説明

建物のパラメータ化されたグラフィック描写

【課題】建物のパラメータ化されたグラフィック描写を生成する方法を提供する。
【解決手段】外観制御データを確立する(ステップS2)。外観制御データは、建物のパラメータ化された建築的フィーチャと、建物ブロックとに関する情報を含む。建物ブロックは、建物のフラグメントである。次に、外観制御データ中の参照情報に基づいて、データベースからテンプレートデータを検索する(ステップS3)。テンプレートデータは、建物ブロックの事前作成されたグラフィック描写に関連する。その後、各建物ブロックについて、テンプレートデータそれぞれおよび外観制御データに基づいて建物ブロックの3dグラフィック描写を計算し(ステップS4)、外観制御データに基づいて建物ブロックの3dグラフィック描写を組み合わて(ステップS5)、建物の3dグラフィック描写を生成する(ステップS6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の3次元グラフィック描写を生成する方法と、建物のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報を含む外観制御データを含むデータベースを生成する方法と、車両ナビゲーションシステムとに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子マップを用いたナビゲーションが普及し続けている。電子マップは、例えば車両を運転中のユーザに誘導および方向案内を提供するために、車両ナビゲーションシステムにおいて用いられる。詳細には、2次元(2d)電子マップまたは3次元(3d)電子マップに建物のグラフィック描写が付与され得る。詳細には、建物(例えば、ランドマークまたは主要ポイント(POI))の3dモデルを電子マップ内に設けることで、ユーザへの方向案内が促進される。このように、建物のグラフィック描写のユーザにとっての認知値は高いため、ユーザは、電子マップグラフィック描写を使って運転している間、視覚的印象を容易に関連付ける。
【0003】
しかし、3dモデルを建物のグラフィック描写として提供することは、いくつかの理由に起因して、少量の建物に限定されている。
【0004】
第1の理由として、3dモデルの生成が異なる技術に基づいている点がある(例えば、表面モデルの形態の3dモデルまたはパラメータ化されたモデル(CSGモデル)の形態の3dモデル)。CSGモデルの場合、ブール演算を用いており、機械工学または航空機工学において用いられることが多い。このような基本的幾何学的形状に基づいた3dモデルの生成の場合、特に手動操作が多く必要となる。各モデルは典型的には、3d設計者によって個々のプロセスにおいて生成される。設計者は、実際の建物を正確に表現する3dモデルの生成を試行する。このようなプロセスは高コストでありまた手間もかかるため、3dモデルの生成は典型的には、都市部の極めて顕著なランドマークに限られていた。
【0005】
別の理由として、多角形またはCSGモデルに基づいて3dモデルを保存するためには、大量のメモリが必要となる。そのため、多数のモデルを保存すると、メモリ要求を満たすことが困難となる。
【0006】
別の理由として、例えば車両ナビゲーション装置内の計算リソースには限りがあるため、同時表示される基本的幾何学的形状の数も制限する必要がある。典型的には、グラフィカルプロセスまたは(GPU)において、3dモデルが計算される。大量の3dモデルの計算において、このように計算リソースに限りがある場合、各3dモデルに用いられる多角形の量も制限され得る。このように多角形の量が制限された場合、モデルの一般化が必要となる。この文脈において、「一般化」とは、建物のあるフィーチャを3dモデルから省略することを指す。しかし、一般化についての指針は存在しない。その後、一般化の種類および帳を3d設計者の裁量範囲内に収める。このように、一般化は3d設計者の主観的印象に基づいているため、建物間の一般化の差異が発生し得る。その結果、建物モデルを含む電子マップの印象がユーザにとって矛盾を含むものとなり得る。このように、建物の表現が任意かつ調和のとれていない様態で行われる場合がある。
【0007】
さらなる理由として、建物のモデルを生成するためには、典型的には空中写真とさらには例えば地上の高解像度画像から得られたデータとを入手する必要がある。このようなデータを取得するためには、多大な労力が必要となる。そのため、3dモデルの生成が高コストとなる。
【0008】
さらに別の理由として、3dモデルの生成は、個々の3d設計者によって行われる個々のプロセスであるため、誤差(例えば、基本的幾何学的形状(例えば、多角形)の組み立ての間違いあるいは交差しているかまたは間違って組み立てられた多角形の利用)が発生する。3dモデルの量に起因して、完全性の確認には高コストおよび手間が必要となる。
【0009】
これらの理由全てに起因して、モデル生成は概ね都市部に限られ、あるいは可能な場合でも都市部外の顕著な個々のランドマークまたはPOIに限られている。詳細には、画像データの取得コストが高すぎるため、小都市部または農村部における3dモデルは実現できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、ユーザによる認知値が高い建物のグラフィック描写を生成する向上した方法を提供することが必要とされている。この必要性は、独立請求項の特徴によって満たされる。従属請求項において、実施形態が記述される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
態様によれば、建物の3次元(3d)グラフィック描写を生成する方法が提供される。前記方法は、前記建物および建物ブロックのパラメータ化された建築的フィーチャについての情報を含む外観制御データを確立するステップを含む。前記建物ブロックは、前記建物のフラグメントである。前記方法は、前記外観制御データ中の参照情報に基づいて、データベースからテンプレートデータを検索するステップをさらに含む。前記テンプレートデータは、前記建物ブロックの事前作成されたグラフィック描写に関連する。前記方法は、各建物ブロックについて、前記各テンプレートデータおよび前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの3dグラフィック描写を計算するステップをさらに含む。前記方法は、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの前記3dグラフィック描写を組み合わせて、前記建物の3dグラフィック描写を生成するステップをさらに含む。
【0012】
前記建物および前記建物の建物ブロックのパラメータ化された建築的フィーチャについての情報を含む外観制御データを確立することにより、建物の高認知値に結果するする3dグラフィック描写を提供するためのロバストかつ低コストな方法が提供される。基本的幾何学的形状(例えば、多角形)に基づいて3dグラフィック描写を生成する代わりに、基本的建築的フィーチャ(例えば、1階、屋根)に関連する建物ブロックから建物のグラフィック描写を生成する。前記建物ブロックの事前作成されたグラフィック描写により、当該建物のグラフィック描写の生成を高速かつフェールセーフ的に行うことが可能となる。
【0013】
さらに、建物ブロックの数は本質的に限定されており、1つの建物ブロックを異なる建物の多数のグラフィック描写のために用いることができる。従って、各建物について全情報を保存した場合と比較してメモリ要求の大幅な低減が可能となる。例えば、従来の場合、1つの建物の各グラフィック描写について、全情報を例えば多角形によって構成された3dモデルの形態で個々に保存していた。しかし、前記態様によれば、異なるグラフィック描写のために個々に必要する必要があるのは、ある建物ブロック/テンプレートデータを示す参照情報のみである。よって、必要なメモリ量の大幅な低減が可能となる。
【0014】
この場合、建物のグラフィック描写は、当該建物の1対1の電子的再現に関連するのではなく、ユーザがある建物のグラフィック描写を認識するために必要な最も関連の深い建築的フィーチャを含むグラフィック描写に関連し得る。
【0015】
さらに、建物の各グラフィック描写は同じ組の基本的建物ブロックに関連しているため、異なる建物の3dグラフィック描写が標準化および調和化される。従来の場合、異なるグラフィック描写を異なる3d設計者が生成していた。異なる3d設計者が異なる指針を用いていた場合もあるし、あるいは形式的な建築的フィーチャを異なって解釈していた場合もあった。そのため、グラフィック描写も不規則に生成され、製図技師によるグラフィック描写によって大きく影響された。前記態様によれば、事前作成された1組の建物ブロックおよびテンプレートデータを提供することにより、より調和のとれた1組のグラフィック描写を得ることができる。
【0016】
詳細には、例えばGPUによってテンプレートデータから3dグラフィック描写を計算するための計算労力が最小化される。なぜならば、前記テンプレートデータは、既に建物ブロックのグラフィック描写に関連付けられているからである。よって、その後は、制限された(例えば、最適化された)量の前記建物ブロックの3dグラフィック描写を計算するだけでよく、その後前記建物ブロックを組み立てることで、前記建物全体のグラフィック描写を形成する。
【0017】
例えば、外観制御データは、少なくとも以下の情報を含み得る:3dグラフィック描写に用いられる建物ブロックの数およびテンプレートデータを参照する建物ブロックの種類情報。
【0018】
詳細には、前記種類情報は、前記建物のフラグメントに対する建物ブロックに関連し得る。前記建物のフラグメントは、以下を含む群から選択される:1階、屋根、塔部、建物増築部。
【0019】
従って、異なる建物について、前記外観制御データは、建物ブロックの数および種類についての異なる情報を含み得る。例えば、典型的にはカテドラルは、例えば郊外地域内の住宅と異なる数および異なる種類の建物ブロックを含み得る。すなわち、郊外地域内の住宅が1階および屋根に関連する建物ブロックのみを含み得るのに対し、カテドラルは、建物増築部と、いくつかの塔部と、1階と異なる屋根形状とを含み得る。
【0020】
詳細には、前記異なるテンプレートデータは、異なる種類情報を有する建物ブロックに対して提供され得る。例えば、種類情報が「1階」であるテンプレートデータは、種類情報が「塔部」であるテンプレートデータと異なる形態または形状を持ち得る。
【0021】
詳細には、前記外観制御データは、種類情報が1階に関連している少なくとも1つの建物ブロックを必ず含むかもしれない。1階は、多くの建物の基本的建物ブロックであり得る。従って、種類情報が1階である建物ブロックを任意の建物に含めることが必要であり得る。前記種類情報は、例えば参照建物ブロックとして用いられる。
【0022】
さらに、前記外観制御データは、少なくとも1つの建物ブロックについての情報を含み得る。前記少なくとも1つの建物ブロックは、以下を含む群から選択される:幅、深さ、高さ、色、テクスチャリング、回転、対称性、他の建物ブロックに対する相対的位置、地理的位置。このような情報を用いて、前記異なる建物ブロックを適合させかつ組み立てることができる。例えば、ある建物ブロックの幅、深さおよび高さを指定することにより、前記ある建物ブロックのサイズを実際の対応部分に基づいて適合させることができ、これにより、実際の建物の最良のグラフィック描写の提供が可能となる。また、特定の色お/またはテクスチャリングにより、ユーザの認知値を増加させることが可能となる。
【0023】
建物の3dグラフィック描写の生成のために外観制御データに基づいて建物ブロックの3dグラフィック描写を組み合わせる際、他の建物ブロックに対する回転、対称性および相対的位置を用いることができる。前記外観制御データ内に含まれる建物ブロックの地理的位置は、前記建物の実際の地理的位置に関連し得る。例えば、上記に概要を示した1階が参照建物ブロックとして機能する場合、前記1階は、当該建物の地理的位置を指定し得る。その後、前記1階に対する相対的位置を規定する相対的位置値を用いて、その他の建物ブロックを配置することができる。
【0024】
さらに、前記テンプレートデータを以下を含む群から選択することができる:2次元形状、3dモデル。ある場合において、前記テンプレートデータを3dモデルの形態で提供することが望ましい場合があり、他の場合において、前記テンプレートデータを2次元形状の形態で提供することが望ましい場合がある。例えば、建物ブロックの種類情報が「塔部」に関連する場合、前記テンプレートデータは、前記塔部の3dモデルの形態であり得る。
【0025】
例えば、教会の場合、同じ地理的領域内において同じ時期に建築された教会は、塔部の外観(例えば、「ゴシックスタイル」または「バロックスタイル」)が極めて類似している場合がある。これを建築的フィーチャの形式言語と呼ぶ。従って、ある限られた数の塔部形状の3dモデルの形態のテンプレートデータを提供することが実現可能であり得る。その後、前記塔部の実際の外観に最も整合するテンプレートデータを選択することにより、ユーザに対する高い認知値を達成することができ、前記グラフィカル外観を任意選択的にさらに(例えば、前記塔部のテクスチャリングを介して)改変する。この意味において、3次元グラフィック描写の生成は、1対1で対応する建物の電子コピーを生成するステップに関連するのではなく、ユーザに対して高い認知値を有する前記建物のパラメータ化されたグラフィック描写を生成するステップに関連し得る。これは、(基本的幾何学的建物ブロック(例えば、多角形)についての)パラメータ化された建築的フィーチャについての情報を含む外観制御データを用いることにより、達成される。
【0026】
しかし、上記において概要を述べた通り、前記テンプレートデータは、2次元形状の形態で提供することもできる。その後、建物ブロックの前記3d表現を計算するステップは、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの3dモデルをレンダリングするステップを含み得る。前記レンダリングするステップは、前記外観制御データによって参照される各テンプレートデータの2次元形状を押し出すことにより、行われる。この文脈において、「押し出す」とは、2d形状をベース領域として用いて3d形状を生成することを指し得る。
【0027】
建物ブロックの3dグラフィック描写を計算するステップは、前記外観制御データに基づいて、前記建物ブロックの3dモデル上に行われる少なくとも1つの操作をさらに含み得る。前記少なくとも1つの操作は、以下を含む群から選択される:スケーリング、回転、スキューイング、色付けおよびテクスチャリング。このような操作を行うことにより、建物ブロックの3dモデルをさらに適合させて、ユーザに対する認知値を増加させることができる。
【0028】
その後、前記建物ブロックの前記3dグラフィック描写を組み合わせるステップは、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの3dモデルを相互に配置および取り付けるステップを含み得る。前記異なる建物ブロックの前記3dモデルを上記に概要を述べたように入手した後、前記建物ブロックを相互に組み合わせおよび配置することにより、前記建物そのものの3dグラフィック描写を得ることができる。前記異なる建物ブロックを組み合わせる様態および配置する様態についての情報は、外観制御データ内に含めることができる。例えば、前記外観制御データは、前記異なる建物ブロックの相互の(例えば、1階に対する)相対的位置についての情報を含み得る。その後、例えば、塔部を1階の外側へと取り付け、屋根を1階の上部へと取り付けることが可能である。これから、例えば、異なる建物ブロック(例えば、1階、塔部および屋根)のグラフィック描写を組み合わせることにより、教会全体を組み立てることができる。
【0029】
さらに、前記建物ブロックの前記3dグラフィック描写を組み合わせるステップは、前記外観制御データに基づいて前記建物の3dモデル上に行われる少なくとも1つの操作をさらに含み得る。前記少なくとも1つの操作は、以下を含む群から選択される:スケーリング、回転、スキューイング、色付けおよびテクスチャリングリング。
【0030】
さらに、前記外観制御データは、以下を含む群から選択された要素に基づいて確立され得る:建物の種類、前記建物の建築的分類、前記建物の地理的位置および画像データ。例えば、教会のグラフィック描写が必要な場合、前記建物の建築的分類および前記建物の地理的位置と組み合わされた低解像度画像データのみに基づいて外観制御データを確立することが可能である。例えば、当該建物がイタリア北部に位置するゴシック教会であることが分かっている場合、少量の画像データを用いて、前記教会の構成要素が(この時期の教会において典型的であるように)2つの塔部と、1つの翼廊と、1つの長軸端であることを確認することができる。例えば、屋根の外観は、ある領域内のゴシック教会内の屋根の外観についてのいくつかの一般的知識から得ることができる。その後、この限られた量の情報に基づいて、このようにして確立された高認知値を有する外観制御データに基づいた前記教会のグラフィック描写を計算することができる。
【0031】
本発明のこの態様による方法は、電子マップ内の建物の生成されたグラフィック描写を表示するステップをさらに含み得る。
【0032】
さらなる態様によれば、外観制御データを含むデータベースを生成する方法が提供される。前記外観制御データは、建物のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報と、建物ブロックとを含む。前記建物ブロックは、前記建物のフラグメントである。前記方法は、以下を含む群から選択された情報に基づいて、前記建物のパラメータ化情報を生成するステップを含む:建物の種類、前記建物の建築的分類、前記建物の地理的位置および画像データ。前記方法は、前記パラメータ化情報に基づいて前記建物を建物ブロックに断片化するステップと、前記データベース建物ブロック中のパラメータ化情報に基づいて前記外観制御データを生成し、前記データベース中に保存するステップとをさらに含む。
【0033】
限られた量の情報(例えば、建物の種類、前記建物の建築的分類、前記建物の地理的位置および画像データ)に基づいて前記建物のパラメータ化情報を生成することにより、前記外観制御データを含む前記データベースを生成するための労力を低減することができる。さらに、これと同時に、前記データベース中に含まれる外観制御データによって指定されるグラフィック描写の認知値が高くなるように、前記外観制御データを生成することができる。
【0034】
上記に概要を述べたように、建物の建築的分類と、限られた量の画像データとを共に用いることで、前記建物のパラメータ化情報を効率的に生成することができる。前記画像データは、例えば、空中画像と、走行中の車両から撮影された低解像度画像とからなり得る。
【0035】
外観制御データを含むデータベースの生成は、比較的容易に入手可能な情報と、1組の事前作成されたパラメータ化建物ブロックとのみに依存しているため、大量の建物の外観制御データを提供することが可能である。例えば、電子マップにおいて、主要ポイント(POI)の3dグラフィック描写を用いて描写されたPOI数が大幅に増加し得る。上記に概要を述べたように、計算労力およびメモリ要求が大幅に低減したことにも起因する。
【0036】
以下のうち少なくとも1つを自動的に発生させることが可能である:前記パラメータ化情報を生成するステップ、パラメータ化情報を建物ブロックへと関連させる事前規定されたパラメータ化関数に基づいて、前記建物を断片化するステップ。建物のパラメータ化情報の生成に影響を与える因子量が最小化された後、さらに、事前規定された1組の建物ブロックを用いて前記建物を断片化する。これらの操作は自動的に行うこともできるしあるいは少なくとも部分的に自動的に行うこともでき、その結果、時間およびコストの面において必要な労力量が低減する。
【0037】
例えば、ある地理的領域内の複数の建物について、パラメータ化情報を自動的にまたは部分的に自動的に生成することができる。典型的には、ある地理的領域内において、建物の外観は、大幅に変化しない(例えば、ドイツ南部内の家屋は、多数の共通の特徴を有する建築的フィーチャを用いて分類することができる)。
【0038】
さらに、前記パラメータ化関数は、ランダム寄与を含み得る。前記ランダム寄与において、事前規定されたマージン内において、建物が建物ブロックへとランダムに断片化される。これを行うことにより、パラメータ化情報および建物ブロックを自動的に生成する際、このようにして生成された電子マップ内の各建物の外観が同一にならないようにすることが確実に可能となる。例えば、住宅地において、住宅毎に外観が若干異なる場合がある。これにより、より不均一な生成が可能となり、これにより、外観制御データを含むデータベースの生成において高レベルの原子化を利用しつつ、地理的領域のより実際的な表現が可能となる。
【0039】
さらなる態様によれば、車両ナビゲーションシステムが提供される。前記車両ナビゲーションシステムは、データベースを含む。前記データベースは、外観制御データと、テンプレートデータと、グラフィカルプロセッサとを含む。前記外観制御データは、建物および建物ブロックのパラメータ化された建築的フィーチャについての情報を含む。前記建物ブロックは、前記建物のフラグメントである。前記テンプレートデータは、前記建物ブロックのグラフィック描写に関連する。前記グラフィカルプロセッサは、前記各テンプレート制御データおよび前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの3dグラフィック描写を計算するように、構成される。前記グラフィカルプロセッサは、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロックの3dグラフィック描写を組み合わせて前記建物の3dグラフィック描写を生成するるように、構成される。前記車両ナビゲーションシステムは、ディスプレイをさらに含む。前記ディスプレイは、前記建物の3dグラフィック描写を含む電子マップを表示するように、構成される。
【0040】
このような車両ナビゲーションシステムにおいて、本発明のその他の態様について記載した効果を得ることが可能である。
【0041】
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
建物の3次元(3d)グラフィック描写を生成する方法であって、
−情報を含む外観制御データを確立するステップであって、上記情報は、上記建物(1)のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報と、上記建物のフラグメントである建物ブロック(2〜5)とに関する情報を含む、ステップと、
−上記外観制御データ中の参照情報に基づいてテンプレートデータ(32〜35)をデータベースから検索するステップであって、上記テンプレートデータは、上記建物ブロック(2〜5)の事前作成されたグラフィック描写に関連する、ステップと、
−各建物ブロック(2〜5)について、それぞれのテンプレートデータ(32〜35)と上記外観制御データとに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップと、
−上記外観制御データに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を組み合わせて、上記建物(1)の3dグラフィック描写を生成するステップと、
を含み、
上記外観制御データは、少なくとも、上記3dグラフィック描写に用いられる建物ブロック(2〜5)の数の情報、および上記テンプレートデータを参照する上記建物ブロック(2〜5)についての種類情報を含む、
方法。
(項目2)
少なくとも1つの建物ブロックに対して、上記種類情報は、上記建物ブロック(2〜5)を上記建物のフラグメントに関連付け、上記フラグメントは、1階、屋根、塔部および建物増築部を含む群から選択される、上記項目に記載の方法。
(項目3)
上記外観制御データは、少なくとも1つの建物ブロックについての情報を含み、上記情報は、幅、深さ、高さ、色、テクスチャリング、回転、対称性、他の建物ブロックに対する相対的位置および地理的位置を含む群から選択される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目4)
上記テンプレートデータ(32〜35)は、2次元形状および3dモデルを含む群から選択される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目5)
建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップは、上記外観制御データに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の3dモデルをレンダリングするステップを含み、上記レンダリングするステップは、上記外観制御データによって参照される上記テンプレートデータ(32〜35)それぞれの2次元形状を押し出すことによって行われる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目6)
建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップは、上記外観制御データに基づいて少なくとも1つの操作を上記建物ブロックの3dモデルに行うステップを含み、上記少なくとも1つの操作は、スケーリング、回転、スキューイング、色付け、およびテクスチャリングを含む群から選択される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目7)
上記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を組み合わせるステップは、上記外観制御データに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の3dモデルを相互に配置および取り付けるステップを含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目8)
上記外観制御データは、建物の種類、上記建物の建築的分類、建物の地理的位置および画像データを含む群から選択された要素に基づいて確立される、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目9)
−上記建物の生成された3dグラフィック描写を電子マップ内に表示するステップ、
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目10)
外観制御データを含むデータベースを生成する方法であって、上記外観制御データは、建物のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報、および上記建物のフラグメントである建物ブロックに関する情報を含み、上記方法は、
−建物の種類、上記建物の建築的分類、建物の地理的位置および画像データを含む群から選択された情報に基づいて、上記建物のパラメータ化情報を生成するステップと、
−上記パラメータ化情報に基づいて、上記建物を建物ブロックへと断片化するステップと、
−上記パラメータ化情報および建物ブロックに基づいて上記外観制御データを生成し、上記外観制御データを上記データベース内に保存するステップと、
を含む、方法。
(項目11)
上記パラメータ化情報を生成するステップと、事前規定されたパラメータ化関数に基づいて上記建物を断片化するステップと、パラメータ化情報を建物ブロックと関連付けるステップとのうち少なくとも1つは自動的に発生する、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
上記外観制御データを含むデータベースは、上記項目のいずれかに記載の方法に従って外観制御データを確立するために用いられる、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
車両ナビゲーションシステムであって、
−データベース(10、11)であって、建物(1)のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報と上記建物のフラグメントである建物ブロック(2〜5)に関する情報を含む外観制御データと、上記建物ブロック(2〜5)の事前作成されたグラフィック描写に関連するテンプレートデータ(32〜35)とを含む、データベース(10、11)と、
−グラフィカルプロセッサ(12)であって、上記グラフィカルプロセッサ(12)は、それぞれのテンプレートデータ(32〜35)と上記外観制御データとに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算し、上記外観制御データに基づいて上記建物ブロック(2〜5)の上記3dグラフィック描写を組み合わせて上記建物(1)の3dグラフィック描写を生成するように構成され、
上記外観制御データは、上記3dグラフィック描写のために用いられる建物ブロック(2〜5)の数と、上記テンプレートデータを参照する上記建物ブロック(2〜5)の種類情報とについての情報を少なくとも含む、グラフィカルプロセッサ(12)と、
−上記建物(1)の3dグラフィック描写を含む電子マップを表示するように構成されたディスプレイ(13)と、
を含む、車両ナビゲーションシステム。
(項目14)
項目2〜9のうちいずれかに記載の方法を行うように構成された、上記項目に記載の車両ナビゲーションシステム。
【0042】
(摘要)
本発明は、建物の3次元(3d)グラフィック描写を生成する方法に関する。前記方法は、外観制御データを確立するステップを含む。前記外観制御データは、前記建物(1)のパラメータ化された建築的フィーチャと、建物ブロック(2〜5)とに関する情報を含む。前記建物ブロック(2〜5)は、前記建物のフラグメントである。前記方法は、前記外観制御データ中の参照情報に基づいて、データベースからテンプレートデータを検索するステップも含む。前記テンプレートデータは、前記建物ブロック(2〜5)の事前作成されたグラフィック描写に関連する。その後、前記方法は、各建物ブロック(2〜5)について、前記テンプレートデータそれぞれおよび前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップと、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の前記3dグラフィック描写を組み合わて、前記建物(1)の前記3dグラフィック描写を生成するステップとをさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【図1】車両ナビゲーションシステムの模式図である。
【図2】建物の3dグラフィック描写を図示する。
【図3】建物のグラフィック描写の建物ブロックの異なる組み合わせを示す。
【図4】種類情報が「1階」である異なるテンプレートデータを示す。
【図5】種類情報が「屋根」である異なるテンプレートデータを示す。
【図6】種類情報が「塔部」である異なるテンプレートデータを示す。
【図7】3dモデルの形態をした異なる建物ブロックを示す。
【図8】種類情報が「増築部」である異なるテンプレートデータを示す。
【図9】本発明の態様によるフローチャートである。
【図10】本発明のさらなる態様によるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
車両ナビゲーションシステム20の模式図1である。車両ナビゲーションシステム20は、2つのデータベース10および11と、グラフィカルプロセッサ12と、ディスプレイ13と、ヒューマンインターフェース装置14と、デジタルマップデータベース15と、プロセッサ16とを含む。
【0045】
図1において、データベース10は、外観制御データを含む。前記外観制御データは、異なる建物および建物ブロック上のパラメータ化された建築的フィーチャについての情報を含む。前記建物ブロックは、前記建物のフラグメントである。データベース11は、テンプレートデータを含む。異なるテンプレートデータは、前記建物ブロックの事前作成されたグラフィック描写に関連する。前記建物ブロックは、例えば、1階、屋根、塔部およびある建物の建物増築部に関連する。前記異なる建物ブロックの数および種類は、建物によって異なる。建物ブロックの種類は、一定の種類情報を介して特定される。前記種類情報および建物ブロック数はどちらとも外観制御データ中に含まれる。前記外観制御データ中は、データベース10中に保存される。
【0046】
建物の3dグラフィック描写は、先ずグラフィカルプロセッサ(GPU)12中の外観制御データによって参照される各建物ブロックの3dグラフィック描写を計算することにより、得られる。ここで、テンプレートデータは、2次元形状またはさらには3次元モデルに関連し得る。その後、前記テンプレートデータは前記外観制御データによって参照される個々の建物ブロックの事前作成されたグラフィック描写に既に関連しているため、GPU12に必要なのは、異なる建物ブロックのグラフィック描写を得るためにそれぞれ少ない計算労力ですむ限られた量の計算ステップを行うことだけである。このような計算操作は、前記2次元形状を押し出して3dモデルを得るステップと、前記3dモデルのスケーリング、回転、スキューイング、色付けまたはテクスチャリングを行うステップとを含み得る。これらの操作のうちどれをどのような様態で行うかは、前記外観制御データによって指定される。前記外観制御データは、前記異なる建物ブロックの幅、深さ、高さ、色、テクスチャリング、回転および対称性についての情報を含む。典型的には、各計算ステップは限られた計算リソースしか必要としないため、GPU12の計算労力が低減する。その後、各個々のグラフィック描写の計算のための計算労力が少なくてすむため、GPU12は、例えば、より多数の建物のグラフィック描写を計算することができる。
【0047】
前記異なる建物ブロックの3dグラフィック描写をこのような様態で得た後、データベース10内に保存された外観制御データ中にも、建物ブロックの他の建物ブロックに対する相対的位置と、建物全体の地理的位置とについての情報が含まれる。例えば、種類情報が「1階」である建物ブロックの形態をした参照建物ブロックが、関連付けられた絶対的地理的位置と共に存在し得る。前記絶対的位置は、グラフィック描写の生成対象でありかつその後ディスプレイ13上の電子マップ内に表示される建物の地理的位置を示す。また、その他の建物ブロックの相対的位置は、前記参照建物ブロックに対して指定される。このようにすることで、GPU12が前記建物ブロックの異なる3dグラフィック描写を組み立ておよび配置して、建物全体の3dグラフィック描写を得ることが可能となる。
【0048】
建物ブロックの3dグラフィック描写について、上記に概要を示したグラフィカル操作の一部(例えば、スケーリング、回転、スキューイング)を前記建物の3dグラフィック描写のためにも行うことが可能であることが理解されるべきである。
【0049】
前記建物のグラフィック描写は、ディスプレイ13上の電子マップ内に表示することができる。ヒューマンインターフェース装置14を介して、ユーザは、前記電子マップの視野または前記電子マップを表示するためのバーチャル角度を指定し得る。このようなパラメータは、グラフィカルプロセッサ12によって計算される建物のグラフィックの描写に影響を与える。例えば、前記電子マップの視野がより小さな倍率に関連する場合、建物のグラフィック描写のスケールを相応に適応させる必要がある。よって、視野角が変化した場合、3dグラフィック描写上の視野角も変化する。
【0050】
典型的には、電子マップのあるフィーチャは3次元的に表示される。例えばヒューマンインターフェース装置14を介して視野角を適合させることが可能であるため、3dフィーチャの3dモデル(例えば、建物)を提供することが必要である。なぜならば、視野角が変化した場合、建物のグラフィック描写を示す透視画も変化する。その後、3dモデルが利用可能となった場合、3dモデルおよび視野角に基づいて、新規のグラフィック描写を容易に計算および入手することが可能となる。
【0051】
プロセッサ16は、車両ナビゲーションシステム20の異なるエンティティ間の相互作用を制御するために用いられる。例えば、プロセッサ16は、ヒューマンインターフェース装置14からグラフィカルプロセッサ12への入力の送達およびグラフィカルプロセッサ12からディスプレイ13への入力の送達を制御する。
【0052】
図1の異なるエンティティを別個に記載および議論しているが、異なるエンティティを組み合わせて1つのユニットとすることが可能であることが理解されるべきである。異なるエンティティをハードウェアまたはソフトウェアあるいはこれらの組み合わせとしてさらに実現することが可能である。
【0053】
図2において、2つの建物1のグラフィック描写が図示されている。このようなグラフィック描写は、例えば、図1のディスプレイ13上に表示された電子マップと関連して用いられ得る。これらの建物1は、教会である。左側の建物1は教会の形態をしており、1階2と、屋根3と、塔部4と、長軸端の形態をした建物増築部5とを含む。例えば、1階2は、矩形形状を有する。
【0054】
これとは違って、図2中の右側に図示される教会は、1階2を有する。1階2は、より複雑な形状を有する。なぜならば、建物1のグラフィック描写も翼廊を含むからである。従って、1階2は、十字形状を有する。また、屋根3も相応に適合される。塔部4も異なる形状である。それにも関わらず、これら個々の建物ブロックの量および種類は、図2中の図示される2つの建物1において同じである。
【0055】
図2に示すようなこれら2つの教会を形態をした建物1はどちらとも、建築的フィーチャに基づいた基本的建物ブロックから組み立てられる。この点について、以下においてさらに詳細に説明する。しかし、図2から分かるように、建物全体の組み立てにおいて限られた量の基本的建物ブロックが用いられた場合であっても、高認知値の達成が可能となる。すなわち、ユーザは、前記建物を教会またはカテドラルとして容易に特定することができる。さらには、図2に示すようなこれら2つの建物の外観を相互に区別することも可能である。
【0056】
図3について、建物ブロックのさらなる構成を教会について例示する。図3から分かるように、異なる建物ブロックを参照するテンプレートデータを変更することにより、教会の多様な異なるグラフィック描写を達成することが可能となる。図3において、教会の9個のグラフィック描写を基本的建物ブロックのみを用いて描写している。これらの基本的建物ブロックは、種類情報のテンプレートデータである1階2、塔部4、屋根3および建物増築部5を用いている。しかし、異なる建物ブロックの個々の形状、方向案内および配置は変化し、その結果グラフィック描写も変化する。
【0057】
前記異なる建物ブロックの提供のために限られた量のテンプレートデータを用いることにより、高認知値を有する建物1(図2および図3の場合においては教会)のグラフィック描写を入手することが可能となる。なぜならば、テンプレートデータの選択は、基本的幾何学的形状(例えば、多角形パラメータまたは幾何学的パラメータ)に従ってではなく建築的フィーチャの形式言語の要素に従って行われるからである。
【0058】
図4、図5および図6を参照して、異なる種類情報のテンプレートデータの可能性について、個々に異なる種類情報についてさらに詳細に示す。例えば、図4を参照して、種類情報である「1階」に関連するテンプレートデータ32が図示されている。理解されるように、テンプレートデータ32は、多様な異なる外観を有する2次元形状に関連する。例えば、単純な矩形形状または十字形状のテンプレートデータが提供される。T字型テンプレートデータ、L字型テンプレートデータまたは円形形状のテンプレートデータも提供される。このようなある建物の建築的フィーチャの形式言語に基づいた事前作成された基本的テンプレートデータから、建物ブロックのグラフィック描写の提供および計算が可能となる。詳細には、前記テンプレートデータの標準化および事前規定が可能となる。その結果、建物のグラフィック描写の生成のためのフェイルセーフな方法が可能となる。
【0059】
図5を参照して、屋根の異なるテンプレートデータが図示されている。理解されるように、多様な36個の異なる3d屋根モデルが提供される。これらの3d屋根モデルは、例えば図4に示す2次元形状を押し出すことによって得られた1階の3dモデルと容易に組み合わせることが可能である。これらの異なる屋根は、建築的フィーチャ(例えば、礼拝堂、住宅、産業建物の屋根)の形式言語に基づく。従って、前記1階の3dモデルと前記屋根の3dモデルとを組み合わせだけで、高認知値を得ることが可能となる。
【0060】
図6において、塔部のテンプレートデータ34が図示されている。この場合、前記テンプレートデータは、塔部の垂直断面を規定する2次元形状を指す。前記塔部のこのような2次元形状を提供する代わりに、テンプレートデータ34を3次元モデルの形態で提示してもよいことが理解されるべきである。テンプレートデータ34の断面2次元形状は、前記2次元形状の押出または回転などの操作により、3次元テンプレートデータ(例えば、前記塔部の3dモデル)へ変換することができる。
【0061】
図6から分かるように、テンプレートデータ34も、建築的フィーチャの形式言語に基づく。建物の歴史におけるある期間の建築的フィーチャに基づいて生成された、異なる形状の塔部が用いられる。例えば、異なるテンプレートデータ34は、世界の異なる領域内において異なる世紀において典型的な塔部(例えば、ロマネスク、ゴシック、イスラム、中世)に対応する。このようにすることで、実際の建物実際の建物と組み合わされた高認知値をユーザに提供する建物のグラフィック描写を容易に得ることが可能となる。
【0062】
図7において、建物ブロック4の異なる3dモデル(図7の場合、塔部)が図示されている。図7は、図6の2次元形状が図7中の建物ブロックの3dモデルへと遷移する様子を示す。例えば、図7中の3dモデルは、図6中の2d形状の回転から得ることができる。また、屋根に対して異なる対称性操作を施すことにより、異なるグラフィック描写を得ることが可能となる。いずれの場合においても、テンプレートデータ4の3dモデルの形態のグラフィック描写を計算するために必要な計算労力が低減する。
【0063】
図8を参照して、建物増築部に関連するテンプレートデータ35が図示されている。ここで、典型的には1階がある建物増築部によって増築される。また、図8の場合において、テンプレートデータ35は、2次元形状の形態で提示される。適切なグラフィカル操作(例えば、押出)を介して、テンプレートデータ35の2次元形状を建物ブロックの3次元モデルへと変換することが可能となる。これから、前記建物ブロックについてグラフィック描写を計算することができ、その後このグラフィック描写を組み合わせて、建物全体の3次元グラフィック描写を生成することが可能となる。
【0064】
図9において、本発明による方法を示すフローチャートが図示されている。前記方法は、ステップS1から開始する。ステップS2において、外観制御データが確立される。本発明によれば、例えば、ある建物の外観制御データをデータベースから得ることが可能である。また、さらなる態様によれば、限定された入力(例えば、画像データ、建物の種類、建物の建築的分類および建物の地理的位置)に基づいて外観制御データを生成することが可能である。例えば、建物の地理的位置およびある画像データを決定することにより、建物の建築的分類を自動的に決定することが可能である。例えば、建築的分類は、ロマネスク教会、住宅などを指定し得る。このような建築的分類および建物の地理的位置に基づいて、例えば建物の特定の建築的フィーチャについて自動的にまたは半自動的に結論を下すことが可能となる。例えば、典型的には礼拝堂のような場所は、アジアよりも欧州において外観が異なることが多い。また、例えば郊外地域における住宅も、都市の一部の中心部においた外観が異なる。そのため、このような入力から、外観制御データを確立することが可能となる。ステップS2(すなわち、外観制御データの確立)についてのさらなる詳細を図10中に示し、以下においてさらに説明する。
【0065】
図9のステップS3において、各建物について、ブロックテンプレートデータが検索される。例えば、前記テンプレートデータは、外観制御データを含む建物ブロックの数および種類についての一定の情報に基づいて、データベースから検索することができる。例えば、前記外観制御データは、一定の四角形状の1階の角部に配置された4つの塔部が建物内に存在するとの情報を含み得る。例えば参照情報をあるテンプレートデータへ提供することにより、これらの異なる塔部を前記外観制御データによってさらに指定することができる。図6を参照して詳述するように、異なるテンプレートデータを異なる塔部に提供することができる。ステップS3においてテンプレートデータを検索した後、ステップS4において、各建物ブロックについて3dグラフィック描写を計算する。
【0066】
ステップS4において3dグラフィック描写を計算するステップは、建物ブロックの3dモデルを計算するステップを任意選択的に含む。また、テンプレートデータを3dモデルの形態で既に存在している可能である。前記3dモデルを入手した後、前記3dモデルに対してさらにスケーリング、スキューイング、回転、色付けまたはテクスチャリングを行うことができる。このような操作を行うことにより、異なる建物ブロックを後で主要な建物のグラフィック描写と先ず容易に組み合わせた後、建物ブロックの3dモデルを実際の建物とより良好に整合するようにさらに適合させることができる。その結果、認知値が増加する。これらの操作のうちどの操作をどのような様態で行うかも、前記外観制御データ中において指定される。
【0067】
ステップS5において、前記建物ブロックの3dグラフィック描写を組み合わせて、前記建物の3dグラフィック描写を入手する。例えば、前記異なる建物ブロックの相対的方向案内および位置は、前記外観制御データ内において指定される。その後、この指定に基づいて、異なる建物ブロックを相互に位置および整列させることが可能となる。
【0068】
ステップS6において、前記建物の3dグラフィック描写が電子マップ内に表示される。典型的には、このステップは、視野角を決定するステップと、前記視野角に基づいて前記3dグラフィック描写上の特定の2dビューを計算するステップとを含む。前記3dグラフィック描写が計算された建物の地理的位置は、外観制御データ中またはデジタルマップデータベース中においても指定される。この建物の地理的位置を用いて、電子マップ内の正確な位置においてグラフィック描写を表示する。その後、前記方法はステップS7において終了する。
【0069】
図10を参照して、図9のステップS2(すなわち、外観制御データの確立)についてさらに詳述する。図9のステップS2は、図10のステップS201〜ステップS204を含み得る。前記外観制御データを含む前記データベースは車両内に設けることが可能であるが、このデータベースの生成は別個に行うことも可能である。例えば、データベースを生成する際、ステップS201〜S204を行うことが可能である。
【0070】
ステップS201において、ある建物についての情報を入手する。このような情報を挙げると、建物の種類、建物の建築的分類、建物の地理的位置および画像データがある。詳細には、例えば、前記画像データは、例えば走行中の車両から得られた低解像度画像データであり得る。典型的には、走行中の車両から得られた画像データが用いられる。
【0071】
建物の種類は、例えば礼拝堂または住宅の位置を指す。建物の建築的分類は、建物の種類(例えば、「ゴシック教会」または「西洋スタイル住宅」)のさらなる詳細を指定する。建物の地理的位置を用いて、一定の建物の建築的分類を得ることも可能である。
【0072】
ステップS201において得られた情報に基づいて、ステップS202においてパラメータ化情報を生成する。前記パラメータ化情報は、ステップS202において得られた情報をパラメータ化建築的フィーチャへと変換する(例えば、1組の異なるパラメータ化情報が一定のデータベースにおいて指定される)。その後、ステップS202において、ステップS201において得られた情報の評価に基づいて実際の建物に最も整合する1つのパラメータ化情報を選択する。
【0073】
前記パラメータ化情報に基づいて、ステップS203において、前記建物を複数の建物ブロックに断片化する。例えば、前記断片化は、事前規定されたパラメータ化関数を用いて行うことができる。前記パラメータ化関数は、ある建物のグラフィック描写の生成に用いられる建物ブロックを指定し得る。例えば、教会のグラフィック描写の生成に必要な建物ブロックは、例えば住宅のグラフィック描写の生成に必要な建物ブロックと全く異なることが多い。
【0074】
詳細には、ステップS202においてパラメータ化情報を自動的に生成し、ステップS203において前記建物を建物ブロックへと自動的に断片化することができる。このようにすると、多数の建物の外観制御データを確立する必要がある場合において有用であり得る(例えば、一定のデジタルマップデータベースと関連して用いられるデータベースを生成する場合)。その後、前記異なるステップが自動的に行われると、多数の建物の外観制御データを短時間で確立することが可能となる。
【0075】
詳細には、ステップS203は、パラメータ化関数を含み得る。前記パラメータ化関数は、ランダム寄与を含む。前記ランダム寄与は、一定のより大きなまたはより小さな範囲内において、事前規定されたマージン内において前記建物を建物ブロックへとランダムに断片化する。例えば図3を参照して説明したように、同一種類の建物が、異なるグラフィック描写を持つことが可能である。図3の場合、ある教会について、9個のグラフィック描写が計算された。これら9個のグラフィック描写は全て、前記種類の塔部の建物ブロックを含む。その他の多様な建物ブロックは、特定の外観において一定の差があった。例えば、ステップS202において得られた同一パラメータ化情報を有する建物のうち必ずしも全てが同一グラフィック描写を持たないように、前記パラメータ化関数に一定のランダム寄与を付加することが可能である。図3の例において、一部の教会が長軸端を含み、また、異なるグラフィック描写の屋根も一定の差を示す。その結果、同等の種類の建物のグラフィック描写においても一定の差が生じる。その結果、より実際的な電子マップを得ることが可能となる。
【0076】
最後に、ステップS204において外観制御データを生成し、例えばデータベース中に保存する。
【0077】
実施形態による装置および方法について詳述してきたが、他の実施形態において変更も可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の3次元(3d)グラフィック描写を生成する方法であって、
−情報を含む外観制御データを確立するステップであって、前記情報は、前記建物(1)のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報と、前記建物のフラグメントである建物ブロック(2〜5)とに関する情報を含む、ステップと、
−前記外観制御データ中の参照情報に基づいてテンプレートデータ(32〜35)をデータベースから検索するステップであって、前記テンプレートデータは、前記建物ブロック(2〜5)の事前作成されたグラフィック描写に関連する、ステップと、
−各建物ブロック(2〜5)について、それぞれのテンプレートデータ(32〜35)と前記外観制御データとに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップと、
−前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を組み合わせて、前記建物(1)の3dグラフィック描写を生成するステップと、
を含み、
前記外観制御データは、少なくとも、前記3dグラフィック描写に用いられる建物ブロック(2〜5)の数の情報、および前記テンプレートデータを参照する前記建物ブロック(2〜5)についての種類情報を含む、
方法。
【請求項2】
少なくとも1つの建物ブロックに対して、前記種類情報は、前記建物ブロック(2〜5)を前記建物のフラグメントに関連付け、前記フラグメントは、1階、屋根、塔部および建物増築部を含む群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記外観制御データは、少なくとも1つの建物ブロックについての情報を含み、前記情報は、幅、深さ、高さ、色、テクスチャリング、回転、対称性、他の建物ブロックに対する相対的位置および地理的位置を含む群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記テンプレートデータ(32〜35)は、2次元形状および3dモデルを含む群から選択される、請求項1〜請求項3のうちいずれかに記載の方法。
【請求項5】
建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップは、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dモデルをレンダリングするステップを含み、前記レンダリングするステップは、前記外観制御データによって参照される前記テンプレートデータ(32〜35)それぞれの2次元形状を押し出すことによって行われる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算するステップは、前記外観制御データに基づいて少なくとも1つの操作を前記建物ブロックの3dモデルに行うステップを含み、前記少なくとも1つの操作は、スケーリング、回転、スキューイング、色付け、およびテクスチャリングを含む群から選択される、請求項4または5のうちいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を組み合わせるステップは、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dモデルを相互に配置および取り付けるステップを含む、請求項4〜6のうちいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記外観制御データは、建物の種類、前記建物の建築的分類、建物の地理的位置および画像データを含む群から選択された要素に基づいて確立される、請求項1〜請求項7のうちいずれかに記載の方法。
【請求項9】
−前記建物の生成された3dグラフィック描写を電子マップ内に表示するステップ、
をさらに含む、請求項1〜請求項8のうちいずれかに記載の方法。
【請求項10】
外観制御データを含むデータベースを生成する方法であって、前記外観制御データは、建物のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報、および前記建物のフラグメントである建物ブロックに関する情報を含み、前記方法は、
−建物の種類、前記建物の建築的分類、建物の地理的位置および画像データを含む群から選択された情報に基づいて、前記建物のパラメータ化情報を生成するステップと、
−前記パラメータ化情報に基づいて、前記建物を建物ブロックへと断片化するステップと、
−前記パラメータ化情報および建物ブロックに基づいて前記外観制御データを生成し、前記外観制御データを前記データベース内に保存するステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記パラメータ化情報を生成するステップと、事前規定されたパラメータ化関数に基づいて前記建物を断片化するステップと、パラメータ化情報を建物ブロックと関連付けるステップとのうち少なくとも1つは自動的に発生する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記外観制御データを含むデータベースは、請求項1〜10のうちいずれかに記載の方法に従って外観制御データを確立するために用いられる、請求項10または11のうちいずれかに記載の方法。
【請求項13】
車両ナビゲーションシステムであって、
−データベース(10、11)であって、建物(1)のパラメータ化された建築的フィーチャに関する情報と前記建物のフラグメントである建物ブロック(2〜5)に関する情報を含む外観制御データと、前記建物ブロック(2〜5)の事前作成されたグラフィック描写に関連するテンプレートデータ(32〜35)とを含む、データベース(10、11)と、
−グラフィカルプロセッサ(12)であって、前記グラフィカルプロセッサ(12)は、それぞれのテンプレートデータ(32〜35)と前記外観制御データとに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の3dグラフィック描写を計算し、前記外観制御データに基づいて前記建物ブロック(2〜5)の前記3dグラフィック描写を組み合わせて前記建物(1)の3dグラフィック描写を生成するように構成され、
前記外観制御データは、前記3dグラフィック描写のために用いられる建物ブロック(2〜5)の数と、前記テンプレートデータを参照する前記建物ブロック(2〜5)の種類情報とについての情報を少なくとも含む、グラフィカルプロセッサ(12)と、
−前記建物(1)の3dグラフィック描写を含む電子マップを表示するように構成されたディスプレイ(13)と、
を含む、車両ナビゲーションシステム。
【請求項14】
請求項2〜9のうちいずれかに記載の方法を行うように構成された、請求項13に記載の車両ナビゲーションシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−101614(P2013−101614A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−245385(P2012−245385)
【出願日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(504147933)ハーマン ベッカー オートモーティブ システムズ ゲーエムベーハー (165)
【Fターム(参考)】