説明

建物

【課題】非居住空間の点検に際して作業者の作業負担を低減し、しかも、建物の所有者等に作業の立ち会いという負担がかかることを回避する。
【解決手段】建物10において居住空間21の下方には床下空間22が設けられ、上方には屋根裏空間26が設けられている。居住空間21と床下空間22とは床断熱層31により上下に仕切られており、居住空間21と屋根裏空間26とは天井断熱層32により上下に仕切られている。建物10には、ファイバースコープFを挿通可能な床下案内配管41及び屋根裏案内配管42が設けられている。床下案内配管41の入口部41aは外壁28の屋外面に配置されており、出口部41bは床下空間22に配置されている。屋根裏案内配管42の入口部42aは外壁28の屋外面に配置されており、出口部42bは屋根裏空間26に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
住宅等の建物においては、床下空間や屋根裏空間といった非居住空間の点検を目的として床や天井に点検口が設けられていることがある。ところが、作業者が点検口から非居住空間に入って点検を行うのでは作業負担が大きい。そこで、ファイバースコープを非居住空間に挿し入れ、そのファイバースコープにより撮影した画像を見て点検を行うことがある。例えば、特許文献1には、ファイバースコープを挿入するための床下点検穴が床部に設けられた構成が開示されている。この構成によれば、作業者はファイバースコープを床下点検穴から床下空間に挿し入れることにより、リビング等の居住空間に居ながらにして床下空間の点検を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−349074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、床下点検穴が床部に設けられている構成では、作業者が建物内においてファイバースコープの挿入作業を行うことになる。この場合、作業者にとっては、ファイバースコープ等を建物内に持ち込むという手間がかかり、建物の所有者等にとっては、点検作業に立会人として立ち会わなければならないという不都合が生じる。したがって、ファイバースコープによる点検作業を可能とする建物の構成に関して改善の余地がある。
【0005】
本発明は、非居住空間の点検に際して作業者の作業負担を低減し、しかも、建物の所有者等に作業の立ち会いという負担がかかることを回避することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1の発明の建物は、非居住空間として床下空間及び屋根裏空間の少なくとも一方を有し、ファイバースコープにより前記非居住空間の画像が撮影されることで該非居住空間を点検可能な建物であって、前記ファイバースコープを挿通可能な挿通通路が設けられており、前記挿通通路において前記ファイバースコープが挿入される入口部が建物外周面に設けられ、該入口部から挿入された前記ファイバースコープが出る出口部が前記非居住空間に設けられていることを特徴とする。
【0007】
第1の発明によれば、非居住空間の点検を行う作業者は、建物の外側に居ながらにしてファイバースコープを挿通通路から非居住空間に挿し入れることができる。この場合、作業者にとっては、非居住空間に入り込む必要がないのはもちろんのこと、ファイバースコープ等を建物内に持ち込む必要がないため、作業負担が低減されることになる。一方、建物の所有者等にとっては、点検作業に必ずしも立ち会う必要がないため、点検作業による行動や予定の制限が軽減される。したがって、非居住空間の点検に際して作業者の作業負担を低減することができ、しかも、建物の所有者等に作業の立ち会いという負担がかかることを回避できる。
【0008】
第2の発明では、前記非居住空間と上下に隣り合うように居住空間が設けられており、前記非居住空間と前記居住空間とを上下に仕切るように第1断熱層が設けられており、前記挿通通路は、前記第1断熱層を貫通することなく該第1断熱層よりも前記非居住空間側に配置されている。
【0009】
第2の発明によれば、例えば充填断熱工法により非居住空間と居住空間との間に第1断熱層が設けられ、挿通通路が第1断熱層を貫通しないように配置されているため、貫通部分により第1断熱層の断熱性能が低下するということを回避できる。したがって、建物の断熱性を保持することができる。
【0010】
なお、挿通通路が建物外周面と非居住空間とに亘って延びている構成、すなわち居住空間を迂回して挿通通路が設けられている構成では、挿通通路が居住空間から非居住空間に延びている構成に比べて挿通通路の長さ寸法が大きくなり、ファイバースコープ同士を接続して延長する必要があると想定される。この場合、ファイバースコープ同士の接続部分は外径寸法が大きくなり、それに伴って挿通通路の内径寸法が大きくなることが考えられる。これに対して、第2の発明によれば、挿通通路が第1断熱層を貫通していないため、挿通通路の内径寸法の大きさに関係なく、第1断熱層の断熱性能が低下するということがない。
【0011】
第3の発明では、前記居住空間と屋外空間とを仕切る外壁を備え、前記外壁は、前記居住空間の周面に沿って延びている第2断熱層と、該第2断熱層の屋外側に配置された外壁通気層とを有しており、前記第2断熱層は、前記第1断熱層と連続して設けられており、前記挿通通路は、前記非居住空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記第1断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられている。
【0012】
第3の発明によれば、外壁において挿通通路が第2断熱層の屋外側に設けられているため、挿通通路が第2断熱層を貫通しない状態とすることができる。これにより、第1断熱層に加えて第2断熱層について、挿通通路が貫通することでその断熱性能が低下するということを回避できる。つまり、挿通通路の設置により建物(居住空間)の断熱性が低下するということを回避できる。
【0013】
なお、挿通通路が非居住空間と外壁通気層とに亘って延びているため、挿通通路における建物外周面側の端部が非居住空間の上方や下方にあっても、その端部から挿し入れられたファイバースコープを非居住空間まで案内することができる。したがって、ファイバースコープの挿し入れ口を非居住空間と同じ高さ位置に設定しなくても、ファイバースコープを挿通通路を通じて非居住空間まで容易に挿し入れることができる。
【0014】
第4の発明では、前記床下空間は、床部の下方において建物基礎により周囲が囲まれた空間であり、前記第1断熱層は、前記床部において床面材に沿って延びる床断熱層を有し、前記建物基礎と前記床断熱層との間には、前記床下空間と前記外壁通気層とを連通する床下連通部が設けられているとともに、前記外壁の外壁面材には、前記入口部を前記建物外周面に配置するための取り出し口が設けられており、前記挿通通路は、前記床下連通部を通じて前記床下空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記床断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられている。
【0015】
第4の発明によれば、挿通通路が建物外周面と床下空間とに亘って延びるように設けられている構成において、挿通通路が建物基礎と床断熱層との間に配置されている。ここで、床下空間と居住空間とが床断熱層(第1断熱層)により仕切られた構成においては基礎断熱を必要としないため、挿通通路が建物基礎の上方において床下空間に挿し入れられていても建物の断熱性の低下を回避できる。
【0016】
第5の発明では、前記屋根裏空間は、屋根と天井部との間に形成された空間であり、前記第1断熱層は、前記天井部において天井面材に沿って延びる天井断熱層を有し、前記屋根と前記天井断熱層との間には、前記屋根裏空間と前記外壁通気層とを連通する屋根裏連通部が設けられているとともに、前記外壁の外壁面材には、前記入口部を前記建物外周面に配置するための取り出し口が設けられており、前記挿通通路は、前記屋根裏連通部を通じて前記屋根裏空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記天井断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられている。
【0017】
第5の発明によれば、挿通通路が建物外周面と床下空間とに亘って延びるように設けられている構成において、挿通通路が屋根と天井断熱層との間に配置されている。ここで、屋根裏空間と居住空間とが屋根裏断熱層(第1断熱層)により仕切られた構成においては屋根断熱を必要としないため、挿通通路が屋根の下方において屋根裏空間に挿し入れられていても建物の断熱性の低下を回避できる。
【0018】
第6の発明では、前記挿通通路の入口部に前記ファイバースコープを挿入可能とする挿入可能状態と、前記ファイバースコープの挿入を阻止する挿入阻止状態とに移行する状態移行手段と、前記状態移行手段を挿入阻止状態にて保持するロック装置と、を備えている。
【0019】
第6の発明によれば、状態移行手段が意図せずに挿入可能状態に移行することをロック装置により抑制できる。しかも、状態移行手段が挿入阻止状態にて保持されることにより、点検以外の目的でファイバースコープが挿入されることを防止できる。なお、状態移行手段が挿通通路の入口部を閉鎖するものであれば、挿通通路内にゴミや埃が入り込むことを抑制できる。
【0020】
第7の発明では、居住空間に設けられ、前記ファイバースコープにより撮影された画像を表示可能な表示モニタと、前記ロック装置による閉鎖状態が解除されたことを検出する解除検出手段と、前記解除検出手段により前記閉鎖状態の解除が検出された場合に、前記表示モニタに前記画像を表示させる制御手段と、を備えている。
【0021】
第7の発明によれば、作業者がロック装置を解除状態にした時、すなわちファイバースコープによる非居住空間の点検作業を開始する時に、ファイバースコープにより撮影された画像が表示モニタに表示される。このため、建物の所有者等が建物内にいる場合、その所有者等は、建物外に出て作業者の存在を確認しなくても、ファイバースコープによる点検作業が開始されたことを察知できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】建物の概略構成を示す図。
【図2】外壁の下端部周辺の構成を示す縦断面図。
【図3】外壁の上端部周辺の構成を示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明を二階建てのユニット式建物として具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。図1は建物10の概略構成を示す図である。
【0024】
図1に示すように、住宅等の建物10は、基礎11の上に設置された建物本体12と、建物本体12の上に設置された屋根13とを有している。建物基礎としての基礎11は、鉄筋コンクリート造の布基礎とされており、地中に埋設されたフーチング部15と、そのフーチング部15から上方に向けて延びた立ち上がり部16とを有している。屋根13は切妻式の屋根とされており、一対の傾斜屋根部を有している。
【0025】
建物本体12は、屋内空間として居住空間21を有しており、居住空間21によりリビングやキッチン、浴室などが形成されている。ここで、建物本体12は一階部分と二階部分とを有しており、説明の便宜上、一階部分と二階部分とを区別なく居住空間21としている。居住空間21の下方には床下空間22が形成されており、居住空間21と床下空間22との境界部には、それら居住空間21と床下空間22とを上下に仕切る床部24が設けられている。建物本体12は立ち上がり部16の上に設置されており、床下空間22の周囲は立ち上がり部16により囲まれている。
【0026】
居住空間21の上方には屋根裏空間26が形成されており、居住空間21と屋根裏空間26との境界部には、それら居住空間21と屋根裏空間26とを上下に仕切る天井部27が設けられている。屋根裏空間26は天井部27と屋根13との間の空間とされている。
【0027】
居住空間21の周囲は外壁28により囲まれている。外壁28は居住空間21と屋外空間とを仕切るものであり、床部24と天井部27とに架け渡されるようにして上下方向に延びている。なお、床下空間22及び屋根裏空間26が非居住空間に相当する。
【0028】
建物10においては、いわゆる充填断熱工法が採用されており、居住空間21が断熱層31〜33により囲まれている。断熱層31〜33のうち床断熱層31は、床面材53(図2参照)に沿って延びた状態で床部24に含まれており、居住空間21と床下空間22とを上下に断熱している。天井断熱層32は、天井面材63(図3参照)に沿って延びた状態で天井部27に含まれており、居住空間21と屋根裏空間26とを上下に断熱している。外壁断熱層33は、外壁面材72(図2参照)に沿って延びた状態で外壁28に含まれており、居住空間21と屋外空間とを断熱している。なお、床断熱層31及び天井断熱層32が第1断熱層を構成し、外壁断熱層33が第2断熱層に相当する。
【0029】
本実施形態では、建物10について、新築時から経過年数に応じて各種の定期点検を実施することとしており、具体的には、新築時から5年ごとに5年定期点検を実施するとともに、10年後ごとに10年定期点検を実施する。点検対象には、床下空間22や屋根裏空間26が含まれており、それら床下空間22や屋根裏空間26の点検にはファイバースコープFを用いることとしている。
【0030】
建物10においては、作業者が建物本体12の外側から床下空間22や屋根裏空間26にファイバースコープFを挿し入れることができるようになっている。これにより、作業者は建物10の外側に居ながらにして、ファイバースコープFにより撮影した画像を見て床下空間22や屋根裏空間26の点検を行うことができる。なお、ファイバースコープFの一端には、画像撮影が可能な撮影手段としてのカメラが内蔵されており、そのカメラにより床下空間22や屋根裏空間26を対象とした撮影が行われる。
【0031】
建物10には、屋外から挿し入れられたファイバースコープFを床下空間22に案内する床下案内配管41と、屋外から挿し入れられたファイバースコープFを屋根裏空間26に案内する屋根裏案内配管42とが設けられている。床下案内配管41及び屋根裏案内配管42は、フレキシブル配管やフレキシブルホース、フレキシブルダクトなどの可撓性を有する管状部材により形成されており、ファイバースコープFを挿通可能な内径寸法を有している。この場合、案内配管41,42の各内部空間が挿通通路に相当する。
【0032】
床下案内配管41は外壁断熱材76(外壁断熱層33)の屋外側において外壁面材72(図2参照)を貫通して屋外空間に通じている。ここで、床下案内配管41においては、ファイバースコープFが挿入される方の端部が入口部41aとされ、入口部41aは外壁面材72の貫通部分を通じて屋外側に露出するように配置されている。一方、入口部41aから挿入されたファイバースコープFが出る方の端部が出口部41bとされ、出口部41bは床下空間22に配置されている。
【0033】
屋根裏案内配管42は、床下案内配管41と同様に、外壁断熱材76(外壁断熱層33)の屋外側において外壁面材72を貫通して屋外空間に通じている。ここで、屋根裏案内配管42においては、ファイバースコープFが挿入される方の端部が入口部42aとされ、入口部42aは外壁面材72の貫通部分を通じて屋外側に露出するように配置されている。一方、入口部42aから挿入されたファイバースコープFが出る方の端部が出口部42bとされ、出口部42bは屋根裏空間26に配置されている。
【0034】
外壁28の屋外面には、案内配管41,42の各入口部41a,42aを覆う入口カバー45が取り付けられている。入口カバー45は箱状に形成されており、外壁28と反対側の面には開閉可能な蓋部46が設けられている。案内配管41,42の各入口部41a,42aは入口カバー45内に収納されており、蓋部46を開放することで各入口部41a,42aが屋外側に露出し、案内配管41,42へのファイバースコープFの挿入が可能となる。この場合、入口カバー45及び蓋部46が状態移行手段を構成していることになる。なお、蓋部46は、平板状や網状の板材により形成されている。
【0035】
入口カバー45には、蓋部46を閉鎖状態で保持するロック装置47が設けられており、ロック装置47を解除状態とすることで蓋部46の開放が可能となる。なお、ロック装置47について、ロック状態がファイバースコープFの挿入を可能とする挿入可能状態に相当し、解除状態がファイバースコープFの挿入を阻止する挿入阻止状態に相当する。
【0036】
案内配管41,42は、断熱層31〜33の屋外側においてそれら断熱層31〜33を屋内外に貫通しないように敷設されている。ここでは、案内配管41,42の敷設ルートについて図2、図3を参照しつつ説明する。図2は外壁28の下端部周辺の構成を示す縦断面図、図3は外壁28の上端部周辺の構成を示す縦断面図である。
【0037】
図2に示すように、床部24においては、基礎11の立ち上がり部16の上に床大梁51が設置されており、床大梁51は立ち上がり部16の上面に沿って略水平に延びている。床大梁51の上には、木製の根太52を挟んで床面材53が設置されており、床面材53の下側には、その床面材53に沿って延びるように床断熱材54が設けられている。床面材53は、合板やパーティクルボード等により形成されており、床断熱材54は硬質ウレタンフォーム等の発泡プラスチック系断熱材により板状に形成されている。
【0038】
床部24においては、床断熱材54に加えて根太52及び床面材53も断熱性を有しており、それら床断熱材54、根太52及び床面材53により床断熱層31が構成されている。なお、床大梁51はスペーサ部材56を介して基礎11の立ち上がり部16の上に載置されており、スペーサ部材56により床大梁51と立ち上がり部16との間に隙間が形成されている。この場合、隙間は基礎11に沿って延びており、その隙間を通じて床下空間22の全周換気が行われる。
【0039】
図3に示すように、天井部27においては、天井大梁61が床大梁51と平行に延びるように設けられている。天井大梁61の下面には野縁62を挟んで天井面材63が取り付けられており、天井面材63の上側には、その天井面材63に沿って延びるように天井断熱材64が設けられている。天井面材63は、例えば2枚重ねの石膏ボードにより形成されており、天井断熱材64は、グラスウール等の繊維系断熱材によりフェルト状に形成されている。
【0040】
天井部27においては、天井断熱材64に加えて野縁62及び天井面材63も断熱性を有しており、それら天井断熱材64、野縁62及び天井面材63により天井断熱層32が構成されている。
【0041】
なお、立ち上がり部16の上には柱(図示略)が立設されており、その柱の下端部に床大梁51が接続され、上端部に天井大梁61が接続されている。
【0042】
屋根13は、傾斜屋根部の傾斜方向に沿って延びる垂木66と、垂木66の上に載置された屋根下地材としての野地板67と、野地板67の上に載置された屋根仕上材としての瓦68とを有している。天井大梁61の上には、小屋束等の屋根フレーム69が載置されており、天井大梁61は屋根フレーム69を挟んで垂木66を下方から支持している。
【0043】
なお、外壁28と屋根13(垂木66等)との入隅部分には、図示しない軒天板が設けられており、軒天板により外壁28と屋根13との境界部が下方から見えないようになっている。
【0044】
図2、図3に示すように、外壁28においては、床部24及び天井部27の屋外側に外壁パネル71が設けられている。外壁パネル71は、外壁28の屋外面を形成する外壁面材72と、外壁面材72の裏面側(屋内面側)に取り付けられた外壁フレーム73とを有している。外壁面材72は、例えば窯業系サイディング等の外装材により形成されている。外壁フレーム73は、断面略コ字状の軽量鉄骨材により形成されており、外壁面材72に沿って上下方向や左右方向に延びるように配置されている。
【0045】
外壁フレーム73はビス等の固定具により床大梁51及び天井大梁61に取り付けられており、これによって外壁パネル71は床大梁51及び天井大梁61に対して固定されている。外壁パネル71の下端部にある外壁フレーム73には土台水切74が取り付けられており、土台水切74は外壁面材72の下端部から下方に向けて延びている。
【0046】
外壁パネル71の屋内側には、外壁28の屋内面を形成する内壁面材75が設けられている。内壁面材75は、石膏ボードや合板により形成されており、壁下地材を介して外壁パネル71の外壁フレーム73に固定されている。内壁面材75と外壁パネル71との間には外壁断熱材76が設けられている。外壁断熱材76は、グラスウール等の繊維系断熱材によりフェルト状に形成されており、内壁面材75に沿って延びるように配置されている。なお、内壁面材75は床部24の上側に配置されているとともに、天井部27の下側に配置されている。
【0047】
外壁28において、外壁パネル71の外壁面材72と外壁断熱材76とは離間しており、その離間部分が外壁通気層77となっている。外壁通気層77には外壁フレーム73が存在しているが、外壁通気層77は、外壁フレーム73同士の間の隙間や外壁フレーム73に形成された貫通孔を通じて上下方向に延びている。外壁通気層77は上端及び下端が屋外側に開放されており、それら上端及び下端を通じて外気による通気が行われる。
【0048】
外壁28においては、外壁断熱材76に加えて内壁面材75も断熱性を有しており、それら外壁断熱材76及び内壁面材75により外壁断熱層33が構成されている。ここで、外壁断熱材76の下端部が床面材53に当接しており、上端部が天井面材63に当接している。これにより、外壁断熱層33は床断熱層31及び天井断熱層32と連続した状態で設けられていることになる。
【0049】
床下案内配管41及び屋根裏案内配管42は、外壁通気層77に敷設されており、外壁通気層77において外壁フレーム73同士の間の隙間や外壁フレーム73に形成された貫通孔を通じて上下方向に延びている。入口カバー45が取り付けられている部分において、外壁面材72には、床下案内配管41及び屋根裏案内配管42を外壁通気層77から屋外側に取り出すための取り出し口81が設けられており、それら案内配管41,42の各入口部41a,42aは取り出し口81から入口カバー45内に取り出された状態となっている。
【0050】
床下案内配管41は、基礎11の立ち上がり部16と外壁28(外壁断熱層33)との間を通じて床下空間22に挿し入れられている。具体的には、外壁28の下端部周辺において床下空間22と外壁通気層77とは床大梁51を挟んで隣り合っており、その床大梁51には、床下空間22と外壁通気層77とを連通する床下連通部としての床下連通孔51aが形成されている。床下案内配管41は、外壁通気層77から床下連通孔51aを通じて床下空間22に挿し入れられた状態となっており、それによって床下案内配管41の出口部41bは床下空間22に配置されている。この場合、床下案内配管41は、外壁断熱層33及び床断熱層31の屋外側を回り込んだ状態で外壁通気層77と床下空間22とに亘って延びている。なお、床下空間22において床下案内配管41の出口部41bは、例えば給排水配管の周辺に配置されている。
【0051】
屋根裏案内配管42は、屋根13と外壁28(外壁断熱層33)との間を通じて屋根裏空間26に挿し入れられている。具体的には、外壁28の上端部周辺において屋根裏空間26と外壁通気層77とは天井大梁61を挟んで隣り合っており、その天井大梁61には、屋根裏空間26と外壁通気層77とを連通する屋根裏連通部としての屋根裏連通孔61aが形成されている。屋根裏案内配管42は、外壁通気層77から屋根裏連通孔61aを通じて屋根裏空間26に挿し入れられた状態となっており、それによって屋根裏案内配管42の出口部42bは屋根裏空間26に配置されている。この場合、屋根裏案内配管42は、外壁断熱層33及び天井断熱層32の屋外側を回り込んだ状態で外壁通気層77と屋根裏空間26とに亘って延びている。なお、屋根裏空間26において屋根裏案内配管42の出口部42bは、例えば屋根裏空間26の頂部(棟側部分)周辺に配置されている。
【0052】
図1の説明に戻り、建物10には、制御手段としてのホームサーバ91が設けられている。ホームサーバ91は、CPUや各種メモリ等からなるマイクロコンピュータを含んで構成されており、例えば居住空間21の内壁面に取り付けられている。ホームサーバ91には、ファイバースコープFにより撮影された画像を表示可能な表示モニタ92と、無線通信機能を有する通信装置93と、入口カバー45のロック装置47が接続されている。
【0053】
表示モニタ92は、例えば居住空間21の内壁面において住人等が視認できる位置に取り付けられており、ファイバースコープFの撮影画像を表示する機能の他、屋外のインターホンカメラの撮影画像を表示する機能、防犯用カメラの撮影画像を表示する機能を有している。ロック装置47は、そのロック装置47のロック状態を検出するセンサを有しており、そのセンサの検出信号をホームサーバ91に対して出力する。この場合、ロック装置47が解除検出手段に相当する。ホームサーバ91は、指令信号を出力することにより表示モニタ92の動作制御を行う。
【0054】
案内配管41,42に挿し入れられるファイバースコープFには、無線通信が可能な通信部Faや、ファイバースコープFの撮影画像を表示する表示部を有する本体部が電気的に接続されている。通信部Faは、ファイバースコープFにより撮影された画像を画像信号として通信装置93に送信可能とされている。また、通信部Faは、画像信号を管理会社等の外部施設にも送信可能とされている。この場合、作業者が点検作業終了後に管理会社等に戻った時には例えばパソコンに画像データが入力されていることになり、パソコンに画像データを移す作業を行う必要がない。このため、画像データを用いて点検報告書等を作成する際にその作成効率が向上する。
【0055】
ホームサーバ91は、ロック装置47の検出信号に基づいてロック装置47のロックが解除されたか否かを判定し、ロックが解除された場合にファイバースコープFによる点検作業が開始されるとして、ファイバースコープFからの画像を表示モニタ92に表示可能とする表示処理を実行する。表示処理においては、ロック解除の検出に伴い、表示モードを点検用表示モードとする。表示モードがインターホン表示モードや防犯表示モードなど他の表示モードにある場合は、それら他の表示モードから点検用表示モードに切り替える。そして、通信装置93がファイバースコープFの通信部Faから画像データを受信したか否かを判定し、受信した場合に画像データによる画像を表示モニタ92に表示させる。
【0056】
この場合、作業者が単にロック装置47のロックを解除してファイバースコープFを案内配管41,42に挿し入れると、床下空間22や屋根裏空間26の画像が表示モニタに表示される。このため、表示モニタ92に床下空間22や屋根裏空間26を表示させる作業の容易化を図ることができる。しかも、住人等は表示モニタ92の画像を観ることで、建物10内に居ながらにしてファイバースコープFによる点検作業の状況を知ることができる。
【0057】
ここで、建物10の点検について簡単に説明する。
【0058】
作業者は、ファイバースコープFによる撮影画像を本体部の表示部にて視認しながらファイバースコープFを所定の点検場所まで押し入れるとともに、所定の点検場所であらかじめ定められた点検項目に合わせて点検作業を実施する。このとき、住人が在宅であることは必須ではないが、在宅の場合には、作業者と同じ画像を住人も見ることができるため、点検作業の状況を見ることや、点検場所における建物10の状況を見ることが可能となる。この場合、住人が必要に応じて作業者に指示を出すこともできる。
【0059】
作業者が行う点検の対象としては、キッチン、洗面所、浴室、トイレ、防犯設備、バルコニー、屋根13、屋根裏空間26、床下空間22、基礎11、外壁28、給排水設備、給湯器などが挙げられる。そして、建物10の所有者(住人)に聞き取りを行う対象としては、玄関ドア、サッシ、雨戸、シャッタ装置、網戸、室内建具、仕上材などが挙げられる。
【0060】
ここで、作業者は、ファイバースコープFによる点検が可能な屋根裏空間26について、屋根13からの雨漏りの有無、鉄骨部の錆状況、野地板の変形・不朽などを点検項目とし、ファイバースコープFにより棟周辺に加えて、軒側や鉄骨、野地板などの撮影を行う。そして、雨漏りや著しい錆がないこと、野地板の変形・不朽がないことなどを確認する。
【0061】
一方、床下空間22について、給排水配管等からの漏水、床大梁51等の錆状況、蟻道などを点検項目とし、ファイバースコープFにより給排水配管周辺に加えて、基礎11の内側面、床下鉄骨、水回り配管などの撮影を行う。そして、漏水や著しい錆、蟻道がないことを確認する。
【0062】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0063】
建物10には床下案内配管41や屋根裏案内配管42が設けられているため、床下空間22や屋根裏空間26の点検を行う作業者は、建物10の外側に居ながらにしてファイバースコープFを案内配管41,42から床下空間22や屋根裏空間26に挿し入れることができる。この場合、作業者にとっては、床下空間22や屋根裏空間26に入り込む必要がないのはもちろんのこと、ファイバースコープFや通信部Faなどを建物10内に持ち込む必要がないため、作業負担が低減されることになる。一方、建物10の所有者等にとっては、点検作業に必ずしも立ち会う必要がないため、点検作業により行動やスケジュールが制限されることがない。したがって、床下空間22や屋根裏空間26の点検に際して作業者の作業負担を低減でき、しかも、建物10の所有者等に作業の立会という負担がかかることを回避できる。
【0064】
床下案内配管41が床断熱層31を貫通していないため、すなわち配管用の貫通孔が床断熱層31に設けられていないため、床断熱層31の断熱性能が床下案内配管41により低下するということを回避できる。同様に、屋根裏案内配管42が天井断熱層32を貫通していないため、すなわち配管用の貫通孔が天井断熱層32に設けられていないため、天井断熱層32の断熱性能が屋根裏案内配管42により低下するということを回避できる。
【0065】
ここで、ファイバースコープFの挿し入れ口(入口カバー45)が屋外に配置されていると、ファイバースコープFを床下空間22や屋根裏空間26に挿し入れるために複数のファイバースコープFが連結されている場合、その連結部分は外径寸法が大きくなると想定される。この場合、ファイバースコープFの連結部分を挿入可能とするには案内配管41,42の内径寸法を大きくする必要があり、その案内配管41,42が床断熱層31や天井断熱層32を貫通していると、貫通部分による断熱層31,32の断熱性能の低下が顕著なものとなる。したがって、案内配管41,42が床断熱層31や天井断熱層32を貫通していないことは建物10の断熱性低下を抑制する上で効果的である。
【0066】
床下案内配管41が床断熱層31及び外壁断熱層33を屋外側にて回り込むように配置されているため、床下案内配管41の入口部41aを基礎11よりも上方において外壁28に配置できる。このため、作業者は、座ったりかがんだりしなくてもファイバースコープFを床下案内配管41の入口部41aに挿入することができる。つまり、ファイバースコープFを床下案内配管41から床下空間22に挿し入れる作業を容易化できる。
【0067】
屋根裏案内配管42が天井断熱層32及び外壁断熱層33を屋外側にて回り込むように配置されているため、屋根裏案内配管42の入口部42aよりも下方において外壁28に配置できる。このため、作業者は、梯子等を使用して屋根13近くまで登らなくてもファイバースコープFを屋根裏案内配管42の入口部42aに挿入することができる。つまり、ファイバースコープFを屋根裏案内配管42から屋根裏空間26に挿し入れる作業を容易化できる。
【0068】
床下案内配管41は、基礎11と外壁断熱層33との間において床大梁51を貫通することで外壁通気層77と床下空間22とに亘って延びるように設けられているため、床断熱層31及び外壁断熱層33の屋外側を回り込むように配置できる。
【0069】
屋根裏案内配管42は、屋根13と外壁断熱層33との間において天井大梁61を貫通することで外壁通気層77と屋根裏空間26とに亘って延びるように設けられているため、天井断熱層32及び外壁断熱層33の屋外側を回り込むように配置できる。
【0070】
案内配管41,42において各入口部41a,42aが入口カバー45に収納され、入口カバー45には蓋部46が設けられているため、案内配管41,42にゴミや埃が入り込むことを抑制できる。つまり、案内配管41,42を通じてゴミや埃が床下空間22や屋根裏空間26に入り込むことを抑制できる。しかも、蓋部46はロック装置47により閉鎖状態で保持されているため、子供のいたずら等により蓋部46が意図せずに開放されることを抑制できる。
【0071】
ロック装置47のロックが解除され且つファイバースコープFによる撮影が開始された場合に、建物10内の表示モニタ92にファイバースコープFによる撮影画像が表示される。このため、住人等が建物10内にいる場合、その住人等は建物10外に出て作業者の存在を確認しなくても、ファイバースコープFによる点検作業が開始されたことを察知できる。
【0072】
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
【0073】
(1)可撓性を有していない又は可撓性の低い金属配管や金属ダクト等の内部空間が案内配管41,42とされてもよい。また、外壁28においては外壁通気層77において一対の外壁フレーム73を上下方向に延びるように配置することで挿通通路が形成されていてもよい。
【0074】
(2)床下案内配管41及び屋根裏案内配管42のうち一方だけが設けられていてもよい。また、建物10において、非居住空間としては床下空間22及び屋根裏空間26の他に、外壁通気層77などの壁内空間、上下階の階間空間(上階にとっての床下空間、下階にとっての天井裏空間)などが挙げられる。この場合、ファイバースコープFを案内する案内配管(挿通通路)は、壁内空間や階間空間などに通じるように設けられていることが好ましい。また、案内配管41,42は、非居住空間のうち点検頻度の高い空間に通じるように設けられていることが好ましい。
【0075】
ただし、案内配管が階間空間に通じるように設けられている場合、下階部の天井断熱層32は階間空間の下側に設けられ、上階部の床断熱層31は階間空間の上側に設けられていることが好ましい。この場合、下階部の天井断熱層32及び上階部の床断熱層31が外壁断熱層33と連続していれば、外壁断熱層33における階間空間の側方に配置された部分を案内配管が貫通していても、上階部及び下階部の断熱性が低下することを回避できる。
【0076】
(3)床下案内配管41は、基礎11と外壁断熱層33との間において、床大梁51を貫通せずに、床大梁51の上側又は下側を通るように配置されていてもよい。例えば、床下連通孔51aが床大梁51の上側(例えば根太52)、又は床大梁51の下側(例えばスペーサ部材56や基礎11)に設けられている構成とする。ここで、床大梁51と基礎11との間の通気用隙間を通るように床下案内配管41が敷設されていてもよい。この場合、通気用隙間が床下連通部に相当する。なお、床下連通孔51aが床大梁51の下側に設けられている場合、外壁面材72が床下連通孔51aよりも下方まで延びていることが好ましい。これにより、床下案内配管41が外壁面材72の下方において屋外側に露出して建物10の外観が損なわれるということを回避できる。
【0077】
また、屋根裏案内配管42は、屋根13と外壁断熱層33との間において、天井大梁61を貫通せずに、天井大梁61の上側又は下側を通るように配置されていてもよい。例えば、屋根裏連通孔61aが天井大梁61の上側(例えば屋根フレーム69)、又は天井大梁61の下側(例えば野縁62)に設けられている構成とする。なお、屋根裏連通孔61aが天井大梁61の上側に設けられている場合、軒天材が屋根裏連通孔61aよりも下方に配置されていることが好ましい。これにより、屋根裏案内配管42が軒天材の下方において屋外側に露出して建物10の外観が損なわれるということを回避できる。
【0078】
(4)案内配管41,42の各入口部41a,42aは、外壁28ではなく、基礎11や屋根13に配置されていてもよい。すなわち、各入口部41a,42aを屋外に露出させるための取り出し口が、外壁28や基礎11、屋根13といった建物外周面に設けられていればよい。例えば、床下案内配管41を床下空間22から屋外側に取り出すための取り出し口が、基礎11の立ち上がり部16に設けられている構成とする。この構成では、床下案内配管41が外壁通気層77を通らずに床下空間22から屋外側に取り出されている。この場合、入口カバー45は立ち上がり部16の屋外面に取り付けられていることが好ましい。
【0079】
また、屋根裏案内配管42を屋根裏空間26から屋外側に取り出すための取り出し口が、屋根フレーム69に設けられている構成とする。この構成では、屋根裏案内配管42が外壁通気層77を通らずに屋根裏空間26から屋外側に取り出されている。この場合、入口カバー45は屋根フレーム69の屋外面や軒天板の下面に取り付けられていることが好ましい。
【0080】
(5)案内配管41,42においては、入口部41a,42aや出口部41b,42bが複数設けられていてもよい。例えば、案内配管41,42の中間位置(配管途中)に入口部41a,42aが設けられている構成や、案内配管41,42の中間位置に入口分岐管が接続されている構成とする。入口分岐管が接続されている構成では、入口分岐管における接続されていない方の端部が入口部41a,42aとされる。同様に、出口部41b,42bの中間位置に出口部41b,42bが設けられている構成や、案内配管41,42の中間位置に出口分岐管が接続されている構成とする。出口分岐管が接続されている構成では、出口分岐管における接続されていない方の端部が出口部41b,42bとされる。
【0081】
(6)建物10において、外壁28にはいわゆる外張り断熱工法が採用されていてもよい。この場合、外壁断熱材76は、床大梁51や天井大梁61、柱の屋外側に配置されることになるが、外壁通気層77が外壁断熱材76の屋外側に配置されていることが好ましい。これにより、案内配管41,42を外壁断熱材76(外壁断熱層33)、床断熱層31及び天井断熱層32の屋外側に配置することが可能となる。
【符号の説明】
【0082】
10…建物、11…建物基礎としての基礎、13…屋根、21…居住空間、22…非居住空間としての床下空間、24…床部、26…非居住空間としての屋根裏空間、27…天井部、28…外壁、31…第1断熱層を構成する床断熱層、32…第1断熱層を構成する天井断熱層、33…第2断熱層としての外壁断熱層、41…挿通通路を構成する床下案内配管、41a…床下案内配管の入口部、41b…床下案内配管の出口部、42…挿通通路を構成する屋根裏案内配管、42a…屋根裏案内配管の入口部、42b…屋根裏案内配管の出口部、45…状態移行手段を構成する入口カバー、46…状態移行手段を構成する蓋部、47…解除検出手段としてのロック装置、51…床大梁、51a…床下連通部としての床下連通孔、52…床断熱層を構成する根太、53…床断熱層を構成する床面材、54…床断熱層を構成する床断熱材、61…天井大梁、61a…屋根裏連通部としての屋根裏連通孔、62…天井断熱層を構成する野縁、63…天井断熱層を構成する天井面材、64…天井断熱層を構成する天井断熱材、75…第2断熱層を構成する内壁面材、76…第2断熱層を構成する外壁断熱材、77…外壁通気層、81…取り出し口、90…制御手段としてのコントローラ、91…表示モニタ、F…ファイバースコープ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非居住空間として床下空間及び屋根裏空間の少なくとも一方を有し、ファイバースコープにより前記非居住空間の画像が撮影されることで該非居住空間を点検可能な建物であって、
前記ファイバースコープを挿通可能な挿通通路が設けられており、
前記挿通通路において前記ファイバースコープが挿入される入口部が建物外周面に設けられ、該入口部から挿入された前記ファイバースコープが出る出口部が前記非居住空間に設けられていることを特徴とする建物。
【請求項2】
前記非居住空間と上下に隣り合うように居住空間が設けられており、
前記非居住空間と前記居住空間とを上下に仕切るように第1断熱層が設けられており、
前記挿通通路は、前記第1断熱層を貫通することなく該第1断熱層よりも前記非居住空間側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の建物。
【請求項3】
前記居住空間と屋外空間とを仕切る外壁を備え、
前記外壁は、前記居住空間の周面に沿って延びている第2断熱層と、該第2断熱層の屋外側に配置された外壁通気層とを有しており、
前記第2断熱層は、前記第1断熱層と連続して設けられており、
前記挿通通路は、前記非居住空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記第1断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建物。
【請求項4】
前記床下空間は、床部の下方において建物基礎により周囲が囲まれた空間であり、
前記第1断熱層は、前記床部において床面材に沿って延びる床断熱層を有し、
前記建物基礎と前記床断熱層との間には、前記床下空間と前記外壁通気層とを連通する床下連通部が設けられているとともに、前記外壁の外壁面材には、前記入口部を前記建物外周面に配置するための取り出し口が設けられており、
前記挿通通路は、前記床下連通部を通じて前記床下空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記床断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の建物。
【請求項5】
前記屋根裏空間は、屋根と天井部との間に形成された空間であり、
前記第1断熱層は、前記天井部において天井面材に沿って延びる天井断熱層を有し、
前記屋根と前記天井断熱層との間には、前記屋根裏空間と前記外壁通気層とを連通する屋根裏連通部が設けられているとともに、前記外壁の外壁面材には、前記入口部を前記建物外周面に配置するための取り出し口が設けられており、
前記挿通通路は、前記屋根裏連通部を通じて前記屋根裏空間と前記外壁通気層とに亘って延びるように、前記天井断熱層及び前記第2断熱層の屋外側に設けられていることを特徴とする請求項3又は4に記載の建物。
【請求項6】
前記挿通通路の入口部に前記ファイバースコープを挿入可能とする挿入可能状態と、前記ファイバースコープの挿入を阻止する挿入阻止状態とに移行する状態移行手段と、
前記状態移行手段を挿入阻止状態にて保持するロック装置と、
を備えていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の建物。
【請求項7】
居住空間に設けられ、前記ファイバースコープにより撮影された画像を表示可能な表示モニタと、
前記ロック装置による閉鎖状態が解除されたことを検出する解除検出手段と、
前記解除検出手段により前記閉鎖状態の解除が検出された場合に、前記表示モニタに前記画像を表示させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする請求項6に記載の建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−19213(P2013−19213A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154822(P2011−154822)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(504093467)トヨタホーム株式会社 (391)
【Fターム(参考)】