説明

建物の排水管配管構造

【課題】本発明は建物内の排水を屋外へ排出する排水管を簡単かつ容易な作業で行なうことを課題とする。
【解決手段】建物床下基礎コンクリート層13に埋設されているさや管15内に排水管12を挿通するが、該さや管15内において該排水管12の外寄り部分を可撓管12Aとし、内寄り部分は切断して長さ調節することが容易な直管12Bとし、可撓管12Aの屋外側端は屋外側ソケット16を介して螺着した位置決めナット24によって位置決め固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の排水管の配管構造および該配管構造の施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物の排水管配管構造にあっては、図7および図8に示すように、敷地1内の建物2の各排水設備3,4,5,6からの排水枝管7,8,9,10を建物2床下に設置されている集水ます11に集め、該集水ます11から1本の排水管12を差出し、該配水管12を建物2の床下基礎コンクリート13層を貫通させ、敷地1外の公共ます14に接続する。
【0003】
従来から該配水管12の建物床下基礎コンクリート13層を貫通する部分は可撓管12Aとし、該可撓管12Aを保護するために該可撓管12Aをさや管15内に挿通する構成が提供されている(例えば特許引用文献1〜2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3592658号公報
【特許文献2】特許第3595761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では、さや管15の全長にわたって可撓管12Aを挿通しなければならないので、可撓管12Aの屋外側にシールリングを装着して屋内側から挿通する際、挿通作業中に該可撓管12Aが弯曲したり折曲ったりするおそれがあること、可撓管12Aを屋外側から挿通する際には、シールリングが外れやすいこと、該可撓管12Aを所定長に切断するには通常可撓管12Aの凹溝に沿って切断するが、そのためにガイド付切断具等の特殊な器具が必要であり、切断作業に手間がかかること、可撓管12Aの屋内側端はさや管15内から外出しており不安定なため、該さや管15の内側端にソケット17を介して屋内側排水管12を接続する作業も困難であること、塩ビ製の排水管12との接続は通常の接着接合ではなく、特殊なソケット17が別途必要となること等の問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決し、建物床下基礎コンクリート層13を貫通して建物2内部の排水設備からの排水を建物外部に排出する排水管配管構造であって、該排水管12の該基礎コンクリート層13を貫通する部分はさや管15内に挿通されており、該さや管15は建物2外側開口端15Aから上方に弯曲して建物2内側開口端15Bが該基礎コンクリート13上面13Aに開口した状態に設定されており、該さや管15内において該排水管12の外寄り部分は可撓管12Aで構成されており、該可撓管12Aの内端には屋内側ソケット17を介して直管12Bが接続されており、更に該直管12Bには継手を介して屋内排水管12が接続されており、該可撓管12Aの外端には屋外側ソケット16を介して屋外排水管12が接続されている建物の排水管12配管構造を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
〔作用〕
排水管12はさや管15内において外寄部分が可撓管12Aにされているから、さや管15の弯曲に対応することが出来る。該さや管15内において該可撓管12Aの内端には屋内側ソケット17を介して直管12Bが接続されているから、その分該可撓管12Aの長さが短縮されるから、該可撓管12A部分をさや管15内に挿入する場合、該可撓管12Aが弯曲したり折曲しにくいので、挿通作業が簡単容易になる。該直管12Bであれば切断して長さを調節する作業が容易に出来る。
【0008】
〔効果〕
本発明は建物内から建物外へ排水を排出する排水管の配管作業が容易に出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1〜図6は本発明の一実施例を示す説明図である。
【図1】排水管配管構造の説明断面図。
【図2】さや管屋内側端部分の詳細説明断面図。
【図3】屋内側ソケットの斜視図。
【図4】さや管屋外側端部分の詳細説明断面図。
【図5】屋外側ソケットの斜視図。
【図6】屋外側固定ナットの斜視図。
【図7】従来の建物の排水経路を示す配管図。
【図8】従来の排水管配管構造で説明断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図1〜図6に示す一実施例によって説明すれば、建物2内において集水ます11から差出される排水管12は建物床下基礎コンクリート13に埋設されているさや管15を通って建物外側の排水管12に地表GLより下位において接続する。
【0011】
該さや管15は建物2の外側開口端15Aから上方に弯曲して建物2の内側開口端15Bが該基礎コンクリート13上面13Aから突出した状態に設定されている。さや管15の外側開口端15Aの側に水平部分を設けても良い。また、内側開口端15Bを基礎コンクリート13上面13Aと面一にしても良い。
【0012】
該さや管15内において、該排水管12の外寄り部分は可撓管12Aで構成されており、該可撓管12Aの内端には図2に示すように屋内側ソケット17を介して直管12Bが接続されている。図2および図3に示すように該屋内側ソケット17の可撓管側端部外周にはねじ部17Aが形成されており、直管側端部外周にはリブ17Bが形成され、内周中央部にはストッパー17Cが突設されており、該可撓管12Aと該屋内側ソケット17の可撓管側とは固定ナット19のフランジ19Aを該可撓管12Aに装着した樹脂製ストッパーリング20に引掛け、更に該屋内側ソケット17のねじ部17Aに螺着締付けることによって固定されている。更に該直管12Bと該さや管15との間にはシールリング21を介在させることによってそれより内側の水密性を確保している。
【0013】
該可撓管12Aの外端は図4に示すように屋外側ソケット16を介して屋外側の排水管12が接続されている。図4および図5に示すように該屋外側ソケット16の両端部外周にはねじ部16A,16Bが形成されており、内周中央部にはストッパー16Cが突設されており、該可撓管12Aと該屋外側ソケット16の可撓管側とは固定ナット22のフランジ22Aを該可撓管12Aに装着した樹脂製ストッパーリング23に引掛け、更に該屋外側ソケット16のねじ部16Bに螺着締付けることによって固定されており、更に該屋外側ソケット16の建物2から外出した屋外側端部のねじ部16Aには位置決めナット24が螺着締付けられている。そして該可撓管12Aの外端は、屋外側ソケット16を介して該位置決めナット24によってフランジ24Aを建物床下基礎コンクリート層13、又は、さや管15の端面に押し当てることで、さや管15開口に対して位置決め固定されている。該位置決めナット24は図6に示すように内端にフランジ24Aおよび外周にリブ24Bが設けられており、内周には断続的にねじ溝24Cが形成されている。該位置決めナット24の螺着締付けには該リブ24Bを手掛りとする。なお該可撓管12Aと該屋外側および屋内側ソケット16,17との間にはシールリング25,26によってシールされている。
【0014】
上記配管構造を配管施工するには、例えば可撓管12Aの一端に屋内側ソケット17を介して鋸等の簡単な工具で切断することによって所定長に調節した直管12Bを接続し、該直管12Bの外周にはシールリング21を装着し、他端に屋外側ソケット16を装着する(工程2)。該直管12Bは可撓管12Aのように不安定形状ではないので切断作業は容易である。また、継手27を介して排水管12と容易に接着接合出来る。このような直管12B−屋内側ソケット17−可撓管12A−屋外側ソケット16を接続したセットを屋内側からさや管15に挿通する。この際には屋外側ソケット16を先頭にする。該可撓管12Aは直管12Bを接続した分短くなっているから、さや管15に挿通する際弯曲したり折曲しにくいので、挿通作業は容易に出来る。また該直管12Bの外周には予めシールリング21を装着してあるので、該セットを該さや管15に挿通すると同時に該直管12Bと該さや管15との間が該シールリング21によってシールされることになる(工程3)。該直管12Bには継手27を介して屋内側の排水管12が接続されるが該直管12Bは該シールリング21によってさや管15内に固定されているので、屋内側排水管12の接続作業が容易になる。
【0015】
その後該屋外側ソケット16の屋外端に設けられたねじ部16Aに対して位置決めナット24を螺着締付ける。該可撓管12Aの屋外端側は該屋外側ソケット16を介して該位置決めナット24によって位置決め固定されており、可撓管12Aの外端のさや管15開口に対する角度決めが可能となるため、該屋外側ソケット16に屋外側排水管12を接続する作業は容易に出来る。
【0016】
結果として、位置決めナット24をシールリング21との二点固定になるため、可撓管12Aおよび直管12Bがさや管15の中で安定する。
【0017】
本発明では、さや管15と排水管12とのシール構造は、位置決めナット24とさや管15又は床基礎コンクリート層13との間に設けても良い。また、可撓管12Aやソケット16,17とさや管15との間に設けても良い。
【0018】
シールリング21としては、ゴム製パッキンやオーリングが好ましい。この種のシールリング21を直管12Bに装着しておくと、シール材の取付け作業を別途行う必要がなくなり、また、シール剤の充填作業が不要となる点で好適である。
【0019】
本実施例の場合には、シールリング21をさや管15の屋内側としたので、可撓管12Aおよび直管12Bをさや管15に挿入する際の圧入距離が短く、圧入力が小さくて済む点で好ましい。また、直管12Bとさや管15との間でシールしており、さや管15と排水管12との間の隙間が不均一となる弯曲部ではなく、該隙間が均一になりやすい直線部でシールすることになるから、シール性を高めることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明では建物内の排水配管が簡単かつ容易な作業で出来るから、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0021】
2 建物
12 排水管
12A 可撓管
12B 直管
13 床下基礎コンクリート層
14 公共ます
15 さや管
15A 外側開口端
15B 内側開口端
16,17 ソケット
21 シールリング
24 位置決めナット
27 継手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物床下基礎コンクリート層を貫通して建物内部の排水設備からの排水を建物外部に排出する排水管配管構造であって、該排水管の該基礎コンクリート層を貫通する部分はさや管内に挿通されており、該さや管は建物外側開口端から上方に弯曲して建物内側開口端が該基礎コンクリート上面に開口した状態に設定されており、該さや管内において該排水管の外寄り部分は可撓管で構成されており、該可撓管の内端には屋内側ソケットを介して直管が接続されており、更に該直管には継手を介して屋内排水管が接続されており、該可撓管の外端には屋外側ソケットを介して屋外排水管が接続されていることを特徴とする建物の排水管配管構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−38397(P2011−38397A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219983(P2010−219983)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【分割の表示】特願2006−256755(P2006−256755)の分割
【原出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】