説明

建物内装仕上げ材及びその施工方法

【課題】 安全で快適且衛生的で、而も自然感に溢れる建物空間を創出できる内装用仕上げ材及びその施工方法の提供。
【解決手段】 その最大粒径が2mm以下で且最密充填密度に形成される粒度分布を以って粉砕されてなるアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が90乃至95重量%に、水溶性ビヒクルが3.5乃至5.5重量%及び水溶性増粘材が2.0乃至4.5重量%割合で配合されてなる内装用仕上げ材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物内装用仕上げ材及びその施工方法に係るもので、更に詳しくは建物空間内を安全で快適且衛生的に、而も自然感の溢れる美装が可能な建物内装用仕上げ材及びその施工方法に関するものである。
【従来技術】
【0002】
近年における建物施設は、一方において建築技術や建築資材の開発進展と且他方においては都市化に伴う土地の有効利用の側面とにより鉄骨鉄筋コンクリート構造による高層集合ビルや高層住宅が積極的に建設され利用されている。加えて都市近郊における戸建住宅においても、耐火耐震性や防犯性と且多様なデザイン並びに短期の建設期間や価格的安価さ等により、プレハブ住宅やプレカット工法による住宅が主流を占めるに至っていることから、これら高層ビルや集合住宅或いは戸建住宅ではその建物空間の密閉性が著しく高まっている状況にある。
【0003】
反面これら高層集合ビルや高層住宅若しくは戸建住宅においては、その利用目的に合せて多種多様な内装材による美装が施されるもので、天井材や壁材には石膏ボードや合板材、化粧板、壁紙或いは塗料等が、更に床材にはタイル、ルーフイング材、カーペット若しくは合板等が用いられるものの、これら内装材は素材自体はもとより成形時の助剤や接着剤としても合成樹脂素材や化学素材或いは有機溶剤が多用され、且表面印刷に際しても合成樹脂素材や有機溶剤が主として用いられている。
【0004】
これがため密閉性の高い建物空間内には、かかる内装材から揮散し若しくは溶出する有害ガスや有害物質並びにその臭気が滞留充満して、極めて危険な建物空間と化すばかりか、居住を目的とする場合には居住者からの発散される体臭や汗、体液或いは剥落皮膚片等による臭気発生或いは食品残滓やペット等による臭気も加重される。
更に密閉性の高い建物空間に使用される内装材は吸湿性や放湿性を殆んど保持せぬため、高温多湿期においては多量の湿気が建物空間内に寵り著しく不快な建物空間環境におかれ、且冬期における暖房機器の使用とともに内装材表面やその裏面には多量の結露が発生し、これにより細菌や黴が積極的に繁殖してこの繁殖に伴う繁殖臭気の発生ばかりか、その繁殖分泌物による内装材の汚損や劣化はもとより躯体への損傷や劣化も招来され、而も細菌や黴がダニやゴキブリ等の衛生害虫の恰好の餌料となって蝟集し、且これらの死骸がアレルゲンとなり小児喘息やアトピー性疾患を増長させる結果となっている等極めて非衛生的建物空間ともなる。
【0005】
加えて近年では急速に高齢化が拡大しており、一旦建物施設が火災に見舞われると、これら内装材からの猛烈な煤煙と有害ガスが発生し貴い人命が失われる事故が頻発していることから内装材の耐火不燃性が強く要請されており、而も内装材は建物空間の美装化にも重要な役割を持つものであるが、他方において情報機器や通信手段の発達した就労状況下においては、膨大な情報量を短時に処理せねばならず就労に伴う心身へのストレス付加は極限に至っており、これがため居住建物空間や店舗建物空間には自然感や安らぎ感或いは癒し感が強く求められているものの、合成樹脂素材を主体とした内装材では到底かかる問題を解決しえない。
【0006】
これがため合成樹脂素材から、耐火不燃で安全なうえ有害ガスや臭気に対する吸着性及び調湿性を保持する珪藻土を用いた内装塗材や、石炭灰より合成された人工ゼオライトによる内装塗材等も開発上市されているが、珪藻土は不純物の混入が多く品質的に不安定なばかりか、天井や壁面へ塗着形成した塗膜に亀裂や割れが発生し易く、従ってチョップドストランドの如き補強材の配合の必要により価格的にも割高となる。更に人工ゼオライトの内装塗材においては、該人工ゼオライトの色調が暗灰色であって、内装塗材の色調としてはホワイトやオフホワイト或いはクリーム等明白色がその殆んどを占めるものであることからチタンホワイトの如き白色調色剤を多量に配合する必要が生じ、折角の人工ゼオライトの保持するガスや臭気の吸着性や湿気に対する吸放湿性所謂調湿性等の性能発揮が阻害されるとともに価格的にも著しく割高となる。
【0007】
他方天然素材からなり比較的多孔質で且その色調も白色系の珊瑚を素材として使用する内装材として、群体珊瑚をスライスしてなるスライス片を、適宜の壁下地用板の表面に略平行に埋設させた壁下地用板や、風化珊瑚からなる粉体に0.5乃至10重量%のでん粉糊を配合させたコーティング材等が公知されている。
然しながら群体珊瑚は極めて脆弱なものであるから所要寸法形状にスライスする場合にも、高度の切断技術を用いぬと破損や破砕が激しく且仮令所要寸法形状にスライスされても、実用使用に際しての取扱いや輸送保管等に特段の配慮が要請され、而も素材としての群体珊瑚の採取供給にも法的制約の問題も抱えており、更に風化珊瑚を素材とする場合ではコンクリート増量材として使用される石灰石と同様造礁珊瑚の風波侵触により海砂と混合堆積されたものであるから、多孔性の喪失はもとより可溶性カルシウムイオンも溶脱されてガスや臭気の吸着消臭或いは調湿作用も発揮されず、特に内装材としての使用では結露の発生によりでん粉糊が恰好の餌料となって、細菌や黴の繁殖を著しく増長する危険も孕んでいる。
【特許文献1】 登録実用新案 第3021317号公報
【特許文献2】 特開2006−160892号公報
【0008】
かかる経緯に鑑み、発明者は珊瑚の基本性能について鋭意研究を重ねた結果、極めて長期間に亘って続成を受けたアラゴナイト系天然化石珊瑚には十分に大きな比表面積と且可溶性カルシウムイオンを保持し、而も微量のストロンチウムもカルシウムと置換混在されてなるばかりか、多様なミネラル成分の組成により光エネルギーや熱エネルギーが付加に伴いりん光発光即ちエネルギー準位の変化による、遠赤外線再放射やマイナスイオン生成作用も発揮されることを究明するに至った。
【0009】
そこで発明者は、かかる優れた素材特性を有効に発揮せしめる内装材について更なる研究開発を重ねた結果、該アラゴナイト系天然化石珊瑚をその最大粒径が2mm以下で且最密充填密度を形成しえる粒度分布を以って粉砕したアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体に、水溶性ビヒクル並びに水溶性増粘材と水とで一次分散混練を図り、而して塗着適性粘度に加水して二次分散混合したうえ、天井面や壁面に塗着層を塗着形成させることにより、安全で快適且衛生的で而も自然感に溢れる建物空間を創出しえる仕上げ材が形成しえることを確認し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、安全で快適且衛生的で、而も自然感に溢れる建物空間を創出できる内装用仕上げ材及びその施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段の特徴は、アラゴナイト系天然化石珊瑚をその最大粒径が2mm以下で且最密充填密度に形成しえる粘度分布を有するアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体を90乃至95重量%割合で用いるとともに、水溶性ビヒクルを3.5乃至5.5重量%割合及び水溶性増粘材2.0乃至4.0重量%の組成割合で配合され、且必要に応じて無機顔料が更に2.5乃至3.5重量%割合で配合された内装用仕上げ材の構成に存するものである。
【0012】
加えて本発明内装用仕上げ材による施工に際しては、該内装用仕上げ材の全体量に対して60乃至80重量%割合の加水をなして、極めて高粘度の状態で一次分散混練させ、水溶性ビヒクル並びに水溶性増粘材がアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体の微細孔隙を侵入閉塞させぬようその外表面に包被塗着させ、而して更に40乃至60重量%割合の加水により二次分散混合させ所要の塗着粘度に調整のうえ、砂骨ローラー若しくはウーローラー、刷毛若しくは鏝或いはスプレー等の塗着具により、所要の厚さに塗着形成させるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述の如き技術的手段を用いてなるものであって、仕上げ材の主要素材がアラゴナイト系天然化石珊瑚が用いられるとともに、該アラゴナイト系天然化石珊瑚を採掘後、その最大粒径が2mm以下で且細密充填密度を形成しえる粒度分布に粉砕されて使用されるから、建物の天井面や壁面に塗着された場合にもこのアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が高密度で積合されて塗着層が形成されるため、強靭で緻密な塗着層となり亀裂や割れ等の発生も防止される。
【0014】
加えて本発明仕上げ材は、水溶性ビヒクル並びに水溶性増粘材が、仕上げ材全体重量に対して略5乃至10重量%割合と極めて少ない割合で配合されたうえ、この全体量に対して略60乃至80重量%割合で加水のうえ高粘度の状態で一次分散混練されるため、該水溶性ビヒクルや水溶性増粘材がアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体の微細孔隙内に侵入し閉塞されることなくその外表面相互に包被塗着され、且施工に際しては更に40乃至60重量%割合の水が加水され、二次分散混合されることにより所要の塗着粘度にまで低粘度化されて使用されるため、広範囲の施工塗着手段が使用でき、而もかかる場合に低粘度の水が微細孔隙に侵入しても塗着形成に伴い侵入水が蒸散放出されたうえ乾燥固化がなされるため、微細孔隙によるガス吸着や臭気吸着性、及び吸湿放湿に伴う調湿性も十分に発揮される。
【0015】
そしてアラゴナイト系天然化石珊瑚は置換作用の大きなカルシウムイオンの溶出機能を保持することから、吸着された有害ガスや臭気が置換作用により分解、変性されて吸着飽和が著しく抑制されることから長期に亘ってガス吸着性や臭気吸着性と且調湿性が発揮されることとなる。
更にアラゴナイト系天然化石珊瑚には、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅等遷移元素酸化物が含有されてなるため外部熱エネルギーの吸収に伴う遠赤外線の再放射がなされ、更には光エネルギーや熱エネルギーによりりん光を発光することから、これらエネルギーによる励起により基底状態からエネルギー準位が上昇するとともにそのエネルギー放出作用が繰返され、これによるマイナスイオンの生成もなされ消臭や細菌並びに黴の繁殖抑制も著しく高められる。加えて塗着形成される塗着層はアラゴナイト系天然化石珊瑚特有の色感色調が看取されるため、自然感と安らぎ感の溢れる建物空間も創出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
アラゴナイト系天然化石珊瑚を、その最大粒径が2mm以下で且最密充填密度に充填しえる粒径分布を以って粉砕されたアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体90重量%に、水溶性ビヒクル並びに水溶性増粘材10重量%割合の組成割合で仕上げ材が構成され、施工に際しては且該仕上げ材に対して60乃至80重量%の加水により一旦分散混練のうえ、更に40乃至60重量%の加水して所要の塗着粘度に調整のうえ、適宜の塗着手段で所要の厚さに塗着形成させる。
【実施例1】
【0017】
以下に本発明実施例を図とともに説明すれば、図1は本発明仕上げ材1の説明図であって、アラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aは、原素材としてアラゴナイト系天然化石珊瑚が使用されるものであって、アラゴナイト系天然化石珊瑚は珊瑚本来の多孔性が保持されてなるばかりか結晶構造が斜方晶系であるから、置換作用の強いカルシウムイオンの溶出がなされ易いこと、及び酸化マンガン態や酸化鉄態或いは酸化銅態等の遷移元素酸化物を含有するため遠赤外線放射性を保持し、而も多種に亘る微量元素と且カルシウムイオンの一部が微量ストロンチウムで置換されていること等により、光エネルギーや温度エネルギーの付加に伴いりん光発光現象即ち励起作用によりエネルギー準位の上昇と且基底状態への復帰に伴うマイナスイオンの発生作用を発揮すること、及び内装材として求められるホワイト若しくはオフホワイトで且自然的色感も保持することによる。
【0018】
加えて該アラゴナイト系天然化石珊瑚は、そのモース硬度が略3.5乃至4程度で比較的軟質であるため、所望の粒度に容易に粉砕がなしえる。そして風化珊瑚の如く有孔虫の堆積物が風化し且挟雑物の混入されたものでは、その比表面積もせいぜい略0.1乃至0.2m/g以下であり、アラゴナイト系天然化石珊瑚ではサンゴ虫による造礁と且長期の続成作用とからなり、その比表面積が少なくとも0.35m/g以上のものが選択使用される。
【0019】
かくして選択されたアラゴナイト系天然化石珊瑚は、仕上げ材1として建物空間の天井面や壁面に塗着させた場合に、強靭で平滑な塗着層2を形成させるうえから、その最大粒径が2mmで且最密充填密度を形成しえる粒度分布に粉砕して、アラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aとなす。かかる場合において最密充填密度をとる粒度分布については、ある粒子径X以下の含有量をP%として、存在する系内の最大粒子径をDとすると、P=(X/D)の式で示されることから、最大粒径が2mmの場合には、この1/10乃至1/15の粒径以下のものが賂30乃至50%割合で混合されれば良い。従ってアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aの粒径分布としては、その最大粒径が2mmの場合には最小粒径として0.14乃至0.2mm以下のものが略30乃至50%割合で混合されることが好適となる。かかる場合の粉砕手段はモース硬度も略3.5乃至4程度であるから特段の制約は無い。
【0020】
そして仕上げ材1にはかかるアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aと、塗着機能を付与させるための水溶性ビヒクル1B並びに水溶性増粘材1Cが配合されている。
この水溶性ビヒクル1Bは塗着形成された塗着層2より有機溶剤の揮散や化学物質の溶出等の危険の無い塗着成分が要請されることから、水溶性ビヒクル1B成分が選択されるもので、具体的には水溶性アクリル樹脂やメチルセルロース或いはカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。そして該水溶性ビヒクル1Bの選択にあたっては、塗着形成される塗着層2を強靭且強固に塗着形成させる場合には水溶性アクリル樹脂が好適であるが、塗着層2に通気性や吸放湿性を十分に保持せしめるうえからは、メチルセルロースやカルボキシメチルセルロース等が望ましい。
【0021】
この水溶性ビヒクル1Bは、塗着形成される塗着層2を強靭且強固に塗着形成させるものであるが、反面塗着施工に際しては適性粘度にまで希釈させるために加水される水1Dにより十分に溶解し低粘度化し、多量の配合割合で使用すると加水された水1Dとともにアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aが保持する多数の微細孔隙10A内に侵入して該微細孔隙10Aが閉塞され、ガス吸着性や臭気吸着性はもとより湿気の吸放湿に伴う調湿化等も阻害滅失されるため、かかる点を考慮すると少なくとも仕上げ材1の全体量に対して3.5重量%から最大でも5.5重量%割合で使用される。
【0022】
そして留意すべきは、水溶性ビヒクル1Bとしては前記以外にもでん粉や膠等も提案されるが、本発明が使用される建物空間の天井面特には壁面は建物構造のうえから結露発生が激しく、平時においても細菌や黴の発生が多く、従って該でん粉や膠が使用された場合には結露水分吸収により細菌や黴の恰好の餌料となり、細菌や黴の繁殖が増長されて短期に塗着形成された塗着層2の剥離や変色汚損が発生し、或いは下地材や躯体表面の損傷や劣化まで拡大する危険があることである。
【0023】
加えて本発明では仕上げ材1の全体量に対して僅かな配合割合で配合される水溶性ビヒクル1Bの塗着力を補強させること、及び加水される水1Dの加水により溶解され低粘度化した水溶性ビヒクル1Bを増粘化させてアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aの外表面に包被塗着10Bさせるとともに、水溶性ビヒクル1Bの微細孔隙10A内への侵入阻止を図る技術が採用されている。
【0024】
即ち図2は水溶性ビヒクル及び増粘材の包被塗着状態の説明図であって、この水溶性増粘材1Cの具体的なものとしては、多糖類(大日本製薬製製品モナートガム)や水溶性セルロース粉体或いはポリビニルアルコール粉体等が挙げられるもので、該水溶性増粘材1Cは塗着力の補強と且水溶性ビヒクル1Bの微細孔隙10A内への侵入阻止をなしえる粘度に増粘させるためのものであるから、その配合割合としては全体配合量に対しては少なくとも2.0重量%から最大でも4.5重量%に留めることが望まれる。
【0025】
かかる場合において水溶性ビヒクル1B並びに水溶性増粘材1Cの配合割合量は、塗着施工に際して仕上げ材1の配合成分相互を一次分散混練させる場合に加水される水1Dの配合割合によっても変動するものであるが、本発明における一次分散混練において加水される水1Dの配合割合は仕上げ材1の全体配合量に対して60乃至80重量%割合であるから、水溶性ビヒクル1B及び水溶性増粘材1Cが適度の適度の粘度に増粘されて、アラゴナイト系天然化石珊瑚粉体1Aの外表面に良好に包被塗着10Bされることから導き出されたものである。
当然に本発明は建物空間内の天井面や壁面を主な対象として塗着施工がなされるものであって、建物空間にはその使用目的によっては多彩な色調が要請されるものであるから、かかる場合においては仕上げ材1の全体配合量に対して更に無機顔料を略0.5乃至2.0重量%割合で配合させることも考慮される。
【0026】
図3は塗着施工により塗着形成された塗着層2の拡大断面説明図であって、かかる塗着層2の塗着施工に際しては具体的な塗着手段によって、その適正粘度に調整するための二次分散混合のための加水がなされる。
即ち本発明による塗着層2の形成のための塗着手段としては、砂骨ローラーやウーローラー若しくは刷毛を用いて塗着厚を略1乃至2mm程度に形成する場合や、鏝を用いて塗着厚さを略2mm以上の厚い塗着層2を形成する場合、或いはスプレーガンを用いて略1mm以下の薄い塗着層2を形成する場合等により、二次分散混合のために加水される水1Dの総加水量も異なるもので、砂骨ローラーやウーローラー若しくは刷毛による塗着手段では仕上げ材1の全体重量に対して加水される水1Dの全体量は略95乃至110重量%割合が好適であり、且鏝手段により比較的厚い塗着層2の塗着形成の場合には粘度をやや高めることが望まれるため、仕上げ材1の全体重量に対して加水される水1Dの総加水量は略80乃至95重量%割合が望ましく、更にスプレーガンによる手段では低粘度のものが望まれるため、仕上げ材1の全体量に対して加水される水1Dの総加水量としては略120乃至140重量%が好適である。
当然のことながら、本発明による塗着層2の塗着施工は下地材や躯体表面2Aに直接塗着させても、或いは必要に応じてプライマー処理を施したうえから塗着形成させても良い。
【産業上の利用可能性】
【0027】
塗着手段に合せた粘度に調整することにより、建物空間の天井面や壁面の素材にかかわりなく適宜厚さの塗着層が塗着形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 仕上げ材の説明図である。
【図2】 水溶性ビヒクル及び水溶性増粘材による包被塗着状態の拡大説明図である。
【図3】 塗着層の拡大断面説明図である。
【符号の説明】
【0028】
1 仕上げ材
1A アラゴナイト系天然化石珊瑚粉体
1B 水溶性ビヒクル
1C 水溶性増粘材
1D 水
10A 微細孔隙
10B 包被塗着
2 塗着層
2A 下地材若しくは躯体表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その粒径が2mm以下で且最密充填密度を形成しえる粒度分布に粉砕されてなるアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が90乃至95重量%に、水溶性ビヒクルが3.5乃至5.5重量%及び水溶性増粘材が2.0乃至4.5重量%割合で配合されてなることを特徴とする内装用仕上げ材。
【請求項2】
水溶性ビヒクルが水溶性アクリル樹脂、メチルセルロース若しくはカルボキシメチルセルロースからなる、請求項1記載の内装用仕上げ材。
【請求項3】
水溶性増粘材が、多糖類増粘材、水溶性セルロース若しくはポリビニルアルコールからなる、請求項1記載の内装用仕上げ材。
【請求項4】
仕上げ材の全体重量に対して60乃至80重量%割合で加水し一次分散混練のうえ、仕上げ材の全体重量に対して更に100乃至140重量%割合にまで加水して二次分散混合させたうえ、適宜の塗着手段を以って建物空間の天井面若しくは壁面に、所要の厚さを以って塗着層を塗着形成させることを特徴とする、内装用仕上げ材の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−19406(P2008−19406A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218951(P2006−218951)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(506273995)諸戸の家株式会社 (2)
【Fターム(参考)】