説明

建築下地用セメントモルタル

【課題】短時間の混合で得ても左官施工に適した軟度を有し、コテで容易に伸ばすことができ、ダレが少なく、メタルラスに対する接着性が改善され、施工後の耐久性に優れた建築下地用セメントモルタルの提供。
【解決手段】下記成分(A)〜(F)を含有し、アクリル繊維及びガラス繊維の含有量が、成分(B)100質量部に対し、アクリル繊維は0.06質量部以上、ガラス繊維は0.02質量部以上である建築下地用セメントモルタル。
(A)繊維長4〜27mmのアクリル繊維及びガラス繊維を含み、アクリル繊維及びガラス繊維の合計含有量が、成分(B)100質量部に対し、0.08〜0.3質量部である繊維
(B)セメント
(C)膨張材
(D)無機質微粉
(E)細骨材、及び
(F)保水剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築構造物の下地の施工に用いられるセメントモルタルに関する。
【背景技術】
【0002】
建築構造物の下地は、一般に、普通ポルトランドセメント、骨材、混和剤等を主成分とするセメントモルタルをコテ塗りすることで左官施工されている。
近年では、左官施工時に適した軟度をもつセメントモルタルを、3〜5分程度という短い混合時間で得ることが求められており、このような要求に寄与すべく、通常、セメントモルタルには多量の練り水が配合されている。
しかしながら、多量の練り水を使用すると、施工した後、乾燥する過程でひび割れが生じやすくなるという問題があった。
【0003】
これに対し、3種の特定の細骨材を含むセメントモルタル(特許文献1)、発泡させたポリオレフィン系難燃性樹脂の粉砕粒及び無機質発泡状粒子等からなるモルタル(特許文献2)、並びにポリマーディスパージョン、保水剤及びガラス繊維等を含有するセメントモルタル(特許文献3)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−120438号公報
【特許文献2】特開平11−116311号公報
【特許文献3】特開2009−96657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3のモルタルでは、上述のような軟度を得るためには、配合処方に応じて練り水の量を調整する必要があった。
一方、建築構造物の壁等の下地の施工に用いられるセメントモルタルには、施工時におけるダレの少なさ及び接着性が要求され、特に、メタルラスに対する接着性が改善されたセメントモルタルの開発が望まれている。
したがって、本発明の課題は、短時間の混合で得ても左官施工に適した軟度を有し、コテで容易に伸ばすことができ、ダレが少なく、メタルラスに対する接着性が改善され、施工後の耐久性に優れた建築下地用セメントモルタルの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、セメント、膨張材、無機質微粉、細骨材、及び保水剤に、繊維長4〜27mmのアクリル繊維と、ガラス繊維とを、特定量配合することにより、短時間で混合して得た場合でも左官施工に適した軟度を有し、コテで容易に伸ばすことができ、ダレが少なく、メタルラスに対する接着性が改善され、施工後の耐久性に優れた建築下地用セメントモルタルが得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、下記成分(A)〜(F)を含有し、アクリル繊維及びガラス繊維の含有量が、成分(B)100質量部に対し、アクリル繊維は0.06質量部以上、ガラス繊維は0.02質量部以上である建築下地用セメントモルタルを提供するものである。
(A)繊維長4〜27mmのアクリル繊維及びガラス繊維を含み、アクリル繊維及びガラス繊維の合計含有量が、成分(B)100質量部に対し、0.08〜0.3質量部である繊維
(B)セメント
(C)膨張材
(D)無機質微粉
(E)細骨材、及び
(F)保水剤
【発明の効果】
【0008】
本発明の建築下地用セメントモルタルは、短時間の混合で得ても左官施工に適した軟度を有し、コテで容易に伸ばすことができ、ダレが少なく、メタルラスに対する接着性が改善され、施工後の耐久性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のセメントモルタルは、上記成分(A)〜(F)を含有する。まず、これら成分について詳細に説明する。
【0010】
<(A)繊維>
成分(A)の繊維は、繊維長4〜27mmのアクリル繊維及びガラス繊維を含む。
アクリル繊維の繊維長は、4〜27mmであるが、軟度、左官施工性の点から、5〜24mmが好ましく、8〜18mmがより好ましい。
一方、ガラス繊維の繊維長としては、左官施工性の向上及び施工後のひび割れ抑制の点から、5〜30mmが好ましく、8〜13mmがより好ましく、12mmが特に好ましい。
【0011】
また、アクリル繊維及びガラス繊維の合計含有量は、上記成分(B)100質量部に対し、0.08〜0.3質量部である。この含有量の上限としては、軟度及び左官施工性の点から、0.28質量部が好ましく、0.24質量部がより好ましく、0.2質量部がさらに好ましく、0.18質量部が特に好ましい。また、0.08質量部未満では、接着性等の左官施工性が低下し、一方、0.3質量部を超えると、軟度が小さくなり、コテ伸び等の左官施工性が著しく低下する。
【0012】
また、アクリル繊維の含有量は、成分(B)100質量部に対し、0.06質量部以上である。この含有量の上限としては、軟度及び左官施工性の点から、0.3質量部が好ましく、0.15質量部がより好ましい。
一方、ガラス繊維の含有量は、成分(B)100質量部に対し、0.02質量部以上である。この含有量の上限としては、軟度及び左官施工性の点から、0.12質量部が好ましい。
【0013】
また、アクリル繊維とガラス繊維との質量比〔アクリル繊維/ガラス繊維〕としては、軟度、左官施工性及びひびわれ抑制の点から、0.2〜12が好ましく、0.4〜8がより好ましく、0.4〜6が特に好ましい。
【0014】
また、上記繊維は、上記アクリル繊維及びガラス繊維以外の、建築下地用セメントモルタルのつなぎ材として使用されている繊維を含んでいてもよい。このような繊維としては、麻繊維、絹繊維、綿繊維等の天然繊維;ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維等の合成繊維等が挙げられる。
【0015】
<(B)セメント>
成分(B)のセメントは、水硬性のセメントであれば特に限定されない。このようなセメントとしては、例えば、普通、早強、超早強、中庸、低熱等の各種ポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント等の各種混合セメント;白色セメント、エコセメント、アルミナセメント等の特殊セメントが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、ポルトランドセメントが特に好ましい。
【0016】
<(C)膨張材>
成分(C)の膨張材は、水和膨張反応をするものであれば特に限定されないが、石灰系の膨張材が好ましい。
上記膨張材の含有量としては、長さ変化及び曲げ強度等の点から、成分(B)100質量部に対し、2〜8質量部が好ましく、3〜6質量部がより好ましく、3〜5質量部が特に好ましい。
【0017】
<(D)無機質微粉>
成分(D)の無機質微粉としては、平滑性等の左官施工性の点から、ブレーン比表面積(粉末度)が2500cm2/g以上であり、水和反応活性のないものが好ましく、JIS A 6201に規定の石炭灰(フライアッシュII種以上)、ブレーン比表面積2500cm2/g以上の石灰粉がより好ましく、斯かる2種類の無機質微粉の組み合わせが特に好ましい。
上記無機質微粉の含有量としては、左官施工性等の点から、成分(B)100質量部に対し、50〜90質量部が好ましく、56〜80質量部がより好ましい。
【0018】
<(E)細骨材>
成分(E)の細骨材としては、水和反応しにくいものが好ましく、密度0.16〜0.21kg/Lの軽量骨材がより好ましい。この中でも、無機系軽量骨材のパーライト、有機系細骨材のスチロール、ゴムチップが好ましく、モルタルの密度及び緩衝性の点から、これら3種の組み合わせがより好ましい。
上記細骨材の含有量としては、軟度、左官施工性及び緩衝性の点から、成分(B)100質量部に対し、20〜35質量部が好ましく、23〜35質量部がより好ましく、23〜30質量部が特に好ましい。
【0019】
<(F)保水剤>
成分(F)の保水剤としては、セメントモルタルの保水維持の点から、適度な増粘性を示すものが好ましい。このような保水剤としては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫酸エステル等の水溶性セルロース系の保水剤が挙げられる。
上記保水剤の含有量としては、左官施工性等の点から、成分(B)100質量部に対し、0.05〜1.0質量部が好ましく、0.1〜0.6質量部がより好ましく、0.1〜0.4質量部が特に好ましい。
【0020】
本発明のセメントモルタルとしては、上記成分(A)〜(F)に加えて、(G)減水剤を含有するものが好ましい。
<(G)減水剤>
成分(G)の減水剤は、モルタルやコンクリートに使用できるものであれば、特に限定されない。このような減水剤としては、高性能減水剤、AE減水剤、高性能AE減水剤、分散剤、流動化剤が挙げられる。
これらの中でも、ポリカルボン酸系減水剤、ナフタレンスルホン酸系減水剤、メラミンスルホン酸系減水剤、リグニンスルホン酸系減水剤が好ましく、混合性の点から、ポリカルボン酸系減水剤が特に好ましい。
上記減水剤の含有量としては、左官施工性向上及び材料分離抑制等の点から、成分(B)100質量部に対し、0.005〜0.1質量部が好ましく、0.01〜0.06質量部が好ましく、0.01〜0.04質量部が特に好ましい。
【0021】
また、本発明のセメントモルタルは、上記成分(A)〜(G)の他に、モルタルやコンクリートに通常使用されるもの、例えば、(H)消泡剤、(I)撥水剤、(J)粉末ポリマー、(K)収縮低減剤、(L)水、(M)凝結遅延剤等を含んでいてもよい。
【0022】
成分(H)の消泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン系化合物、ポリエーテル系化合物、アルキレンオキシド系化合物等の高分子化合物が挙げられる。消泡剤の含有量は、成分(B)100質量部に対し、通常、0.005〜0.1質量部程度である。
成分(I)の撥水剤としては、例えば、カルシウムステアレートが挙げられる。撥水剤の含有量は、成分(B)100質量部に対し、通常、0.05〜1.5質量部程度である。
成分(J)の粉末ポリマーとしては、JIS A6203で規定された再乳化形粉末樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、エチレン/酢酸ビニル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル/アクリル酸エステルが挙げられる。粉末ポリマーの含有量は、成分(B)100質量部に対し、通常、0.05〜1質量部程度である。
成分(K)の収縮低減剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン化合物、ポリエーテル系化合物、アルキレンオキシド化合物等の高分子化合物が挙げられる。収縮低減剤の含有量は、成分(B)100質量部に対し、通常、0.05〜1質量部程度である。
【0023】
成分(L)の水は、水道水等の練り水として使用できるものであればよい。水の含有量は、施工後の耐久性等の点から、成分(B)100質量部に対し、通常、80〜90質量部程度であるが、80〜87質量部が好ましい。
【0024】
本発明の建築下地用セメントモルタルは、常法にしたがい製造できる。
そして、本発明の建築下地用セメントモルタルは、短時間の混合で得た場合や、練り水の量を処方に応じて調整せずに得た場合にも、左官施工に適した軟度を有し、コテで容易に伸ばすことができ、ダレが少なく、メタルラスに対する接着性が改善され、施工後の耐久性に優れる。また、左官施工に適した密度や混合性を有する。
したがって、本発明のセメントモルタルは、建築構造物の中でも、壁の下地の施工(特に、コテ塗りによる施工)に有用である。
【実施例】
【0025】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0026】
<セメントモルタルの作製>
以下に示すA−1〜K−1から選定される材料合計50kgと、全使用量のうち85%の練り水とを、練り容量100Lの左官ミキサーに投入し、20℃にて、1分間一次混合をした。次いで、残りの15%の練り水を、上記ミキサーに投入し、2分間又は4分間二次混合をして、表1に示す配合割合のセメントモルタルを得た。
【0027】
<使用した材料>
A−1:アクリル繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アクリル繊維3、アクリル繊維長:3mm)
A−2:アクリル繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アクリル繊維5、アクリル繊維長:5mm)
A−3:アクリル繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アクリル繊維12、アクリル繊維長:12mm)
A−4:アクリル繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アクリル繊維24、アクリル繊維長:24mm)
A−5:アクリル繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アクリル繊維30、アクリル繊維長:30mm)
A−6:ガラス繊維(太平洋マテリアル(株)、商品名:アンチクラックHD、繊維長:12mm)
【0028】
B−1:普通セメント(太平洋セメント(株)、商品名:普通ポルトランドセメント)
C−1:膨張材(太平洋マテリアル(株)、商品名:太平洋エクスパンEX−K)
D−1:無機質微粉(常磐火力産業(株)、商品名:常磐フライアッシュ(JIS A 6201相当品))
D−2:無機質微粉(ニッチツ資源開発(株)、商品名:石灰石SP30(BL2500cm2/g)
【0029】
E−1:細骨材(無機系)(太平洋マテリアル(株)、商品名:太平洋パーライト4B)
E−2:細骨材(無機系)(太平洋マテリアル(株)、商品名:太平洋パーライトP1B)
E−3:細骨材(有機系)((株)トーメン、商品名:スバル細目(スチロール))
E−4:細骨材(有機系)(三福産業(株)、商品名:三福2mm(EVA))
E−5:細骨材(有機系)(吉岡産業(株)、商品名:吉岡1mm)
F−1:保水剤(SEタイロース(株)、商品名:チローゼMH6002P4)
【0030】
G−1:減水剤(太平洋マテリアル(株)、商品名:コアフローNF200)
H−1:消泡剤(サンノプコ(株)、商品名:SND−AHP)
I−1:撥水剤(日本油脂(株)、商品名:カルシウムステアレート)
J−1:粉末ポリマー(WACKER社、商品名:ビナパス7055N)
K−1:収縮低減剤(太平洋マテリアル(株)、商品名 テトラガードPW)
L−1:練り水(水道水)
【0031】
【表1】

【0032】
<セメントモルタルの評価>
前記の操作で得られた各セメントモルタルについて、以下に示す評価及び試験を行った。密度、軟度及び混合性は、合計で3分間混合したセメントモルタルと、合計で5分間混合したセメントモルタルについて、それぞれ評価を行い、左官施工性、長さ変化及び曲げ強度は、合計で5分間混合したセメントモルタルについて、評価又は試験を行った。結果を表2に示す。
【0033】
(密度評価)
容積2Lのマスを用いてセメントモルタルの単位体積重量を測定し、左官施工に適した密度が得られているか否かの評価指標とした。単位体積重量が1.05〜1.25kg/Lであれば、左官施工に適した密度が得られていると判断した。
【0034】
(軟度の評価)
JIS R 5201に準じた方法で、練り上がり直後のセメントモルタルのフロー値を測定し、左官施工に適した軟度(コンシステンシー)が得られているか否かの評価指標とした。
フロー値が155〜185mmであれば、左官施工に適した軟度(コンシステンシー)が得られている(○)と判断した。
また、3分混合、5分混合のどちらで得ても、フロー値が160〜185mmとなるセメントモルタルを、左官施工に非常に適した軟度をもつもの(◎)と判断した。
【0035】
(混合性の評価)
混合終了後、左官ミキサー内の練り上がり性状を目視で観察した。次いで、セメントモルタルを採取してJIS R 5201に準じた方法でモルタルフロー値を測定した。練り上がり性状として練り残しが無く、且つフロー値が155mm以上であれば混合性が「良好」と判断した。練り上がり性状として練り残しが有り、フロー値が155mm未満であれば混合性が「不良」と判断した。
【0036】
(左官施工性の評価)
戸建住宅の外壁下地を模擬し、450×900×12mmの合板を地面に垂直に設置し、これに、防水シートと、網目1cm幅のメタルラスとをステーブルで留め、施工性の確認を行うための下地とした。この合板の平板面に対するコテ塗りによる施工性を、次の(a)〜(d)の4種の方法で評価した。
【0037】
(a)コテ伸び性:市販の金コテを用いて、設置した平板面にセメントモルタルを塗り付け、塗り斑無くセメントモルタルを広く伸ばし、5分以内に塗り付けできたものをコテ伸び性「良好」と判断した。また、それ以外の状況となったものは「不良」と判断した。
【0038】
(b)コテ切れ性:塗り付け後の金コテにセメントモルタルが付着残存していないものをコテ切れ性「良好」と判断した。また、それ以外の状況となったものは「不良」と判断した。
【0039】
(c)平滑性:市販の金コテを用いて、設置した平板面にセメントモルタルを塗り付け、塗り付けたセメントモルタルに、金コテを数回当てて整えたときに、概ね平滑な面が得られるものを平滑性「良好」と判断した。また、それ以外の状況となったものは「不良」と判断した。
【0040】
(d)ダレ・接着性:セメントモルタルを金コテで塗り付けた後、モルタルのダレが無く、合板のメタルラスに接着しているものを、ダレ・接着性が「良好」と判断した。また、それ以外の状況となったものは「不良」と判断した。
【0041】
(長さ変化の評価)
JASS 15M−102に準拠した方法で作製した長さ変化試験用の4×4×16cmの供試体を用い、JIS R 1129に準じた方法で、セメントモルタルの長さ変化を測定した。目標値は、JASS 15M−102の既調合軽量セメントモルタルの品質基準の材齢28日で長さ変化率が0.15%以下であれば「良好」と判断した。
【0042】
(曲げ強度の評価)
JASS 15M−102に準拠した方法で作製した長さ変化試験用の4×4×16cmの供試体を用い、JIS R 5201に準じた方法で、セメントモルタルの曲げ強度を測定した。目標値は、JASS 15M−102の既調合軽量セメントモルタルの品質基準の材齢28日で曲げ強度2.0N/mm2以上であれば「良好」と判断した。
【0043】
【表2】

【0044】
表2の結果より、本発明品1〜11は、建築下地材として良好な軟度と混合性を有し、左官施工性として良好な「コテ伸び性」、「コテ切れ性」、「平滑性」、「ダレ・接着性」が有り、且つ目標値はJASS 15M−102の既調合軽量セメントモルタルの品質基準の長さ変化と曲げ強度を有していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(F)を含有し、アクリル繊維及びガラス繊維の含有量が、成分(B)100質量部に対し、アクリル繊維は0.06質量部以上、ガラス繊維は0.02質量部以上である建築下地用セメントモルタル。
(A)繊維長4〜27mmのアクリル繊維及びガラス繊維を含み、アクリル繊維及びガラス繊維の合計含有量が、成分(B)100質量部に対し、0.08〜0.3質量部である繊維
(B)セメント
(C)膨張材
(D)無機質微粉
(E)細骨材、及び
(F)保水剤
【請求項2】
さらに、成分(G)減水剤を含有する請求項1記載のセメントモルタル。
【請求項3】
さらに、下記成分(H)〜(K)から選ばれる1種以上を含有する請求項1又は2記載のセメントモルタル。
(H)消泡剤
(I)撥水剤
(J)粉末ポリマー、及び
(K)収縮低減剤
【請求項4】
壁下地用である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメントモルタル。

【公開番号】特開2012−140264(P2012−140264A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292990(P2010−292990)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】