説明

建築工事の現場写真・進捗の管理システム

【課題】 建築工事の現場写真の真偽を判別して、建築工事の質向上と円滑な進捗を図れる建築工事の現場写真・進捗の管理システムを実現する。
【解決手段】 現場監督者の携帯端末10AのGPS機能により時刻・位置情報を、撮像機能により工事現場のジオコード付加の写真データを得て、データ保存・分析サーバ100に送信する。サーバ100は当該位置情報と予め登録された工事現場の位置データとの一致性の有無を判定して、一致性がある場合は工事の進捗状況等を現場監督者に送信し、ジオコードを分析して当該位置情報との一致性の有無を判定して、一致性がある場合は写真データを保存するとともに、工期の遅れの有無を判定して、データの一致不一致と工期の遅れの有無を工事全般の管理責任者の携帯端末10Bに送信する。送信された内容を管理責任者は現場監督者の携帯端末10Aに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築工事の現場写真・進捗の管理システムに関する。具体的には、建築工事の施工現場の写真の真偽を判別するとともに、現場写真の撮影時期と予定された工事スケジュールとの一致性をチェックすることにより、建築工事の質向上と円滑な進捗を図ることができる建築工事の現場写真・進捗の管理システムを提供せんとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の建築現場において工事が予定されたスケジュール通りに行われていることを示すための手段として、「○月○日工事」のように記した黒板とともに工事現場の写真を撮ることが行われている。このことは、橋梁、トンネル、ビル等の公共工事においても同様である。
【0003】
また、建築工事の各工程の進行については、建築現場の工事を監督する現場監督者の指示に委ねられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、「○月○日工事」と記した黒板とともに工事現場を撮影しただけの現場写真では、真にその工事現場で撮影されたものであるかは、判別することはできない。例えば、現場監督者が工事現場を撮影することを忘れてしまったような場合に、他の工事現場で撮影した写真により偽装するという不正が行われたとしても、これを看破することができない。
【0005】
この現場写真の真偽を判別できないという事態は、今後社会的問題に発展する可能性があり、建築・建設業者に対して重大な責任が問われることも予測される。したがって、住宅を供給する側としては、事業者および現場監督者による現場写真の管理と工程管理を徹底する必要があることになる。
【0006】
とくに、住宅購入者等の利益保護を目的とする「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」の施行により、新築住宅の売主等の責任が強化される一方、住宅購入者等の住宅の品質に対する意識が向上し、住宅履歴データの重要性も高まっている。そのため、今後は、建築工事において撮影される現場写真の信憑性の確認が一層求められ、住宅を供給する者の写真報告についての責任がより重要になってくることが予想される。
【0007】
また、工事の進捗は、現場監督者の采配によって大きく影響され、とくに経験が少ない現場監督者においては、工事の進捗に合わせた段取りができずに工事遅延等の原因になることがある。その場合、現場写真は、工事の進捗状況を確認するうえで重要な役割を担っており、現場写真の撮影がスケジュール通りに行われていれば、現場でも工事が予定通りに円滑に進行していると判断することができる。したがって、予定された工事現場の撮影スケジュールに合わせて、つぎの段取りを告知する機能があれば、新人の現場監督者でも即戦力として職責を果たすことができることになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するために、本発明はなされたものである。そのために、本発明では、つぎのような手段を用いるようにした。すなわち、建築工事の現場を監督する現場監督者は、少なくとも電子メール機能、撮像機能およびGPS機能を備えた携帯型の端末手段を所持して、建築工事の現場においてGPS機能により時刻情報と工事現場の位置情報を取得してデータ保存・分析サーバに送信し、撮像機能により工事現場のジオコードが付加された写真データを取得してデータ保存・分析サーバに送信する。データ保存・分析サーバは、現場監督者の端末手段から送信された位置情報と、あらかじめ登録された工事現場の位置データとの一致性の有無を判定し、一致性がある場合は、工事の進捗状況等の情報を現場監督者の端末手段に送信し、また、現場監督者の端末手段から送信された写真データに付加されたジオコードを分析して現場監督者からの工事現場の位置情報との一致性の有無を判定し、一致性がある場合は、写真データを受け付けて保存するとともに、写真データに付加された撮影時期のデータに基づいて工期があらかじめ建築工事の請負契約で定められた標準工程のスケジュールと比較して遅れがないか否かを判定する。データ保存・分析サーバが判定した、現場監督者からの工事現場の位置情報とジオコードとの一致不一致、および標準工程のスケジュールと比較しての工期の遅れの有無を、建築工事全般を管理する者が所持する少なくとも電子メール機能を備えた端末手段に送信し、その一致不一致および遅れの有無を、建築工事全般を管理する者は現場監督者の端末手段に送信する。以上のような手段を用いるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるならば、建築工事の現場で撮られた現場写真の真偽を容易に判別することができるとともに、万一現場写真の撮影の仕方や内容に不備がある場合、直ちにこれを確認して工事現場に対して撮影のやり直しを指示することができる。
【0010】
さらに、あらかじめ設定された各工程のスケジュール通りに現場写真が送信されてこない場合には、工期が遅れていると判断し、建築工事を請け負った事業者における工事の責任者が、早い段階で事態を把握して迅速な対応をとることにより、未然にトラブルが発生することを回避することが可能となる。また、経験の少ない現場監督者であっても、これに対して必要な指示を適宜与えることにより、工事の円滑な進行を図ることができることになる。したがって、本発明によりもたらされる効果は、実用上極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施例の構成概念を示す構成概念図である。
【図2】図1に示した各携帯端末およびデータ保存・分析サーバのそれぞれの動作の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2とともに図1に示した各携帯端末およびデータ保存・分析サーバのそれぞれの動作の流れを示すフローチャートである。
【図4】図2および図3とともに図1に示した各携帯端末およびデータ保存・分析サーバのそれぞれの動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】図2、図3および図4とともに図1に示した各携帯端末およびデータ保存・分析サーバのそれぞれの動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】図1に示した現場監督者が所持する携帯端末の表示画面を説明するための説明図である。
【図7】図6とともに図1に示した現場監督者が所持する携帯端末の表示画面を説明するための説明図である。
【図8】図1に示した管理責任者および現場監督者が所持する携帯端末の表示画面を説明するための説明図である。
【図9】図1に示したデータ保存・分析サーバ内の写真データを保存するフォルダを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による建築工事の現場写真・進捗の管理システムは、少なくとも電子メール機能、撮像機能およびGPS機能を備え、建築工事の現場においてGPS機能により時刻情報と工事現場の位置情報を取得して送信し、撮像機能により工事現場のジオコードが付加された写真データを取得して送信する、現場監督者が所持する携帯端末を用いる。現場監督者の携帯端末から送信された位置情報と、あらかじめ登録された工事現場の位置データとの一致性の有無を判定して、一致性がある場合は、工事の進捗状況等の情報を現場監督者の携帯端末に送信し、また、現場監督者の携帯端末から送信された写真データに付加されたジオコードを分析して現場監督者からの工事現場の位置情報との一致性の有無を判定して、一致性がある場合は、写真データを受け付けて保存するとともに、写真データに付加された撮影時期のデータに基づいて工期があらかじめ建築工事の請負契約で定められた標準工程のスケジュールと比較して遅れがないか否かを判定するデータ保存・分析サーバを用いる。データ保存・分析サーバが判定した現場監督者からの工事現場の位置情報とジオコードとの一致不一致、および標準工程のスケジュールと比較しての工期の遅れの有無が送信されるとともに、その一致不一致および遅れの有無を現場監督者の携帯端末に送信する、建築工事全般を管理する者が所持する少なくとも電子メール機能を備えた携帯端末とを用いる。以下、実施例により詳しく説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の一実施例の構成を、図1に示し説明する。ここで、図1は、本実施例における建築工事の現場写真・進捗の管理システム全体の構成概念を示す構成概念図である。
【0014】
図1において、10Aは、建築工事の現場監督者が所持する携帯端末である。ここにおける携帯端末10Aには、携帯電話および簡易型携帯電話であるPHS(Personal Handyphone System)と、携帯情報端末とを組み合わせた、いわゆるスマートフォンが用いられており、通話機能、電子メール機能、撮像機能等の他に、人工衛星Sからの電波を受けて地球上の現在位置を測定するシステムであるGPS(Global Posioning System)の機能を備えている。
【0015】
10Bは、建築工事を請け負った事業者における、建築工事全般を管理する者(以下、「管理責任者」という)が所持する携帯端末であり、現場監督者が所持する携帯端末10Aと同様に、スマートフォンが用いられる。
【0016】
100は、各携帯端末10A,10Bとの間でそれぞれ送受信するデータを保存し、また、保存されたデータを分析するデータ保存・分析サーバである。このデータ保存・分析サーバ100は、
1)工事現場における現場監督者が所持する携帯端末10Aから送信された、時刻情報および携帯端末10Aが所在する位置を示す情報(以下、「位置情報」という。)を保存する。
2)建築工事の顧客の依頼に係る物件の名称、工事の進捗状況等を示す情報(以下、「顧客情報」という。)を保存する。顧客情報は、データ保存・分析サーバ100内の図示されてはいない記憶装置に、データベース(以下、「顧客DB」という。)として格納される。
3)現場監督者が所持する携帯端末10Aから送信された現場写真のデータに付加された、携帯端末10Aが所在する位置データであるジオコード(緯度、経度および高度)と、上記1)の位置情報との一致性の有無、および、写真データに付加された撮影時期のデータと、あらかじめ建築工事の請負契約で定められた標準工程のスケジュールのデータとの一致性の有無を分析する。
【0017】
200は、データ保存・分析サーバ100により、写真データに付加されたジオコードと位置情報との一致性、および、撮影時期のデータと標準工程のスケジュールのデータとの一致性が確認された場合に、その写真データを保存し、これを第三者(例えば、銀行、不動産会社、土地家屋調査士)がインターネットを介して利用可能とするための写真データ保存ウェブサーバである。
【0018】
以上のような構成要素からなる本システムでは、建築工事の現場で工事を監督する現場監督者は、工事現場において、まず、携帯端末10AのGPS機能により時刻情報と位置情報を取得し、これをデータ保存・分析サーバ100に送信する。
【0019】
現場監督者からの位置情報を受けたデータ保存・分析サーバ100では、これにあらかじめ登録された当該工事現場の位置を示すデータと位置情報が一致するか、あるいは、近似値があるかを判定し、双方のデータが一致するか近似する場合は、現場監督者の携帯端末10Aに顧客情報を送信する。
【0020】
そこで、現場監督者は、建築工事の各工種毎に、携帯端末10Aの撮像機能を用いて工事現場を撮像し、これにより得られた写真データをデータ保存・分析サーバ100に送信する。
【0021】
写真データを受けたデータ保存・分析サーバ100では、写真データに付加されたジオコードを分析し、現場監督者からの位置情報とジオコードとが一致しない場合は、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知し、これを受けた管理責任者は、同旨の電子メールを現場監督者の携帯端末10Aに送信して告知する。
【0022】
現場監督者からの位置情報とジオコードとが一致している場合は、データ保存・分析サーバ100は、写真データを受け付けたうえで、写真データに付加された撮影時期のデータに基づいて、あらかじめ建築工事の請負契約で定められた標準工程のスケジュールと比較して工期に遅れがないかを判定する。
【0023】
その結果、工期に遅れがある場合は、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知し、これを受けた管理責任者は、同旨の電子メールを現場監督者の携帯端末10Aに送信して告知する。
【0024】
工期に遅れがない場合は、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知し、これを受けた管理責任者は、撮像された写真が示す施行状況をチェックし、これを良と判断した場合は、定められた標準工程のスケジュールに基づき次の段取りを、現場監督者の携帯端末10Aに送信する。
【0025】
図2ないし図5は、現場監督者が所持する携帯端末10A、データ保存・分析サーバ100(図2では、単に「サーバ100」と記している。)、および管理責任者が所持する携帯端末10Bの動作の流れを示すフローチャートである。
【0026】
図2において、各携帯端末10A,10Bおよびデータ保存・分析サーバ100は、それぞれ動作を開始しており、現場監督者は、建築工事の工事現場で携帯端末10Aを起動して、図6(a)に示すログイン画面を開き、携帯端末10Aの個体を識別するための符号であるID(Identification)、および暗証番号であるパスワードを入力してログインする(S101)。
【0027】
ログインすると、現場監督者は、携帯端末10AのGPS機能により、図6(b)に示すような時刻情報と位置情報とを取得し(S102)、これを現時点および現在地を示すデータとして、IDとともにデータ保存・分析サーバ100に送信する(S103)。図6(b)では、現時点が2010年12月1日12時30分52秒であり、現在地が北緯35度32分8.52秒、東経139度40分20.4秒である場合が、例として示されている。
【0028】
現場監督者の携帯端末10AからのIDおよび時刻・位置情報の送信を受けたデータ保存・分析サーバ100では、送信者が誰であるかを識別し、送信された時刻情報を受付準備開始時刻とするとともに、データ保存・分析サーバ100にあらかじめ登録された顧客の注文に係る工事現場の位置を示すデータと、携帯端末10Aからの位置情報が一致するか、あるいは、位置情報に近似する近似値があるか否かを判定する(S104)。これにより、現場監督者が確かに建築工事の現場にいるか否かを確認する。近似値も判断の対象に含めているのは、工事現場は一定の面積を有するため、工事現場の域内であれば、これを許容する必要があるからである。
【0029】
ステップS104において、携帯端末10Aからの位置情報が工事現場の位置を示すデータと一致しないか、あるいは、位置情報に近似する近似値がないと判定された場合は(S104NO)、電波状況により完全な位置情報を取得することができない場合もあることから、ステップS102からの作業を繰り返す。
【0030】
ステップS104において、携帯端末10Aからの位置情報が工事現場の位置を示すデータと一致するか、あるいは、位置情報に近似する近似値があると判定された場合は(S104YES)、データ保存・分析サーバ100は、顧客DBから顧客情報を読み出し、これを現場監督者の携帯端末10Aに送信する(S105)。これを受けた携帯端末10Aでは、図6(c)に示すように、工事の進捗、工種、次の段取りの手配などの顧客情報が、画面に表示される(S106)。
【0031】
そこで、現場監督者は、携帯端末10Aが備えているカメラを起動する(S107(図3))。ここで、建築工事の各工種については、これらを時系列で説明した工事マニュアル・ブックが、あらかじめ作成されており、そこでは、高速読み取りが可能なマトリックス型の2次元コードが、各工種に付されている。
【0032】
ここにおける2次元コードは、現場写真を撮る前にどの工種を撮影するのかを示すために用いられる。また、この2次元コードには、データ保存・分析サーバ100内の写真を保存するフォルダにおける格納先を指示するデータが含まれている。すなわち、データ保存・分析サーバ100内には、図9に示すように、工種毎に現場写真を順次格納するフォルダが設けられている。
【0033】
そこで、現場監督者は、図6(d)に示すように、携帯端末10Aにより当該工種に付されている2次元コードを読み込んだうえで(S108)、カメラを起動して現場写真を撮る(S109)。この現場写真のデータには、ジオコードが付加される。
【0034】
現場写真が撮られたならば、現場監督者は、図7(a)に示すように、現場写真A−1を表示する画面から、写真データをデータ保存・分析サーバ100に送信し(S110)、これを受けたデータ保存・分析サーバ100では、図9に示したように、写真を保存するフォルダに写真データを格納して登録する。現場監督者の携帯端末10Aにおいても、図7(c)に示すように、撮影された各工程の現場写真A−1,A−2が登録される。
【0035】
なお、写真を保存するフォルダには、図9に示したように、標準工期が登録されており、写真データが送信されると、工程進捗のフラグが設定される。一定の期間フラグが設定されない場合は、工事が遅れていると判断して、現場監督者および管理責任者に電子メールによりその旨を告知するようにするとよい。また、写真データが送信されない場合は、図9中の「B−1/−−−」のように登録され、その後、B−2の写真データが送信されても受け付けないようになっている。このことを、反転表示した「B−2/2010/9/30」は示している。
【0036】
写真データを受けたデータ保存・分析サーバ100は、写真データに付加されているジオコードを分析し(S111)、現場監督者が当初送信してきた位置情報と写真データに付加されたジオコードとが一致するか否かを判定する(S112(図4))。
【0037】
ステップS112において、現場監督者からの位置情報とジオコードとが一致しない場合は(S112NO)、写真データの受付を拒否するとともに、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知する(S113)。これを受けた管理責任者は、不一致であることを現場監督者の携帯端末10Aに送信し(S114)、現場監督者の携帯端末10Aの画面には不一致である旨が表示される(S115)。
【0038】
ステップS112において、現場監督者からの位置情報とジオコードとが一致する場合は(S112YES)、データ保存・分析サーバ100は、写真データを受け付ける(S116)。その場合、写真データを受けた時刻が、受付準備開始時刻から一定の時間(例えば、2分)を経過した後は、写真データの受付を拒否するようにするとよい。
【0039】
そこで、当該工期に、あらかじめ建築工事の請負契約で定められた標準工程のスケジュールと比較して遅れがないか否かが判定され(S117)、遅れがある場合は(S117NO)、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知する(S118)。これを受けた管理責任者は、遅れがあることを現場監督者の携帯端末10Aに送信し(S119)、現場監督者の携帯端末10AにBの画面には、遅れがある旨が表示される(S120)。
【0040】
ステップS117において、当該工期に標準工程のスケジュールと比較して遅れがない場合は(S117YES)、その旨の電子メールを管理責任者の携帯端末10Bに送信して告知し(S121(図5))、データ保存・分析サーバ100は作業を終了する。
【0041】
データ保存・分析サーバ100からの告知を受けた管理責任者の携帯端末10Bの画面には、告知が表示され(S122)、図8(a)に示すように、その携帯端末10Bの画面で、施行状況の良否を現場写真A−1によりチェツクする(Sステップ123)。施行状況が良である(OK)のか良でない(NG)のかは、図8(b)に示すように、携帯端末10Bの画面に表示される、それぞれのデータ保存・分析サーバ100における保存先を示すURL(Uniform Resource Locator)にアクセスすると、データ保存・分析サーバ100にOKまたはNGのフラグが設定される。
【0042】
そこで、管理責任者が、写真を確認することによりOKとした場合は、管理責任者は、次の段取りを現場監督者の携帯端末10Aに送信して(S124)、管理責任者が所持する携帯端末10Aは作業を終了する。
【0043】
管理責任者の携帯端末10Bより送信された次の段取りは、現場監督者の携帯端末10Aの画面に表示され(S125)、現場監督者が所持する携帯端末10Aは作業を終了する。
【0044】
なお、図5には示されていないが、管理責任者が、写真を確認することによりOKとした場合は、データ保存・分析サーバ100より、写真データおよび関連データを写真データ保存ウェブサーバ200(図1)に送信して保存し、これを、第三者が、図8(c)に示すように、その携帯端末の画面で確認できるようにすることが可能である。
【0045】
以上においては、現場監督者が、端末手段としてスマートフォンを用いて、その有するGPS機能、撮像機能および電子メール機能を使用する場合について説明した。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。現場監督者が、GPS機能および送信機能を備えたディジタル・カメラすなわち撮像機能の他にGPS機能および送信機能を備えたカメラと、電子メール機能を備えた携帯電話の双方を所持し、時刻情報と工事現場の位置情報および施工現場の写真データは、ディジタル・カメラにより取得して送信する一方、データ保存・分析サーバ100および管理責任者からの情報は、携帯電話により受信するようにする場合にも、本発明は適用され得るものである。
【0046】
また、管理責任者が、端末手段としてスマートフォンを用いる場合について説明したが、本発明は、これに限られるものではない。管理責任者が使用する端末手段は、電子メール機能を備えているものであれば、スマートフォンではない携帯電話であってもよく、さらには、電子メール機能を備えているパーソナル・コンピュータであってもよく、必ずしも携帯型の端末手段に限られるものではない。
【符号の説明】
【0047】
10A,10B 携帯端末
100 データ保存・分析サーバ
200 写真データ保存ウェブサーバ
S 人工衛星

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも電子メール機能、撮像機能およびGPS機能を備え、建築工事の現場において前記GPS機能により時刻情報および前記建築工事の施工現場の位置情報を取得して送信し、前記撮像機能により前記建築工事の施工現場のジオコードが付加された写真データを各工程毎に取得して送信するための、前記建築工事の現場を監督する現場監督者が所持する携帯型の第1の端末手段(10A)と、
前記第1の端末手段より送信された前記位置情報とあらかじめ登録された前記建築工事の現場の位置データとが一致するか近似値があるか否かを判定して、一致するか近似値がある場合は顧客情報を前記第1の端末手段に送信し、かつ、前記第1の端末手段より送信された前記写真データに付加された前記ジオコードを分析して前記位置情報と一致するか否かを判定して、一致する場合には前記写真データを受け付けて保存するとともに、前記写真データに付加された撮影時期のデータに基づき工期があらかじめ前記建築工事の請負契約において定められた標準工程のスケジュールと比較して遅れがないか否かを判定するためのデータ保存・分析サーバ手段(100)と、
前記データ保存・分析サーバ手段が判定した前記位置情報と前記ジオコードとの一致不一致および前記標準工程のスケジュールと比較しての前記工期の遅れの有無が送信されるとともに、前記一致不一致および前記遅れの有無を前記第1の端末手段に送信するための、前記建築工事全般を管理する管理責任者が所持する少なくとも前記電子メール機能を備えた第2の端末手段(10B)と
からなる建築工事の現場写真・進捗の管理システム。
【請求項2】
撮像機能の他にGPS機能および送信機能を備え、建築工事の現場において前記GPS機能および送信機能により時刻情報および前記建築工事の施工現場の位置情報を取得して送信し、前記撮像機能および前記送信機能により前記建築工事の施工現場のジオコードが付加された写真データを各工程毎に取得して送信するためのカメラ手段および少なくとも電子メール機能を備えた携帯型の第1の端末手段であって、前記建築工事の現場を監督する現場監督者が所持するものと、
前記カメラ手段より送信された前記位置情報とあらかじめ登録された前記建築工事の現場の位置データとが一致するか近似値があるか否かを判定して、一致するか近似値がある場合は顧客情報を前記第1の端末手段に送信し、かつ、前記カメラ手段より送信された前記写真データに付加された前記ジオコードを分析して前記位置情報と一致するか否かを判定して、一致する場合には前記写真データを受け付けて保存するとともに、前記写真データに付加された撮影時期のデータに基づき工期があらかじめ前記建築工事の請負契約において定められた標準工程のスケジュールと比較して遅れがないか否かを判定するためのデータ保存・分析サーバ手段(100)と、
前記データ保存・分析サーバ手段が判定した前記位置情報と前記ジオコードとの一致不一致および前記標準工程のスケジュールと比較しての前記工期の遅れの有無が送信されるとともに、前記一致不一致および前記遅れの有無を前記第1の端末手段に送信するための、前記建築工事全般を管理する管理責任者が所持する少なくとも前記電子メール機能を備えた第2の端末手段(10B)と
からなる建築工事の現場写真・進捗の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−141831(P2012−141831A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294625(P2010−294625)
【出願日】平成22年12月31日(2010.12.31)
【出願人】(504069200)ウィンズホーム株式会社 (2)
【Fターム(参考)】