説明

建物環境支援システム、方法及びプログラム

【課題】建物の小区画単位での環境パフォーマンスデータを把握し、把握したデータと、実際的に適切な使用基準または排出基準と照らし合わせ、エネルギ消費量及び廃棄物排出量の管理を行う建物環境支援システムを提供する。
【解決手段】本発明の建物環境支援システムは、建造物の小区画毎に各々設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び環境を測定する複数種類のセンサを含むセンサ群と、各センサの出力をタイムスタンプ付して記憶するデータベースと、小区画単位に、エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である線形回帰モデルを抽出し、説明変数としてセンサ群の各センサの測定データを入力し、線形回帰モデルにより制御対象のエネルギ媒体使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する分析部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気、ガス、油などのエネルギー使用量及び廃棄物発生量などを把握し、省エネルギー化及び廃棄物の排出低下を促進するための建物環境支援システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、環境意識の高まり、環境法規制の強化の動き等から、建物単位での環境パフォーマンスデータ(エネルギ使用量,CO2排出量,廃棄物発生量等)の把握を行うシステムが用いられるようになってきている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−170310号公報
【非特許文献1】http://www.higu.net/se.html(平成16年9月21日確認)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来例に示すエネルギ管理システムにあっては、上記環境パフォーマンスデータ(たとえば、ISO14001の管理項目など)の建物単位での把握が実現されているが、建物の各フロア単位や、入居しているテナント等の小区画単位での把握が行われないため、きめの細かい省エネルギ及び排出物低下の目標が建てづらいという問題がある。
【0004】
さらに、上述した従来例に示すエネルギ管理システムにあっては、省エネルギを促進する活動や、環境負荷低減には取り組んでいるが、現在のエネルギ使用量及び廃棄物排出量を、過去の実績に照らし合わせる程度のことしか行わず、本来、外気温度や在室人数等の要因によって変わる小区画毎の環境パフォーマンスデータが判らないため、実際的にどの程度が適切な使用基準または排出基準なのか根拠のある目標が明確となっていない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、建物の小区画単位での環境パフォーマンスデータを把握することにより、この把握したデータと、実際的に適切な使用基準または排出基準と照らし合わせて、エネルギ消費量及び廃棄物排出量の管理を行うことが可能な建物環境支援システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建物環境支援システムは、建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群と、前記各センサの出力をタイムスタンプに対応させて記憶するデータベースと、前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析部(例えば、実施形態における消費電力分析部11,水使用量分析部13,ガス使用量分析部14)とを有する。
【0007】
本発明の建物環境支援システムは、前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析部(例えば、実施形態におけるCO2濃度分析部12)を有する。
【0008】
本発明の建物環境支援システムは、所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値,推測値及び節減目標を算出し、所定のフォーマットにて報告書を生成する報告書作成部(例えば、実施形態における報告書作成部18)を有する。
【0009】
本発明の建物環境支援システムは、所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値から所定期間における使用量を算出し、この使用量から使用料金を算出し、所定のフォーマットにて請求書を生成する請求書作成部(例えば、実施形態における請求書作成部15)を有する。
【0010】
本発明の建物環境支援システムは、建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量及び小区画の環境を複数種類のセンサにより測定し、前記センサにより測定した測定データを、タイムスタンプを付加してデータベースに記憶させ、前記データベースから前記小区画単位に前記測定データを読み出し、該測定データを説明変数として、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を第1の節減目標として算出し、前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を第2の節減目標として算出し、報告書の生成において、所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値,推測値及び第1及び第2の節減目標を算出して、所定のフォーマットにて報告書を生成し、建物の所有者または小区画の所有者に対し、前記報告書を情報通信網にて閲覧可能とし、所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値から所定期間における使用量を算出し、この使用量から使用料金を算出し、所定のフォーマットにて請求書を生成する。
【0011】
本発明の建物環境支援方法は、建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群の各センサの出力をタイムスタンプに対応させて、データベースに記憶する記憶過程と、前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析過程とを有する。
【0012】
本発明の建物環境支援方法は、前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析過程を有する。
【0013】
本発明のプラグラムは、建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群の各センサの出力をタイムスタンプに対応させて、データベースに記憶する処理と、前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析処理とを有する建物環境支援の処理をコンピュータに実行させる。
【0014】
本発明のプラグラムは、前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析処理を有する建物環境支援の処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、建造物の小区画毎に、電気,ガス及び水等のエネルギ媒体の使用量を、最適値である目標変数とし、この目標変数に対応する説明変数により線形回帰モデルを生成し、この線形回帰モデルに制御時の説明変数を入力することにより、目標変数として推測値を算出させるため、常にその制御時の最適値(目標変数)を求められ、各実測値と比較することにより、実測値と推測値との差分として出力できるので、リアルタイムにエネルギ媒体の削減可能な使用量を正確に把握することができる。
【0016】
また、本発明によれば、各実測値と比較することにより、実測値と推測値との差分として、エネルギ媒体の削減可能な使用量を正確に把握することが可能なため、環境報告書作成,企業における省エネルギ及び環境負荷低減活動の際に必要となる小区画毎(建物のテナント入居単位など)の環境パフォーマンスデータ(電気使用量,ガス使用量及び水使用量等のエネルギ媒体の削減可能な量)を正確に把握することができる。
さらに、本発明によれば、上述したように、省エネルギ及び環境負荷低減活動に対して、削減可能な所領量の把握により、具体的かつ合理的な目標の設定と、この設定に対する取り組みの成果がリアルタイムに把握でき、立ち後れているオフィスなどの業務部門でのCO2削減を推進することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態による建物環境支援システムを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の制御対象の建物における小区画を示す概念図である。図2は一実施形態による建物環境支援システムの構成例を示すブロック図である。
この図1において、小区画には、制御対象である空調機101,照明102,水道103,ガス104,電子機器105等が設置されている。
また、各小区画毎には、制御対象の制御に用いるデータを取得するセンサ群が設けられている。
【0018】
このセンサ群は、在室人数係数センサ201,温度センサ202,湿度センサ203,照度センサ204,CO2センサ205,ガスメータ206,水道メータ207,廃棄物量検出センサ208等であり、測定データを自身の識別情報とともに管理センタへ送信する。
ここで、在室人数係数センサ201,温度センサ202,湿度センサ203,照度センサ204,CO2センサ205とは、小区画の環境を測定するセンサである。
この他に、照明,OA機器及び空調各々の電気使用量をそれぞれ測定する電気メータ及び照明,OA機器及び空調の全体の電気使用量を測定する電気メータが設けられている。
また、電気,ガス及び水等のエネルギ媒体の使用量(電気使用量,ガス使用量,水使用量)は、電気メータ,ガスメータ206及び水道メータ207それぞれにより測定される。
【0019】
在室人数計数センサ201は小区画に存在する人間の数を検出して出力し、温度センサ202及び湿度センサ203は小区画の複数箇所の所定の位置に設けられている。
また、CO2センサ205は小区画の複数箇所の所定の位置に設けられ、各々の箇所のCO2濃度が検出される。
最終的なCO2の排出量は、上記CO2センサ205によるCO2濃度から求めた数値以外に、エネルギ転換時の排出があるため、電力使用量及びガス使用量からCO2排出量に換算されたものも含むことになる。
廃棄物量センサ208は、例えば、重量計となっており、燃えるゴミ及び燃えないゴミ各々の重量を測定して、廃棄物量としている。
【0020】
上述の在室計数センサ201は、例えば、非接触型IC(集積回路)カードによる入退室管理で在室人数(男女別の情報を含む)を計数したり、天井等の部屋全体を撮影できる箇所にカメラを取り付けて、カメラの撮像を輪郭抽出等の画像解析を行い、人物を抽出して在室人数を計数する。このとき、人数全体における男女各々の割合を検出するようにしてもよい。
ここで、在室計数センサ201は、在室する人数の変更があった場合の在室している人数を管理センタCへ送信する。また、在室計数センサ201を、一定時間毎に在室していた平均人数を在室人数として、管理センタCに送信するようにしてもよい。
【0021】
上記センサ群の各センサは、専用通信網,公衆通信網及びインターネットなどの情報通信網I(さらに各小区画に配設された端末)を介して管理センタCに測定した測定データを送信する。
管理センタCには、図2に示すように、上記センサ群からの測定データに基づいて建物環境支援のための分析処理を行う処理サーバ1と、この分析処理に必要なデータが格納されているデータベース2が設けられている。
また、処理サーバ1は情報通信網Iを介して、外部システムから天候(晴れ,曇り,雨または雪等のいずれか),外気温度,外気湿度等を含む気象データを、上記分析処理の補足データとして取得する。
【0022】
この処理サーバ1は、図3に示すように、DB書込部10,消費電力分析部11,CO2濃度分析部12,水使用量分析部13,ガス使用量分析部14,請求書作成部15,廃棄物分析部16,配信部17及び報告書作成部18を有している。
消費電力分析部11は、小区画(部屋及びフロア等)の熱効率(他の空間との遮断率)と、小区画に存在する人数である在室人数と、設定温度と、外部温度と、測定温度と、設定湿度と、外部湿度と、測定湿度と、小区画に存在する人の使用感(数値データ化されている)データとを説明変量、そして空調使用量(空調器電力使用量)を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、空調機101における上記説明変量及び目的変量の実測値から最適空調の基準値、すなわち回帰式の偏回帰係数を算出して線形重回帰モデル(線形回帰モデル)を求める。
【0023】
このとき、図11に示すように、測定温度と使用感データとの交差する点における電力使用量を、空調使用量の最適値として定義し、空調機101における最適空調の基準値(すなわち最適値)とする。
また、消費電力分析部11は、上記線形重回帰モデル(空調機101用)と、各センサの測定値とから、最適空調の予測値を求め、すなわち、各センサの測定値から線形重回帰モデルにより求められる空調使用量を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在の空調使用量と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0024】
また、消費電力分析部11は、照明102の照度と、在室人数と、小区画に存在する人の使用感(数値データ化されている)データとを説明変量、そして照明負荷(照明電力使用量)を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、照明102における上記説明変量及び目的変量の実測値から最適照明の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
【0025】
このとき、空調使用量と同様に、照度と使用感データとの交差する点における電力使用量を、照明負荷の最適値として定義し、照明102における最適照明の基準値とする。
また、消費電力分析部11は、上記線形重回帰モデル(照明102用)と、各センサの測定値とから、最適照明の予測値を求め、すなわち、各センサの測定データ(測定値)から線形重回帰モデルにより求められる照明負荷を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在の照明負荷と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0026】
さらに、省電力分析部11は、各小区画における在室人数と、小区画に存在する人の使用感(数値データ化されている)データとを説明変量とし、そしてOA機器(パーソナルコンピュータ及びプリンタなど)負荷を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、電子機器105における上記説明変量及び目的変量の実測値から最適なOA機器使用量の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
【0027】
このとき、省電力分析部11は、OA機器負荷と使用感データとの交差する点における電力使用量を、OA機器負荷の最適値として定義し、電子機器105(各小区画に複数存在)における最適なOA機器使用量の基準値とする。
また、消費電力分析部11は、上記線形重回帰モデル(電子機器105用)と、各センサの測定値とから、最適なOA機器使用量の予測値を求め、すなわち、各センサの測定値から線形重回帰モデルにより求められるOA機器負荷を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在のOA機器負荷と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0028】
また、消費電力分析部11は、得られた照明負荷,OA機器負荷及び空調使用量と、これらの算出における在室人数と、建物情報(小区画の体積、小区画の窓率による熱効率,小区画の床,天井及び壁の材質による熱効率)と、この在室人数が小区画を利用した時間を示す稼動時間とを説明変量として、小区画における電気使用量を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、各小区画における上記説明変量及び目的変量の実測値から最適な電気使用量の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
【0029】
また、消費電力分析部11は、上記線形重回帰モデル(小区画単位)と、各センサの測定値(在室人数検出センサ201)と、在室人数に対応する各説明変量(照明負荷,OA機器負荷,空調使用量)から、最適なOA機器使用量の予測値を求め、すなわち、線形重回帰モデルにより求められる電気使用量を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在の電気使用量と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0030】
ガス使用量分析部14は、小区画に存在する人数である在室人数と、この在室人数が小区画を利用した時間を示す稼動時間と、給湯エネルギ(例えば、給湯消費量)とを説明変量、そしてガス使用量を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、ガス104における上記説明変量及び目的変量の実測値(ガスメータ207の検出するガス使用量)から最適なガス使用量の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
【0031】
このとき、ガス使用量分析部14は、例えば、ガスメータ207から入力される(在室人数が同一の場合で測定される)所定期間(1ヶ月毎)におけるデータの平均値を、ガス使用量の最適値として定義し、ガス104(各小区画に一つまたは複数存在)における最適なガス使用量の基準値とする。
また、ガス使用量分析部14は、上記線形重回帰モデル(ガス104用)と、各センサの測定値とから、最適なガス使用量の予測値を求め、すなわち、各センサの測定値から線形重回帰モデルにより求められるガス使用量を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在のガス使用量と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0032】
水使用量分析部13は、小区画に存在する人数である在室人数と、この在室人数が小区画を利用した時間を示す稼動時間とを説明変量、そして水使用量を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、ガス104における上記説明変量及び目的変量の実測値(水道メータ206の検出する水使用量)から最適な水使用量の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。ここで、在室人数は、女性の人数に係数(例えば1.5)を乗じて、男性の人数に加えて求める。性別による水の使用量の違いに対応させている。
【0033】
このとき、水使用量分析部13は、例えば、水道メータ206から入力される(在室人数が同一の場合で測定される)所定期間(1ヶ月毎)におけるデータの平均値を、水使用量の最適値として定義し、水道103(各小区画に一つまたは複数存在)における最適な水使用量の基準値とする。
また、水使用量分析部13は、上記線形重回帰モデル(水道103用)と、各センサの測定値とから、最適な水使用量の予測値を求め、すなわち、各センサの測定値から線形重回帰モデルにより求められる水使用量を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在の水使用量と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0034】
廃棄物算出部16は、在室人数と、小区画の利用種別(例えば、業種の種類、この各業種を数値化している)とを説明変量、そして廃棄物量を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、上記説明変量及び目的変量の実測値(重量計208における計測値)から最適な廃棄物量の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
ここで、上記廃棄物量としては、燃えるゴミ及び燃えないゴミ(スチール缶,アルミニウム缶,ペットボトル,ビニールなどの種類別でも分類)各々を重量計208により測定し、種類毎に所定の係数を乗算し、全てを積算した結果を用いる。
【0035】
CO2濃度分析部12は、使用電力量(電気使用量)と、使用ガス量(ガス使用量)と、廃棄物量とを説明変量、そしてCO2排出量を目的変量として、重回帰解析の手法を用いて、における上記説明変量及び目的変量の実測値(CO2センサ205の検出するCO2濃度)から最良なCO2濃度の基準値、すなわち回帰式の係数を算出して線形重回帰モデルを求める。
また、上記CO2濃度は、例えば、CO2センサ205が所定時間内(数時間)に計測する濃度の平均値を用いる。
【0036】
すなわち、CO2濃度分析部12は、CO2センサ205から入力される所定時間(数時間)におけるデータの平均値を、CO2濃度の最適値として定義し、最良なCO2濃度の基準値とする。
また、CO2濃度分析部12は、上記線形重回帰モデル(CO2濃度用)により、他の各分析部の算出した使用電力量,使用ガス量と、入力される各センサの測定値(廃棄物量及びCO2濃度)とから、最適なCO2濃度の予測値を求め、すなわち、各センサの測定値から線形重回帰モデルにより求められるCO2濃度を予測値として、さらにこの予測値を目標値として、現在のCO2濃度と比較して各小区画毎の節減目標を出力する。
【0037】
報告書作成部18は、各分析部の算出した目標値と、実測値とに基づき、各小区画毎に、目標電力量と、使用電力量と、使用電力量と目標電力量との差である節減可能な電力量と、またこの電力量と同様に、CO2濃度,ガス使用量,水道使用量,廃棄物量等も、Web上で閲覧可能な形式のデータを作成する。
請求書作成部15は、各小区画の使用者(たとえばテナントの所有者)に対して、使用電力量,使用ガス量,水使用量に基づいて、所定期間内の各使用量に応じた請求書を作成するとともに、CO2濃度から推定されるCO2排出量による見込みの税額を算出して、請求予想額として出力する。
【0038】
このとき、CO2濃度分析部12は、CO2濃度からのCO2の排出量の推定において、例えば、CO2センサ205により測定した、夜間における空気中のCO2濃度(すなわち、理想とするCO2濃度)と、日中において人間が在室しているときのCO2濃度との差を求め、この求めたCO2濃度の差分に対して、部屋の体積を乗算することにより、CO2排出量を算出することができる。
ここで、濃度と質量との関係は慣用的に(mg/l)であり、数値としては%またはppmで表わされる。
そして、CO2排出量は、すでに述べたように、上述したCO2センサ205の測定値により求められたCO2排出量の推定値に対して、エネルギ転換時にCO2が排出されるエネルギからの換算値を含めた数値となる。
【0039】
例として、いくつかの各エネルギの使用量と、この使用量をCO2排出量に換算した数値とを示すと、電気:1kWh,都市ガス:1m,LPG:1kg,水道:1m,灯油:1l(リットル),ガソリン:1l,軽油:1l,燃えるゴミ:1kg各々が、それぞれ0.12kg,0.64kg,1.8kg,0.16kg,0.69kg,0.64kg,0.72kg,0.24kgと換算される。
そして、CO2濃度分析部12は、上述したエネルギ及びその他のエネルギに対しても、同様にCO2排出量に換算し、CO2センサ205の測定値により算出されたCO2排出量として、これらの合計をCO2排出量として出力する。
【0040】
配信部17は、情報通信網I及び各ビル(建物)の小区画(テナント)に設置された端末を介して、各小区画に配設されたセンサから測定データを受信し、また、各小区画に設置された端末、または予め設定された送信先に上記報告書及び請求書を送信する。
データベース2には、所定の記憶領域に作成された複数のテーブル、すなわち、建物データテーブル2a,テナント(小区画)個別データテーブル2b,基準値データテーブル2c,検出データテーブル2d,分析データテーブル2e,編集データテーブル2f及び請求書データテーブル2gが設けられている。
DB書込部10は、上記検出データテーブル2dに対して、各小区画単位に、タイムスタンプ毎に、小区画に設けられた各センサが検出したデータを格納する。
【0041】
データベース2に設けられている各テーブルの説明を以下に行う。
建物データテーブル2aには、建物毎に、建物の設計図,築年数,材質(コンクリート,プレハブ,モルタル,木材等の種別),階数が格納され、また各小区画毎に、小区画の熱効率,部屋の表面積に対する窓の面積の割合である窓率,体積,小区画の位置する階数等のデータが記憶されている。
また、建物データテーブル2aには、建物情報(小区画の体積、小区画の窓率による熱効率,小区画の床,天井及び壁の材質による熱効率)も各小区画毎に格納されている。
テナント個別データテーブル2bには、この小区画に入居しているテナント等の個別データにおける、業種,従業員数(男女別),OA機器数等のデータが記憶され、また、分析結果等を報告する報告先のデータ,テナントのユーザIDやパスワードなどの権限データ(権限によって複数存在する)等が記憶されている。
【0042】
基準値データテーブル2cには、過去の使用量データの蓄積から重回帰分析により算出して求められた電気使用量(図4に示すテーブル),ガス使用量(図5に示すテーブル),水使用量(図6に示すテーブル),CO2排出量(図7に示すテーブル)等が記憶されている。
検出データテーブル2dには、建物及び小区画(フロアやテナント)毎に、上記センサ群の各センサ(在室人数検出センサ201,温度センサ202,湿度センサ203,照度センサ204,CO2センサ205,水道メータ206,ガスメータ207,重力計208)の検出したデータが、所定の周期のタイムスタンプ毎に対応して記憶されている。
【0043】
分析データテーブル2eには、消費電力分析部11,CO2濃度分析部12,水使用量分析部13,ガス使用量分析部14,廃棄物分析部16の各分析部の算出した基準値と、実測値と、削減可能な量とが、各小区画単位に、タイムスタンプごとに格納されている。
時系列に、この削減可能な量の変化を確認することにより、削減に対する対策の効果を確認することができる。例えば、対策の方向性がうまく使用量の削減に寄与しているか否かの判定が行える。
【0044】
編集データテーブル2fには、国の監督官庁,建造物の所有者,小区画の利用者などに送付する報告書の所定の報告書フォーマットが記憶されている。
この報告書フォーマットは、各エネルギ媒体の使用量やCO2濃度の値等のを入力する欄が用意され、報告書作成部18がこの欄に対応する数値を書き込むことにより、報告書が生成される。
請求書データテーブル2gには、各小区画の利用者へ送付した請求書の履歴が記憶されており、請求書の作成日時と送付先とが、各小区画の利用者毎に記憶されている。
【0045】
次に、図1〜図3及び図8〜図10を参照して、上述した実施例における建物環境支援システムの動作を説明する。
図8は分析処理の流れを示すフローチャートであり、図9は編集処理の流れを示すフローチャートであり、図10は分析したデータ等を配信する処理を示すフローチャートである。
<分析処理>
各分析部は、フロア毎、すなわち小区画毎に、建造物データテーブル2aから、各々重回帰解析モデルによる、制御対象(使用電力量、消費ガス量、消費水量、CO2排出量など)の基準値(目標値)の算出に必要なデータを読み出す(ステップS1)。
【0046】
各分析部は、小区画毎に、線形重回帰モデルにより管理目標としての目標値を算出するため、すなわち、線形重回帰モデルにより目標値となる目標変量を求めるため、説明変量となる基準値を、基準値データテーブル2cから読み出す。以下、例として、消費電力分析部11の動作に着目して説明するが、他の分析部も同様の動作を行う。
すなわち、消費電力分析部11は、電気使用量の基準値を算出するため、基準値データテーブル2cから、小区画に対応する線形重回帰モデルの式を読み出すとともに、基準値である電気使用量を目的変量として、この電気使用量に対応する在室人数と、稼動時間と、照明負荷と、OA機器負荷と、空調使用量とを説明変量として、解析する時刻のタイムスタンプに対応させて読み出す(ステップS2)。
そして、消費電力分析部11は、すでに読み出してある建物情報も説明変量として、電気使用量の目標値を算出するために用いる。
【0047】
次に、消費電力分析部11は、検出データテーブル2dから、在室人数検出センサ201の検出した在室人数を、解析する時刻のタイムスタンプに対応させて読み出す(ステップS3)。
次に、消費電力分析部11は、分析データテーブル2eから、過去の所定の範囲内の電力消費量の分析結果(目標値、実測値、差分)を入力する(ステップS4)。
【0048】
以下、ステップS5における消費電力分析部11による線形回帰分析による目標値(最適値)算出の説明を行う。他の分析部各々も同様の処理を行い最適値である目標値を求める。ここで、消費電力分析部11は、以下の(1)式を用いて、各小区画毎の重回帰解析モデル、すなわち重回帰解析の式の偏回帰係数a(a0,a1,a2,…)を求める。
【0049】
【数1】

【0050】
初めに、消費電力分析部11は、基準値データテーブル2cから読み出した目的変量とそれに対応する説明変量とから、各目的変量に対応させて(2)式を作成する。
【0051】
【数2】

【0052】
上記(1)式及び(2)式において、ei(e1〜en)は残差であり、以下の(3)式における残差平方和SSEが最小値となるように、(2)式を数値演算により解いて、偏回帰係数aを求める。
【0053】
【数3】

【0054】
(1)式及び(2)式において、残差eiを除いた部分を推測値として、「観測値(実測値)=推測値(目標値)+残差」としての(4)式が成り立つことになる。
【0055】
【数4】

【0056】
ここで、上記(4)式は、目的変量の平均値を考慮すると、以下の(5)式に変形することができる。
【0057】
【数5】

【0058】
この(5)式及び(3)式から、「全体の平方和SST=回帰(推測値)の平方和SSR+残差平方和SSE」であることを示す、以下の(6)式が求められる。
【0059】
【数6】

【0060】
上記(6)式において、残差平方和が小さくなるほど、より回帰モデルとしての完成度が高く、以下の(7)式から求められる推測値の確度が高くなる。
【0061】
【数7】

【0062】
ここで、以下の(8)式に示すように、決定係数Rを定義すると、この決定係数Rが1に近いほど、回帰モデルから求められる推測値の確度が高くなり、決定係数Rの平方根は重相関係数に一致することになる。
【0063】
【数8】

【0064】
そして、消費電力分析部11は、建造物データテーブル2aから読み込んだ建造物情報Xi1と、検出データテーブル2dから読み出した在室人数Xi2(タイムスタンプに対応した)、及び実際に利用している稼動時間Xi3、そして説明変数として、基準値データテーブル2cから読み込んだ、この在室人数Xi2に対応する照明負荷Xi4,OA機器負荷Xi5,空調使用量Xi6を、重回帰モデルの(7)式に代入して、読み出したタイムスタンプでの電気使用量の目標値を算出する(ステップS5)。他の分析部も同様に、重回帰モデルを生成して、検出データテーブル2dから読み込んだ各データに基づいて目標値を求める。
【0065】
そして、消費電力分析部11は、求めた電気使用量の目標値と、実際に上記稼動時間Xi3に使用した電気使用量の実測値との差分を求め、節減可能な電気使用量として算出する(ステップS6)。
このとき、消費電力分析部11は、、照明負荷Xi4,OA機器負荷Xi5及び空調使用量Xi6各々の個別の実測値を入力して、説明変数として読み込んだそれらの基準値と比較することにより、いずれの使用量が増加している等の評価を行うことも可能である。
次に、消費電力分析部11は、得られた上記分析結果(電気使用量の目標値、実測値及びこれらの差分値)を、分析データテーブル2eにおける対応する小区画に、タイムスタンプを付加して、記憶させる(ステップS7)。
【0066】
<編集処理>
次に、図9のフローチャートを参照して、得られた分析結果の編集処理について説明する。
報告書作成部18は、所定期間毎(例えば、1ヶ月毎)に、建造物の所有者への報告書の作成を行う(ステップS11)。
すなわち、報告書作成部18は、電気使用量,ガス使用量,水使用量及びCO2排出量等に関して、建造物全体と、各小区画毎との分析結果(電気使用量の目標値、実測値及びこれらの差分値)をまとめる。
ここで、報告書作成部18は、各小区画毎の分析結果を積算して、建造物全体の分析結果として出力する。
【0067】
そして、配信部17は、建造物所有者に対して、例えば、管理センタCのホームページ上(Web上)において、上記建造物全体と、各小区画毎との分析結果を閲覧可能に設定する(ステップS12)。
次に、報告書作成部18は、国の監督官庁に提出する所定のフォーマット上において、建造物単位、及び小区画単位に各センサの検出データ及び分析結果を記述し、上記フォーマットの報告書を生成する(ステップS13)。
そして、請求書作成部15は、各種センサの測定したデータから、各小区画毎に使用量に基づき料金を計算して、支払いを要求する請求書の作成を行う(ステップS14)。
【0068】
<閲覧処理>
この処理は、各小区画または利用者が任意に設けた利用者の端末にて行う処理である。
小区画を利用する利用者は、上記端末を介して、管理センタCの処理サーバ1に対し、小区画の登録を要求する(ステップ21)。
これにより、処理サーバ1は、要求された小区画の登録の処理、すなわち、データベース2において、登録対象の小区画に対応する各データテーブルの作成を行う。
【0069】
次に、処理サーバ1は、利用者に対して、ユーザIDとパスワードとの設定を要求する。
そして、利用者は、上記要求に従い、ユーザIDとパスワードとを、端末を介して処理サーバ1に対し送信する。
これにより、処理サーバ1は、登録した小区画に対応させてユーザIDとパスワードとをデータベースに記憶させて、利用者のユーザIDとパスワードとの設定を完了する。
そして、利用者は、小区画の分析結果を参照するためのユーザIDとパスワードとを取得することとなる(ステップS22)。
【0070】
次に、利用者は、端末にインストールされたアプリケーションソフト、例えば、ハイパーテキスト閲覧ソフトなどにより、インターネットを介して、管理センタCのホームページにアクセスし(ステップS23)、所定の欄にユーザIDとパスワードとを入力する(ステップS24)。
そして、処理サーバ1は、ホームページ上に入力されたユーザIDとパスワードとから、利用者が建造物の所有者またはテナントの管理者であるか否かの判定を行う(ステップS25)。
処理サーバ1は、建造物の所有者またはテナントの管理者であると判定した場合、ユーザIDとパスワードとに対応する建造物及びこの建造物にある小区画双方の分析結果及びその分析に用いた各センサの実測値を、ホームページ上において閲覧可能とする(ステップS26)一方、建造物の所有者またはテナントの管理者のいずれでも無いと判定した場合、ユーザIDとパスワードとに対応する小区画の分析結果及びその分析に用いた各センサの実測値を、ホームページ上において閲覧可能とする(ステップS27)。
【0071】
なお、図1における処理サーバ1の分析処理等の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより図8〜図10のフローチャートの分析処理及び報告書作成,請求書作成の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0072】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態により用いるセンサ群及びその監視対象を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施形態による建物環境支援システムの構成例を示す概念図である。
【図3】図1の処理サーバ1の構成例を示すブロック図である。
【図4】図1のデータベース2における基準値データテーブル2cに記憶されている電気使用量のテーブルである。
【図5】図1のデータベース2における基準値データテーブル2cに記憶されているガス使用量のテーブルである。
【図6】図1のデータベース2における基準値データテーブル2cに記憶されている水使用量のテーブルである。
【図7】図1のデータベース2における基準値データテーブル2cに記憶されているCO2排出量のテーブルである。
【図8】処理サーバ1の動作例を示すフローチャートである。
【図9】処理サーバ1の動作例を示すフローチャートである。
【図10】処理サーバ1の動作例を示すフローチャートであるである。
【図11】空調使用量の最適値の算出を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0074】
1…処理サーバ 2…データベース
2a…建造物データテーブル 2b…テナント個別データテーブル
2c…基準値データテーブル 2d…検出データテーブル
2e…分析データテーブル 2f…編集データテーブル
2g…請求書データテーブル 10…DB書込部
11…消費電力分析部 12…CO2濃度分析部
13…水使用量分析部 14…ガス使用量分析部
15…請求書作成部 16…廃棄物分析部
17…配信部 18…報告書作成部
101…空調機 102…照明
103…水道 104…ガス(ガス栓)
201…在室人数検出センサ 202…温度センサ
203…湿度センサ 204…照度センサ
205…CO2センサ 206…水道メータ
207…ガスメータ 208…重量計
C…管理センタ I…情報通信網



【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群と、
前記各センサの出力をタイムスタンプに対応させて記憶するデータベースと、
前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析部と
を有することを特徴とする建物環境支援システム。
【請求項2】
前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析部を有することを特徴とする請求項1に記載の建物環境支援システム。
【請求項3】
所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値,推測値及び節減目標を算出し、所定のフォーマットにて報告書を生成する報告書作成部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の建物環境支援システム。
【請求項4】
所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値から所定期間における使用量を算出し、この使用量から使用料金を算出し、所定のフォーマットにて請求書を生成する請求書作成部を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の建物環境支援システム。
【請求項5】
建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量及び小区画の環境を複数種類のセンサにより測定し、
前記センサにより測定した測定データを、タイムスタンプを付加してデータベースに記憶させ、
前記データベースから前記小区画単位に前記測定データを読み出し、該測定データを説明変数として、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、
前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を第1の節減目標として算出し、
前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、
第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を第2の節減目標として算出し、
報告書の生成において、所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値,推測値及び第1及び第2の節減目標を算出して、所定のフォーマットにて報告書を生成し、
建物の所有者または小区画の所有者に対し、前記報告書を情報通信網にて閲覧可能とし、
所定の期間毎に、各小区画単位に、前記制御対象の実測値から所定期間における使用量を算出し、この使用量から使用料金を算出し、所定のフォーマットにて請求書を生成する
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の建物環境支援システム。
【請求項6】
建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群の各センサの出力をタイムスタンプに対応させて、データベースに記憶する記憶過程と、
前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析過程と
を有することを特徴とする建物環境支援方法。
【請求項7】
前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析過程を有することを特徴とする請求項6に記載の建物環境支援方法。
【請求項8】
建造物の小区画毎にそれぞれ設けられた、少なくとも電気,ガス,水を含むエネルギ媒体の使用量を測定するセンサ及び小区画の環境を測定する複数種類のセンサからなるセンサ群の各センサの出力をタイムスタンプに対応させて、データベースに記憶する処理と、
前記小区画単位に、前記エネルギ媒体各々の使用量が目標変数である第1の線形回帰モデルをそれぞれ抽出し、説明変数として前記センサ群における各センサの測定データを入力し、前記第1の線形回帰モデルにより制御の対象であるエネルギ媒体の使用量の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第1の分析処理と
を有する建物環境支援の処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項9】
前記エネルギ媒体各々の第1の線形回帰モデルの目標変数を説明変数として、他の制御対象に対する第2の線形回帰モデルを抽出し、第1の線形回帰モデルの推測値により、他の制御対象の推測値を算出し、エネルギ媒体各々の使用量の実測値及び前記推測値の差を求め、この差を節減目標として算出する第2の分析処理を有する、請求項9に記載の建物環境支援の処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−133468(P2007−133468A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323309(P2005−323309)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(593063161)株式会社NTTファシリティーズ (475)
【出願人】(000102751)エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社 (6)