説明

建材製造用の樹脂組成物

【課題】本発明は、機械的強度が優れ、天然木材に近い質感を持ち、リサイクル可能で、環境にも優しい建材を製造するための樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとを含有している熱可塑性樹脂混合物と、前記ポリアミドと前記ポリエチレンテレフタラートとを相溶化するための相溶化剤と、木質材料とを含み、前記ポリアミド及び前記ポリエチレンテレフタラートは、それぞれ前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に40重量%〜60重量%含まれていることを特徴とする建材製造用の樹脂組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材製造用の樹脂組成物に関し、特に、リサイクルできる上、環境に優しい建材製造用の樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、建材のコストを削減するため、原木から必要な寸法に切り出した素材の代わりに、複数の安価な木質板を積層して成った複合板材を建材として採用している。また、板材の表面に天然木材に近い質感を持つ合板を貼り付けることにより、建材をより良い質感にすることもできる。しかし、このような複合板材は接着剤により複数の木質板を貼り合わせて成ったものなので、ホルムアルデヒドなどの人体に有害な揮発性有機化合物を発散する虞がある上、リサイクルもできないという欠点があるため、徐々に市場から淘汰されている。
【0003】
地球資源を再利用し天然木材への依存を減らすために、汎用プラスチックを基材として、着色や仕上げ加工を通じて表面に木目模様が付けられる建材や、汎用プラスチックと木質材料を混ぜ合わせて成る樹脂組成物、いわゆる木材・プラスチック複合材(Wood−Plastic Composite、略して「WPC」)も開発されている。また、汎用プラスチックを利用することにより建材の物性も向上させることもできる。
【0004】
WPCに使われている汎用プラスチック基材はポリプロピレン(PP)、硬質ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリエチレン(PE)が用いられており、PVCは、加工性や製品の多様性に優れ、しかも発泡しやすいので軽量化も可能である。しかし、PVC製品からの塩素イオンの析出が問題になるので、欧米などの先進国ではPVCを含む製品の輸入が拒否されている。一方、PP、PEで製作したWPCには、値段も安く材料も入手しやすいだけでなく、機械的強度が優れるなどの利点がある。しかし、PP、PEは結晶性材料であるため、材料自体の光沢によりWPC製品にプラスチック感を与えてしまい、たとえ印刷で木目模様のプリント合板を形成したり、或いは木質材料の割合を向上させたりしても(50重量%以上)、天然木材に近い質感を持つWPC製品の製作はやはり難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のような従来の複合建材の問題点に鑑み、本発明は、機械的強度に優れ、且つ天然木材に近い質感を持ち、リサイクル可能で、環境にも優しい建材を製造するための樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、寸法安定性が良好な建材を製造するための樹脂組成物の提供を更なる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明によれば、ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとを含有している熱可塑性樹脂混合物と、前記ポリアミドと前記ポリエチレンテレフタラートとを相溶化するための相溶化剤と、木質材料とを含み、前記ポリアミド及び前記ポリエチレンテレフタラートは、それぞれ前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に40重量%〜60重量%含まれている建材製造用の樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の建材製造用の樹脂組成物は、相溶化剤でポリアミドとポリエチレンテレフタラートとを相溶化させて主原料として含有するため、これにより製造された建材は、機械的強度に優れ、リサイクル可能で、環境に優しく、寸法安定性が良好であるなどの利点がある。また、ポリアミド及びポリエチレンテレフタラートは、プラスチック感がPP、PEほど顕著ではない材料であるため、木質材料を樹脂組成物に添加すれば、有効的に天然木材に近い質感を持たせる建材も製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る建材製造用の樹脂組成物の実施例に使用される二軸押出機の模式図である。
【図2】本発明に係る建材製造用の樹脂組成物の実施例に使用される二軸押出機及びプロファイル押出ダイの模式図であり、建材製造用の樹脂組成物と着色料とを共押出して、建材を成形することを説明する図である。
【図3】本発明に係る建材製造用の樹脂組成物からなる建材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0011】
本発明に係る建材製造用の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂混合物と、相溶化剤と、木質材料とを含有している。
【0012】
熱可塑性樹脂混合物は、リサイクル可能なポリアミド(Nylon)とポリエチレンテレフタラート(PET)とを含有している。ポリアミドは、耐衝撃強度に優れるが、引張強度、曲げ強度、及び寸法安定性がやや劣る。ポリエチレンテレフタラートは寸法安定性、引張強度及び曲げ強度に優れるが、耐衝撃強度がよくない。本発明の発明者は、研究を重ねて、ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとを含有する熱可塑性樹脂混合物を使用して製造された建材が引張強度、曲げ強度、寸法安定性など一般建材に要求される性能を満足でき、さらに、耐衝撃強度が予測以上に上がることを発見した。また、言うまでもないが、ポリアミドとポリエチレンテレフタラートの割合を調整することにより得られる熱可塑性樹脂混合物の物性も変わる。したがって、建材に要求される機械的強度や寸法安定性などを、更にコスト面をも考量すると、熱可塑性樹脂混合物において、ポリアミドが40重量%〜60重量%、ポリエチレンテレフタラートが40重量%〜60重量%含まれることが好ましい。
【0013】
ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとは、全く異なる材料であるので、これらの相溶性を向上させ、それぞれの結晶化速度のバランスを取り、更によりよい寸法安定性をもたらすように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は相溶化剤を含有している。相溶化剤は、単エポキシ基を有することが好ましく、エポキシシラン樹脂または脂環式エポキシ樹脂であることがより好ましい。ここで特筆すべきは、相溶化剤の種類や混合比を調整することにより、ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとの接着力及び得られた建材の機械的強度を改善することができることである。相溶化剤は、建材に要求される機械的強度や寸法安定性などを備えるため、熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に1重量%〜6重量%含まれることが好ましい。
【0014】
木質材料を添加することで、本発明に係る樹脂組成物は木材に近い質感を持つことができ、また、応力伝達が良好である木質材料を熱可塑性樹脂混合物内に均一的に分散させることにより強度を向上させることができる。木質材料は、建材に要求される機械的強度や寸法安定性などを備えるため、樹脂組成物の重量を基準に10重量%〜70重量%含まれることが好ましい。
【0015】
また、建材としての安全性の考量から耐燃性が要求されるため、本発明の建材製造用の樹脂組成物はさらに難燃剤を含んでもよい。難燃剤は、窒素系難燃剤とリン系難燃剤と水酸系難燃剤とからなる群から選ばれることが好ましい。
【0016】
例えば窒素系難燃剤としては、メラミン重合体がよく知られており、ポリアミドの他にポリウレタンにも用いられることができる。また、メラミン重合体は、他の助剤がいらず、添加量も少なくて済むので、様々な重合体に適用でき、コスト面で有利である。また、メラミン重合体を建材に使用しても環境負荷が低いので、地球環境の保護にも役に立ち、長期的利益に寄与することもできる。
【0017】
リン系難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム(APP)が挙げられる。APPはリンの含有量が高い白色化合物であるので、建材に用いる樹脂にAPPを添加しても着色に悪い影響を与えない。しかし、現に市販されているAPPは、高重合度であり、吸湿しやすい傾向があり、高温にも弱いなどの欠点があるので、応用範囲についてはメラミン重合体ほど広くない。また、リン系難燃剤としては、耐燃性及び可塑性を持つリン酸エステルも挙げられるが、リン酸エステルは主にPVCなどの加工温度が低い材料にしか応用されていない。なおリン系難燃剤としては、リン酸トリフェニル(TPP、例えば、Phosflex(登録商標)71B、Phosflex(登録商標)RDP)とリン酸クレジルジフェニル(例えば、Fyroflex(登録商標)BDP)なども挙げられる。
【0018】
水酸系難燃剤は無機系難燃剤であり、三酸化アンチモン(Sb)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))などが挙げられ、値段が安いだけではなく、たとえ燃焼しても煙があまり出ない。その上、水酸系難燃剤は燃焼した際の生産物が主に水と二酸化炭素などの環境毒性のない物質であるので、環境に優しい。例えば水酸化アルミニウムを用いた難燃剤は、水酸化アルミニウムの熱分解温度に達する前に、より多くの熱量を吸収する必要があるので、水酸化アルミニウムを添加することで建材全体の比熱容量及び難燃性を向上させることができる。但し、水酸系難燃剤は添加量が多くなければ難燃性が発揮できず、それに熱可塑性樹脂との相容性の問題があるため、応用範囲が制限される。
【0019】
難燃剤の含有量は、少なすぎると難燃効果が低下し、逆に多すぎると、コストが増加する。建材に要求される耐燃性を得るため、難燃剤は、熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に0.1重量%〜1重量%含まれていることが好ましい。また、ハロゲン系難燃剤を使用することもできるが、不完全燃焼の際に煙が大量に出るので、人体及び環境に有害である。
【0020】
ポリアミドは、靱性を有する材料であり、これに対して、ポリエチレンテレフタラートは剛性を有する材料であるが低温下での耐衝撃強度がやや劣る。建材の耐衝撃強度及び低温下での特性(耐衝撃強度など)を向上させるため、変性剤を添加してもよい。ここで特筆すべきは、所定の耐衝撃強度などの機械的性質を得るためには、変性剤の種類或いは混合比も調整する必要があることである。本発明の好ましい実施形態においては、変性剤として無水マレイン酸グラフトエチレン-オクテンターポリマーを用い、建材に要求される強度を得るため、熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に2重量%〜10重量%含まれていることが好ましい。
【0021】
以下、製作例及び具体例を挙げて本発明の技術をより具体的に説明する。
【0022】
下記の製作例及び具体例で使用した材料は以下の通りである。
【0023】
ポリアミド:分子量が16000〜19000の範囲にあるNylon6(台湾、力鵬企業の廃棄布と廃棄糸の粉砕品)である。
【0024】
ポリエチレンテレフタラート:分子量が略200000のPET(台湾、力鵬企業の廃棄布と廃棄糸の粉砕品)である。
【0025】
相溶化剤:下記一般式〔化1〕で表されるγ-(2,3-エポキシプロポキシ)プロピルトリメトキシシラン(中国、成都晨邦化工社製、KH-560)である。
【0026】
【化1】

【0027】
木粉:天然木材を粉状に研磨したもので、粉の大きさは0.01mm〜0.05mmである。
【0028】
変性剤:下記一般式〔化2〕で表される無水マレイン酸グラフトエチレン-オクテンターポリマーである。
【0029】
【化2】

【0030】
難燃剤:メラミン重合体である。
【0031】
下記の製作例或いは具体例は以下の評価方法で評価する。
【0032】
[引張強度試験]
表1に示した原料を二軸押出機に投入し、混練造粒した後、射出成形機によって試験片(ASTM D638 Type 1)を製作し、ASTM D638法に従い、該試験片の引張強度を求める。
【0033】
[曲げ強度試験]
引張強度試験と同様の方法で試験片を製作し、ASTM D790法に従い曲げ強度を求める。
【0034】
[曲げ弾性係数試験]
引張強度試験と同様の方法で試験片を製作し、ASTM D790に従い曲げ弾性係数を求める。曲げ弾性係数とは、弾性変化範囲内で、応力をひずみで割った値である。本実施例において、ひずみが0.3%である際の曲げ弾性係数を曲げ弾性係数とする。
【0035】
[耐衝撃強度試験]
引張強度試験と同様の方法でASTM D256規格の試験片を製作し、ASTM D256に従い耐衝撃強度を求める。
【0036】
[熱変形温度試験]
引張強度試験と同様の方法で試験片を製作し、ASTM D648に従い熱変形温度を求める。即ち、該試験片の中心に1820kPaの荷重をかけ、2℃/分の条件で昇温し、該試験片の変形量が0.25mmとなる際の温度を熱変形温度として記録する。
【0037】
[線膨張係数試験]
引張強度試験と同様の方法で、直径5mmの円柱体である試験片を製作し、ASTM D696に従い線膨張係数を求める。即ち、−30℃〜30℃の間で、昇温1℃ごとに、該試験片の1cmごとの長度変化量を線膨張係数として記録する。
【0038】
[防炎性試験]
台湾の経済部中央標準局が制定したCNS7614法に従い、試験片(29cm×19cm)を製作し、燃焼性試験機(45度法)で試験を行う。
【0039】
[釘保持力試験]
台湾の経済部中央標準局が制定したCNS6719法に従い、ボール盤で試験片の所定位置にガイドホール(直径1.8mm、深さ20mm)をあけ、アセトンにより錆除去した釘を釘打ち機で30mmにまで打ち込み、それから、該試験片を一週間以上恒温恒湿の箱体(温度20±2℃、相対湿度65±5%)に入れて含水率を調整し、釘を抜く際に引張試験機のクランプで釘を挟んで、2mm/分の平均速度で抜き出し、釘の抜き出す過程において引張試験機より測定された最大値を釘保持力として記録する。
【0040】
[含水率試験]
台湾の経済部中央標準局が制定したCNS452含水率試験法に従い、試験片を製作して100〜105℃のオーブンに入れ、試験片の重量が固定するまで乾燥させ、該試験片の乾燥質量を得る。そして、試験片の乾燥前の質量から乾燥質量を減算して、さらにその差を乾燥質量で除算し、該試験片の含水率を得る。
【0041】
<製作例1〜5>
表1に示した原料で試験片を製作し上記の引張強度試験、曲げ強度試験、曲げ弾性係数試験、耐耐衝撃強度試験及び熱変形温度試験を行い、その結果を表1に示す。そのうち、Nylon6の相対粘度は2.5で、PETの固有粘度は0.75d/Lgである。
【0042】
【表1】

【0043】
phr(parts per hundreds of resin)とは、樹脂(熱可塑性樹脂混合物)に含まれる含有量を意味する。「−」は未添加を示す。
【0044】
表1に示したように、Nylon6及びPETを含有した試験片(製作例3〜5)と、Nylon6或いはPETのみを含有した試験片(製作例1又は2)とは、引張強度、曲げ強度、曲げ弾性係数及び熱変形温度の結果から見ると、いずれも一般建材に要求されている性能を満足しており、耐衝撃強度の結果から見ると、製作例3〜5の試験片は相溶化剤、難燃剤及び変性剤の添加により、それらの耐衝撃強度が製作例1及び2より遥かに優れていることが分かる。
【0045】
<具体例1>建材製造用の樹脂組成物
図1は本実施例に使用される二軸押出機の模式図であり、上記製作例3に示すポリアミド、ポリエチレンテレフタラート、相溶化剤、難燃剤、変性剤の比に従い、それぞれをかみ合い型共回転型二軸押出機(ψ=30mm、L/D=43.2、株式会社神戸製鋼所製)1のホッパー11に投入し、上記原料が溶融セクション12で加熱溶融されて混合物になり、そして、木粉(即ち、木質材料を樹脂組成物の重量に対し35重量%含ませる)を圧縮混練セクション13に投入し、溶融セクション12からの原料と十分に圧縮混練させて、これを射出セクション14から射出させると建材製造用の樹脂組成物のペレットが得られる。本具体例において、二軸押出機1の回転速度は60rpm、溶融セクション12の稼動温度は220℃、圧縮混練セクション13の稼動温度は250℃、射出セクション14の稼動温度は240℃である。なおそれぞれの稼動温度に関しては、溶融セクション12の稼動温度は210℃〜230℃、圧縮混練セクション13の稼動温度は240℃〜260℃、射出セクション14の稼動温度は220℃〜260℃であることが好ましい。
【0046】
得られたペレットから二軸押出機により試験片を製造し、上記の引張強度試験、曲げ強度試験、曲げ係数試験、耐衝撃強度試験、熱変形温度試験、線膨張係数試験及び防炎性試験を行った結果、引張強度は57.5MPa、曲げ強度は95.0MPa、曲げ弾性係数は3450MPa、耐衝撃強度は8.5J/m、熱変形温度は80℃、線膨張係数は5〜7×10−5cm/cm/℃であり、防炎性についても防炎一級と判定された。
【0047】
表1の製作例3及び具体例1の結果から見るに、木質材料を添加しても、樹脂組成物の機械的性質に悪い影響を与えない。また、線膨張係数と防炎性試験の結果からも、具体例1の樹脂組成物は、優れた耐燃性及び寸法安定性を備えることが分かった。
【0048】
<具体例2>本発明の樹脂組成物より製造された建材
図2は本実施例に使用される二軸押出機及びプロファイル押出ダイの模式図であり、建材製造用の樹脂組成物と着色料とを共押出して、建材を成形することを説明する図であり、図3は本発明に係る建材製造用の樹脂組成物からなる建材の斜視図である。具体例2では具体例1と同様の原料混合比及び製作方式を採用し、二軸押出機1は更に、射出セクション14に連結しているプロファイル押出ダイ15を備えている。上記原料を十分に圧縮混練した後、射出セクション14から射出し、プロファイル押出ダイ15により原料と着色料16とを共に押出し、建材2を一体成形した。建材2は、天然木材に近い質感に持ち、建材本体21、濃い色の着色料層22、寸法安定性と軽量性に寄与するための複数のホール23を有している。建材本体21の組成は具体例1と同様であり、第一表面211と、第一表面211と反対する第二表面212を有する。該着色料層22が第一表面211上に成形され、ホール23が建材本体21内に形成されている。
【0049】
建材2に対して、上記の釘保持力試験及び含水率試験を行った結果、釘保持力は300Kgfで、含水率は1%以下であった。
【0050】
ここで強調したいのは、従来PP、PEを使用して建材を製造する場合、木質材料の割合を50重量%以上に上げても建材を天然木材に近い質感に持たせることができなかった点である。しかし、本発明の具体例1によれば、木質材料の割合が35重量%である樹脂組成物によっても、天然木材に近い質感を持つ建材を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上述のように、本発明に係る建材製造用の樹脂組成物によれば、天然木材に近い質感を持ち、強度(特に低温下での耐衝撃強度)が優れ、リサイクル可能で、環境に優しい利点がある上、寸法安定性が良好な建材を製造できる。
【符号の説明】
【0052】
1 二軸押出機
11 ホッパー
12 溶融セクション
13 圧縮混練セクション
14 射出セクション
15 プロファイル押出ダイ
16 着色料
2 建材
21 建材本体
211 第一表面
212 第二表面
22 着色料層
23 ホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドとポリエチレンテレフタラートとを含有している熱可塑性樹脂混合物と、
前記ポリアミドと前記ポリエチレンテレフタラートとを相溶化するための相溶化剤と、
木質材料と、を含み、
前記ポリアミド及び前記ポリエチレンテレフタラートは、それぞれ前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に40重量%〜60重量%含まれていることを特徴とする建材製造用の樹脂組成物。
【請求項2】
前記相溶化剤は、前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に1重量%〜6重量%含まれていることを特徴とする請求項1に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項3】
前記相溶化剤は、単エポキシ基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項4】
前記相溶化剤は、エポキシシラン樹脂または脂環式エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項5】
前記木質材料は、前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に10重量%〜70重量%含まれていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項6】
難燃剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項7】
前記難燃剤は、前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に0.1重量%〜1重量%含まれていることを特徴とする請求項6に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項8】
前記難燃剤は、窒素系難燃剤とリン系難燃剤と水酸系難燃剤とからなる群から選ばれたものであることを特徴とする請求項6又は7に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項9】
変性剤を更に含むことを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の建材製造用の樹脂組成物。
【請求項10】
前記変性剤は、前記熱可塑性樹脂混合物の重量を基準に2重量%〜10重量%含まれていることを特徴とする請求項9に記載の建材製造用の樹脂組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−107955(P2013−107955A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252536(P2011−252536)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(511281512)力麗企業股▲フン▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】