説明

延長球形LNG貯蔵タンク

【課題】LNG運搬船に搭載されるLNG貯蔵タンクの連結部と上部タンク部及び下部タンク部のつなぎ目部を緩慢に形成し、LNG貯蔵タンクの貯蔵容量を増大させる。一方、つなぎ目部に加わる応力集中現象を緩和させて、連結タンク部を複数のプレート片等で結合構成し、製作及び加工を容易にすることでLNG貯蔵タンクの製造作業を迅速で簡便にする延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法を提供する。
【解決手段】連結タンク部40は、複数の厚みが異なるプレート片と赤道部45との結合により構成され、上部タンク部20側から下部タンク部30側にいくにつれプレート片が厚くなるように結合され、複数の厚みが異なるプレート片のうち、下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、下部タンク部より厚いことをその技術的要旨とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法に関し、より詳細にはLNG貯蔵容量を増大させる連結タンク部の構成において、連結タンク部と上部タンク部及び下部タンク部の結合部分を緩慢に形成し連結タンク部に加わる応力集中を緩和しながらもLNG積載量を増大させて、複数のプレート片を溶接組立し連結タンク部を構成することで連結タンク部の製作上の効率を良好化し、連結タンク部の厚みを下部に向かうほどより厚く形成し応力集中を低下させる延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1に示すように、通常LNG運搬船100に搭載される球形LNG貯蔵タンク9は、同一の大きさを備え、LNG運搬船100の安全航海のために要求される船首側最小可視距離102を確保するための船舶の操縦視線103は船舶操縦室101の高さと船首側の球形LNG貯蔵タンク9の高さにより決定される。
【0003】
よって、船首に設置された球形LNG貯蔵タンク9の後側にある球形LNG貯蔵タンクは、操縦視線103の高さまでさらに高く拡張できる。
【0004】
即ち、船首に設けられているLNG貯蔵タンクの後方に高さ方向に拡張された円筒挿入LNG貯蔵タンク11を配置し、船舶の操縦視線103まで漸次的に高く配置する場合、船舶の大きさに変化なく球形LNG貯蔵タンク9を配置したLNG運搬船よりもLNG貯蔵容量を増大させられる。
【0005】
図3は従来の円筒を挿入しLNG貯蔵タンクの容量を増大させた構造を示す図である。円筒挿入LNG貯蔵タンク11は同一の曲率半径を備える半球形の上部タンク部20及び下部タンク部30と、上部タンク部20及び下部タンク部30を連結するよう設置されLNG貯蔵容量を増大させる円筒形態の連結タンク部40aと、円筒形態の連結タンク部40aのへりのある赤道部45にしたがい設置されて、船体に連結され円筒挿入LNG貯蔵タンク11を支持する支持スカート50とから構成される。
【0006】
ところが、積載容量の増大のために円筒形態の連結タンク部40aの長さを過度に育てる場合、円筒形態の連結タンク部40aの縦方向断面が垂直に形成されて、一定の曲率を備える上部タンク部20及び下部タンク部30との結合部及び円筒形態の連結タンク部40aに応力集中現象が発生する問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記のような従来の問題点を解決するために創出されたもので、LNG運搬船に搭載されるLNG貯蔵タンクの連結部と上部タンク部及び下部タンク部のつなぎ目部を緩慢に形成し、LNG貯蔵タンクの貯蔵容量を増大させる一方、つなぎ目部に加わる応力集中現象を緩和させて、連結タンク部を複数のプレート片等と結合構成し製作及び加工を容易にすることでLNG貯蔵タンクの製造作業を迅速で簡便にする延長球形LNG貯蔵タンク及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するための本発明は、曲率半径Rを有する上部タンク部及び下部タンク部と、前記上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部を含むLNG貯蔵タンクにおいて、前記連結タンク部は、複数の厚みが異なるプレート片と赤道部との結合により構成され、前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合され、前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚いことを特徴とする。
【0009】
また、前記連結タンク部は連結タンク部の中心点を幅方向に貫く中心線上の任意の点から前記上部タンク部及び前記下部タンク部の曲率中心点をすぎて延長され上部タンク部及び下部タンク部の円弧との交差点を始点と終点とし、前記任意の点から上記交差点までの距離を曲率半径R1とする円弧(C3)により形成されることを特徴とする。
【0010】
また、前記連結タンク部は上部タンク部の円弧上に位置した任意の1点を始点として、前記下部タンク部の円弧上に位置するが、前記始点と対称する位置にある1点を終点とする放物線により形成されるが、前記始点及び終点での放物線に対する接線の傾きが同一位置での上部タンク部及び下部タンク部に対する接線の傾きと同一の放物線(C3)により形成されることを特徴とする。
【0011】
また、連結タンク部は複数個のプレート片等の結合により構成されることを特徴とする。また、前記連結タンク部は上下部に分離された第1連結部と第2連結部及び前記第2連結部の下部に結合され支持スカートが設置される赤道部とから構成されることを特徴とする。
【0012】
また、前記連結タンク部は上部、中央部と下部とに分離された第1連結部、第3連結部と第2連結部及び前記第2連結部の下部に結合され支持スカートが設置される赤道部とから構成されることを特徴とする。
【0013】
また、前記第1連結部または第2連結部は断面の形状が円錐台形状を備えることを特徴とする。
【0014】
また、前記連結タンク部は下部方向に向かい厚さがさらに厚くなるよう構成させることを特徴とする。
【0015】
また、複数のプレート片を結合し半球形形状の上部タンク部及び下部タンク部とを製造する段階、複数のプレート片を結合し前記上部タンク部及び下部タンク部よりさらに大きな曲率半径を備える連結タンク部を製造する段階、前記連結タンク部に設置されて船体に固定されることでタンクを支持する支持スカートとを製造する段階、前記下部タンク部の上部に連結タンク部を結合して、前記下部タンク部の中心にパイプタワーを垂直に設置し、前記連結タンク部の周囲にそって支持スカートを結合して、前記連結タンク部の上部に上部タンク部を結合するが、前記パイプタワーを上段部に連結するように設置する組立段階、とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
前記のような構成及び作用により期待できる本発明の効果は、上部タンク部及び下部タンク部と連結タンク部の結合部分を緩慢に形成して、前記連結タンク部の厚さを下部方向に向かいさらに厚くなるよう構成することで、連結タンク部に加えられる応力集中を緩和すると同時にLNG積載量を増加させられて、複数のプレート片を溶接組立し連結タンク部を形成することで、連結タンク部を非常に容易に製作できる有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の球形タンクLNG運搬船の搭載構造及び操縦視線を示す図である。
【図2】従来の円筒挿入LNG貯蔵タンクを搭載したLNG運搬船を示す図である。
【図3】従来の円筒挿入LNG貯蔵タンクを示す図である。
【図4】本発明によるLNG貯蔵タンクを示す図である。
【図5】本発明によるLNG貯蔵タンクの連結タンク部の構成を概念的に示す図である。
【図6】本発明の実施例によるLNG貯蔵タンクの拡張構造を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例によるLNG貯蔵タンクの拡張構造を示す図である。
【図8】本発明の一実施例による連結タンク部の細部を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施例による連結タンク部の設置状態の細部を示す正面図である。
【図10】本発明の他の実施例による連結タンク部の細部を示す斜視図である。
【図11】本発明の一実施例による連結タンク部の設置状態の細部を示す正面図である。
【図12】本発明による連結タンク部の厚みの変化を示す図である。
【図13】本発明による連結タンク部の構造強度解釈結果を示す図である。
【図14】本発明による支持スカートの設置構造を示す図である。
【図15】本発明の上部タンク部及び下部タンク部を構成するプレート片の加工過程を示す図である。
【図16】本発明の上部タンク部及び下部タンク部のカバーの加工過程を示す図である。
【図17】本発明を利用した連結タンク部の加工過程を示す図である。
【図18】本発明を利用した連結タンク部の加工過程を示す図である。
【図19】本発明のLNG貯蔵タンクの組立過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例であるその構成と作用を添付図面を参照に詳細に説明する。
【0019】
図4は本発明によるLNG貯蔵タンクを示す図で、本発明の実施例による延長球形LNG貯蔵タンク10は半径Rを円弧で形成する上部タンク部20及び下部タンク部30と、前記半径Rより大きな半径を備える円弧として上部タンク部20の球面外部に上段が溶接連結されて、下部タンク部30の球面外部に下段が溶接連結される連結タンク部40及び連結タンク部40の下部周囲にしたがい設置される赤道部45に連結され延長球形LNG貯蔵タンク10を船体に支持させる支持スカート50とから構成される。
【0020】
図5は本発明によるLNG貯蔵タンクの連結タンク部の構成を概念的に示す図で、連結タンク部40は上部タンク部20と下部タンク部30を形成する円(C1、C2)の外側で2円(C1、C2)に内接する円弧または放物線(C3)にしたがい形成され上部タンク部20と下部タンク部30を連結するよう構成される。
【0021】
上記のように、連結タンク部40と上部タンク部20及び下部タンク部30の結合部分を緩慢に構成し、連結タンク部40に加わる応力集中を緩和させながらもLNG積載量を増加させられるようにしたものである。
【0022】
図6は本発明の一実施例によるLNG貯蔵タンクの拡張構造を示す図で、一実施例による本発明の延長球形LNG貯蔵タンク10は図のように、点0、0’を中心に半径がRである円弧を形成する上部タンク部20及び下部タンク部30と、前記半径Rより大きな半径R1を備える円弧として上部タンク部20の球面外部に上段が溶接連結されて前記下部タンク部30の球面外部に下段が溶接連結される連結タンク部40とから構成される。
【0023】
この時、連結タンク部40は上部タンク部20との接点Eで連結タンク部40の終点の傾きが前記接点Eでの上部タンク部20の円弧の傾きのような円弧として緩慢に形成され、下部タンク部30との接点Gまで連結されるものである。
【0024】
即ち、前記接点Eで上部タンク部20の円弧の接線の傾き80と連結タンク部40の接線の傾き80と連結タンク部40の接線の傾き80が同一で、前記接点Gで下部タンク部30の円弧の接線の傾き80と連結タンク部40の接線の傾き80が同一である。
【0025】
よって、連結タンク部40はE点を始点としG点を終点として半径R1により形成される円弧である。
【0026】
一方、連結タンク部40の半径R1は、連結タンク部40の中心点を幅方向に貫く中心線である線分ABのいずれか1地点Jから上部タンク部20の円弧の中心点0をすぎて上部タンク部20の円弧、即ち接点E点まで延長されるもので、連結タンク部40の半径R1は線分JEである。
【0027】
また、下部タンク部30との接点Gは前記接点E点と連結タンク部40の中心線である線分ABを基準に上下対称の地点に位置することで、下部タンク部30と連結タンク部40は接点G上で接線の傾き80が同一である。
【0028】
一方、接点FはLNG貯蔵タンク10の中心軸である線分CDを基準に接点Eの左右対称点で、接点Hは連結タンク部40の幅方向の中心線である線分ABを中心に接点Fの上下対称点である。
【0029】
結局、延長球形LNG貯蔵タンク10の上部タンク部20は円弧EF(曲率半径R)で、下部タンク部30は円弧GH(曲率半径R)で、連結タンク部40は円弧EG(曲率半径R1)及び円弧FH(曲率半径R1)で、延長球形LNG貯蔵タンク10は前記円弧等の相互結合から構成される。あわせて、2つの円弧が合う点E、F、H、Gで2つの円弧は接線の傾きが等しい。
【0030】
一方、図7は本発明の他の実施例によるLNG貯蔵タンクの拡張構造を示す図で、連結タンク部40は上部タンク部20の円弧上に位置した任意の1点Sを始点として、前記始点Sと対称される位置にある下部タンク部30の円弧上の1点Uを終点とする放物線により形成される。
【0031】
これは連結タンク部40が2次方程式による放物線であらわれるためで、この時前記始点S及び終点Uでの放物線に対する接線の傾き80は同一位置での上部タンク部20及び下部タンク部30に対する接線の傾き80と同一に形成され、この放物線の中心線は線分ABである。
【0032】
前記のような実施例で円弧及び放物線と上部タンク部及び下部タンク部と合う点の接線の傾き80が互いに同一なことで連結タンク部40が上部タンク部20及び下部タンク部30に緩慢に連結されLNG貯蔵タンクの貯蔵容量を増大させて、連結タンク部40の応力集中を緩和しLNG貯蔵タンクの安全性を高められる。
【0033】
また、延長球形LNG貯蔵タンク10を船体に固定する支持スカート50は、LNG貯蔵タンク10を安全に支持するよう連結タンク部40上に設置された赤道部45に連結され船体に固定されることが望ましい。
【0034】
図8は本発明の一実施例による連結タンク部の細部を示す斜視図で、図9は本発明の一実施例による連結タンク部の設置状態の細部を示す正面図である。
【0035】
連結タンク部40は複数のプレート片44の結合により構成され、プレート片44等の縦方向結合部は連結タンク部40を形成する円弧または放物線C3上に位置するよう構成される。
【0036】
これは円弧または放物線(C3)上を逸脱すると、連結タンク部40にプレート片等の縦方向連結部に応力集中現象が発生するからである。
【0037】
このような連結タンク部40は上下部に分離された第1連結部41と第2連結部42及び第2連結部42の下段部に結合され外周面に支持スカート50が設置される赤道部45とから構成される。
【0038】
第1連結部41は底辺が上辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面構造を備えるよう複数個のプレート片44等が結合されて構成され、上段部が上部タンク部20の底面に連結されて、第2連結部42は上辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面構造を備えるよう複数個のプレート片44等が結合されて構成され、上段部が第1連結部41の下段部に連結され、赤道部45は上辺が第2連結部41の底辺に対応する長さを具備して底辺が下部タンク部30の上辺に対応する長さを具備した複数個のプレート片44等が結合されて構成され、上段部が第2連結部41の下段部に結合されるとともに下段部が下部タンク30の上段部に結合される。
【0039】
この時第1連結部41及び第2連結部42のプレート片44は台形形態で中心部が削除された扇形形態の折れ曲がった板であるプレート片44aとして側面方向に溶接結合され縦断面が台形形態の円錐台形状をなす。
【0040】
このような実施例による本発明は、連結タンク部40の製造時2次元曲面形状を備える台形形態のプレート片44a等を組立て第1連結部41及び第2連結部42を形成することで簡便に組み立てることができ、第1連結部41及び第2連結部42は縦断面の形状が台形形状を備えることで、従来の円筒挿入LNG貯蔵タンクよりLNG貯蔵容量が増加して、上部タンク部20及び下部タンク部30と緩慢に連結され連結タンク部40に発生される応力集中を緩和してくれる。
【0041】
図10は本発明の他の実施例による連結タンク部の細部を示す斜視図で、図11は本発明の他の実施例による連結タンク部の設置状態の細部を示す正面図である。連結タンク部40は複数のプレート片44等の結合により構成され、プレート片44等の縦方向結合部は連結タンク部40を形成する円弧または放物線(C3)上に位置するよう構成される。
【0042】
連結タンク部40は上部、下部と中央部に分離された第1連結部41、第2連結部42と第3連結部43及び第2連結部42の下部に設置され外周面に支持スカートが結合される赤道部45とから構成される。
【0043】
第1連結部41は、底辺が上辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面構造を備えるよう複数個のプレート片44等が側面方向に結合されて構成され上段部が上部タンク部20に連結される。
【0044】
第3連結部43は上辺が第1連結部41の底辺に対応する長さを具備して、底辺が第2連結部42の上辺に対応する長さを具備する複数個のプレート片44等が結合されて構成され第1連結部及び第2連結部に溶接結合される。
【0045】
第2連結部42は、上辺が底辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面構造を備えるよう複数個のプレート片44が側面方向に結合されて構成され、上段部が第3連結部43の底辺に結合される。
【0046】
赤道部45は上辺が第2連結部42の底辺に対応する長さを具備して、底辺が下部タンク部30の上辺に対応する長さを具備し複数のプレート片等が結合されて構成され、上段部が第2連結部42の下段部に連結されて下段部が下部タンク部30の上段部に連結される。
【0047】
ここで、第1連結部41及び第2連結部42のプレート片44は台形形状のプレート片44a等を曲げ加工した後、側面方向へ溶接結合し円錐台形態をなし、上部タンク部20及び下部タンク部30と緩慢に連結されることで連結タンク部40に発生される応力集中を緩和させる。
【0048】
また、第3連結部43のプレート片44は、四角形形態のプレート片44b等を曲げ加工して側面方向へ溶接結合される。
【0049】
図12は本発明による連結タンク部の厚さ変化を示した例示図で、本発明の実施例による連結タンク部40は、図12のように下部方向に向かって厚さがさらに厚くなるよう形成される。
【0050】
これは、自重及び貨物積載による構造解釈、貨物運搬時のローリング、スロッシング(sloshing)などによる荷重が付加される影響を考慮して、下部方向に向かって厚さがさらに厚くなることで、LNG貯蔵タンクの安全性が確保されるものである。
【0051】
図13は本発明による連結タンク部の構造強度解釈結果を示した例示図で、LNG貯蔵タンク内部に入れられたLNGの運動化速度とLNGと貯蔵タンクの自重及び熱応力に対する構造強度解釈結果である。
【0052】
この時(a)は連結タンク部の構造が従来のように円筒形構造(max 150 MPa)に対する構造強度解釈結果を示し、(b)は連結タンク部が円筒形で構成されるが、厚さが下部方向に向かうほど厚い構造(max 81 MPa)に対する構造強度解釈結果を示すものである。(c)は本発明の実施例による連結タンク部40の構造解釈結果(max 79 MPa)を示す。図のように、連結タンク部40に加わる応力集中及び応力分布が(a)>(b)>(c)の順を示すことがわかる。
【0053】
これは、本発明のように連結タンク部40が上部タンク部20及び下部タンク部30と緩慢な傾斜で結合されて、下部方向へ向かうほど厚みがさらに厚く形成されることで、応力集中が緩和されて安全に支持されるものである。
【0054】
一方、図14は本発明による支持スカートの設置構造を示す例示図で、支持スカート50は溶接作業空間を確保できるよう第2連結部42の下部に位置することが望ましい。
【0055】
図15は本発明の上部タンク部及び下部タンク部を構成するプレート片の加工過程を示す例示図である。図16は本発明の上部タンク部及び下部タンク部のカバー加工過程を示す例示図である。図17は本発明を利用した連結タンク部の加工過程を示す例示図である。図18は本発明を利用した連結タンク部の加工過程を示す例示図である。
【0056】
本発明の延長球形LNG貯蔵タンク10は、複数のプレート片44を結合し上部タンク部20と下部タンク部30を製造して、また複数のプレート片44を結合し上部タンク部20及び下部タンク部30よりさらに大きな曲率半径を備える連結タンク部40を製造し、さらには連結タンク部40に設置して船体に固定される支持スカート50を製造した後、下部タンク部30の上部に連結タンク部40を結合して、下部タンク部30の中心にパイプタワー60を垂直に設置し、連結タンク部40の周囲にしたがい支持スカート50を結合して、連結タンク部40の上部に上部タンク部20を結合するが、パイプタワー60の上段部が上部タンク部20の上段部に連結されるよう設置し組み立てられる。
【0057】
ここで、上部タンク部20は台形形態で中心部が削除された扇形形態の折れ曲がった板であるプレート片48を曲げ加工して、側面方向へ結合させ底辺が上辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面を備える円錐台形状の上部タンク組立部21を多数個形成して結合し、上部タンク組立部21の上部に上部タンク組立部21と同一の曲率半径を備えるカバー22を設けて組み立てられる。
【0058】
また、下部タンク部30はプレート片48を曲げ加工して側面方向に結合させ上辺が底辺に比べて長さが長い台形形状の縦断面を備える円錐台形状の下部タンク組立部31を多数個形成し組み立てて、下部タンク組立部31の下部に下部タンク組立部31と同一の曲率を備えるカバー22を設けて組み立てられる。
【0059】
一方、連結タンク部40は、図17のように第1連結部41を構成する一つの台形形態のプレート片44aの下部に第2連結部42を構成する台形形態のプレート片44aを結合して、第2連結部42を構成する台形形態のプレート片44aの下部に支持スカート50が設置される赤道部45のプレート片の一つを垂直に結合し第1連結タンク組立部46を形成して、前記のような方法で複数の第1連結タンク組立部46を組み立てた後、第1連結タンク組立部46を側面方向に溶接結合して構成される。
【0060】
また、連結タンク部40は、図18のように第1連結部41を構成する一つの台形形態のプレート片44aの下部に第3連結部43を構成する四角形形態のプレート片44bの一つを垂直に結合して、第3連結部43の下部に第1連結部41の台形形態のプレート片44aと対応する第2連結部42の台形形態のプレート片44aを結合し、第2連結部42の台形形態のプレート片44aの下部に支持スカート50が設けられる赤道部45のプレート片を垂直に結合し第2連結タンク組立部47を形成して、前記のような方法で複数の第2連結タンク組立部47を製造した後、第2連結タンク組立部47を側面方向に溶接結合して構成される。
【0061】
図19は本発明のLNG貯蔵タンクの組立て過程を示す例示図である。予め組立てられドック内に置かれる下部タンク部30の上部に連結タンク部40を設置して、下部タンク部30の中心にパイプタワー60を垂直に設置し、連結タンク部40の周囲にしたがい支持スカート50を設置して、連結タンク部40の上部に上部タンク部20を結合するが、パイプタワー60の上段が上部タンク部20の上段部に連結するよう設置することで組立てが完了する。
【0062】
本発明は上述した特定の望ましい実施例に限定されず、請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱しない当該発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者なら誰でも多様な変形実施が可能なことはもちろん、このような変形は請求の範囲に記載の範囲内にある。
【符号の説明】
【0063】
10 延長球形LNG貯蔵タンク
11 円筒挿入LNG貯蔵タンク
20 上部タンク部
21 上部タンク組立部
22 カバー
30 下部タンク部
31 下部タンク組立部
40 連結タンク部
40a 円筒形態の連結タンク部
41 第1連結部
42 第2連結部
43 第3連結部
44、48 プレート片
44a 台形形態のプレート片
44b 四角形形態のプレート片
45 赤道部
46 第1連結タンク組立部
47 第2連結タンク組立部
50 支持スカート
60 パイプタワー
70 ドック
80 接線の傾き
100 LNG運搬船
101 船舶操縦室
102 可視距離
103 操縦視線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲率半径Rを有する上部タンク部及び下部タンク部と、前記上部タンク部と下部タンク部との間に設けられLNG貯蔵容量を拡大させる連結タンク部を含むLNG貯蔵タンクにおいて、
前記連結タンク部は、複数の厚みが異なるプレート片と赤道部との結合により構成され、前記上部タンク部側から前記下部タンク部側にいくにつれ前記プレート片が厚くなるように結合され、
前記複数の厚みが異なるプレート片のうち、前記下部タンク部に最も近く結合されるプレート片は、前記下部タンク部より厚いことを特徴とする延長球形LNG貯蔵タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−7486(P2013−7486A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181870(P2012−181870)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【分割の表示】特願2009−514188(P2009−514188)の分割
【原出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(594006932)ヒュンダイ ヘビー インダストリーズ カンパニー リミテッド (31)
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI HEAVY INDUSTRIES CO., LTD.
【Fターム(参考)】