建物の空調システム
【課題】吹き抜け空間を効率よく冷房することができる建物の空調システムを提供する。
【解決手段】建物10において、建物本体12内には屋根部13まで延びる屋内高さで吹き抜け空間18が設けられている。屋根部13には、吹き抜け空間18を屋外と連通させる開口部26と、開口部26を開閉するトップライト27とが設けられ、屋根吹き抜け部18bには、シーリングファン29が設けられている。建物10には、屋根吹き抜け部18bと建物本体吹き抜け部18aとの間の空気の流通を遮断するエアカーテン装置40が設けられている。空調装置31,36による冷房運転状態において、エアカーテン装置40による遮断を行うよう制御し、同装置40による遮断状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26へ向かう空気の流れを屋根吹き抜け部18bにて生じさせるようシーリングファン29を制御する。
【解決手段】建物10において、建物本体12内には屋根部13まで延びる屋内高さで吹き抜け空間18が設けられている。屋根部13には、吹き抜け空間18を屋外と連通させる開口部26と、開口部26を開閉するトップライト27とが設けられ、屋根吹き抜け部18bには、シーリングファン29が設けられている。建物10には、屋根吹き抜け部18bと建物本体吹き抜け部18aとの間の空気の流通を遮断するエアカーテン装置40が設けられている。空調装置31,36による冷房運転状態において、エアカーテン装置40による遮断を行うよう制御し、同装置40による遮断状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26へ向かう空気の流れを屋根吹き抜け部18bにて生じさせるようシーリングファン29を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、建物本体とその上方に設けられる屋根部とに跨って吹き抜け空間が形成されている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような吹き抜け空間では開放感あふれる大空間を演出することができる。
【0003】
このような吹き抜け空間を有する建物では、屋根部に開閉式のトップライトを設置するとともに、吹き抜け空間における屋根部の部分にシーリングファンを設置する場合がある。この場合、トップライトを開いてシーリングファンを駆動させることにより、吹き抜け空間に上向きの流れを生じさせ、これにより吹き抜け空間の換気を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−343664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述の吹き抜け空間を空調装置により冷房する場合には、そもそも冷房する必要のない吹き抜け空間における屋根部の部分も含めて屋内空気が冷却される。しかしながら、これは、冷房効率の面からすると好ましくないといえる。また、夏場には、かかる吹き抜け空間の屋根部部分に熱がこもることが想定され、その場合その熱により吹き抜け空間を効率よく冷房することが困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、空調装置による冷房時において、トップライトを開いてシーリングファンを駆動させることにより、吹き抜け空間における屋根部部分にこもった熱をトップライトから排出することも考えられる。しかしながらその場合、吹き抜け空間における建物本体の部分の冷気が屋根部部分に引き込まれ、屋根部部分にこもった熱とともに屋外に排出されるおそれがあり、かえって冷房効率を悪化させる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、吹き抜け空間を効率よく冷房することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の空調システムは、建物本体とその上方に設けられた屋根部とを備えるとともに、前記建物本体内には前記屋根部まで延びる屋内高さで吹き抜け空間が設けられている建物に適用され、前記建物本体において前記吹き抜け空間を含む屋内空間の空調を行う空調装置と、前記屋根部において前記吹き抜け空間を屋外と連通させる開口部に設けられ、その開口部を開閉する開閉手段と、前記吹き抜け空間において前記屋根部の下面側に設けられ、前記吹き抜け空間において前記開口部に向かう空気の流れを生じさせる気流発生手段と、前記吹き抜け空間において前記屋根部の直下であって前記気流発生手段を含む空間部である上側空間部と、その下方であって前記空調装置から空調空気が吹き出される空間部である下側空間部との間で空気が流通するのを遮断する遮断手段と、前記空調装置により冷房空調が実施されている冷房空調状態において、前記上側空間部と前記下側空間部との間の空気の流通を遮断するよう前記遮断手段を制御する遮断制御手段と、前記遮断制御手段により前記遮断手段が遮断状態とされている場合に、前記開口部を開放するよう前記開閉手段を制御するとともに、その開放した開口部へ向かう空気の流れを前記上側空間部にて生じさせるよう前記気流発生手段を制御する気流制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、空調装置により吹き抜け空間の冷房空調が行われている場合において、下側空間部と上側空間部との間における空気の流通が遮断手段により遮断される。これにより、吹き抜け空間において本来冷房したい下側空間部のみを対象とした冷房が可能となるとともに、上側空間部にこもった熱が下側空間部に流れ込むのを抑制できる。また、かかる吹き抜け空間の遮断状態において、開閉手段が開状態とされることにより開口部が開放され、その開放された開口部に向けた空気の流れが気流発生手段により上側空間部において生成されるため、下側空間部の空気(冷気)が上側空間部に引き込まれるのを抑制しつつ、上側空間部の熱を開口部より排出できる。そのため、上側空間部にこもる熱により下側空間部の冷房効率が悪化することを抑制できる。よって、この場合、下側空間部について効率よく冷房することができる。
【0010】
第2の発明の建物の空調システムは、第1の発明において、前記遮断手段は、前記下側空間部と前記上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、吹き抜け空間において、下側空間部と上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアが吹き出してエアカーテンが形成されることにより、下側空間部と上側空間部との間の空気の流通が遮断される。この場合、下側空間部と上側空間部とを仕切部材等により仕切ることでそれら両空間部の間の通気を遮断する構成とは異なり、吹き抜け空間における開放感を確保しつつ上記第1の発明の効果を得ることができる。また、上側空間部上方の屋根にトップライト等の採光部が設けられている構成にあっては、吹き抜け空間への採光性を確保しつつ第1の発明の効果を得ることができる。
【0012】
第3の発明の建物の空調システムは、第2の発明において、前記エア吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を前記上側空間部に導く導き手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、導き手段によって上側空間部に吹出エアが導入されることにより上側空間部の圧力が上昇し、その圧力上昇により上側空間部内の空気について屋外への排出が促される。この場合、空調空気が吹き出される下側空間部内の冷気の逃げ出しを抑制しつつも、上側空間部内のこもり熱を早期に排出できる。
【0014】
第4の発明の建物の空調システムは、第3の発明において、前記エアカーテン形成手段は、前記建物内において前記上側空間部以外の屋内空間から取り込んだ空気を前記エア吹出口から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するものであり、前記導き手段は、前記吹出エアを前記上側空間部に導く第1状態と、前記吹出エアを前記上側空間部に導かずに前記上側空間部以外の屋内空間に戻す第2状態とに切替可能であり、前記上側空間部以外の屋内空間の温度を検出する屋内温検出手段と、前記屋内温検出手段による検出温度に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、導き手段による第1状態では、上記のとおり、上側空間部に吹出エアが導かれ、これにより同空間部内の空気の排出、ひいては同空間部内のこもり熱の排出が促される。それに対して、第2状態では、建物内において上側空間部以外の屋内空間、すなわち空調装置からの空調空気により空調がなされている空間(以下、空調実施空間という)において、同空間内での空気の循環が促され、空調実施空間で効率よく空調を実施できる。このとき、吹出エアが上側空間部内に導かれないことは、冷房中の空気が上側空間部に漏れ出ることを抑制する上で有効である。
【0016】
また、本発明では、上記の第1/第2状態の切替を、空調実施空間の温度、例えば空調実施空間が十分に冷えているか否かに基づいて行うことができる。したがって、空調実施空間が十分に冷えていて上側空間部に冷気を漏らしたくない場合には第2状態としたり、空調実施空間が十分に冷えておらず空調実施空間の空気を上側空間部に導いても差し支えない場合には第1状態としたりする等、空調実施空間の冷え具合に応じた切り替えをすることができる。これにより、上側空間部のこもり熱の排出の促進を好適に行うことができる。
【0017】
第5の発明の建物の空調システムは、第4の発明において、前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度と前記空調装置の冷房設定温度とを比較しその比較結果に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、空調実施空間の温度と空調装置の設定温度とが高低比較され、その比較結果に基づいて第1状態/第2状態の切替が行われる。例えば、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高いか否かに基づいてかかる切替を行うことが考えられる。具体的には、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高い場合、すなわち空調実施空間が目標温度まで下がり切っていない場合には第1状態とする。この場合、空調実施空間内の熱を含んだ空気が上側空間部に導かれるため、空調実施空間の冷房効率を高めることができる。また、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度以下である場合、すなわち空調実施空間が目標温度まで下がっている場合には第2状態とする。この場合、空調実施空間の冷気が上側空間部に漏れ出るのを防止できるため、冷房効率の低下を回避できる。よって、この場合、冷房効率の観点からすると好ましい構成といえる。
【0019】
第6の発明の建物の空調システムは、第5の発明において、前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度が前記空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、前記導き手段による第1状態への切替を実施することを特徴とする。
【0020】
ところで、空調実施空間において例えば天井付近に熱がこもった場合には、空調装置により冷房を行っても同空間がなかなか冷えないことが想定される。そこで、本発明では、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に第1状態に切り替えることとしている。これにより、空調実施空間の例えば天井付近に熱こもりが生じた場合にはその熱を上側空間部(ひいては屋外)に排出できるため、好適な冷房が可能となる。
【0021】
第7の発明の建物の空調システムは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記建物本体は、上下に隣接する下階部と上階部とを有しており、前記吹き抜け空間は、前記下階部と前記上階部とに跨って形成されており、前記下階部における空間部を空調対象として空調を行う下階空調装置と、前記上階部における空間部を空調対象として空調を行う上階空調装置とを備え、それら各階の空調装置はそれぞれ前記吹き抜け空間の空調を行う前記空調装置を構成しており、前記遮断手段としての第1遮断手段に加え、前記吹き抜け空間において前記下階部の部分と前記上階部の部分との間で空気が流通するのを遮断する第2遮断手段を備え、さらに、前記上階部の外壁に形成され屋内外を連通する上階窓部を開閉する窓開閉手段と、前記窓開閉手段を開閉駆動する窓駆動手段と、を備え、前記下階空調装置により冷房が行われ、かつ前記上階空調装置により冷房が行われていない場合には、前記遮断制御手段は、前記第1遮断手段による空気流通の遮断を実施せず、前記第2遮断手段による空気流通の遮断を実施するよう制御し、前記気流発生手段は、前記開口部を開放し且つその開放した開口部へ向かう空気の流れを前記吹き抜け空間において生じさせるよう前記開閉手段及び前記気流発生手段を制御するとともに、前記上階窓部を開放させるよう前記窓駆動手段を制御することを特徴とする。
【0022】
建物本体が上階部と下階部とを有してなる多層階の建物では、建物本体において上下階に跨って吹き抜け空間が形成されている場合がある。また、このような建物では、上階部及び下階部にそれぞれ設置された共通の空調装置により、各階部の複数の空間部を一括して空調する空調システム(例えば全館空調システムなど)が導入されている場合があり、その場合吹き抜け空間(詳しくは下側空間部)はこれら各空調装置によって冷房されることとなる。ところで、このような吹き抜け空間において本来冷房したいのは下階部側のみであり上階部側については冷房する必要がないと考えられる。また、かかる吹き抜け構造では、熱が上側空間部のみならず、下側空間部の上階側にもこもることが想定される。この場合、この上階側にこもった熱により冷房効率が低下することが懸念される。
【0023】
そこで、本発明では、この点に着目し、下階部の空調装置のみにより(換言すると下階部においてのみ)冷房が行われている場合には吹き抜け空間において下階部分と上階部分との間における空気の流通を第2遮断手段により遮断する構成としている。これにより、吹き抜け空間において本来冷房したい下階部側のみを対象とした冷房を実施できるとともに、吹き抜け空間の上階部側に熱がこもった場合でもその熱が下階部側に流れ込むのを抑制できる。
【0024】
また、この場合、上階部用の空調装置が作動していないことに着目し、さらに第1遮断手段による遮断を解除して下側空間部と上側空間部との間の通気を可能とするとともに、開口部及び上階窓部を開放することとしている。これにより、上階窓部を吸気口、開口部を排気口とした通気が建物内において行われる。具体的には、上階窓部から取り込まれた屋外の空気が上階部を通って吹き抜け空間(下側空間部)の上階部分に流れ込み、その後上側空間部を通じて開口部から排出される。これにより、吹き抜け空間の上階部分にこもった熱を屋外に好適に排出できるため、吹き抜け空間が上階部と下階部とに跨って形成されている構成において、同吹き抜け空間を効率よく冷房することができる。
【0025】
第8の発明の建物の空調システムは、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記空調装置により暖房空調が行われている暖房空調状態において、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による空気流通の遮断を実施する一方、前記気流制御手段は、前記開口部を閉鎖するよう前記開閉手段を制御するとともに、前記気流発生手段の作動を停止するよう制御する建物の空調システムであり、前記気流発生手段は、前記吹き抜け空間において前記上側空間部から前記下側空間部へ向かう空気の流れを発生させることが可能であり、前記下側空間部の温度と前記上側空間部の温度とをそれぞれ検出する温度検出手段を備え、前記空調装置による暖房空調状態において、前記上側空間部の温度が前記下側空間部の温度よりも高い場合には、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による遮断を行わないよう制御し、前記気流制御手段は、前記上側空間部から前記下側空間部に向かう空気の流れを生じさせるよう前記気流発生手段を制御することを特徴とする。
【0026】
本発明の空調システムでは、空調装置により吹き抜け空間の暖房空調が行われている場合において、下側空間部と上側空間部との間における空気の流通が遮断手段により遮断される。この場合、吹き抜け空間において空調装置により暖められた下側空間部の空気(暖気)が上側空間部に流れ込むのを抑制できる。そのため、下側空間部を効率よく暖房することができる。また、かかる暖房空調状態では、開閉手段により開口部が閉鎖されるとともに気流発生手段が停止されるため、上側空間部にこもる熱を同空間部において保持させることができる。そのため、かかる熱による下側空間部の暖房効果の向上が期待できる。
【0027】
そして、本発明では、上記の構成において、上側空間部の温度が下側空間部の温度よりも高い場合には、吹き抜け空間において遮断手段による遮断を解除し、気流発生手段により上側空間部から下側空間部へ向かう空気の流れを吹き抜け空間において発生させることとしている。これにより、日射熱等により上側空間部に熱がたまった場合には、その熱を下側空間部の方に引き込んで同空間部を暖めるために利用することができる。よって、この場合暖房効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態における建物全体を示す概略図。
【図2】建物本体吹き抜け部と屋根吹き抜け部との境界部を示す平面略図。
【図3】エアカーテン吸込グリルの構成を示し、(a)が同構成を示す正面図、(b)が断面図。
【図4】吸込口の一部開放状態における作用を説明するための説明図。
【図5】空調システムの電気的構成を示す図。
【図6】空調制御処理を示すフローチャート。
【図7】冷房時処理を示すフローチャート。
【図8】暖房時処理を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における建物全体を示す概略図。
【図10】空調システムの電気的構成を示す図。
【図11】冷房時処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は本実施形態における建物全体を示す概略図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた傾斜屋根よりなる屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有してなる二階建ての建物となっている。一階部分14と二階部分15との間の境界部は階間部分17となっており、一階天井面と二階床面とを含むそれらの間にある各部材によって構成されている。
【0031】
建物10には、建物本体12と屋根部13とに跨って上下に延びる吹き抜け空間18が形成されている。吹き抜け空間18は、例えばリビングとして用いられている。吹き抜け空間18は、建物本体12側の空間を構成する建物本体吹き抜け部18aと、屋根部13側の空間を構成する屋根吹き抜け部18bとからなる。建物本体吹き抜け部18aは、一階部分14と二階部分15とに跨って形成されている。具体的には、建物本体12では階間部分17の一部が取り除かれることにより吹き抜け開口部19が形成されており、建物本体吹き抜け部18aはその吹き抜け開口部19を介して一階部分14と二階部分15とを上下に連通する空間となっている。なお、図示は省略するが、建物10には、上記吹き抜け空間18以外にも、一階部分14と二階部分15とにそれぞれ複数の部屋が設けられている。
【0032】
また、建物10の外周部には、一階部分14と二階部分15とにそれぞれ窓部21,23が設けられている。窓部21,23は、屋内外を連通する窓開口であり、それら各窓部21,23にはそれぞれガラス戸22,24が設けられている。これら各ガラス戸22,24により各々の窓部21,23が開閉される。
【0033】
屋根部13には、屋根吹き抜け部18bを屋外と連通する開口部26が形成されている。開口部26には、開閉手段としてのトップライト27が設けられており、このトップライト27により開口部26が開閉される構成となっている。また、屋根部13には、開閉駆動手段としてのトップライト駆動部28が設けられている。トップライト駆動部28は、トップライト27を開閉駆動するものであり、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0034】
屋根吹き抜け部18bには、気流発生手段としてのシーリングファン29が設けられている。シーリングファン29は、正逆いずれの方向にも回転可能とされており、吹き抜け空間18において上向きの気流及び下向きの気流のいずれかを選択的に生じさせることができる。例えば、トップライト27を開いて開口部26を開放させた状態で、シーリングファン29により上向きの気流を生じさせれば、吹き抜け空間18の空気を開口部26より屋外に排出でき同空間18の換気を行える。
【0035】
建物本体12の階間部分17には一階用の空調装置31が設置されている。空調装置31は、少なくとも冷房及び暖房機能を有する室内機として構成され、この空調装置31により一階部分14の各部屋における冷暖房が行われる。具体的には、空調装置31には複数の通気ダクト32が接続されており、それら各通気ダクト32が一階部分14の各部屋の天井面に設けられた吹出グリル33に接続されている。なお、図1では便宜上、一の通気ダクト32及び一の吹出グリル33のみを図示している。この場合、空調装置31より空調空気(冷気又は暖気)が各通気ダクト32を介して各吹出グリル33に供給され、各々の吹出グリル33より一階部分14の各部屋に吹き出される。また、図示は省略するが、吹出グリル33は、一階部分14の天井面における吹き抜け空間18の周縁部にも設置されており、同吹出グリル33より吹き出される空調空気により吹き抜け空間18の冷暖房が行われるようになっている。
【0036】
また、二階部分15の天井裏スペースには二階用の空調装置36が設置されている。空調装置36は、上述した一階用の空調装置31と同様に、少なくとも冷房及び暖房機能を有する室内機として構成され、この空調装置36により二階部分15の各部屋における冷暖房が行われる。具体的には、空調装置36には複数の通気ダクト37が接続されており、それら各通気ダクト37が二階部分15の各部屋の天井面に設けられた吹出グリル38に接続されている。なお、図1では便宜上、一の通気ダクト37及び一の吹出グリル38のみを図示している。この場合、空調装置36より空調空気(冷気又は暖気)が各通気ダクト37を介して各吹出グリル38に供給され、各々の吹出グリル38より二階部分15の各部屋に吹き出される。また、図示は省略するが、吹出グリル38は、二階部分15の天井面における吹き抜け空間18の周縁部にも設置されており、同吹出グリル38より吹き出される空調空気により吹き抜け空間18の冷暖房が行われるようになっている。
【0037】
建物10には、エアカーテン形成手段としてのエアカーテン装置40が設けられている。エアカーテン装置40は、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部に沿ってエアカーテンを形成する装置であり、上記境界部において吹き抜け空間18を横切るように水平方向にエアカーテンを形成する。エアカーテン装置40によりエアカーテンが形成されることにより、各吹き抜け部18a,18bの間の空気の流通が同カーテンにより遮断されるようになっている。
【0038】
エアカーテン装置40は、二階部分15の部屋内の空気を取り込んでその取り込み空気を吹出エアとして吹き出すことでエアカーテンを形成するエア吹出部と、エア吹出部より吹き出された吹出エアを吸い込んで二階部屋内に排出する(戻す)エア吸込部とを備える。具体的には、エアカーテン装置40は、エア吹き出し側の構成として、エアカーテン吹出グリル41と、吹出ファン42と、吸気グリル43とを備える。ここで、吹出ファン42が作動すると、二階部屋内の空気が吸気グリル43より吸い込まれ、その後ダクト44を介してエアカーテン吹出グリル41に供給され同グリル41より吹出エアとして吹き出される。これにより、エアカーテンが形成される。
【0039】
一方、エアカーテン装置40は、エア吸い込み側の構成として、エアカーテン吸込グリル46と、吸込ファン47と、排気グリル48とを備える。ここで、吸込ファン47が作動すると、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアがエアカーテン吸込グリル46より吸い込まれ、その後ダクト49を通じて排気グリル48に供給され同グリル48より二階部屋内に排出される。したがって、エアカーテンの形成に用いられる二階部屋内の空気は循環するようになっている。
【0040】
続いて、エアカーテン装置40について図2を用いてより詳細に説明する。なお、図2は、吹き抜け空間18における建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部を示す平面略図である。
【0041】
図2に示すように、吹き抜け空間18は、平面視において略矩形形状の開口を有している。エアカーテン吹出グリル41及びエアカーテン吸込グリル46は吹き抜け空間18における各吹き抜け部18a,18bの境界部において同空間18を挟んだ両側に対向配置されており、各グリル41,46はそれぞれ吹き抜け空間18の周縁部に沿って水平方向に延びる長尺状をなしている。エアカーテン吹出グリル41にはエアを吹き出すための複数の吹出口(図示略)が横並びに設けられている。この吹出口がエア吹出口に相当するものである。それに対して、エアカーテン吸込グリル46には上記吹出口より吹き出された吹出エアを吸い込むための複数の吸込口51(図3参照)が横並びに設けられている。
【0042】
次に、エアカーテン吸込グリル46の構成を図3に基づいて説明する。図3は、エアカーテン吸込グリル46の構成を示す図であり、(a)が同構成を示す正面図、(b)が断面図である。また、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
【0043】
図3(a)及び(b)に示すように、エアカーテン吸込グリル46は、四角管状に形成されたダクト部材により形成されており、その一側面には同グリル46の内外を連通する上記吸込口51が形成されている。吸込口51は、矩形形状をなしており、エアカーテン吸込グリル46の長手方向に沿って所定間隔で複数設けられている。ここで、エアカーテン吸込グリル46においてかかる吸込口51が形成されている側面部46aは傾斜面となっており、具体的にはエアカーテンを形成する吹出エアが流れる側に向かって上方傾斜している。なお、図示は省略するが、エアカーテン吹出グリル41についても、エアカーテン吸込グリル46と概ね同様の構成となっており、矩形形状の吹出口がエアカーテン吹出グリル41の長手方向に沿って所定の間隔(詳しくは吸込口51と同間隔)で複数形成されている。
【0044】
エアカーテン吸込グリル46に設けられた複数の吸込口51のうち一部の吸込口51には、当該吸込口51を開閉する開閉板52が設けられている。本実施形態では、開閉板52が、複数の吸込口51においてひとつおきに設けられている。開閉板52は、吸込口51を塞ぐことが可能な大きさを有する矩形板状に形成されている。開閉板52は、エアカーテン吸込グリル46に回動可能に取り付けられており、回動することにより吸込口51を開閉する構成となっている。したがって、本エアカーテン吸込グリル46では、各開閉板52を開状態とすることによりすべての吸込口51が開放される全開放状態と、各開閉板52を閉状態とすることにより一部の吸込口51だけが開放される一部開放状態とに切り替え可能となっている。ここで、開閉板52により開閉される吸込口51について、開閉板52が開状態にある場合には同吸込口51からの吹出エアの吸い込みが許容される一方、開閉板52が閉状態にある場合には同吸込口51からの吹出エアの吸い込みが禁止される。また、開閉板52により吸込口51が閉鎖されている状態では、開閉板52がエアカーテン吸込グリル46の側面部46aと重なり合い、同側面部46aに沿って上方傾斜された状態となる。
【0045】
なお、開閉板52は、必ずしも複数の吸込口51においてひとつおきに配置する必要はなく、例えば複数の吸込口51のうち、エアカーテン吸込グリル46において長手方向の一方側に設けられた半分の吸込口51に開閉板52を配置する等、その配置の仕方は任意としてよい。また、開閉板52は必ずしも複数の吸込口51のうち半分に設ける必要はなく、複数の吸込口51のうち1/3に設ける等その設置割合は任意としてよい。
【0046】
また、エアカーテン吸込グリル46には、これら各開閉板52を開閉駆動する開閉駆動部55が設けられている。開閉駆動部55は、例えばモータ等の電動式の駆動機構よりなる。具体的には、開閉駆動部55による開駆動時には各開閉板52のすべてが開状態(すなわち吸込口51の全開放状態)となり、開閉駆動部55による閉駆動時には各開閉板52のすべてが閉状態(すなわち吸込口51の一部開放状態)となる。
【0047】
ここで、開閉駆動部55により各開閉板52を閉状態とすることで一部の吸込口51を閉鎖した状態(つまり吸込口51の一部開放状態)において、エアカーテン装置40によりエアカーテンを形成する場合の作用について説明する。図4は、かかる作用を説明するための説明図である。なおここでは、トップライト27が開かれて開口部26が開放され、その開放状態でシーリングファン29の駆動により屋根吹き抜け部18bにおいて上向きの流れ(ひいては開口部26へ向けた流れ)が生じていることを前提として説明を行う。
【0048】
図4に示すように、吸込口51の一部開放状態では、開閉板52により閉鎖されている吸込口51では吹出エアの吸い込みが遮断されている。この場合、エアカーテン吹出グリル41の各吹出口より吹き出される吹出エアのうち、かかる閉鎖状態にある吸込口51(換言すると開閉板52)に向かって吹き出される吹出エアについてはエアカーテンを形成した後、開閉板52に当たって、屋根吹き抜け部18bに生じている上向きの流れにより同吹き抜け部18bに引き込まれる。具体的には、かかる吹出エアは開閉板52の板面(傾斜面)に沿って上方に流れ、屋根吹き抜け部18bに引き込まれることとなる。よって、この場合、二階部屋内の空気を取り込んでエアカーテン吹出グリル41より吹出エアとして吹き出される同エアの一部だけがエアカーテン吸込グリル46に吸い込まれ、同グリル46に吸い込まれなかった残りのエアについては屋根吹き抜け部18bに導かれその後開口部26より屋外に排出される。したがって、吸込口51の一部開放状態においてエアカーテンを形成する場合には、当該エアカーテンにより建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとが遮断されているにもかかわらず、二階部屋内の空気を屋根吹き抜け部18bを通じて屋外に排出することが可能となる。
【0049】
図1の説明に戻り、建物10におけるその他の構成として、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aには第1吹き抜け部温センサ58が設けられ、屋根吹き抜け部18bには第2吹き抜け部温センサ59が設けられている。第1吹き抜け部温センサ58は建物本体吹き抜け部18aの温度を検知するセンサであり、例えば同吹き抜け部18aにおいて二階部分15に設けられている。また、第2吹き抜け部温センサ59は、屋根吹き抜け部18bの温度を検知するセンサである。なおここで、第1吹き抜け部温センサ58が屋内温検出手段に相当するものであり、各温度センサ58,59により温度検出手段が構成されている。
【0050】
次に、空調システムの電気的構成について図5に基づいて説明する。
【0051】
図5に示すように、建物10には、コントローラ50が設けられている。コントローラ50は、CPU等を周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、例えば建物10内の内壁面に設置されている。
【0052】
コントローラ50には、各空調装置31,36から空調実施情報が逐次入力される。具体的には、空調実施情報として、空調装置31,36が運転しているか否かに関する運転実施情報、空調装置31,36が冷房運転及び暖房運転のいずれの運転を実施しているかに関する冷暖房情報、空調装置31,36の冷房設定温度及び暖房設定温度に関する設定温度情報等がコントローラ50に入力される。
【0053】
コントローラ50の入力側には、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59が接続されている。コントローラ50には、これら各センサ58,59から逐次検知結果が入力される。
【0054】
コントローラ50の出力側には、トップライト駆動部28、シーリングファン29、エアカーテン装置40(具体的には、吹出ファン42及び吸込ファン47)及び開閉駆動部55が接続されている。コントローラ50は、各空調装置31,36からの空調実施情報、各温度センサ58,59からの検知結果に基づいて、これら各装置28,29,40,55を駆動制御する。
【0055】
次に、コントローラ50によって実行される空調制御処理について図6に基づいて説明する。図6は空調制御処理を示すフローチャートである。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0056】
図6に示すように、まずステップS11において、空調装置31,36(詳しくはいずれかの空調装置31,36)が運転しているか否かを判定する。空調装置31,36が運転していない場合には本処理を終了する。空調装置31,36が運転している場合にはステップS12に進む。
【0057】
ステップS12では空調装置31,36が冷房運転及び暖房運転のいずれを行っているかを判定する。空調装置31,36が冷房運転を行っている場合にはステップS13に進み、冷房時処理を実行し、空調装置31,36が暖房運転を行っている場合にはステップS14に進み、暖房時処理を実行する。ステップS13の冷房時処理又はステップS14の暖房時処理を実行した後、本処理を終了する。
【0058】
続いて、冷房時処理及び暖房時処理について図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7は冷房時処理を示すフローチャートであり、図8は暖房時処理を示すフローチャートである。まず、冷房時処理について説明する。
【0059】
図7に示すように、まずステップS21において、第1吹き抜け部温センサ58の検知結果及び空調装置31,36からの設定温度情報(詳しくは冷房設定温度情報)に基づいて、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度(例えば28℃)よりも高い状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。ここで、所定時間は、(例えば32℃の条件下で)空調装置31,36により冷房運転を開始してから建物本体吹き抜け部18aの温度が冷房設定温度に達するのに必要十分な時間に設定されており、例えば1時間に設定されている。建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度以下である場合には、ステップS22に進む。
【0060】
ステップS22では、開閉駆動部55に開信号を出力し、エアカーテン吸込グリル46の各開閉板52を開状態とする。これにより、すべての吸込口51が開放された全開放状態となる。
【0061】
続くステップS23では、エアカーテン形成処理を行う。本処理では、エアカーテン装置40に駆動信号を出力することで、同装置40により吹き抜け空間18においてエアカーテンを形成する。これにより、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間の空気の流通がエアカーテンにより遮断される。そのため、建物本体吹き抜け部18a側の冷気が屋根吹き抜け部18bに流れ込むのを抑制できるとともに、屋根吹き抜け部18bにこもった熱気が建物本体吹き抜け部18aに流れ込むのを抑制できる。
【0062】
一方、ステップS21において建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合には、ステップS24に進む。ステップS24では、開閉駆動部55に閉信号を出力し、エアカーテン吹出グリル41の各開閉板52を閉状態とする。これにより、一部の吸込口51だけが開放される一部開放状態となる。
【0063】
続く、ステップS25では、エアカーテン形成処理を行う。この処理はステップS23と同様の処理であるため、処理の説明については割愛する。本ステップでは、上記ステップS23とは異なり、エアカーテン形成処理が吸込口51の一部開放状態において行われる。この場合、二階部屋内の空気を取り込んでエアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアの一部が屋根吹き抜け部18bに流れ込み、その後開口部26を通じて屋外に排出されることなる。したがって、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度までなかなか下がり切らない場合、すなわち同吹き抜け部18aひいては二階部屋内に熱がこもっている場合には、二階部屋内の空気を屋根吹き抜け部18bに導いて開口部26より屋外に排出することができる。なお、詳細には、かかる作用効果は後述するステップS26,S27の各処理が実行されていることが前提となって奏するものである。
【0064】
ステップS26では、トップライト駆動部28に開信号を出力してトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。続くステップS27では、シーリングファン29に駆動信号を出力し、同ファン29により屋根吹き抜け部18bにおいて上向きの気流を生じさせる。これにより、エアカーテンにより建物本体吹き抜け部18aの空気を屋根吹き抜け部18bに引き込むのを抑制しつつ、屋根吹き抜け部18bの空気を開口部26を通じて屋外に排出でき、ひいては同吹き抜け部18bにこもった熱を屋外に排出できる。その後、本処理を終了する。
【0065】
次に、暖房時処理について図8に基づいて説明する。
【0066】
図8に示すように、まずステップS31において、トップライト駆動部28に閉信号を出力してトップライト27を閉状態とする。これにより、開口部26が閉鎖される。したがって、屋根吹き抜け部18bにこもる熱を同吹き抜け部18bにおいて保持させることができる。
【0067】
ステップS32では、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59の検知結果に基づいて、屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高いか否かを判定する。屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度以下である場合には、ステップS33に進む。
【0068】
ステップS33では、開閉駆動部55を駆動させることで、エアカーテン吸込グリル46の各開閉板52を開状態とし、すべての吸込口51が開放された全開放状態とする。次のステップS34では、エアカーテンの形成処理を行う。これにより、吹き抜け空間18においてエアカーテンが形成される。なお、この処理は、上述した図7のステップS23と同じ処理であるため、ここではその説明を割愛する。続くステップS35では、シーリングファン29に対する駆動信号の出力を停止し、吹き抜け空間18において気流を生じさせるのを停止する。その後、本処理を終了する。
【0069】
一方、先のステップS32において屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合にはステップS36に進む。ステップS36では、エアカーテン形成処理を停止する。ここでは、エアカーテン装置40に対する駆動信号の出力を停止して、吹出ファン42及び吸込ファン47の駆動を停止させる。この場合、エアカーテンが形成されないため、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間で空気の流通が可能となる。
【0070】
ステップS37ではシーリングファン29に駆動信号を出力し、同ファン29により吹き抜け空間18において下向きの空気の流れを生じさせる。これにより、屋根吹き抜け部18bに熱がこもった場合には、その熱を建物本体吹き抜け部18aに流れ込ませることができる。その後、本処理を終了する。
【0071】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0072】
建物本体12において吹き抜け空間18を含む屋内空間の空調を行う空調装置31,36と、屋根部13において吹き抜け空間18を屋外と連通させる開口部26に設けられ、その開口部26を開閉するトップライト27と、吹き抜け空間18において屋根部13の下面側に設けられ、吹き抜け空間18において開口部26に向かう空気の流れを生じさせるシーリングファン29と、吹き抜け空間18において屋根部13の直下であってシーリングファン29を含む空間部である屋根吹き抜け部18bと、その下方であって空調装置31,36から空調空気が吹き出される空間部である建物本体吹き抜け部18aとの間で空気が流通するのを遮断するエアカーテン装置40とを備える構成とした。そして、空調装置31,36により冷房空調が実施されている状態において、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を行うよう制御した。この場合、吹き抜け空間18において本来冷房したい建物本体吹き抜け部18aのみを対象とした冷房が可能となるとともに、屋根吹き抜け部18bにこもった熱が建物本体吹き抜け部18aに流れ込むのを抑制できる。そして、かかるエアカーテン装置40による遮断状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26へ向かう空気の流れを屋根吹き抜け部18bにおいて生じさせるようシーリングファン29を制御した。この場合、建物本体吹き抜け部18aの空気(冷気)が屋根吹き抜け部18bに引き込まれるのを抑制しつつ、屋根吹き抜け部18bの熱を開口部26より排出できる。そのため、屋根吹き抜け部18bにこもる熱により建物本体吹き抜け部18aの冷房効率が悪化することを抑制できる。よって、この場合、建物本体吹き抜け部18aについて効率よく冷房することができる。
【0073】
また、エアカーテン装置40により建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部に吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成することで、それら各吹き抜け部18a,18b間の空気の流通を遮断するようにした。この場合、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとを仕切部材等により仕切ることでそれら両吹き抜け部18a,18bの間の通気を遮断する構成とは異なり、吹き抜け空間18における開放感を確保しつつ、かつ、トップライト27を通じた吹き抜け空間18への採光性を確保しつつ上記の効果を得ることができる。
【0074】
エアカーテン吹出グリル41の吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を屋根吹き抜け部18bに導くようにした。この場合、屋根吹き抜け部18bに吹出エアが導入されることにより屋根吹き抜け部18bの圧力が上昇し、その圧力上昇により同吹き抜け部18b内の空気について屋外への排出が促される。この場合、空調空気が吹き出される建物本体吹き抜け部18a内の冷気の逃げ出しを抑制しつつも、屋根吹き抜け部18b内のこもり熱を早期に排出できる。
【0075】
吹出エアの少なくとも一部を屋根吹き抜け部18bに導くための構成(導き手段の構成)として具体的には、一部の吸込口51に同吸込口51を開閉する開閉板52を設け、この開閉板52を閉状態として同吸込口51を閉鎖することで同吸込口51からの吹出エアの吸い込みを遮断するとともに、当該吸い込みが遮断された吹出エアをシーリングファン29により生じる開口部26へ向かう空気の流れにより屋根吹き抜け部18bに導くようにした。この場合、比較的簡素な構成で、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くことができる。
【0076】
より詳しくは、吹出エアの吹き出し先の側に向かって上方傾斜するように傾斜板部としての開閉板52を設け、この開閉板52に沿って吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くようにした。これにより、吹出エアをより確実に屋根吹き抜け部18bに導くことができる。なお、傾斜板部は必ずしも開閉板52により構成する必要はなく、専用の傾斜板部を別途設けてもよい。
【0077】
エアカーテン装置40を、建物10内において二階部屋内から取り込んだ空気を吹出口から吹出エアとして吹き出すことでエアカーテンを形成する構成とした。そして、吹出エア(の一部)を屋根吹き抜け部18bに導く第1状態(吸込口51の一部開放状態)と、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導かずに二階部屋内に戻す第2状態(吸込口51の全開放状態)とに切り替え可能とした。この場合、第1状態では、屋根吹き抜け部18bに吹出エアが導かれ、これにより同吹き抜け部18b内の空気の排出、ひいては同吹き抜け部18b内のこもり熱の排出が促される。それに対して、第2状態では、建物10内において二階部屋内換言すると空調装置31,36からの空調空気により空調がなされている空間において、同空間内での空気の循環が促され、効率のよい空調が実施できる。このとき、吹出エアが屋根吹き抜け部18bに導かれないことは、冷房中の空気が屋根吹き抜け部18bに漏れ出ることを抑制する上で有効である。
【0078】
第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度(ひいては二階部屋の温度)が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高いか否かに基づいて、換言すると空調装置31,36からの空調空気により冷房が行われている冷房実施空間の温度が冷房設定温度よりも高いか否かに基づいて、第1状態と第2状態との切替を実施するようにした。具体的には、二階部屋の温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合、すなわち二階部屋が目標温度まで下がり切っていない場合には第1状態とした。この場合、二階部屋内の熱を含んだ空気が屋根吹き抜け部18bに導かれるため、二階部屋の冷房効率を高めることができる。また、二階部屋の温度が空調装置31,36の冷房設定温度以下である場合、すなわち二階部屋が目標温度まで下がっている場合には第2状態とした。この場合、二階部屋の冷気が屋根吹き抜け部18bに漏れ出るのを防止できるため、冷房効率の低下を回避できる。よって、この場合、冷房効率の観点からすると好ましい構成といえる。
【0079】
より詳しくは、第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度(ひいては二階部屋の温度)が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、第1状態への切替を行うようにした。二階部屋の例えば天井付近に熱がこもった場合には、空調装置31,36により冷房を行っても二階部屋がなかなか冷えないことが想定される。この点、かかる構成とすれば、二階部屋の例えば天井付近に熱こもりが生じた場合にはその熱を屋根吹き抜け部18bに導くことができるため、好適な冷房が可能となる。
【0080】
また、エアカーテン装置40について、エアカーテン吹出グリル41の吹出口から吹出エアとして吹き出すための空気の取り込み先を二階部分15の天井付近(具体的には吸気グリル43)とした。二階部屋における熱気はその天井付近に滞留し易いため、この場合二階部屋の熱気を好適に取り込むことができ、ひいては二階部屋の熱気を効率よく屋外に排出できる。
【0081】
空調装置31,36により暖房空調が行われている暖房空調状態において、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施するよう制御する一方、開口部26を閉鎖するようトップライト27を制御するとともに、シーリングファン29の作動を停止するよう制御した。この場合、吹き抜け空間18において空調装置31,36により暖められた建物本体吹き抜け部18aの空気(暖気)が屋根吹き抜け部18bに流れ込むのを抑制できるため、建物本体吹き抜け部18aを効率よく暖房することができる。また、かかる暖房空調状態では、トップライト27により開口部26が閉鎖されるとともにシーリングファン29が停止されるため、屋根吹き抜け部18bにこもる熱を同吹き抜け部18bにおいて保持させることができる。そのため、かかる熱による建物本体吹き抜け部18aの暖房効果の向上が期待できる。
【0082】
また、かかる暖房空調状態において、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が、第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合には、エアカーテン装置40による遮断を行わないよう制御し、屋根吹き抜け部18bから建物本体吹き抜け部18aに向かう空気の流れを生じさせるようシーリングファン29を制御した。これにより、日射熱等により屋根吹き抜け部18bに熱がたまった場合には、その熱を建物本体吹き抜け部18aの方に引き込んで同吹き抜け部18aを暖めるために利用することができる。よって、この場合暖房効率の向上を図ることができる。なお、この場合、屋根吹き抜け部18bの熱は建物本体吹き抜け部18aにおいて二階部分15のみならず一階部分14まで導かれる。
【0083】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、上記エアカーテン装置40に加え、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との間を遮断するためのエアカーテン装置をさらに設けている。以下、本実施形態の構成について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図9は本実施形態における建物全体を示す概略図である。
【0084】
図9に示すように、本実施形態の建物60には、二階部分15のガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61が設けられている。窓駆動手段としてのガラス戸駆動部61は、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0085】
建物10の階間部分17には、エアカーテン装置70が設けられている。エアカーテン装置70は、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との境界部に沿ってエアカーテンを形成するための装置であり、上記境界部において吹き抜け空間18(詳しくは吹き抜け開口部19)を横切るように水平方向にエアカーテンを形成する。エアカーテン装置70によりエアカーテンが形成されることにより、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間の空気の流通が同カーテンにより遮断される。
【0086】
エアカーテン装置70は上記エアカーテン装置40と基本的に同様の構成を有しており、エア吹き出し側の構成としてエアカーテン吹出グリル71、吹出ファン72及び吸気グリル73を備え、エア吸い込み側の構成としてエアカーテン吸込グリル76、吸込ファン77及び排気グリル78を備えている。ここで、吹出ファン72が作動すると、一階部分14の部屋内の空気が吸気グリル73より吸い込まれ、その後ダクト74を介してエアカーテン吹出グリル71に供給され同グリル71より吹出エアとして吹き出される。これにより、エアカーテンが形成される。また、吸込ファン77が作動すると、エアカーテン吹出グリル71より吹き出された吹出エアがエアカーテン吸込グリル76より吸い込まれ、その後ダクト79を通じて排気グリル78に供給され同グリル78より一階部屋内に排出される。
【0087】
次に、本実施形態における空調システムの電気的構成について図10に基づいて説明する。なおここでは、第1の実施形態における電気的構成と異なる点を中心に説明する。
【0088】
図10に示すように、コントローラ50の出力側には、エアカーテン装置70(具体的には吹出ファン72及び吸込ファン77)が接続されている。また、コントローラ50の出力側には、ガラス戸駆動部61が接続されている。コントローラ50は、各空調装置31,36からの空調実施情報や、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59からの検知結果に基づいて、トップライト駆動部28、シーリングファン29、各エアカーテン装置40,70及びガラス戸駆動部61を駆動制御する。
【0089】
次に、コントローラ50により実行される空調制御処理について説明する。本実施形態では、空調制御処理における冷房時の制御に特徴を有しており、そのためここではかかる冷房時処理について図11を用いて説明する。つまり、本実施形態では、第1の実施形態における空調制御処理(図6)において、ステップS13の冷房時処理(図7)に代えて、図11に示す冷房時処理を行うこととしている。
【0090】
図11に示すように、まずステップS51では、一階用及び二階用の両空調装置31,36が運転しているか否かを判定する。両空調装置31,36のうちいずれかのみが運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15のうちいずれかにおいてのみ冷房が行われている場合にはステップS52に進み、第2エアカーテン形成処理を行う。本処理では、エアカーテン装置70に駆動信号を出力することで、同装置70により建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との境界部にエアカーテンを形成する。これにより、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間で空気の流通が遮断される。そのため、建物本体吹き抜け部18a(吹き抜け開口部19)を通じて冷房が行われている階から冷房が行われていない階へ冷気が流れ出す(換言すると、冷房が行われていない階から冷房が行われている階に熱気が流れ込む)のを抑制できる。
【0091】
ステップS53では、冷房運転中の空調装置31,36が一階用の空調装置31であるか否かを判定する。冷房運転中の空調装置31,36が一階用の空調装置31である場合、すなわち一階部分14でのみ冷房が行われている場合にはステップS54に進み、第1エアカーテン形成処理の停止を行う。この停止処理は、上記第1実施形態の暖房時処理におけるエアカーテン形成処理の停止(図8のステップS36)と同じ処理であるため、ここではその説明を割愛する。これにより、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間における空気の流通が許容される。
【0092】
ステップS55では、トップライト駆動部28に開信号を出力してトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。次のステップS56では、ガラス戸駆動部61に開信号を出力して二階部分15のガラス戸24を開状態とする。これにより、窓部23が開放される。続くステップS57ではシーリングファン29に駆動信号を出力して同ファン29により吹き抜け空間18において上向きの流れを生じさせる。これにより、吹き抜け空間18を通じて窓部23を吸気口、開口部26を排気口とした通気が行われる。具体的には、二階部分15の窓部23から取り込まれた屋外の空気が二階部分15の部屋を通って建物本体吹き抜け部18aに流れ込み、その後屋根吹き抜け部18bを通って開口部26より屋外に排出される。この場合、冷房が行われていない建物本体吹き抜け部18aの二階部分15にこもる熱を屋外に排出できる。
【0093】
先のステップS51において一階用及び二階用の両空調装置31,36が運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15の両方で冷房が行われている場合には、ステップS58に進んで第2エアカーテン形成処理を停止する。ここでは、エアカーテン装置70に対する駆動信号の出力を停止することで、吹出ファン72及び吸込ファン77の駆動を停止させる。この場合、エアカーテンが形成されないため、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間で空気の流通が許容される。なお、本ステップS58では必ずしもエアカーテン形成処理を停止する必要はなく、同形成処理を実施してもよい。その後、ステップS59に進む。
【0094】
また、先のステップS53において運転中の空調装置31,36が二階用である場合、すなわち二階部分15でのみ冷房が行われている場合にもステップS59に進む。ステップS59では、第1エアカーテン形成処理を行う。本処理は、上記第1の実施形態におけるエアカーテン形成処理(図7のステップS23)と同じ処理であり、ここではその説明を割愛する。つまり、少なくとも二階部分15において冷房が行われている場合には、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間がエアカーテンにより遮断される。なお、本実施形態では、エアカーテン吸込グリル46の各吸込口51が常時、全開放状態とされていることを前提とする。
【0095】
ステップS60では、トップライト駆動部28に開信号を出力しトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。ステップS61では、ガラス戸駆動部61に閉信号を出力して二階部分15のガラス戸24を閉状態とする。これにより、窓部23が閉鎖される。ステップS62では、シーリングファン29を駆動させ、吹き抜け空間18において上向きの流れを生じさせる。これにより、屋根吹き抜け部18bにこもった熱が開口部26より屋外に排出される。その後、本処理を終了する。
【0096】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0097】
空調装置として、一階部分14の空調を行う空調装置31と、二階部分15の空調を行う空調装置36とを設けた。また、エアカーテン装置40に加え、吹き抜け空間18において一階部分14と二階部分15との間で空気が流通するのを遮断するエアカーテン装置70を設け、さらに、二階部分15の窓部23を開閉するガラス戸24と、ガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61とを設けた。そして、一階部分14の空調装置31及び二階部分15の空調装置36のうちいずれか一方だけが運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15のうちいずれかでのみ冷房が行われている場合には、エアカーテン装置70による空気流通の遮断を行うようにした。これにより、冷房が行われている階のみを対象とした冷房が可能となるため、冷房効率の向上を図ることができる。
【0098】
また、一階部分14の空調装置31により冷房が行われ、かつ二階部分15の空調装置36により冷房が行われていない場合には、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施せず、エアカーテン装置70による空気流通の遮断を実施するよう制御した。これにより、吹き抜け空間18において本来冷房したい一階部分14のみを対象とした冷房を実施できるとともに、吹き抜け空間18の二階部分15に熱がこもった場合でもその熱が一階部分14に流れ込むのを抑制できる。また、かかる場合には、二階部分15において冷房が実施されていないため、さらに開口部26を開放し且つその開放した開口部26へ向かう空気の流れを吹き抜け空間18において生じさせるようトップライト27及びシーリングファン29を制御するとともに、窓部23を開放させるようガラス戸24を制御するようにした。この場合、二階部分15の窓部23を吸気口、開口部26を排気口とした通気が建物10内において行われる。具体的には、窓部23から取り込まれた屋外の空気が二階部分15を通って建物本体吹き抜け部18a(詳しくはその二階部分15)に流れ込み、その後屋根吹き抜け部18bを通じて開口部26から排出される。これにより、吹き抜け空間18の二階部分15にこもった熱を屋外に好適に排出できるため、吹き抜け空間18の一階部分14を効率よく冷房することができる。
【0099】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0100】
(1)上記各実施形態では、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間の空気の流通を遮断する遮断手段(第1遮断手段)としてエアカーテン装置40を設けたが、遮断手段の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、遮断手段として、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとを仕切る板状の仕切部材を設け、かかる仕切部材により各吹き抜け部18a,18bを仕切る遮断状態と、各吹き抜け部18a,18bを仕切らない非遮断状態とに切り替えられるようにしてもよい。かかる仕切部材としては、例えば複数の可動スラットを有してなるルーバパネルが考えられ、この場合各スラットを開閉することで遮断状態と非遮断状態とに切り替えることができる。なお、仕切部材は透明の材料により形成することが好ましい。そうすれば、仕切部材により吹き抜け空間18を遮断する構成において、採光性を確保できるとともに同空間18における開放感を確保することもできる。
【0101】
また、上記第2実施形態におけるエアカーテン装置70(第2遮断手段)についても同様に、同装置70に代えて仕切部材を第2遮断手段として設けてもよい。
【0102】
(2)上記各実施形態では、エアカーテン吸込グリル46の各吸込口51の一部を開閉板52により閉鎖することで、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアの一部を屋根吹き抜け部18bにおいて生じている上向きの気流(開口部26へ向かう気流)によって同吹き抜け部18bに導くようにしたが、吹出エアの一部を屋根吹き抜け部18bに導くための構成は必ずしもこれに限らない。例えば、ダクト49の途中から分岐して屋根吹き抜け部18bに通じる分岐ダクトを設けるとともに、エアカーテン吸込グリル46より吸い込まれた吹出エアをダクト49を通じて排気グリル48より排出するか、分岐ダクトを通じて屋根吹き抜け部18bに排出するかを切り替える切替手段(例えば切替バルブ)を設けることが考えられる。これによっても、切替手段により吹出エアの排出先を屋根吹き抜け部18b側に切り替えることで、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くことが可能である。
【0103】
(3)開閉板52は、その閉鎖状態において必ずしも傾斜した向きで設けられる必要はなく、縦向き(鉛直向き)で設けられてもよい。要するに、開閉板52により吸込口51が閉鎖できればよく、そうすれば、吸込口51からの吸い込みが遮断された形成後エアが屋根吹き抜け部18bにおける上向き気流によって同吹き抜け部18bに導かれる。
【0104】
(4)上記各実施形態では、吸込口51をエアカーテン吸込グリル46の長手方向に沿って複数設けたが、これを変更してもよい。例えば、吸込口51をエアカーテン吸込グリル46の長手方向に延びる長孔により形成し、かかる長孔からなる吸込口をひとつだけ設けるようにしてもよい。この場合、開閉板としては、吸込口における長手方向の一部(例えば半分)の領域を開閉対象として開閉を行うものを設ければよい。
【0105】
また、上記実施形態では、エアカーテン吸込グリル46に設けられた複数の吸込口51のうち一部の吸込口51にのみ開閉板52を設けたが、すべての吸込口51に開閉板52を設けてもよい。この場合、開閉板52の閉状態では、形成後エアのすべてが屋根吹き抜け部18bに導かれることとなる。
【0106】
(5)上記各実施形態では、エアカーテン装置40を、建物10内の二階部屋内から取り込んだ空気をエアカーテン吹出グリル41から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するとともに、同グリル41より吹き出された吹出エアをエアカーテン吸込グリル46より吸い込んで二階部屋に排出する構成とした。すなわち、エアカーテン装置40において吹出エアの元となる空気の取り込み先、及び、吹出エアを排出する排出先をそれぞれ建物10内としたが、これを変更してもよい。例えば、エアカーテン装置40における空気の取り込み先及び吹出エアの排出先をそれぞれ屋外としてもよい。この場合、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアを導き手段により常時屋根吹き抜け部18b側に導くようにしてもよい。
【0107】
また、エアカーテン装置40に、エアカーテン吹出グリル41より吹き出される吹出エアを吸い込むためのエア吸込部(エアカーテン吸込グリル46、吸込ファン47及び排気グリル48)を設けない構成としてもよい。この場合、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアは屋根吹き抜け部18bの側壁面に当たり、その後その一部が屋根吹き抜け部18bに導かれることとなる。
【0108】
(6)上記第1の実施形態では、温度検出手段の一部を構成する第1吹き抜け部温センサ58を屋内温検出手段に兼用する構成としたが、屋内温検出手段を第1吹き抜け部温センサ58とは別に設けてもよい。この場合、屋内温検出手段を、例えば吹き抜け空間18以外の屋内空間に設けることが考えられる。また、屋内温検出手段を、二階部屋の天井面に設けてもよい。この場合、二階部屋において熱がこもり易い天井付近の温度を好適に検出できるため、こもり熱の有無を把握し易い。
【0109】
(7)上記第1の実施形態では、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合(図7のステップS21においてYES判定した場合)に、一部の吸込口51を開閉板52により閉鎖、すなわち吸込口51を一部開放状態(図7のステップS24)としたが、これを変更してもよい。例えば、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合に、吸込口51を一部開放状態としてもよい。また、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも所定温度α以上高い場合に、吸込口51を一部開放状態としてもよい。これらの場合においても、建物本体吹き抜け部18aにおける熱を含んだ空気を屋根吹き抜け部18bに排出できるため、冷房負荷の低減を図ることができる。
【0110】
(8)上記各実施形態では、空調装置31,36が冷房運転中である場合(図6においてステップS11でYES判定かつステップS12で冷房判定の場合)に冷房時処理(図6のステップS13)を行うこととしたが、これを変更してもよい。例えば、空調装置31,36が冷房運転中であり、かつ、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合に、冷房時処理を行うようにしてもよい。この場合、屋根吹き抜け部18bに熱がこもっていない場合には冷房時処理が行われないため、エアカーテン装置40、シーリングファン29等の装置の駆動が停止される。そのため、省エネを図ることが可能となる。
【0111】
(9)上記第2実施形態において、空調装置31,36による運転が実施されていない場合において、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が所定温度(例えば38℃)以上になった場合に、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施しないように制御する。そして、かかる遮断を実施しない状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26に向けた空気の流れを吹き抜け空間18において生じさせるようシーリングファン29を制御するようにしてもよい。これにより、建物10内において冷房を実施していない場合に、屋根吹き抜け部18bにこもった熱のみならず建物本体吹き抜け部18a(ひいては一階部屋や二階部屋)にこもった熱を屋外に排出することができる。
【0112】
また、かかる構成において、二階部分15のガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61に加えて、一階部分14のガラス戸22を開閉駆動するガラス戸駆動部を設けるとともに、屋外の温度を一階高さと二階高さとでそれぞれ検知する外気温センサを設けてもよい。そして、外気温センサによる検知結果に基づいて、外気温が一階高さ及び二階高さのうちいずれの方が低いかを判定し、低いと判定された階のガラス戸22,24を開くようガラス戸駆動部を制御してもよい。そうすれば、より低い温度の外気を窓部23,25より取り込み、同空気を屋根吹き抜け部18bを通じて開口部26より屋外に排出できる。この場合、屋根吹き抜け部18b及び建物本体吹き抜け部18aにこもった熱の排出を促進させることができる。
【0113】
(10)上記各実施形態では、二階建ての建物10に形成された吹き抜け空間18に本発明を適用したが、平屋建ての建物や、三階以上からなる建物に形成された吹き抜け空間に対し本発明を適用してもよい。また、上記実施形態の建物10において吹き抜け空間を建物本体12の二階部分15と屋根部13とに跨るように形成し(換言すると建物本体12において一階部分14には吹き抜け空間を形成しない構成)、かかる吹き抜け空間に本発明を適用してもよい。要するに、建物本体内に、屋根部まで延びる屋内高さで形成された吹き抜け空間であれば本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0114】
10…建物、12…建物本体、13…屋根部、14…下階部としての一階部分、15…上階部としての二階部分、18…吹き抜け空間、18a…下側空間部としての建物本体吹き抜け部、18b…上側空間部としての屋根吹き抜け部、23…上階窓部としての窓部、24…窓開閉手段としてのガラス戸、26…開口部、27…開閉手段としてのトップライト、29…気流発生手段としてのシーリングファン、31…下階空調装置としての空調装置、36…上階空調装置としての空調装置、40…遮断手段、第1遮断手段及びエアカーテン形成手段としてのエアカーテン装置、50…遮断制御手段、気流制御手段及び切替制御手段としてのコントローラ、58…屋内温検出手段としての第1吹き抜け部温センサ、61…窓駆動手段としてのガラス戸駆動部、70…第2遮断手段としてのエアカーテン装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、建物本体とその上方に設けられる屋根部とに跨って吹き抜け空間が形成されている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような吹き抜け空間では開放感あふれる大空間を演出することができる。
【0003】
このような吹き抜け空間を有する建物では、屋根部に開閉式のトップライトを設置するとともに、吹き抜け空間における屋根部の部分にシーリングファンを設置する場合がある。この場合、トップライトを開いてシーリングファンを駆動させることにより、吹き抜け空間に上向きの流れを生じさせ、これにより吹き抜け空間の換気を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−343664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上述の吹き抜け空間を空調装置により冷房する場合には、そもそも冷房する必要のない吹き抜け空間における屋根部の部分も含めて屋内空気が冷却される。しかしながら、これは、冷房効率の面からすると好ましくないといえる。また、夏場には、かかる吹き抜け空間の屋根部部分に熱がこもることが想定され、その場合その熱により吹き抜け空間を効率よく冷房することが困難になるおそれがある。
【0006】
そこで、空調装置による冷房時において、トップライトを開いてシーリングファンを駆動させることにより、吹き抜け空間における屋根部部分にこもった熱をトップライトから排出することも考えられる。しかしながらその場合、吹き抜け空間における建物本体の部分の冷気が屋根部部分に引き込まれ、屋根部部分にこもった熱とともに屋外に排出されるおそれがあり、かえって冷房効率を悪化させる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、吹き抜け空間を効率よく冷房することができる建物の空調システムを提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の空調システムは、建物本体とその上方に設けられた屋根部とを備えるとともに、前記建物本体内には前記屋根部まで延びる屋内高さで吹き抜け空間が設けられている建物に適用され、前記建物本体において前記吹き抜け空間を含む屋内空間の空調を行う空調装置と、前記屋根部において前記吹き抜け空間を屋外と連通させる開口部に設けられ、その開口部を開閉する開閉手段と、前記吹き抜け空間において前記屋根部の下面側に設けられ、前記吹き抜け空間において前記開口部に向かう空気の流れを生じさせる気流発生手段と、前記吹き抜け空間において前記屋根部の直下であって前記気流発生手段を含む空間部である上側空間部と、その下方であって前記空調装置から空調空気が吹き出される空間部である下側空間部との間で空気が流通するのを遮断する遮断手段と、前記空調装置により冷房空調が実施されている冷房空調状態において、前記上側空間部と前記下側空間部との間の空気の流通を遮断するよう前記遮断手段を制御する遮断制御手段と、前記遮断制御手段により前記遮断手段が遮断状態とされている場合に、前記開口部を開放するよう前記開閉手段を制御するとともに、その開放した開口部へ向かう空気の流れを前記上側空間部にて生じさせるよう前記気流発生手段を制御する気流制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、空調装置により吹き抜け空間の冷房空調が行われている場合において、下側空間部と上側空間部との間における空気の流通が遮断手段により遮断される。これにより、吹き抜け空間において本来冷房したい下側空間部のみを対象とした冷房が可能となるとともに、上側空間部にこもった熱が下側空間部に流れ込むのを抑制できる。また、かかる吹き抜け空間の遮断状態において、開閉手段が開状態とされることにより開口部が開放され、その開放された開口部に向けた空気の流れが気流発生手段により上側空間部において生成されるため、下側空間部の空気(冷気)が上側空間部に引き込まれるのを抑制しつつ、上側空間部の熱を開口部より排出できる。そのため、上側空間部にこもる熱により下側空間部の冷房効率が悪化することを抑制できる。よって、この場合、下側空間部について効率よく冷房することができる。
【0010】
第2の発明の建物の空調システムは、第1の発明において、前記遮断手段は、前記下側空間部と前記上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段であることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、吹き抜け空間において、下側空間部と上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアが吹き出してエアカーテンが形成されることにより、下側空間部と上側空間部との間の空気の流通が遮断される。この場合、下側空間部と上側空間部とを仕切部材等により仕切ることでそれら両空間部の間の通気を遮断する構成とは異なり、吹き抜け空間における開放感を確保しつつ上記第1の発明の効果を得ることができる。また、上側空間部上方の屋根にトップライト等の採光部が設けられている構成にあっては、吹き抜け空間への採光性を確保しつつ第1の発明の効果を得ることができる。
【0012】
第3の発明の建物の空調システムは、第2の発明において、前記エア吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を前記上側空間部に導く導き手段を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、導き手段によって上側空間部に吹出エアが導入されることにより上側空間部の圧力が上昇し、その圧力上昇により上側空間部内の空気について屋外への排出が促される。この場合、空調空気が吹き出される下側空間部内の冷気の逃げ出しを抑制しつつも、上側空間部内のこもり熱を早期に排出できる。
【0014】
第4の発明の建物の空調システムは、第3の発明において、前記エアカーテン形成手段は、前記建物内において前記上側空間部以外の屋内空間から取り込んだ空気を前記エア吹出口から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するものであり、前記導き手段は、前記吹出エアを前記上側空間部に導く第1状態と、前記吹出エアを前記上側空間部に導かずに前記上側空間部以外の屋内空間に戻す第2状態とに切替可能であり、前記上側空間部以外の屋内空間の温度を検出する屋内温検出手段と、前記屋内温検出手段による検出温度に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施する切替制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、導き手段による第1状態では、上記のとおり、上側空間部に吹出エアが導かれ、これにより同空間部内の空気の排出、ひいては同空間部内のこもり熱の排出が促される。それに対して、第2状態では、建物内において上側空間部以外の屋内空間、すなわち空調装置からの空調空気により空調がなされている空間(以下、空調実施空間という)において、同空間内での空気の循環が促され、空調実施空間で効率よく空調を実施できる。このとき、吹出エアが上側空間部内に導かれないことは、冷房中の空気が上側空間部に漏れ出ることを抑制する上で有効である。
【0016】
また、本発明では、上記の第1/第2状態の切替を、空調実施空間の温度、例えば空調実施空間が十分に冷えているか否かに基づいて行うことができる。したがって、空調実施空間が十分に冷えていて上側空間部に冷気を漏らしたくない場合には第2状態としたり、空調実施空間が十分に冷えておらず空調実施空間の空気を上側空間部に導いても差し支えない場合には第1状態としたりする等、空調実施空間の冷え具合に応じた切り替えをすることができる。これにより、上側空間部のこもり熱の排出の促進を好適に行うことができる。
【0017】
第5の発明の建物の空調システムは、第4の発明において、前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度と前記空調装置の冷房設定温度とを比較しその比較結果に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、空調実施空間の温度と空調装置の設定温度とが高低比較され、その比較結果に基づいて第1状態/第2状態の切替が行われる。例えば、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高いか否かに基づいてかかる切替を行うことが考えられる。具体的には、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高い場合、すなわち空調実施空間が目標温度まで下がり切っていない場合には第1状態とする。この場合、空調実施空間内の熱を含んだ空気が上側空間部に導かれるため、空調実施空間の冷房効率を高めることができる。また、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度以下である場合、すなわち空調実施空間が目標温度まで下がっている場合には第2状態とする。この場合、空調実施空間の冷気が上側空間部に漏れ出るのを防止できるため、冷房効率の低下を回避できる。よって、この場合、冷房効率の観点からすると好ましい構成といえる。
【0019】
第6の発明の建物の空調システムは、第5の発明において、前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度が前記空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、前記導き手段による第1状態への切替を実施することを特徴とする。
【0020】
ところで、空調実施空間において例えば天井付近に熱がこもった場合には、空調装置により冷房を行っても同空間がなかなか冷えないことが想定される。そこで、本発明では、空調実施空間の温度が空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に第1状態に切り替えることとしている。これにより、空調実施空間の例えば天井付近に熱こもりが生じた場合にはその熱を上側空間部(ひいては屋外)に排出できるため、好適な冷房が可能となる。
【0021】
第7の発明の建物の空調システムは、第1乃至第6のいずれかの発明において、前記建物本体は、上下に隣接する下階部と上階部とを有しており、前記吹き抜け空間は、前記下階部と前記上階部とに跨って形成されており、前記下階部における空間部を空調対象として空調を行う下階空調装置と、前記上階部における空間部を空調対象として空調を行う上階空調装置とを備え、それら各階の空調装置はそれぞれ前記吹き抜け空間の空調を行う前記空調装置を構成しており、前記遮断手段としての第1遮断手段に加え、前記吹き抜け空間において前記下階部の部分と前記上階部の部分との間で空気が流通するのを遮断する第2遮断手段を備え、さらに、前記上階部の外壁に形成され屋内外を連通する上階窓部を開閉する窓開閉手段と、前記窓開閉手段を開閉駆動する窓駆動手段と、を備え、前記下階空調装置により冷房が行われ、かつ前記上階空調装置により冷房が行われていない場合には、前記遮断制御手段は、前記第1遮断手段による空気流通の遮断を実施せず、前記第2遮断手段による空気流通の遮断を実施するよう制御し、前記気流発生手段は、前記開口部を開放し且つその開放した開口部へ向かう空気の流れを前記吹き抜け空間において生じさせるよう前記開閉手段及び前記気流発生手段を制御するとともに、前記上階窓部を開放させるよう前記窓駆動手段を制御することを特徴とする。
【0022】
建物本体が上階部と下階部とを有してなる多層階の建物では、建物本体において上下階に跨って吹き抜け空間が形成されている場合がある。また、このような建物では、上階部及び下階部にそれぞれ設置された共通の空調装置により、各階部の複数の空間部を一括して空調する空調システム(例えば全館空調システムなど)が導入されている場合があり、その場合吹き抜け空間(詳しくは下側空間部)はこれら各空調装置によって冷房されることとなる。ところで、このような吹き抜け空間において本来冷房したいのは下階部側のみであり上階部側については冷房する必要がないと考えられる。また、かかる吹き抜け構造では、熱が上側空間部のみならず、下側空間部の上階側にもこもることが想定される。この場合、この上階側にこもった熱により冷房効率が低下することが懸念される。
【0023】
そこで、本発明では、この点に着目し、下階部の空調装置のみにより(換言すると下階部においてのみ)冷房が行われている場合には吹き抜け空間において下階部分と上階部分との間における空気の流通を第2遮断手段により遮断する構成としている。これにより、吹き抜け空間において本来冷房したい下階部側のみを対象とした冷房を実施できるとともに、吹き抜け空間の上階部側に熱がこもった場合でもその熱が下階部側に流れ込むのを抑制できる。
【0024】
また、この場合、上階部用の空調装置が作動していないことに着目し、さらに第1遮断手段による遮断を解除して下側空間部と上側空間部との間の通気を可能とするとともに、開口部及び上階窓部を開放することとしている。これにより、上階窓部を吸気口、開口部を排気口とした通気が建物内において行われる。具体的には、上階窓部から取り込まれた屋外の空気が上階部を通って吹き抜け空間(下側空間部)の上階部分に流れ込み、その後上側空間部を通じて開口部から排出される。これにより、吹き抜け空間の上階部分にこもった熱を屋外に好適に排出できるため、吹き抜け空間が上階部と下階部とに跨って形成されている構成において、同吹き抜け空間を効率よく冷房することができる。
【0025】
第8の発明の建物の空調システムは、第1乃至第7のいずれかの発明において、前記空調装置により暖房空調が行われている暖房空調状態において、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による空気流通の遮断を実施する一方、前記気流制御手段は、前記開口部を閉鎖するよう前記開閉手段を制御するとともに、前記気流発生手段の作動を停止するよう制御する建物の空調システムであり、前記気流発生手段は、前記吹き抜け空間において前記上側空間部から前記下側空間部へ向かう空気の流れを発生させることが可能であり、前記下側空間部の温度と前記上側空間部の温度とをそれぞれ検出する温度検出手段を備え、前記空調装置による暖房空調状態において、前記上側空間部の温度が前記下側空間部の温度よりも高い場合には、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による遮断を行わないよう制御し、前記気流制御手段は、前記上側空間部から前記下側空間部に向かう空気の流れを生じさせるよう前記気流発生手段を制御することを特徴とする。
【0026】
本発明の空調システムでは、空調装置により吹き抜け空間の暖房空調が行われている場合において、下側空間部と上側空間部との間における空気の流通が遮断手段により遮断される。この場合、吹き抜け空間において空調装置により暖められた下側空間部の空気(暖気)が上側空間部に流れ込むのを抑制できる。そのため、下側空間部を効率よく暖房することができる。また、かかる暖房空調状態では、開閉手段により開口部が閉鎖されるとともに気流発生手段が停止されるため、上側空間部にこもる熱を同空間部において保持させることができる。そのため、かかる熱による下側空間部の暖房効果の向上が期待できる。
【0027】
そして、本発明では、上記の構成において、上側空間部の温度が下側空間部の温度よりも高い場合には、吹き抜け空間において遮断手段による遮断を解除し、気流発生手段により上側空間部から下側空間部へ向かう空気の流れを吹き抜け空間において発生させることとしている。これにより、日射熱等により上側空間部に熱がたまった場合には、その熱を下側空間部の方に引き込んで同空間部を暖めるために利用することができる。よって、この場合暖房効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施形態における建物全体を示す概略図。
【図2】建物本体吹き抜け部と屋根吹き抜け部との境界部を示す平面略図。
【図3】エアカーテン吸込グリルの構成を示し、(a)が同構成を示す正面図、(b)が断面図。
【図4】吸込口の一部開放状態における作用を説明するための説明図。
【図5】空調システムの電気的構成を示す図。
【図6】空調制御処理を示すフローチャート。
【図7】冷房時処理を示すフローチャート。
【図8】暖房時処理を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態における建物全体を示す概略図。
【図10】空調システムの電気的構成を示す図。
【図11】冷房時処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0029】
〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は本実施形態における建物全体を示す概略図である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の建物10は、基礎11上に設けられた建物本体12と、建物本体12の上方に設けられた傾斜屋根よりなる屋根部13とを備える。建物本体12は、下階部としての一階部分14と、上階部としての二階部分15とを有してなる二階建ての建物となっている。一階部分14と二階部分15との間の境界部は階間部分17となっており、一階天井面と二階床面とを含むそれらの間にある各部材によって構成されている。
【0031】
建物10には、建物本体12と屋根部13とに跨って上下に延びる吹き抜け空間18が形成されている。吹き抜け空間18は、例えばリビングとして用いられている。吹き抜け空間18は、建物本体12側の空間を構成する建物本体吹き抜け部18aと、屋根部13側の空間を構成する屋根吹き抜け部18bとからなる。建物本体吹き抜け部18aは、一階部分14と二階部分15とに跨って形成されている。具体的には、建物本体12では階間部分17の一部が取り除かれることにより吹き抜け開口部19が形成されており、建物本体吹き抜け部18aはその吹き抜け開口部19を介して一階部分14と二階部分15とを上下に連通する空間となっている。なお、図示は省略するが、建物10には、上記吹き抜け空間18以外にも、一階部分14と二階部分15とにそれぞれ複数の部屋が設けられている。
【0032】
また、建物10の外周部には、一階部分14と二階部分15とにそれぞれ窓部21,23が設けられている。窓部21,23は、屋内外を連通する窓開口であり、それら各窓部21,23にはそれぞれガラス戸22,24が設けられている。これら各ガラス戸22,24により各々の窓部21,23が開閉される。
【0033】
屋根部13には、屋根吹き抜け部18bを屋外と連通する開口部26が形成されている。開口部26には、開閉手段としてのトップライト27が設けられており、このトップライト27により開口部26が開閉される構成となっている。また、屋根部13には、開閉駆動手段としてのトップライト駆動部28が設けられている。トップライト駆動部28は、トップライト27を開閉駆動するものであり、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0034】
屋根吹き抜け部18bには、気流発生手段としてのシーリングファン29が設けられている。シーリングファン29は、正逆いずれの方向にも回転可能とされており、吹き抜け空間18において上向きの気流及び下向きの気流のいずれかを選択的に生じさせることができる。例えば、トップライト27を開いて開口部26を開放させた状態で、シーリングファン29により上向きの気流を生じさせれば、吹き抜け空間18の空気を開口部26より屋外に排出でき同空間18の換気を行える。
【0035】
建物本体12の階間部分17には一階用の空調装置31が設置されている。空調装置31は、少なくとも冷房及び暖房機能を有する室内機として構成され、この空調装置31により一階部分14の各部屋における冷暖房が行われる。具体的には、空調装置31には複数の通気ダクト32が接続されており、それら各通気ダクト32が一階部分14の各部屋の天井面に設けられた吹出グリル33に接続されている。なお、図1では便宜上、一の通気ダクト32及び一の吹出グリル33のみを図示している。この場合、空調装置31より空調空気(冷気又は暖気)が各通気ダクト32を介して各吹出グリル33に供給され、各々の吹出グリル33より一階部分14の各部屋に吹き出される。また、図示は省略するが、吹出グリル33は、一階部分14の天井面における吹き抜け空間18の周縁部にも設置されており、同吹出グリル33より吹き出される空調空気により吹き抜け空間18の冷暖房が行われるようになっている。
【0036】
また、二階部分15の天井裏スペースには二階用の空調装置36が設置されている。空調装置36は、上述した一階用の空調装置31と同様に、少なくとも冷房及び暖房機能を有する室内機として構成され、この空調装置36により二階部分15の各部屋における冷暖房が行われる。具体的には、空調装置36には複数の通気ダクト37が接続されており、それら各通気ダクト37が二階部分15の各部屋の天井面に設けられた吹出グリル38に接続されている。なお、図1では便宜上、一の通気ダクト37及び一の吹出グリル38のみを図示している。この場合、空調装置36より空調空気(冷気又は暖気)が各通気ダクト37を介して各吹出グリル38に供給され、各々の吹出グリル38より二階部分15の各部屋に吹き出される。また、図示は省略するが、吹出グリル38は、二階部分15の天井面における吹き抜け空間18の周縁部にも設置されており、同吹出グリル38より吹き出される空調空気により吹き抜け空間18の冷暖房が行われるようになっている。
【0037】
建物10には、エアカーテン形成手段としてのエアカーテン装置40が設けられている。エアカーテン装置40は、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部に沿ってエアカーテンを形成する装置であり、上記境界部において吹き抜け空間18を横切るように水平方向にエアカーテンを形成する。エアカーテン装置40によりエアカーテンが形成されることにより、各吹き抜け部18a,18bの間の空気の流通が同カーテンにより遮断されるようになっている。
【0038】
エアカーテン装置40は、二階部分15の部屋内の空気を取り込んでその取り込み空気を吹出エアとして吹き出すことでエアカーテンを形成するエア吹出部と、エア吹出部より吹き出された吹出エアを吸い込んで二階部屋内に排出する(戻す)エア吸込部とを備える。具体的には、エアカーテン装置40は、エア吹き出し側の構成として、エアカーテン吹出グリル41と、吹出ファン42と、吸気グリル43とを備える。ここで、吹出ファン42が作動すると、二階部屋内の空気が吸気グリル43より吸い込まれ、その後ダクト44を介してエアカーテン吹出グリル41に供給され同グリル41より吹出エアとして吹き出される。これにより、エアカーテンが形成される。
【0039】
一方、エアカーテン装置40は、エア吸い込み側の構成として、エアカーテン吸込グリル46と、吸込ファン47と、排気グリル48とを備える。ここで、吸込ファン47が作動すると、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアがエアカーテン吸込グリル46より吸い込まれ、その後ダクト49を通じて排気グリル48に供給され同グリル48より二階部屋内に排出される。したがって、エアカーテンの形成に用いられる二階部屋内の空気は循環するようになっている。
【0040】
続いて、エアカーテン装置40について図2を用いてより詳細に説明する。なお、図2は、吹き抜け空間18における建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部を示す平面略図である。
【0041】
図2に示すように、吹き抜け空間18は、平面視において略矩形形状の開口を有している。エアカーテン吹出グリル41及びエアカーテン吸込グリル46は吹き抜け空間18における各吹き抜け部18a,18bの境界部において同空間18を挟んだ両側に対向配置されており、各グリル41,46はそれぞれ吹き抜け空間18の周縁部に沿って水平方向に延びる長尺状をなしている。エアカーテン吹出グリル41にはエアを吹き出すための複数の吹出口(図示略)が横並びに設けられている。この吹出口がエア吹出口に相当するものである。それに対して、エアカーテン吸込グリル46には上記吹出口より吹き出された吹出エアを吸い込むための複数の吸込口51(図3参照)が横並びに設けられている。
【0042】
次に、エアカーテン吸込グリル46の構成を図3に基づいて説明する。図3は、エアカーテン吸込グリル46の構成を示す図であり、(a)が同構成を示す正面図、(b)が断面図である。また、図3(b)は、図3(a)のA−A線断面図である。
【0043】
図3(a)及び(b)に示すように、エアカーテン吸込グリル46は、四角管状に形成されたダクト部材により形成されており、その一側面には同グリル46の内外を連通する上記吸込口51が形成されている。吸込口51は、矩形形状をなしており、エアカーテン吸込グリル46の長手方向に沿って所定間隔で複数設けられている。ここで、エアカーテン吸込グリル46においてかかる吸込口51が形成されている側面部46aは傾斜面となっており、具体的にはエアカーテンを形成する吹出エアが流れる側に向かって上方傾斜している。なお、図示は省略するが、エアカーテン吹出グリル41についても、エアカーテン吸込グリル46と概ね同様の構成となっており、矩形形状の吹出口がエアカーテン吹出グリル41の長手方向に沿って所定の間隔(詳しくは吸込口51と同間隔)で複数形成されている。
【0044】
エアカーテン吸込グリル46に設けられた複数の吸込口51のうち一部の吸込口51には、当該吸込口51を開閉する開閉板52が設けられている。本実施形態では、開閉板52が、複数の吸込口51においてひとつおきに設けられている。開閉板52は、吸込口51を塞ぐことが可能な大きさを有する矩形板状に形成されている。開閉板52は、エアカーテン吸込グリル46に回動可能に取り付けられており、回動することにより吸込口51を開閉する構成となっている。したがって、本エアカーテン吸込グリル46では、各開閉板52を開状態とすることによりすべての吸込口51が開放される全開放状態と、各開閉板52を閉状態とすることにより一部の吸込口51だけが開放される一部開放状態とに切り替え可能となっている。ここで、開閉板52により開閉される吸込口51について、開閉板52が開状態にある場合には同吸込口51からの吹出エアの吸い込みが許容される一方、開閉板52が閉状態にある場合には同吸込口51からの吹出エアの吸い込みが禁止される。また、開閉板52により吸込口51が閉鎖されている状態では、開閉板52がエアカーテン吸込グリル46の側面部46aと重なり合い、同側面部46aに沿って上方傾斜された状態となる。
【0045】
なお、開閉板52は、必ずしも複数の吸込口51においてひとつおきに配置する必要はなく、例えば複数の吸込口51のうち、エアカーテン吸込グリル46において長手方向の一方側に設けられた半分の吸込口51に開閉板52を配置する等、その配置の仕方は任意としてよい。また、開閉板52は必ずしも複数の吸込口51のうち半分に設ける必要はなく、複数の吸込口51のうち1/3に設ける等その設置割合は任意としてよい。
【0046】
また、エアカーテン吸込グリル46には、これら各開閉板52を開閉駆動する開閉駆動部55が設けられている。開閉駆動部55は、例えばモータ等の電動式の駆動機構よりなる。具体的には、開閉駆動部55による開駆動時には各開閉板52のすべてが開状態(すなわち吸込口51の全開放状態)となり、開閉駆動部55による閉駆動時には各開閉板52のすべてが閉状態(すなわち吸込口51の一部開放状態)となる。
【0047】
ここで、開閉駆動部55により各開閉板52を閉状態とすることで一部の吸込口51を閉鎖した状態(つまり吸込口51の一部開放状態)において、エアカーテン装置40によりエアカーテンを形成する場合の作用について説明する。図4は、かかる作用を説明するための説明図である。なおここでは、トップライト27が開かれて開口部26が開放され、その開放状態でシーリングファン29の駆動により屋根吹き抜け部18bにおいて上向きの流れ(ひいては開口部26へ向けた流れ)が生じていることを前提として説明を行う。
【0048】
図4に示すように、吸込口51の一部開放状態では、開閉板52により閉鎖されている吸込口51では吹出エアの吸い込みが遮断されている。この場合、エアカーテン吹出グリル41の各吹出口より吹き出される吹出エアのうち、かかる閉鎖状態にある吸込口51(換言すると開閉板52)に向かって吹き出される吹出エアについてはエアカーテンを形成した後、開閉板52に当たって、屋根吹き抜け部18bに生じている上向きの流れにより同吹き抜け部18bに引き込まれる。具体的には、かかる吹出エアは開閉板52の板面(傾斜面)に沿って上方に流れ、屋根吹き抜け部18bに引き込まれることとなる。よって、この場合、二階部屋内の空気を取り込んでエアカーテン吹出グリル41より吹出エアとして吹き出される同エアの一部だけがエアカーテン吸込グリル46に吸い込まれ、同グリル46に吸い込まれなかった残りのエアについては屋根吹き抜け部18bに導かれその後開口部26より屋外に排出される。したがって、吸込口51の一部開放状態においてエアカーテンを形成する場合には、当該エアカーテンにより建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとが遮断されているにもかかわらず、二階部屋内の空気を屋根吹き抜け部18bを通じて屋外に排出することが可能となる。
【0049】
図1の説明に戻り、建物10におけるその他の構成として、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aには第1吹き抜け部温センサ58が設けられ、屋根吹き抜け部18bには第2吹き抜け部温センサ59が設けられている。第1吹き抜け部温センサ58は建物本体吹き抜け部18aの温度を検知するセンサであり、例えば同吹き抜け部18aにおいて二階部分15に設けられている。また、第2吹き抜け部温センサ59は、屋根吹き抜け部18bの温度を検知するセンサである。なおここで、第1吹き抜け部温センサ58が屋内温検出手段に相当するものであり、各温度センサ58,59により温度検出手段が構成されている。
【0050】
次に、空調システムの電気的構成について図5に基づいて説明する。
【0051】
図5に示すように、建物10には、コントローラ50が設けられている。コントローラ50は、CPU等を周知のマイクロコンピュータを主体に構成されており、例えば建物10内の内壁面に設置されている。
【0052】
コントローラ50には、各空調装置31,36から空調実施情報が逐次入力される。具体的には、空調実施情報として、空調装置31,36が運転しているか否かに関する運転実施情報、空調装置31,36が冷房運転及び暖房運転のいずれの運転を実施しているかに関する冷暖房情報、空調装置31,36の冷房設定温度及び暖房設定温度に関する設定温度情報等がコントローラ50に入力される。
【0053】
コントローラ50の入力側には、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59が接続されている。コントローラ50には、これら各センサ58,59から逐次検知結果が入力される。
【0054】
コントローラ50の出力側には、トップライト駆動部28、シーリングファン29、エアカーテン装置40(具体的には、吹出ファン42及び吸込ファン47)及び開閉駆動部55が接続されている。コントローラ50は、各空調装置31,36からの空調実施情報、各温度センサ58,59からの検知結果に基づいて、これら各装置28,29,40,55を駆動制御する。
【0055】
次に、コントローラ50によって実行される空調制御処理について図6に基づいて説明する。図6は空調制御処理を示すフローチャートである。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
【0056】
図6に示すように、まずステップS11において、空調装置31,36(詳しくはいずれかの空調装置31,36)が運転しているか否かを判定する。空調装置31,36が運転していない場合には本処理を終了する。空調装置31,36が運転している場合にはステップS12に進む。
【0057】
ステップS12では空調装置31,36が冷房運転及び暖房運転のいずれを行っているかを判定する。空調装置31,36が冷房運転を行っている場合にはステップS13に進み、冷房時処理を実行し、空調装置31,36が暖房運転を行っている場合にはステップS14に進み、暖房時処理を実行する。ステップS13の冷房時処理又はステップS14の暖房時処理を実行した後、本処理を終了する。
【0058】
続いて、冷房時処理及び暖房時処理について図7及び図8に基づいて説明する。なお、図7は冷房時処理を示すフローチャートであり、図8は暖房時処理を示すフローチャートである。まず、冷房時処理について説明する。
【0059】
図7に示すように、まずステップS21において、第1吹き抜け部温センサ58の検知結果及び空調装置31,36からの設定温度情報(詳しくは冷房設定温度情報)に基づいて、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度(例えば28℃)よりも高い状態が所定時間以上継続しているか否かを判定する。ここで、所定時間は、(例えば32℃の条件下で)空調装置31,36により冷房運転を開始してから建物本体吹き抜け部18aの温度が冷房設定温度に達するのに必要十分な時間に設定されており、例えば1時間に設定されている。建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度以下である場合には、ステップS22に進む。
【0060】
ステップS22では、開閉駆動部55に開信号を出力し、エアカーテン吸込グリル46の各開閉板52を開状態とする。これにより、すべての吸込口51が開放された全開放状態となる。
【0061】
続くステップS23では、エアカーテン形成処理を行う。本処理では、エアカーテン装置40に駆動信号を出力することで、同装置40により吹き抜け空間18においてエアカーテンを形成する。これにより、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間の空気の流通がエアカーテンにより遮断される。そのため、建物本体吹き抜け部18a側の冷気が屋根吹き抜け部18bに流れ込むのを抑制できるとともに、屋根吹き抜け部18bにこもった熱気が建物本体吹き抜け部18aに流れ込むのを抑制できる。
【0062】
一方、ステップS21において建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合には、ステップS24に進む。ステップS24では、開閉駆動部55に閉信号を出力し、エアカーテン吹出グリル41の各開閉板52を閉状態とする。これにより、一部の吸込口51だけが開放される一部開放状態となる。
【0063】
続く、ステップS25では、エアカーテン形成処理を行う。この処理はステップS23と同様の処理であるため、処理の説明については割愛する。本ステップでは、上記ステップS23とは異なり、エアカーテン形成処理が吸込口51の一部開放状態において行われる。この場合、二階部屋内の空気を取り込んでエアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアの一部が屋根吹き抜け部18bに流れ込み、その後開口部26を通じて屋外に排出されることなる。したがって、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度までなかなか下がり切らない場合、すなわち同吹き抜け部18aひいては二階部屋内に熱がこもっている場合には、二階部屋内の空気を屋根吹き抜け部18bに導いて開口部26より屋外に排出することができる。なお、詳細には、かかる作用効果は後述するステップS26,S27の各処理が実行されていることが前提となって奏するものである。
【0064】
ステップS26では、トップライト駆動部28に開信号を出力してトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。続くステップS27では、シーリングファン29に駆動信号を出力し、同ファン29により屋根吹き抜け部18bにおいて上向きの気流を生じさせる。これにより、エアカーテンにより建物本体吹き抜け部18aの空気を屋根吹き抜け部18bに引き込むのを抑制しつつ、屋根吹き抜け部18bの空気を開口部26を通じて屋外に排出でき、ひいては同吹き抜け部18bにこもった熱を屋外に排出できる。その後、本処理を終了する。
【0065】
次に、暖房時処理について図8に基づいて説明する。
【0066】
図8に示すように、まずステップS31において、トップライト駆動部28に閉信号を出力してトップライト27を閉状態とする。これにより、開口部26が閉鎖される。したがって、屋根吹き抜け部18bにこもる熱を同吹き抜け部18bにおいて保持させることができる。
【0067】
ステップS32では、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59の検知結果に基づいて、屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高いか否かを判定する。屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度以下である場合には、ステップS33に進む。
【0068】
ステップS33では、開閉駆動部55を駆動させることで、エアカーテン吸込グリル46の各開閉板52を開状態とし、すべての吸込口51が開放された全開放状態とする。次のステップS34では、エアカーテンの形成処理を行う。これにより、吹き抜け空間18においてエアカーテンが形成される。なお、この処理は、上述した図7のステップS23と同じ処理であるため、ここではその説明を割愛する。続くステップS35では、シーリングファン29に対する駆動信号の出力を停止し、吹き抜け空間18において気流を生じさせるのを停止する。その後、本処理を終了する。
【0069】
一方、先のステップS32において屋根吹き抜け部18bの温度が建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合にはステップS36に進む。ステップS36では、エアカーテン形成処理を停止する。ここでは、エアカーテン装置40に対する駆動信号の出力を停止して、吹出ファン42及び吸込ファン47の駆動を停止させる。この場合、エアカーテンが形成されないため、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間で空気の流通が可能となる。
【0070】
ステップS37ではシーリングファン29に駆動信号を出力し、同ファン29により吹き抜け空間18において下向きの空気の流れを生じさせる。これにより、屋根吹き抜け部18bに熱がこもった場合には、その熱を建物本体吹き抜け部18aに流れ込ませることができる。その後、本処理を終了する。
【0071】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0072】
建物本体12において吹き抜け空間18を含む屋内空間の空調を行う空調装置31,36と、屋根部13において吹き抜け空間18を屋外と連通させる開口部26に設けられ、その開口部26を開閉するトップライト27と、吹き抜け空間18において屋根部13の下面側に設けられ、吹き抜け空間18において開口部26に向かう空気の流れを生じさせるシーリングファン29と、吹き抜け空間18において屋根部13の直下であってシーリングファン29を含む空間部である屋根吹き抜け部18bと、その下方であって空調装置31,36から空調空気が吹き出される空間部である建物本体吹き抜け部18aとの間で空気が流通するのを遮断するエアカーテン装置40とを備える構成とした。そして、空調装置31,36により冷房空調が実施されている状態において、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を行うよう制御した。この場合、吹き抜け空間18において本来冷房したい建物本体吹き抜け部18aのみを対象とした冷房が可能となるとともに、屋根吹き抜け部18bにこもった熱が建物本体吹き抜け部18aに流れ込むのを抑制できる。そして、かかるエアカーテン装置40による遮断状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26へ向かう空気の流れを屋根吹き抜け部18bにおいて生じさせるようシーリングファン29を制御した。この場合、建物本体吹き抜け部18aの空気(冷気)が屋根吹き抜け部18bに引き込まれるのを抑制しつつ、屋根吹き抜け部18bの熱を開口部26より排出できる。そのため、屋根吹き抜け部18bにこもる熱により建物本体吹き抜け部18aの冷房効率が悪化することを抑制できる。よって、この場合、建物本体吹き抜け部18aについて効率よく冷房することができる。
【0073】
また、エアカーテン装置40により建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの境界部に吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成することで、それら各吹き抜け部18a,18b間の空気の流通を遮断するようにした。この場合、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとを仕切部材等により仕切ることでそれら両吹き抜け部18a,18bの間の通気を遮断する構成とは異なり、吹き抜け空間18における開放感を確保しつつ、かつ、トップライト27を通じた吹き抜け空間18への採光性を確保しつつ上記の効果を得ることができる。
【0074】
エアカーテン吹出グリル41の吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を屋根吹き抜け部18bに導くようにした。この場合、屋根吹き抜け部18bに吹出エアが導入されることにより屋根吹き抜け部18bの圧力が上昇し、その圧力上昇により同吹き抜け部18b内の空気について屋外への排出が促される。この場合、空調空気が吹き出される建物本体吹き抜け部18a内の冷気の逃げ出しを抑制しつつも、屋根吹き抜け部18b内のこもり熱を早期に排出できる。
【0075】
吹出エアの少なくとも一部を屋根吹き抜け部18bに導くための構成(導き手段の構成)として具体的には、一部の吸込口51に同吸込口51を開閉する開閉板52を設け、この開閉板52を閉状態として同吸込口51を閉鎖することで同吸込口51からの吹出エアの吸い込みを遮断するとともに、当該吸い込みが遮断された吹出エアをシーリングファン29により生じる開口部26へ向かう空気の流れにより屋根吹き抜け部18bに導くようにした。この場合、比較的簡素な構成で、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くことができる。
【0076】
より詳しくは、吹出エアの吹き出し先の側に向かって上方傾斜するように傾斜板部としての開閉板52を設け、この開閉板52に沿って吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くようにした。これにより、吹出エアをより確実に屋根吹き抜け部18bに導くことができる。なお、傾斜板部は必ずしも開閉板52により構成する必要はなく、専用の傾斜板部を別途設けてもよい。
【0077】
エアカーテン装置40を、建物10内において二階部屋内から取り込んだ空気を吹出口から吹出エアとして吹き出すことでエアカーテンを形成する構成とした。そして、吹出エア(の一部)を屋根吹き抜け部18bに導く第1状態(吸込口51の一部開放状態)と、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導かずに二階部屋内に戻す第2状態(吸込口51の全開放状態)とに切り替え可能とした。この場合、第1状態では、屋根吹き抜け部18bに吹出エアが導かれ、これにより同吹き抜け部18b内の空気の排出、ひいては同吹き抜け部18b内のこもり熱の排出が促される。それに対して、第2状態では、建物10内において二階部屋内換言すると空調装置31,36からの空調空気により空調がなされている空間において、同空間内での空気の循環が促され、効率のよい空調が実施できる。このとき、吹出エアが屋根吹き抜け部18bに導かれないことは、冷房中の空気が屋根吹き抜け部18bに漏れ出ることを抑制する上で有効である。
【0078】
第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度(ひいては二階部屋の温度)が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高いか否かに基づいて、換言すると空調装置31,36からの空調空気により冷房が行われている冷房実施空間の温度が冷房設定温度よりも高いか否かに基づいて、第1状態と第2状態との切替を実施するようにした。具体的には、二階部屋の温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合、すなわち二階部屋が目標温度まで下がり切っていない場合には第1状態とした。この場合、二階部屋内の熱を含んだ空気が屋根吹き抜け部18bに導かれるため、二階部屋の冷房効率を高めることができる。また、二階部屋の温度が空調装置31,36の冷房設定温度以下である場合、すなわち二階部屋が目標温度まで下がっている場合には第2状態とした。この場合、二階部屋の冷気が屋根吹き抜け部18bに漏れ出るのを防止できるため、冷房効率の低下を回避できる。よって、この場合、冷房効率の観点からすると好ましい構成といえる。
【0079】
より詳しくは、第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度(ひいては二階部屋の温度)が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、第1状態への切替を行うようにした。二階部屋の例えば天井付近に熱がこもった場合には、空調装置31,36により冷房を行っても二階部屋がなかなか冷えないことが想定される。この点、かかる構成とすれば、二階部屋の例えば天井付近に熱こもりが生じた場合にはその熱を屋根吹き抜け部18bに導くことができるため、好適な冷房が可能となる。
【0080】
また、エアカーテン装置40について、エアカーテン吹出グリル41の吹出口から吹出エアとして吹き出すための空気の取り込み先を二階部分15の天井付近(具体的には吸気グリル43)とした。二階部屋における熱気はその天井付近に滞留し易いため、この場合二階部屋の熱気を好適に取り込むことができ、ひいては二階部屋の熱気を効率よく屋外に排出できる。
【0081】
空調装置31,36により暖房空調が行われている暖房空調状態において、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施するよう制御する一方、開口部26を閉鎖するようトップライト27を制御するとともに、シーリングファン29の作動を停止するよう制御した。この場合、吹き抜け空間18において空調装置31,36により暖められた建物本体吹き抜け部18aの空気(暖気)が屋根吹き抜け部18bに流れ込むのを抑制できるため、建物本体吹き抜け部18aを効率よく暖房することができる。また、かかる暖房空調状態では、トップライト27により開口部26が閉鎖されるとともにシーリングファン29が停止されるため、屋根吹き抜け部18bにこもる熱を同吹き抜け部18bにおいて保持させることができる。そのため、かかる熱による建物本体吹き抜け部18aの暖房効果の向上が期待できる。
【0082】
また、かかる暖房空調状態において、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が、第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合には、エアカーテン装置40による遮断を行わないよう制御し、屋根吹き抜け部18bから建物本体吹き抜け部18aに向かう空気の流れを生じさせるようシーリングファン29を制御した。これにより、日射熱等により屋根吹き抜け部18bに熱がたまった場合には、その熱を建物本体吹き抜け部18aの方に引き込んで同吹き抜け部18aを暖めるために利用することができる。よって、この場合暖房効率の向上を図ることができる。なお、この場合、屋根吹き抜け部18bの熱は建物本体吹き抜け部18aにおいて二階部分15のみならず一階部分14まで導かれる。
【0083】
〔第2の実施形態〕
本実施形態では、上記エアカーテン装置40に加え、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との間を遮断するためのエアカーテン装置をさらに設けている。以下、本実施形態の構成について第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、図9は本実施形態における建物全体を示す概略図である。
【0084】
図9に示すように、本実施形態の建物60には、二階部分15のガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61が設けられている。窓駆動手段としてのガラス戸駆動部61は、例えば電動モータ等の電動式の駆動機構からなる。
【0085】
建物10の階間部分17には、エアカーテン装置70が設けられている。エアカーテン装置70は、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との境界部に沿ってエアカーテンを形成するための装置であり、上記境界部において吹き抜け空間18(詳しくは吹き抜け開口部19)を横切るように水平方向にエアカーテンを形成する。エアカーテン装置70によりエアカーテンが形成されることにより、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間の空気の流通が同カーテンにより遮断される。
【0086】
エアカーテン装置70は上記エアカーテン装置40と基本的に同様の構成を有しており、エア吹き出し側の構成としてエアカーテン吹出グリル71、吹出ファン72及び吸気グリル73を備え、エア吸い込み側の構成としてエアカーテン吸込グリル76、吸込ファン77及び排気グリル78を備えている。ここで、吹出ファン72が作動すると、一階部分14の部屋内の空気が吸気グリル73より吸い込まれ、その後ダクト74を介してエアカーテン吹出グリル71に供給され同グリル71より吹出エアとして吹き出される。これにより、エアカーテンが形成される。また、吸込ファン77が作動すると、エアカーテン吹出グリル71より吹き出された吹出エアがエアカーテン吸込グリル76より吸い込まれ、その後ダクト79を通じて排気グリル78に供給され同グリル78より一階部屋内に排出される。
【0087】
次に、本実施形態における空調システムの電気的構成について図10に基づいて説明する。なおここでは、第1の実施形態における電気的構成と異なる点を中心に説明する。
【0088】
図10に示すように、コントローラ50の出力側には、エアカーテン装置70(具体的には吹出ファン72及び吸込ファン77)が接続されている。また、コントローラ50の出力側には、ガラス戸駆動部61が接続されている。コントローラ50は、各空調装置31,36からの空調実施情報や、第1吹き抜け部温センサ58及び第2吹き抜け部温センサ59からの検知結果に基づいて、トップライト駆動部28、シーリングファン29、各エアカーテン装置40,70及びガラス戸駆動部61を駆動制御する。
【0089】
次に、コントローラ50により実行される空調制御処理について説明する。本実施形態では、空調制御処理における冷房時の制御に特徴を有しており、そのためここではかかる冷房時処理について図11を用いて説明する。つまり、本実施形態では、第1の実施形態における空調制御処理(図6)において、ステップS13の冷房時処理(図7)に代えて、図11に示す冷房時処理を行うこととしている。
【0090】
図11に示すように、まずステップS51では、一階用及び二階用の両空調装置31,36が運転しているか否かを判定する。両空調装置31,36のうちいずれかのみが運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15のうちいずれかにおいてのみ冷房が行われている場合にはステップS52に進み、第2エアカーテン形成処理を行う。本処理では、エアカーテン装置70に駆動信号を出力することで、同装置70により建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14と二階部分15との境界部にエアカーテンを形成する。これにより、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間で空気の流通が遮断される。そのため、建物本体吹き抜け部18a(吹き抜け開口部19)を通じて冷房が行われている階から冷房が行われていない階へ冷気が流れ出す(換言すると、冷房が行われていない階から冷房が行われている階に熱気が流れ込む)のを抑制できる。
【0091】
ステップS53では、冷房運転中の空調装置31,36が一階用の空調装置31であるか否かを判定する。冷房運転中の空調装置31,36が一階用の空調装置31である場合、すなわち一階部分14でのみ冷房が行われている場合にはステップS54に進み、第1エアカーテン形成処理の停止を行う。この停止処理は、上記第1実施形態の暖房時処理におけるエアカーテン形成処理の停止(図8のステップS36)と同じ処理であるため、ここではその説明を割愛する。これにより、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間における空気の流通が許容される。
【0092】
ステップS55では、トップライト駆動部28に開信号を出力してトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。次のステップS56では、ガラス戸駆動部61に開信号を出力して二階部分15のガラス戸24を開状態とする。これにより、窓部23が開放される。続くステップS57ではシーリングファン29に駆動信号を出力して同ファン29により吹き抜け空間18において上向きの流れを生じさせる。これにより、吹き抜け空間18を通じて窓部23を吸気口、開口部26を排気口とした通気が行われる。具体的には、二階部分15の窓部23から取り込まれた屋外の空気が二階部分15の部屋を通って建物本体吹き抜け部18aに流れ込み、その後屋根吹き抜け部18bを通って開口部26より屋外に排出される。この場合、冷房が行われていない建物本体吹き抜け部18aの二階部分15にこもる熱を屋外に排出できる。
【0093】
先のステップS51において一階用及び二階用の両空調装置31,36が運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15の両方で冷房が行われている場合には、ステップS58に進んで第2エアカーテン形成処理を停止する。ここでは、エアカーテン装置70に対する駆動信号の出力を停止することで、吹出ファン72及び吸込ファン77の駆動を停止させる。この場合、エアカーテンが形成されないため、建物本体吹き抜け部18aにおいて一階部分14の空間と二階部分15の空間との間で空気の流通が許容される。なお、本ステップS58では必ずしもエアカーテン形成処理を停止する必要はなく、同形成処理を実施してもよい。その後、ステップS59に進む。
【0094】
また、先のステップS53において運転中の空調装置31,36が二階用である場合、すなわち二階部分15でのみ冷房が行われている場合にもステップS59に進む。ステップS59では、第1エアカーテン形成処理を行う。本処理は、上記第1の実施形態におけるエアカーテン形成処理(図7のステップS23)と同じ処理であり、ここではその説明を割愛する。つまり、少なくとも二階部分15において冷房が行われている場合には、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間がエアカーテンにより遮断される。なお、本実施形態では、エアカーテン吸込グリル46の各吸込口51が常時、全開放状態とされていることを前提とする。
【0095】
ステップS60では、トップライト駆動部28に開信号を出力しトップライト27を開状態とする。これにより、開口部26が開放される。ステップS61では、ガラス戸駆動部61に閉信号を出力して二階部分15のガラス戸24を閉状態とする。これにより、窓部23が閉鎖される。ステップS62では、シーリングファン29を駆動させ、吹き抜け空間18において上向きの流れを生じさせる。これにより、屋根吹き抜け部18bにこもった熱が開口部26より屋外に排出される。その後、本処理を終了する。
【0096】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0097】
空調装置として、一階部分14の空調を行う空調装置31と、二階部分15の空調を行う空調装置36とを設けた。また、エアカーテン装置40に加え、吹き抜け空間18において一階部分14と二階部分15との間で空気が流通するのを遮断するエアカーテン装置70を設け、さらに、二階部分15の窓部23を開閉するガラス戸24と、ガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61とを設けた。そして、一階部分14の空調装置31及び二階部分15の空調装置36のうちいずれか一方だけが運転している場合、すなわち一階部分14及び二階部分15のうちいずれかでのみ冷房が行われている場合には、エアカーテン装置70による空気流通の遮断を行うようにした。これにより、冷房が行われている階のみを対象とした冷房が可能となるため、冷房効率の向上を図ることができる。
【0098】
また、一階部分14の空調装置31により冷房が行われ、かつ二階部分15の空調装置36により冷房が行われていない場合には、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施せず、エアカーテン装置70による空気流通の遮断を実施するよう制御した。これにより、吹き抜け空間18において本来冷房したい一階部分14のみを対象とした冷房を実施できるとともに、吹き抜け空間18の二階部分15に熱がこもった場合でもその熱が一階部分14に流れ込むのを抑制できる。また、かかる場合には、二階部分15において冷房が実施されていないため、さらに開口部26を開放し且つその開放した開口部26へ向かう空気の流れを吹き抜け空間18において生じさせるようトップライト27及びシーリングファン29を制御するとともに、窓部23を開放させるようガラス戸24を制御するようにした。この場合、二階部分15の窓部23を吸気口、開口部26を排気口とした通気が建物10内において行われる。具体的には、窓部23から取り込まれた屋外の空気が二階部分15を通って建物本体吹き抜け部18a(詳しくはその二階部分15)に流れ込み、その後屋根吹き抜け部18bを通じて開口部26から排出される。これにより、吹き抜け空間18の二階部分15にこもった熱を屋外に好適に排出できるため、吹き抜け空間18の一階部分14を効率よく冷房することができる。
【0099】
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0100】
(1)上記各実施形態では、吹き抜け空間18において建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとの間の空気の流通を遮断する遮断手段(第1遮断手段)としてエアカーテン装置40を設けたが、遮断手段の構成は必ずしもこれに限定されない。例えば、遮断手段として、建物本体吹き抜け部18aと屋根吹き抜け部18bとを仕切る板状の仕切部材を設け、かかる仕切部材により各吹き抜け部18a,18bを仕切る遮断状態と、各吹き抜け部18a,18bを仕切らない非遮断状態とに切り替えられるようにしてもよい。かかる仕切部材としては、例えば複数の可動スラットを有してなるルーバパネルが考えられ、この場合各スラットを開閉することで遮断状態と非遮断状態とに切り替えることができる。なお、仕切部材は透明の材料により形成することが好ましい。そうすれば、仕切部材により吹き抜け空間18を遮断する構成において、採光性を確保できるとともに同空間18における開放感を確保することもできる。
【0101】
また、上記第2実施形態におけるエアカーテン装置70(第2遮断手段)についても同様に、同装置70に代えて仕切部材を第2遮断手段として設けてもよい。
【0102】
(2)上記各実施形態では、エアカーテン吸込グリル46の各吸込口51の一部を開閉板52により閉鎖することで、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアの一部を屋根吹き抜け部18bにおいて生じている上向きの気流(開口部26へ向かう気流)によって同吹き抜け部18bに導くようにしたが、吹出エアの一部を屋根吹き抜け部18bに導くための構成は必ずしもこれに限らない。例えば、ダクト49の途中から分岐して屋根吹き抜け部18bに通じる分岐ダクトを設けるとともに、エアカーテン吸込グリル46より吸い込まれた吹出エアをダクト49を通じて排気グリル48より排出するか、分岐ダクトを通じて屋根吹き抜け部18bに排出するかを切り替える切替手段(例えば切替バルブ)を設けることが考えられる。これによっても、切替手段により吹出エアの排出先を屋根吹き抜け部18b側に切り替えることで、吹出エアを屋根吹き抜け部18bに導くことが可能である。
【0103】
(3)開閉板52は、その閉鎖状態において必ずしも傾斜した向きで設けられる必要はなく、縦向き(鉛直向き)で設けられてもよい。要するに、開閉板52により吸込口51が閉鎖できればよく、そうすれば、吸込口51からの吸い込みが遮断された形成後エアが屋根吹き抜け部18bにおける上向き気流によって同吹き抜け部18bに導かれる。
【0104】
(4)上記各実施形態では、吸込口51をエアカーテン吸込グリル46の長手方向に沿って複数設けたが、これを変更してもよい。例えば、吸込口51をエアカーテン吸込グリル46の長手方向に延びる長孔により形成し、かかる長孔からなる吸込口をひとつだけ設けるようにしてもよい。この場合、開閉板としては、吸込口における長手方向の一部(例えば半分)の領域を開閉対象として開閉を行うものを設ければよい。
【0105】
また、上記実施形態では、エアカーテン吸込グリル46に設けられた複数の吸込口51のうち一部の吸込口51にのみ開閉板52を設けたが、すべての吸込口51に開閉板52を設けてもよい。この場合、開閉板52の閉状態では、形成後エアのすべてが屋根吹き抜け部18bに導かれることとなる。
【0106】
(5)上記各実施形態では、エアカーテン装置40を、建物10内の二階部屋内から取り込んだ空気をエアカーテン吹出グリル41から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するとともに、同グリル41より吹き出された吹出エアをエアカーテン吸込グリル46より吸い込んで二階部屋に排出する構成とした。すなわち、エアカーテン装置40において吹出エアの元となる空気の取り込み先、及び、吹出エアを排出する排出先をそれぞれ建物10内としたが、これを変更してもよい。例えば、エアカーテン装置40における空気の取り込み先及び吹出エアの排出先をそれぞれ屋外としてもよい。この場合、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアを導き手段により常時屋根吹き抜け部18b側に導くようにしてもよい。
【0107】
また、エアカーテン装置40に、エアカーテン吹出グリル41より吹き出される吹出エアを吸い込むためのエア吸込部(エアカーテン吸込グリル46、吸込ファン47及び排気グリル48)を設けない構成としてもよい。この場合、エアカーテン吹出グリル41より吹き出された吹出エアは屋根吹き抜け部18bの側壁面に当たり、その後その一部が屋根吹き抜け部18bに導かれることとなる。
【0108】
(6)上記第1の実施形態では、温度検出手段の一部を構成する第1吹き抜け部温センサ58を屋内温検出手段に兼用する構成としたが、屋内温検出手段を第1吹き抜け部温センサ58とは別に設けてもよい。この場合、屋内温検出手段を、例えば吹き抜け空間18以外の屋内空間に設けることが考えられる。また、屋内温検出手段を、二階部屋の天井面に設けてもよい。この場合、二階部屋において熱がこもり易い天井付近の温度を好適に検出できるため、こもり熱の有無を把握し易い。
【0109】
(7)上記第1の実施形態では、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合(図7のステップS21においてYES判定した場合)に、一部の吸込口51を開閉板52により閉鎖、すなわち吸込口51を一部開放状態(図7のステップS24)としたが、これを変更してもよい。例えば、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも高い場合に、吸込口51を一部開放状態としてもよい。また、建物本体吹き抜け部18aの温度が空調装置31,36の冷房設定温度よりも所定温度α以上高い場合に、吸込口51を一部開放状態としてもよい。これらの場合においても、建物本体吹き抜け部18aにおける熱を含んだ空気を屋根吹き抜け部18bに排出できるため、冷房負荷の低減を図ることができる。
【0110】
(8)上記各実施形態では、空調装置31,36が冷房運転中である場合(図6においてステップS11でYES判定かつステップS12で冷房判定の場合)に冷房時処理(図6のステップS13)を行うこととしたが、これを変更してもよい。例えば、空調装置31,36が冷房運転中であり、かつ、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が第1吹き抜け部温センサ58により検知された建物本体吹き抜け部18aの温度よりも高い場合に、冷房時処理を行うようにしてもよい。この場合、屋根吹き抜け部18bに熱がこもっていない場合には冷房時処理が行われないため、エアカーテン装置40、シーリングファン29等の装置の駆動が停止される。そのため、省エネを図ることが可能となる。
【0111】
(9)上記第2実施形態において、空調装置31,36による運転が実施されていない場合において、第2吹き抜け部温センサ59により検知された屋根吹き抜け部18bの温度が所定温度(例えば38℃)以上になった場合に、エアカーテン装置40による空気流通の遮断を実施しないように制御する。そして、かかる遮断を実施しない状態において、開口部26を開放するようトップライト27を制御するとともに、その開放した開口部26に向けた空気の流れを吹き抜け空間18において生じさせるようシーリングファン29を制御するようにしてもよい。これにより、建物10内において冷房を実施していない場合に、屋根吹き抜け部18bにこもった熱のみならず建物本体吹き抜け部18a(ひいては一階部屋や二階部屋)にこもった熱を屋外に排出することができる。
【0112】
また、かかる構成において、二階部分15のガラス戸24を開閉駆動するガラス戸駆動部61に加えて、一階部分14のガラス戸22を開閉駆動するガラス戸駆動部を設けるとともに、屋外の温度を一階高さと二階高さとでそれぞれ検知する外気温センサを設けてもよい。そして、外気温センサによる検知結果に基づいて、外気温が一階高さ及び二階高さのうちいずれの方が低いかを判定し、低いと判定された階のガラス戸22,24を開くようガラス戸駆動部を制御してもよい。そうすれば、より低い温度の外気を窓部23,25より取り込み、同空気を屋根吹き抜け部18bを通じて開口部26より屋外に排出できる。この場合、屋根吹き抜け部18b及び建物本体吹き抜け部18aにこもった熱の排出を促進させることができる。
【0113】
(10)上記各実施形態では、二階建ての建物10に形成された吹き抜け空間18に本発明を適用したが、平屋建ての建物や、三階以上からなる建物に形成された吹き抜け空間に対し本発明を適用してもよい。また、上記実施形態の建物10において吹き抜け空間を建物本体12の二階部分15と屋根部13とに跨るように形成し(換言すると建物本体12において一階部分14には吹き抜け空間を形成しない構成)、かかる吹き抜け空間に本発明を適用してもよい。要するに、建物本体内に、屋根部まで延びる屋内高さで形成された吹き抜け空間であれば本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0114】
10…建物、12…建物本体、13…屋根部、14…下階部としての一階部分、15…上階部としての二階部分、18…吹き抜け空間、18a…下側空間部としての建物本体吹き抜け部、18b…上側空間部としての屋根吹き抜け部、23…上階窓部としての窓部、24…窓開閉手段としてのガラス戸、26…開口部、27…開閉手段としてのトップライト、29…気流発生手段としてのシーリングファン、31…下階空調装置としての空調装置、36…上階空調装置としての空調装置、40…遮断手段、第1遮断手段及びエアカーテン形成手段としてのエアカーテン装置、50…遮断制御手段、気流制御手段及び切替制御手段としてのコントローラ、58…屋内温検出手段としての第1吹き抜け部温センサ、61…窓駆動手段としてのガラス戸駆動部、70…第2遮断手段としてのエアカーテン装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物本体とその上方に設けられた屋根部とを備えるとともに、前記建物本体内には前記屋根部まで延びる屋内高さで吹き抜け空間が設けられている建物に適用され、
前記建物本体において前記吹き抜け空間を含む屋内空間の空調を行う空調装置と、
前記屋根部において前記吹き抜け空間を屋外と連通させる開口部に設けられ、その開口部を開閉する開閉手段と、
前記吹き抜け空間において前記屋根部の下面側に設けられ、前記吹き抜け空間において前記開口部に向かう空気の流れを生じさせる気流発生手段と、
前記吹き抜け空間において前記屋根部の直下であって前記気流発生手段を含む空間部である上側空間部と、その下方であって前記空調装置から空調空気が吹き出される空間部である下側空間部との間で空気が流通するのを遮断する遮断手段と、
前記空調装置により冷房空調が実施されている冷房空調状態において、前記上側空間部と前記下側空間部との間の空気の流通を遮断するよう前記遮断手段を制御する遮断制御手段と、
前記遮断制御手段により前記遮断手段が遮断状態とされている場合に、前記開口部を開放するよう前記開閉手段を制御するとともに、その開放した開口部へ向かう空気の流れを前記上側空間部にて生じさせるよう前記気流発生手段を制御する気流制御手段と、
を備えることを特徴とする建物の空調システム。
【請求項2】
前記遮断手段は、前記下側空間部と前記上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段であることを特徴とする請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項3】
前記エア吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を前記上側空間部に導く導き手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の建物の空調システム。
【請求項4】
前記エアカーテン形成手段は、前記建物内において前記上側空間部以外の屋内空間から取り込んだ空気を前記エア吹出口から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するものであり、
前記導き手段は、前記吹出エアを前記上側空間部に導く第1状態と、前記吹出エアを前記上側空間部に導かずに前記上側空間部以外の屋内空間に戻す第2状態とに切替可能であり、
前記上側空間部以外の屋内空間の温度を検出する屋内温検出手段と、
前記屋内温検出手段による検出温度に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施する切替制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度と前記空調装置の冷房設定温度とを比較しその比較結果に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施することを特徴とする請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度が前記空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、前記導き手段による第1状態への切替を実施することを特徴とする請求項5に記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記建物本体は、上下に隣接する下階部と上階部とを有しており、
前記吹き抜け空間は、前記下階部と前記上階部とに跨って形成されており、
前記下階部における空間部を空調対象として空調を行う下階空調装置と、前記上階部における空間部を空調対象として空調を行う上階空調装置とを備え、それら各階の空調装置はそれぞれ前記吹き抜け空間の空調を行う前記空調装置を構成しており、
前記遮断手段としての第1遮断手段に加え、前記吹き抜け空間において前記下階部の部分と前記上階部の部分との間で空気が流通するのを遮断する第2遮断手段を備え、
さらに、前記上階部の外壁に形成され屋内外を連通する上階窓部を開閉する窓開閉手段と、
前記窓開閉手段を開閉駆動する窓駆動手段と、
を備え、
前記下階空調装置により冷房が行われ、かつ前記上階空調装置により冷房が行われていない場合には、前記遮断制御手段は、前記第1遮断手段による空気流通の遮断を実施せず、前記第2遮断手段による空気流通の遮断を実施するよう制御し、前記気流発生手段は、前記開口部を開放し且つその開放した開口部へ向かう空気の流れを前記吹き抜け空間において生じさせるよう前記開閉手段及び前記気流発生手段を制御するとともに、前記上階窓部を開放させるよう前記窓駆動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【請求項8】
前記空調装置により暖房空調が行われている暖房空調状態において、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による空気流通の遮断を実施する一方、前記気流制御手段は、前記開口部を閉鎖するよう前記開閉手段を制御するとともに、前記気流発生手段の作動を停止するよう制御する建物の空調システムであり、
前記気流発生手段は、前記吹き抜け空間において前記上側空間部から前記下側空間部へ向かう空気の流れを発生させることが可能であり、
前記下側空間部の温度と前記上側空間部の温度とをそれぞれ検出する温度検出手段を備え、
前記空調装置による暖房空調状態において、前記上側空間部の温度が前記下側空間部の温度よりも高い場合には、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による遮断を行わないよう制御し、前記気流制御手段は、前記上側空間部から前記下側空間部に向かう空気の流れを生じさせるよう前記気流発生手段を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【請求項1】
建物本体とその上方に設けられた屋根部とを備えるとともに、前記建物本体内には前記屋根部まで延びる屋内高さで吹き抜け空間が設けられている建物に適用され、
前記建物本体において前記吹き抜け空間を含む屋内空間の空調を行う空調装置と、
前記屋根部において前記吹き抜け空間を屋外と連通させる開口部に設けられ、その開口部を開閉する開閉手段と、
前記吹き抜け空間において前記屋根部の下面側に設けられ、前記吹き抜け空間において前記開口部に向かう空気の流れを生じさせる気流発生手段と、
前記吹き抜け空間において前記屋根部の直下であって前記気流発生手段を含む空間部である上側空間部と、その下方であって前記空調装置から空調空気が吹き出される空間部である下側空間部との間で空気が流通するのを遮断する遮断手段と、
前記空調装置により冷房空調が実施されている冷房空調状態において、前記上側空間部と前記下側空間部との間の空気の流通を遮断するよう前記遮断手段を制御する遮断制御手段と、
前記遮断制御手段により前記遮断手段が遮断状態とされている場合に、前記開口部を開放するよう前記開閉手段を制御するとともに、その開放した開口部へ向かう空気の流れを前記上側空間部にて生じさせるよう前記気流発生手段を制御する気流制御手段と、
を備えることを特徴とする建物の空調システム。
【請求項2】
前記遮断手段は、前記下側空間部と前記上側空間部との境界部にエア吹出口から吹出エアを吹き出してエアカーテンを形成するエアカーテン形成手段であることを特徴とする請求項1に記載の建物の空調システム。
【請求項3】
前記エア吹出口から吹き出された吹出エアの少なくとも一部を前記上側空間部に導く導き手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の建物の空調システム。
【請求項4】
前記エアカーテン形成手段は、前記建物内において前記上側空間部以外の屋内空間から取り込んだ空気を前記エア吹出口から吹出エアとして吹き出してエアカーテンを形成するものであり、
前記導き手段は、前記吹出エアを前記上側空間部に導く第1状態と、前記吹出エアを前記上側空間部に導かずに前記上側空間部以外の屋内空間に戻す第2状態とに切替可能であり、
前記上側空間部以外の屋内空間の温度を検出する屋内温検出手段と、
前記屋内温検出手段による検出温度に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施する切替制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項3に記載の建物の空調システム。
【請求項5】
前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度と前記空調装置の冷房設定温度とを比較しその比較結果に基づいて、前記導き手段による第1状態と第2状態との切替を実施することを特徴とする請求項4に記載の建物の空調システム。
【請求項6】
前記切替制御手段は、前記屋内温検出手段による検出温度が前記空調装置の冷房設定温度よりも高い状態が所定時間以上継続した場合に、前記導き手段による第1状態への切替を実施することを特徴とする請求項5に記載の建物の空調システム。
【請求項7】
前記建物本体は、上下に隣接する下階部と上階部とを有しており、
前記吹き抜け空間は、前記下階部と前記上階部とに跨って形成されており、
前記下階部における空間部を空調対象として空調を行う下階空調装置と、前記上階部における空間部を空調対象として空調を行う上階空調装置とを備え、それら各階の空調装置はそれぞれ前記吹き抜け空間の空調を行う前記空調装置を構成しており、
前記遮断手段としての第1遮断手段に加え、前記吹き抜け空間において前記下階部の部分と前記上階部の部分との間で空気が流通するのを遮断する第2遮断手段を備え、
さらに、前記上階部の外壁に形成され屋内外を連通する上階窓部を開閉する窓開閉手段と、
前記窓開閉手段を開閉駆動する窓駆動手段と、
を備え、
前記下階空調装置により冷房が行われ、かつ前記上階空調装置により冷房が行われていない場合には、前記遮断制御手段は、前記第1遮断手段による空気流通の遮断を実施せず、前記第2遮断手段による空気流通の遮断を実施するよう制御し、前記気流発生手段は、前記開口部を開放し且つその開放した開口部へ向かう空気の流れを前記吹き抜け空間において生じさせるよう前記開閉手段及び前記気流発生手段を制御するとともに、前記上階窓部を開放させるよう前記窓駆動手段を制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【請求項8】
前記空調装置により暖房空調が行われている暖房空調状態において、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による空気流通の遮断を実施する一方、前記気流制御手段は、前記開口部を閉鎖するよう前記開閉手段を制御するとともに、前記気流発生手段の作動を停止するよう制御する建物の空調システムであり、
前記気流発生手段は、前記吹き抜け空間において前記上側空間部から前記下側空間部へ向かう空気の流れを発生させることが可能であり、
前記下側空間部の温度と前記上側空間部の温度とをそれぞれ検出する温度検出手段を備え、
前記空調装置による暖房空調状態において、前記上側空間部の温度が前記下側空間部の温度よりも高い場合には、前記遮断制御手段は、前記遮断手段による遮断を行わないよう制御し、前記気流制御手段は、前記上側空間部から前記下側空間部に向かう空気の流れを生じさせるよう前記気流発生手段を制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の建物の空調システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−247101(P2012−247101A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117842(P2011−117842)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】
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