建物の壁の構造および建物
【課題】 断熱性能、調湿性能、透臭性能、耐火性能に優れた建物の壁の構造および建物を提供する。
【解決手段】 壁の構造2は、室内空間Sに面する透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材20と、内装材20の室外側に密閉された空気層26を介して配される断熱材22と、断熱材22の室外側に配される透湿防水シート27と、透湿防水シート27の室外側に配され室外からの空気が流通可能な通気層29と、通気層29の室外側に配される外壁材21とを備える。断熱材22はかさ比重が0.05〜0.3のゾノライト系のケイ酸カルシウム板からなる。屋根の構造3および床の構造4は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材35,42を備え、断熱材35,42の室外側に室外からの空気が流通可能な通気層39,46が配設されている。
【解決手段】 壁の構造2は、室内空間Sに面する透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材20と、内装材20の室外側に密閉された空気層26を介して配される断熱材22と、断熱材22の室外側に配される透湿防水シート27と、透湿防水シート27の室外側に配され室外からの空気が流通可能な通気層29と、通気層29の室外側に配される外壁材21とを備える。断熱材22はかさ比重が0.05〜0.3のゾノライト系のケイ酸カルシウム板からなる。屋根の構造3および床の構造4は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材35,42を備え、断熱材35,42の室外側に室外からの空気が流通可能な通気層39,46が配設されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁の構造およびこの壁の構造を有する建物に関し、特に本発明は、内部に断熱材を備えた建物の壁の構造およびこの壁の構造を有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅や鉄骨造住宅などの建物においては、省エネルギーのために、高気密・高断熱化が進められており、建物の壁においては、断熱材を設けることが従来から行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1に記載された建物の壁の構造は、図9に示すように、室内空間に面した調湿性を有する内装材100と室外に配備された外壁材101との間に、ケイ酸カルシウム板からなる断熱材102を柱107の外側に張ることにより設けている(外張り断熱)。内装材100と断熱材102との間には、内胴縁103をスペーサとして建物の外部と連通する内部通気層104が配設されている。また、断熱材102と外壁材101との間には、アスファルトルーフィングなどの防水シート105を介し外胴縁108をスペーサとして建物の外部と連通する外部通気層106が配設されている。
【0004】
また、特許文献2および特許文献3に記載された建物の壁の構造は、図10に示すように、室内空間に面した透湿性および透臭性(「臭気を透過する性質」のことをいう。)を有する内装材110と室外に配備された外壁材111との間に、断熱材112を充填断熱により設けている。内装材110と断熱材112との間には内部通気層113が、また、断熱材112と外壁材111との間には外部通気層114が、それぞれ配設されている。
【0005】
また、特許文献4に記載された建物の壁の構造は、図11に示すように、室内空間に面した透湿性を有する内装材(内装下地材)120と室外に配備された外壁材121との間に、透湿性を有する断熱材122を充填断熱により設けている。断熱材122と外壁材121との間には、透湿性を有する外装下地材123を介し胴縁125をスペーサとして通気層124が配設されている。内装下地材120の表面にはクロス126が配されている。
【0006】
上記した特許文献1〜3に記載の建物の壁の構造においては、室内空気に含まれる湿気や臭気は、内装材100,110を透過して内部通気層104,113に導出される。この湿気や臭気は、内部通気層104,113に流入させた室外からの空気によって建物の外部に排出される。
【0007】
また、上記した特許文献4に記載の建物の壁の構造においては、室内空気に含まれる湿気は、内装下地材120、断熱材122、外装下地材123を透過して通気層124に導出され、通気層124に流入させた室外からの空気によって建物の外部に排出される。このように、室内空間の湿気を室外に排出可能とすることによって快適な室内空間を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−371645号公報
【特許文献2】特開2006−207126号公報
【特許文献3】特開2008−7999号公報
【特許文献4】特許第4022363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1〜3に記載の建物の壁の構造では、断熱材102,112の室内側に、建物の外部と連通する内部通気層104,113を設けているので、断熱材102,112を設けていても、室外の空気の影響を直接受けて、十分な断熱性能が発揮できなくなるという問題が生じる。特に、内部通気層104,113に、夏の暑い空気や冬の冷たい空気が侵入すると、効果的な断熱性能を発揮するのが極めて困難になる。
【0010】
また、特許文献4に記載の建物の壁の構造では、室内空間の湿気の排出は実現されるが、室内空間の調湿については実現できないという問題がある。また、断熱材や外装下地材の断熱性が低いので、十分な断熱性能を期待できないという問題もある。
【0011】
さらに、特許文献2〜4に記載の建物の壁の構造は、充填断熱構造であるため、柱115,127が熱橋となって熱移動が生じ、断熱性能が低下しやすいうえ、柱自体も室外の外気の影響を受けて劣化しやすくなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、断熱性能、調湿性能、透臭性能、さらには、耐火性能に優れた建物の壁の構造およびこの壁の構造を備えた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による建物の壁の構造は、内部に断熱材を備えた建物の壁の構造であって、室内空間に面した透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材と、室外空間に面した外壁材と、前記内装材と外壁材との間に配設された断熱材とを備えており、前記断熱材は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる。前記内装材の室外側には、前記断熱材との間に、室外空間および室内空間との連通が遮断された空気層が配されている。前記断熱材の室外側には、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材が配されるとともに、前記シート材の室外側に室外空間と連通して室外空間からの空気が流通可能な通気層が配されている。
【0014】
本発明の上記した構成において、内装材を透過した室内空間の過剰な湿気や臭気は、空気層を通過した後、断熱材およびシート材を透過して通気層に導出される。通気層に導出された湿気や臭気は、通気層に流通する室外からの空気によって建物の外部に排出される。
【0015】
本発明の壁の構造によれば、室内空間の過剰な湿気や臭気が内装材を透過することにより、室内空間から湿気や臭気が排出される結果、室内空間の湿度や臭気濃度が低減し、快適な居住空間に維持することができる。
【0016】
また、断熱材が断熱性等に優れたゾノトライト系のケイ酸カルシウム板により構成されているので、壁の構造の断熱性能は良好なものとなる。また、断熱材の室内側に配される空気層は、断熱層としての効果を有するので、壁の構造は、断熱材の断熱性と空気層の断熱性との相乗効果により、断熱性能が向上する。さらに、空気層は、室外との連通が遮断された密閉空間となっているので、壁の構造の断熱性能が室外の空気によって低下することがなく、そのうえ、断熱材を透過した室内空間の湿気や臭気が通気層に流通する外気によって建物の外部に排出されるので、上記湿気などにより断熱性能が低下することも防止されるため、壁の構造は、良好な断熱性能が維持される。
【0017】
さらに、ゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、優れた断熱性とともに、耐火性、および、湿気を吸放湿する調湿性を有しているので、前記断熱材が空気層や内装材を介して室内空間の調湿に間接的に寄与するとともに、内装材および断熱材が、耐火性を有する材料で構成されているので、壁の構造は、断熱性能、透臭性能に加えて、調湿性能、耐火性能(延焼防止効果)も発揮する。
【0018】
なお、透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材としては、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板などを用いることができるが、本発明の好ましい実施態様においては、前記内装材は、かさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板により構成される。ケイ酸カルシウム板は、断熱性に加えて調湿性にも優れているので、壁の構造は、断熱材の断熱性と内装材の断熱性と空気層の断熱性との相乗効果により、断熱性能がさらに向上する。そのうえ、内装材のケイ酸カルシウム板が、室内空間の過剰な湿気を取り込んだり、あるいは、室内空間に湿気を放出したりして、室内空間の湿度を安定させる結果、室内空間をより快適な居住空間に維持することが可能になる。さらに、ケイ酸カルシウム板は、優れた耐火性(不燃性および耐熱性)を有しているので、壁の構造の耐火性能もさらに向上する。
【0019】
なお、前記内装材のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、かさ比重が0.4〜0.8であるのがさらに好ましく、前記断熱材のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、かさ比重が0.1〜0.25であるのがさらに好ましい。
【0020】
本発明による建物は、上記した壁の構造と、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を備えた床の構造および屋根の構造とを有するものである。前記床の構造および屋根の構造の前記断熱材の室外側には、室外と連通して室外からの空気が流通可能な通気層が配されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明による壁の構造では、断熱材の室内側に配される空気層を密閉構造にすることにより、壁の構造の断熱性能が室外からの空気の影響により低下するおそれがない。また、内装材を透湿性、透臭性および耐火性を有する材料で構成するとともに、断熱材を調湿性、透臭性、断熱性および耐火性に優れたかさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板で構成することにより、建物の壁の構造は優れた断熱性能、耐火性能、透臭性能を実現できるとともに、調湿性能も実現することができる。
【0022】
さらに、内装材をかさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板で構成すれば、より一層優れた調湿性能を実現することができる。
【0023】
また、本発明の壁の構造を有する建物は、床の構造および屋根の構造にも、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を設けているので、建物全体で快適な室内空間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例である建物の構成を示す既略断面図である。
【図2】建物の壁の構造を示す断面図である。
【図3】建物の壁の構造の要部斜視図である。
【図4】建物の屋根の構造を示す断面図である。
【図5】建物の屋根の構造の要部斜視図である。
【図6】建物の床の構造を示す断面図である。
【図7】建物の床の構造の要部斜視図である。
【図8】実験装置の既略図である。
【図9】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【図10】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【図11】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である建物1の構成を示す概略断面図である。本実施例の建物1は、例えば木造からなる建物で、その躯体をなす一対の壁の構造2,2と屋根の構造3と床の構造4を有している。各壁の構造2の内装材20,20と、屋根の構造3の天井材30と、床の構造4の床材40とで囲まれた空間が室内空間Sとなっている。
【0026】
前記壁の構造2は、図1〜図3に示すように、室内空間Sを形成する内装材20と建物1外部の室外空間Tに面する外壁材21との間に、断熱材22を備えた構成のものであり、断熱材22は、柱23および間柱24の外側(室外側)に取り付けられている(外張り断熱)。
【0027】
断熱材22としては、良好な耐火性(不燃性および耐熱性)、断熱性を有し、かつ、経年劣化の少ないゾノライト系のケイ酸カルシウム板が用いられる。特に、ケイ酸カルシウム板のなかでも、かさ比重が0.05〜0.3のものを使用することが好ましく、0.1〜0.25のものがより好ましい。かさ比重が0.3よりも大きくなると、断熱性が低下する傾向にある一方、かさ比重が0.05よりも小さくなると、必要な強度が得られないためである。なお、断熱材22を構成するゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、断熱性および耐火性の他に、良好な透臭性や湿気を吸放湿する調湿性も有している。
【0028】
断熱材22の好ましい例としては、特公昭45−25771号公報、特公昭59−41942号公報などに示される軽量ケイ酸カルシウム板や、市販品としては、日本インシュレーション株式会社製の「ニューベストライト」、「ダイパライト」、「エックスライト」を好ましく挙げることができる。さらに、このケイ酸カルシウム板に対しては撥水処理を施しても良い。また、このケイ酸カルシウム板は、リサイクルも可能であるため、省資源につながるほか、有機系の断熱材のように火災時に有害ガスを発生させる心配もない。
【0029】
柱23および間柱24には、その室内側に、内装材20が取り付けられている。断熱材22と内装材20との間には、柱23および間柱24がスペーサとなって空気層26が形成されている。内装材20表面(室内側の面)には、透湿性あるいは調湿性のある珪藻土や漆食などの塗材、塗料、壁紙などを設けてもよい。なお、図1〜図3では、胴縁を介さずに内装材20を柱23および間柱24に直接取り付けているが、空気層26が密閉構造となる限り、胴縁を介して内装材20を柱23および間柱24に固定することもできる。
【0030】
内装材20は、良好な耐火性(不燃性および耐火性)、断熱性、透臭性を有し、かつ、優れた吸放湿性(調湿性)、すなわち、高湿環境下における吸湿能力および低湿環境下における放湿能力を有するゾノライト系のケイ酸カルシウム板を用いることができる。特に、ケイ酸カルシウム板のなかでも、室内側に配置することを考慮して十分な強度が得られるように、かさ比重が0.3〜1.5のものを使用することが好ましく、0.4〜0.8のものがより好ましい。
【0031】
例えば、特公昭45−25771号公報、特公平2−46号公報、特許第2714668号公報、特許第2594795号公報、特許第2554534号公報などに示されるケイ酸カルシウム板や、市販品としては、日本インシュレーション株式会社製の「タイカライト」、「ヒューミライト」、「タイカライトウッド」を好ましく挙げることができる。
【0032】
なお、本実施例では、内装材20としてはケイ酸カルシウム板を用いているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、その他、調湿性を有する材料としては、ゼオライト建材や珪藻土建材などの無機系材料を挙げることができる他、石膏ボードなどの透湿性、透臭性および耐火性を有する材料を用いて構成することも可能である。
【0033】
空気層26は、断熱材22、内装材20、屋根の構造3の桁31、および床の構造4の断熱材41とで囲まれた密閉空間となっており、室外空間Tとの連通がシャットアウトされている。この空気層26は、断熱層としての効果を有し、壁の構造2は、断熱材22の断熱性(内装材20の断熱性も含む)と空気層26の断熱性との相乗効果により、効果的な断熱性能を実現している。
【0034】
なお、壁の構造2の断熱性能をさらに向上させる必要がある場合には、この空気層26を形成する空間(例えば、柱23および間柱24の間など)に、例えば、本発明で用いられているケイ酸カルシウム板や、表面に防湿処理が施されていないタイプのグラスウールやロックウールなどの、通気性を有する断熱材を配備することも可能である(いわゆる、付加断熱)。また、壁の構造2の調湿性能をより向上させる必要がある場合には、この空気層26に、例えば、ケイ酸カルシウム板、ゼオライト建材、珪藻土建材などの優れた調湿性を有する調湿材を配備することも可能である。
【0035】
断熱材22の室外側は、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材(以下、「透湿防水シート」という。)27が配設されている。この透湿防水シート27は、湿気や臭気を透過させるが水を通さないシートであって、室外からの雨などの水分の通過を防止するとともに、室内からの湿気や臭気を室外側に通過させる機能を有する。このような透湿防水シート27としては、JISA6111に適合する商品を用いることができ、例えば、デュポン株式会社製の「タイベックハウスラップ」などを好ましく挙げることができる。
【0036】
透湿防水シート27の室外側には、等間隔に配備された複数本の胴縁28を介して外壁材21が取り付けられている。このように、断熱材22と外壁材21との間には、各胴縁28がスペーサとなって、通気層29が形成されている。
【0037】
通気層29は、室外空間Tと連通して室外空間Tとの間で空気の流通が可能な空間である。外壁材21の下端に形成された開口部10から流入した室外からの空気(外気)は、通気層29を上方に向かって移動した後、外壁材21の上端の、屋根の構造3の各垂木33Aのピッチ間14A(図4および図5に示す)を流出口11として室外に流出するようになっている。なお、開口部10および流出口11にダンパーを設け、過剰な湿気や臭気の排出を妨げない範囲で、ダンパーを閉じて空気の流通を制御し、通気層29を断熱層として利用することも可能である。
【0038】
前記屋根の構造3は、図1、図4および図5に示すように、柱23および間柱24上に横架された各桁31間に室内空間Sを形成する天井材30が取り付けられており、各桁31および棟木32上に複数本の垂木33Aが等間隔に配設されている。各垂木33A上には野地板34が配設され、野地板34上に断熱材35が配設された構成となっている。
【0039】
天井材30は、一般の建材が使用できるが、例えば、ケイ酸カルシウム板、ゼオライト建材、珪藻土建材などの調湿材を用いれば、室内空間Sの調湿が可能となるので好ましい。天井板30の下面(室内側の面)には、透湿性のある塗料、塗材、壁紙などの表面仕上材(図示せず)を設けることも可能である。なお、天井材30を設けない構造とすることも可能である。
【0040】
断熱材35については、壁の構造2の断熱材22と同様、良好な耐火性(不燃性および耐熱性)、断熱性、調湿性、および透臭性を有し、かつ、経年劣化の少ないゾノライト系のケイ酸カルシウム板(かさ比重が0.05〜0.3のものが好ましい)で構成される。断熱材35の上面(室外側の面)には、例えば、デュポン株式会社製の「タイベックルーフライナー」などの透湿性および防水性を有するシート材(以下、「透湿防水シート」という。)36が配設されており、この透湿防水シート36の室外側には、垂木(通気垂木)33Bを介して杉板や合板などからなる屋根下地材37が設けられている。
【0041】
屋根下地材37の上面には、例えばガルバリウム鋼板などの金属板や瓦などからなる屋根仕上材38が設けられている。屋根下地材37の先端は、各垂木33A,33Bの先端を止める端部材12と連結されており、断熱材35もしくは野地板34と屋根下地材37との間には、垂木33Bをスペーサとして後述する通気口13より入った外気が通り抜け可能な通気層39が形成されている。
【0042】
通気層39は、室外空間Tと連通して室外空間Tとの間で空気の流通が可能な空間である。野地板34の先端は、前記端部材12よりも手前に位置し、野地板34の先端と端部材12との間には、隙間が形成される。この隙間は、室外からの外気が通気層39内に流入する通気口13を構成し、各垂木33Bのピッチ間14Bに形成される通気層39と建物1の外部の室外空間Tとが連通している。
【0043】
また、屋根下地材37および屋根仕上材38の棟部には開口部15が設けられ、この開口部15を覆うように屋根仕上材38の上部に棟包み部材16が設置されている。棟包み部材部材16は、開口部15に雨などが進入しないように保護するとともに、各排気口17,17を介して通気層39と室外空間Tとが連通するように設けられている。通気口13を介して通気層39に流入した室外からの外気は、通気層39を上方に向かって移動した後、開口部15から各排気口17を介して室外に流出するようになっている。なお、開口部15および排気口17にダンパーを設け、過剰な湿気や臭気の排出を妨げない範囲で、ダンパーを閉じて空気の流通を制御し、通気層39を断熱層として利用することも可能である。
【0044】
前記床の構造4は、図1、図6および図7に示すように、室内空間Sを形成する床材40の下面(室外側の面)に、合板などの床下地材41が配設され、さらに床下地材41の下面の複数の根太44間に、受材43を介して断熱材42が配設されている。各根太44は、土台となる複数の大引き48上に直交するように支持されている。なお、この断熱材42の材質については、壁の構造2および屋根の構造3の断熱材22,35と同じであるため、詳細な説明を省略する。また、床材40としては、従来からある一般的なものを使用できるが、透湿性あるいは調湿性を有する、例えば木材などを用いることが好ましい。
【0045】
なお、上記した図1,6,7では、根太44間に受材43を介して断熱材42を配設しているが、大引き48間に受材43を介して断熱材42を配設するように構成することも可能である。
【0046】
各大引き48は、基礎18の各立上がり部19上に基礎通気部材45を介している。この基礎通気部材45は、良好な強度および耐荷重性を有する通気性を有するものであり、断熱材42および受材43下方の床下空間と室外空間Tとが連通するように、周面に多数の貫通孔が形成されている。これにより、前記床下空間は、室外からの空気が流通可能な通気層46となっている。なお、図1中、47は、前記通気部材45に雨などが進入しないように保護するための水切板である。
【0047】
上記した構成の建物1において、壁の構造2,2の内装材20を透過した室内空間Sの湿気や臭気は、空気層26を通過した後、断熱材22および透湿防水シート27を透過して通気層29に導出される。通気層29に導出された湿気や臭気は、室外空間Tから通気層29内に流通する空気によって建物1の外部に排出される。これにより、快適な室内空間Sが提供される。また、天井材30、野地板34、ないしは、床材40、床下地材41に透湿性(もしくは調湿性)および透臭性を有する建材を用いた場合には、室内空間Sの湿気や臭気は、屋根の構造3の天井材30、野地板34および断熱材35を、ないしは、床の構造4の床材40、床下地材41および断熱材42を、それぞれ透過して、通気層39,46に導出される。各通気層39,46に導出された湿気や臭気は、室外空間Tから各通気層39,46内に流通する空気によって建物1の外部に排出される。これにより、快適な室内空間Sが提供される。
【0048】
図8に示すように、室内空間Sを想定したデシケーター6の側面に、内装材50、断熱材51、および内装材50と断熱材51との間の柱52および柱52間の空間部53とからなる軸組部分から形成される壁体5を、内装材50のデシケーター6と接する面の面積をデシケーター6の体積で割って求まる気積比が0.6m2/m3となるように、壁体5の大きさを調整して取り付け、さらに、壁体5の上下をスタイロフォームで密閉し、これを外気を想定した断熱防露試験装置(図示せず)内に設置し、当該装置内の温度および湿度(外気の温度および湿度に相当)を、表1に示すように、24時間を1サイクルとして、sin曲線で変動させ、室内空間Sに相当するデシケーター内の温度および湿度をデータロガーを用いて10分間隔で測定した。なお、温度変動は、23±7℃とし、湿度は、容積絶対湿度が一定(10.3g/m3)となるようにした。
【0049】
前記壁体5を構成する内装材50、断熱材51、および軸組空間の空間部53は、表3に示す実験例A〜Dの材料の組み合わせより構成される。また、材料の詳細は、表2に示すとおりである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
ここで、実験例A,Bは、本発明の壁の構造に相当するものであり、実験例Cは、従来一般的に行われている充填断熱構造に相当し、実験例Dは、上記した特許文献4に記載の壁の構造に相当するものである。なお、実験例Cでは、柱52間の空間部53に、室内側の面が防湿フィルムで覆われたグラスウールが充填され、断熱材51の位置に外装下地材である構造用合板が配されている。また、実験例Dでは、柱52間の空間部53に、木質繊維板が充填され、断熱材51の位置に外装下地材である火山性ガラス質複層板(「ダイライト」)が配されている。また、実験例A,Bでは、断熱材51の室外側の面に透湿防水フィルムが配されている。
【0054】
また、臭気成分として、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとアンモニアの3種類を用い、これらの臭気成分を上記実験開始時にデシケーター内に充満させ、デシケーター6内の臭気濃度と空間部53の臭気濃度の時間変化を24時間ごとに検知管を用いて測定した。
【0055】
臭気成分としてホルムアルデヒドを用いた場合に、デシケーター6内の湿度の変動を測定した測定結果(変動幅=最大湿度−最小湿度)を表3に示す。また、参考例として、壁体5をスタイロフォームに置き換えてデシケーター6を断湿処理した場合の、デシケーター6内に元々含まれる湿気の温度変化による変動を測定した測定結果を示し、この参考例の湿度変動幅を「100」としたときの、各実験例の湿度変動幅の換算値である湿度変動幅指数(「各実験例の湿度変動幅」÷「参考例の湿度変動幅」×100)も併せて表3に示す。
【0056】
表3の測定結果より、本発明に該当する実験例A,Bが湿度変動を抑制する効果が高く、その中でも、特に実験例Aの効果が高いことが判る。また、臭気については、実験例A,B,Dでは、デシケーター6内の臭気濃度は時間経過とともに減少し、最終的には、検出限界以下となり、空間部53の臭気濃度についても、内装材50を透過した臭気で一旦、臭気濃度が高まるものの、時間経過とともに減少するのが確認された。この傾向は、デシケーター6内に臭気成分を繰り返し追加しても、その度に確認できることから、臭気成分が断熱材51を透過してその外部に排出されていると判断できる。
【0057】
なお、実験例Cでは、空間部53に充填されたグラスウールの室内側の面が防湿フィルムで覆われているため、臭気成分の透過が生じず、内装材50の石膏ボードによる吸着により、デシケーター6内の臭気濃度はある程度減少するが、デシケーター6内に臭気成分を追加するにつれて、臭気濃度が高くなった。これにより、実験例Cでは、内装材50の臭気成分の吸着が飽和するまでは臭気濃度の減少が起こるが、飽和後は、臭気成分の室内から室外への透過が全く起こらず、臭気成分の断熱材51外部への排出効果はほとんど期待できないと判断できる。上記のようなホルムアルデヒドにおける臭気濃度の変遷は、アンモニアやホルムアルデヒドでも同様であった。
【0058】
以上より、透臭性があって、しかも、湿度変動の抑制効果、すなわち、調湿性に優れる壁の構造は、本発明に該当する実験例A(内装材にかさ比重が0.45のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用い、断熱材にかさ比重が0.17のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用いたもの)と実験例B(内装材に石膏ボードを用い、断熱材にかさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用いたもの)であり、その中でも、実験例Aは、優れた調湿性能および透臭性能を発揮する。
【0059】
また、本発明の壁の構造2では、断熱材22の室内側に配される空気層26は、建物1の外部との連通がシャットアウトされた密閉空間となっているので、壁の構造2の断熱性能は外気の影響によって低下するおそれはない。また、断熱材22が、断熱性に優れた前記ケイ酸カルシウム板により構成されているので、壁の構造2の断熱性能は良好な状態で維持されることになる。
【0060】
さらに、内装材20として前記ケイ酸カルシウム板を使用することにより、内装材20は、上記した湿気を吸放湿する調湿材としての効果だけでなく、断熱性の効果も得られるので、壁の構造2の断熱性能をより向上させることができる。加えて、内装材20および断熱材22を構成するケイ酸カルシウム板は、不燃性・耐熱性にも優れているので、壁の構造2は、断熱性能、調湿性能、透臭性能の他、優れた耐火性能も発揮する。
【符号の説明】
【0061】
1 建物
2 壁の構造
3 屋根の構造
4 床の構造
20 内装材
21 外壁材
22 断熱材
26 空気層
27 透湿防水シート
29 通気層
35 断熱材
39 通気層
42 断熱材
46 通気層
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の壁の構造およびこの壁の構造を有する建物に関し、特に本発明は、内部に断熱材を備えた建物の壁の構造およびこの壁の構造を有する建物に関する。
【背景技術】
【0002】
木造住宅や鉄骨造住宅などの建物においては、省エネルギーのために、高気密・高断熱化が進められており、建物の壁においては、断熱材を設けることが従来から行われている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
特許文献1に記載された建物の壁の構造は、図9に示すように、室内空間に面した調湿性を有する内装材100と室外に配備された外壁材101との間に、ケイ酸カルシウム板からなる断熱材102を柱107の外側に張ることにより設けている(外張り断熱)。内装材100と断熱材102との間には、内胴縁103をスペーサとして建物の外部と連通する内部通気層104が配設されている。また、断熱材102と外壁材101との間には、アスファルトルーフィングなどの防水シート105を介し外胴縁108をスペーサとして建物の外部と連通する外部通気層106が配設されている。
【0004】
また、特許文献2および特許文献3に記載された建物の壁の構造は、図10に示すように、室内空間に面した透湿性および透臭性(「臭気を透過する性質」のことをいう。)を有する内装材110と室外に配備された外壁材111との間に、断熱材112を充填断熱により設けている。内装材110と断熱材112との間には内部通気層113が、また、断熱材112と外壁材111との間には外部通気層114が、それぞれ配設されている。
【0005】
また、特許文献4に記載された建物の壁の構造は、図11に示すように、室内空間に面した透湿性を有する内装材(内装下地材)120と室外に配備された外壁材121との間に、透湿性を有する断熱材122を充填断熱により設けている。断熱材122と外壁材121との間には、透湿性を有する外装下地材123を介し胴縁125をスペーサとして通気層124が配設されている。内装下地材120の表面にはクロス126が配されている。
【0006】
上記した特許文献1〜3に記載の建物の壁の構造においては、室内空気に含まれる湿気や臭気は、内装材100,110を透過して内部通気層104,113に導出される。この湿気や臭気は、内部通気層104,113に流入させた室外からの空気によって建物の外部に排出される。
【0007】
また、上記した特許文献4に記載の建物の壁の構造においては、室内空気に含まれる湿気は、内装下地材120、断熱材122、外装下地材123を透過して通気層124に導出され、通気層124に流入させた室外からの空気によって建物の外部に排出される。このように、室内空間の湿気を室外に排出可能とすることによって快適な室内空間を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−371645号公報
【特許文献2】特開2006−207126号公報
【特許文献3】特開2008−7999号公報
【特許文献4】特許第4022363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1〜3に記載の建物の壁の構造では、断熱材102,112の室内側に、建物の外部と連通する内部通気層104,113を設けているので、断熱材102,112を設けていても、室外の空気の影響を直接受けて、十分な断熱性能が発揮できなくなるという問題が生じる。特に、内部通気層104,113に、夏の暑い空気や冬の冷たい空気が侵入すると、効果的な断熱性能を発揮するのが極めて困難になる。
【0010】
また、特許文献4に記載の建物の壁の構造では、室内空間の湿気の排出は実現されるが、室内空間の調湿については実現できないという問題がある。また、断熱材や外装下地材の断熱性が低いので、十分な断熱性能を期待できないという問題もある。
【0011】
さらに、特許文献2〜4に記載の建物の壁の構造は、充填断熱構造であるため、柱115,127が熱橋となって熱移動が生じ、断熱性能が低下しやすいうえ、柱自体も室外の外気の影響を受けて劣化しやすくなるという問題がある。
【0012】
本発明は、上記した問題に着目してなされたもので、断熱性能、調湿性能、透臭性能、さらには、耐火性能に優れた建物の壁の構造およびこの壁の構造を備えた建物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による建物の壁の構造は、内部に断熱材を備えた建物の壁の構造であって、室内空間に面した透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材と、室外空間に面した外壁材と、前記内装材と外壁材との間に配設された断熱材とを備えており、前記断熱材は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる。前記内装材の室外側には、前記断熱材との間に、室外空間および室内空間との連通が遮断された空気層が配されている。前記断熱材の室外側には、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材が配されるとともに、前記シート材の室外側に室外空間と連通して室外空間からの空気が流通可能な通気層が配されている。
【0014】
本発明の上記した構成において、内装材を透過した室内空間の過剰な湿気や臭気は、空気層を通過した後、断熱材およびシート材を透過して通気層に導出される。通気層に導出された湿気や臭気は、通気層に流通する室外からの空気によって建物の外部に排出される。
【0015】
本発明の壁の構造によれば、室内空間の過剰な湿気や臭気が内装材を透過することにより、室内空間から湿気や臭気が排出される結果、室内空間の湿度や臭気濃度が低減し、快適な居住空間に維持することができる。
【0016】
また、断熱材が断熱性等に優れたゾノトライト系のケイ酸カルシウム板により構成されているので、壁の構造の断熱性能は良好なものとなる。また、断熱材の室内側に配される空気層は、断熱層としての効果を有するので、壁の構造は、断熱材の断熱性と空気層の断熱性との相乗効果により、断熱性能が向上する。さらに、空気層は、室外との連通が遮断された密閉空間となっているので、壁の構造の断熱性能が室外の空気によって低下することがなく、そのうえ、断熱材を透過した室内空間の湿気や臭気が通気層に流通する外気によって建物の外部に排出されるので、上記湿気などにより断熱性能が低下することも防止されるため、壁の構造は、良好な断熱性能が維持される。
【0017】
さらに、ゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、優れた断熱性とともに、耐火性、および、湿気を吸放湿する調湿性を有しているので、前記断熱材が空気層や内装材を介して室内空間の調湿に間接的に寄与するとともに、内装材および断熱材が、耐火性を有する材料で構成されているので、壁の構造は、断熱性能、透臭性能に加えて、調湿性能、耐火性能(延焼防止効果)も発揮する。
【0018】
なお、透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材としては、例えば、石膏ボードやケイ酸カルシウム板などを用いることができるが、本発明の好ましい実施態様においては、前記内装材は、かさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板により構成される。ケイ酸カルシウム板は、断熱性に加えて調湿性にも優れているので、壁の構造は、断熱材の断熱性と内装材の断熱性と空気層の断熱性との相乗効果により、断熱性能がさらに向上する。そのうえ、内装材のケイ酸カルシウム板が、室内空間の過剰な湿気を取り込んだり、あるいは、室内空間に湿気を放出したりして、室内空間の湿度を安定させる結果、室内空間をより快適な居住空間に維持することが可能になる。さらに、ケイ酸カルシウム板は、優れた耐火性(不燃性および耐熱性)を有しているので、壁の構造の耐火性能もさらに向上する。
【0019】
なお、前記内装材のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、かさ比重が0.4〜0.8であるのがさらに好ましく、前記断熱材のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、かさ比重が0.1〜0.25であるのがさらに好ましい。
【0020】
本発明による建物は、上記した壁の構造と、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を備えた床の構造および屋根の構造とを有するものである。前記床の構造および屋根の構造の前記断熱材の室外側には、室外と連通して室外からの空気が流通可能な通気層が配されている。
【発明の効果】
【0021】
本発明による壁の構造では、断熱材の室内側に配される空気層を密閉構造にすることにより、壁の構造の断熱性能が室外からの空気の影響により低下するおそれがない。また、内装材を透湿性、透臭性および耐火性を有する材料で構成するとともに、断熱材を調湿性、透臭性、断熱性および耐火性に優れたかさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板で構成することにより、建物の壁の構造は優れた断熱性能、耐火性能、透臭性能を実現できるとともに、調湿性能も実現することができる。
【0022】
さらに、内装材をかさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板で構成すれば、より一層優れた調湿性能を実現することができる。
【0023】
また、本発明の壁の構造を有する建物は、床の構造および屋根の構造にも、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を設けているので、建物全体で快適な室内空間を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例である建物の構成を示す既略断面図である。
【図2】建物の壁の構造を示す断面図である。
【図3】建物の壁の構造の要部斜視図である。
【図4】建物の屋根の構造を示す断面図である。
【図5】建物の屋根の構造の要部斜視図である。
【図6】建物の床の構造を示す断面図である。
【図7】建物の床の構造の要部斜視図である。
【図8】実験装置の既略図である。
【図9】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【図10】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【図11】従来例の建物の壁の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施例である建物1の構成を示す概略断面図である。本実施例の建物1は、例えば木造からなる建物で、その躯体をなす一対の壁の構造2,2と屋根の構造3と床の構造4を有している。各壁の構造2の内装材20,20と、屋根の構造3の天井材30と、床の構造4の床材40とで囲まれた空間が室内空間Sとなっている。
【0026】
前記壁の構造2は、図1〜図3に示すように、室内空間Sを形成する内装材20と建物1外部の室外空間Tに面する外壁材21との間に、断熱材22を備えた構成のものであり、断熱材22は、柱23および間柱24の外側(室外側)に取り付けられている(外張り断熱)。
【0027】
断熱材22としては、良好な耐火性(不燃性および耐熱性)、断熱性を有し、かつ、経年劣化の少ないゾノライト系のケイ酸カルシウム板が用いられる。特に、ケイ酸カルシウム板のなかでも、かさ比重が0.05〜0.3のものを使用することが好ましく、0.1〜0.25のものがより好ましい。かさ比重が0.3よりも大きくなると、断熱性が低下する傾向にある一方、かさ比重が0.05よりも小さくなると、必要な強度が得られないためである。なお、断熱材22を構成するゾノトライト系のケイ酸カルシウム板は、断熱性および耐火性の他に、良好な透臭性や湿気を吸放湿する調湿性も有している。
【0028】
断熱材22の好ましい例としては、特公昭45−25771号公報、特公昭59−41942号公報などに示される軽量ケイ酸カルシウム板や、市販品としては、日本インシュレーション株式会社製の「ニューベストライト」、「ダイパライト」、「エックスライト」を好ましく挙げることができる。さらに、このケイ酸カルシウム板に対しては撥水処理を施しても良い。また、このケイ酸カルシウム板は、リサイクルも可能であるため、省資源につながるほか、有機系の断熱材のように火災時に有害ガスを発生させる心配もない。
【0029】
柱23および間柱24には、その室内側に、内装材20が取り付けられている。断熱材22と内装材20との間には、柱23および間柱24がスペーサとなって空気層26が形成されている。内装材20表面(室内側の面)には、透湿性あるいは調湿性のある珪藻土や漆食などの塗材、塗料、壁紙などを設けてもよい。なお、図1〜図3では、胴縁を介さずに内装材20を柱23および間柱24に直接取り付けているが、空気層26が密閉構造となる限り、胴縁を介して内装材20を柱23および間柱24に固定することもできる。
【0030】
内装材20は、良好な耐火性(不燃性および耐火性)、断熱性、透臭性を有し、かつ、優れた吸放湿性(調湿性)、すなわち、高湿環境下における吸湿能力および低湿環境下における放湿能力を有するゾノライト系のケイ酸カルシウム板を用いることができる。特に、ケイ酸カルシウム板のなかでも、室内側に配置することを考慮して十分な強度が得られるように、かさ比重が0.3〜1.5のものを使用することが好ましく、0.4〜0.8のものがより好ましい。
【0031】
例えば、特公昭45−25771号公報、特公平2−46号公報、特許第2714668号公報、特許第2594795号公報、特許第2554534号公報などに示されるケイ酸カルシウム板や、市販品としては、日本インシュレーション株式会社製の「タイカライト」、「ヒューミライト」、「タイカライトウッド」を好ましく挙げることができる。
【0032】
なお、本実施例では、内装材20としてはケイ酸カルシウム板を用いているが、必ずしもこれに限定する必要はなく、その他、調湿性を有する材料としては、ゼオライト建材や珪藻土建材などの無機系材料を挙げることができる他、石膏ボードなどの透湿性、透臭性および耐火性を有する材料を用いて構成することも可能である。
【0033】
空気層26は、断熱材22、内装材20、屋根の構造3の桁31、および床の構造4の断熱材41とで囲まれた密閉空間となっており、室外空間Tとの連通がシャットアウトされている。この空気層26は、断熱層としての効果を有し、壁の構造2は、断熱材22の断熱性(内装材20の断熱性も含む)と空気層26の断熱性との相乗効果により、効果的な断熱性能を実現している。
【0034】
なお、壁の構造2の断熱性能をさらに向上させる必要がある場合には、この空気層26を形成する空間(例えば、柱23および間柱24の間など)に、例えば、本発明で用いられているケイ酸カルシウム板や、表面に防湿処理が施されていないタイプのグラスウールやロックウールなどの、通気性を有する断熱材を配備することも可能である(いわゆる、付加断熱)。また、壁の構造2の調湿性能をより向上させる必要がある場合には、この空気層26に、例えば、ケイ酸カルシウム板、ゼオライト建材、珪藻土建材などの優れた調湿性を有する調湿材を配備することも可能である。
【0035】
断熱材22の室外側は、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材(以下、「透湿防水シート」という。)27が配設されている。この透湿防水シート27は、湿気や臭気を透過させるが水を通さないシートであって、室外からの雨などの水分の通過を防止するとともに、室内からの湿気や臭気を室外側に通過させる機能を有する。このような透湿防水シート27としては、JISA6111に適合する商品を用いることができ、例えば、デュポン株式会社製の「タイベックハウスラップ」などを好ましく挙げることができる。
【0036】
透湿防水シート27の室外側には、等間隔に配備された複数本の胴縁28を介して外壁材21が取り付けられている。このように、断熱材22と外壁材21との間には、各胴縁28がスペーサとなって、通気層29が形成されている。
【0037】
通気層29は、室外空間Tと連通して室外空間Tとの間で空気の流通が可能な空間である。外壁材21の下端に形成された開口部10から流入した室外からの空気(外気)は、通気層29を上方に向かって移動した後、外壁材21の上端の、屋根の構造3の各垂木33Aのピッチ間14A(図4および図5に示す)を流出口11として室外に流出するようになっている。なお、開口部10および流出口11にダンパーを設け、過剰な湿気や臭気の排出を妨げない範囲で、ダンパーを閉じて空気の流通を制御し、通気層29を断熱層として利用することも可能である。
【0038】
前記屋根の構造3は、図1、図4および図5に示すように、柱23および間柱24上に横架された各桁31間に室内空間Sを形成する天井材30が取り付けられており、各桁31および棟木32上に複数本の垂木33Aが等間隔に配設されている。各垂木33A上には野地板34が配設され、野地板34上に断熱材35が配設された構成となっている。
【0039】
天井材30は、一般の建材が使用できるが、例えば、ケイ酸カルシウム板、ゼオライト建材、珪藻土建材などの調湿材を用いれば、室内空間Sの調湿が可能となるので好ましい。天井板30の下面(室内側の面)には、透湿性のある塗料、塗材、壁紙などの表面仕上材(図示せず)を設けることも可能である。なお、天井材30を設けない構造とすることも可能である。
【0040】
断熱材35については、壁の構造2の断熱材22と同様、良好な耐火性(不燃性および耐熱性)、断熱性、調湿性、および透臭性を有し、かつ、経年劣化の少ないゾノライト系のケイ酸カルシウム板(かさ比重が0.05〜0.3のものが好ましい)で構成される。断熱材35の上面(室外側の面)には、例えば、デュポン株式会社製の「タイベックルーフライナー」などの透湿性および防水性を有するシート材(以下、「透湿防水シート」という。)36が配設されており、この透湿防水シート36の室外側には、垂木(通気垂木)33Bを介して杉板や合板などからなる屋根下地材37が設けられている。
【0041】
屋根下地材37の上面には、例えばガルバリウム鋼板などの金属板や瓦などからなる屋根仕上材38が設けられている。屋根下地材37の先端は、各垂木33A,33Bの先端を止める端部材12と連結されており、断熱材35もしくは野地板34と屋根下地材37との間には、垂木33Bをスペーサとして後述する通気口13より入った外気が通り抜け可能な通気層39が形成されている。
【0042】
通気層39は、室外空間Tと連通して室外空間Tとの間で空気の流通が可能な空間である。野地板34の先端は、前記端部材12よりも手前に位置し、野地板34の先端と端部材12との間には、隙間が形成される。この隙間は、室外からの外気が通気層39内に流入する通気口13を構成し、各垂木33Bのピッチ間14Bに形成される通気層39と建物1の外部の室外空間Tとが連通している。
【0043】
また、屋根下地材37および屋根仕上材38の棟部には開口部15が設けられ、この開口部15を覆うように屋根仕上材38の上部に棟包み部材16が設置されている。棟包み部材部材16は、開口部15に雨などが進入しないように保護するとともに、各排気口17,17を介して通気層39と室外空間Tとが連通するように設けられている。通気口13を介して通気層39に流入した室外からの外気は、通気層39を上方に向かって移動した後、開口部15から各排気口17を介して室外に流出するようになっている。なお、開口部15および排気口17にダンパーを設け、過剰な湿気や臭気の排出を妨げない範囲で、ダンパーを閉じて空気の流通を制御し、通気層39を断熱層として利用することも可能である。
【0044】
前記床の構造4は、図1、図6および図7に示すように、室内空間Sを形成する床材40の下面(室外側の面)に、合板などの床下地材41が配設され、さらに床下地材41の下面の複数の根太44間に、受材43を介して断熱材42が配設されている。各根太44は、土台となる複数の大引き48上に直交するように支持されている。なお、この断熱材42の材質については、壁の構造2および屋根の構造3の断熱材22,35と同じであるため、詳細な説明を省略する。また、床材40としては、従来からある一般的なものを使用できるが、透湿性あるいは調湿性を有する、例えば木材などを用いることが好ましい。
【0045】
なお、上記した図1,6,7では、根太44間に受材43を介して断熱材42を配設しているが、大引き48間に受材43を介して断熱材42を配設するように構成することも可能である。
【0046】
各大引き48は、基礎18の各立上がり部19上に基礎通気部材45を介している。この基礎通気部材45は、良好な強度および耐荷重性を有する通気性を有するものであり、断熱材42および受材43下方の床下空間と室外空間Tとが連通するように、周面に多数の貫通孔が形成されている。これにより、前記床下空間は、室外からの空気が流通可能な通気層46となっている。なお、図1中、47は、前記通気部材45に雨などが進入しないように保護するための水切板である。
【0047】
上記した構成の建物1において、壁の構造2,2の内装材20を透過した室内空間Sの湿気や臭気は、空気層26を通過した後、断熱材22および透湿防水シート27を透過して通気層29に導出される。通気層29に導出された湿気や臭気は、室外空間Tから通気層29内に流通する空気によって建物1の外部に排出される。これにより、快適な室内空間Sが提供される。また、天井材30、野地板34、ないしは、床材40、床下地材41に透湿性(もしくは調湿性)および透臭性を有する建材を用いた場合には、室内空間Sの湿気や臭気は、屋根の構造3の天井材30、野地板34および断熱材35を、ないしは、床の構造4の床材40、床下地材41および断熱材42を、それぞれ透過して、通気層39,46に導出される。各通気層39,46に導出された湿気や臭気は、室外空間Tから各通気層39,46内に流通する空気によって建物1の外部に排出される。これにより、快適な室内空間Sが提供される。
【0048】
図8に示すように、室内空間Sを想定したデシケーター6の側面に、内装材50、断熱材51、および内装材50と断熱材51との間の柱52および柱52間の空間部53とからなる軸組部分から形成される壁体5を、内装材50のデシケーター6と接する面の面積をデシケーター6の体積で割って求まる気積比が0.6m2/m3となるように、壁体5の大きさを調整して取り付け、さらに、壁体5の上下をスタイロフォームで密閉し、これを外気を想定した断熱防露試験装置(図示せず)内に設置し、当該装置内の温度および湿度(外気の温度および湿度に相当)を、表1に示すように、24時間を1サイクルとして、sin曲線で変動させ、室内空間Sに相当するデシケーター内の温度および湿度をデータロガーを用いて10分間隔で測定した。なお、温度変動は、23±7℃とし、湿度は、容積絶対湿度が一定(10.3g/m3)となるようにした。
【0049】
前記壁体5を構成する内装材50、断熱材51、および軸組空間の空間部53は、表3に示す実験例A〜Dの材料の組み合わせより構成される。また、材料の詳細は、表2に示すとおりである。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
ここで、実験例A,Bは、本発明の壁の構造に相当するものであり、実験例Cは、従来一般的に行われている充填断熱構造に相当し、実験例Dは、上記した特許文献4に記載の壁の構造に相当するものである。なお、実験例Cでは、柱52間の空間部53に、室内側の面が防湿フィルムで覆われたグラスウールが充填され、断熱材51の位置に外装下地材である構造用合板が配されている。また、実験例Dでは、柱52間の空間部53に、木質繊維板が充填され、断熱材51の位置に外装下地材である火山性ガラス質複層板(「ダイライト」)が配されている。また、実験例A,Bでは、断熱材51の室外側の面に透湿防水フィルムが配されている。
【0054】
また、臭気成分として、ホルムアルデヒドとアセトアルデヒドとアンモニアの3種類を用い、これらの臭気成分を上記実験開始時にデシケーター内に充満させ、デシケーター6内の臭気濃度と空間部53の臭気濃度の時間変化を24時間ごとに検知管を用いて測定した。
【0055】
臭気成分としてホルムアルデヒドを用いた場合に、デシケーター6内の湿度の変動を測定した測定結果(変動幅=最大湿度−最小湿度)を表3に示す。また、参考例として、壁体5をスタイロフォームに置き換えてデシケーター6を断湿処理した場合の、デシケーター6内に元々含まれる湿気の温度変化による変動を測定した測定結果を示し、この参考例の湿度変動幅を「100」としたときの、各実験例の湿度変動幅の換算値である湿度変動幅指数(「各実験例の湿度変動幅」÷「参考例の湿度変動幅」×100)も併せて表3に示す。
【0056】
表3の測定結果より、本発明に該当する実験例A,Bが湿度変動を抑制する効果が高く、その中でも、特に実験例Aの効果が高いことが判る。また、臭気については、実験例A,B,Dでは、デシケーター6内の臭気濃度は時間経過とともに減少し、最終的には、検出限界以下となり、空間部53の臭気濃度についても、内装材50を透過した臭気で一旦、臭気濃度が高まるものの、時間経過とともに減少するのが確認された。この傾向は、デシケーター6内に臭気成分を繰り返し追加しても、その度に確認できることから、臭気成分が断熱材51を透過してその外部に排出されていると判断できる。
【0057】
なお、実験例Cでは、空間部53に充填されたグラスウールの室内側の面が防湿フィルムで覆われているため、臭気成分の透過が生じず、内装材50の石膏ボードによる吸着により、デシケーター6内の臭気濃度はある程度減少するが、デシケーター6内に臭気成分を追加するにつれて、臭気濃度が高くなった。これにより、実験例Cでは、内装材50の臭気成分の吸着が飽和するまでは臭気濃度の減少が起こるが、飽和後は、臭気成分の室内から室外への透過が全く起こらず、臭気成分の断熱材51外部への排出効果はほとんど期待できないと判断できる。上記のようなホルムアルデヒドにおける臭気濃度の変遷は、アンモニアやホルムアルデヒドでも同様であった。
【0058】
以上より、透臭性があって、しかも、湿度変動の抑制効果、すなわち、調湿性に優れる壁の構造は、本発明に該当する実験例A(内装材にかさ比重が0.45のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用い、断熱材にかさ比重が0.17のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用いたもの)と実験例B(内装材に石膏ボードを用い、断熱材にかさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板を用いたもの)であり、その中でも、実験例Aは、優れた調湿性能および透臭性能を発揮する。
【0059】
また、本発明の壁の構造2では、断熱材22の室内側に配される空気層26は、建物1の外部との連通がシャットアウトされた密閉空間となっているので、壁の構造2の断熱性能は外気の影響によって低下するおそれはない。また、断熱材22が、断熱性に優れた前記ケイ酸カルシウム板により構成されているので、壁の構造2の断熱性能は良好な状態で維持されることになる。
【0060】
さらに、内装材20として前記ケイ酸カルシウム板を使用することにより、内装材20は、上記した湿気を吸放湿する調湿材としての効果だけでなく、断熱性の効果も得られるので、壁の構造2の断熱性能をより向上させることができる。加えて、内装材20および断熱材22を構成するケイ酸カルシウム板は、不燃性・耐熱性にも優れているので、壁の構造2は、断熱性能、調湿性能、透臭性能の他、優れた耐火性能も発揮する。
【符号の説明】
【0061】
1 建物
2 壁の構造
3 屋根の構造
4 床の構造
20 内装材
21 外壁材
22 断熱材
26 空気層
27 透湿防水シート
29 通気層
35 断熱材
39 通気層
42 断熱材
46 通気層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に断熱材を備えた建物の壁の構造であって、
室内空間に面した透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材と、室外空間に面した外壁材と、前記内装材と外壁材との間に配設された断熱材とを備え、
前記断熱材は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなり、
前記内装材の室外側には、前記断熱材との間に、室外空間および室内空間との連通が遮断された空気層が配され、前記断熱材の室外側には、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材が配されるとともに、前記シート材の室外側に室外空間と連通して室外空間からの空気が流通可能な通気層が配される建物の壁の構造。
【請求項2】
前記内装材は、かさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる請求項1に記載の建物の壁の構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁の構造と、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を備えた床の構造および屋根の構造とを有する建物であって、
前記床の構造および屋根の構造の前記断熱材の室外側に、室外と連通して室外からの空気が流通可能な通気層が配される建物。
【請求項1】
内部に断熱材を備えた建物の壁の構造であって、
室内空間に面した透湿性、透臭性および耐火性を有する内装材と、室外空間に面した外壁材と、前記内装材と外壁材との間に配設された断熱材とを備え、
前記断熱材は、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなり、
前記内装材の室外側には、前記断熱材との間に、室外空間および室内空間との連通が遮断された空気層が配され、前記断熱材の室外側には、透湿性、透臭性および防水性を有するシート材が配されるとともに、前記シート材の室外側に室外空間と連通して室外空間からの空気が流通可能な通気層が配される建物の壁の構造。
【請求項2】
前記内装材は、かさ比重が0.3〜1.5のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる請求項1に記載の建物の壁の構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の壁の構造と、かさ比重が0.05〜0.3のゾノトライト系のケイ酸カルシウム板からなる断熱材を備えた床の構造および屋根の構造とを有する建物であって、
前記床の構造および屋根の構造の前記断熱材の室外側に、室外と連通して室外からの空気が流通可能な通気層が配される建物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−248834(P2010−248834A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101361(P2009−101361)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000149136)日本インシュレーション株式会社 (19)
【出願人】(501243546)特定非営利活動法人環境共生型すまい推進ネットワーク・ヴィヴィッド岐阜 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000149136)日本インシュレーション株式会社 (19)
【出願人】(501243546)特定非営利活動法人環境共生型すまい推進ネットワーク・ヴィヴィッド岐阜 (1)
【Fターム(参考)】
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