説明

建材

【課題】 基材の劣化を長期に亘り防止しながら、有害ガス分解性を発揮する建材を提供することを目的とする。
【解決手段】 この建材は、基材と、該基材上に設けられる中間層と、該中間層上に設けられた光触媒層とを備えてなる。光触媒層は紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子を含んでなる。中間層は、耐候性樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とを含んでなる。本発明の建材は、好適には、太陽光に晒される利用形態で用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物外壁の用途に特に適した、高度の耐候性、有害ガス分解性、耐光性および各種皮膜性能に優れた光触媒層を備えた建材に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化チタンなどの光触媒が、近年建築物の外装材、内装材など多くの用途において利用されている。外装用途については、基材表面に光触媒を塗装することにより、光エネルギーを利用してNOx、SOx等の有害物質の分解機能を付与することが可能となる。また内装用途についても、光エネルギーを利用してVOC等の有害物質の分解機能を付与することが可能となる。
【0003】
このような光触媒塗装体を得る場合、ベースとなる基材と光触媒の間に、接着および/または光触媒による基材表面の劣化抑制を目的とした中間層を設けることが行われる。このような光触媒を塗布した光触媒塗装体を得る技術としては、以下のものが知られている。
【0004】
ベースとなる基材と光触媒の間に、接着および/または光触媒による基材表面の劣化抑制を目的としたシリコーン変性樹脂などの中間層を設ける技術が知られている。(例えば、国際公開第97/00134号パンフレット参照)。
【0005】
また、ベースとなる基材と光触媒の間に、中間層を設け、その中間層に無機系半導体、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の有機物等の紫外線吸収物質を配合し、基材表面を劣化抑制する技術も知られている(例えば、特開2006−116461号公報参照)。
【0006】
光触媒層のバインダー成分としてのシリカゾルと光触媒性二酸化チタンとを含有する塗膜を基体に形成して光触媒体を得る技術も知られている(例えば、特開平11−169727号公報参照)。この技術にあっては、シリカゾルの添加量がSiO基準で二酸化チタンに対して20〜200重量部であるとされており、二酸化チタンの含有比率が高い。また、シリカゾルの粒径も0.1〜10nmと小さい。
【0007】
また当該塗装体の耐久性を高める目的で、光触媒に加水分解性シリコーン等のバインダー成分を添加する技術が知られている(特開2001−212510号公報および特開2002−137322号公報参照)。
【0008】
また、抗菌、防カビ性能を向上させるために、光触媒に銅を添加する技術も知られている(特開平6−65012号公報参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第97/00134号パンフレット
【特許文献2】特開2006−116461号公報
【特許文献3】特開平11−169727号公報
【特許文献4】特開2001−212510号公報
【特許文献5】特開2002−137322号公報
【特許文献6】特開平6−65012号公報
【発明の概要】
【0010】
充分な光触媒活性を得るために、光触媒層に含まれる光触媒を増量することが従来より行われているが、そのようにした場合、基材が光触媒によって劣化する恐れがあるなどの不具合を発生する懸念があった。また、単に光触媒を減量させると充分な光触媒活性を得るのが困難となるとともに、光触媒層での紫外線遮蔽効果が弱まり、紫外線による基材等の劣化が懸念される。
【0011】
本発明では、上記事情に鑑み、基材の劣化を長期に亘り防止しながら、有害ガス分解性を発揮する建材を提供することを目的とする。
【0012】
すなわち、本発明による建材は、基材と、該基材上に設けられる中間層と、該中間層上に設けられた光触媒層とを備えた建材であって、
前記光触媒層が紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子を含み、
前記中間層が、耐候性樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とを含んでなる、建材である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
建材
本発明による建材は、基材と、該基材上に設けられる中間層と、該中間層上に設けられた光触媒層とを備えてなる。光触媒層は紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子を含む。中間層は、耐候性樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とを含んでなる。すなわち、本発明による建材は、紫外線吸収能力があり、かつ耐光性に優れる無機酸化物からなる光触媒粒子を光触媒層に有し、かつ、少量の添加で優れた紫外線吸収能力を有するとともに化学的に安定であり、そのため高温多湿の熱帯等で使用しても中間層および基材が劣化しにくい。また、光触媒酸化作用に伴い生成する活性酸素による中間層および基材の劣化についても抑制する。従って熱帯等での長期の使用にも耐えうるヒドロキシフェニルトリアジン化合物を中間層に有することで、光触媒の分解機能を有効に発揮するとともに、基材および中間層の耐候性を熱帯等での長期の使用にも耐えうる程度まで向上させることが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の光触媒層は、紫外線で励起される金属酸化物からなる光触媒粒子とアミンとを含有する光触媒ゾルを含むコーティング液を塗布後乾燥することにより形成されるものであることができる。これにより、アミン分散光触媒ゾルを用いても添加時または使用中に着色することなく、かつ基材の劣化を長期に亘り防止しながら、有害ガス分解性を発揮する建材を提供することができる。すなわち、前述したような紫外線遮蔽効果の弱化による紫外線による基材等の劣化を防ぐために、紫外線吸収剤を用いることが従来なされてきているが、無機系の紫外線吸収剤を用いると充分な効果を得るには多量の添加を必要とし、添加による着色・失透等が生じる問題があった。また、例えばトリアゾール系化合物のような有機系の紫外線吸収剤を用いると、分散性の良好なアミン分散光触媒ゾルと併用すると使用中に変色するという問題があった。本態様によればこれらの問題も解消することができる。
【0015】
本発明の好ましい態様によれば、本発明の光触媒層は、紫外線で励起される金属酸化物からなる光触媒粒子とイオン状態の銅元素とを含んでなることができる。これにより、優れた防カビ性能を発揮しつつ基材の劣化を長期に亘り防止しながら、添加・使用の際に着色の問題の生じない建材を提供することができる。すなわち、前述したような紫外線遮蔽効果の弱化による紫外線による基材等の劣化を防ぐために、紫外線吸収剤を用いることが従来なされてきているが、無機系の紫外線吸収剤を用いると充分な効果を得るには多量の添加を必要とし、添加による着色・失透等が生じる問題があった。また、例えばトリアゾール系化合物のような有機系の紫外線吸収剤を用いると、特に光触媒による防カビ活性を高めるために銅を添加した場合に使用中に変色するという問題があった。本態様によればこれらの問題も解消することができる。この態様において、イオン状態の銅元素の価数は+1価でも+2価でもよく、光触媒層に含有する銅元素の添加量は、質量換算で光触媒粒子に対してCuO換算で0.5質量部〜5質量%が好ましい。
【0016】
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層中に含有される前記光触媒粒子の含有量が1質量%を超え20質量%未満、より好ましくは1質量%を超え5質量%未満であるようにする。上記範囲とすることで、光触媒の分解機能を有効に発揮するとともに、基材および中間層の耐候性を熱帯等での長期の使用にも耐えうる程度まで向上させることが可能となるとともに、光触媒による基材および中間層の劣化も抑制可能となる。すなわち、光触媒層での紫外線吸収機能および温帯、亜寒帯地方の太陽光照射下での優れた光触媒機能と充分な耐候性を同時に発揮できる。
【0017】
本発明の好ましい形態によれば、ヒンダードアミン化合物が含有されているようにする。光安定剤としてヒンダードアミン化合物を含有させることで、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物による380nm未満の短波長の紫外線の吸収性能が安定する。
【0018】
本発明の好ましい形態によれば、前記耐候性樹脂は、シリコーン変性樹脂であるようにする。シリコーン変性樹脂を用いることで、中間層が耐候性と耐クラック性を同時に発揮できる。
【0019】
本発明の好ましい形態によれば、前記シリコーン変性樹脂中のケイ素含有量は、前記シリコーン変性樹脂の固形分に対して0.2質量%以上16.5質量%未満、より好ましくは6.5質量%以上16.5質量%未満であるようにする。そうすることにより、中間層における紫外線に対する耐候性、光触媒による浸食を充分に抑制することができるとともに、クラックの発生を抑制できる。ここでシリコーン変性樹脂中のケイ素原子含有量は、X線光電子分光分析装置(XPS)による化学分析によって測定することができる。
【0020】
本発明の好ましい形態によれば、前記ヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、前記中間層に対して0.1質量%以上10質量%未満含有されているようにする。この範囲にすることで、中間層の変色を伴わずに紫外線の吸収性能が充分に発揮されるようになる。
【0021】
本発明において用いられるヒドロキシフェニルトリアジン化合物は、ヒドロキシフェニルトリアジンおよび/または下記一般式(化1)に示される基本骨格を有するヒドロキシフェニルトリアジンの誘導体であり、市販のヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤を好適に利用することができる。
【0022】
【化1】


【0023】
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層は通気性を有するようにする。そうすることで、光触媒粒子と有害ガスの接触機会が増加し、優れた光触媒分解機能を発揮するようになる。
【0024】
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層には、前記光触媒粒子以外に無機酸化物粒子が含まれているようにする。光触媒粒子以外のバインダー成分の主成分を粒子状の無機酸化物とすることで、光触媒層に充分な通気性を確保でき、光触媒粒子と有害ガスの接触機会が増加し、優れた光触媒分解機能を発揮するようになる。
【0025】
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層が、1質量部を超え20質量部未満の光触媒粒子と、70質量部を超え99質量部未満の無機酸化物粒子と、任意成分として、加水分解性シリコーンの縮重合物、有機金属化合物の加水分解物の縮重合物の群から選ばれる少なくとも1種を0質量部以上10質量部未満とを、前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記任意成分の酸化物換算量の合計量が100質量部となるように含んでなるようにする。そうすることで、光触媒粒子と有害ガスの接触機会が増加し、優れた光触媒の分解機能を有効に発揮するとともに、基材および中間層の耐候性を熱帯等での長期の使用にも耐えうる程度まで向上させることが可能となるとともに、光触媒による基材および中間層の劣化も抑制可能となる。
【0026】
本発明の好ましい形態によれば、前記光触媒層が、1質量部を超え5質量部未満の光触媒粒子と、85質量部を超え99質量部未満の無機酸化物粒子と、任意成分として、加水分解性シリコーンの縮重合物、有機金属化合物の加水分解物の縮重合物の群から選ばれる少なくとも1種を0質量部以上10質量部未満とを、前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記任意成分の酸化物換算量の合計量が100質量部となるように含んでなるようにする。そうすることで、光触媒粒子と有害ガスの接触機会が増加し、優れた光触媒の分解機能を有効に発揮するとともに、基材および中間層の耐候性を熱帯等での長期の使用にも耐えうる程度まで向上させることが可能となるとともに、光触媒による基材および中間層の劣化も抑制可能となる。
【0027】
光触媒層
本発明の光触媒層は、紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子が含まれている。
【0028】
光触媒粒子としては、アナターゼ型酸化チタン、ルチル型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化セリウムのような金属酸化物の粒子が好適に利用可能である。
【0029】
本発明の好ましい態様によれば、光触媒粒子が10nm以上100nm未満の平均粒径を有するのが好ましく、より好ましくは10nm以上60nm以下である。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。
【0030】
粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。この範囲内であると、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(透明性、塗膜強度等)が効率良く発揮される。
【0031】
さらに、波長550nmにおいての光触媒層の直線透過率を90%以上、より好ましくは95%以上確保するとより好ましい。そうすることで下地の色味、意匠を損なうことなく表現することが可能となる。また透明度の高いガラスやプラスチックなどにコーティングしても透明性を損なわずに済む。
【0032】
本発明の好ましい態様によれば、さらに高い光触媒能を発現するために、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、銅、銀、白金および金からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属および/またはその金属からなる金属化合物を、光触媒層や光触媒層を形成するために中間層上に適用する光触媒コーティング液に添加することができる。この添加は、前記金属または金属化合物をコーティング液に混合し、溶解または分散させる方法、前記金属または金属化合物を光触媒層や光触媒粒子に担持する方法、などのいずれの方法によっても行うことができる。
【0033】
本発明では光触媒層中に無機酸化物粒子が含まれるのが好ましい。無機酸化物粒子は、光触媒粒子と共に層を形成可能な無機酸化物の粒子であれば特に限定されず、あらゆる種類の無機酸化物の粒子が使用可能である。そのような無機酸化物粒子の例としては、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、イットリア、酸化錫、酸化鉄、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、ハフニア等の単一酸化物の粒子;およびチタン酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の複合酸化物の粒子が挙げられ、より好ましくはシリカ粒子である。これら無機酸化物粒子は、水を分散媒とした水性コロイド;またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、もしくはエチレングリコールなどの親水性溶媒にコロイド状に分散させたオルガノゾルの形態であるのが好ましく、特に好ましくはコロイダルシリカである。
【0034】
上記無機酸化物粒子は、5nmを超え20nm以下、好ましくは10nm以上20nm以下の平均粒径を有する。なお、この平均粒径は、走査型電子顕微鏡により20万倍の視野に入る任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として算出される。粒子の形状としては真球が最も良いが、略円形や楕円形でも良く、その場合の粒子の長さは((長径+短径)/2)として略算出される。この範囲内であると、耐候性、有害ガス分解性、および所望の各種被膜特性(透明性、塗膜強度等)が効率良く発揮され、とりわけ透明で密着性が良好な光触媒層を得ることができるだけではなく、摺動磨耗に対して強固な膜を得ることができる。
【0035】
本発明の光触媒層は、通気性を確保するために、加水分解性シリコーンの縮重合物を実質的に含まないのが好ましく、より好ましくは全く含まない。ここで加水分解性シリコーンとは、アルコキシ基を有するオルガノシロキサンおよび/またはその部分加水分解縮合物の総称である。加水分解性シリコーンの縮重合物の含有量は、シリカ換算で光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの縮重合物の合計量100質量部に対して、0質量部以上10質量部未満が好ましく、より好ましくは5質量部以下、最も好ましくは0質量部である。加水分解性シリコーンとしては、2〜4官能シランをモノマー単位とするシリコーン化合物がよく使用され、例えば、エチルシリケート、メチルシリケート、アルキル基含有シリコーン、フェニル基含有シリコーン等が好適に利用できる。
【0036】
本発明の光触媒層は、通気性を確保するために、有機金属化合物の加水分解物の縮重合物を実質的に含まないのが好ましく、より好ましくは全く含まない。ここで有機金属化合物とは、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の金属元素を含む金属アルコキシド、金属有機錯体等である。有機金属の加水分解物の縮重合物の含有量は、金属酸化物換算で光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して、0質量部以上10質量部未満が好ましく、より好ましくは5質量部以下、最も好ましくは0質量部である。
【0037】
本発明の光触媒層においては、任意成分として、加水分解性シリコーンの縮重合物、有機金属化合物の加水分解物よりなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる。任意成分の含有量は、光触媒粒子と無機酸化物粒子と、これら任意成分の酸化物換算量との合計量100質量部に対して、0質量部以上10質量部未満であることが好ましく、より好ましくは5質量部以下、最も好ましくは0質量部である。
【0038】
光触媒層は、0.1μm以上5μm以下の膜厚を有するのが好ましく、より好ましくは、その下限値が0.5以上であり、さらに好ましくはその下限値が1μm以上である。さらに好適な膜厚の範囲は、0.5μm以上3μm以下であり、より好適な範囲は1.0μm以上2μm以下である。このような範囲内であると、無機酸化物粒子よりも含有比率が低い光触媒粒子を膜厚方向に増加させることができるので、有害ガス分解性が向上する。さらには、透明性においても優れた特性が得られる。
【0039】
なお、上記「光触媒層」「建材」の項で述べた内容は、任意に組合わせることが可能である。
【0040】
光触媒層製造方法
本発明の建材は、光触媒コーティング液を、中間層を有する基材上に塗布することにより簡単に製造することができる。光触媒層の塗装方法は、前記液剤を刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。
【0041】
光触媒コーティング液には、基本的には紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子と、溶媒が含まれている。「光触媒粒子」については、上記「光触媒層」「建材」の項で述べたものが好適に利用できる。また「無機酸化物粒子」「加水分解性シリコーン」「有機金属化合物」を含んでもよいがそれについても上記「光触媒層」「建材」の項で述べたものが好適に利用できる。
【0042】
光触媒層が光触媒粒子とアミンとを含有する光触媒ゾルを含むコーティング液を塗布後乾燥することにより形成されるものである態様においては、光触媒ゾルは、金属酸化物からなる光触媒粒子と、アミンと、溶媒とから基本的に構成される。光触媒ゾル中に含まれるアミンには、第4級アンモニウム、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の第3級アミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン等の第2級アミンなどが好適に利用できる。
【0043】
光触媒層が光触媒粒子とイオン状態の銅元素とを含んでなる態様においては、光触媒コーティング液として、金属酸化物からなる光触媒粒子と、イオン状態の銅元素と、アミンと、溶媒とから基本的に構成される光触媒ゾルを用いる。
【0044】
光触媒コーティング液の溶媒としては、上記構成成分を適切に分散可能なあらゆる溶媒が使用可能であり、水および/または有機溶媒であってよい。また、光触媒コーティング液の固形分濃度は特に限定されないが、1〜10質量%とするのが塗布し易い点で好ましい。なお、光触媒コーティング組成物中の構成成分の分析は、コーティング液を限外ろ過によって粒子成分と濾液に分離し、それぞれを赤外分光分析、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、蛍光X線分光分析などで分析し、スペクトルを解析することによって評価することができる。
【0045】
光触媒コーティング液には任意成分として界面活性剤を含んでよい。本発明に用いる界面活性剤は、光触媒粒子、無機酸化物粒子、および加水分解性シリコーンの合計量100質量部に対して、0質量部以上10質量部未満光触媒層に含有されていてもよく、好ましくは0質量部以上8質量部以下であり、より好ましくは0以上6質量部以下である。界面活性剤の効果の1つとして基材へのレベリング性があり、コーティング液と基材との組合せによって界面活性剤の量を先述の範囲内で適宜決めれば良く、その際の下限値は0.1質量部とされてよい。この界面活性剤は光触媒コーティング液の濡れ性を改善するために有効な成分であるが、塗布後に形成される光触媒層にあってはもはや本発明の建材の効果には寄与しない不可避不純物に相当する。したがって、光触媒コーティング液に要求される濡れ性に応じて、上記含有量範囲内において使用されてよく、濡れ性を問題にしないのであれば界面活性剤は実質的にあるいは一切含まなくてよい。使用すべき界面活性剤は、光触媒や無機酸化物粒子の分散安定性、中間層上に塗布した際の濡れ性を勘案し適宜選択されることができるが、非イオン性界面活性剤が好ましく、より好ましくは、エーテル型非イオン性界面活性剤、エステル型非イオン性界面活性剤、ポリアルキレングリコール非イオン性界面活性剤、フッ素系非イオン性界面活性剤、シリコン系非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0046】
中間層
本発明の中間層は、必須成分として、耐候性樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とを含んでなる。
【0047】
耐候性樹脂は、紫外線吸収剤の相溶性が良好で、基材との接着性、光触媒との接着性を有し、光触媒による中間層表面の劣化を抑制できるものであれば特に限定されず、樹脂中にポリシロキサンを含むシリコーン変性アクリル樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性ウレタン樹脂、シリコーン変性ポリエステル等のシリコーン変性樹脂が好適である。外装用建材に適用する場合には、シリコーン変性アクリル樹脂が耐候性の点からより好適である。シリコーン変性アクリル樹脂において、カルボキシル基を有するシリコーン変性アクリル樹脂とエポキシ基を有するシリコーン樹脂の二液を混合して使用することが、塗膜の強度を向上させる点からさらに好適である。
【0048】
中間層の乾燥膜厚は特に限定されるものでは無いが、好ましくは1μm〜50μm、より好ましくは1μm〜20μm、最も好ましくは1μm〜10μmである。なお、中間層の膜厚は光触媒層の膜厚よりも大きいほうが望ましい。
そうすることにより、耐熱性に優れたヒドロキシフェニルトリアジン化合物を光触媒作用による分解から防止し、高温多湿な熱帯等の過酷な気候条件下で使用される場合にあっても高度な耐久性を発揮するとともに、充分な光触媒活性をも得ることができる。
【0049】
中間層には任意成分として、体質顔料、着色顔料、防藻剤等を配合することも可能である。体質顔料としては、例えば、酸化チタンウイスカー、炭酸カルシウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、マイカ、タルク等が好適に利用できる。着色顔料には、例えば、酸化チタン白、酸化亜鉛白酸化鉄、カーボンブラック、スピネルグリーン、ベンガラ、アルミン酸コバルト、群青等の無機着色顔料やフタロシアニン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、アゾ系、アンスラキノン系、キノフタロン系、アンスラピリジニン系、キナクリドン系、トルイジン系、ピラスロン系、ペリレン系等の有機着色顔料が好適に利用できる。防藻剤としては、中間層の樹脂成分と相溶性が良好な有機防カビ剤が好適に利用可能であり、例えば、有機窒素硫黄系化合物、ピリチオン系化合物、有機ヨウ素化合物、トリアジン系化合物、イソチアゾリン系化合物、イミダゾール系化合物、ピリジン系化合物、ニトリル系化合物、チオカーバメート系化合物、チアゾール系化合物、ジスルフィド系化合物等が好適に利用できる。
【0050】
なお、上記「中間層」「建材」「光触媒層」の項で述べた内容は、任意に組合わせることが可能である。
【0051】
中間層製造方法
中間層は、中間層コーティング液を、前記基材上に塗布することにより簡単に製造することができる。中間層の塗装方法は、前記液剤を刷毛塗り、ローラー、スプレー、ロールコーター、フローコーター、ディップコート、流し塗り、スクリーン印刷等、一般に広く行われている方法を利用できる。コーティング液の基材への塗布後は、常温乾燥させればよく、あるいは必要に応じて加熱乾燥してもよい。
【0052】
中間層コーティング液には、基本的に、耐候性樹脂又はその重合前の前駆体と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とが含まれている。
【0053】
「耐候性樹脂」については、上記「光触媒層」「建材」の項で述べたものが好適に利用できる。
【0054】
中間層コーティング液の溶媒としては、上記構成成分を適切に分散可能なあらゆる溶媒が使用可能であり、水および/または有機溶媒であってよい。また、本発明の中間層塗装用液剤の固形分濃度は特に限定されないが、10〜20質量%とするのが塗布し易い点で好ましい。なお、中間層コーティング液中の構成成分の分析は、樹脂成分に関しては赤外分光分析で評価することができる。
【0055】
中間層コーティング液には、上記の他に「体質顔料」、「着色顔料」、「防藻剤」等が配合されていてもよいが、それについても上記「中間層」の項で述べたものが好適に利用できる。
【0056】
中間層コーティング液には、上記の他に顔料分散剤、消泡剤、酸化防止剤等の塗料用添加剤、塗料に通常含まれるその他成分を含有することができる。また、シリカ微粒子等の艶消し剤を含んでもよい。
【0057】
基材
本発明に用いる基材は、その上に中間層が形成可能な材料であれば無機材料、有機材料を問わず種々の材料であってよく、その形状も限定されない。材料の観点からみた基材の好ましい例としては、金属、セラミック、ガラス、プラスチック、ゴム、石、セメント、コンクリ−ト、繊維、布帛、木、紙、それらの組合せ、それらの積層体、それらの表面に少なくとも一層の被膜を有するものが挙げられる。用途の観点からみた基材の好ましい例としては、建材、建物外装および内装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、防塵カバー及び塗装、交通標識、各種表示装置、広告塔、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、台、浴室材、キッチンパネル、流し台、レンジ、換気扇、空調、フィルター、便器、浴槽及び上記物品表面に貼着させるためのフィルム、シート、シール等が挙げられる。
【0058】
特に、本発明の建材は、太陽光に晒され、太陽光に含まれる紫外線により光触媒が光励起され、ガス分解や防カビ等の光酸化作用を生じるとともに、その紫外線により中間層及び/又は基材の劣化が生じるおそれのある利用形態で用いられるのが、特に好ましい。
そうような用途としては外装建材、建物外装、窓枠、窓ガラス、構造部材、乗物の外装及び塗装、機械装置や物品の外装、交通標識、広告塔、看板、道路用遮音壁、鉄道用遮音壁、橋梁、ガードレ−ルの外装及び塗装、トンネル内装及び塗装、碍子、太陽電池カバー、太陽熱温水器集熱カバー、ビニールハウス、車両用照明灯のカバー、屋外用照明器具、道路舗装等が挙げられる。
【実施例】
【0059】
本発明を以下の例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0060】
例A1〜A6
以下のようにして、建材試料の作製および評価を行った。
例A1:
基材として、ポリカーボネート樹脂基材を用意した。この基材上に中間層を次のようにして形成した。すなわち、ケイ素原子含有量がシリコーン変性樹脂の固形分に対して10質量%のシリコーン変性アクリル樹脂ディスパージョンに、このディスパージョンの固形分に対し1質量%のヒドロキシフェニルトリアジン化合物と、1質量%のヒンダードアミン系光安定剤とを配合した中間層コーティング液をスプレーコートし、120℃で乾燥し、膜厚10μmの中間層を形成した。得られた中間層上に光触媒層を次のようにして形成した。すなわち、アナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm、塩基性)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:約14nm、塩基性)と、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを混合して光触媒コーティング液を得た。光触媒コーティング液中の光触媒および無機酸化物の合計の固形分濃度は5.5質量%とした。得られた光触媒コーティング液をあらかじめ加熱した上記中間層塗装体上にスプレー塗布し、120℃で乾燥した。得られた光触媒層中の酸化チタンは2質量部、シリカは98質量部、界面活性剤は6質量部であった。また、光触媒層の膜厚は0.5μmであった。
【0061】
例A2:
光触媒層中の酸化チタン量を15質量部、シリカ量を85質量部としたこと以外は、例A1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例A3:
光触媒層中の酸化チタン量を4質量部、シリカ量を96質量部としたこと以外は、例A1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例A4:
光触媒層中の酸化チタン量を4.5質量部、シリカ量を95.5質量部としたこと以外は、例A1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例A5:
光触媒層の膜厚を1.5μmとしたこと以外は、例A1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
【0062】
例A6(比較):
中間層中のヒドロキシフェニルトリアジン化合物の代わりにトリアゾール化合物を用いたこと以外は、例A1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
【0063】
例A1〜A6で得られた各試料について、(1)光触媒分解活性、および(2)長時間劣化加速試験を評価した。(1)は、JIS R 1701−1(2004)「光触媒材料の空気浄化性能試験方法、第1部:窒素酸化物の除去性能」に記載された試験方法により求められるQNOX(試験片による窒素酸化物除去量)を求めることにより評価した。(2)は、宮古島(日本国・沖縄県)にてJISK 5600−7−6に規定される曝露架台を用い、南に向けて水平より20°の角度で屋外曝露を行い、6ヵ月後の試料外観を目視評価した。
評価結果を表1に示す。なお、評価基準は以下の通りとした。
(1)分解活性
A:QNOXが、光触媒工業会基準(0.5μmol)の2倍を超える
B:QNOXが、光触媒工業会基準の1〜2倍
C:QNOXが、光触媒工業会基準を満たさない
(2)長時間劣化加速試験(基材の変色抑制度合)
A:目視および電子顕微鏡観察で問題なし
B:目視では白華は通常の測定者では認識できないが、電子顕微鏡ではクラックが認められる
C:目視で明らかに白華が観察できる
【0064】
【表1】


【0065】
例B1〜B5
以下のようにして、塗装体試料の作製および評価を行った。
例B1:
基材として、ガラス基材を用意した。この基材上に中間層を次のように形成した。すなわち、ケイ素原子含有量がシリコーン変性樹脂の固形分に対して10質量%のシリコーン変性アクリル樹脂ディスパージョンに、このディスパージョンの固形分に対し1質量%のヒドロキシフェニルトリアジン化合物と、1質量%のヒンダードアミン系光安定剤とを配合した中間層コーティング液をスプレーコートし、120℃で乾燥し、膜厚10μmの中間層を形成した。得られた中間層上に光触媒層を次のようにして形成した。すなわち、アナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm、分散剤:ジエチルアミン)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:約30nm、塩基性)と、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを混合して光触媒コーティング液を得た。光触媒コーティング液中の光触媒および無機酸化物の合計の固形分濃度は5.5質量%とした。得られた光触媒コーティング液をあらかじめ加熱した上記中間層塗装体上にスプレー塗布し、120℃で乾燥した。得られた光触媒層中の酸化チタンは2質量部、シリカは98質量部、界面活性剤は6質量部であった。また、光触媒層の膜厚は0.5μmであった。
【0066】
例B2:
光触媒層中の酸化チタン量を15質量部、シリカ量を85質量部としたこと以外は、例B1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例B3:
実施例B1において、光触媒層中の酸化チタン量を4質量部、シリカ量を96質量部としたこと以外は、例B1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例B4:
光触媒層の膜厚を1.5μmとしたこと以外は、例B1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
【0067】
例B5(比較):
中間層中のヒドロキシフェニルトリアジン化合物の代わりにトリアゾール化合物を用いたこと以外は、例B1と同様に塗装体試料の作製を行った。
【0068】
例B1〜B5で得られた各試料について、(1)光触媒分解活性(…例A1〜A6での評価と同一試験方法)、および(2)キセノンランプ(波長300〜400nmの放射照度80W/m)の照射と1%過酸化水素の噴霧の繰り返しによる長時間劣化加速試験を実施した。評価結果を表2に示す。なお、評価基準は以下の通りとした。
(1)分解活性
A:QNOXが、光触媒工業会基準(0.5μmol)の2倍を超える
B:QNOXが、光触媒工業会基準の1〜2倍
C:QNOXが、光触媒工業会基準を満たさない
(2)長時間劣化加速試験(基材の変色抑制度合)
OK:目視で変色が認められない
NG:目視で変色が認められる
【0069】
【表2】


【0070】
例C1〜C8
以下のようにして、塗装体試料の作製および評価を行った。
例C1:
基材として、ガラス基材を用意した。この基材上に中間層を次のようにして形成した。すなわち、ケイ素原子含有量がシリコーン変性樹脂の固形分に対して10質量%のシリコーン変性アクリル樹脂ディスパージョンに、このディスパージョンの固形分に対し1質量%のヒドロキシフェニルトリアジン化合物と、1質量%のヒンダードアミン系光安定剤とを配合した中間層コーティング液をスプレーコートし、120℃で乾燥し、膜厚10μmの中間層を形成した。得られた中間層上に光触媒層を次のようにして形成した。すなわち、銅化合物をCuO換算でTiO2に対して0.5質量%添加したアナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm)と、水分散型コロイダルシリカ(平均粒径:約30nm、塩基性)と、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤とを混合して光触媒コーティング液を得た。光触媒コーティング液中の光触媒および無機酸化物の合計の固形分濃度は5.5質量%とした。得られた光触媒コーティング液をあらかじめ加熱した上記中間層塗装体上にスプレー塗布し、120℃で乾燥した。得られた光触媒層中の酸化チタンは2質量部、シリカは98質量部、界面活性剤は6質量部であった。また、光触媒層の膜厚は0.5μmであった。
【0071】
例C2:
光触媒層中の酸化チタン量を15質量部、シリカ量を85質量部としたこと以外は、例C1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例C3:
光触媒層中の酸化チタン量を4質量部、シリカ量を96質量部としたこと以外は、例C1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例C4:
酸化チタンとして、銅化合物量をCuO換算でTiO2に対して0.35質量%、銀化合物量をAg2O換算でTiO2に対して0.15質量%添加したアナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm)を用いたこと以外は、例C1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例C5:
酸化チタンとして、銅化合物量をCuO換算でTiO2に対して0.35質量%、銀化合物量をAg2O換算でTiO2に対して0.15質量%添加したアナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm)を用いたこと以外は、例C2と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例C6:
酸化チタンとして、銅化合物量をCuO換算でTiO2に対して0.35質量%、銀化合物量をAg2O換算でTiO2に対して0.15質量%添加したアナターゼ型酸化チタン水分散体(平均粒径:約50nm)を用いたこと以外は、例C3と同様にして塗装体試料の作製を行った。
例C7:
光触媒層の膜厚を1.5μmとしたこと以外は、例C1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
【0072】
例C8(比較):
中間層中のヒドロキシフェニルトリアジン化合物の代わりにトリアゾール化合物を用いたこと以外は、例C1と同様にして塗装体試料の作製を行った。
【0073】
例C1〜C8において得られた各試料について、(1)光触媒分解活性(…例A1〜A6での評価と同一試験方法)、および(2)キセノンランプ(波長300〜400nmの放射照度80W/m)の照射と1%過酸化水素の噴霧の繰り返しによる長時間劣化加速試験を実施した。評価結果を表3に示す。なお、評価基準は以下の通りとした。
(1)分解活性
A:QNOXが、光触媒工業会基準(0.5μmol)の2倍を超える
B:QNOXが、光触媒工業会基準の1〜2倍
C:QNOXが、光触媒工業会基準を満たさない
(2)長時間劣化加速試験(基材の変色抑制度合)
OK:目視で変色が認められない
NG:目視で変色が認められる
【0074】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上に設けられる中間層と、該中間層上に設けられた光触媒層とを備えた建材であって、
前記光触媒層が紫外線で励起される金属酸化物よりなる光触媒粒子を含み、
前記中間層が、耐候性樹脂と、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物とを含んでなる、建材。
【請求項2】
前記中間層の膜厚が1μm以上50μm以下であり、
前記光触媒層の膜厚が0.1μm以上5μm以下であり、
かつ、前記中間層の膜厚が、前記光触媒層の膜厚よりも厚いことを特徴とする、請求項1に記載の建材。
【請求項3】
前記光触媒層が、紫外線で励起される金属酸化物からなる光触媒粒子とアミンとを含有する光触媒ゾルを含むコーティング液を塗布後乾燥することにより形成されてなる、請求項1または2に記載の建材。
【請求項4】
前記光触媒層が、イオン状態の銅元素をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の建材。
【請求項5】
前記光触媒層中における光触媒粒子の含有量が、1質量%以上20質量%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建材。
【請求項6】
前記光触媒層中における前記光触媒粒子の含有量が、1質量%を超え5質量%未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の建材。
【請求項7】
前記中間層が、ヒンダードアミン化合物をさらに含んでなる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の建材。
【請求項8】
前記耐候性樹脂が、シリコーン変性樹脂である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の建材。
【請求項9】
前記シリコーン変性樹脂中のケイ素含有量が、前記シリコーン変性樹脂の固形分に対して0.2質量%以上16.5質量%未満である、請求項8に記載の建材。
【請求項10】
前記ヒドロキシフェニルトリアジン化合物が、前記中間層に対して0.1質量%以上10質量%未満含有されている、請求項1〜9のいずれか一項に記載の建材。
【請求項11】
前記光触媒層が、通気性を有する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の建材。
【請求項12】
前記光触媒層が、前記光触媒粒子以外に、無機酸化物粒子をさらに含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の建材。
【請求項13】
前記光触媒層が、
1質量部を超え20質量部未満の前記光触媒粒子と、
70質量部を超え99質量部未満の前記無機酸化物粒子と、
0質量部以上10質量部未満の、加水分解性シリコーンの縮重合物および有機金属化合物の加水分解物の縮重合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを、
前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記酸化物換算量の合計量が100質量部となるように含んでなる、請求項12に記載の建材。
【請求項14】
前記光触媒層が、
1質量部を超え5質量部未満の前記光触媒粒子と、
85質量部を超え99質量部未満の前記無機酸化物粒子と、
0質量部以上10質量部未満の、加水分解性シリコーンの縮重合物および有機金属化合物の加水分解物の縮重合物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを、
前記光触媒粒子、前記無機酸化物粒子、および前記酸化物換算量の合計量が100質量部となるように含んでなる、請求項12に記載の建材。
【請求項15】
前記基材が外装建材である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の建材。

【公開番号】特開2010−270582(P2010−270582A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−146462(P2009−146462)
【出願日】平成21年6月19日(2009.6.19)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】