説明

建物の開口部内枠材の組立構造及び連結部材

【課題】 側板のコーナー部へ付されるシール部材と側板との間の剥離を防止する。
【解決手段】 互いに交差する2つの当接面21を有する連結部材2に対して、2枚の側板1の側面1a同士をそれぞれ当接させて固定すると共に、前記2枚の側板のつきあわされた側面の内側コーナー部にシール部材30が施工された構造を備える建物の開口部を形成する内枠材の組立構造において、前記2つの前記当接面21はそれぞれ前記2枚の側板の厚み寸法Wより薄幅に構成され前記2つの当接面21の間にシール固定用溝22が設けられており、前記側板の側面1a及び前記シール固定用溝22によって、シール部材挿入領域が形成され、前記シール部材30は、前記内枠材の内側コーナー部及びシール部材挿入領域22に一体的に配置されることを特徴とする、建物の開口部内枠材の組立構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓や出入り口等の建物の開口部に取り付けられる内枠材の組立構造に関し、特に、内枠材の側壁を構成する側板同士を連結する部分の構造及当該構造に用いられる連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建物の開口部内枠材の組立構造として種々の構造のものが知られている。例えば、特許文献1(特許第3916741号公報)には、棒状の連結部材に互いに直交する2方向に向けて突出するように設けられた複数の差込み片を、内枠材の側壁を構成する縦側板及び横側板の側面に設けられた差込み孔に差し込むことで内枠材を仮組みし、その後、連結部材を介して縦側板及び横側板にビスをねじ込むことで内枠材を組み立てる組立構造が開示されている。
【0003】
また、特許文献2(特開2004−176258号公報)にも、前記特許文献1と同様の連結部材を用いて内枠材を組み立てる組立構造が開示されている。
【0004】
前記特許文献1及び2に開示される組立構造は共に、連結部材の当接面に縦側板及び横側板を押し当てて、縦側板及び横側板と連結部材の位置決め及び固定を行う構成を有するものである。前記組立構造を代表して特許文献1の組立構造について説明する。
【0005】
図10A及び図10Bは、特許文献1に開示された建物の開口部内枠材の組立構造の概略構成を示す図である。図10Aに示すように、この組立構造では、連結部材50の互いに直行方向になるように形成された当接面51、51に、側板1の側面1aを突き当てた状態に配置し、ビス穴52にビス30をねじ込んで側板1と連結部材50とを固定する。このとき、図10Bに示すように、組み立て後の開口部枠材の内側コーナーに連結部材50が突出しないように、2枚の側板1の内側コーナー部1bは、互いに接触する程度に近接して配置されることがほとんどである。そして、その後、当該側板1と連結部材50との間からの漏水防止のために、内側コーナー部1bに沿ってシリコンゴムなどで形成されたシール部材60が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3916741号公報
【特許文献2】特開2004−176258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記構成では、図11に示すように、窓枠の内側コーナー部1bからの漏水を防止するためのシール部材60が、窓枠の掃除などの外力からの衝撃、あるいはシール部材60の経年による収縮などによって、側板1とシール部材60との間に隙間61を生じることがあった。そして、この隙間が徐々に大きくなっていき、最終的にはシール部材が側板から剥がれ落ちるという問題があった。かかるシール部材60と側板1との剥離は、かかるコーナー部1bからの漏水の原因となり、建物へ与える影響が問題となっていた。
【0008】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、側板のコーナー部へ付されるシール部材と側板との間の剥離を防止し、コーナー部からの漏水を防止することができる建物の開口部内枠材の組立構造及び当該組立構造に用いられる連結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記技術的課題を解決するために、以下の構成の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、互いに交差する2つの当接面を有する棒状の本体部を備える連結部材に対して、互いに近接する2枚の側板の側面同士を互いの一辺が近接するように前記当接面にそれぞれ当接させ、前記側板の側面が交差方向に突き合うように固定すると共に、前記2枚の側板の突き合うように固定された側面の内側コーナー部にシール部材が施工された構造を備える建物の開口部を形成する内枠材の組立構造において、
前記連結部材の2つの前記当接面はそれぞれ前記2枚の側板の厚み寸法より薄幅に構成され、前記2つの当接面の間にシール固定用溝が設けられており、
前記側板の側面及び前記シール固定用溝によって、シール部材挿入領域が形成され、
前記シール部材は、前記内枠材の内側コーナー部及びシール部材挿入領域に一体的に配置されることを特徴とする、建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記2枚の側板は、前記内枠材の側壁を構成する側板本体部と、前記内枠材の開口端部周縁に相当する箇所で前記側板本体部に大略直交して立設されたフランジ部とを有し、
前記連結部材は、さらに、前記第1及び第2側板の側面どうしを互いに一辺が近接するように前記当接面にそれぞれ当接させ、前記側板の側面が交差方向に突き合うように固定させたときに、互いに隣接するフランジ部どうしの間に生じる空間を埋めてコーナー部を形成するように、前記連結部材の本体部の一端部に設けられたコーナー連結部を有することを特徴とする第1態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記連結部材は、前記当接面の外縁部に立設された前記側板の外側主面に接触する支持壁を備えることを特徴とする第1又は第2態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、前記支持壁は、前記本体部の延在方向全領域及びコーナー連結部にわたって形成されていることを特徴とする、第3態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記コーナー連結部は、前記支持壁に対向する位置に、前記フランジ部に接触可能に構成され、前記支持壁と共に前記側板のフランジ部を挟持する第2支持壁を備えることを特徴とする第3態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、前記側板は、発泡倍率1.1〜5.0倍の低発泡押出成形部材で構成されていることを特徴とする第1〜第5態様のいずれか1つの建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、前記連結部材の本体部の前記当接面に、前記当接面と前記側板の側面の間をシールするシーリング材を配置可能なシール用凹部が設けられていることを特徴とする第1〜第6態様のいずれか1つの建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、第1〜第7態様のいずれか1つの建物の開口部内枠材の組立構造に用いられる連結部材を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、窓枠内側コーナー部に設けられるシール部材が、連結部材の2つの当接面の間に設けられたシール固定用溝及び当接面に突き当てられた側板の側面の一部により画定されたシール部材挿入領域に入り込むように設けられるため、コーナー部外側に位置するシール部材について、側板との間の剥離が生じたとしてもシール部材が脱落することが防止される。また、たとえ、シール部材の側板に接触する部分が脱落したとしても、シール部材挿入領域内に位置するシール部材は溝内に残るため、直行する側板の間からの漏水を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】窓枠が建物の壁面に設けられた開口部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】窓枠の取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【図3】隣り合う2枚の側板の側面に連結部材が取り付けられた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図4】連結部材の構成を示す斜視図である。
【図5】図4に示す連結部材の正面図である。
【図6】図4に示す連結部材の平面図である。
【図7】図4に示す連結部材のコーナー連結部近傍の構成を示す拡大図である。
【図8】図4のVIII−VIII線での断面図であり、仮想的に側板及びシール部材が配置された状態を示している。
【図9A】本実施形態にかかる組み立て後の窓枠の内側コーナー部の構成を示す図である。
【図9B】本実施形態にかかる窓枠の内側コーナー部に第1のカバー部材を取り付ける工程を示す図である。
【図9C】本実施形態にかかる窓枠の内側コーナー部に第2のカバー部材を取り付ける工程を示す図である。
【図10A】従来の建物の開口部内枠材の組立構造の概略構成を示す図である。
【図10B】従来の建物の開口部内枠材の組立構造の概略構成を示す図である。
【図11】図10Aの窓枠のコーナー部に設けられたシール部材が剥離している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
本発明の実施形態にかかる建物の開口部内枠材の組立構造について説明する。本実施形態においては、建物の開口部内枠材として出窓を構成する窓枠を例に挙げて説明する。図1は、窓枠が建物の壁面に設けられた開口部に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図2は、窓枠の取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示すように窓枠100は、壁面200に嵌め込まれるようにして固定される。窓枠は、壁面200に沿った形状にフランジ形状の開口端部周縁12aを備えており、当該外面枠12aは、適宜、カバー部材3が取り付けられる。
【0023】
図2に示すように、窓枠100は、4枚の側板1,…,1を矩形の開口部を形成するように側面同士を突き合わせて配置し、隣り合う側板1,…,1の側面同士を4つの連結部材2,…,2で連結することにより枠状に構成されている。なお、図2はカバー部材3が設けられていない状態の窓枠を示している。それぞれの側板1は、窓枠100の側壁11aを構成する側板本体部11と側板本体部11から大略直交して立設されるフランジ部12を備えている。フランジ部12は、窓枠を壁面200に取り付けた時、窓枠100の開口端部周縁12aに相当する箇所である。窓枠100は、フランジ部12を室内側として開口部201に嵌め込まれ、フランジ部12を介して壁面200に例えばネジや釘などで螺合されることで、壁面200に固定される。
【0024】
図3は、隣り合う2枚の側板1,1の側面に連結部材2が取り付けられた状態を示す部分拡大斜視図である。図3では、窓枠100の外側から窓枠の外側コーナー部の近傍の構成を示している。連結部材2は、隣り合う2枚の側板1,1の側面1a,1aどうしを互いの一辺が近接するように交差方向(例えば直交方向)に配置して、突き合うように固定させた状態で、両側板1,1を連結する部材である。連結部材2と側板1とは、連結部材2に設けられたビス孔25にビス30や釘などを打ち込むことによって固定される。
【0025】
図4は連結部材2の構成を示す斜視図であり、図5は図4に示す連結部材2の正面図である。図6は図4に示す連結部材2の平面図である。図7は、連結部材2のコーナー連結部27近傍の構成を示す拡大図である。図8は図4のVIII−VIII線での断面図であり、仮想的に側板1及びシール部材が配置された状態を示している。
【0026】
連結部材2は、例えばポリプロピレンなどの樹脂材料で構成され、例えば射出成形により成形されている。連結部材2は、図3に示すように2つの側板1,1を配置したときに、互いに隣接するフランジ部12,12どうしの間に生じる空間を埋めてコーナー部を形成するコーナー連結部27と、互いに交差する方向に配置された隣り合う側板1,1を当接させて支持するための連結部材本体部20とを備える。連結部材本体部20は、コーナー連結部27の角部近傍に設けられており、また、その延在方向は、コーナー連結部27の主面27aに対して略垂直方向となるように構成されている。
【0027】
連結部材本体部20は、棒状の部材であり、図8に示すように配置した側板1,1の側面1a,1aに沿って当接可能な2つの当接面21,21を有する。2つの当接面21は、互いに直交する方向となるように設けられている。それぞれの当接面21、21からは、当該当接面に配置される側板1の外側表面1cに沿うように配置される側板1を支持する支持壁23、23が連結部材本体部20の長手方向略全領域にわたって立設されている。また、支持壁23,23は、コーナー連結部27にまでわたって設けられる。
【0028】
なお、支持壁23,23は、必ずしも連結部材本体部20の全領域にわたって連続的に設けられている必要はなく、側板1の背面側を間欠的に複数箇所に設けられていてもよい。また、コーナー連結部27に設けられている支持壁と連結部材本体部20に設けられている支持壁は連続している必要はなく、別部材として構成されていてもよい。
【0029】
連結部材本体部20は、図4及び図8に示すように、概ね断面が中空の矩形を有する棒体で構成され、隣り合う壁の外側面で当接面21、21を構成している。連結部材本体部20を中空に構成することにより、連結部材本体部20を忠実の角材で構成するよりも、樹脂材料の量を減らすとともに、柔軟性を向上させて取り扱い性を向上させることができる。なお、連結部材本体部20は、互いに直行する方向に延在する当接面21,21を有する構成であればその断面形状は問われず、例えば、断面L字形状に構成されていてもよい。
【0030】
当接面21は、その幅方向寸法が側板1の厚み寸法Wよりも小さくなるように構成されている。このように、当接面が側板の厚み寸法より薄幅に構成されているため、側板1を当接面21に当接させたとき、2枚の側板の一辺1bが当接面21よりも内側に突出する。なお、2つの当接面の位置は、突き合うように固定された側板の一辺1bの間にわずかに隙間が形成されるように構成される。当該わずかな隙間は5mm以下が好ましく、通常0.5〜2mm程度である。0.1mm未満のように、あまりに隙間が狭い場合はシール部材の挿入が不十分となることがある。また、5mmを越えるような広い隙間の場合は、枠材の組立て作業が困難となってしまう。
【0031】
また、隣り合う当接面21,21の間には、連結部材本体部20の全長にわたってシール固定用溝22が設けられている。このため、図8に示すように、当接面21に側板1を固定させた場合、シール固定用溝22、2枚の側板1,1の側面1aによって画定されたシール部材挿入領域が形成される。
【0032】
また、連結部材本体部20の当接面21は、図7及び図8に示すように、周囲が中央部に対して高くなるように、中央部にシール用凹部21aが形成されていてもよい。シール用凹部21aの内部にシーリング材を配置することによって、当接面21と側板1の側面1aとの間の漏水を防止することができる。また、前記シール部材挿入領域に挿入されるシール部材に加えて、二重の防水処理を行うことで、より確実にコーナー部からの漏水を防止することができる。
【0033】
また、連結部材本体部20には、当接面21と直交する方向に伸びる固定部材挿入用貫通穴の一例であるビス孔25が設けられている。ビス孔25を通じて、ネジ30が2つの側板1,1の側面1a,1aに螺合されることにより、図3に示すように、連結部材2と両側板1,1とが固定される。このとき、ビス孔25が当接面21a,21bと直交する方向に伸びているので、ネジ30は、両側板1,1の側面1a,1aに対してそれぞれ垂直に挿入される。これにより、ネジ30が側面1aに対して斜めに挿入され、その先端が両側板1,1の表面から飛び出るような不具合が防止されるので、側板1,1の厚さをさらに薄くすることが可能となる。
【0034】
連結部材本体部20の一端部に連結するコーナー連結部27には、図5及び図7に示すように、支持壁23のコーナー連結部27に設置されている部分23aに対向するように第2支持壁28,28が設けられている。支持壁23のコーナー連結部27に設置されている部分23aと第2支持壁28によって、側板1のフランジ部12が挟持され、連結部材2に対する位置決め負担を軽減することができると共に、組立時に側板1を仮固定して組立の容易性を向上させることができる。
【0035】
また、コーナー連結部27の主面27aには、カバー部材取り付け溝24が設けられており、後述するように連結部材と側板とを組み立てた後のカバー部材3の取り付けを強固にすることができる。すなわち、カバー部材取り付け溝24の周縁26及び当該周縁26に図示X軸方向に対向するコーナー連結部27の周縁27bにカバー部材固定溝が設けられており、カバー部材3を固定することができる。
【0036】
また、コーナー連結部27には、カバー部材当接壁29が設けられており、後述するようにカバー部材の取り付け時の位置決め基準とすることができる。また、カバー部材当接壁29の内側縁29aは、図9Bに示すように、カバー部材3の内側縁よりもわずかに突出するように構成されている。このため、後述する通り、2つのカバー部材を取り付けた後に、カバー部材3に突出量Aに相当する寸法の隙間33(図9C参照)が形成される。当該隙間33には、シーリング材を埋め込むことで、カバー部材3、3間の漏水を防止することができる。
【0037】
次に、連結部材2と側板1との組立方法について説明する。
【0038】
まず、側板1の側面1aに連結部材2の当接面21が当接するとともに側板1のフランジ部12を支持壁23と第2支持壁28に挟持させて位置あわせを行う。同様にして、もう1枚の側板についても同様に配置する。これにより、2枚の側板1,1が、互いの側面1a,1aの一辺が近接するように交差方向に突き合うような状態で連結部材2により仮固定される。なお、このとき当接面21のシール用凹部21a内にシール部材を塗布し、側板1の側面1aと当接面21との間にシーリング材を配置するようにしてもよい。シーリング材を配置することで、側板1の側面と当接面21との漏水を防止することができる。
【0039】
次いで、ビス孔25を通じて、ネジ30をそれぞれの側板1,1の側面1a,1aに挿入し、連結部材2と両側板1,1とを固定する。これにより、図3に示すように、連結部材2が両側板1,1を連結する。なお、このとき、側板1,1の側面1a,1aには、ネジ30の挿入用穴が予め設けられていても良いし、設けられていなくてもよい。前記挿入用穴を予め設けない場合には、側板1へのネジ30の締め込みを容易とするために、側板1は、その発泡倍率が1.1倍〜5.0倍(例えば1.5倍)である低発泡の押出成形部材で構成されることが好ましい。側板1の材質としては、熱可塑性合成樹脂、例えば、塩化ビニール樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)などを用いることができる。また、側板1の厚み寸法Wは、通常5〜12mm程度である。
【0040】
なお、本実施形態にかかる窓枠100は、4枚の側板1,…,1を大略矩形に配置することにより形成される側面1a,…,1aの4つの突き合わせ部を、4つの連結部材2,…,2で連結することにより作成することができる。
【0041】
その後、組み立てられた窓枠を壁面200に固定し、隣り合う2枚の側板の側面突き合うように固定させた部分である窓枠の内側コーナー部にシール部材30を塗布する。シール部材は、例えば、粘度の高いシリコンなどで構成されており塗布後経時により固化する。シール部材30は、図9Aに示すように、コーナー部への塗工時、突き合うように固定させた側板の一辺1bの間の1mm程度の隙間を通って、連結部材本体部20のシール固定用溝22に入り込むように塗布される。これにより、各側板の表面だけではなく、側板1の側面側にもシール部材30が位置することとなり、シール部材30と側板1の固定強度を高めることができる。さらに、シール固定用溝22内のシール部材は、表面に露出していないため、掃除などの外力が加わることで剥離などをおこすことがなく、露出している部分の経時による劣化、側板1との剥離が生じた場合であっても、シール固定用溝22内に残存することとなる。したがって、コーナー部からの漏水を防止することができる。
【0042】
次いで、組み立てられた窓枠の開口端部周縁12aにカバー部材3を取り付ける。図9Bは、一方のフランジ部のみにカバー部材を取り付ける状態を示す図である。なお、図9Bにおいては、側板1とカバー部材との位置関係を明確にするために、シール部材30の記載を省略している。このカバー部材3は、フランジ部及びコーナー連結部27の表面を被覆するように取り付けられ、フランジ部のカバー部材取り付け用周縁13a及びコーナー連結部27のカバー部材取り付け溝24の周縁26及びコーナー連結部27の外側周縁27bに係止するように構成されている。カバー部材3を窓枠の開口端部周縁12aに押し付けて係止させた後、その端辺3aがカバー部材当接壁29に突き当たるまで、矢印40に示すようにカバー部材をスライドさせる。
【0043】
次に、もう一方のカバー部材3を取り付ける。このカバー部材は、フランジ部12を被覆するように取り付けられる。前記のように、カバー部材当接壁29の内側縁29aは、図9Bに示すように、カバー部材3の内側縁よりもわずかに突出するように構成されているため、図9Cに示すように、2つのカバー部材の間には、隙間33が形成される。当該隙間33にシーリング材を塗布し、カバー部材間の漏水を防止する。
【0044】
以上、本発明の実施形態にかかる建物の開口部内枠材の組立構造によれば、窓枠100の側壁を構成する側板1を連結部材2に設けたとき、側板1の側面1a及びシール固定用溝22により画定された空間を形成するように構成されているため、側板1の内側コーナー部にシール部材を塗工する場合、当該領域シール部材が入り込むことになる。したがって、シール部材の塗工強度を高めることができ、経時によるシール部材の収縮、剥離などによって生じる漏水の問題を防止することができる。
【0045】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。たとえば、前記実施形態では、4つの側板1,…,1により矩形の窓枠100を構成したが本発明はこれに限定されない。例えば、2枚以上の側板1,…,1により、三角形や五角形などの多角形の窓枠を構成するようにしてもよい。この場合、連結部材2の2つの当接面21が成す角度を変えることにより前記多角形の窓枠を構成することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 側板
1a 側面
2 連結部材
3 カバー部材
11 側板本体部
12 フランジ部
20 連結部材本体部
21 当接面
22 シール固定用溝
23 支持壁
23a 支持壁コーナー部領域
24 カバー部材取り付け溝
25 ビス孔
26 周縁
27 コーナー連結部
28 第2支持壁
100 窓枠
200 壁面
201 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差する2つの当接面を有する棒状の本体部を備える連結部材に対して、互いに近接する2枚の側板の側面同士を互いの一辺が近接するように前記当接面にそれぞれ当接させ、前記側板の側面が交差方向に突き合うように固定すると共に、前記2枚の側板の突き合うように固定された側面の内側コーナー部にシール部材が施工された構造を備える建物の開口部を形成する内枠材の組立構造において、
前記連結部材の2つの前記当接面はそれぞれ前記2枚の側板の厚み寸法より薄幅に構成され、前記2つの当接面の間にシール固定用溝が設けられており、
前記側板の側面及び前記シール固定用溝によって、シール部材挿入領域が形成され、
前記シール部材は、前記内枠材の内側コーナー部及びシール部材挿入領域に一体的に配置されることを特徴とする、建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項2】
前記2枚の側板は、前記内枠材の側壁を構成する側板本体部と、前記内枠材の開口端部周縁に相当する箇所で前記側板本体部に大略直交して立設されたフランジ部とを有し、
前記連結部材は、さらに、前記第1及び第2側板の側面どうしを互いに一辺が近接するように前記当接面にそれぞれ当接させ、前記側板の側面が交差方向に突き合うように固定させたときに、互いに隣接するフランジ部どうしの間に生じる空間を埋めてコーナー部を形成するように、前記連結部材の本体部の一端部に設けられたコーナー連結部を有することを特徴とする請求項1に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項3】
前記連結部材は、前記当接面の外縁部に立設された前記側板の外側主面に接触する支持壁を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項4】
前記支持壁は、前記本体部の延在方向全領域及びコーナー連結部にわたって形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項5】
前記コーナー連結部は、前記支持壁に対向する位置に、前記フランジ部に接触可能に構成され、前記支持壁と共に前記側板のフランジ部を挟持する第2支持壁を備えることを特徴とする請求項3に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項6】
前記側板は、発泡倍率1.1〜5.0倍の低発泡押出成形部材で構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項7】
前記連結部材の本体部の前記当接面に、前記当接面と前記側板の側面の間をシールするシーリング材を配置可能なシール用凹部が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の建物の開口部内枠材の組立構造に用いられる連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−144980(P2012−144980A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−106533(P2012−106533)
【出願日】平成24年5月8日(2012.5.8)
【分割の表示】特願2008−122996(P2008−122996)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】