説明

建物の間仕切構造

【課題】居室空間において空調効率の低下を抑制できる建物の間仕切構造を提供する。
【解決手段】建物10の一階部分には、和室14、LDK空間20、二階部分に通じる階段19が設置された階段空間18等が設けられている。階段空間18はLDK空間20と隣接して設けられ、階段空間18を囲む囲い壁の一部にはLDK空間20から階段空間18への出入りを可能とする階段開口部23が形成されている。一階部分には、複数の縦桟31が格子状に組まれてなる格子間仕切30が設けられ、格子間仕切30は、LDK空間20と和室14とを仕切る第1仕切位置と、LDK空間20と階段空間18とを仕切る第2仕切位置との間で移動可能とされている。格子間仕切30は、隣り合う縦桟31同士が当接されることにより隙間を閉じる隙間閉鎖状態と、それら縦桟31同士が離間されることにより隙間を開放する隙間開放状態とに切替可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の間仕切構造に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物では、一階部分にリビング、ダイニング及びキッチンを連続空間として形成したいわゆるLDK空間が居室空間として設けられている場合がある。かかるLDK空間では建物内の開放感を高めることができるという利点がある。
【0003】
また、このようなLDK空間を有する建物では、一階部分と二階部分とを行き来するための階段が設置された階段空間が当該LDK空間に隣接して設けられているものがある。このような建物では、LDK空間から階段空間へ出入りするための階段開口部を通じて、LDK空間を、上下階に亘って延びる階段空間と連続させる場合が考えられる。その場合、LDK空間の開放感をより一層高めることが可能となる。
【0004】
ここで、上記のLDK空間に可動式の間仕切を設置して、LDK空間を必要に応じて間仕切により仕切って使用することが考えられる。この種の間仕切としては、例えば複数の縦桟により格子状(連子状)に形成された格子間仕切を用いることができる(例えば、特許文献1参照)。格子間仕切を用いれば、縦桟同士の隙間を通じて採光性や通風性を確保しつつ、LDK空間を仕切ることができるため、間仕切により仕切られた各空間を快適なものとすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−162391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、LDK空間と階段空間とが隣接配置された上記の建物では、LDK空間において空調装置により暖房が実施されている場合に、LDK空間の暖気が階段空間を通じて二階部分に流れ出すことが考えられる。その場合、LDK空間において空調効率(暖房効率)の低下が懸念される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、居室空間において空調効率の低下を抑制できる建物の間仕切構造を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、第1の発明の建物の間仕切構造は、複数階を有してなるとともに、それら各階のうちいずれかの階には居室空間と、当該階の上又は下の階に通じる階段を有する階段空間とが隣接して設けられており、前記階段空間は囲い壁により囲まれており、その囲い壁の一部に前記居室空間から前記階段空間への出入りを可能とする階段開口部が形成されている建物に適用され、複数の長尺材が格子状に組まれてなる可動式の格子間仕切を備え、前記格子間仕切は、前記居室空間を当該格子間仕切を挟んだ両側スペースに仕切る第1位置と、前記階段開口部を覆うように配置されて前記居室空間と前記階段空間とを仕切る第2位置との間で移動可能とされているとともに、隣り合う前記長尺材の間の隙間を閉じる閉状態と、該隙間を開く開状態との間で動作可能とされた開閉手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、格子間仕切を第2位置に移動させることで、居室空間と階段空間とを仕切ることができる。そして、その仕切状態で、開閉手段を閉状態とすることにより格子間仕切の長尺材同士の隙間が閉鎖することで、当該隙間を通じた居室空間と階段空間との間の通気を遮断できる。これにより、居室空間において空調装置による空調(冷房又は暖房)が実施されている場合に、居室空間内の空気(冷気又は暖気)が階段空間に流れ込むのを、ひいては階段空間を通じて上又は下の階に流れ出るのを抑制できるため、空調効率の低下を抑制できる。
【0010】
なお、格子間仕切を第1位置に配置して居室空間を仕切る場合に、長尺材同士の間の隙間を開放すれば、かかる隙間を介して採光や通風が可能となるため、格子間仕切により仕切られる両空間を快適なものとすることができる。また、格子間仕切を第2位置に配置して居室空間と階段空間とを仕切る場合には、居室空間から階段空間への移動を遮断できるため、ペットや幼児等が勝手に居室空間から階段空間に入って階段を上ったり下りたりする事態を未然に防止することもできる。
【0011】
第2の発明の建物の間仕切構造は、第1の発明において、前記格子間仕切は、横並びに設けられた複数の前記長尺材としての縦桟が連結部材を介して連結されることにより構成されており、前記連結部材は、前記隣り合う縦桟同士の間隔を可変とすべく、それら縦桟同士を相対変位可能に連結するものであり、前記開閉手段は、前記隣り合う各縦桟であり、それら各縦桟が互いに当接されることにより前記閉状態とされ、互いに離間されることにより前記開状態とされることを特徴とする。
【0012】
一般に階段開口部と居室空間とは幅寸法が異なり、階段開口部は居室空間よりも幅狭である。この点からすれば、格子間仕切が第1位置にある場合と第2位置にある場合とでは仕切るべき幅寸法が異なることになる。この点本発明によれば、隣接する縦桟同士が間隔をあけて配置されることによりそれら縦桟同士の間に隙間が形成(開放)される一方、隣接する縦桟同士が当接されて配置されることにより当該隙間が閉鎖される構成となっており、これにより隙間の開閉に伴って格子間仕切の横幅を大小調整することが可能となっている。具体的には、隙間が開放(形成)された場合には格子間仕切の横幅を大きくすることができ、隙間が閉鎖された(形成されない)場合には格子間仕切の横幅を小さくすることができる。したがって、格子間仕切を第1位置に配置して居室空間を仕切る場合には、隙間を開放することにより居室空間を広範囲に仕切ることができる。一方、格子間仕切を第2位置に配置して階段空間と居室空間とを仕切る場合には、隙間を閉鎖した状態において格子間仕切が階段開口部から側方にはみ出す量を小さくすることができるため、同はみ出し部分が歩行の邪魔になる等の不都合を抑制しつつそれら両空間を仕切ることができる。つまり、本発明によれば、それぞれの通気状態を適正化しつつ仕切幅を都合よく調整することができる。
【0013】
第3の発明の建物の間仕切構造は、第2の発明において、前記隣り合う各縦桟はそれら両者を連結する前記連結部材に対して移動可能に設けられており、それら各縦桟の移動によって隣り合う縦桟同士の間隔が調整可能とされており、さらに前記連結部材は伸縮可能に構成されており、その伸縮によっても前記隣り合う縦桟同士の間隔が調整可能となっていることを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、隣り合う各縦桟を連結部材に対してスライドさせることによっても、連結部材を伸縮させることによっても、縦桟同士の間隔を調整できるため、縦桟同士の間隔の調整範囲を大きくすることができ、ひいては格子間仕切の横幅の調整範囲を大きくすることができる。そのため、縦桟同士の隙間を閉鎖させた場合における格子間仕切の横幅と、縦桟同士の隙間を開放させた場合における格子間仕切の横幅とについて、これら各横幅の比率を大きくすることができ、その結果第2の発明の効果を好適に得ることができる。
【0015】
第4の発明の建物の間仕切構造は、第1の発明において、前記格子間仕切は、前記長尺材としての縦桟が横並びに複数設けられることにより構成される複数の間仕切パネルを備え、それら各間仕切パネルは、少なくとも一部が重ね合わせられた状態で横幅方向へのスライド移動が可能に設けられており、そのスライド移動によって互いの重ね代が調整可能とされており、前記開閉手段は、前記各間仕切パネルのうち一方の間仕切パネルであり、前記一方の間仕切パネルは、前記閉状態では、自らの縦桟が他方の間仕切パネルの縦桟と互い違いとなる位置に配置されることで、他方の間仕切パネルにおいて前記隣り合う縦桟同士の間に形成された各隙間をすべて閉鎖し、前記開状態では、自らの縦桟が他方の間仕切パネルの縦桟と前記格子間仕切の厚み方向に対向配置されることで、前記他方の間仕切パネルの前記隙間を開放することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、各間仕切パネルのうち一方の間仕切パネルを他方の間仕切パネルに対して横幅方向にずらすことにより、一方の間仕切パネルの縦桟により他方の間仕切パネルの隣接する縦桟同士の間の各隙間を開閉できる。この場合、一方の間仕切パネルの位置をずらすだけで、他方の間仕切パネルの各隙間を一度に開閉できるため、隙間の開閉作業を容易とすることができる。
【0017】
第5の発明の建物の間仕切構造は、第1乃至第4のいずれかの発明において、前記格子間仕切の移動を案内する案内レールを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、案内レールに沿って格子間仕切を移動できるため、格子間仕切の移動作業を好適に行うことができる。
【0019】
第6の発明の建物の間仕切構造は、第1乃至第5のいずれかの発明において、前記格子間仕切の移動を阻止する阻止手段を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、格子間仕切の移動を阻止手段により阻止することで、格子間仕切を所定の位置(第1位置又は第2位置)にて保持させておくことができる。そのため、移動可能な格子間仕切であっても安定した設置状態を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一階部分の間取りを示す平面図。
【図2】格子間仕切を示す正面図。
【図3】格子間仕切の一部を拡大して示す斜視図であり、(a)が縦桟同士の間の隙間が開放された状態を示し、(b)が当該隙間が閉鎖された状態を示す。
【図4】案内レールにガイド部材が配設された状態を示す断面図。
【図5】格子間仕切の作用を説明するための説明図。
【図6】他の実施形態における格子間仕切を示す斜視図。
【図7】格子間仕切の作用を説明するための説明図。
【図8】他の実施形態における格子間仕切を示す斜視図。
【図9】阻止手段の別例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では一階部分と二階部分とを有する2階建ての建物について具体化している。図1は一階部分の間取りを示す平面図である。
【0023】
図1に示すように、建物10において一階部分には、居室空間としてリビング11、ダイニング12、キッチン13及び和室14が設けられており、非居室空間として玄関15、浴室16、脱衣室17及び階段空間18が設けられている。このうち、リビング11、ダイニング12及びキッチン13は一階部分の南側に配置され、和室14、浴室16、脱衣室17及び階段空間18は一階部分の北側に配置されている。
【0024】
リビング11、ダイニング12及びキッチン13は連続した一体空間(すなわちLDK空間20)として形成されており、リビング11にはエアコン等からなる空調装置21が設置されている。この空調装置21によりLDK空間20を対象とした冷房及び暖房を行うことが可能となっている。
【0025】
和室14はリビング11(換言するとLDK空間20)と隣接して設けられている。リビング11と和室14との間には固定壁よりなる間仕切壁が設けられておらず、それ故リビング11と和室14との境界部には同境界部全域に亘って開口部(以下、居室間開口部22という)が形成されている。したがって、LDK空間20と和室14とは居室間開口部22を介して連続して形成されており、これにより一階部分では開放的で広々とした居室空間が形成されている。
【0026】
階段空間18には階段19が設けられている。この階段19を利用して一階部分と二階部分との間の行き来が可能となっている。階段空間18は、一階部分と二階部分とに跨って上下に延びる吹き抜け空間となっており、その周囲が仕切壁により囲まれてなる。仕切壁として、階段空間18を挟んだ両側には対向する一対の間仕切壁25,26が設けられている。間仕切壁25は階段空間18を和室14と仕切っており、間仕切壁26は階段空間18を脱衣室17と仕切っている。また、階段空間18は外壁27によって屋外と仕切られており、階段空間18を挟んで外壁27とは反対側の間仕切壁(図示略)には階段開口部23が形成されている。
【0027】
階段開口部23は、階段空間18とダイニング12(換言するとLDK空間20)とを連通しており、この階段開口部23を通じてダイニング12と階段空間18との間の行き来が可能となっている。具体的には、各間仕切壁25,26の各々の端部(LDK空間20側の端部)の間が階段開口部23となっており、間仕切壁25を挟んで階段開口部23とは反対側に居室間開口部22が設けられている。この場合、階段開口部23と居室間開口部22とは同一平面状に形成されており、換言するとそれら各開口部22,23は平面視において同一直線状に配置されている。
【0028】
なお、階段開口部23には、当該開口部23を開閉する引き戸や開き戸等の建具(詳しくは常設の建具)が設けられておらず、それ故LDK空間20は階段開口部23を介して階段空間18に開放されている。そのため、LDK空間20の開放感がより一層高められている。
【0029】
なお、二階部分の間取りについては図示を省略するが、二階部分には二階居室に加え、子供部屋や寝室、書斎等のプライベイトルームが設けられている。
【0030】
ところで、本実施形態の建物10では、一階部分に、複数の縦桟が格子状(連子状)に組まれてなる可動式の格子間仕切30が設けられている。格子間仕切30は、一階部分において移動可能に設けられており、この格子間仕切30により一階部分の屋内空間を必要に応じて仕切ることが可能となっている。以下、この格子間仕切30及びその周辺の構成について説明する。
【0031】
図1に示すように、建物10の一階部分には、格子間仕切30の移動を案内するための案内レール28が設けられている。案内レール28は、LDK空間20の天井面に設けられており、図1では便宜上同レール28を二点鎖線で示している。案内レール28としては、LDK空間20及び和室14の境界部(換言すると居室間開口部22)と、LDK空間20及び階段空間18の境界部(換言すると階段開口部23)とに沿って連続して延びる第1案内レール28aと、第1案内レール28aと直交しかつリビング11及びダイニング12の境界部に沿って延びる第2案内レール28bとを備える。詳細には、第1案内レール28aは、LDK空間20及び和室14の境界部全域に亘って、かつLDK空間20及び階段空間18の境界部全域に亘って直線状に延びており、第2案内レール28bは、リビング11及びダイニング12の境界部全域に亘って直線上に延びている。また、第1案内レール28aと第2案内レール28bとは互いに連続して設けられている。
【0032】
格子間仕切30は、基本的には、その横幅方向を案内レール28の延びる方向に向けた状態で案内レール28に吊り下げられており(詳細には後述するように格子間仕切30はキャスタ48により下方から支持されている)、その吊り下げ状態で同レール28に沿って移動されるようになっている。格子間仕切30は第1案内レール28aに沿って移動される場合には、LDK空間20及び和室14の境界部(換言すると居室間開口部22)に配置されてそれら両空間14,20を仕切る第1仕切位置(図5(a)参照)と、LDK空間20及び階段空間18の境界部(換言すると階段開口部23)に配置されてそれら両空間18,20を仕切る第2仕切位置(図5(b)参照)との間で移動可能とされる。
【0033】
また、格子間仕切30は第2案内レール28bに沿って移動される場合には、リビング11及びダイニング12の境界部における任意の位置に移動できる。この場合、格子間仕切30が当該任意の位置(第3仕切位置(図5(c)参照))に配置されることで、同間仕切30によりリビング11とダイニング12とが仕切られる。なお、第1案内レール28a(又は第2案内レール28b)に沿って移動される状態から第2案内レール28b(又は第1案内レール28a)に沿って移動される状態への切り替えは、各案内レール28a,28bが連続する連続部分を通じて行われる。
【0034】
続いて、格子間仕切30の構成について図2及び図3に基づいて説明する。なお、図2は格子間仕切30を示す正面図であり、図3は格子間仕切30の一部を拡大して示す斜視図である。図3において(a)が縦桟同士の間の隙間が開放された状態を示し、(b)が当該隙間が閉鎖された状態を示す。
【0035】
図2に示すように、格子間仕切30は、全体としては矩形板状に形成されており、その高さ寸法がLDK空間20の天井高さ(詳しくは同空間20の床面47から天井面46(図4参照)までの高さ寸法)と略同じ、詳細にはそれよりも若干小さいものとなっている。また、格子間仕切30は、その横幅(詳細には後述するように隙間38を開放した状態における横幅)が居室間開口部22の開口幅の略半分となっている。格子間仕切30は、所定の間隔(詳しくは一定の間隔)で横並びに設けられた複数の縦桟31と、隣接する縦桟31同士を互いに連結する複数の連結部材32とを備えて構成されており、このうち縦桟31が長尺材に相当するものとなっている。
【0036】
縦桟31は、図3に示すように、上下に延びる四角筒状をなしており、その上下の端部にはそれぞれ上板部36及び下板部37が固定されている。これらの各部材31,36,37はいずれもアルミニウム等の金属材料からなり互いに溶接固定されている。連結部材32は、隣接する縦桟31間において上下に複数(図2では4つ)設けられており、それら縦桟31同士を左右に連結している。連結部材32は、横方向(縦桟31の並び方向)に延びる四角筒状をなし、その(横方向の)長さ寸法が縦桟31の横幅寸法と同じ、詳細にはそれよりも若干小さい寸法とされている。
【0037】
連結部材32による連結構成について詳しく説明すると、各縦桟31の側面部、詳しくは隙間38に面した側面部31aには、連結部材32の設置位置に対応して複数の開口部41が形成されている。この開口部41は、連結部材32が挿入される挿入孔部となっており、縦桟31の内外を連通している。開口部41は、連結部材32の断面寸法(縦横寸法)よりも若干大きい寸法を有する矩形形状をなしており、この開口部41には連結部材32の端部側が挿通されている。つまり、連結部材32は、その両端側をそれぞれ当該連結部材32を挟んで隣り合う各縦桟31の開口部41に挿通させた状態でそれら各縦桟31同士を連結している。
【0038】
より詳しくは、例えば連結部材32の両端部にはそれぞれ開口部41の大きさ(縦横寸法)よりもひとまわり大きい矩形平板状の板金からなる規制板(図示略)が固定されており、その規制板が連結部材32の開口部41への挿通状態において縦桟31の内部に配設されることで、連結部材32が開口部41から縦桟31外部に抜け出るのを防止している。
【0039】
このような連結状態において、隣り合う縦桟31はそれら両者を連結している連結部材32に対して移動可能とされている。具体的には、それら各縦桟31はそれぞれ連結部材32を開口部41に挿通させた状態でその挿通方向すなわち左右方向(換言すると、格子間仕切30の横幅方向)に移動が可能となっている。この場合、隣り合う各縦桟31は、かかる移動によって互いの間隔を、換言すると上記隙間38の幅寸法を調整できるようになっている。これにより、本格子間仕切30は、図3(a)に示すように、隣り合う縦桟31同士が離間されて隙間38が形成(開放)される隙間開放状態と、図3(b)に示すように、隣り合う縦桟31同士が当接されて隙間38が形成されない(閉鎖される)隙間閉鎖状態とに切替可能とされている。格子間仕切30が隙間開放状態にある場合には隙間38を通じて通気が可能とされる一方、隙間閉鎖状態にある場合にはかかる通気が不能とされる。
【0040】
なお、各連結部材32は格子間仕切30の隙間38ごとに分割されて設けられており、格子間仕切30の隙間閉鎖状態ではそれら各連結部材32が縦桟31の内部に収容された状態となる。したがって、格子間仕切30を隙間閉鎖状態とした場合に同間仕切30の横幅方向両端部において連結部材32が縦桟31に対して外側(側方)にはみ出すことのないようになっている。
【0041】
また、本格子間仕切30では、上記のように隣り合う縦桟31同士の間隔を調整することで、その横幅寸法を変えられるようになっている。換言すると、本格子間仕切30は、幅方向において伸縮可能とされている。この点からすると、格子間仕切30の隙間開放状態を間仕切幅拡張状態、隙間閉鎖状態を間仕切幅収縮状態ということもできる。具体的には、隙間開放状態(間仕切幅拡張状態)における格子間仕切30の横幅は隙間閉鎖状態(間仕切幅収縮状態)における同間仕切30の横幅の約2倍となっている。また、本実施形態では、隙間閉鎖状態における格子間仕切30の横幅が階段開口部23の開口幅と略同じとなっている(図5(b)参照)。
【0042】
格子間仕切30における複数の縦桟31のうち、両端部に配置された2つの縦桟31にはその上端部にガイド部材33が取り付けられている。ガイド部材33は、案内レール28のレール溝55(その詳細は後述)に配設されて同レール28に沿って案内されるものである。以下、図4に基づいて案内レール28による案内機構について説明する。なお、図4は案内レール28にガイド部材33が配設された状態を示す断面図である。
【0043】
図4に示すように、ガイド部材33はステンレス等の金属材料からなり、縦桟31の上板部36に固定された円盤状の固定部43と、固定部43から上方に延びる軸部44と、軸部44の上端に設けられた円盤状の被案内部45とを有する。固定部43及び被案内部45の軸線は軸部44と同一軸線上に位置している。
【0044】
一方、案内レール28は鋼板からなり、天井面46に固定された固定板部51と、固定板部51の両端部から垂下された一対の垂下板部52と、各垂下板部52の下端部からそれぞれ互いに接近する側に延びる一対の支持板部53とを有する。これら各板部51〜53により囲まれる内側空間はレール溝55となっており、同レール溝55は下方に向けて開放されている。
【0045】
ここで、ガイド部材33は、その被案内部45が案内レール28のレール溝55に配設されており、その配設状態において支持板部53上に載置されている。したがって、格子間仕切30は、基本的にガイド部材33を介して案内レール28に吊り下げられており、その吊り下げ状態で案内レール28に沿って移動されるようになっている。
【0046】
また、格子間仕切30の下端部、例えば複数の縦桟31のうち両端に配置された縦桟31の下端部(より詳しくは下板部37の下面)には、車輪等の回転体48aを含んで構成されるキャスタ48が取り付けられている。回転体48aは、水平面内で回転可能とされている。キャスタ48は床面47上に載置されており、格子間仕切30の荷重の一部を下方から支えている。格子間仕切30が案内レール28に沿って移動すると、それに伴ってキャスタ48(回転体48a)が床面47上を転がるため、格子間仕切30を円滑に移動できるようになっている。
【0047】
キャスタ48には、回転体48aの回転を制止するためのブレーキ48bが設けられている。このブレーキ48bにより回転体48aの回転を制止することで、格子間仕切30の移動を阻止することが可能となっている。また、かかる回転体48aの回転制止状態では、格子間仕切30の横幅が伸縮することも規制される。よって、この場合、格子間仕切30が隙間開放状態(換言すると間仕切幅拡張状態)及び隙間閉鎖状態(換言すると間仕切幅縮小状態)のいずれの状態にある場合でも、その状態が維持されるようになっている。なおここで、ブレーキ48bが阻止手段に相当する。
【0048】
続いて、上述した格子間仕切30の作用について図5を参照しながら説明する。図5は、格子間仕切30の作用を説明するための説明図である。
【0049】
上述したように、格子間仕切30は、第1案内レール28a及び第2案内レール28bに沿って移動することで、図5(a)に示す第1仕切位置、図5(b)に示す第2仕切位置、及び図5(c)に示す第3仕切位置のそれぞれに移動が可能となっている。格子間仕切30は、必要に応じてそれら各仕切位置のうちいずれかに配置されて間仕切として用いられるようになっている。また、格子間仕切30を隙間開放状態(横幅拡張状態)と隙間閉鎖状態(横幅収縮状態)とに切り替える場合には、例えば両端の縦桟31を互いに離間する側に引っ張ったり、互いに近接する側に押したりすることによって行う。なおここで、第1仕切位置及び第3仕切位置がそれぞれ第1位置に相当し、第2仕切位置が第2位置に相当する。
【0050】
続いて、格子間仕切30による各仕切位置における作用について説明する。まず図5(a)に示すように、格子間仕切30が第1仕切位置にある場合には、例えば同間仕切30を隙間開放状態とする。この場合、格子間仕切30の隙間38を介して通気を行いつつLDK空間20と和室14とを仕切ることができるため、それら仕切られた両空間14,20を快適なものとすることができる。また、格子間仕切30が第1仕切位置にある場合に、同間仕切30を隙間閉鎖状態としてもよい。その場合、格子間仕切30により視線を遮ることができるため、例えばリビング11に客が訪れている場合に和室14のプライバシを確保したりできる。
【0051】
また、図5(b)に示すように、格子間仕切30が第2仕切位置にある場合には、同間仕切30を隙間閉鎖状態とする。これにより、空調装置21によりLDK空間20の空調(具体的には暖房)が実施されている場合に、LDK空間20の暖気が階段空間18に流れ込むのを格子間仕切30により抑制できるため、ひいてはその暖気が階段空間18を通じて(上昇して)二階部分に流れ出すのを抑制できる。そのため、空調効率の低下を抑制できる。また、格子間仕切30が第2仕切位置にある場合には、LDK空間20から階段空間18への出入りが遮断されるため、幼児やペット等がLDK空間20から階段空間18に入り込み階段19を上ったりする等の事態を防止できるという利点もある。
【0052】
また、図5(c)に示すように、格子間仕切30が第3仕切位置にある場合には、例えば同間仕切30を隙間開放状態とする。この場合、格子間仕切30の隙間38を介して通気を行いつつリビング11とダイニング12とを仕切ることができるため、それら仕切られた両空間11,12を快適なものとすることができる。また、かかる場合に、格子間仕切30を隙間閉鎖状態としてもよい。
【0053】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0054】
複数の縦桟31が格子状に組まれてなる格子間仕切30を設け、同間仕切30を居室空間を仕切る第1仕切位置(又は第3仕切位置)と、LDK空間20と階段空間18とを仕切る第2仕切位置との間で移動可能とした。そして、格子間仕切30における隣り合う縦桟31同士の隙間38を開閉可能とした。これによれば、格子間仕切30を第2仕切位置に移動し、同間仕切30を隙間閉鎖状態とすれば、上記隙間38を通じたLDK空間20と階段空間18との通気を遮断できる。これにより、LDK空間20において空調装置21による暖房が実施されている場合に、LDK空間20内の暖気が階段空間18に流れ込むのを、ひいては階段空間18を通じて(上昇して)二階部分に流れ出るのを抑制できるため、空調効率の低下を抑制できる。
【0055】
また、階段開口部23に当該開口部23を開閉する引き戸を設け、当該引き戸によりLDK空間20と階段空間18との通気を遮断することも可能ではあるが、階段開口部23に引き戸を設置するとなると同開口部23周辺の構成が煩雑となるおそれがある。この点、格子間仕切30を第2仕切位置に移動させることで、LDK空間20と階段空間18との通気を遮断する上記の構成によれば、階段開口部23周辺の構成が煩雑となるのを抑制しつつ、空調効率の低下を抑制できる。
【0056】
隣り合う縦桟31同士の間隔を可変とすべく、それら縦桟31同士を相対変位可能に連結する連結部材32を設けた。具体的には、隣り合う各縦桟31をそれら両者を連結する連結部材32に対して移動可能に設け、各縦桟31の移動によって縦桟31同士の間隔を可変とした。そして、隣り合う各縦桟31を互いに当接させることにより縦桟31同士の間の隙間38が閉鎖される隙間閉鎖状態とし、隣り合う各縦桟31を互いに離間させることにより隙間38が開放される隙間開放状態とした。この場合、隙間38の開閉に伴って格子間仕切30の横幅を大小調整することが可能となる。具体的には、隙間38が開放(形成)された場合には格子間仕切30の横幅を大きくすることができ、隙間38が閉鎖された(形成されない)場合には格子間仕切30の横幅を小さくすることができる。したがって、格子間仕切30を第1仕切位置に配置してLDK空間20と和室14とを仕切る場合において隙間開放状態とすれば、それら両空間14,20を広範囲に仕切ることができる。一方、格子間仕切30を第2仕切位置に配置し隙間閉鎖状態とすることにより階段空間18とLDK空間20とを仕切る場合には、格子間仕切30が階段開口部23から側方にはみ出す量を小さくすることができ、同はみ出し部分が歩行の邪魔になる等の不都合を抑制できる。よって、この場合、LDK空間20と和室14とを仕切る場合、及びLDK空間20と階段空間18とを仕切る場合の双方において、格子間仕切30を好適に用いることができる。
【0057】
格子間仕切30の移動を案内する案内レール28を設けたため、格子間仕切30の移動を好適に行うことができる。
【0058】
格子間仕切30の移動を阻止する阻止手段としてキャスタ48にブレーキ48bを設けたため、このブレーキ48bにより回転体48aの回転を制止することで格子間仕切30を所定の位置に保持させておくことができる。これにより、移動可能な格子間仕切30であっても安定した設置状態を実現できる。
【0059】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0060】
(1)上記実施形態では、格子間仕切30における隣り合う縦桟31同士の隙間38を、それら各縦桟31同士を相対変位させることにより縦桟31同士の間隔を調整することで開閉する構成としたが、隙間38を開閉するための構成は必ずしもこれに限定されない。例えば図6に示す構成が考えられる。図6に示す格子間仕切50は、同一構成からなる2枚の間仕切パネル60a,60bを備えて構成されている。それら各間仕切パネル60a,60bは、少なくとも一部が重ね合わせられた状態で横幅方向への移動が可能に設けられており、その移動によって互いの重なり代が調整されるようになっている。間仕切パネル60a,60bは、横並びに設けられた複数の縦桟61a,61bと、隣り合う縦桟61a,61b同士を連結する複数の連結部材62a,62bとを備え、その点において上記実施形態の格子間仕切30と同様の構成となっている。間仕切パネル60a,60bでは、格子間仕切30との相違点として、連結部材62a,62bの両端部がそれぞれ隣り合う各縦桟61a,61bに固定されており、これによって隣り合う縦桟61a,61b同士の間隔が不変とされている。但し、格子間仕切30の場合と同様に、縦桟61a,61b同士の間隔を可変としてもよい。また、その他の相違点として、間仕切パネル60a,60bでは、その厚みが格子間仕切30の厚みの約半分となっている。したがって、格子間仕切50としては、その厚みが格子間仕切30の厚みと同じとなっている。
【0061】
かかる構成の格子間仕切50によれば、図6(a)に示すように、各間仕切パネル60a,60bにおいて、互いの縦桟61a,61bが格子間仕切50の厚み方向に対向して重なっている状態では、各間仕切パネル60a,60bにおける縦桟61a,61b同士の間の隙間38が格子間仕切50の厚み方向に連続される。この場合、当該連続された隙間38を通じて空気の流通が可能とされる。一方、図6(b)に示すように、各間仕切パネル60a,60bにおいて、互いの縦桟61a,61bが互い違いに配置されている状態では、一方の間仕切パネル60a(60b)における縦桟61a(61b)同士の隙間38が他方の間仕切パネル60b(60a)の縦桟61b(61a)によって閉鎖される。この場合、格子間仕切50を介した空気の流通が遮断される。
【0062】
つまり、上述の格子間仕切50によれば、各間仕切パネル60a,60bのうちいずれか一方の間仕切パネル60a(60b)の位置を他方の間仕切パネル60b(60a)に対して若干ずらすだけで、詳しくは縦桟61a,61bの横幅寸法分ずらすだけで、他方の間仕切パネル60bの各隙間38を一度に開閉できる。この場合、格子間仕切50(詳しくは間仕切パネル60)の各隙間38を個別に開閉する場合と比べ、隙間38の開閉作業を容易とすることができる。
【0063】
なお、本例では、図7に示すように、建物10の一階部分においてそれら各間仕切パネル60a,60bの移動をそれぞれ案内する2つの案内レール65a,65bが設けられており、各間仕切パネル60a,60bはそれぞれ各案内レール65a,65bに沿って互いに独立して移動されるものとなっている。図7では、各間仕切パネル60a,60bが、LDK空間20と和室14との境界部、すなわち第1仕切位置において互いの幅方向の端部同士を重ね合わせた状態で配置されている。この場合、各間仕切パネル60が同境界部の全域(居室間開口部22の開口幅全域)に亘って配置されるため、同間仕切60により仕切られる両空間20,14の独立性を高めることができる。
【0064】
(2)また、格子間仕切30に、各縦桟31同士の隙間38を開閉する開閉手段として開閉板を設けてもよい。開閉板は、例えば縦桟31に沿って延びる長尺状の平板からなり、隙間38を塞ぐことが可能な長さ及び幅を有して形成されている。開閉板は、各縦桟31の側面(詳しくは側面31aと直交する側面)にそれぞれヒンジ等の回動部材を介して回動可能に取り付けられる。この場合、開閉板を開状態とすることで隙間38が開放される隙間開放状態にすることができ、開閉板を閉状態とすることで隙間38が閉鎖される隙間閉鎖状態にすることができる。
【0065】
(3)上記実施形態では、格子間仕切30を、複数の縦桟31(長尺材に相当)により格子状(連子状)に形成したが、これを変更して、複数の横桟(長尺材に相当)により格子状に形成してもよい。つまり、横桟を上下に複数並べることで格子間仕切を形成してもよい。この場合、隣り合う各横桟の間の隙間の開閉は、上記(2)における開閉板を用いた構成とすることが考えられる。また、格子間仕切を、複数の縦桟と複数の横桟とにより格子状に形成してもよい。この場合、縦桟と横桟とにより囲まれる部分が隙間となり、その隙間を上記同様に開閉板で開閉することが考えられる。
【0066】
(4)連結部材32を伸縮可能に構成してもよい。図8に示す格子間仕切70では、上記実施形態における連結部材32に代えて、伸縮可能な連結部材71が用いられている。連結部材71は、一対の第1連結部72と、それら各第1連結部72同士を連結する第2連結部73とを備える。第1連結部72は、横方向に延びる四角筒状をなしており、その長さが縦桟31の横幅の略半分となっている。一方、第2連結部73は、第1連結部72と同様に、横方向に延びる四角筒状をなしており、その長さが縦桟31の横幅と略同じとなっている。また、第2連結部73は、その断面寸法(断面外形寸法)が第1連結部72の内寸よりも若干小さい寸法となっている。
【0067】
第2連結部73の両端側はそれぞれ各第1連結部72の内側に挿入されている。換言すると、各第1連結部72の内側にはそれぞれ第2連結部73が挿入されており、各第1連結部72はそれぞれかかる挿入状態において第2連結部73に対し移動可能に連結されている。詳しくは、各第1連結部72は第2連結部73に対して同連結部73の延びる方向に移動可能とされている。この場合、各第1連結部72をそれぞれ互いに近接する側又は離間する側に移動させることにより、連結部材71を伸縮させることが可能となる。本例では、連結部材71を伸ばした状態(図8(a)参照)における同部材71の長さが、連結部材71を縮めた状態(図8(b)参照)における同部材71の長さの約2倍となり、縦桟31の横幅寸法と比べても2倍となっている。
【0068】
なお、図示は省略するものの、連結部材71には、第1連結部72が第2連結部73から離脱するのを防止するための離脱防止構造が設けられている。かかる構造として例えば、第1連結部72の内周面には同内周面から突出する係合部(図示略)を設ける一方、第2連結部73の外周面には同外周面から突出する被係合部(図示略)を設け、第1連結部72の係合部を第2連結部73の被係合部に係合させることにより、第1連結部72が第2連結部73から離脱するのを防止する構成が考えられる。
【0069】
上記構成の連結部材71は隣り合う縦桟31の間に配設されて、それら各縦桟31同士を連結している。具体的には、連結部材71の各第1連結部72がそれぞれ各縦桟31に連結されている。なお、連結部材71(詳しくは第1連結部72)は、上記実施形態の連結部材32と同様に、縦桟31に対して移動可能に連結されている。
【0070】
かかる格子間仕切70によれば、連結部材71を縮めた状態において、隣り合う各縦桟31同士を互いに当接させることにより隙間38を閉鎖でき、各縦桟31同士を互いに離間させることにより隙間38を開放できる(図8(b)参照)。この点については上記実施形態の格子間仕切30と同様である。そして、本格子間仕切70では、さらに、連結部材71を縮めた状態における隙間開放状態(図8(b)の状態)から連結部材71を伸張させることにより隙間38を大きくすることができる(図8(a)参照)。要するに、本格子間仕切70では、隣り合う各縦桟31を連結部材71に対してスライドさせることによっても、連結部材71を伸縮させることによっても、各縦桟31の間の間隔を調整できる。そのため、縦桟31同士の間隔の調整範囲を大きくすることができ、ひいては格子間仕切70の横幅の調整範囲を大きくすることができる。これにより、格子間仕切70を第1仕切位置に配置して隙間開放状態とした場合には、LDK空間20と和室14とをより一層広範囲に仕切ることができる。
【0071】
また、隣り合う各縦桟31の間隔の調整範囲を大きくすることで、それら各縦桟31の間の隙間38を通じて流通する空気の量すなわち通気量についてもその調整範囲を大きくすることができる。そのため、多様な通気を行うことができるという利点もある。
【0072】
なお、連結部材71を伸縮可能とした構成において、隣り合う各縦桟31をそれぞれ連結部材71に対して移動不能に固定する構成としてもよい。この場合においても、連結部材71を伸縮させることにより、隙間38を開閉することが可能となる。
【0073】
(5)格子間仕切30の下端部にキャスタ48を設けずに、同間仕切30をガイド部材33を介して案内レール28に吊下げ支持する構成としてもよい。この場合、格子間仕切30は、その下端が床面47から離間された状態で案内レール28に吊り下げられる。ここで、かかる構成において、格子間仕切30の移動を阻止する阻止手段を例えば図9に示す構成としてもよい。図9では、格子間仕切30において上下に複数設けられた連結部材32のうち下端部に配置された連結部材32aの一部が下方に向けてスライド移動可能とされている。具体的には、縦桟31においてかかる連結部材32aに対応する開口部41は下端側が開放されており、これにより連結部材32aが縦桟31の下端部よりも下方まで移動可能となっている。
【0074】
また、開口部41の側縁(両側の側縁)にはラチェット溝(図示略)が形成されており、連結部材32aの側面(両側面)には当該ラチェット溝に係止可能なラチェット歯(図示略)が設けられている。そのため、連結部材32aは、そのラチェット歯がラチェット溝に係止されることによって所定のスライド位置で固定できるようになっている。
【0075】
連結部材32aの下面にはゴム板81が接着等によって取り付けられている。ここでは、このゴム板81や上記連結部材32a等によって阻止手段が構成されている。この場合、連結部材32aを下方に移動させることでゴム板81を床面47に押し付け、その押し付け状態で連結部材32aを縦桟31に(上記ラチェット係止により)固定することにより、格子間仕切30の移動を阻止することができる。
【0076】
(6)格子間仕切30を移動させるために駆動する間仕切駆動装置を設け、同駆動装置を駆動させることにより格子間仕切30を移動させるようにしてもよい。間仕切駆動装置は、例えば周知の電動式モータ等により構成される。この場合、格子間仕切30を手で押す等して移動させる場合と比べ、間仕切30の移動作業を容易とすることができる。
【0077】
また、格子間仕切30の各縦桟31について横方向(格子間仕切30の幅方向)への移動を駆動する縦桟駆動装置を設けてもよい。縦桟駆動装置は、例えば周知の電動式のモータ等からなる。この場合、縦桟駆動装置を駆動させることにより、格子間仕切30を、隣り合う各縦桟31同士の間に隙間38が形成される隙間開放状態と、当該隙間38が形成されない隙間閉鎖状態とに切り替えることができる。そのため、格子間仕切30を各状態に切り替える作業を容易とすることができる。
【0078】
また、空調装置21が運転しているか否かに基づいて、格子間仕切30を隙間開放状態と隙間閉鎖状態とに切り替えるよう縦桟駆動装置を制御する制御手段を設けてもよい。具体的には、空調装置21が運転している場合には格子間仕切30を隙間閉鎖状態とし、空調装置21が運転していない場合には格子間仕切30を隙間開放状態とするよう縦桟駆動装置を制御することが考えられる。これによれば、LDK空間20において空調が実施されている場合には、格子間仕切30が自動で隙間閉鎖状態に切り替わるため、格子間仕切30を用いてLDK空間20の空気が階段空間18に流出するのを抑制する際には都合がよい。
【0079】
さらに、空調装置21が運転している場合に、格子間仕切30を階段空間18とLDK空間20とを仕切る第2仕切位置に移動させるよう間仕切駆動装置を駆動制御してもよい。そうすれば、LDK空間20において空調が実施されている場合に格子間仕切30が自動で第2仕切位置に移動されるため、より一層利便性を高めることができる。
【0080】
(7)ところで、共通の空調装置を用いて一階部分における複数の部屋の空調を行うセントラル式の空調システムが知られている。かかる空調システムを上記実施形態の建物10に採用した場合に、格子間仕切30によって仕切ることができるリビング11、ダイニング12及び和室14の各居室をそれぞれ空調対象として含むように空調(冷房又は暖房)を行ってもよい。すなわち、リビング11、ダイニング12及び和室14にそれぞれ吹出グリル(吹出口)を設置し、共通の空調装置よりそれら各吹出グリルに空調空気(冷気又は暖気)を供給するようにする。そうすれば、格子間仕切30により一階部分の居室空間がどのように仕切られていても、リビング11、ダイニング12及び和室14の各居室に空調装置より空調空気を供給でき、それら各居室の空調を好適に行うことができる。
【0081】
(8)ところで、従来より梁及び柱を有してなる複数の建物ユニットが互いに連結されて構成されるユニット式建物が知られている。そこで、本発明の間仕切構造をかかるユニット式建物に適用することが考えられる。建物ユニットは全体として略直方体状をなしており、その四隅に立設された柱と、各柱の上端部同士を連結する天井大梁と、各柱の下端部同士を連結する床大梁とを備える。対向する天井大梁の間には複数の天井小梁が架け渡され、それら天井小梁により天井面材が支持されている。一方、対向する床大梁の間には複数の床小梁が架け渡され、それら床小梁により床面材が支持されている。ここで、案内レール28をユニット式建物に設置する場合には、同レール28が複数の建物ユニットに跨って設置されることが想定される。この場合、案内レール28を施工現場にて各建物ユニットの天井面材にそれぞれ取り付ければよい。
【0082】
また、ユニット式建物では、隣り合う各建物ユニットの天井面材の間に所定の隙間が形成される。この隙間にはそれら各天井面材を繋ぐ天井繋ぎ面材が施工現場で配設される。そこで、製造工場においてこの天井繋ぎ面材に予め案内レール28を組み付けておくようにしてもよい。そうすれば、天井繋ぎ面材の設置と同時に案内レールの設置を行うことができるため、施工工数の削減が図れる。
【0083】
(9)本発明の間仕切構造を建物の二階部分に適用してもよい。例えば、二階部分では二階居室と、一階部分に通じる階段19が設置された階段空間18とが隣接して設けられる。この場合、格子間仕切30を二階居室を仕切る第1位置と、二階居室と階段空間18とを仕切る第2位置との間で移動可能に設けることが考えられる。かかる構成でも、格子間仕切30を第2位置に移動させて同間仕切30を隙間閉鎖状態とすれば、二階居室と階段空間18との間の空気の流通を遮断できる。したがって、二階居室で空調装置により冷房が実施されている場合に、二階居室の冷気が階段空間18を通じて(下降して)一階部分に流れ出るのを抑制できる。よって、空調効率の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0084】
10…建物、18…階段空間、19…階段、20…居室空間としてのLDK空間、23…階段開口部、28…案内レール、30…格子間仕切、31…長尺材としての縦桟、32…連結部材、38…隙間、50…格子間仕切、60…間仕切パネル、61…長尺材としての縦桟、62…連結部材、70…格子間仕切、71…連結部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数階を有してなるとともに、それら各階のうちいずれかの階には居室空間と、当該階の上又は下の階に通じる階段を有する階段空間とが隣接して設けられており、前記階段空間は囲い壁により囲まれており、その囲い壁の一部に前記居室空間から前記階段空間への出入りを可能とする階段開口部が形成されている建物に適用され、
複数の長尺材が格子状に組まれてなる可動式の格子間仕切を備え、
前記格子間仕切は、前記居室空間を当該格子間仕切を挟んだ両側スペースに仕切る第1位置と、前記階段開口部を覆うように配置されて前記居室空間と前記階段空間とを仕切る第2位置との間で移動可能とされているとともに、隣り合う前記長尺材の間の隙間を閉じる閉状態と、該隙間を開く開状態との間で動作可能とされた開閉手段を備えることを特徴とする建物の間仕切構造。
【請求項2】
前記格子間仕切は、横並びに設けられた複数の前記長尺材としての縦桟が連結部材を介して連結されることにより構成されており、
前記連結部材は、前記隣り合う縦桟同士の間隔を可変とすべく、それら縦桟同士を相対変位可能に連結するものであり、
前記開閉手段は、前記隣り合う各縦桟であり、それら各縦桟が互いに当接されることにより前記閉状態とされ、互いに離間されることにより前記開状態とされることを特徴とする請求項1に記載の建物の間仕切構造。
【請求項3】
前記隣り合う各縦桟はそれら両者を連結する前記連結部材に対して移動可能に設けられており、それら各縦桟の移動によって隣り合う縦桟同士の間隔が調整可能とされており、
さらに前記連結部材は伸縮可能に構成されており、その伸縮によっても前記隣り合う縦桟同士の間隔が調整可能となっていることを特徴とする請求項2に記載の建物の間仕切構造。
【請求項4】
前記格子間仕切は、前記長尺材としての縦桟が横並びに複数設けられることにより構成される複数の間仕切パネルを備え、
それら各間仕切パネルは、少なくとも一部が重ね合わせられた状態で横幅方向へのスライド移動が可能に設けられており、そのスライド移動によって互いの重ね代が調整可能とされており、
前記開閉手段は、前記各間仕切パネルのうち一方の間仕切パネルであり、
前記一方の間仕切パネルは、
前記閉状態では、自らの縦桟が他方の間仕切パネルの縦桟と互い違いとなる位置に配置されることで、他方の間仕切パネルにおいて前記隣り合う縦桟同士の間に形成された各隙間をすべて閉鎖し、
前記開状態では、自らの縦桟が他方の間仕切パネルの縦桟と前記格子間仕切の厚み方向に対向配置されることで、前記他方の間仕切パネルの前記隙間を開放することを特徴とする請求項1に記載の建物の間仕切構造。
【請求項5】
前記格子間仕切の移動を案内する案内レールを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の建物の間仕切構造。
【請求項6】
前記格子間仕切の移動を阻止する阻止手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の建物の間仕切構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14896(P2013−14896A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147136(P2011−147136)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】