説明

建物、建物の劣化診断方法、及び建物の劣化診断システム

【課題】建物の劣化診断を容易に行うことを目的とする。
【解決手段】内装材10の内部にインク等の着色液体が封入された複数のカプセル16を設ける。また、複数のカプセル16は、内装材10の壁面端部付近に設けると共に。予め定めた震度の地震が発生した場合に、地震によって発生する応力が内装材10に加わって変形することにより、カプセル16が割れる構成とし、予め定めた震度以上の地震が発生した場合に、カプセル16が割れて着色液体がにじめ出て劣化マーク18を内装材10の表面に出現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物、建物の劣化診断方法、及び建物の劣化診断システムにかかり、特に、劣化状況を容易に確認可能な建物、建物の劣化診断方法、及び建物の劣化診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震の発生などによる被災時に、建物を復旧するために建物の劣化状況を判断する必要がある。
【0003】
そこで、特許文献1に記載の技術では、耐力要素に弾塑性体のエネルギー吸収部を設け、外力によるエネルギー吸収部の累積損傷値と、該エネルギー吸収部の表面に塗装された塗料の剥離量との間に所定の相関関係を有する塗料を、エネルギー吸収部表面に塗装することにより、エネルギー吸収部の塗料の剥離量を目視で確認することにより、耐力要素の劣化診断を行うことが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4215686号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、耐力要素のエネルギー吸収部の塗料の剥離量を確認するためには、耐力要素が仕上げ材内部に設置されるため、仕上げ材を剥がして確認する必要があり、簡単に建物の劣化を判断するためには改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、建物の劣化診断を容易に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の建物は、予め定めた震度以上の地震が発生した場合に、前記地震によって発生した応力によって劣化マークを建物の一部に出現させる出現手段を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、予め定めた震度以上の地震が発生した場合には、地震によって発生した応力により、劣化マークが出現手段により出現されるので、建物の一部に出現した劣化マークを確認することによって、建物の劣化診断を容易に行うことができる。
【0009】
出現手段は、例えば、請求項2に記載の発明のように、地震によって発生した応力によって破断する容器に液体が収納され、地震によって発生した応力によって容器が破断して液体が流出することにより劣化マークを出現させるようにしてもよい。また、請求項3に記載の発明のように、液体を収納する容器は、複数設けて、それぞれ破断する応力が異なると共に、それぞれ異なる種類の液体を収納するようにしてもよい。
【0010】
また、出現手段は、請求項4に記載の発明のように、壁面端部の変色または割れを発生させることにより劣化マークを出現させるようにしてもよいし、請求項5に記載の発明のように、表面と内部野色が異なる壁面端部を有して、地震によって発生した応力による押圧または引張力で壁面端部が判断して、表面とは異なる内部の色が露出することにより変色を発生させるようにしてもよい。
【0011】
なお、出現手段は、請求項6に記載の発明のように、建物の壁と床または天井との間に介在する干渉材に劣化マークを出現させるようにしてもよい。
【0012】
また、出現手段は、請求項7に記載の発明のように、劣化マークを震度の大きさに応じて異なる状態で出現させるようにしてもよい。
【0013】
請求項8に記載の建物の劣化診断方法は、地震が発生した場合に地震の震度を取得手段によって取得する震度取得ステップと、震度毎に建物に生じる変化を予め測定した測定結果を記憶する記憶手段から前記震度取得ステップで取得した震度に対応する前記変化を読み出す読出ステップと、地震が発生した場合の実際の前記変化を検出し、検出した結果を入力手段によって入力する入力ステップと、前記読出ステップで読み出した前記変化と、前記入力ステップで入力した実際の前記変化と、を比較することにより、建物の構造体の劣化を判断する判断ステップと、を有することを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の発明によれば、震度取得ステップでは、取得手段によって地震が発生した場合に震度を取得する。
【0015】
読出ステップでは、震度毎に建物に生じる変化を予め測定した結果を記憶する記憶手段から震度取得ステップで取得した震度に対応する変化を読み出す。
【0016】
また、入力ステップでは、地震が発生した場合の実際の変化を検出し、検出した結果を入力手段によって入力する。
【0017】
そして、判断ステップでは、読出ステップで読み出した変化と、入力ステップで入力した実際の変化と、を比較することにより、建物の構造体の劣化を診断する。すなわち、記憶手段に記憶された測定結果を基準として、地震による変化を比較することにより、剛性の劣化等を判断することが可能となり、建物の劣化診断を容易に行うことができる。
【0018】
建物に生じる変化としては、例えば、請求項9に記載の発明のように、建物に設けられた定型シールの外れまたは浮きを適用するようにしてもよい。この場合には、請求項10に記載の発明のように、定型シールは、複数に分割され、かつ所定の震度以上の地震によって発生する応力によって配置箇所から外れるまたは浮くようにしてもよい。
【0019】
また、請求項11に記載の発明のように、記憶手段が、建物の剛性毎に測定結果を記憶し、判断ステップが、読出ステップで読み出した変化よりも入力ステップで入力した実際の変化の方が大きい場合に、入力ステップで入力した実際の変化と震度に対応する記憶手段に記憶された建物の剛性を読み出すことによって構造体の劣化の程度を判断するようにしてもよい。
【0020】
なお、請求項8の発明において、建物に生じる変化としては、請求項12に記載の発明のように、軒天の脱落として出現するものを適用するようにしてもよい。この場合の変化としては、例えば、軒天の配置された箇所からの脱落する数を適用するようにしてもよい。
【0021】
また、請求項8の発明において、建物に生じる変化としては、請求項13に記載の発明のように、住宅基礎表面の塗装の剥離として出現するものを適用するようにしてもよい。この場合の変化としては、例えば、住宅基礎表面から塗装が剥離する程度を適用するようにしてもよい。
【0022】
請求項14に記載の建物の劣化診断システムは、地震が発生した場合に地震の震度を表す震度情報を取得する取得手段と、地震が発生した場合に、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって建物の一部に出現する劣化マークを検出する検出手段と、建物の一部に出現する前記劣化マーク数を震度毎に予め測定した測定結果を記憶する記憶手段と、前記検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記測定結果と、を比較することにより、建物の剛性低下を推定する推定手段と、を備えることを特徴としている。
【0023】
請求項14に記載の発明によれば、取得手段では、地震が発生した場合に地震の震度を表す震度情報が取得される。
【0024】
検出手段では、地震が発生した場合に、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって建物の一部に出現する劣化マークが検出される。例えば、地震前後を撮影することにより、撮影画像に基づいて、建物の外壁の割れや、請求項1〜7の建物に出現した劣化マークを検出する。
【0025】
また、記憶手段には、建物の一部に出現する劣化マーク数を震度毎に予め測定した測定結果が記憶される。
【0026】
そして、推定手段では、検出手段の検出結果と、記憶手段に記憶された測定結果と、が比較されることにより、建物の剛性低下が推定される。例えば、記憶手段に記憶された測定結果を基準として、地震による変化を比較することにより、剛性の劣化を判断することが可能となり、建物の劣化診断を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、建物の劣化診断を容易に行うことができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第1構成例を示す図であり、(A)は内装材の断面図であり、(B)は劣化マークが出現した例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第2構成例を示す図であり、(A)は内装材の断面図であり、(B)は劣化マークが出現した例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第3構成例を示す図であり、図3(A)は、内壁の断面を示す図であり、(B)は(A)のA部分の拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの構成を示すブロック図である。
【図5】(A)はDBに記憶される、建物重量及び剛性毎に、地震の震度に応じて発生する間仕切り端部の割れ数を示す表であり、(B)はメンテナンス履歴の一例を示す表である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムにインストールされた劣化診断プログラムが実行された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【図8】(A)は監視カメラの通常の撮影領域を説明するための図であり、(B)は劣化診断を行う際の監視カメラの撮影領域を説明するための図である。
【図9】本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの変形例における劣化診断プログラムが実行された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0030】
本発明の実施の形態に係わる建物は、地震等の災害が発生して、劣化が発生した場合に、予め定めた劣化マークが建物の一部(本実施の形態では、内装材)に出現するように構成したものである。
【0031】
以下では、劣化が発生した場合に建物の一部に劣化マークを出現させるための構成例について説明する。
【0032】
(第1構成例)
図1は、本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第1構成例を示す図であり、図1(A)は内装材の断面図であり、図1(B)は劣化マークが出現した例を示す図である。
【0033】
本発明の実施の形態に係わる建物は、図1(A)に示す内装材10を備えている。内装材10の床面側には、巾木12が設けられており、内装材10と床面との間には干渉材14が設けられている。
【0034】
内装材10は、例えば、石膏ボード等を適用することができ、本実施の形態では、内装材10の内部にインク等の着色液体が封入された複数のカプセル16が設けられている。これらの複数のカプセル16は、内装材10の壁面端部付近に設けられている物として説明するが、内装材10の全面に設けるようにしてもよい。
【0035】
カプセル16は、予め定めた震度の地震が発生した場合に、地震によって発生する応力が内装材10に加わって変形することにより、破断する構成とされている。
【0036】
また、内装材10は、予め定めた震度の地震が発生した場合に、地震によって発生する応力によって壁面端部付近に軽微な割れが発生するようになっている。
【0037】
すなわち、地震が発生した場合には、地震によって発生する応力が建物に加わることにより、内装材10が変形する。このときの地震の震度が、予め定めた震度以上の地震の場合には、地震によって発生する応力が建物に加わって内装材10が変形し、内装材10の内部に設けられたカプセル16が破断する。また同時に、内装材についても地震によって発生する応力によって壁面端部付近に軽微な割れが発生する。そして、カプセル16が割れることにより内部に封入した着色液体が流出して内装材10の割れた部分から着色液体がにじみ出ることによって、図1(B)に示すように、劣化マーク18が内装材10の表面に出現する。
【0038】
このように劣化マーク18が内装材10の表面に出現することによって、出現した劣化マーク18を確認することで、建物の劣化診断を行うことが可能となる。
【0039】
すなわち、内装材10の表面に出現した劣化マーク18を確認することによって、劣化マーク18の数等によって耐力要素等の劣化部位を診断することが可能となる。
【0040】
さらに、内装材10の壁面端部付近に劣化マーク18が出現するので、内装材10の真ん中に劣化マーク18が出現する場合よりも、内装材10の見栄えの劣化を少なくすることができる。
【0041】
なお、上記の劣化マーク18を出現される構成例では、内装材10の内部に設けた複数のカプセル16は、同一のものを設ける場合を説明したが、カプセル16の強度がそれぞれ異なると共に、カプセル16内に封入した着色液体の色が異なるものを封入するようにしてもよい。すなわち、震度に応じて異なる強度のカプセル16とし、それぞれ異なる色の着色液体を封入しておくことにより、地震の程度によって割れて出現する劣化マーク18の色が異なる。従って、出現した劣化マーク18の色を確認することによっても建物の劣化診断が可能となる。また、劣化マーク18の色によって内装材10の劣化の度合についても確認することが可能となる。
【0042】
また、上記の構成例では、内装材10にカプセル16を設けて内装材10に劣化マーク18を出現させるようにしたが、巾木12や、回り縁、建物の壁と床との間に介在する干渉材14、建物の壁と天井との間に介在する干渉材等の内部にカプセル16を設けて、劣化マーク18を出現させるようにしてもよい。
【0043】
(第2構成例)
次に、劣化マーク18を出現させるための第2構成例について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第2構成例を示す図であり、図2(A)は、内装材の断面図であり、図2(B)は劣化マークが出現した例を示す図である。
【0044】
劣化マーク18を出現させるためのその他の構成としては、例えば、図2(A)に示すように、内装材20に内部とは異なる色の表皮材20Aを設けるようにしてもよい。なお、図2(A)では、内装材20の両面に表皮材20Aを設けた例を示すが、露出する面側だけに表皮材20Aを設けるようにしてもよい。
【0045】
また、内装材20の床面側には、巾木12が設けられており、内装材20と床との間に干渉材14が設けられている。該干渉材14は、予め定めた震度までの地震によって発生する応力を吸収するようになっている。
【0046】
表皮材20Aは、予め定めた震度以上の地震が発生した場合には、干渉材14によって吸収しきれない応力による押圧または引張力によって破断する厚さ、または材料のものが適用される。なお、予め定めた震度以上の地震が発生した場合に、表皮材20Aの破断が発生する部分が、壁面端部付近となるように、壁面端部付近についてのみ、予め定めた震度以上の地震が発生した場合に、当該地震によって発生する応力による押圧または引張力によって破断する厚さ、または材料の表皮材20Aを用いるようにしてもよい。
【0047】
すなわち、予め定めた震度以上の地震が発生した場合には、干渉材14によって吸収しきれない応力による押圧または引張力によって内装材20の表皮材20Aが破断する。これによって、内装材20の内部の色が露出して、図2(B)に示すように、変色して見えることにより劣化マーク18として機能させることができる。
【0048】
なお、本構成例についても、内装材20に劣化マーク18を出現させる構成としてが、巾木12や、回り縁、建物の壁と床との間に介在する干渉材14、建物の壁と天井との間に介在する干渉材等に上記表皮材20A等を設けて、劣化マーク18を出現させるようにしてもよい。
【0049】
また、震度の大きさに応じて、異なる大きさで表皮材20Aが破断するようにして、劣化マーク18を震度に応じて異なる状態で出現させるようにしてもよい。
【0050】
(第3構成例)
また、劣化マーク18を出現させるための第3構成例について説明する。図3は、本発明の実施の形態に係わる建物に劣化マークを出現させるための第3構成例を示す図であり、図3(A)は、内壁の断面を示す図であり、(B)は(A)のA部分の拡大図である。
【0051】
本構成例では、図3(A)に示すように、内装材22(例えば、石膏ボード)の床面側に巾木24が着脱可能に設けられている共に、内装材24と床面との間に干渉材32が設けられている。また、内装材22と内装材22間に間仕切り・下地26が設けられて内壁28が構成されている。
【0052】
また、本構成例では、内装材22に設けられた巾木24の部分に劣化マーク18を出現させるための構成が設けられている。
【0053】
具体的には、巾木24は、図3(B)に示すように、逆L字状の断面形状とされ、内装材22と巾木24との間の空間に、スポンジ等の液体吸収部材30が設けられている。
【0054】
また、干渉材32内には、インク等の着色液体が封入されており、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力により内装材22が変形することにより、干渉材32が圧縮されて液体注入部32Aから液体吸収部材30に着色液体を放出するようになっている。
【0055】
すなわち、予め定めた震度以上の地震が発生した場合には、地震によって発生する応力によって内装材22が変形して干渉材32が圧縮される。そして、干渉材32が圧縮されることにより、液体注入部32Aから干渉材32内に封入された着色液体が液体吸収部材30に放出され、液体吸収部材30が変色することにより劣化マーク18が出現する。従って、着脱可能な巾木24を取り外して、液体吸収部材30の変色、すなわち劣化マーク18を確認することによって、劣化診断を容易に行うことができる。
【0056】
また、液体吸収部30の変色度合から劣化度合を確認することも可能となり、震度の大きさに応じて異なる状態の劣化マーク18として出現させることができる。
【0057】
なお、干渉材32に封入する着色液体の代わりに、芳香性のある液体を注入して、臭いの発散によって劣化を診断するようにしてもよい。
【0058】
続いて、上述のように出現する劣化マーク18や劣化マーク18として利用できる壁面の割れ等を利用して建物の劣化診断を行う建物の劣化診断システムについて説明する。
【0059】
図4は、本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの構成を示すブロック図である。なお、以下では、劣化マーク18として、上述した劣化マーク18を用いるようにしてもよいが、間仕切り端部の割れを劣化マーク18として用いた場合を例に説明する。
【0060】
建物の劣化診断システム40は、図4に示すようにパーソナルコンピュータ42を含んで構成されている。パーソナルコンピュータ42は、CPU44、ROM46、RAM48、及び入出力ポート50を備えており、これらがアドレスバス、データバス、制御バス等のバス52を介して互いに接続されている。
【0061】
入出力ポート50には、各種の入出力機器として、ディスプレイ54、マウス56、キーボード58、ハードディスク(HDD)60、及び各種ディスク62からの情報を読み出すためのディスクドライブ64が各々接続されている。
【0062】
また、入出力ポート50には、ネットワーク66が接続されており、ネットワーク66に接続されたデータベース(DB)68等との情報の授受が可能とされている。
【0063】
DB68には、建物の劣化を診断するための各種情報が記憶されている。各種情報としては、例えば、図5(A)に示すように、建物重量及び剛性毎に、地震の震度に応じて発生する間仕切り端部の割れ数が記憶される。間仕切り端部の割れ数は、実験等によって予め求めたものであり、建物の劣化を診断するための基準値として記憶される。また、図5(B)に示すように、メンテナンス履歴等の情報もデータベース68に記憶される。
【0064】
また、パーソナルコンピュータ42のHDD60には、建物の劣化を診断するための劣化診断プログラムがインストールされている。劣化診断プログラムは、地震等の災害が発生した場合に、間仕切り端部の割れ数を検出して、マウス56やキーボード58等を用いて入力することにより、DB68に記憶された基準値等の情報を読み出して比較し、建物の劣化を診断するものである。
【0065】
なお、劣化診断プログラムをパーソナルコンピュータ42にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、劣化診断プログラムをセットアッププログラムと共に各種ディスク62に記録しておいき、ディスク62をパーソナルコンピュータ42のディスクドライブ64にセットし、CPU44に対してセットアッププログラムの実行を指示すれば、ディスク62から劣化診断プログラムが順に読み出され、HDD60に書き込まれることによりインストールが行われる。また、劣化診断プログラムが、公衆電話回線やネットワーク(例えば、LAN、インターネット、及び無線通信ネットワーク等)66を介してパーソナルコンピュータ42と接続される他の情報処理機器の記憶装置に記憶され、パーソナルコンピュータ42が情報処理機器と通信することで、情報処理機器からパーソナルコンピュータ42へ劣化診断プログラムが伝送されてHDD60にインストールされる構成を採用してもよいし、ネットワーク66に接続された情報処理機器に記憶された劣化診断プログラムをパーソナルコンピュータ42で実行可能な構成を採用するようにしてもよい。
【0066】
次に、上述のように構成された本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システム40において、上述の劣化診断プログラムの実行が指示された場合の処理の流れを説明する。図6は、本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムにインストールされた劣化診断プログラムが実行された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0067】
劣化診断プログラムの実行が指示されると、ステップ100では、発生した地震の震度及び地震によって出現した内装材等の端部の割れ数を入力するための画面がディスプレイ54に表示されてステップ102へ移行する。
【0068】
ステップ102では、震度及び端部割れ数の入力が行われたか否かがCPU44によって判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ104へ移行する。すなわち、待機中に、例えば、震度の入力は、災害情報センタ等から震度情報を取得したり、テレビやラジオ等の情報を取得して、マウス56やキーボード58等を介して入力すると共に、端部割れ数については、ユーザや建物管理会社が建物を確認して確認結果をマウス56やキーボード58等を介して入力することにより、当該判定が肯定される。なお、待機中に他の処理を行う指示がマウス56やキーボード58等によって行われた場合には処理を終了して指示された処理を行うようにしてもよい。
【0069】
ステップ104では、入力された震度に対応する、建物重量及び剛性に応じた端部割れ数の基準値がDB68から読み出されてステップ106へ移行する。すなわち、図5(A)に示す情報から、震度及び建物の剛性に対応する間仕切り端部の割れ数の基準値が読み出される。なお、基準値を読み出す際には、例えば、DB68が接続されたサーバ等に建物を識別するための情報を建物の剛性と共に予め登録しておき、当該識別情報と入力された震度をサーバ等にパーソナルコンピュータ42から送信することによって、サーバが識別情報に対応する剛性を特定して、サーバから震度及び剛性に対応する基準値を読み出すようにしてもよい。
【0070】
ステップ106では、読み出された基準値と、入力された間仕切り端部の割れ数とが比較されてステップ108へ移行する。
【0071】
ステップ108では、読み出された基準値以上の間仕切り端部の割れがあるか否かがCPU44によって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ110へ移行し、否定された場合にはステップ112へ移行する。
【0072】
ステップ110では、建物の劣化と判断し、劣化した建物の剛性が推定されてステップ114へ移行する。劣化の推定は、例えば、入力された震度及び間仕切り端部の割れ数に対応する剛性をDB68に記憶された情報、すなわち、図5(A)に示す情報から求めることによって劣化度合を推定することができる。例えば、地震の震度が震度4の場合、図5(A)に示すように、建物の剛性が□□の場合には、間仕切り端部の割れ数が0であるが、5の割れが発生していたとすると、図5(A)において、震度4で割れ数が5となる剛性が△△であるので、剛性が□□から△△に低減したと推定することができる。
【0073】
一方、ステップ112では、劣化なしと判断してステップ114へ移行する。
【0074】
ステップ114では、診断結果がディスプレイ54に表示されてステップ116へ移行する。例えば、ディスプレイ54に表示する診断結果としては、図5(B)に示したメンテナンス履歴情報等を表示するようにしてもよい。
【0075】
ステップ116では、履歴が記憶されて一連の処理を終了する。履歴の記憶は、例えば、DB68に記憶するようにしてもよい。また、記憶する履歴としては、図5(B)に示すように、メンテナンス履歴、建物の重量、剛性、地震被災履歴、備考(剛性の低下度合)等の情報を記憶する。
【0076】
このように、劣化マーク18の数を確認して入力することにより、建物の剛性の低下を推定することができ、メンテナンス支援が可能となる。
【0077】
なお、上述の建物の劣化診断システム40では、間仕切り端部の割れを劣化マーク18として検出するようにしたが、この他に、定型シールの外れや浮きを検出するようにしてもよいし、軒天の脱落を検出するようにしてもよいし、住宅基礎表面の塗料の剥離を検出するようにしてもよい。
【0078】
定型シールの外れや浮きを検出する場合には、定型シールを複数に分割して設け、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって配置箇所から外れたり浮くようにすることにより、劣化マーク18として機能させることができる。また、定型シールの外れや浮きの程度によって劣化度合を判断するようにしてもよい。
【0079】
また、軒天の脱落を検出する場合には、定型シール同様に予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって脱落するようにすることにより、劣化マーク18として機能させることができる。また、軒天の配置された箇所から脱落する数を検出することで劣化度合を判断するようにしてもよい。
【0080】
また、住宅基礎表面の塗料の剥離を検出する場合には、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって剥離する厚さや材料の塗料を適用することにより、塗料の剥離を劣化マーク18として機能させることができる。また、塗料が剥離する程度を検出することで劣化度合を判断するようにしてもよい。
【0081】
続いて、本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システム40の変形例について説明する。上記の実施の形態では、劣化マーク18としての間仕切りの割れをユーザや建物管理会社の社員等が検出して、マウス56やキーボード58を介して間仕切り割れ数や震度を入力する構成としたが、変形例では、地震発生時に震度情報を取得すると共に、劣化マーク18の数を自動的に検出して、建物の劣化診断を行うようにしたものである。
【0082】
図7は、本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの変形例の構成を示すブロック図である。なお、上記の実施の形態と同一構成については同一符号を付して簡単に説明する。
【0083】
変形例における建物の劣化診断システムは、図7に示すようにパーソナルコンピュータ42を含んで構成されている。パーソナルコンピュータ42は、CPU44、ROM46、RAM48、及び入出力ポート50を備えており、これらがアドレスバス、データバス、制御バス等のバス52を介して互いに接続されている。
【0084】
入出力ポート50には、各種の入出力機器として、ディスプレイ54、マウス56、キーボード58、ハードディスク(HDD)60、及び各種ディスク62からの情報を読み出すためのディスクドライブ64が各々接続されている。
【0085】
また、入出力ポート50には、ネットワーク66が接続されており、ネットワーク66に接続されたデータベース(DB)68等との情報の授受が可能とされている。
【0086】
DB68には、建物の劣化を診断するための各種情報が記憶されている。各種情報としては、例えば、図5(A)に示した例において間仕切り端部の割れ数の代わりに、建物重量及び剛性毎に、地震の震度に応じて発生する劣化マーク18の数が記憶される。劣化マーク18の数は、実験等によって予め求めたものであり、建物の劣化を診断するための基準値として記憶される。また、図5(B)に示した例において間仕切り端部の割れ数の代わりに劣化マーク18を適用した、メンテナンス履歴等の情報もデータベース68に記憶される。
【0087】
また、パーソナルコンピュータ42のHDD60には、建物の劣化を診断するための劣化診断プログラムがインストールされている。劣化診断プログラムは、地震等の災害が発生した場合に、間仕切り端部の割れ数を検出して、マウス56やキーボード58等を用いて入力することにより、DB68に記憶された基準値等の情報を読み出して比較し、建物の劣化を診断するものである。
【0088】
なお、劣化診断プログラムをパーソナルコンピュータ42にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、劣化診断プログラムをセットアッププログラムと共に各種ディスク62に記録しておいき、ディスク62をパーソナルコンピュータ42のディスクドライブ64にセットし、CPU44に対してセットアッププログラムの実行を指示すれば、ディスク62から劣化診断プログラムが順に読み出され、HDD60に書き込まれることによりインストールが行われる。また、劣化診断プログラムが、公衆電話回線やネットワーク(例えば、LAN、インターネット、及び無線通信ネットワーク等)66を介してパーソナルコンピュータ42と接続される他の情報処理機器の記憶装置に記憶され、パーソナルコンピュータ42が情報処理機器と通信することで、情報処理機器からパーソナルコンピュータ42へ劣化診断プログラムが伝送されてHDD60にインストールされる構成を採用してもよいし、ネットワーク66に接続された情報処理機器に記憶された劣化診断プログラムをパーソナルコンピュータ42で実行可能な構成を採用するようにしてもよい。
【0089】
また、変形例における建物の劣化診断システムの入出力ポート50には、監視カメラ70が接続されている。なお、監視カメラ70は、変形例では、2台が接続されているものとするが、1台としてもよいし、3台以上としてもよい。
【0090】
監視カメラ40は、外部侵入者を監視するための監視カメラを適用することができ、撮影領域を変更可能とされている。例えば、監視カメラ70の本体を回転する構成を設けて、監視カメラ70を回転することによって撮影領域変更する。監視カメラ70は、通常は、図8(A)のハッチングで示す撮影領域のように、建物の敷地の外部を中心に撮影し、建物の劣化診断を行う際に、図8(B)のハッチングで示す撮影領域のように、建物の外壁を撮影するようになっている。なお、図8の点線は敷地境界線を示す。
【0091】
また、上記の実施の形態では、間仕切り等の内装材の端部の割れ数を劣化マーク18として検出して建物の劣化診断を行うようにしたが、変形例では、上述した第1〜3構成例等の劣化マーク18を外壁材に出現させる構成を適用して、外壁材の劣化マーク18を監視カメラ70によって検出する。すなわち、建物の外壁材の初期の状態を予め撮影して撮影画像を基準撮影画像としてHDD60やDB68に予め登録しておくことにより、地震発生後に撮影した撮影画像と基準撮影画像とを比較することによって劣化マーク18を検出することができる。
【0092】
さらに、変形例では、災害情報センタ端末装置72や建物管理会社端末装置74等がネットワーク66に接続されている。災害情報センタ端末装置72や建物管理会社端末装置74は、パーソナルコンピュータ42と基本的には同一構成とされている。
【0093】
災害情報センタ端末装置72は、例えば、地震が発生した場合に、発生した地震の震度などの情報をネットワーク66に接続されたパーソナルコンピュータ42等に出力するように構成されている。すなわち、地震が発生した場合には、災害情報センタ端末装置72から出力される情報をパーソナルコンピュータ42がネットワーク66を介して取得することにより、地震の震度を自動的に取得することが可能となる。
【0094】
また、建物管理会社端末装置74は、建物を管理する建物管理会社に設けられ、パーソナルコンピュータ42で建物の劣化診断を行った際に、パーソナルコンピュータ42から送信される診断結果をネットワーク66を介して受信可能とされている。
【0095】
続いて、変形例の建物の劣化診断システムにおいて、劣化診断プログラムの実行が指示された場合の処理の流れについて説明する。図9は、本発明の実施の形態に係わる建物の劣化診断システムの変形例における劣化診断プログラムが実行された場合の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0096】
劣化診断プログラムの実行が指示されると、ステップ200では、地震情報を受信したか否かがCPU44によって判定される。該判定は、災害情報センタ端末装置72から発生した地震の震度等の情報を受信したか否かを判定し、該判定が否定された場合には、処理を終了して他の処理を実行し、判定が肯定された場合にはステップ202へ移行する。
【0097】
ステップ202では、監視カメラ70による監視領域が変更されてステップ204へ移行する。すなわち、監視カメラ70によって監視する領域が、通常の建物の敷地の外部を中心に撮影する領域から、建物の外壁を撮影するように撮影する領域が変更される。
【0098】
ステップ204では、監視カメラ70の撮影画像に基づいて建物の被災状況が検出されてステップ206へ移行する。撮影画像に基づく建物の被災状況の検出は、上述した劣化マークの数を検出する。更に具体的には、初期状態(被災前の状態)監視カメラで撮影した撮影画像を記憶しておき、被災後の撮影画像と比較(例えば、差分画像を算出)することによって劣化マーク数を検出する。
【0099】
ステップ206では、受信した震度に対応する、建物重量及び剛性に応じた劣化マーク18の数の基準値がDB68から読み出されてステップ208へ移行する。すなわち、震度及び建物の剛性に対応する劣化マーク18の数の基準値が読み出される。なお、基準値を読み出す際には、例えば、DB68が接続されたサーバ等に建物を識別するための情報を建物の剛性と共に予め登録しておき、当該識別情報と入力された震度をサーバ等にパーソナルコンピュータ42から送信することによって、サーバが識別情報に対応する剛性を特定して、サーバから震度及び剛性に対応する基準値を読み出すようにしてもよい。
【0100】
ステップ208では、読み出された基準値と、撮影画像から検出した劣化マーク18の数とが比較されてステップ210へ移行する。
【0101】
ステップ210では、読み出された基準値以上の劣化マーク数か否かがCPU44によって判定され、該判定が肯定された場合にはステップ212へ移行し、否定された場合にはステップ214へ移行する。
【0102】
ステップ212では、建物の劣化と判断し、劣化した建物の剛性が推定されてステップ216へ移行する。劣化の推定は、上述の実施の形態と同様にして、例えば、受信した震度及び劣化マーク18の数に対応する剛性をDB68に記憶された情報から求めることによって劣化度合を推定することができる。例えば、地震が震度4で、建物の剛性が□□の場合に、劣化マーク18数が0が基準値であったとし、実際には5の割れが発生していたとすると、震度4で割れ数が5となる剛性を求めることにより、劣化した剛性を推定することができる。
【0103】
一方、ステップ214では、劣化なしと判断してステップ216へ移行する。
【0104】
ステップ216では、診断結果がディスプレイ54に表示されてステップ218へ移行する。
【0105】
ステップ218では、履歴が記憶されると共に、管理会社へ診断結果や履歴情報が送信されて一連の処理を終了する。履歴の記憶は、例えば、DB68に記憶するようにしてもよい。また、記憶する履歴としては、上述の実施の形態で説明した図5(B)と同様に、メンテナンス履歴、建物の重量、剛性、地震被災履歴(図5(B)の端部割れの代わりに劣化マーク数)、備考(剛性の低下度合)等の情報を記憶する。
【0106】
このように、変形例では、劣化マーク18を自動的に検出して建物の剛性の低下まで推定することができ、メンテナンス支援が可能となる。
【0107】
また、建物の管理会社へ診断結果や履歴が送信されるので、建物の管理会社では、地震に対する復旧等を迅速に行うことが可能となる。
【0108】
なお、上記の実施の形態では、各種劣化マークを出現させる例を説明したが、上記に限るものではなく、例えば、定型シールの材質を圧縮応力の大小によって色の変化が発生する材質を利用して色の変化を劣化マーク18として出現させるようにしてもよい。あるいは、定型シールのつぶれ具合を劣化マーク18としてもよい。
【0109】
また、上記の建物の劣化診断システムでは、建物1棟全体の間仕切り端部の割れや劣化マーク18を検出して劣化診断を行うようにしたが、建物の1階や2階の間仕切り端部の割れや劣化マーク18を個別に管理して、劣化診断を行うようにしてもよいし、建物の南北方向あるいは東西方向の箇所数を別々に管理し、劣化診断を行うようにしてもよいし、東西南北のそれぞれの面を別々に管理して、劣化診断を行うようにしてもよいし、これらを複合して劣化診断を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10、20 内装材
12、24 巾木
14、32 干渉材
16 カプセル
18 劣化マーク
20A 表皮材
28 内壁
30 液体吸収部材
32A 液体注入部
40 建物の劣化診断システム
42 パーソナルコンピュータ
56 マウス
58 キーボード
68 DB
70 監視カメラ
72 災害情報センタ端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定めた震度以上の地震が発生した場合に、前記地震によって発生した応力によって劣化マークを建物の一部に出現させる出現手段を備えた建物。
【請求項2】
前記出現手段は、前記応力によって破断する容器に液体が収納され、前記応力によって前記容器が破断して前記液体が流出することにより前記劣化マークを出現させる請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記容器を複数備え、それぞれ破断する前記応力が異なると共に、それぞれ異なる種類の前記液体が収納される請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記出現手段は、壁面端部の変色または割れを発生させることにより前記劣化マークを出現させる請求項1に記載の建物。
【請求項5】
前記出現手段は、表面と内部の色が異なる前記壁面端部を有し、前記応力による押圧または引張力で前記壁面端部が破断して、表面とは異なる内部の色が露出することにより前記変色を発生させる請求項4に記載の建物。
【請求項6】
前記出現手段は、建物の壁と床または天井との間に介在する干渉材に前記劣化マークを出現させる請求項1〜5の何れか1項に記載の建物。
【請求項7】
前記出現手段は、前記劣化マークを震度の大きさに応じて異なる状態で出現させる請求項1〜6の何れか1項に記載の建物。
【請求項8】
地震が発生した場合に地震の震度を取得手段によって取得する震度取得ステップと、
震度毎に建物に生じる変化を予め測定した測定結果を記憶する記憶手段から前記震度取得ステップで取得した震度に対応する前記変化を読み出す読出ステップと、
地震が発生した場合の実際の前記変化を検出し、検出した結果を入力手段によって入力する入力ステップと、
前記読出ステップで読み出した前記変化と、前記入力ステップで入力した実際の前記変化と、を比較することにより、建物の構造体の劣化を判断する判断ステップと、
を有する建物の劣化診断方法。
【請求項9】
前記変化は、建物に設けられた定型シールの外れ又は浮きである請求項8に記載の建物の劣化診断方法。
【請求項10】
前記定型シールは、複数に分割され、かつ所定の震度以上の地震によって発生する応力によって配置箇所から外れる又は浮く請求項9に記載の建物の劣化診断方法。
【請求項11】
前記記憶手段は、建物の剛性毎に前記測定結果を記憶し、
前記判断ステップは、前記読出ステップで読み出した前記変化よりも前記入力ステップで入力した実際の前記変化の方が大きい場合に、前記入力ステップで入力した実際の前記変化と震度に対応する前記記憶手段に記憶された建物の剛性を読み出すことによって前記構造体の劣化の程度を判断する判断する請求項8〜10の何れか1項に記載の建物の劣化診断方法。
【請求項12】
前記変化は、軒天の脱落として出現するものである請求項8に記載の建物の劣化診断方法。
【請求項13】
前記変化は、住宅基礎表面の塗料の剥離として出現するものである請求項8に記載の建物の劣化診断方法。
【請求項14】
地震が発生した場合に地震の震度を表す震度情報を取得する取得手段と、
地震が発生した場合に、予め定めた震度以上の地震によって発生する応力によって建物の一部に出現する劣化マークを検出する検出手段と、
建物の一部に出現する前記劣化マーク数を震度毎に予め測定した測定結果を記憶する記憶手段と、
前記検出手段の検出結果と、前記記憶手段に記憶された前記測定結果と、を比較することにより、建物の剛性低下を推定する推定手段と、
を備えた建物の劣化診断システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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