説明

建物の換気システム

【課題】室内空気質の悪化を確実に抑制しうる。
【解決手段】床下空間13の空気を居室Lに供給し、かつ既存空気25を屋外に排出して換気を行う建物の換気システムである。この建物の換気システムは、居室Lと床下空間13とを連通する空気流路2、床下空間13の空気21を居室L1内に供給する送風手段3、外気の温度Toを検知する外気温度検出手段5、及び送風手段3の運転を制御する制御手段7を含む。制御手段7は、外気の温度Toと設定温度t1とに基づいて、送風手段3を運転させて居室Lの機械換気を行う夏期モードと、送風手段3を停止させて居室Lを自然換気させる冬期モードとを切り替える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の換気システムに関し、詳しくは、室内空気質の悪化を確実に抑制しうる建物の換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基礎と1階の床との間で区画された床下空間に外気を取り入れるとともに、この外気を居室に供給し、かつ既存空気を屋外に排出することによって換気を行う建物の換気システムが、下記特許文献1に示されている。
【0003】
この換気システムは、床下空間の空気を居室内に供給する送風手段、居室内の温度Tiを検知する居室温度検出手段、外気の温度Toを検知する外気温度検出手段、及び居室内の温度Tiと外気の温度Toとにより、送風手段を運転させて居室の機械換気を行う夏期モードと、送風手段を停止させて室内外の空気の浮力差によって居室を自然換気させる冬期モードとを切り替える制御手段を具える。
【0004】
図5に示されるように、制御装置は、居室内の温度Tiが予め設定された設定温度t1(ホルムアルデヒド等のシックハウス起因物質が発散しやすくなる温度:例えば、35℃)よりも高い場合、又は居室内の温度Tiが前記設定温度t1以下、かつ居室内の温度Tiと外気の温度Toとの差(Ti−To)が、予め設定された設定温度t2(自然換気可能な温度差:例えば、10℃)以下である場合に、夏期モードで運転させている。
【0005】
また、換気システムは、居室内の温度Tiが設定温度t1以下、かつ前記差(Ti−To)が前記設定温度t2よりも大きい場合に、冬期モードで運転させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−293863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のような換気システムでは、例えば、強い日差し等の影響により、居室内の温度Tiが相対的に高くなりやすい春期、秋期(Ti:32℃、To:21℃)において、温度差(Ti−To)が10℃よりも大となるため、冬期モード(自然換気)で運転する。このような条件で冬期モードで運転すると、居室内の温度Tiの上昇によって発散するシックハウス起因物質を十分に排出できず、室内空気質の悪化を抑制できないという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、外気温度検出手段によって検知された外気の温度Toと、予め設定された設定温度t1とに基づいて、居室の機械換気を行う夏期モードと、居室を自然換気させる冬期モードとを切り替えることを基本として、室内空気質の悪化を確実に抑制しうる建物の換気システムを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のうち請求項1記載の発明は、基礎と1階の床との間で区画された床下空間に外気を取り入れるとともに、前記床下空間の空気を居室に供給し、かつ既存空気を屋外に排出することによって換気を行う建物の換気システムであって、一端側に前記居室に連通する供給口を有しかつ他端側が前記床下空間に連通する空気流路、前記床下空間の空気を前記供給口から前記居室内に供給する送風手段、前記外気の温度Toを検知する外気温度検出手段、及び前記送風手段の運転を制御する制御手段を含み、前記制御手段は、前記外気温度検出手段によって検知された前記外気の温度Toと、予め設定された設定温度t1とに基づいて、前記送風手段を運転させて前記居室の機械換気を行う夏期モードと、前記送風手段を停止させて室内外の空気の浮力差によって前記居室を自然換気させる冬期モードとを切り替えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記制御手段は、前記夏期モードにおいて、前記居室内の温度Tiが高いほど前記送風手段の風量を大きくする請求項1に記載の建物の換気システムである。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、換気の有効開口面積を変化させるダンパーと、前記居室内の温度Tiを検知する居室温度検出手段とをさらに具え、前記制御手段は、前記冬期モードにおいて、前記居室内の温度Tiと前記外気の温度Toとの差(Ti−To)に基づいて、前記ダンパーを制御するとともに、前記差(Ti−To)が大きいほど、前記換気の有効開口面積を小さくする請求項1又は2に記載の建物の換気システムである。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記基礎は、その内側面が断熱材で覆われている請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の換気システムである。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記基礎には、前記床下空間に前記外気を取り入れる基礎開口部が設けられ、前記外気温度検出手段の少なくとも一部は、前記基礎開口部を前記床下空間側に投影した領域に配置される請求項4に記載の建物の換気システムである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の建物の換気システムは、基礎と1階の床との間で区画された床下空間に外気を取り入れるとともに、床下空間の空気を居室に供給し、かつ既存空気を屋外に排出することによって換気を行う。
【0015】
この建物の換気システムは、一端側に居室に連通する供給口を有しかつ他端側が前記床下空間に連通する空気流路、床下空間の空気を供給口から居室内に供給する送風手段、外気の温度Toを検知する外気温度検出手段、及び送風手段の運転を制御する制御手段を含む。
【0016】
また制御手段は、外気温度検出手段によって検知された外気の温度Toと、予め設定された設定温度t1とに基づいて、送風手段を運転させて居室の機械換気を行う夏期モードと、送風手段を停止させて室内外の空気の浮力差によって居室を自然換気させる冬期モードとを切り替える。
【0017】
このような建物の換気システムは、外気の温度Toと予め設定された設定温度t1とに基づいて、夏期モードと冬期モードとを切り替えて制御されるため、たとえ居室内の温度Tiと外気の温度Toとの差(Ti−To)が大で自然換気可能な状況であっても、機械換気を行うことができる。従って、本発明の建物の換気システムは、シックハウス起因物質を効果的に排出でき、室内空気質の悪化を確実に抑制しうる。
【0018】
また、冬期モードにおいては、送風手段を運転させることなく、空気の浮力差を利用して、居室を自然換気(パッシブ換気)させることができるため、効率よく換気を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態の建物の換気システムが適用された建物を示す断面図である。
【図2】送風手段及びダンパーを示す断面図である。
【図3】制御手段の概念図である。
【図4】制御手段の制御手順を示すフローチャートである。
【図5】従来の建物の換気システムの制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1に示されるように、本実施形態の建物の換気システム(以下、単に「換気システム」ということがある)は、例えば、住宅等の建物Bに適用することができる。
【0021】
本実施形態の建物Bは、該建物Bの土台や壁等を支持する基礎11、該基礎11の上方で支持される1階の床12、及び該基礎11と前記床12との間で区画される床下空間13を有する。
【0022】
前記基礎11は、例えば、地盤Gから小高さで突出して設けられた布基礎からなり、建物Bの外周に配置される外の布基礎11Aが含まれる。この外の布基礎11Aには、床下空間13に外気14を取り入れる基礎開口部15が設けられる。また、外の布基礎11Aで囲まれた領域には、土間コンクリート16が配置されている。
【0023】
さらに、本実施形態では、外の布基礎11Aの内側面11Aiの全域が、断熱材19で覆われる。これにより、建物Bには、床下空間13が断熱された基礎断熱構造が形成される。
【0024】
前記断熱材19は、外の布基礎11A側から土間コンクリート16側に向かって小長さで延びる断面略L字状をなす。これにより、床下空間13は、断熱性が効果的に高められる。
【0025】
また、土間コンクリート16に断熱材19が配されていない領域には、地熱20hと外気14とを熱交換させることができる地熱交換領域20が形成される。これにより、床下空間13は、夏は涼しく、冬は暖かい新鮮な空気21を維持することができる。なお、断熱材19としては、特に限定されないが、ポリスチレンフォーム等の樹脂材料が用いられるのが望ましい。
【0026】
図1、図2に示されるように、本実施形態の換気システムは、一端側に居室Lに連通する供給口2oを有しかつ他端側が床下空間13に連通する空気流路2、床下空間13の空気21を供給口2oから居室L内に供給する送風手段3、換気の有効開口面積S1を変化させるダンパー4、外気の温度Toを検知する外気温度検出手段5、居室内の温度Tiを検知する居室温度検出手段6、及び送風手段3とダンパー4とを制御する制御手段7を含む。
【0027】
前記空気流路2は、例えば、1階の空間を分割する間仕切り壁23の内部を上下にのび、かつ居室Lと床下空間13とを連通する。
【0028】
このような空気流路2は、一階、二階の居室L1、L2内の既存空気25と、床下空間の空気21(外気14)との温度差が大きくなる冬期等において、それらの空気21、25の浮力差を利用して、床下空間13の空気21を各居室L1、L2に供給することができる。一方、既存空気25は、床下空間13の空気21の供給によって押し出され、各居室L1、L2に設けられた換気口26aや、屋根裏に設けれられた換気煙突26bから、屋外に排出される。
【0029】
このように、本実施形態の換気システムは、自然換気(パッシブ換気)を行うことができる。なお、本実施形態の空気流路2は、1階の居室L1と床下空間13とを連通するもののみが示されたが、2階の居室L2と床下空間13とを連通するものが含まれても良い。
【0030】
前記送風手段3は、空気流路2の供給口2oに配置され、例えば、電動機(図示省略)によって回転するファン3aを含む。また、ファン3aは、居室L側で開口するグリル板8に覆われている。
【0031】
このような送風手段3は、ファン3aを回転させることよって、床下空間13の空気21を、供給口2oから一階の居室L1内に強制的に供給することができ、機械換気を行うことができる。
【0032】
前記ダンパー4は、供給口2oの全面を覆う大きさを有する板状に形成され、その一端が、間仕切り壁23の内面に回動可能に枢支される。また、本実施形態では、ダンパー4を回動させる電動機(図示省略)等が設けられる。
【0033】
このようなダンパー4は、供給口2oを完全に覆う全閉状態と、換気の有効開口面積S1が最大となる全開状態との間で開閉でき、換気の有効開口面積S1を変化させることができる。従って、ダンパー4は、供給口2oを開閉して、換気の有効開口面積S1を変化させることにより、各居室L1、L2に供給される床下空間13の空気21の量を調節することができる。
【0034】
なお、本明細書において、前記「換気の有効開口面積S1」は、空気流路2を含む換気経路全体の抵抗等を踏まえて算出される値である。
【0035】
図1に示されるように、前記外気温度検出手段5は、気温を電気信号に変換する温度センサー5a、及び該温度センサー5aと制御手段7とを連通するコード(図示省略)を含む。このような外気温度検出手段5は、外気の温度Toを変換した信号を、コードを介して制御手段7に伝達することができる。
【0036】
また、温度センサー5aの少なくとも一部は、基礎開口部15を床下空間13側に投影した領域T2内に配置されるのが望ましい。これにより、温度センサー5aは、外の布基礎11Aによって屋外から覆われるとともに、基礎開口部15から流入する外気14に晒されるため、日差し等の影響を受けることなく、外気の温度Toを正確に検知しうる。しかも、本実施形態では、外の布基礎11Aの内側面11Aiの全域が断熱材19で覆われるため、日射による外の布基礎11Aの温度上昇等の影響も受けることがない。
【0037】
なお、温度センサー5aが、基礎開口部15から床下空間13側に離間しすぎると、地熱交換領域20で熱交換された床下空間13の空気21の温度を検知してしまい、外気の温度Toを正確に検知できないおそれがある。このため、温度センサー5aと基礎開口部15との最短距離M1は、25〜100mm程度が望ましい。
【0038】
前記居室温度検出手段6は、1階の居室L1に固定される温度センサー6a、及び該温度センサー6aと制御手段7とを連通するコード(図示省略)を含む。このような居室温度検出手段6は、居室内の温度Tiが変換された電気信号を、コードを介して前記制御手段7に伝達する。
【0039】
また、温度センサー6aは、日が差し込む窓等から離間して配置される間仕切り壁23等に固着されるのが望ましい。これにより、温度センサー6aは、日差し等に影響されるのを抑制でき、居室内の温度Tiを正確に検知することができる。
【0040】
図1及び図3に示されるように、前記制御手段7は、例えば、1階の居室L1の間仕切り壁23等に配置される。この制御手段7は、CPU(中央演算装置)からなる演算部28と、予め制御手順が記憶されている記憶部29と、該記憶部29から制御手順を読み込む作業用メモリ30とを含む。この演算部28は、外気の温度To、居室内の温度Ti、及び制御手順をもとに計算し、その結果により、送風手段3及びダンパー4をそれぞれ制御している。
【0041】
図3、図4に示されるように、前記制御手順は、第1判断処理D1〜第7判断処理D7が含まれる。先ず、第1判断処理D1では、外気の温度Toと、記憶部29に予め設定された設定温度t1とに基づいて、換気の有効開口面積S1を最大にし、かつ送風手段3を運転させて機械換気を行う夏期モード(夏期モード1〜2)と、送風手段3を停止させて自然換気させる冬期モード(冬期モード1〜5)とを切り替えて運転している。
【0042】
具体的には、外気の温度Toが設定温度t1よりも高い場合に夏期モードで運転し、外気の温度Toが設定温度t1以下である場合に冬期モードで運転している。
【0043】
これにより、換気システムは、例えば、設定温度t1が20℃に設定された場合、外気の温度Toに対して、強い日差し等によって居室内の温度Tiが高くなりやすい春期、秋期(To:21℃、Ti:32℃)において、それらの差(Ti−To)が大であるため自然換気可能である場合であっても、夏期モードで運転し、機械換気を行うことができる。従って、本実施形態の換気システムは、シックハウス起因物質を効果的に排出でき、室内空気質の悪化を確実に抑制しうる。
【0044】
しかも、換気システムは、居室内の温度Tiが高くなる前から、床下空間13の涼しい空気21を各居室L1、L2に供給して機械換気を行うことができるため、各居室L1、L2を冷却して、シックハウス起因物質の発散を未然に防ぐことができる。
【0045】
上記作用を効果的に発揮させるために、前記設定温度t1は、18〜22℃が望ましい。なお、前記設定温度t1が22℃を超えると、機械換気を早期に行うことができないおそれがある。逆に、前記設定温度t1が18℃未満であると、シックハウス起因物質の発散が起きにくく、かつ自然換気が可能な状態でも、機械換気が行われるおそれがある。
【0046】
一般に、前記居室内の温度Tiが高いほど、シックハウス起因物質の発散が大きくなる傾向があり、該温度Tiが高いほど、送風手段3の風量を大きくするのが望ましい。このため、制御手段7は、第2判断処理D2において、居室内の温度Tiが予め設定された設定温度t2(例えば、26〜30℃程度)よりも高い場合に、送風手段3の風量を大きく(例えば、通常時の3〜4倍程度)している(夏期モード2)。
【0047】
これにより、本実施形態の換気システムは、シックハウス起因物質を効果的に排出うるとともに、床下空間17の涼しい空気21を大量に供給して、各居室L1、L2を冷却することができ、省エネルギー性を向上しうる。なお、本実施形態では、設定温度t2を基準に、送風手段3の風量を2段階(夏期モード1、夏期モード2)で変化させているが、判断処理や設定温度を複数設けて、多段階で変化させても良い。
【0048】
ところで、前記第1判断処理D1において、冬期モードと判断されても、前記差(Ti−To)が小さい場合には、室内外の空気の浮力差によって居室L1、L2を十分に自然換気できないおそれがある。このため、第3判断処理D3では、外気の温度Toが設定温度t1以下、かつ前記差(Ti−To)が予め設定された設定温度t3(例えば、10〜12℃程度)以下である場合、夏モードで運転させている。これにより、換気システムは、居室L1、L2を効果的に換気させることができる。
【0049】
また、冬期モードにおいて、居室内の温度Tiと外気の温度Toとの差(Ti−To)が大きくなるほど、空気の浮力差が大きくなり、床下空間13の低温の空気21が、各居室L1、L2に大量に供給される傾向がある。このため、制御手段7は、差(Ti−To)が大きくなるほど、換気の有効開口面積S1を小さくして、低温の空気21の供給量を減らすのが望ましい。
【0050】
本実施形態では、各第4判断処理D4〜第7判断処理D7において、前記差(Ti−To)の大小を、予め設定された設定温度t4〜t7をもとに判断し、ダンパー4を開閉させて、換気の有効開口面積S1を規制している(冬期モード1〜5)。なお、設定温度t3〜t7は、下記式(1)を満たしている。
t4>t5>t6>t7>t3…(1)
【0051】
前記第4判断処理D4では、前記差(Ti−To)が設定温度t4(例えば、18〜20℃)よりも高い場合、換気の有効開口面積S1を、最大時の1/4に規制している(冬期モード1)。
【0052】
また、前記第5判断処理D5では、前記差(Ti−To)が設定温度t4以下、かつ設定温度t5(例えば、16〜18℃)よりも高い場合に、換気の有効開口面積S1を、最大時の1/3の大きさに規制し(冬期モード2)、前記第6判断処理D6では、前記差(Ti−To)が設定温度t5以下、かつ設定温度t6(例えば、14〜16℃)よりも高い場合に、換気の有効開口面積S1を、最大時の1/2の大きさに規制している(冬期モード3)。
【0053】
さらに、前記第7判断処理D7では、前記差(Ti−To)が設定温度t6以下、かつ設定温度t7(例えば、12〜14℃)よりも高い場合に、換気の有効開口面積S1を、最大時の3/4の大きさに規制し(冬期モード4)、前記差(Ti−To)が設定温度t7以下の場合に、換気の有効開口面積S1を最大にしている(冬期モード5)。
【0054】
このように、本実施形態では、差(Ti−To)が大きいほど、換気の有効開口面積S1を漸減させることができるため、低温の空気21の供給量を減らして居室L1、L2内の温度Tiの低下を効果的に抑制でき、快適性を向上しうる。
【0055】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。本実施形態では、床下空間17の空気21を、各居室L1、L2に供給して換気を行う場合について説明したが、例えば、廊下などの非居室に面した間仕切壁にも、空気流路2及び供給口2oを別途設けることにより、各居室L1、L2に加えて、非居室にも空気21を供給することができ、効率的に換気を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
2 空気流路
3 送風手段
5 外気温度検出手段
7 制御手段
13 床下空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と1階の床との間で区画された床下空間に外気を取り入れるとともに、前記床下空間の空気を居室に供給し、かつ既存空気を屋外に排出することによって換気を行う建物の換気システムであって、
一端側に前記居室に連通する供給口を有しかつ他端側が前記床下空間に連通する空気流路、
前記床下空間の空気を前記供給口から前記居室内に供給する送風手段、
前記外気の温度Toを検知する外気温度検出手段、及び
前記送風手段の運転を制御する制御手段を含み、
前記制御手段は、前記外気温度検出手段によって検知された前記外気の温度Toと、予め設定された設定温度t1とに基づいて、前記送風手段を運転させて前記居室の機械換気を行う夏期モードと、前記送風手段を停止させて室内外の空気の浮力差によって前記居室を自然換気させる冬期モードとを切り替えることを特徴とする建物の換気システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記夏期モードにおいて、前記居室内の温度Tiが高いほど前記送風手段の風量を大きくする請求項1に記載の建物の換気システム。
【請求項3】
換気の有効開口面積を変化させるダンパーと、
前記居室内の温度Tiを検知する居室温度検出手段とをさらに具え、
前記制御手段は、前記冬期モードにおいて、前記居室内の温度Tiと前記外気の温度Toとの差(Ti−To)に基づいて、前記ダンパーを制御するとともに、前記差(Ti−To)が大きいほど、前記換気の有効開口面積を小さくする請求項1又は2に記載の建物の換気システム。
【請求項4】
前記基礎は、その内側面が断熱材で覆われている請求項1乃至3のいずれかに記載の建物の換気システム。
【請求項5】
前記基礎には、前記床下空間に前記外気を取り入れる基礎開口部が設けられ、
前記外気温度検出手段の少なくとも一部は、前記基礎開口部を前記床下空間側に投影した領域に配置される請求項4に記載の建物の換気システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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