説明

建物外壁の洗浄方法、及び、外壁洗浄システム

【課題】外壁を洗浄するための洗浄剤を洗い流す工程に関連し、環境汚染を防ぐための新規な技術を提案する。
【解決手段】酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する第3工程S3と、アルカリ性洗浄水により酸性洗浄剤を洗い流す第4工程S4を有する。酸性洗浄剤を含む排水を中性に近づけることができ、そのまま下水に排水してしまう場合と比較して、環境負荷を低減することができ、環境汚染を防ぐことが可能となる。また、アルカリ性洗浄水による中和の作用によって、残留してしまった酸性洗浄剤のpHを高めて中性に近づけることができるため、仮に、酸性洗浄剤が完全に洗い流されない場合であっても、酸性洗浄剤を中性に近づけることによって、外壁10の変色や劣化を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、マンション、ビル、などの各種の建物の外壁を洗浄するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅、マンション、ビル、などの各種の建物の外壁を洗浄することは行われており、洗浄方法について開示する文献も存在する(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
特許文献1に開示される技術は、透明なゲル状洗浄材料を建物の外壁表面の汚れ部分に直接塗布する工程と、汚れ部分を水洗することによりゲル状洗浄材料を取り除く工程とを有する洗浄方法である。
【0004】
この洗浄方法では、透明なゲル状洗浄材料を建物外壁の汚れ部分に直接塗布するようにしたことで、洗浄の進捗状況を直接目視で確認することができるため、作業性を向上させることができることとしている。
【0005】
そして、透明なゲル状洗浄材料は、洗浄剤と水を混合して液状の洗浄剤を作成し、この液状の洗浄剤に増粘剤を添加し、混合攪拌することにより液状の洗浄剤をゲル化させることで作成される。洗浄剤は、酸性洗浄剤やアルカリ性洗浄剤など、外壁の材質や汚れの種類に応じて適宜選択される。
【0006】
特許文献2に開示される技術は、建物の外壁等を構成している木板に高圧温水を噴射することにより木板表面に付着している汚染物質を洗浄除去する洗浄方法である。
【0007】
この洗浄方法では、高温度に加熱された高圧温水の吹き付け噴射により木板の表面に付着している汚染物質は洗浄除去され、木板の表面に美しい木肌が露出する程度に洗浄することができることとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−2564342号公報
【特許文献2】特開2005−161252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
外壁を洗浄する際には、特許文献1に開示されるように、洗浄効果を高めるための洗浄剤が用いられることが一般的であり、特許文献2に記載される方法では、木材以外のコンクリートなどの洗浄対象によっては十分な洗浄効果が得られないことも懸念される。
【0010】
ところが、特許文献1のように洗浄剤(を含むゲル状洗浄材料)を用いる場合には、洗浄剤を流水で洗い流す工程が必要になり、この流水とともに洗浄剤が排水として流されることになり、この排水の処理が問題となる。具体的には、酸性洗浄剤が用いられる場合には、高い酸性を呈する排水が流されてしまうことになり、そのまま下水に排水してしまうと環境負荷が高まり、環境汚染に繋がることが懸念される。
【0011】
加えて、特許文献1に開示されるようにゲル状の酸性洗浄剤(薬液)を用いる場合には、ゲル状のものは液体とは違い乾かないため、洗浄物(外壁)に酸性洗浄剤が漬いたままだと石材(タイル)を侵してしまうリスクが高い。また、洗い流す際もゲル状が強いとなかなか液体にはならずに、残留してしまうなど、二次的な不具合を起こす可能性もある。また、パットなどで磨く際にもゲルが邪魔して磨きにくくなり、仮に、磨かず漬け置きだけで汚染除去をする場合には、必然的に強い酸性の薬液を使用する必要があり、石材(タイル)を侵してしまう危険性が高まることになる。
【0012】
そこで、本発明では、外壁を洗浄する技術に関連し、環境汚染を防ぐための新規な技術を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0014】
即ち、請求項1に記載のごとく、電解水生成機にて生成したアルカリイオン電解水と、水とを混合してなるアルカリ性洗浄水を生成するとともに、前記アルカリ性洗浄水を高圧にして建物外壁に噴き付けることにより建物外壁を洗浄する建物外壁の洗浄方法とするものである。
【0015】
また、請求項2に記載のごとく、酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する工程と、アルカリ性洗浄水により酸性洗浄剤を洗い流す工程を有する建物外壁の洗浄方法とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載のごとく、酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する工程の前に、外壁の汚れ部分に散水し、壁に付着した塵やホコリなどを洗い流す工程を実施する。
【0017】
また、請求項4に記載のごとく、前記アルカリ性洗浄水により酸性洗浄剤を洗い流す工程において、アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定される。
【0018】
また、請求項5に記載のごとく、電解水生成機と、電解水生成機及び水源からそれぞれ供給される流体を貯溜する貯溜機と、貯溜機の流体を高圧放水するための高圧流体生成機と、を有する外壁洗浄システムとする。
【0019】
また、請求項6に記載のごとく、前記電解水生成機では水を電気分解することによってアルカリイオン電解水が生成され、前記貯溜機では前記アルカリイオン電解水を前記水源から供給される流体によって薄めることでアルカリ性洗浄水が生成され、アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定されることとする。
【0020】
また、請求項7に記載のごとく、前記アルカリ性洗浄水のpH測定手段と、pHの数値を確認できるpH確認手段を、さらに備えることとする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0022】
即ち、請求項1に記載の発明においては、アルカリイオン電解水を自動的、かつ、連続的に生成することができるため、アルカリ性洗浄水を作るための作業手間を削減することができる。また、連続的にアルカリ性洗浄水を生成することにより、広範囲の外壁を長時間にわたって洗浄することができ、優れた作業効率を実現することができる。アルカリ性洗浄水は、特に、排ガス、油汚れに対して高い洗浄効果が得られるため、単なる水道水を高圧にして吹き付けるよりも、より高い洗浄効果を得ることができる。また、酸性洗浄剤を使用する場合においては、酸性洗浄剤を中和することができるため、環境汚染を防ぐことが可能となる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明においては、酸性洗浄剤を含む排水を中性に近づけることができ、そのまま下水に排水してしまう場合と比較して、環境負荷を低減することができ、環境汚染を防ぐことが可能となる。また、アルカリ性洗浄水による中和の作用によって、残留してしまった酸性洗浄剤のpHを高めて中性に近づけることができるため、仮に、酸性洗浄剤が完全に洗い流されない場合であっても、酸性洗浄剤を中性に近づけることによって、外壁の変色や劣化を防止することができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明においては、酸性洗浄剤による洗浄効果を高めることができる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明においては、酸性洗浄剤を確実に中和することができ、また、アルカリ性が強くなりすぎることによって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明においては、外壁洗浄において、酸性洗浄剤を含む排水を中性に近づけることができ、そのまま下水に排水してしまう場合と比較して、環境負荷を低減することができ、環境汚染を防ぐことが可能となる。また、アルカリ性洗浄水による中和の作用によって、残留してしまった酸性洗浄剤のpHを高めて中性に近づけることができるため、仮に、酸性洗浄剤が完全に洗い流されない場合であっても、酸性洗浄剤を中性に近づけることによって、外壁の変色や劣化を防止することができる。
【0027】
また、請求項6に記載の発明においては、アルカリイオン電解水を自動的、かつ、連続的に生成することができるため、アルカリ性洗浄水を作るための作業手間を削減することができる。また、連続的にアルカリ性洗浄水を生成することにより、広範囲の外壁を長時間にわたって洗浄することができ、優れた作業効率を実現することができる。
【0028】
また、請求項7に記載の発明においては、アルカリ性洗浄水のpHが所定の範囲にあることを確認しながら作業を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】外壁洗浄システムの装置構成の概要について示す図である。
【図2】外壁洗浄システムを用いた外壁洗浄方法の手順について示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本発明の外壁洗浄システムの一実施形態について示すものであり、電解水生成機2と、電解水生成機2及び水源4からそれぞれ供給される流体を貯溜する貯溜機6と、貯溜機6の流体を高圧放水するための高圧流体生成機8と、を有して構成される。
【0031】
水道などの水源4から供給される水は、分流部5によって電解水生成機2の流入ポート21に供給され、電解水生成機2では水を電気分解することにより、アルカリイオン電解水が生成される。生成されたアルカリイオン電解水は、流出ポート22を介して貯溜機6へ供給される。なお、水源4としては、水道とするほか、井戸水や、タンク内に貯溜した水なども考えられる。
【0032】
電解水生成機2は、アルカリイオン電解水を連続的に生成する機能を有するものであり、電解層、逆浸透膜装置、ポンプなどを具備してなる周知の装置にて構成することができる。好ましい実施形態としては、例えば、水源4から供給される水道水(pH7付近のおおむね中性の水)から、約pH12.5のアルカリイオン電解水を毎分約0.25リットル、あるいは、毎分約0.5リットル、供給できる構成とすることが考えられる。
【0033】
水道などの水源4から供給される水は、分流部5によって貯溜機6へも供給される。貯溜機6は、分流部5に対しホース41を介して接続され、また、電解水生成機2に対しホース42を介して接続される混合容器61を有し、混合容器61内部において、水道水とアルカリイオン電解水が混合される。
【0034】
混合容器61内では、約pH10.6以上のアルカリ性洗浄水が連続的に生成される。混合容器61内に攪拌装置を備えることで、混合を促進させることとしてもよい。また、混合容器61内にフロート63を備えてなるフロート弁64を設け、水源4から供給される水道水を自動停止させることとしてもよい。
【0035】
混合容器61内の水のpH管理に関し、分流部5やホース41などに流量調整部を設けることなどにより、水道水の流量を調整することでpHの管理を行うこととしてもよい。さらには、混合容器61内のpHを測定して、電解水生成機2から供給されるアルカリイオン電解水の流量を調整することで、pHの管理を行うこととしてもよい。また、混合容器61内のpHを測定するpH測定手段(pH測定器)を設け、pHの測定値に応じて電解水生成機2にて生成されるアルカリイオン電解水のpH、水量、あるいは、水源から供給される水量を調製し、所定のpHの範囲(例えば、約10.6以上、約12.5以下)に制御するフィードバック制御を実施することとしてもよい。
【0036】
また、混合容器61のフロート弁64により、一定量の水道水を貯溜した後に、一定量のアルカリイオン電解水を混合させることで、所望のpHのアルカリ性洗浄水を生成するといったことも可能である。なお、混合容器61の容量としては、例えば、40L、80Lとすることが考えられる。
【0037】
高圧流体生成機8は、貯溜機6によって生成されたアルカリ性洗浄水を圧縮して、高圧のアルカリ性洗浄水を生成する機能を有するものであり、高圧ポンプなどを具備してなる周知の装置(高圧洗浄機として知られるもの)にて構成することができる。好ましい実施形態としては、約8Mpa〜約20Mpaの範囲で水圧を調整できるものが考えられ、実際に用いられる水圧としては、外壁の塗膜剥離やコンクリートの損傷などを防ぐことを考慮し、約10Mpa〜約20Mpaの間で適宜設定されることが考えられる。
【0038】
高圧流体生成機8は、貯溜機6からの水が供給される流入ポート81と、高圧のアルカリ性洗浄水を流出するための流出ポート82を有している。流出ポート82には、洗浄ホース7が接続され、洗浄ホース7の先端に取り付けられた洗浄ノズル9から高圧のアルカリ性洗浄水1が放出される。
【0039】
そして、この高圧のアルカリ性洗浄水1によって、外壁10に付着した洗浄剤や、汚れが洗い流される。外壁10としては、一般的な建物の種々の壁材、例えば、コンクリート、タイル、ガラス、土材、木材、窯業系サイディング外壁、金属サイディング外壁等が対照とされることが考えられる。
【0040】
また、洗浄剤としては、酸性洗浄剤が用いられていることが想定される。この酸性洗浄剤をアルカリ性洗浄水によって洗い流すことによって、酸性洗浄剤が中和され、排水のpHを中性に近づけることが可能となる。
【0041】
また、外壁10に形成される微細な隙間や窪み、あるいは、目地やシーリングの箇所などに酸性洗浄剤が入り込み、完全に洗い流すことができずに残留してしまうことも懸念される。この場合、高い酸性を呈することによって、外壁10が変色や劣化してしまうことが懸念される。
【0042】
この点、本実施形態によれば、アルカリ性洗浄水による中和の作用によって、残留してしまった酸性洗浄剤のpHを高めて中性に近づけることができるため、仮に、酸性洗浄剤が完全に洗い流されない場合であっても、酸性洗浄剤を中性に近づけることによって、外壁10の変色や劣化を防止することができる。
【0043】
また、電解水生成機2によってアルカリイオン電解水を自動的、かつ、連続的に生成することができるため、アルカリ性洗浄水を作るための作業手間を削減することができる。仮に、薬品(アルカリ溶液やアルカリ剤など)を用いる場合には、常に作業員を配置してアルカリ性洗浄水を作成するための混合作業やpH管理を行う必要があるため、人件費や、人員管理の負担が発生しまうことになる。
【0044】
さらに、酸性洗浄剤が洗浄作業などをする作業員の目に入ってしまった場合には、直ちに酸性洗浄剤を洗い流すことが必要になるが、この場合、洗浄ノズル9から放出されるアルカリ性洗浄水を使用して目を洗うということも考えられる。仮に、薬品(アルカリ溶液やアルカリ剤など)を用いる場合には、その薬品の種別によって目を洗うことが危険、あるいは、判断できないと言う状況となるが、本実施例においては、水道水を原料とするアルカリイオン電解水を用いたアルカリ性洗浄水であるため、危険性の低い状況で、目を洗うことが可能となる。この観点から、洗浄ノズル9を備える洗浄用ガン90には、手元のハンドル操作などによってアルカリ性洗浄水の放出圧力を調整できる構成であることが好ましい。
【0045】
また、中和作用を確保するため、アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定することが好ましく、貯溜機6、高圧流体生成機8、あるいは、洗浄用ガン90、などのpH測定手段(pH測定器)と、pHの測定値や、所定のpHの数値を超えた際にアラームなどを発するpH確認手段とを設けることが好ましい。これによれば、アルカリ性洗浄水のpHが所定の範囲にあることを確認しながら作業を行うことが可能となる。
【0046】
次に、洗浄方法の一実施形態について、図2に示されるフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、第1工程S1において、外壁の材質や汚れの種類に応じた酸性洗浄剤を選択し、必要に応じて水で薄めるなどして調製を行う。
【0048】
次に、第2工程S2において、外壁の汚れ部分に散水し、壁に付着した塵やホコリなどを洗い流しておく。この際、単に水道水を散水することとするほか、ホース41を高圧流体生成機8の流入ポート81に接続することによって、水源4からの水を高圧流体生成機8に直接供給し、洗浄ノズル9から高圧の水道水を散水することとしてもよい。
【0049】
次に、第3の工程S3において、ブラシ等の塗布手段を用いて、調製した酸性洗浄剤を外壁の汚れ部分に直接塗布し、所定時間経過させる。
【0050】
次に、第4の工程S4において、高圧のアルカリ性洗浄水によって、酸性洗浄剤を洗い流す。この際、酸性洗浄剤はアルカリ性洗浄水によって中和されるため、排水を中性に近づけることができ、そのまま下水に排水してしまう場合と比較して、環境負荷を低減することができ、環境汚染を防ぐことが可能となる。
【0051】
以上のように、本実施の形態である建物外壁の洗浄方法は、酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する第3工程S3と、アルカリ性洗浄水により酸性洗浄剤を洗い流す第4工程S4を有するものである。これによれば、酸性洗浄剤を含む排水を中性に近づけることができ、そのまま下水に排水してしまう場合と比較して、環境負荷を低減することができ、環境汚染を防ぐことが可能となる。また、アルカリ性洗浄水による中和の作用によって、残留してしまった酸性洗浄剤のpHを高めて中性に近づけることができるため、仮に、酸性洗浄剤が完全に洗い流されない場合であっても、酸性洗浄剤を中性に近づけることによって、外壁10の変色や劣化を防止することができる。
【0052】
また、好ましくは、アルカリ性洗浄水は、電解水生成機2によって生成されるアルカリイオン電解水と、水を混合することによって作成されることとする。これによれば、アルカリイオン電解水を自動的、かつ、連続的に生成することができるため、アルカリ性洗浄水を作るための作業手間を削減することができる。また、連続的にアルカリ性洗浄水を生成することにより、広範囲の外壁を長時間にわたって洗浄することができ、優れた作業効率を実現することができる。
【0053】
また、好ましくは、酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する第3工程S3の前に、外壁の汚れ部分に散水し、壁に付着した塵やホコリなどを洗い流す第2工程S2を実施することとする。これによれば、酸性洗浄剤による洗浄効果を高めることができる。
【0054】
さらに、好ましくは、アルカリ性洗浄水により酸性洗浄剤を洗い流す第4工程S4において、アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定することが好ましい。これによれば、酸性洗浄剤を確実に中和することができ、また、アルカリ性が強くなりすぎることによって予期せぬ不具合が生じることを防ぐことができる。
【0055】
また、例えば、アルカリイオン電解水を0.25L/分、水道水(高圧水)を16L/分とする流量で40L(フロート弁64で水道水が止まる量)で使用)の貯溜機6で混合してアルカリ性洗浄水を生成し、生成するpHを約10.6以上に管理する実施形態が考えられる。なお、pHを約10.6よりも低く安定的に管理することは難しく、中性に近づいてしまうため、アルカリ性洗浄水のpHを約10.6以上に管理する実施形態が好ましい。
【0056】
また、pHを約12.5以上については、電解水生成機2を用いた実施形態では連続的、かつ、安定的に生成、管理することが懇談となる。食えあえて、pHを約12.5以上とすると、高圧流体生成機8の内部の真鍮部材やポンプヘッドのゴムシール等が腐食を起こす可能性がある。
【0057】
また、以上の実施形態では、酸性洗浄剤を用いた場合の外壁の洗浄について説明したが、この実施例に限られるものではない。例えば、マンションの大規模修繕工事などに於いて、排ガス、油汚れ等軽度の汚染を洗浄する場合には、酸性洗浄剤による洗浄を行うことなく、アルカリ性洗浄水を用いた高圧洗浄を行うことも考えられる。この場合、酸性洗浄剤を使用することがないため、居住者、近隣にも安心してもらうことができる。また、高圧洗浄の手間だけなので工期を短縮することができる。また、アルカリ性洗浄水は、特に、排ガス、油汚れに対して高い洗浄効果が得られるため、単なる水道水を高圧にして吹き付けるよりも、より高い洗浄効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、アルカリ性洗浄水を用いた外壁洗浄、あるいは、酸性洗浄剤を用いて外壁の洗浄を行う際における酸性洗浄剤を洗い流す手段として幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
2 電解水生成機
4 水源
5 分流部
6 貯溜機
7 洗浄ホース
8 高圧流体生成機
9 洗浄ノズル
10 外壁
21 流入ポート
22 流出ポート
41 ホース
42 ホース
61 混合容器
63 フロート
64 フロート弁
81 流入ポート
82 流出ポート



【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解水生成機にて生成したアルカリイオン電解水と、水とを混合してなるアルカリ性洗浄水を生成するとともに、前記アルカリ性洗浄水を高圧にして建物外壁に噴き付けることにより建物外壁を洗浄する建物外壁の洗浄方法。
【請求項2】
酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する工程と、アルカリ性洗浄水により前記酸性洗浄剤を洗い流す工程を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の建物外壁の洗浄方法。
【請求項3】
前記酸性洗浄剤を建物外壁の汚れ部分に直接塗布する工程の前に、前記外壁の汚れ部分に散水し、壁に付着した塵やホコリなどを洗い流す工程を実施する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建物外壁の洗浄方法。
【請求項4】
前記アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の建物外壁の洗浄方法。
【請求項5】
電解水生成機と、電解水生成機及び水源からそれぞれ供給される流体を貯溜する貯溜機と、貯溜機の流体を高圧放水するための高圧流体生成機と、を有する外壁洗浄システム。
【請求項6】
前記電解水生成機では水を電気分解することによってアルカリイオン電解水が生成され、前記貯溜機では前記アルカリイオン電解水を前記水源から供給される流体によって薄めることでアルカリ性洗浄水が生成され、アルカリ性洗浄水のpHは約10.6以上、約12.5以下に設定される、
ことを特徴とする請求項5に記載の外壁洗浄システム。
【請求項7】
前記アルカリ性洗浄水のpH測定手段と、pHの数値を確認できるpH確認手段を、さらに備える、
ことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の外壁洗浄システム。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−86033(P2013−86033A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229317(P2011−229317)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り ▲1▼掲載アドレス http://www.kb−effect.co.jp/ http://www.kb−effect.co.jp/img/top_pdf_01.pdf ▲2▼掲載年月日 平成23年4月21日
【出願人】(511252800)有限会社ケイビー (1)
【Fターム(参考)】