説明

建物の開口部内枠材の組立構造

【課題】 施工者の技術によることなく簡単に見栄え良く仕上げることができる耐久性に優れた建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【解決手段】 L字状に形成された平板部11とフランジ部12とを有する枠板1を、前記平板部の端縁同士が近接するように交差方向に突き合わせて支持する連結部材2,4,5によって連結する内枠材の組立構造である。上記連結部材2,4,5は、隣接する2枚の枠板の平板部11の側面1bを当接可能な第1及び第2当接面21を有する当接支持部20と、前記2枚の枠板のフランジ部12の側面に当接し互いに隣接するフランジ部同士の間に生じる空間を埋める、係合部29を有する板状のコーナー部27とを備えるコーナーピース2と、前記コーナー部27を被覆するように、前記係合部29,41を介して前記コーナー部27に係合されるコーナーキャップ4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓や出入り口等の建物の開口部に取り付けられる内枠材の組立構造に関し、特に、枠板同士を連結する部分の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の開口部内枠材の組立構造として種々の構造のものが知られている。例えば、特許文献1(特開平6−81545号公報)や特許文献2(特開2009−209562号公報)には、棒状の連結部材に互いに直交する2方向に向けて突出するように設けられた内枠材の側壁を構成する縦枠板及び横枠板の側面に当接させて内枠材を仮組みし、その後、ビスなど連結部材と縦枠板及び横枠板を固定することで内枠材を組み立てる組立構造が開示されている。
【0003】
これらの内枠材の組立構造では、部材間の水密性を向上させるために、互いに隣接する枠板の目地部分にシールが設けられている。特許文献1では、目地材として、連結部材に設けられている嵌合溝に挿入される嵌合突条と、目地部分を被覆する曲板部で構成された目地材を用いる構造である。
【0004】
また、特許文献2では、2つの枠板の目地部分にシリコン材などの湿式のシール材を充填し、水密性を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−81545号公報
【特許文献2】特開2009−209562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のシール部材は、枠板の目地部分を隙間なく充填するために、枠板の奥行き寸法に合わせて目地材を切断する必要がある。この構成では、目地材の切断時に精密な長さ調整が必要であり、さらに、端部を歪みなく切断することが求められることから、作業の手間が増大し、施工者の技術によって仕上がりが左右されるという問題があった。
【0007】
特許文献1の構造では、コーナー部分にコーナーキャップを設け、シール部材の端部を隠蔽する構成を採用し、見栄えを向上させるようにしている。しかし、当該コーナーキャップは、シール部材又はフランジ部を被覆する縦キャップ及び横キャップに取り付けられるため、取り付け構造が複雑となり、また、コーナーキャップをしっかりと固定することができないことから、キャップの脱落などの問題があった。
【0008】
また、特許文献2の構造では、目地部分に湿式のシール材を塗布する必要があることから、シール材の端面は外部に露出した状態であり、また、仕上がりが施工者の技術に左右されることが多い。すなわち、誰が作業しても常に同じような見栄えに仕上がる訳ではなく、1つの窓枠を構成する4箇所の目地の仕上がりがそれぞれ異なる場合もあり、施工者の技術次第では見栄え良く仕上がらないという問題もあった。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、施工者の技術によることなく簡単に見栄え良く仕上げることができる耐久性に優れた建物の開口部内枠材の組立構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、L字状に形成された平板部とフランジ部とを有する枠板を、前記平板部の端縁同士が近接するように交差方向に突き合わせて支持する連結部材によって連結する内枠材の組立構造において、
上記連結部材は、隣接する2枚の枠板の平板部の側面を当接可能な第1及び第2当接面を有する当接支持部と、前記2枚の枠板のフランジ部の側面に当接し互いに隣接するフランジ部同士の間に生じる空間を埋める、係合部を備えた板状のコーナー部とを備えるコーナーピースと、
前記コーナー部を被覆するように、前記係合部を介して前記コーナー部に係合されるコーナーキャップとを備えることを特徴とする、建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記連結部材は、前記第1及び第2当接面が、それぞれ前記2枚の枠板の平板部の厚み寸法より薄幅に構成され、
前記枠板側面及び前記シール固定用溝によって、シール部材挿入領域が形成され、
さらに、前記シール部材挿入領域に挿入可能に構成された前記内枠の目地を隠蔽するシール部材を備え、
前記コーナーキャップは、前記シール部材の端部を隠蔽可能な目地被覆部を備えることを特徴とする、第1態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記係合部は、コーナーキャップ及びコーナー部の互いの対向面に設けられていることを特徴とする、第1又は第2態様の建物の開口部内枠材の組立構造装置を提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記係合部は、前記コーナー部に設けられている嵌合孔と、前記コーナーキャップに設けられ前記嵌合孔に嵌合する挿入片で構成されている第3態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記コーナー部は、前記フランジ部よりも薄く構成されていることを特徴とする、第4態様の建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記係合部は、
前記コーナー部のフランジ部の非当接側面及び前記コーナーキャップの前記非当接側面に対向する側面に設けられた第1係止部と、
前記コーナー部の目地部分に設けられた係止溝と、前記コーナーキャップの目地部分に設けられ前記係止溝に挿入される嵌合爪により構成される第2係止部とを備えていることを特徴とする、第1又は第2態様のいずれか1つの建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記コーナーキャップは、前記フランジ部のコーナー部当接部分を被覆するフランジ被覆部が設けられていることを特徴とする、第1から第6態様のいずれか1つの建物の開口部内枠材の組立構造を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の建物の開口部内枠材の組立構造によれば、互いに付き合わされた枠板フランジ部の間を埋めるコーナー部に固定されるコーナーキャップを用いて、枠板のフランジ部の端面を隠蔽することができる。このため、フランジ部と連結部材の継目及び平板部の目地の端面を隠蔽して見栄えをよくすることができる。また、内枠材の組立に際して加工が必要な部材の加工部位は外部に露出されないことから、施工者の技術によらず、誰が組み立てても同じ仕上がりとすることができる。また、コーナーキャップをコーナーピースに固定するため、コーナーキャップをしっかりと固定することができ、脱落のおそれを防止することができる。
【0019】
本発明の第2態様によれば、窓枠の目地に設けられるシール部材が、コーナーピースの2つの当接面の間に設けられたシール固定用溝及び枠板の側面により画定されたシール部材挿入領域に入り込むように設けられるため、シール部材を固定するための構成を簡略化することができる。また、目地被覆部によりシール部材の端面を隠蔽することで、目地部分の見栄えを良くすることができ、シール部材の切断加工を簡略化することができる。
【0020】
本発明の第3態様によれば、係合部を対向面に設けることで、互いに嵌合する機構を設けるなど簡単な構成で確実にコーナーキャップを固定することができる。
【0021】
本発明の第5態様によれば、コーナー部を薄く構成することで、フランジ部に対向する壁面とコーナー部裏側に隙間を設けることができるので、コーナー部を貫通して嵌合する挿入片を構成することができる。よって、強固に固定可能なコーナーキャップを薄く構成することができる。
【0022】
本発明の第7態様によれば、フランジ部との接合部分を被覆することで、フランジカバーを取り付けた場合、その切断の精度を厳密にする必要がなく、切断加工の簡略化が可能で見栄えのよい仕上がりとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】窓枠が建物の壁面に設けられた開口部に取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】窓枠の取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【図3】フランジカバーが装着された状態の枠板のフランジ部付近を示す拡大断面図である。
【図4】隣り合う2枚の枠板の側面にコーナーピースが取り付けられた状態を示す部分拡大斜視図である。
【図5】コーナーピースの構成を示す斜視図である。
【図6】図5に示すコーナーピースの正面図である。
【図7】図5に示すコーナーピースの平面図である。
【図8】図5のVIII−VIII線での断面図であり、仮想的に枠板が配置された状態を示す図である。
【図9】図5に示すコーナーピースのコーナー部近傍の組み立て構成を示す部分拡大分解斜視図である。
【図10】コーナーキャップの構成を示す図である。
【図11】組み立て完了後における連結部材のコーナー部近傍の構成を示す部分拡大図である。
【図12】第2実施形態に係る開口部内枠材の組立構造に用いられるコーナーピースの構成を示す部分拡大斜視図である。
【図13】図12とは異なる視点から見たコーナーピースの部分拡大斜視図である。
【図14】図12のコーナーピースに用いられるコーナーキャップの構成を示す斜視図である。
【図15】図14とは異なる視点から見たコーナーキャップの構成を示す斜視図である。
【図16】第2実施形態に係る開口部内枠材の組立構造に用いられるシール部材の構成を示す断面図である。
【図17】第2実施形態に係る開口部内枠材の組立構造のコーナー部近傍の組み立て構成を模式的に示す部分拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
本発明の実施形態にかかる建物の開口部内枠材の組立構造について説明する。本実施形態においては、建物の開口部内枠材として出窓を構成する窓枠を例に挙げて説明する。図1は、窓枠が建物の壁面に設けられた開口部に取り付けられた状態を示す斜視図であり、図2は、窓枠の取り付け前の状態を示す分解斜視図である。
【0025】
図1に示すように窓枠100は、壁面200に設けられた開口内に嵌め込まれるようにして固定される。窓枠は、壁面200に沿ってフランジ形状の開口端部周縁12aを備えており、当該外面枠に、フランジカバー3が取り付けられる。
【0026】
窓枠100は、4枚の枠板1,…,1を矩形の開口部を形成するように側面同士を突き合わせて配置し、隣り合う枠板1,…,1の側面同士を4つのコーナーピース2で連結することにより枠状に構成される。コーナーピース2は、開口端部周縁12aを構成する部材として、互いに隣接する枠板同士の間に生じる空間を埋めるコーナー部27を有している。なお、コーナー部及びフランジカバー3の端部は、コーナーキャップ4によって隠蔽される。コーナーピース2及びコーナーキャップ4は、後述するシール部材5と共に連結部材60を構成する。
【0027】
それぞれの枠板1は、窓枠100の側壁11aを構成する平板部11と平板部11から大略直交して立設されるフランジ部12を備えている。フランジ部12は、窓枠を壁面200に取り付けた時、窓枠100の開口端部周縁12aに相当する箇所である。窓枠100は、フランジ部12を室内側として開口部201に嵌め込まれ、フランジ部12を介して壁面200に例えばネジや釘などで螺合されることで、壁面200に固定される。
【0028】
図3は、フランジカバー3が装着された状態の枠板1のフランジ部12付近を示す拡大断面図である。フランジカバー3は、平板状部分32と、平板状部分32の幅方向一端部から厚み方向に略垂直に屈曲して連なるカバー片33と、平板状部分32の他端部から厚み方向に略垂直に屈曲して連なる第1係合爪34と、平板状部分32の幅方向一端部側近傍から厚み方向に略垂直に突出して形成される第2係合爪35とを有する。カバー片33は、第2係合爪35を外側から覆うように形成される。このようなフランジカバー3の外表面は、耐候性を有する樹脂などによって形成されている。
【0029】
フランジカバー3は、2つの係合爪34,35を枠板1のフランジ部12に形成される各係合片13に嵌合させることによって、枠板1と相互に係合される。
【0030】
各係合爪34,35の基端側部分のカバー体における幅方向の寸法は、各係合片13の基端側部分のフランジ部12における幅方向の最小寸法よりも小さく、各係合爪34,35の剛性は、各係合片13の剛性よりも小さくなるように形成されている。したがって、フランジカバー3をフランジ部12に装着するにあたって、各係合爪34,35を相互に近接する方向に弾性変形させた後、弾性回復力によって近接した状態から相互に離反する方向に復帰させてフランジカバー3に係止させて装着することができる。またフランジカバー3を長手方向へスライドさせることによって各係合爪34,35と各係合片13とを係合させて、フランジカバー3を各係合片13に係合させて装着することも可能である。
【0031】
フランジカバー3の長さ寸法は、枠板1のフランジ部12と略同じ又は若干短く構成されている。
【0032】
図4は、隣り合う2枚の枠板1,1の側面にコーナーピース2が取り付けられた状態を示す部分拡大斜視図である。図4では、窓枠100の外側から窓枠の外側目地部分の近傍の構成を示している。コーナーピース2は、隣り合う2枚の枠板1,1の平板部11の側面1a,1aどうしを互いの一辺が近接するように交差方向(例えば直交方向)に配置して、突き合うように固定させた状態で、両枠板1,1を連結する部材である。
【0033】
図5はコーナーピース2の構成を示す斜視図であり、図6は図4に示すコーナーピース2の正面図である。図7は図5に示すコーナーピース2の平面図である。図8は図5のVIII−VIII線での断面図であり、仮想的に枠板1及びシール部材が配置された状態を示す図である。図9は、コーナーピース2のコーナー部27近傍の構成を示す拡大図である。
【0034】
コーナーピース2は、例えばポリプロピレンなどの汎用樹脂で構成され、例えば射出成形により成形されている。コーナーピース2は、図4に示すように互いに交差する方向に配置された隣り合う枠板1,1を当接させて支持するための当接支持部20と、2つの枠板1,1を配置したときに、互いに隣接するフランジ部12,12の間に生じる空間を埋めるコーナー部27とを備える。
【0035】
当接支持部20は、棒状の部材であり、図8に示すように配置した枠板1,1の側面1a,1aに沿って当接可能な2つの当接面21,21を有する。2つの当接面21は、互いに直交する方向となるように設けられている。それぞれの当接面21、21からは、当該当接面に配置される枠板1の外側表面1cに沿うように配置される支持壁23、23が当接支持部20の長手方向略全領域及びコーナー部27にわたって立設されている。
【0036】
なお、支持壁23,23は、必ずしも当接支持部20の全領域にわたって連続的に設けられている必要はなく、枠板1の背面側を間欠的に複数箇所に設けられていてもよい。また、コーナー部27に設けられている支持壁と当接支持部20に設けられている支持壁は連続している必要はなく、それぞれの箇所に独立して設けられていてもよい。
【0037】
当接支持部20は、図5及び図8に示すように、概ね断面が中空の矩形を有する棒状体で構成され、隣り合う壁の外側面で当接面21、21を構成している。当接支持部20を中空に構成することにより、当接支持部20を中実の角材で構成するよりも、樹脂材料の量を減らすとともに、柔軟性を向上させて取り扱い性の向上及び軽量化を図ることができる。なお、当接支持部20は、互いに直行する方向に延在する当接面21,21を有する構成であればその断面形状は問われず、例えば、外側面が当接面として用いられる断面L字形のものであってもよい。
【0038】
当接面21は、図8に示すように、その幅方向寸法が枠板1の厚み寸法Wよりも小さくなるように構成されている。隣り合う当接面21,21の間には、当接支持部20の全長にわたってシール固定用溝22が形成される。当接面21が枠板の厚み寸法より薄幅に構成されているため、枠板1を当接面21に当接させたとき、2枚の枠板の一辺1bが当接面21よりも内側に突出する。このため、図9に示すように、当接面21に枠板1を固定させた場合、シール固定用溝22と2枚の枠板1,1の側面1aによって画定されたシール部材挿入領域が形成される。
【0039】
なお、2つの当接面の位置は、突き合うように固定された枠板の一辺1bの間にわずかに隙間が形成されるように構成される。当該隙間は5mm以下が好ましく、通常0.5〜2mm程度である。あまりに隙間が狭い場合はシール部材5の挿入に手間がかかり、また、シール部材の挿入部が破損しやすくなることがある。一方で、5mmを越えるような広い隙間の場合は、後述するシール部材5が幅広に構成されるため見栄えが悪くなり、また、枠材の組立て作業が困難となる。

【0040】
また、当接支持部20の当接面21は、図7及び図8に示すように、中央部にシール用凹部21aが形成されていてもよい。シール用凹部21aの内部にシール部材21bを配置することができ、前記シール部材挿入領域に挿入されるシール部材5に加えて、二重の防水処理を行うことで、より確実に目地部分からの漏水を防止することができる。
【0041】
また、当接支持部20には、当接面21と直交する方向に伸びる固定部材挿入用貫通穴の一例であるビス孔25が設けられている。ビス孔25を通じて、ネジ30が2つの枠板1,1の側面1a,1aに螺合されることにより、図4に示すように、コーナーピース2と両枠板1,1とが固定される。このとき、ビス孔25が当接面21と直交する方向に伸びているので、ネジ30は、両枠板1,1の側面1a,1aに対してそれぞれ垂直に挿入される。これにより、ネジ30が側面1aに対して斜めに挿入され、その先端が両枠板1,1の表面から飛び出るような不具合が防止されるので、枠板1,1の厚さをさらに薄くすることが可能となる。
【0042】
当接支持部20の一端部に連結するコーナー部27は、フランジ部12と略同じ厚みの板状の部材であり、中央部分が薄肉に構成されている(図4参照)。コーナー部27の主面には、コーナーキャップ4を固定するための嵌合孔29がコーナー部27を貫通して設けられている。コーナー部27の薄肉部分は、後述するコーナーキャップ4の取り付け時にコーナーキャップ4の挿入片41が収納される空間として機能する。
【0043】
コーナー部27には、図5,図6及び図9に示すように、支持壁23に対向するように第2支持壁28,28が設けられている。支持壁23のコーナー部27に設置されている部分23aと第2支持壁28によって、枠板1のフランジ部12が挟持され、コーナーピース2に対する位置決めを容易かつ確実にすることができる。
【0044】
シール部材5は、例えば、シリコンゴムなどで構成されており、図8及び図9に示すように、目地部分を被覆する被覆部51とシール固定用溝22に挿入されて目地部分に固定する挿入部52から構成される。シール部材5は、目地部分への施工時、挿入部52を枠板の一辺1bの間に形成された隙間から当接支持部20のシール固定用溝22に挿入する(図9参照)。これにより、各枠板の目地部分に被覆部51が配置、固定されることとなり、シール部材5と枠板1とが強固に固定される。
【0045】
図10は、コーナーキャップの構成を示す図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は背面図を示す。コーナーキャップ4は、コーナーピース2のコーナー部27に取り付けられる部材であり、コーナー部27を被覆隠蔽することで仕上がりの見栄えをよくすることができる。図9に示すように、コーナーキャップ4の本体部分40の内側面40aには、挿入片41が設けられており、コーナー部の嵌合孔29に挿入して、コーナーキャップをコーナー部27に固定する。挿入片41は、先端部分に返しが設けられており、コーナーキャップ4がコーナー部27から容易に脱落しないように構成されている。また、上記のようにコーナー部27の中央部分が薄肉に設けられていることにより、壁面200との間に隙間が形成され、当該隙間に挿入片41が収容される。
【0046】
また、コーナーキャップ4は、コーナー部を被覆する本体部分40の周囲に、フランジ部及びコーナー部27の外側を覆う側壁43を備える。また、本体部分40の側壁が設けられていない側には、フランジカバー3の端部を被覆するフランジ被覆部44が設けられており、フランジカバー3とコーナー部の境界部分を隠蔽する。さらに、目地に当接する部分には目地被覆部42を備えており、シール部材5の端部を被覆する。
【0047】
次に、本実施形態の内枠材の組立手順について説明する。まず、枠板1の側面1aをコーナーピース2の当接面21に当接させるとともに枠板1のフランジ部12の側壁を支持壁23と第2支持壁28の間に配置させて位置あわせを行う。もう1枚の枠板1も同様に配置する。これにより、2枚の枠板1,1が、互いの側面1a,1aの一辺が近接するように交差方向に突き合うような状態でコーナーピース2により仮固定される。なお、このとき当接面21のシール用凹部21a内にシール部材を塗布し、枠板1の側面1aと当接面21との間にシーリング材を配置するようにしてもよい。シーリング材を配置することで、枠板1の側面と当接面21との漏水を防止することができる。
【0048】
次いで、ビス孔25にネジ30を挿入して、コーナーピース2と両枠板1,1とを固定する。これにより、図3に示すように、コーナーピース2が両枠板1,1を連結する。なお、枠板1,1の側面1a,1aには、ネジ30の挿入用穴が予め設けられていても良いし、設けられていなくてもよい。前記挿入用穴を予め設けない場合には、枠板1へのネジ30の締め込みを容易とするために、枠板1は、その発泡倍率が1.1倍〜5.0倍(例えば1.5倍)である低発泡の押出成形部材で構成されることが好ましい。枠板1の材質としては、熱可塑性合成樹脂、例えば、塩化ビニール樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)などを用いることができる。また、枠板1の厚み寸法Wは、通常5〜12mm程度である。
【0049】
次いで、フランジ部12の表面側からビスなどを用いて窓枠を壁面200に固定し、その後、フランジ部12の表面にフランジカバー3を取り付ける(図9参照)。フランジカバー3は、枠板のフランジ部12の長さ寸法と略等しくなるように必要に応じて切断する。
【0050】
フランジカバー3は、表面側から押圧することで2つの係合爪34,35がフランジ部12に形成されている各係合片13に嵌合して固定される。
【0051】
また、組み立てられた窓枠を壁面200に取り付け、隣り合う2枚の枠板1の目地部分にシール部材5を配置する(図9参照)。シール部材5は、窓枠の奥行き寸法よりも若干短くなるように必要に応じて切断する。
【0052】
最後に、コーナーキャップ4をコーナーピース2のコーナー部27に固定する。図11に組み立て完了後における連結部材のコーナー部近傍の構成を示す部分拡大図を示す。コーナーキャップ4は、コーナー部27,フランジカバー3の端部、シール部材5の端部を隠蔽し、フランジカバー3及びシール部材5の端部の切り口を被覆するように取り付けられる。なお、必要に応じて、コーナーキャップ4の周囲の継ぎ目をシリコンなどのシール部材でシールしてもよい。
【0053】
本実施形態によれば、施工者により切断加工を施すフランジカバー3及びシール部材5の切断面をすべて隠蔽することができる。このため、切断加工の寸法精度を厳密にしなくてもこれらの切断面を隠蔽し、施工者の技術によらず同じような見栄えのよい仕上がりとすることができる。
【0054】
(第2実施形態)
【0055】
次に本発明の第2実施形態にかかる建物の開口部内枠材の組立構造について説明する。本実施形態の開口部内枠材の組立構造は、第1の実施形態に対して、連結部材のコーナーピース及びコーナーキャップの構成が異なる。以下、主に相違点について説明する。
【0056】
本実施形態は、コーナーピース2のコーナー部27に取り付けられるコーナーキャップ4の係止の構成が異なる。図12は、第2実施形態に係る開口部内枠材の組立構造に用いられるコーナーピースの構成を示す部分拡大斜視図である。図13は、図12とは異なる視点から見たコーナーピースの部分拡大斜視図である。
【0057】
本実施形態において、コーナーピース2は、当接支持部20とコーナー部27を備える。当接支持部20の2つの当接面21,21は、互いに直交する方向となるように設けられ、支持壁23、23が立設されている。
【0058】
当接面21は、図12,13に示すように、その幅方向寸法が枠板1の厚み寸法Wよりも小さくなるように構成され、シール固定用溝22が形成される。よって、当接面21に枠板1を固定させた場合、シール固定用溝22と2枚の枠板1,1の側面1aによって画定されたシール部材挿入領域が形成される。
【0059】
本実施形態では、シール固定用溝22と2枚の枠板1,1の側面1aによって画定されたシール部材挿入領域に湿式のシーリング剤を塗布する。すなわち、隣り合う2枚の側板の側面が突き合うように固定させた部分である窓枠の内側目地部にシーリング剤55(図17参照)を塗布する。シーリング剤は、例えば、粘度の高いシリコンなどで構成されており塗布後経時により固化する。シーリング剤55は、図17に示すように、目地部分への塗工時、突き合うように固定させた側板の一辺1bの間の1mm程度の隙間を通って、シール固定用溝22に入り込むように塗布される。これにより、各側板の表面だけではなく、側板1の側面側にもシーリング剤55が位置することとなり、シーリング剤55と側板1の固定強度を高めることができ、窓枠100の水密性を向上させることができる。さらに、シール固定用溝22内のシーリング剤55は、表面に露出していないため、掃除などの外力が加わることで剥離などをおこすことがない。
【0060】
シール部材5は、図17に示すように、シーリング剤55が充填・塗布されているシール固定用溝22に挿入して取り付ける。シール部材5の取り付けは、シーリング剤55の固化前に行うことが必要であり、シール部材5を目地部分に設けることでシーリング剤55を被覆することができ、目地部分の見栄えをよくすることができる。また、シーリング剤55が固化してシール部材5を保持するため、シール固定用溝22からシール部材5が脱落しにくくなる。
【0061】
本実施形態では、コーナー部27は、コーナーキャップ4をフランジ部の非当接面に設けられた第1嵌合溝36を備えている。また、フランジ部が突き合わせ部分である突合角部38が面取りされており、シール固定用溝22と一体的に構成された第2嵌合溝37が形成されている。
【0062】
コーナー部27の突合角部38が面取りされていることにより、図13に示すように、フランジ部12を配置した場合に、係止爪挿入空間39が形成される
【0063】
図14及び図15は、コーナーキャップの構成を示す斜視図である。本実施形態に係るコーナーキャップ4は、コーナー部27の外側を覆う側壁43及び目地に当接する部分に設けられた目地被覆部42に係止機構が設けられている。
【0064】
2つの側壁43の内側には、係合突起45が設けられており、コーナー部27の第1嵌合溝36に嵌合する。コーナー部27の第1嵌合溝36及び側壁43の係合突起45は、第1係止部に相当する。
【0065】
また、目地被覆部42には、係止爪46が設けられており、係止爪挿入空間39を通って第2嵌合溝37に挿入されて突合角部38に係止する。係止爪46は、目地被覆部42のうち側面に設けられており、当該部分の強度を大きくするために、目地被覆部42が圧肉に構成されている。目地被覆部42に設けられた係止爪46及び係止爪挿入空間39の突合角部38は、第2係止部に相当する。
【0066】
また、目地被覆部42には、シール部材5を押圧して、シール部材5の被覆部51を平板部11に密着させるためのシール部材押圧部47が設けられている。図16は、本実施形態におけるシール部材の構成を示す断面図である。シール部材5は、目地部分を被覆する被覆部51が平らに構成されており、また、2つの挿入部52a,52bを備える。なお、シーリング剤55を用い湿式シールを併用する場合は、図17に示すように、挿入部52a、52bの引っかかり部分がシーリング剤55で保持されるため、シール部材5がシール固定用溝22から抜けにくくなり、特に好ましい。
【0067】
本実施形態において、コーナーキャップ4を取り付ける作業は、まず。係止爪46を係止爪挿入空間39に挿入して係合角部38に係止させたあと、コーナーキャップ5をコーナー部27に密着させるように押圧し、側壁43の係合突起45を第1嵌合溝36に嵌合する。
【0068】
上記のようにコーナーキャップを取り付けることにより、目地被覆部42の内側面に形成されたシール部材押圧部47が被覆部51に強く押しつけられ、被覆部51が目地側に押圧される。これにより、被覆部51は変形して、平板部11に密着すると共に、2つの挿入部52が開いた状態となり、シール部材5と枠板1とが強固に固定される。
【0069】
シール部材5の端部は、シール固定用溝22から脱落しやすいことから、当該端部をシール部材押圧部47で押圧し、挿入部52の変形によりより強固に係合させることにより、シール部材5の脱落を防止することができる。
【0070】
本実施形態のコーナーピース及びコーナーキャップは、コーナー部の側面に設けられた第1及び第2の係止部を用いることにより、両者を確実に係合することができる。また、コーナー部27に貫通孔が設けられていないため、当該孔から漏水することがない。
【0071】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。たとえば、前記実施形態では、4つの枠板1,…,1により矩形の窓枠100を構成したが本発明はこれに限定されない。例えば、2枚以上の枠板1,…,1により、三角形や五角形などの多角形の窓枠を構成するようにしてもよい。この場合、コーナーピース2の2つの当接面21が成す角度を変えることにより前記多角形の窓枠を構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明にかかる建物の開口部内枠材の組立構造は、建物の出窓や出入り口などの開口部の内枠材として有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 枠板
1a 側面
2 コーナーピース
3 フランジカバー
4 コーナーキャップ
5 シール部材
11 平板部
12 フランジ部
13 係合片
20 当接支持部
21 当接面
22 シール固定用溝
23 支持壁
24 平板状部分
25 ビス孔
27 コーナー部
28 第2支持壁
29 嵌合孔
32 平板状部分
33 カバー片
34 第1係合爪
35 第2係合爪
40 本体部分
41 挿入片
42 目地被覆部
43 側壁
44 フランジ被覆部
45 係合突起
46 係止爪
47 シール部材押圧部
51 被覆部
52,52a,52b 挿入部
55 シーリング剤
60 連結部材
100 窓枠
200 壁面
201 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
L字状に形成された平板部とフランジ部とを有する枠板を、前記平板部の端縁同士が近接するように交差方向に突き合わせて支持する連結部材によって連結する内枠材の組立構造において、
上記連結部材は、隣接する2枚の枠板の平板部の側面を当接可能な第1及び第2当接面を有する当接支持部と、前記2枚の枠板のフランジ部の側面に当接し互いに隣接するフランジ部同士の間に生じる空間を埋める、係合部を備えた板状のコーナー部とを備えるコーナーピースと、
前記コーナー部を被覆するように、前記係合部を介して前記コーナー部に係合されるコーナーキャップとを備えることを特徴とする、建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項2】
前記連結部材は、前記第1及び第2当接面が、それぞれ前記2枚の枠板の平板部の厚み寸法より薄幅に構成され、
前記枠板側面及び前記シール固定用溝によって、シール部材挿入領域が形成され、
さらに、前記シール部材挿入領域に挿入可能に構成された前記内枠の目地を隠蔽するシール部材を備え、
前記コーナーキャップは、前記シール部材の端部を隠蔽可能な目地被覆部を備えることを特徴とする、請求項1に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項3】
前記係合部は、コーナーキャップ及びコーナー部の互いの対向面に設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項4】
前記係合部は、前記コーナー部に設けられている嵌合孔と、前記コーナーキャップに設けられ前記嵌合孔に嵌合する挿入片で構成されている請求項3に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項5】
前記コーナー部は、前記フランジ部よりも薄く構成されていることを特徴とする、請求項4に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項6】
前記係合部は、
前記コーナー部のフランジ部の非当接側面と、前記コーナーキャップの前記非当接側面に対向する側面に設けられた第1係止部と、
前記コーナー部の目地部分に設けられた係止溝と、前記コーナーキャップの目地部分に設けられ前記係止溝に挿入される嵌合爪により構成される第2係止部とを備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の建物の開口部内枠材の組立構造。
【請求項7】
前記コーナーキャップは、前記フランジ部のコーナー部当接部分を被覆するフランジ被覆部が設けられていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1つに記載の建物の開口部内枠材の組立構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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