説明

建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置

【課題】建屋内における構造物の建設工事や点検に際し、前記建屋内において前記構造物を立体的にイメージすることや壁面内の埋設物の位置確認をすることなどを容易に行うことが可能な建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置を提供する。
【解決手段】例えば、建設工事及び点検支援装置の映像表示手段として3D画像作成装置2と、画像投影装置1と、赤青メガネ4又は偏光メガネ5とを有することにより、建屋6内に建設予定の構造物、建屋6内の壁面に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内に映し出す構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラント等の建屋内における構造物の工事及び点検支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントや化学プラント等の各種プラントの建屋内には多数の配管や電線等の構造物が設けられ、また、前記建屋の壁面にはダクト穴等の構造物も設けられている。そして、従来、作業者は前記建屋内に前記構造物を建設する際の工事計画や工程等を作成する場合や、前記構造物の位置決めをする場合、更には建設後の構造物を点検する場合には、これらの作業を、構造物の図面(紙面)を見ながら行っていた。
【0003】
なお、本発明に関連する先行技術文献としては例えば次のものがある。
【特許文献1】特開2000−155855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如く従来はプラントの建屋内における配管等の構造物の建設作業や点検作業を、図面(紙面)を見ながら行っていたが、図面(紙面)を見るだけで実際の構造物(立体像)をイメージすることや、例えば壁面にダクト穴を設ける際に当該壁面内の埋設物(配管、鉄筋、電線等)の位置を確認することなどができるようになるには熟練を要し、また、熟練した作業者であっても誤解や見落としをする可能もある。更には図面を見慣れていない顧客等の見学者に対して、建屋内に建設後の構造物の様子を図面(紙面)だけでイメージさせることも難しい。
【0005】
従って本発明は上記の事情に鑑み、建屋内における構造物の建設工事や点検に際し、前記建屋内において前記構造物を立体的にイメージすることや壁面内の埋設物の位置確認をすることなどを容易に行うことが可能な建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内に映し出す映像表示手段を有すること、
又は、建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内において前記構造物の実物と重ねて映し出す映像表示手段を有すること、
を特徴とする。
【0007】
また、第2発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置は、建屋内の壁面等に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の画像を、前記建屋内の壁面等の画像表示部に投影する画像撮影手段を有することを特徴とする。
【0008】
また、第3発明の建屋内における構造物の点検支援装置は、建屋内に建設されている構造物の撮影画像と、前記構造物の3D画像とを重ねて表示する画像表示手段を有することを特徴とする。
【0009】
また、第4発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の赤青方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の赤青方式用の3D画像を前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の赤青方式用の3D画像を、立体映像として見るための赤青メガネと、
を有してなるものであることを特徴とする。
【0010】
また、第5発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の偏光方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の偏光方式用の3D画像を前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の偏光方式用の3D画像を、立体映像として見るための偏光メガネと、
を有してなるものであることを特徴とする。
【0011】
また、第6発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の交互上映方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の交互上映方式用の3D画像を2台のプロジェクタで前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の交互上映方式用の3D画像を、立体映像として見るための交互シャッターメガネと、
前記2台のプロジェクタのシャッターの開閉動作と、前記交互シャッターメガネのシャッターの開閉動作とを同期させる信号同期装置と、
を有してなるものであることを特徴とする。
【0012】
また、第7発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の半透明メガネディスプレイ用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の交互上映方式用の3D画像を半透明の画像表示部に表示して、前記構造物の立体映像を見るための半透明メガネディスプレイと、
を有してなるものであることを特徴とする。
【0013】
また、第8発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置は、第2発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記画像撮影手段は、
建屋内の壁面等に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記3D画像を、前記建屋内の壁面等の画像表示部に投影する画像投影装置と、
を有してなることを特徴とする。
【0014】
また、第9発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物のホログラムを作成するホログラム作成手段と、
前記ホログラム作成手段で作成された前記ホログラムを前記建屋内で再生して、前記構造物の立体映像を表示するホログラム再生手段と、
を有してなるものであることを特徴とする。
【0015】
また、第10発明の建屋内における構造物の点検支援装置は、第3発明の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記画像表示手段は、
前記建屋内に建設されている構造物を撮影する画像撮影装置と、
この画像撮影装置から入力した撮影信号に基づいて前記構造物の撮影画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記撮影画像と、前記構造物の3D画像とを重ね合わせて表示する3Dスーパーインポーズ装置と、
を有してなることを特徴とする。
【0016】
また、第11発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を、前記映像表示手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記映像表示手段では、前記構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことを特徴とする。
【0017】
また、第12発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置は、第2発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記構造物の建設工事に関する情報を、前記画像撮影手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記映像表示手段では、前記構造物の画像とともに前記構造物の建設工事に関する情報も前記壁面に投影することを特徴とする。
【0018】
また、第13発明の建屋内における構造物の点検支援装置は、第3発明の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記構造物の点検に関する情報を、前記画像表示手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記画像表示手段では、前記撮影画像と前記3D画像を重ね合わせて表示するとともに前記構造物の点検に関する情報も表示することを特徴とする。
【0019】
また、第14発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第4,第5,第6又は第7発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する。
【0020】
また、第15発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置は、第8発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記構造物の建設工事に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の建設工事に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する。
【0021】
また、第16発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第9発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記ホログラム作成手段では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報のホログラムも作成し、
前記ホログラム再生手段では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報のホログラムも再生することを特徴とする。
【0022】
また、第17発明の建屋内における構造物の点検支援装置は、第10発明の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記構造物の点検に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の点検に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する。
【0023】
また、第18発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第1又は第11発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出手段を有し、
前記映像表示手段では、前記位置情報検出手段で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物の立体映像を映し出すことを特徴とする。
【0024】
また、第19発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第4,第5,第6,第7又は第14発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物の3D画像を作成することを特徴とする。
【0025】
また、第20発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第9又は第16発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記ホログラムは写真乾板に形成されたものであり、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置と、
前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に対応する前記写真乾板の識別番号を表示する表示装置と、
を有することを特徴とする。
【0026】
また、第21発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第9又は第16発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置を有し、
前記ホログラム作成手段では、前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物のホログラムを作成することを特徴とする。
【0027】
また、第22発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第18,第第19,第20又は第21発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記位置情報検出手段又は前記位置情報検出装置は、
前記人が装着するRFIDタグと、
前記RFIDタグとの無線通信によって前記人の視点位置情報を得るタグリーダと、
を有してなることを特徴とする。
【0028】
また、第23発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置は、第18,第19,第20又は第21発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記位置情報検出手段又は前記位置情報検出装置は、
GPS衛星と、
前記GPS受信機との無線通信によって前記人の視点位置情報を得るGPS受信機と、
を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
第1、第4、第5、第6、第7又は第9発明の建屋内における構造物の建設工事支援方法によれば、建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内に映し出すため、作業者は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成すること、又は、例えば前記壁面に設けようとするダクト穴等の構造物と前記埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係を確認することなどを、容易且つ確実に行うことができる。或いは、建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内において前記構造物の実物と重ねて映し出すため、作業者は現場で前記構造物の立体映像と実際の前記構造物の実物とを容易且つ確実に比較して、前記構造物を点検することができる。
【0030】
また、第2又は第8発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置によれば、建屋内の壁面等に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の画像を、前記建屋内の壁面等の画像表示部に投影するため、作業者は現場で構造物の画像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。また、例えば壁面に設けようとするダクト穴等の構造物と、前記壁面等の埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係を確認することなども、簡易な構成で容易且つ確実に行うことができる。
【0031】
また、第3又は第10発明の建屋内における構造物の点検支援装置によれば、建屋内に建設されている構造物の撮影画像と、前記構造物の3D画像とを重ねて表示するため、作業者は前記撮影画像と前記3D画像とを重ね合わせた表示を見ながら、容易且つ確実に前記構造物の点検を行うことができる。
【0032】
また、第11、第14又は第16発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すため、作業者は前記構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事又は点検作業を確実に行うことができる。
【0033】
また、第12又は第15発明の建屋内における構造物の建設工事支援装置によれば、構造物の画像とともに前記構造物の建設工事に関する情報も画像表示部に投影するため、作業者は前記構造物の画像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事を確実に行うことができる。
【0034】
また、第13又は第17発明の建屋内における構造物の点検支援装置によれば、撮影画像と3D画像を重ね合わせて表示するとともに構造物の点検に関する情報も表示するため、作業者は撮影画像と3D画像を重ね合わせた画像とともに前記情報(作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、点検作業を確実に行うことができる。
【0035】
また、第18,第19,第20,第21,第22又は第23発明の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、人の視点位置情報を検出し、この検出した視点位置から見たときの構造物の立体映像を映し出すことができるため、建屋内の一定の位置からだけでなく、建屋内を移動して様々な位置からでも、容易に構造物の立体映像を見ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0037】
<実施の形態例1>
図1は本発明の実施の形態例1に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図、図2(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、図2(b)は作業者が赤青メガネ又は偏光メガネを装着している様子を示す図、図2(c)は前記赤青メガネの拡大図、図2(d)は前記偏光メガネの拡大図である。
【0038】
本実施の形態例1では画像投影技術として次の(1)又は(2)の公知技術を用いる。
(1)赤青方式(アナグリフ方式)による立体映像投影技術
この赤青方式による立体映像投影技術は左右の映像を互いに補色の関係にある2つの色で制作するものであり、赤と青の2色を用いる。そして赤と青で描かれた映像を、赤と青のフィルタ(例えば正面から見て左に赤のフィルタ、右に青のフィルタを取り付けた眼鏡(赤青メガネ))を通して見ると、左の眼には青の映像だけが見え、右の眼には赤の映像だけが見えることなるため、立体映像を認識することができる。
(2)偏光方式(ポラロイド方式)による立体映像投影技術
この偏光方式による立体映像投影技術は左右の映像を分離するために偏光フィルタを用いる方式のものである。偏光フィルタを画像投影装置(プロジェクタ)と眼鏡(偏光メガネ)の両方に取り付け、前記画像投影装置では偏光フィルタで90度偏光することによって左右の映像を分離し、前記眼鏡では偏光フィルタを介して左右の眼にそれぞれ別の映像が入るため、立体映像を認識することができる。
【0039】
図1及び図2に示すように、本実施の形態例1の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置は、画像投影装置(プロジェクタ)1と、3D画像作成装置2と、キーボードである入力装置3と、赤青メガネ(ゴーグル)4又は偏光メガネ(ゴーグル)5とを有してなるものである。発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内において画像投影を行う際、画像投影装置1、3D画像作成装置2及び入力装置3は例えば図2(a)に示すように建屋6内の床面10に設置され、赤青メガネ4又は偏光メガネ5は図2(b)に示すように作業者11の眼に装着される。赤青メガネ4は、図2(c)に示すように正面から見て左に赤のフィルタ12、右に青のフィルタ13を取り付けたものである。偏光メガネ5は、図2(d)に示すように正面からみて左に垂直偏光フィルタ14、右に水平偏光フィルタ15を取り付けたものである。
【0040】
入力装置3はパーソナルコンピュータである3D画像作成装置2に接続されたキーボードであり、3D画像作成装置2に対して、建屋番号(プラントに複数の建屋がある場合に建屋を識別するための情報)や建屋内における作業者(観察者)の視点位置情報などを入力する他、工事予定日や作業内容等の建設工事や点検に関する情報なども入力するものである(情報入力手段)。なお、入力装置3としてはキーボードに限らず、マウスやライトペンなどを用いることもできる。
【0041】
3D画像作成装置2は赤青方式用又は偏光方式用の3D画像作成機能(ハードディスクなどの記憶部に記憶されたソフトウエア)を有し、且つ、前記記憶部に予め記憶された建屋6内の配管や電線等の構造物や、建屋6の壁面内に埋設されている配管、鉄筋、電線等の構造物(埋設物)、更には隣の建屋内(部屋)に建設されている配管等の構造物などの3D−CAD(three dimensions−computer aided design)データ9を有している。そして、赤青方式を採用した場合には、3D画像作成装置2では入力装置3からの作業者(観察者)の視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)前記構造物の赤青方式用の3D画像である、前記構造物の赤と青で描いた画像を、3D−CADデータ9から作成し、この3D画像の信号を画像投影装置1へ送信する。また、偏光方式を採用した場合には、3D画像作成装置2では入力装置3からの作業者(観察者)の視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)前記構造物の偏光方式用の3D画像である前記構造物の左右の画像を3D−CADデータ9から作成し、この3D画像の信号を画像投影装置1へ送信する。
【0042】
なお、これらの赤青方式用及び偏光方式用の構造物の3D画像は、建設時においては、これから建屋6内に設けようとする構造物、或いは、壁面に埋設されている構造物や隣の建屋内(部屋)の構造物の画像などであり、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物の画像である。
【0043】
画像投影装置1では3D画像作成装置2から送信されてきた赤青方式用又は偏光方式用の3D画像の信号を入力すると、この3D画像を建屋6内の壁面等の画像表示部16に投影(表示)する。即ち、赤青方式を採用した場合には、画像投影装置1として赤青方式用のものが用いられ、この画像投影装置1によって前記赤と青で描いた構造物の画像を画像表示部16に投影する。偏光方式を採用した場合には、画像投影装置1として垂直偏光フィルタと水平偏光フィルタとが取り付けられた偏光方式用のものが用いられ、この画像投影装置1によって前記構造物の左右の画像を、それぞれ前記垂直偏光フィルタと水平偏光フィルタとを介して画像表示部16に投影する。
【0044】
そして、赤青方式の場合には、赤青メガネ4を装着した作業者11が、この赤青メガネ4を介して、画像表示部16に投影された赤と青の構造物の画像を見ることにより、当該構造物の立体映像を見ることができる。偏光方式の場合には、偏光メガネ5を装着した作業者11が、この偏光メガネ5を介して、画像表示部16に投影された前記構造物の左右の画像を見ることにより、当該構造物の立体映像を見ることができる。即ち、建設時においては、これから建屋6内に建設しようとする構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える、或いは、壁面内に埋設されている構造物(配管、鉄筋、電線等)や隣の部屋に建設されている構造物(配管等)の立体映像が、当該構造物の埋設位置や建設位置に壁面とともに見える。また、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の実物と重なって見えることになる。
【0045】
また、このときに入力装置3から3D画像作成装置2へ建設工事や点検に関する情報(工事予定日、作業内容等)を入力すれば、3D画像作成装置2では、これらの情報を赤青方式用又は偏光方式用の構造物の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置1へ送信し、画像投影装置1では画像表示部16へ構造物の3D画像とともに前記情報も投影する。従って、作業者11は、赤青メガネ4又は偏光メガネ5を介して構造物の立体映像とともに前記情報もみることができる。
【0046】
図2(a)には立体映像の一例を示している。図2(a)では構造物の一例として配管及び電線の場合を例示しており、また、画像表示部16の一例として建屋6内の壁面8の場合を例示している。図2(a)に示すように、画像投影装置1は建屋6内の所定位置に壁面8に対向した状態で設置されている。そして、この画像投影装置1によって、これから建屋6内に建設しようとする配管及び電線の赤青方式用又は偏光方式用の配管及び電線の3D画像を壁面8に投影し、この投影画像を建屋6内の所定位置に立っている作業者11が赤青メガネ4又は偏光メガネ5を介して見ると、当該作業者11には、図2(a)に示すように配管17及び電線18の立体映像が、これらの建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える。
【0047】
また、このときに他の作業者11が入力装置3を操作して、配管17や電線18の建設工事に関する情報として例えば工事予定日及び作業内容を入力すると、3D画像作成装置2では、これらの工事予定日及び作業内容を赤青方式用又は偏光方式用の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置1へ送信し、画像投影装置1では画像表示部16へ配管及び電線の3D画像とともに前記工事予定日及び作業内容も投影する。その結果、作業者11は赤青メガネ4又は偏光メガネ5を介して配管17及び電線18の立体映像とともに前記工事予定日及び作業内容も確認することができる。
【0048】
以上のように、本実施の形態例1の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、映像表示手段として3D画像作成装置2と、画像投影装置1と、赤青メガネ4又は偏光メガネ5とを有することにより、建屋6内に建設予定の構造物、建屋6内の壁面に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内に映し出すため、作業者11は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。
【0049】
また、例えば図2に例示すように壁面8に設けようとするダクト穴19と、ダクト穴19を通す予定の配管17との位置関係を確認することや、ダクト穴19と前記埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係(干渉するか否か)を確認することなども容易且つ確実に行うことができる。更には、建屋6内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内において前記構造物の実物と重ねて映し出すこともできるため、作業者11は現場で前記構造物の立体映像と実際の前記構造物の実物とを容易且つ確実に比較して、前記構造物を点検することもできる。
【0050】
また、構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことができるため、作業者11は前記構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事又は点検作業を確実に行うこともできる。
【0051】
<実施の形態例2>
図3は本発明の実施の形態例2に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図、図4(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、図4(b)は作業者が交互シャッターメガネを装着している様子を示す図、図4(c)は前記交互シャッターメガネの拡大図である。
【0052】
本実施の形態例2では画像投影技術として公知の交互上映方式(アナグリフ方式)による立体映像投影技術を用いる。この交互上映方式の立体映像投影技術は人間の目の残像効果を利用したもので、左右の映像を交互に時分割でスクリーンに投影するものである。画像投影装置(プロジェクタ)のシャッターと同期して開閉する電子式シャッターが付いた眼鏡を掛けて投影画像を見ることにより、左右の映像を左右の眼で別々に見ることができるため、立体映像を認識することができる。
【0053】
図3及び図4に示すように、本実施の形態例2の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置は、2台のプロジェクタ21A,21Bからなる画像投影装置21と、3D画像作成装置22と、キーボードである入力装置23と、交互シャッターメガネ24と、信号同期装置27とを有してなるものである。発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内において画像投影を行う際、画像投影装置21、3D画像作成装置22及び入力装置23は例えば図4(a)に示すように建屋6内の床面10に設置され、交互シャッターメガネ24は図4(b)に示すように作業者11の眼に装着される。交互シャッターメガネ24は、図4(c)に示すように左右に電子式シャッター31,32を取り付けたものである。図4(c)には電子式シャッター31を開けて電子式シャッター32を閉じたときの状態が例示されている。
【0054】
入力装置23はパーソナルコンピュータである3D画像作成装置22に接続されたキーボードであり、3D画像作成装置22に対して、建屋番号(プラントに複数の建屋がある場合に建屋を識別するための情報)や作業者(観察者)の視点位置情報などを入力する他、工事予定日や作業内容等の建設工事や点検に関する情報なども入力するものである(情報入力手段)。なお、3D画像作成装置22への入力装置23としてはキーボードに限らず、マウスやライトペンなどを用いることもできる。
【0055】
3D画像作成装置22は交互上映方式用の3D画像作成機能(ハードディスクなどの記憶部に記憶されたソフトウエア)を有し、且つ、前記記憶部に予め記憶された建屋6内の配管や電線等の構造物や、建屋6の壁面内に埋設されている配管、鉄筋、電線等の構造物(埋設物)、更には隣の建屋内(部屋)に建設されている配管等の構造物などの3D−CADデータ9を有している。そして、3D画像作成装置22では入力装置3からの作業者(観察者)の視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)前記構造物の交互上映方式用の3D画像である、前記構造物の左右の画像を、3D−CADデータ9から作成し、この3D画像の信号を画像投影装置21へ送信する。なお、この交互上映方式用の構造物の3D画像は、建設時においては、これから建屋6内に設けようとする構造物の画像、或いは、壁面に埋設されている構造物や隣の建屋内(部屋)の構造物の画像であり、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物の画像である。
【0056】
画像投影装置21は左右の2台のプロジェクタ21A,21Bにそれぞれシャッターを備えたものであり、3D画像作成装置22から送信されてきた交互上映方式用の3D画像である左右の画像信号を入力すると、これらの画像を、左右のシャッターを交互に開閉することにより、建屋6内の壁面等の画像表示部16に交互に時分割で投影する。このとき信号同期装置27では2台のプロジェクタ21A,21Bのシャッターの交互の開閉動作(即ち左右の画像を交互に時分割で投影すること)と、交互シャッターメガネ24の電子式シャッター31,32の交互の開閉動作とを同期させる。
【0057】
従って、交互シャッターメガネ24を装着した作業者11が、この交互シャッターメガネ24を介して、画像表示部16に交互に投影された構造物の左右の画像を見ることにより、当該構造物の立体映像が見ることができる。即ち、建設時においては、これから建屋6内に建設しようとする構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える、或いは、壁面内に埋設されている構造物(配管、鉄筋、電線等)や隣の部屋に建設されている構造物(配管等)の立体映像が、当該構造物の埋設位置や建設位置に壁面とともに見える。また、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の実物に重なって見えることになる。
【0058】
また、このときに入力装置23から3D画像作成装置22へ建設工事や点検に関する情報(工事予定日、作業内容等)を入力すれば、3D画像作成装置22では、これらの情報を交互上映方式用の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置21へ送信し、画像投影装置21では画像表示部16へ構造物の3D画像とともに前記情報も投影する。従って、作業者11は、交互シャッターメガネ24を介して構造物の立体映像とともに前記情報もみることができる。
【0059】
図4(a)には立体映像の一例を示している。図4(a)では構造物の一例として配管及び電線の場合を例示しており、また、画像表示部16の一例として建屋6内の壁面8の場合を例示している。図4(a)に示すように、画像投影装置21は建屋6内の所定位置に壁面8に対向した状態で設置されている。そして、この画像投影装置21によって、これから建屋6内に建設しようとする配管及び電線の交互上映方式用の3D画像を壁面8に投影(左右の画像を交互に時分割で投影)し、この投影画像を建屋6内の所定位置に立っている作業者11が交互シャッターメガネ24を介して見ると、当該作業者11には、図4(a)に示すように配管17及び電線18の立体映像が、これらの建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える。
【0060】
また、このときに他の作業者11が入力装置8を操作して、配管17や電線18の建設工事に関する情報として例えば工事予定日及び作業内容を入力すると、3D画像作成装置22では、これらの工事予定日及び作業内容を交互上映方式用の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置21へ送信し、画像投影装置21では画像表示部16へ配管及び電線の3D画像とともに前記工事予定日及び作業内容も投影する。その結果、作業者11は交互シャッターメガネ24を介して配管17及び電線18の立体映像とともに前記工事予定日及び作業内容も確認することができる。
【0061】
以上のように、本実施の形態例2の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、映像表示手段として3D画像作成装置22と、画像投影装置21と、交互シャッターメガネ24とを有することにより、建屋6内に建設予定の構造物、建屋6内の壁面に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内に映し出すため、作業者11は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。
【0062】
また、例えば図4に例示すように壁面8に設けようとするダクト穴19と、ダクト穴19を通す予定の配管17との位置関係を確認することや、ダクト穴19と前記埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係(干渉するか否か)を確認することなども容易且つ確実に行うことができる。更には、建屋6内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内において前記構造物の実物と重ねて映し出すこともできるため、作業者11は現場で前記構造物の立体映像と実際の前記構造物の実物とを容易且つ確実に比較して、前記構造物を点検することもできる。
【0063】
また、構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことができるため、作業者11は前記構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事又は点検作業を確実に行うこともできる。
【0064】
<実施の形態例3>
図5は本発明の実施の形態例3に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図、図6(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、図6(b)は作業者が半透明メガネディスプレイを装着している様子を示す図、図6(c)は前記半透明メガネディスプレイの拡大図である。
【0065】
本実施の形態例3では公知の半透明メガネディスプレイ方式による画像表示技術を用いる。これは眼鏡自体が画像表示装置となっており、この眼鏡に備えた左右の半透明の画像表示部に左右の画像が映し出されることによって立体映像を認識することができるというものである。
【0066】
図5及び図6に示すように、本実施の形態例3の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置は、半透明メガネディスプレイ41と、3D画像作成装置42と、キーボードである入力装置43とを有してなるものである。発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内において画像投影を行う際、3D画像作成装置42及び入力装置43は例えば図6(a)に示すように建屋6内の床面10に設置され、半透明メガネディスプレイ41は図6(b)に示すように作業者11の眼に装着される。半透明メガネディスプレイ41は、図6(c)に示すように左右に半透明の液晶表示部などの画像表示部47,48を取り付けたものであり、画像表示部47,48に表示された画像とともに画像表示部47,48を透過して実像も見ることもできるようになっている。
【0067】
入力装置43はパーソナルコンピュータである3D画像作成装置42に接続されたキーボードであり、3D画像作成装置42に対して、建屋番号(プラントに複数の建屋がある場合に建屋を識別するための情報)や作業者(観察者)の視点位置情報などを入力する他、工事予定日や作業内容等の建設工事や点検に関する情報なども入力するものである(情報入力手段)。なお、3D画像作成装置42への入力装置としてはキーボードに限らず、マウスやライトペンなどを用いることもできる。
【0068】
3D画像作成装置42は半透明メガネディスプレイ方式用の3D画像作成機能(ハードディスクなどの記憶部に記憶されたソフトウエア)を有し、且つ、前記記憶部に予め記憶された建屋6内の配管や電線等の構造物や、建屋6の壁面内に埋設されている配管、鉄筋、電線等の構造物(埋設物)、更には隣の建屋内(部屋)に建設されている配管等の構造物などの3D−CADデータ9を有している。そして、3D画像作成装置42では入力装置43からの作業者(観察者)の視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)前記構造物の半透明メガネディスプレイ用の3D画像である、前記構造物の左右の画像を、3D−CADデータ9から作成し、この3D画像の信号を半透明メガネディスプレイ41の画像表示部47,48へ送信する。なお、このときの構造物の3D画像は、建設時においては、これから建屋6内に設けようとする構造物、或いは、壁面に埋設されている構造物や隣の建屋内(部屋)の構造物の画像などであり、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物の画像である。
【0069】
そして、半透明メガネディスプレイ24を装着した作業者11は、前記構造物の立体映像を見ることができる。即ち、建設時においては、これから建屋6内に建設しようとする構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の建設予定位置に建屋6内の壁面などともに見える、或いは、壁面内に埋設されている構造物(配管、鉄筋、電線等)や隣の建屋内(部屋)に建設中又は建設された構造物(配管等)の立体映像が、当該構造物の埋設位置や建設位置に壁面とともに見える。また、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の実物に重なって見えることになる。
【0070】
また、このときに入力装置43から3D画像作成装置42へ建設工事や点検に関する情報(工事予定日、作業内容等)を入力すれば、3D画像作成装置42では、これらの情報を半透明メガネディスプレイ方式用の3D画像に書き込んで当該3D画像を半透明メガネディスプレイ41の画像表示部47,48へ送信して表示させる。従って、作業者11は、半透明メガネディスプレイ41によって前記構造物の立体映像とともに前記情報もみることができる。
【0071】
図6(a)には立体映像の一例を示している。図6(a)では構造物の一例として配管及び電線の場合を例示している。3D画像作成装置42から半透明メガネディスプレイ41へ、これから建屋6内に建設しようとする配管及び電線の3D画像の信号を送信すると、図6(a)に示すように建屋6内の所定位置に立っている作業者11には、半透明メガネディスプレイ41によって配管17及び電線18の立体映像が、これらの建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える。
【0072】
また、このときに他の作業者11が入力装置43を操作して、配管17や電線18の建設工事に関する情報として例えば工事予定日及び作業内容を入力すると、3D画像作成装置42では、これらの工事予定日及び作業内容を半透明メガネディスプレイ方式用の3D画像に書き込んで当該3D画像を半透明メガネディスプレイ41の画像表示部47,48へ送信する。その結果、作業者11は半透明メガネディスプレイ41によって配管17及び電線18の立体映像とともに前記工事予定日及び作業内容も確認することができる。
【0073】
以上のように、本実施の形態例3の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、映像表示手段として3D画像作成装置2と、半透明メガネディスプレイ41とを有することにより、建屋6内に建設予定の構造物、建屋6内の壁面に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内に映し出すため、作業者11は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。
【0074】
また、例えば図6に例示すように壁面8に設けようとするダクト穴19と、ダクト穴19を通す予定の配管17との位置関係を確認することや、ダクト穴19と前記埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係(干渉するか否か)を確認することなども容易且つ確実に行うことができる。更には、建屋6内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内において前記構造物の実物と重ねて映し出すこともできるため、作業者11は現場で前記構造物の立体映像と実際の前記構造物の実物とを容易且つ確実に比較して、前記構造物を点検することもできる。
【0075】
また、構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことができるため、作業者11は前記構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事又は点検作業を確実に行うこともできる。
【0076】
<実施の形態例4>
図7は本発明の実施の形態例4に係る建屋内における構造物の建設工事支援装置のシステム構成図、図8は前記支援装置によって映し出される構造物の映像のイメージ図である。
【0077】
図7及び図8に示すように、本実施の形態例4の建屋内における構造物の建設工事支援装置は、画像投影装置(プロジェクタ)61と、3D画像作成装置62と、キーボードである入力装置63とを有してなるものである。発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内において画像投影を行う際、画像投影装置61、3D画像作成装置62及び入力装置3は例えば図8に示すように建屋6内の床面10に設置される。
【0078】
入力装置63はパーソナルコンピュータである3D画像作成装置62に接続されたキーボードであり、3D画像作成装置62に対して、建屋番号(プラントに複数の建屋がある場合に建屋を識別するための情報)などを入力する他、工事予定日や作業内容等の建設工事や点検に関する情報なども入力するものである(情報入力手段)。なお、3D画像作成装置62への入力装置としてはキーボードに限らず、マウスやライトペンなどを用いることもできる。
【0079】
3D画像作成装置62は投影用の3D画像作成機能(ハードディスクなどの記憶部に記憶されたソフトウエア)を有し、且つ、前記記憶部に予め記憶された建屋6の壁面内に埋設されている配管、鉄筋、電線等の構造物(埋設物)や、隣の建屋内(部屋)に建設されている構造物などの3D−CAD(three dimensions−computer aided design)データ9を有している。そして、3D画像作成装置62では3D−CADデータ9に基づいて投影用の構造物の3D画像を作成し、この3D画像の信号を入力装置63からの画像送信指令に基づいて画像投影装置61へ送信する。
【0080】
画像投影装置61では3D画像作成装置62から送信されてきた3D画像の信号を入力すると、この3D画像を建屋6内の壁面等の画像表示部16に投影(表示)する。その結果、建屋6の壁面内に埋設されている構造物(鉄筋、電線等)や隣の建屋内(部屋)に建設されている構造物の映像が、当該構造物の埋設位置や建設位置に壁面とともに見える。
【0081】
また、このときに入力装置63から3D画像作成装置62へ建設工事や点検に関する情報(工事予定日、作業内容等)を入力すれば、3D画像作成装置62では、これらの情報を構造物の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置61へ送信し、画像投影装置61では画像表示部16へ構造物の3D画像とともに前記情報も投影する。従って、作業者11は構造物の映像とともに前記情報もみることができる。
【0082】
図8には立体映像の一例を示している。図8では埋設物の一例として配管及び電線の場合を例示している。図8に示すように、画像投影装置61は建屋6内の所定位置に壁面8に対向した状態で設置されている。そして、この画像投影装置61によって、壁面8に埋設されている配管69及び電線70の3D画像を壁面8に投影すると、作業者11には、図8に示すように配管69及び電線70の映像が、これらの埋設位置に壁面8とともに見える。
【0083】
また、このときに他の作業者11が入力装置63を操作して、例えばダクト穴あけ工事に関する情報として工事予定日及び作業内容を入力すると、3D画像作成装置62では、これらの工事予定日及び作業内容を構造物の3D画像に書き込んで当該3D画像を画像投影装置61へ送信し、画像投影装置61では壁面8へ構造物の3D画像とともに前記工事予定日及び作業内容も投影する。その結果、作業者11は配管69及び電線70の映像とともに前記工事予定日及び作業内容も確認することができる。
【0084】
以上のように、本実施の形態例4の建屋内における構造物の建設工事支援装置によれば、画像撮影手段として3D画像作成装置62と、画像投影装置61とを有することにより、建屋6内の壁面等に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の映像を、建屋6内の壁面等の画像表示部16に映し出すため、作業者11は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。また、例えば図8に例示すように壁面8に設けようとするダクト穴19と、壁面8の埋設物や隣の建屋内の構造物との位置関係(干渉するか否か)を確認することなども、簡易な構成で容易且つ確実に行うことができる。
【0085】
また、構造物の画像とともに前記構造物の建設工事に関する情報も画像表示部16に投影するため、作業者11は構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事を確実に行うこともできる。
【0086】
<実施の形態例5>
図9は本発明の実施の形態例5に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図、図10は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図である。
【0087】
本実施の形態例5では画像投影技術として公知のホログラフィー技術を用いる。この技術の概要を説明すると、まず、レーザ光を物体に当て、その散乱光(物体光)と他のレーザ光(参照光)を同時に写真乾板に当てて干渉縞を記録する(ホログラム作成)。像を再生する場合には、レーザ光(再生光)を現像した写真乾板に当てて、干渉縞による回折光を観察する(ホログラム再生)。干渉縞には物体光の強度と位相の両方が記録されるため、立体映像の再生が可能となる。ホログラフィーはホログラムの製造技術のことであり、ホログラムは3次元像を記録した写真のことである。
【0088】
図1に示すように、本実施の形態例5の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置では、ホログラム作成を行う場合にはレーザ発振装置81と鏡82と写真乾板83とを用い(ホログラム作成手段)、ホログラム再生を行う場合にはレーザ発振装置84と現像した写真乾板83とを用いる(ホログラム再生手段)。なお、レーザ発振装置81とレーザ発振装置84は共用してもよい。
【0089】
まず、ホログラム作成の際には、発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内において、記録対象85へ、レーザ発振装置81から出力した第1レーザ光を、所定の方向から当てて(照射して)、この第1レーザ光の散乱光(物体光)と、レーザ発振装置81から出力し且つ鏡82で反射した第2レーザ光(参照光)とを同時に写真乾板83へ当てることにより、写真乾板83に干渉縞を記録する。この干渉縞には前記物体光の強度と位相の両方が記録される。記録対象85は、建屋6内に建設中又は建設された配管や電線等の構造物、或いは壁面内に埋設される前の鉄筋や電線等の埋設物や、隣の建屋内(部屋)に建設された構造物などである。また、これらから建屋11内に建設しようとする構造物(配管、電線等)のホログラム作成を行う場合には、当該構造物(配管、電線等)の模型を記録対象85として用いる。なお、構造物の模型は手作りするだけでなく、構造物の3D−CADデータに基づき、3次元プリンタによって作成することもできる。
【0090】
次に、ホログラム再生の際には、建屋6内において、この建屋6内の壁面等の虚像表示部87の前に現像した写真乾板83(ホログラム)を設置し、この写真乾板83へ、レーザ発振装置84から出力したレーザ光(再生光)を当てる。その結果、写真乾板83の干渉縞による回折光が観察される(記録対象85の立体映像が再生される)。即ち、建設時においては、これから建屋6内に建設しようとする構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える、或いは、壁面内に埋設されている構造物(配管、鉄筋、電線等)や隣の部屋に建設されている構造物などの立体映像が、当該構造物の埋設位置や建設位置に壁面とともに見える。また、点検時においては、建屋6内に建設中又は建設された構造物(配管、電線等)の立体映像が、当該構造物の実物に重なって見えることになる。
【0091】
また、上記構造物のホログラム作成と同様にして、建設工事や点検に関する情報(工事予定日や作業内容等)の写真乾板(ホログラム)を作成し、この写真乾板も写真乾板8に重ねて設置すれば、これらの写真乾板にレーザ光(再生光)を当てたときに前記構造物の立体映像とともに前記情報も確認することができる。
【0092】
図10には立体映像の一例を示している。図10では構造物の一例として配管及び電線の場合を例示しており、また、虚像表示部87の一例として建屋6内の壁面8の場合を例示している。図10に示すように、配管及び電線の模型を用いて作成した写真乾板83(ホログラム)が、壁面8の前の所定位置に設置されている。そして、この写真乾板83に対してレーザ発振装置84からレーザ光(再生光)を当てると、作業者11には配管17及び電線18の立体映像が、これらの建設予定位置に建屋6内の壁面などとともに見える。また、このときに工事予定日及び作業内容の写真乾板(ホログラム)も写真乾板83に重ねて設置すれば、作業者11は配管17及び電線18の立体映像とともに前記工事予定日及び作業内容も確認することができる。
【0093】
以上のように、本実施の形態例5の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置によれば、映像表示手段(ホログラム作成手段及びホログラム再生手段)として写真乾板83と、レーザ発振装置82,84とを有することにより、建屋6内に建設予定の構造物、建屋6内の壁面に埋設された埋設物、又は、建屋6内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内に映し出すため、作業者11は現場で前記立体映像を見ながら工事計画や工程等を作成することができる。
【0094】
また、例えば図10に例示すように壁面8に設けようとするダクト穴19と、ダクト穴19を通す予定の配管17との位置関係を確認することや、ダクト穴19と前記埋設物や前記隣の建屋内の構造物との位置関係(干渉するか否か)を確認することなども容易且つ確実に行うことができる。更には、建屋6内に建設されている構造物の立体映像を、建屋6内において前記構造物の実物と重ねて映し出すこともできるため、作業者11は現場で前記構造物の立体映像と実際の前記構造物の実物とを容易且つ確実に比較して、前記構造物を点検することもできる。
【0095】
また、構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことができるため、作業者11は前記構造物の立体映像とともに前記情報(工事予定日や作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、建設工事又は点検作業を確実に行うこともできる。
【0096】
なお、ホログラフィー技術を用いる場合、写真乾板に代えて透過型液晶ディスプレイなどの透過型ディスプレイを用いることもできる。この場合には、コンピュータにより、キーボードなどの入力装置からコンピュータに入力される作業者(観察者)の視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)配管や電線等の構造物のホログラム画像を3D−CADデータから作成し(ホログラム作成手段)、このホログラム画像を虚像表示部の前に設置した透過型ディスプレイに表示させる。そして、この透過型ディスプレイに表示されているホログラム画像に対してレーザ発振装置からレーザ光(再生光)を当てる(ホログラム再生手段)。その結果、作業者は写真乾板の場合と同様に構造物の立体映像を見ることができる。また、この場合には前記入力装置から建設工事や点検に関する情報(工事予定日や作業内容等)を入力すれば、この情報も前記ホログラム画像に書き込まれるため、作業者は前記構造物の立体映像とともに前記情報も確認することができる。
【0097】
<実施の形態例6>
図11は本発明の実施の形態例6に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図、図12は前記支援装置を構成するRFIDタグなどの配置例を示す図である。
【0098】
本実施の形態例6の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置は、上記実施の形態例1の赤青メガネ又は偏光メガネを用いた支援装置、上記実施の形態例2の交互シャッターメガネを用いた支援装置、上記実施の形態例3の半透明メガネディスプレイを用いた支援装置、又は、上記実施の形態例5のホログラフィー技術を用いた支援装置において、作業者(観察者)の視点位置情報を、作業者が入力装置を用いて手作業で入力するのではなく、自動的に得るために公知のRFID(radio frequency identification)タグなどの技術を利用するものである。
【0099】
図11及び図12には赤青メガネ、偏光メガネ又は交互シャッターメガネを用いた支援装置のシステム構成図を例示している。なお、図11及び図12において、上記実施の形態例1,2と同様の装置には同一の符号を付しており、重複する詳細な説明は省略する。
【0100】
図11及び図12に示す支援装置は、上記実施の形態例1又は2の支援装置と同様に画像投影装置1又は21と、3D画像作成装置2又は22と、入力装置3又は23と、赤青メガネ4、偏光メガネ5又は交互シャッターメガネ24とを有し、更には位置情報検出装置103(位置情報検出手段)としてRFIDタグ101とタグリーダ102とを有している。RFIDタグ101は作業者11の頭に装着される。タグリーダ102は発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋6内の適宜の位置に1台又は複数台配置される。図12の例では4台のタグリーダ102が、建屋6内の四隅部に各1台ずつ配置されている。
【0101】
タグリーダ102は、RFIDタグ101との無線通信によって当該RFIDタグ101の位置、即ち当該RFIDタグ101を装着した作業者11の位置情報(作業者11の視点位置情報)を得ることができ、この視点位置情報を表す信号を3D画像作成装置2又は22に送信する。そして、3D画像作成装置2又は22では、このタグリーダ102から入力した視点位置情報に基づいて、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)赤青方式用、偏光方式用又は交互上映方式用の3D画像を3D−CADデータ9から作成し、この3D画像の信号を画像投影装置1又は21へ送信する。
【0102】
なお、位置情報検出装置103としては、RFIDタグ101とタグリーダ102に限定するものではなく、例えば、図示は省略するが、RFIDタグ101とタグリーダ102に代えてGPS(global positioning system)受信機とGPS衛星を利用してもよい。この場合には作業者の頭に装着されているGPS受信機が、GPS衛星との無線通信によって当該作業者の位置情報(視点位置情報)を取得し、この視点位置情報を3D画像作成装置2又は22に送信する。
【0103】
なお、この位置情報検出装置103を、上記実施の形態例3の半透明メガネディスプレイを用いた支援装置(図5、図6参照)に装備した場合には、位置情報検出装置103(タグリーダ,GPS受信機等)で検出した作業者の視点位置情報の信号を3D画像作成装置42に送信する。3D画像作成装置42では、この位置情報検出装置103から入力した視点位置情報に基づいて、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)構造物の透明メガネディスプレイ用の3D画像を作成し、この3D画像の信号を半透明メガネディスプレイ41の画像表示部47,48へ送信する。
【0104】
また、前記位置情報検出装置103を、上記実施の形態例5のホログラフィー技術を用いた支援装置(図9、図10参照)に装備した場合には、位置情報検出装置103(タグリーダ,GPS受信機等)で検出した作業者の視点位置情報に対応する写真乾板の識別番号を表示装置に表示する。そして、作業者は前記表示装置に表示された写真乾板の識別番号を確認して、構造物(実物又は模型)を様々な角度から写した多数の写真乾板のなかから、当該識別番号の写真乾板を選択して建屋6内に設置する。なお、建屋6内に写真乾板の自動取替装置を設け、この自動取替装置へ前記識別番号の信号を前記位置情報検出装置103から送信することより、当該当識別番号の写真乾板を前記自動取替装置が、自動的に選択して建屋6内に設置するようにしてもよい。
【0105】
また、写真乾板に代えて透過型液晶ディスプレイなどの透過型ディスプレイを用いる場合には、前記位置情報検出装置103で検出した作業者の視点位置情報の信号を、前記位置情報検出装置103からコンピュータへ送信する。そして、コンピュータでは、当該視点位置情報に基づいて、当該視点位置から見たときの(見えるであろう)配管や電線等の構造物のホログラム画像を3D−CADデータから作成する。
【0106】
以上のように、本実施の形態例6の建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置によれば、作業者11の視点位置情報を検出し、この検出した視点位置から見たときの構造物の立体映像を映し出すことができるため、建屋6内の一定の位置からだけでなく、建屋6内を移動して様々な位置からでも、容易に構造物の立体映像を見ることができる。
【0107】
<実施の形態例7>
図13は本発明の実施の形態例7に係る建屋内における構造物の点検支援装置のシステム構成図、図14は前記支援装置におけるスーパーインポーズ装置で重ね合わせる撮影画像と3D−CAD画像の例を示すイメージ図である。本実施の形態例7では公知の3Dスーパーインポーズ技術を利用するが、この技術はディスプレイ装置に表示された画像上に別の画像を重ね合わせて表示するというものである。
【0108】
図13に示すように、本実施の形態例1の建屋内における構造物の点検支援装置は、複数台のカメラを備えた撮影装置111と、パーソナルコンピュータ114とを有してなるものである。パーソナルコンピュータ114は、3D画像作成装置112と、3Dスーパーインポーズ装置113とを有し、また、前記記憶部に記憶された構造物の3D−CADデータ9も有している。なお、図示例では3D画像作成装置112及び3Dスーパーインポーズ装置113を、パーソナルコンピュータ114の3D画像作成機能及び3Dスーパーインポーズ機能(ハードディスクなどの記憶部に記憶されたソフトウエア)として備えている。
【0109】
画像撮影装置111では、建屋6内に建設中又は建設された配管や電線等の構造物を、複数台のカメラによって撮影し、これらの撮影信号をパーソナルコンピュータ114に送信する。パーソナルコンピュータ114の3D画像作成装置112では、画像撮影装置111から入力した撮影信号に基づいて前記構造物の撮影画像(3D画像)を作成する。図14(a)には、このときの撮影画像の一例を示している。一方、パーソナルコンピュータ114の3Dスーパーインポーズ装置113では、3D−CADデータ9に基づいて、画像撮影装置111で撮影された前記構造物の3D−CAD画像を作成する。図14(b)には、このときの3D−CAD画像の一例を示している。そして、3Dスーパーインポーズ装置113では、ここで作成した3D−CAD画像と、3D画像作成装置112で作成した撮影画像とを重ね合わせた状態で図示しない液晶ディスプレイ装置等の表示装置に表示する。
【0110】
なお、図示は省略しているが、キーボード等の入力装置からパーソナルコンピュータ114の3D画像作成装置112へ構造物の点検に関する情報(作業内容等)を入力するようにしてもよい。この場合、3D画像作成装置112では前記情報を3D画像(撮影画像)に書き込み、スーパーインポーズ装置113では前記撮影画像と前記3D−CAD画像とを重ね合わせた画像に前記情報も重ね合わせて表示する。
【0111】
また、本実施の形態例7では画像撮影装置111を用いるため、この画像撮影装置111を作業状況の遠隔監視に利用してもよい。即ち、画像撮影装置111で撮影した構造物などの撮像信号を通信衛星などの通信手段によって遠隔監視センターに送信し、遠隔監視センターの表示装置に前記構造物の撮影画像などを表示することよって、作業状況の遠隔監視を行うようにしてもよい。
【0112】
以上のように、本実施の形態例7の建屋内における構造物の点検支援装置によれば、建屋6内に建設されている構造物の撮影画像と、前記構造物の3D画像(3D−CAD画像)とを重ねて表示するため、作業者は前記撮影画像と前記3D画像(3D−CAD画像)とを重ね合わせた表示を見ながら、容易且つ確実に前記構造物の点検を行うことができる。また、撮影画像と3D画像(3D−CAD画像)を重ね合わせて表示するとともに構造物の点検に関する情報も表示するため、作業者は撮影画像と3D画像(3D−CAD画像)を重ね合わせた画像とともに前記情報(作業内容等)の確認を容易且つ確実に行うことができ、点検作業を確実に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置に関するものであり、例えば発電プラントや化学プラントなどのプラント建屋内に配管や電線等の構造物を建設する場合や前記構造物を点検する場合に適用して有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態例1に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図である。
【図2】(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、(b)は作業者が赤青メガネ又は偏光メガネを装着している様子を示す図、(c)は前記赤青メガネの拡大図、(d)は前記偏光メガネの拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態例2に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図である。
【図4】(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、(b)は作業者が交互シャッターメガネを装着している様子を示す図、(c)は前記交互シャッターメガネの拡大図である。
【図5】本発明の実施の形態例3に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図である。
【図6】(a)は前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図、(b)は作業者が半透明メガネディスプレイを装着している様子を示す図、(c)は前記半透明メガネディスプレイの拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態例4に係る建屋内における構造物の建設工事支援装置のシステム構成図である。
【図8】前記支援装置によって映し出される構造物の映像のイメージ図である。
【図9】本発明の実施の形態例5に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図である。
【図10】前記支援装置によって映し出される構造物の立体映像のイメージ図である。
【図11】本発明の実施の形態例6に係る建屋内における構造物の建設工事及び点検支援装置のシステム構成図である。
【図12】前記支援装置を構成するRFIDタグなどの配置例を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態例7に係る建屋内における構造物の点検支援装置のシステム構成図である。
【図14】前記支援装置におけるスーパーインポーズ装置で重ね合わせる撮影画像と3D−CAD画像の例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0115】
1 画像投影装置
2 3D画像作成装置
3 入力装置
4 赤青メガネ
5 偏光メガネ
6 建屋
8 壁面
9 構造物の3D−CADデータ
10 床面
11 作業者
12 赤のフィルタ
13 青のフィルタ
14 垂直偏光フィルタ
15 水平偏光フィルタ
16 画像表示部
17 配管(映像)
18 電線(映像)
19 ダクト穴
21 画像投影装置
21A,21B プロジェクタ
22 3D画像作成装置
23 入力装置
24 交互シャッターメガネ
27 信号同期装置
31,32 電子式シャッター
41 半透明メガネディスプレイ
42 3D画像作成装置
43 入力装置
47,48 画像表示部
61 画像投影装置
62 3D画像作成装置
63 入力装置
69 配管(埋設物)
70 電線(埋設物)
81 レーザ発振装置
82 鏡
83 写真乾板
84 レーザ発振装置
85 記録対象
87 虚像表示部
101 RFIDタグ
102 タグリーダ
103 位置情報検出装置
111 画像撮影装置
112 3D画像作成装置
113 3Dスーパーインポーズ装置
114 パーソナルコンピュータ
115 対象物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内に映し出す映像表示手段を有すること、
又は、建屋内に建設されている構造物の立体映像を、前記建屋内において前記構造物の実物と重ねて映し出す映像表示手段を有すること、
を特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項2】
建屋内の壁面等に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の画像を、前記建屋内の壁面等の画像表示部に投影する画像撮影手段を有することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事支援装置。
【請求項3】
建屋内に建設されている構造物の撮影画像と、前記構造物の3D画像とを重ねて表示する画像表示手段を有することを特徴とする建屋内における構造物の点検支援装置。
【請求項4】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の赤青方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の赤青方式用の3D画像を前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の赤青方式用の3D画像を、立体映像として見るための赤青メガネと、
を有してなるものであることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項5】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の偏光方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の偏光方式用の3D画像を前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の偏光方式用の3D画像を、立体映像として見るための偏光メガネと、
を有してなるものであることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項6】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の交互上映方式用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の交互上映方式用の3D画像を2台のプロジェクタで前記建屋内の画像表示部に投影する画像投影装置と、
前記画像表示部に投影された前記構造物の交互上映方式用の3D画像を、立体映像として見るための交互シャッターメガネと、
前記2台のプロジェクタのシャッターの開閉動作と、前記交互シャッターメガネのシャッターの開閉動作とを同期させる信号同期装置と、
を有してなるものであることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項7】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の半透明メガネディスプレイ用の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記構造物の交互上映方式用の3D画像を半透明の画像表示部に表示して、前記構造物の立体映像を見るための半透明メガネディスプレイと、
を有してなるものであることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項8】
請求項2に記載の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記画像撮影手段は、
建屋内の壁面等に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物の3D画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記3D画像を、前記建屋内の壁面等の画像表示部に投影する画像投影装置と、
を有してなることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記映像表示手段は、
建屋内に建設予定の構造物、前記建屋内の壁面に埋設された埋設物、又は、前記建屋内の隣の建屋内に建設されている構造物のホログラムを作成するホログラム作成手段と、
前記ホログラム作成手段で作成された前記ホログラムを前記建屋内で再生して、前記構造物の立体映像を表示するホログラム再生手段と、
を有してなるものであることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項10】
請求項3に記載の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記画像表示手段は、
前記建屋内に建設されている構造物を撮影する画像撮影装置と、
この画像撮影装置から入力した撮影信号に基づいて前記構造物の撮影画像を作成する3D画像作成装置と、
前記3D画像作成装置で作成した前記撮影画像と、前記構造物の3D画像とを重ね合わせて表示する3Dスーパーインポーズ装置と、
を有してなることを特徴とする建屋内における構造物の点検支援装置。
【請求項11】
請求項1に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を、前記映像表示手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記映像表示手段では、前記構造物の立体映像とともに前記構造物の建設工事又は点検に関する情報も映し出すことを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項12】
請求項2に記載の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記構造物の建設工事に関する情報を、前記画像撮影手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記映像表示手段では、前記構造物の画像とともに前記構造物の建設工事に関する情報も前記壁面に投影することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事支援装置。
【請求項13】
請求項3に記載の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記構造物の点検に関する情報を、前記画像表示手段へ入力する情報入力手段を有し、
前記画像表示手段では、前記撮影画像と前記3D画像を重ね合わせて表示するとともに前記構造物の点検に関する情報も表示することを特徴とする建屋内における構造物の点検支援装置。
【請求項14】
請求項4,5,6又は7に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項15】
請求項8に記載の建屋内における構造物の建設工事支援装置において、
前記構造物の建設工事に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の建設工事に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する建屋内における構造物の建設工事支援装置。
【請求項16】
請求項9に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記ホログラム作成手段では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報のホログラムも作成し、
前記ホログラム再生手段では、前記構造物の建設工事又は点検に関する情報のホログラムも再生することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項17】
請求項10に記載の建屋内における構造物の点検支援装置において、
前記構造物の点検に関する情報を、前記3D画像作成装置へ入力する入力装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記構造物の点検に関する情報を前記3D画像に書き込むことを特徴する建屋内における構造物の点検支援装置。
【請求項18】
請求項1又は11に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出手段を有し、
前記映像表示手段では、前記位置情報検出手段で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物の立体映像を映し出すことを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項19】
請求項4,5,6,7又は14に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置を有し、
前記3D画像作成装置では、前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物の3D画像を作成することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項20】
請求項9又は16に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、前記ホログラムは写真乾板に形成されたものであり、
前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置と、
前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に対応する前記写真乾板の識別番号を表示する表示装置と、
を有することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項21】
請求項9又は16に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、前記立体映像を見る人の視点位置情報を検出する位置情報検出装置を有し、
前記ホログラム作成手段では、前記位置情報検出装置で検出した視点位置情報に基づき、当該視点位置から見たときの前記構造物のホログラムを作成することを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項22】
請求項18,19,20又は21に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記位置情報検出手段又は前記位置情報検出装置は、
前記人が装着するRFIDタグと、
前記RFIDタグとの無線通信によって前記人の視点位置情報を得るタグリーダと、
を有してなることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。
【請求項23】
請求項18,19,20又は21に記載の建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置において、
前記位置情報検出手段又は前記位置情報検出装置は、
GPS衛星と、
前記GPS受信機との無線通信によって前記人の視点位置情報を得るGPS受信機と、
を有してなることを特徴とする建屋内における構造物の建設工事又は点検支援装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2007−228315(P2007−228315A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−47697(P2006−47697)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】