニン、プロリン、アスパラギン酸、セリン、リシン、アルギニン、イソロイシンまたはメチオニンによる置換であり、アミノ酸残基387でのアミノ酸置換がアルギニン、ヒスチジン、セリン、トレオニンまたはアラニンによる置換であり、アミノ酸残基389でのアミノ酸置換がプロリン、セリンまたはアルギニンによる置換であり、かつアミノ酸残基433でのアミノ酸置換がリシン、アルギニン、セリン、イソロイシン、プロリンまたはグルタミンによる置換である、請求項3に記載の修飾IgG。
【請求項5】
対応する野生型ヒトIgG定常ドメインに対して、KabatのEU番号付けに基づくアミノ酸残基252、254または256での1以上のアミノ酸置換をさらに含む、請求項2〜4のいずれか1項に記載の修飾IgGであって、前記ヒトIgG定常ドメインが、アミノ酸残基252でのチロシンによる置換、アミノ酸残基254でのトレオニンによる置換、およびアミノ酸残基256でのグルタミン酸による置換を含まない、上記修飾IgG。
【請求項6】
アミノ酸残基252でのアミノ酸置換がフェニルアラニン、セリン、トリプトファンまたはトレオニンによる置換であり、かつアミノ酸残基256でのアミノ酸置換がセリン、アルギニン、グルタミン、アスパラギン酸、アラニンまたはアスパラギンによる置換である、請求項5に記載の修飾IgG。
【請求項7】
対応する野生型ヒトIgG定常ドメインに対して、KabatのEU番号付けに基づくアミノ酸残基314でのアミノ酸置換をさらに含む、請求項2〜6のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項8】
アミノ酸残基314でのアミノ酸置換が、アラニンである、請求項7に記載の修飾IgG。
【請求項9】
アミノ酸置換を有する前記ヒトIgG定常ドメインが、FcRnに対して、野生型ヒトIgG定常ドメインよりも高い親和性を有する、請求項2〜8のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項10】
アミノ酸置換を有する前記ヒトIgG定常ドメインが、FcRnに対して、pH 6.0においてpH 7.4におけるよりも野生型ヒトIgG定常ドメインよりも高い親和性を有する、請求項9に記載の修飾IgG。
【請求項11】
修飾ヒトIgGまたは修飾ヒト化IgGである、請求項2〜10のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項12】
前記ヒトIgG定常ドメインがIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4の定常ドメインである、請求項2〜11のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項13】
前記ヒトIgG定常ドメインがIgG1の定常ドメインである、請求項12に記載の修飾IgG。
【請求項14】
前記ヒトIgGがIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である、請求項11に記載の修飾IgG。
【請求項15】
呼吸器合胞体ウイルス(RSV)抗原に免疫特異的に結合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項16】
以下の抗体:パリビズマブ(SYNAGIS(登録商標))、AFFF、p12f2、p12f4、p11d4、Ale109、A12a6、A13c4、A17d4、A4B4、A8C7、1X-493L1FR、H3-3F4、M3H9、Y10H6、DG、AFFF(1)、6H8、L1-7E5、L215B10、A13A11、A1H5、A4B4(1)、A4B4L1FR-S28RまたはA4B4-F52Sのうち1つの重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインを含み、RSV F抗原に免疫特異的に結合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項17】
以下のもの:
(a) パリビズマブの重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメイン(それぞれ、配列番号7および8)、
(b) パリビズマブの可変重鎖(VH)相補性決定領域(CDR)1、VH CDR2、VH CDR3、可変軽鎖(VL)CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号1〜6)、
(c) A4B4L1FR-S28RのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、19、20、39、5および6)、
(d) AFFFのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、12、14、15および16)、
(e) p12f2のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号18、19、20、22、23および6)、
(f) p12f4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号18、25、20、22、27および6)、
(g) p11d4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号18、25、29、31、32および6)、
(h) Ale109のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、25、29、22、35および6)、
(i) A12a6のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、37、20、39、35および6)、
(j) A13c4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、41、20、22、43および6)、
(k) A17d4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、45、20、47、43および6)、
(l) A4B4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、19、20、39、50および6)、
(m) A8C7のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、45、29、31、53および6)、
(n) 1X-493L1FRのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号1、2、3、14、5および6)、
(o) H3-3F4のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、29、14、15および6)、
(p) M3H9のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、29、14、57および6)、
(q) Y10H6のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、29、14、59および6)、
(r) DGのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、79、14、15および6)、
(s) AFFF(1)のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、12、14、15および61)、
(t) 6H8のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、79、14、63および6)、
(u) L1-7E5のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、79、39、15および6)、
(v) L215B10のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、2、79、14、66および6)、
(w) A13A11のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、19、29、31、69および6)、
(x) A1H5のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、25、29、72、73および6)、
(y) A4B4(1)のVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、19、20、39、75および6)、または
(z) A4B4-F52SのVH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2およびVL CDR3(それぞれ、配列番号10、19、20、39、77および6)
を含む、請求項15に記載の修飾IgG。
【請求項18】
HER2、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、形質転換増殖因子β(TGF-β)、インターロイキン-4(IL-4)、インターロイキン-5(IL-5)、インターロイキン-8(IL-8)、CD2、CD3、CD4、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD23、CD25、CD33、CD52、CD64、CD80、CD147、CD40リガンド(CD40L)、血管内皮増殖因子(VEGF)、細胞内接着分子-3(ICAM-3)、上皮増殖因子受容体(EGFR)、αvβ3インテグリン、α4β7インテグリン、ヒト白血球抗原(HLA)、補体因子5(C5)、免疫グロブリンE(IgE)、糖タンパク質IIb/IIIa受容体、CA125、17-IA細胞表面抗原、第VII因子、GD3エピトープ、ヒト免疫不全ウイルス糖タンパク質120(HIV gp120)、B型肝炎ウイルス(HBV)またはサイトメガロウイルス(CMV)に免疫特異的に結合する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項19】
単離されている、請求項1〜18のいずれか1項に記載の修飾IgG。
【請求項20】
容器に入れられた請求項1〜19のいずれか1項に記載の修飾IgGと使用説明書とを含んでなるキット。
【請求項21】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の修飾IgGと検出可能な物質または治療的部分とを含んでなる抗体コンジュゲート。
【請求項22】
容器に入れられた請求項21に記載の抗体コンジュゲートと使用説明書とを含んでなるキット。
【請求項23】
請求項16または17に記載の修飾IgGをコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸。
【請求項24】
請求項2〜19のいずれか1項に記載のヒトIgG定常ドメインをコードするヌクレオチド配列を含んでなる核酸。
【請求項25】
単離されている、請求項23または24に記載の核酸。
【請求項26】
請求項23、24または25に記載の核酸を含んでなる宿主細胞。
【請求項27】
被験者での疾患もしくは障害を予防または治療するための医薬の製造における、請求項1〜14または19のいずれか1項に記載の修飾IgGの使用。
【請求項28】
被験者での呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を予防するための医薬の製造における、請求項15〜17のいずれか1項に記載の修飾IgGの使用。
【請求項29】
被験者での呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染を治療するための医薬の製造における、請求項15〜17のいずれか1項に記載の修飾IgGの使用。
【請求項30】
被験者がヒトである、請求項27〜29のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
in vitroで疾患または障害を検出するための方法であって、(a) 請求項1〜14または19のいずれか1項に記載の修飾IgGを被験者由来のサンプルと接触させ、(b) 該修飾IgGと免疫特異的に結合する抗原のレベルを対照のレベルと比較し、該サンプル中の抗原のレベルが対照のレベルと比較して増加していれば該疾患または障害を示すこととなることを含んでなる、上記方法。
【請求項32】
in vitroでRSV感染を検出するための方法であって、(a) 請求項15〜17のいずれか1項に記載の修飾IgGを被験者由来のサンプルと接触させ、(b) 該修飾IgGと免疫特異的に結合するRSV抗原のレベルを対照のレベルと比較し、該サンプル中のRSV抗原のレベルが対照のレベルと比較して増加していればRSV感染を示すこととなることを含んでなる、上記方法。
【請求項33】
疾患または障害を診断するための医薬の製造における、請求項1〜14または19のいずれか1項に記載の修飾IgGの使用であって、該医薬は、(a) 該医薬を被験者に投与し、(b) 投与後に該修飾IgGが免疫特異的に結合する抗原が発現されている被験者体内の部位へ該修飾IgGが優先的に濃縮されるまでの時間を待ち、(c) バックグラウンドレベルを測定し、(d) 被験者体内の該修飾IgGを検出して、バックグラウンドレベルを超える該修飾IgGが検出されれば、該被験者が該疾患または障害を有していることが示されることを含んでなる方法において用いるためのものである、上記使用。
【請求項34】
RSV感染を診断するための医薬の製造における、請求項15〜17のいずれか1項に記載の修飾IgGの使用であって、該医薬は、(a) 該医薬を被験者に投与し、(b) 投与後に該修飾IgGが免疫特異的に結合するRSV抗原が発現されている被験者体内の部位へ該修飾IgGが優先的に濃縮されるまでの時間を待ち、(c) バックグラウンドレベルを測定し、(d) 被験者体内の該修飾IgGを検出して、バックグラウンドレベルを超える該修飾IgGが検出されれば、該被験者がRSV感染を有していることが示されることを含んでなる方法において用いるためのものである、上記使用。
【請求項35】
前記修飾IgGが標識された形態の修飾IgGである、請求項33または34に記載の使用。
【請求項36】
被験者がヒトである、請求項33〜35のいずれか1項に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−154855(P2010−154855A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73(P2010−73)
【出願日】平成22年1月4日(2010.1.4)
【分割の表示】特願2009−113588(P2009−113588)の分割
【原出願日】平成13年12月12日(2001.12.12)
【出願人】(504333972)メディミューン,エルエルシー (108)
【出願人】(302014206)ボード オブ リージェンツ,ザ ユニバーシティーオブ テキサス システム (10)
【Fターム(参考)】