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建築板及び加飾方法
説明

建築板及び加飾方法

【課題】裾広がり状とされた凸状部の各傾斜面が、凸状部の頂部を形成する上面に対して鉛直方向の上下に配置された状態で建築物に取り付けられる建築板において、建築板を視認した観察者に対して、凸状部の立体感を強調させることができる、建築板及び加飾方法を提供することを目的とする。
【解決手段】表面に凸状部50が形成され、加飾された建築板20である。凸状部50は、上面51と第一傾斜面53と第二傾斜面55とを含み、凸状部50の基端57の側に向けて裾広がり状である。上面51は、凸状部50の頂部を形成する。建築板20が建築物に取り付けられた取付状態において、第一傾斜面53は、上面51に対して鉛直方向の下側に配置され、第二傾斜面55は、同上側に配置される。第一傾斜面53は、上面51より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低く、第二傾斜面55は、高くなるように加飾される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板と、建築板の基材の表面を加飾する加飾方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、意匠性を有する建築板に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、効果的な陰影塗装を施して高い意匠性を持たせた建築板等が開示されている。この建築板は、表面に凹状部を有し、凹状部は底部域と左右の側面域とを有している。凹状部は、底部域が最も濃色であり、側面域は底部域から表面側に向けて次第に淡色となるように塗装されている。左右の側面域は、凹状部を上方から水平投影した場合に水平成分の長い方の側面域の平均濃度が短い方の側面域の平均濃度よりも淡色となるように塗装がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−22142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
表面に凸状部が形成された建築板が実用化されている。このような建築板において、凸状部は、次のような形状とすることもできる。即ち、凸状部は、上面と、第一傾斜面と、第二傾斜面とを含む。上面は、凸状部の頂部を形成する。第一傾斜面は、上面に連続し、凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、上面に対して鉛直方向の下側に配置される。第二傾斜面は、上面に連続し、凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、取付状態において、上面に対して鉛直方向の上側に配置される。
【0005】
このような建築板において、建築板の表面形状のうち、凸状部と対をなす凹状部に着目して加飾を行った場合、取付状態では、所望する立体性を認識させることができない場合があることを、発明者は知見した。さらに、発明者は、凸状部を視認している際、凸状部に対して、違和感を憶えることがあることも知見した。
【0006】
本発明は、裾広がり状とされた凸状部の各傾斜面が、凸状部の頂部を形成する上面に対して鉛直方向の上下に配置された状態で建築物に取り付けられる建築板において、建築板を視認した観察者に対して、凸状部の立体感を強調させることができる、建築板及び加飾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題に鑑みなされた本発明の一側面は、表面に凸状部が形成され、表面が加飾された建築板であって、前記凸状部は、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含み、前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾されている、建築板である。
【0008】
これによれば、建築板に照射光が照射された場合に生じる陰影を、強調させた状態とすることができる。例えば、照射光が弱い場合であっても、陰影を強調することが可能となる。建築板が屋外又は屋内の何れに取り付けたとしても、同種の作用を得ることができる。
【0009】
この建築板は、次のようにすることもできる。前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす、ようにしてもよい。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【0010】
これによれば、上面を基準として第一傾斜面の明度を、好適な状態とすることができる。式1に関し、L*(1)が式1の「関係を満たす」建築板には、第一傾斜面の明度が、式1にて算出されるL*(1)に一致している場合の他、同一であると認められる範囲内である場合も含まれる。但し、同一であると認められる範囲は、上述した通り、「L*(1)<L*」の関係を満たす範囲である。
【0011】
また、前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす、ようにしてもよい。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【0012】
これによれば、上面を基準として第二傾斜面の明度を、好適な状態とすることができる。式2に関し、L*(2)が式2の「関係を満たす」建築板には、第二傾斜面の明度が、式2にて算出されるL*(2)に一致している場合の他、同一であると認められる範囲内である場合も含まれる。但し、同一であると認められる範囲は、上述した通り、「L*<L*(2)」の関係を満たす範囲である。
【0013】
上記において、垂線は、広く解釈される。具体的に、垂線は、第一傾斜面及び/又は第二傾斜面が平面又は平面状の面である場合における、各傾斜面に垂直な直線という意味の他、第一傾斜面及び/又は第二傾斜面が曲面である場合においては、この曲面の法線も含む概念である。
【0014】
本発明の他の側面は、表面に凸状部が形成され、前記凸状部が、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含む、建築板の基材の表面を加飾する加飾方法であって、前記上面と、前記第一傾斜面と、前記第二傾斜面と、を含む基材の表面を加飾する加飾工程を含み、前記加飾工程では、前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾される、加飾方法である。
【0015】
この加飾方法は、次のようにすることもできる。前記加飾工程において、前記上面と、前記第一傾斜面と、は、前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす状態で加飾される、ようにしてもよい。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【0016】
また、前記加飾工程において、前記上面と、前記第二傾斜面と、は、前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす状態で加飾される、ようにしてもよい。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【0017】
上述した加飾方法によれば、上述した建築板と同様の作用を得ることができる。即ち、陰影を強調させることが可能な建築板を生産することができる。また、垂線についての解釈も、上記同様である。
【0018】
また、前記加飾工程では、インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材の表面を加飾する、ようにしてもよい。これによれば、加飾工程を、インクジェット記録装置によるインクジェット方式にて、効率よく行うことができる。加飾工程において、好適な品質の加飾を行うことができる。
【0019】
また、前記加飾方法は、前記基材の表面を加飾するためのデータであって、前記上面を加飾するための上面データ部と、前記第一傾斜面を加飾するための第一データ部と、前記第二傾斜面を加飾するための第二データ部と、を含むデータ構造の加飾データを取得する取得工程を含み、前記加飾工程では、前記取得工程にて取得された前記加飾データに対応してインクを吐出し、前記基材の表面を加飾する、ようにしてもよい。これによれば、建築板の表面形状に合わせて加飾することができる。その際、上面、第一傾斜面及び第二傾斜面において、加飾の位置ずれを防ぐことができる。上述したようなデータ構造の加飾データとすることで、上面、第一傾斜面及び第二傾斜面のそれぞれにおいて、明度を変更させた複雑な加飾を、好適に行うことができる。上面データ部、第一データ部及び第二データ部のそれぞれについて、好適な明度を設定すれば、上面、第一傾斜面及び第二傾斜面のそれぞれを、好適な明度とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、裾広がり状とされた凸状部の各傾斜面が、凸状部の頂部を形成する上面に対して鉛直方向の上下に配置された状態で建築物に取り付けられる建築板において、建築板を視認した観察者に対して、凸状部の立体感を強調させることができる、建築板及び加飾方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】建築板の基材の一例を示す図である。(A)は、基材の表面を示す正面図である。(B)は、基材の右側面図である。(C)は、図1(B)に示すM部拡大図である。
【図2】建築板の表面の一例を示す図である。
【図3】光源から照射された照射光が建築板の表面に照射された状態を説明する図である。
【図4】第一傾斜面及び第二傾斜面の傾斜角度が45°である、グレー色で加飾された建築板の凸状部の一例を示す図である。(A)は、上面の垂線と光線とのなす角度(θ)が30°に設定された場合の一例を示す図である。(B)は、上面の垂線と光線とのなす角度(θ)が45°に設定された場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成等に置換してもよい。他の構成を含むようにしてもよい。
【0023】
<建築板>
建築板20について、図1及び図2等を参照して説明する。建築板としては、建築物の内装材(内壁等)として利用される建築板と、建築物の外装材(外壁等)として利用される建築板とがある。本実施形態における建築板20は、所定の光源からの照射光が照射される場所に取り付けられる建築板であればよく、内装材及び外装材の何れの建築板であっても、採用することができる。以下では、外装材としての建築板20を例として説明する。
【0024】
図1(A)〜(C)に示す、基材30は、既に実用化されている建築板を構成する基材と同様である。加飾(模様付け)される基材30の表面には、凸状部50が形成されている。凸状部50は、図1(A),(B)に示すように、一定の方向に、所定の間隔で、繰り返して形成される。一定の方向は、基材30を加飾して形成される建築板20が建築物に取り付けられた際の鉛直方向に一致する。上面51は、凸状部50の頂部を形成する面である。第一傾斜面53は、上面51に連続し、凸状部50の基端57の側に向けて裾広がり状に傾斜した面である。第二傾斜面55は、上面51に連続し、凸状部50の基端57の側に向けて裾広がり状に傾斜した面である。建築板20が、建築物に取り付けられたとする。具体的には、外装材としての建築板20が、建築物としての住宅の外壁として取り付けられたとする。このような状態(取付状態)において、第一傾斜面53は、上面51に対して鉛直方向の下側に配置される。取付状態において、第二傾斜面55は、上面51に対して鉛直方向の上側に配置される。
【0025】
上面51と、第一傾斜面53と、第二傾斜面55とは、共に、平面又は平面状の面である。平面状の面とは、表面に意匠性を付与すること等を目的として、起伏等が形成されているものの、全体としては、略平となる面である。図1(C)に示すように、上面51に対する、第一傾斜面53の傾斜角度は、θ3に設定され、第二傾斜面55の傾斜角度は、θ4に設定される。本実施形態の基材30(建築板20)では、θ3及びθ4は、同一の角度に設定される。例えば、θ3及びθ4は、30°、40°、45°、60°といった角度に設定される。θ3及びθ4は、これら例示した角度以外の角度であってもよい。θ3及びθ4は、それぞれ異なる角度であってもよい。
【0026】
建築板20は、上面51と第一傾斜面53と第二傾斜面55とを含む基材30の表面を、所定の模様に加飾して形成される。従って、建築板20の表面は、所定の模様に加飾された状態となる。例えば、建築板20は、図2に示すように、基材30の表面を、岩肌調(石目調)に加飾して形成され、その表面は、岩肌調に加飾された状態となる。図2に示す状態において、第一傾斜面53は、上面51より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾されている。即ち、第一傾斜面53の明度を、L*(1)とし、上面51の明度を、L*としたとき、L*(1)及びL*は、「L*(1)<L*」の関係を満たす。第二傾斜面55は、上面51より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が高くなるように加飾されている。即ち、第二傾斜面55の明度を、L*(2)としたとき、L*(2)及びL*は、「L*<L*(2)」の関係を満たす。
【0027】
<加飾方法>
建築板20の基材30の表面を加飾する加飾方法は、加飾のための各種の装置を用いて行うことができる。例えば、インクジェット記録装置を用いて行われる。インクジェット記録装置によれば、好適な品質の加飾を、効率よく行うことができる。インクジェット記録装置としては、従来使用されているインクジェット記録装置を利用することができる。インクジェット記録装置は、インクを吐出するインクジェットヘッドを備える。インクジェット記録装置は、加飾に用いられるインク色に対応した数のインクジェットヘッドを備える。各インクジェットヘッドからは、対応した色のインクが吐出される。加飾に用いられるインクとしては、活性エネルギー硬化型インクが例示される。この場合、インクジェット記録装置は、活性エネルギーを照射するための照射部を備える。活性エネルギー硬化型インクとしては、紫外線硬化型インク、電子線硬化型インク等が例示される。例えば、紫外線硬化型インクが用いられる場合、基材30の表面への加飾(インク吐出)が完了した状態で、基材30の表面(着弾したインク滴によるインクドット)に、紫外線が照射される。これによって、インクドットは硬化する。インクジェット記録装置が備える照射部は、紫外線照射部にて構成される。
【0028】
インクジェット記録装置を用いた加飾方法によれば、基材30の表面を、フルカラーで加飾することが可能で、表面がフルカラーで加飾された建築板20を生産することができる。換言すれば、この加飾方法によれば、フルカラーの画像が基材30の表面に記録された建築板20を生産することができる。インクジェット記録装置についてのこの他の説明は、省略する。
【0029】
加飾方法は、加飾データを取得する取得工程と、基材30の表面を加飾する加飾工程とを含む。取得工程では、加飾データが取得される。加飾データは、例えば、インクジェット記録装置とデータ通信可能に接続された情報処理装置が備える、ハードディスクのような記憶部に記憶されている。情報処理装置では、インクジェット記録装置で加飾を開始させる場合、記憶部から加飾データが、自装置が備えるRAMのような記憶領域に読み出される。これによって、情報処理装置は、基材30の表面の加飾に対応した加飾データを、取得する。
【0030】
加飾データは、基材30の表面を加飾するためのデータである。加飾データは、上面データ部と、第一データ部と、第二データ部とを含むデータ構造を有する。上面データ部は、上面51を加飾するためのデータである。第一データ部は、第一傾斜面53を加飾するためのデータである。第二データ部は、第二傾斜面55を加飾するためのデータである。図2に示すように、基端57も加飾される場合、加飾データは、基端57を加飾するための基端データ部も含む。上面データ部と、第一データ部と、第二データ部とは、それぞれ、上述した通り、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」の関係を満たした上で、次のような明度に設定されている。即ち、第一データ部は、上面データ部に対して、式1の関係を満たすような明度に設定されている。第二データ部は、上面データ部に対して、式2の関係を満たすような明度に設定されている。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
ここで、θ,θ1及びθ2は、図3に示すような角度である。具体的に、θは、上面51の垂線PLと、建築板20に照射される照射光の光線とのなす角度である。θ1は、第一傾斜面53の垂線PL1と、建築板20に照射される照射光の光線(光線の角度は、前述の通り、θである)とのなす角度である。θ2は、第二傾斜面55の垂線PL2と、建築板20に照射される照射光の光線とのなす角度である。
【0031】
建築板20が外装材(外壁)である場合、図3に示す光源は、太陽であり、照射光は太陽光である。従って、θは、太陽の高度に一致する。日本における高度は、0°(日の出、日の入り)〜78°(南中高度)となる。θ1は「θ3+θ」であり、θ2は「θ4−θ」である。上述した通り、θ3は、第一傾斜面53の傾斜角度であり、θ4は、第二傾斜面55の傾斜角度である。従って、θ1に代えてθ3を用いれば、上記の式1は、
L*(1)=L*×cos(θ3+θ)/cos(θ)
と定義することもできる。同様に、θ2に代えてθ4を用いれば、上記の式2は、
L*(2)=L*×cos(θ4−θ)/cos(θ)
と定義することもできる。
【0032】
情報処理装置では、取得された加飾データを画像処理し、インクジェット記録装置に送信するためのデータが生成される。生成されたデータは、インクジェット記録装置に送信される。インクジェット記録装置では、加飾工程が実行され、自装置が備えるインクジェットヘッドから、インクが吐出され、基材30の表面が加飾される。加飾工程は、具体的には、次のようにして実行される。インクジェット記録装置では、情報処理装置からのデータが受信され、自装置が備えるRAMのような記憶領域に記憶される。インクジェット記録装置では、記憶領域に記憶されたデータから、インクジェットヘッドに供給される駆動信号が生成される。生成された駆動信号は、インクジェットヘッドに供給される。
【0033】
インクジェット記録装置では、自装置が備える搬送部に載せ置かれた基材30の搬送を開始する。基材30は、搬送部によって、インクジェットヘッドの位置に搬送される。インクジェットヘッドでは、生成された駆動信号に従い、インクが吐出される。吐出されたインクは、搬送部にて搬送されてきた基材30の表面に着弾し、基材30の表面が加飾される。
【0034】
駆動信号は、上述した通り、加飾データに基づき生成される。そのため、加飾工程では、加飾データに対応したインクの吐出が制御される。その結果、上面51は、上面データに対応した状態に加飾される。第一傾斜面53は、第一データに対応した状態に加飾される。第二傾斜面55は、第二データに対応した状態に加飾される。
【0035】
上面データ部による加飾にて、上面51に記録される模様と、第一データ部による加飾にて、第一傾斜面53に記録される模様と、第二データ部による加飾にて、第二傾斜面55に記録される模様とは、何れも、どのような模様であってもよい。上面51、第一傾斜面53及び第二傾斜面55のそれぞれによる模様は、それぞれが連続して所定の柄を形成するような関係であってもよい。例えば、一組の、上面データ部、第一データ部及び第二データ部は、連続した1つのまとまりある柄に対応したデータとなる。この他、加飾データにて建築板20の表面全体が、まとまりある1つの柄(図2に示すような「岩肌調」の柄。他の例としては、「レンガ調」の柄)とされるような場合、一組の、上面データ部、第一データ部及び第二データ部は、まとまりある1つの柄の、連続した一部に対応したデータとなる。
【0036】
<凸状部>
上述した式1及び式2によって算出される明度(L*(1),L*(2))に基づいた加飾がなされた凸状部50について、図4を参照して説明する。図4(A),(B)は、図2同様、凸状部50を、上面51の側から視た図である。図4に示す例は、第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、θ3及びθ4は、共に45°である。凸状部50は、何れの場合も、グレー色で加飾されている。上面51のL*は、図4(A),(B)で共通し、54である。
【0037】
θが30°である場合、L*(1)は、式1と、「θ1=θ3+θ」との関係より、
L*(1)=L*×cos(45°+30°)/cos30°=0.3L*
となり、L*(2)は、式2と、「θ2=θ4−θ」との関係より、
L*(2)=L*×cos(45°−30°)/cos30°=1.11L*
となる。上述した通り、L*は54であるから、L*(1)は「0.3×54=16」となり、L*(2)は「1.11×54=60」となる。L*及びL*(1)は、「L*(1)<L*」を満たし、L*及びL*(2)は、「L*<L*(2)」の関係を満たす。このように設定された加飾データ、具体的には、L*が54に設定された上面データ部と、L*(1)が16に設定された第一データ部と、L*(2)が60に設定された第二データ部とを含む加飾データに対応して加飾された凸状部50は、図4(A)に示すような状態となる。図4(A)から明らかな通り、このように加飾された凸状部50では、立体感を得ることができる。
【0038】
θが45°である場合、L*(1)は、式1と、「θ1=θ3+θ」との関係より、
L*(1)=L*×cos(45°+45°)/cos45°=0
となり、L*(2)は、式2と、「θ2=θ4−θ」との関係より、
L*(2)=L*×cos(45°−45°)/cos45°=1.41L*
となる。上述した通り、L*は54であるから、L*(2)は「1.41×54=76」となる。L*(1)は0である。L*及びL*(1)は、「L*(1)<L*」を満たし、L*及びL*(2)は、「L*<L*(2)」の関係を満たす。このように設定された加飾データ、具体的には、L*が54に設定された上面データ部と、L*(1)が0に設定された第一データ部と、L*(2)が76に設定された第二データ部とを含む加飾データに対応して加飾された凸状部50は、図4(B)に示すような状態となる。図4(B)から明らかな通り、このように加飾された凸状部50では、立体感を得ることができる。
【0039】
<実験結果>
今回、図1に示すような基材30の表面を、各種の加飾データにて加飾した供試板(建築板20を含む建築板)を作製し、各供試板に対する立体感を官能試験した。以下、実験結果について説明する。以下に記載する「実験結果」では、上述した説明と共通する構成については、同一の名称及び符号を用いて説明する。
【0040】
<実験方法>
今回の実験では、パターンの異なる実験1〜実験3及び実験4を実施した。実験1〜実験3では、複数の加飾データを生成し、生成された各加飾データにて、基材30の表面を加飾した各供試板を、下記に記載の評価基準に従い点数付けした。この評価基準の各項目における比較対象(基準)は、上面51、第一傾斜面53及び第二傾斜面55の全体(凸状部50の表面)を、同一明度で加飾された比較板である。例えば、評価点が2点である「僅かに立体感が強調されている」は、供試板が、比較板と比較し、僅かに立体感が強調されていると感じた場合に選択される項目である。1つの供試板に対し、10人が評価し、各人の点数から平均値を求め、評価対象の供試板の評価点とした。評価点が2以上である場合、評価を「○」(立体感を強調させることができる)とし、2未満である場合、評価を「×」(立体感を強調できていない)とした。なお、詳細は後述するが、実験2の表2における評価も、前述の基準に準じて行った結果である。
(評価基準)
立体感がなくなっている ・・・0点
立体感に差がない ・・・1点
僅かに立体感が強調されている・・・2点
顕著に立体感が強調されている・・・3点
【0041】
実験4についても、複数の加飾データを生成し、生成された各加飾データにて、基材30の表面を加飾した各供試板を対象とし、評価を行った。実験4での評価についても、上記基準に準じて行った。評価が「○」又は「×」の何れとも判断できない場合、「△」とした。極めて顕著に立体感が強調されている場合、評価を「◎」とした。実験1〜実験4での加飾データの詳細等、各実験特有の実験条件については、実験1〜実験4の各記載において、説明する。
【0042】
実験1〜実験4では、各実験にて作製した供試板を対象として、L*、L*(1)及びL*(2)を測定した。測定には、微小面分光色差計(日本電色工業株式会社製のVSS400)を用いた。測定光源はD65とした。測定光源からの光線は、測定面に対して垂直な方向から照射される。
【0043】
<実験1>
実験1は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験1における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に45°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、窯業板である。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験1では、上面データ部に、L*(理論値)を54としたベージュ色を設定した。実験1では、光線の角度、即ち、図3に示すθを、0°〜80°の範囲で10°間隔の各角度と、45°とに設定した。設定したθの範囲に関し、下限としての0°は、日本における、日の出、日の入りの際の太陽の高度であり、上限としての80°は、日本における南中高度相当の角度である。
【0044】
このような条件の下、実験1では、「θ3,θ4=45°」と、L*「54」と、各θとを用いて、θ毎に、式1(θ1としてθ3+θを利用)からL*(1)を算出し、式2(θ2としてθ4−θを利用)からL*(2)を算出した。但し、供試板6〜10(θが45°以上)では、L*(1)の理論値は0で一定とした。これは、θが45°以上(θ3+θ=90°以上)の角度となると、理論上、光線は第一傾斜面53に交差しなくなる(θ及びθ3が共に45°である場合(「供試板6」参照)、光線は、第一傾斜面53に平行となる)。θが45°以上の角度となると、式1にて算出される理論上のL*(1)の値は、0以下となる。明度の下限は0であるため、式1にて求められるL*(1)が負の値となる供試板7〜10についても、L*(1)の理論値は0とした。供試板8〜10(θが60°以上)では、L*(2)の理論値は100で一定とした。
【0045】
供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験1では、第一データ部及び第二データ部に、このように算出又は設定したL*(1)及びL*(2)(共に理論値)としたベージュ色を設定した。即ち、実験1におけるθ毎の供試板1〜10は、上面51がL*「54」(平均明度)のベージュ色で、第一傾斜面53がθ毎のL*(1)のベージュ色で、第二傾斜面55がθ毎のL*(2)のベージュ色となるよう、紫外線硬化型インクを用いてインクジェット記録装置で加飾されたものである。このように加飾された上面51のL*の測定値は、54.4であり、理論値と同一視できる状態であった。同じく、θ毎の第一傾斜面53のL*(1)の測定値と、θ毎の第二傾斜面55のL*(2)の測定値とについても、表1に示す通りとなり、理論値と同一視できる状態であった。なお、供試板6〜10(θが45°以上)では、L*(1)の測定値は2.2で一定となった。供試板8〜10(θが60°以上)では、L*(2)の測定値は87.0で一定となった。このような相違は、「0」及び「100」が、理論上の値であるためである。
【0046】
実験1の結果は、表1に示す通り、供試板4〜10(θ:30°〜80°)で、比較板に対し、凸状部50の立体感が強調されていることが確認された。供試板4〜10は、何れも、上述した、第一傾斜面53の加飾に関する条件(「L*(1)<L*」及び式1)と、第二傾斜面55の加飾に関する条件(「L*<L*(2)」及び式2)とを満たしている。供試板1〜3は、理論値及び測定値の両方について、「L*<L*(2)」を満たしていない。
【表1】

【0047】
<実験2>
実験2は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験2における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に60°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、珪酸カルシウム板である。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験2では、上面データ部に、L*(理論値)を42とした茶色を設定した。実験2での光線の角度(図3に示す「θ」参照)は、実験1と同様である。これに関する説明は、省略する。
【0048】
このような条件の下、実験2では、「θ3,θ4=60°」と、L*「42」と、各θとを用いて、θ毎に、式1(θ1としてθ3+θを利用)からL*(1)を算出し、式2(θ2としてθ4−θを利用)からL*(2)を算出した。但し、供試板4〜10(θが30°以上)では、L*(1)の理論値は0で一定とした。実験1の場合と同様、θが30°以上(θ3+θ=90°以上)の角度となると、理論上、光線は第一傾斜面53に交差しなくなる(θが30°である場合(「供試板4」参照)、光線は、第一傾斜面53に平行となる)。θが30°以上の角度となると、式1にて算出される理論上のL*(1)の値は、0以下となる。L*(1)が負の値となる供試板5〜10について、L*(1)の理論値を0としている点についても、実験1と同様である。供試板9,10(θが70°以上)では、L*(2)の理論値は100で一定とした。
【0049】
供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験2では、第一データ部及び第二データ部に、このように算出又は設定したL*(1)及びL*(2)(共に理論値)とした茶色を設定した。即ち、実験2におけるθ毎の供試板1〜10は、上面51がL*「42」(平均明度)の茶色で、第一傾斜面53がθ毎のL*(1)の茶色で、第二傾斜面55がθ毎のL*(2)の茶色となるよう、紫外線硬化型インクを用いてインクジェット記録装置で加飾されたものである。このように加飾された上面51のL*の測定値は、42.3であり、理論値と同一視できる状態であった。同じく、θ毎の第一傾斜面53のL*(1)の測定値と、θ毎の第二傾斜面55のL*(2)の測定値とについても、表2に示す通りとなり、理論値と同一視できる状態であった。なお、供試板4〜10(θが30°以上)では、L*(1)の測定値は2.5で一定となった。供試板9,10(θが70°以上)では、L*(2)の測定値は86.2で一定となった。このような相違は、上記同様、「0」及び「100」が、理論上の値であるためである。
【0050】
実験2の結果は、表2に示す通りであり、第一傾斜面53に関し、全ての供試板1〜10で、比較板に対し、立体感が強調されていることが確認された。第二傾斜面55に関し、供試板4〜10で、比較板に対し、立体感が強調されていることが確認された。この結果、実験2では、供試板4〜10で、比較板に対し、凸状部50の立体感が強調されていた。供試板4〜10は、何れも、上述した、第一傾斜面53の加飾に関する条件(「L*(1)<L*」及び式1)と、第二傾斜面55の加飾に関する条件(「L*<L*(2)」及び式2)とを満たしている。供試板1〜3は、理論値及び測定値の両方について、「L*<L*(2)」を満たしていない。
【表2】

【0051】
<実験3>
実験3は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験3における供試板1〜10は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に30°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、金属サイディングボードである。供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験3では、上面データ部に、L*(理論値)を58としたグレー色を設定した。実験3での光線の角度(図3に示す「θ」参照)は、実験1と同様である。これに関する説明は、省略する。
【0052】
このような条件の下、実験3では、「θ3,θ4=30°」と、L*「58」と、各θとを用いて、θ毎に、式1(θ1としてθ3+θを利用)からL*(1)を算出し、式2(θ2としてθ4−θを利用)からL*(2)を算出した。但し、供試板8〜10(θが60°以上)では、L*(1)の理論値は0で一定とした。実験1の場合と同様、θが60°以上(θ3+θ=90°以上)の角度となると、理論上、光線は第一傾斜面53に交差しなくなる(θが60°である場合(「供試板8」参照)、光線は、第一傾斜面53に平行となる)。θが60°以上の角度となると、式1にて算出される理論上のL*(1)の値は、0以下となる。L*(1)が負の値となる供試板9,10について、L*(1)の理論値を0としている点についても、実験1と同様である。供試板8〜10(θが60°以上)、L*(2)の理論値は100で一定とした。
【0053】
供試板1〜10の加飾に用いた各加飾データに関し、実験3では、第一データ部及び第二データ部に、このように算出又は設定したL*(1)及びL*(2)(共に理論値)としたグレー色を設定した。即ち、実験3におけるθ毎の供試板1〜10は、上面51がL*「58」(平均明度)のグレー色で、第一傾斜面53がθ毎のL*(1)のグレー色で、第二傾斜面55がθ毎のL*(2)のグレー色となるよう、紫外線硬化型インクを用いてインクジェット記録装置で加飾されたものである。このように加飾された上面51のL*の測定値は、57.8であり、理論値と同一視できる状態であった。同じく、θ毎の第一傾斜面53のL*(1)の測定値と、θ毎の第二傾斜面55のL*(2)の測定値とについても、表3に示す通りとなり、理論値と同一視できる状態であった。なお、供試板8〜10(θが60°以上)では、L*(1)の測定値は1.9で一定となった。供試板8〜10(θが60°以上)では、L*(2)の測定値は86.3で一定となった。このような相違は、上記同様、「0」及び「100」が、理論上の値であるためである。
【0054】
実験3の結果は、表3に示す通りであり、供試板3〜10(θ:20°〜80°)で、比較板に対し、凸状部50の立体感が強調されていることが確認された。供試板3〜10は、何れも、上述した、第一傾斜面53の加飾に関する条件(「L*(1)<L*」及び式1)と、第二傾斜面55の加飾に関する条件(「L*<L*(2)」及び式2)とを満たしている。供試板1,2は、理論値及び測定値の両方について、「L*<L*(2)」を満たしていない。
【表3】

【0055】
<実験4>
実験4は、次のような条件に基づくものである。第一傾斜面53及び第二傾斜面55の傾斜角度に関し、実験4における供試板1〜12は、θ3及びθ4(図1(C)参照)を、共に50°(絶対値)とした凸状部50が形成されたものである。基材30は、窯業板である。供試板1〜12の加飾に用いた各加飾データに関し、実験4では、上面データ部に、L*(理論値)を40としたグレー色を設定した。上面51のL*の測定値は、40.7であり、理論値と同一視できる状態であった。
【0056】
実験4では、上面51を基準として、第一傾斜面53及び第二傾斜面55の明度を変化させた水準が異なる供試板1〜12を製作した。供試板1〜3は、何れも、L*(1)及びL*(2)をL*より低くした供試板である。即ち、供試板1〜3は、第一傾斜面53及び第二傾斜面55が上面51より明度が低い供試板である。供試板4〜6は、何れも、L*(1)及びL*(2)をL*より高くした供試板である。即ち、供試板4〜6は、第一傾斜面53及び第二傾斜面55が上面51より明度が高い供試板である。供試板7〜9は、L*(1)をL*より高くし、L*(2)をL*より低くした供試板である。即ち、供試板7〜9は、第一傾斜面53が上面51より明度が高く、第二傾斜面55が上面51より明度が低い供試板である。供試板10〜12は、L*(1)をL*より低くし、L*(2)をL*より高くした供試板である。即ち、供試板10〜12は、第一傾斜面53が上面51より明度が低く、第二傾斜面55が上面51より明度が高い供試板であって、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」を満たす供試板である。なお、表4の第一傾斜面53及び第二傾斜面55の測定値差(L*(1)−L*,L*(2)−L*)に関し、その値がマイナスである場合、第一傾斜面53又は第二傾斜面55は、上面51より明度が低い。その値がプラスである場合、第一傾斜面53又は第二傾斜面55は、上面51より明度が高い。
【0057】
実験4の結果は、表4に示す通りであり、供試板10〜12で、供試板1〜9に対して、凸状部50の立体感が強調されていることが確認された。
【表4】

【0058】
<考察>
供試板(建築板20)における凸状部50の加飾状態を、第一傾斜面53の加飾に関する条件(「L*(1)<L*」及び式1)と、第二傾斜面55の加飾に関する条件(「L*<L*(2)」及び式2)とを満たすようにすることで、比較板に対して、凸状部50の立体感を強調させることが可能となることが確認された(実験1〜実験3参照)。また、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」を満たすことで、これを満たさない状態である場合(実験4の供試板1〜9参照)と比較し、凸状部50の立体感を強調させることが可能となることが確認された(実験4参照)。従って、「L*(1)<L*」及び「L*<L*(2)」等を満たすようにした加飾状態である建築板20を、上面51に対して鉛直方向の下側に第一傾斜面53を配置し、同上側に第二傾斜面55が配置されるように、建築物に取り付ければ、建築板20(建築物)を視認した観察者に対して、凸状部50の立体感を強調させることができる。
【0059】
ところで、実験2のように、第一傾斜面53及び第二傾斜面55を、個別に評価した結果に基づけば、次に記載のような建築板を特定することもできる。即ち、表面に凸状部が形成され、表面が加飾された建築板であって、前記凸状部は、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含み、前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾されている、建築板である。この場合、第一傾斜面の明度(L*(1))は、前述の条件を満たした上で、上記の式1によって設定されてもよい。
【0060】
また、表面に凸状部が形成され、表面が加飾された建築板であって、前記凸状部は、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含み、前記第二傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が高くなるように加飾されている、建築板として特定することもできる。この場合、第二傾斜面の明度(L*(2))は、前述の条件を満たした上で、上記の式2によって設定されてもよい。
【0061】
この他、上述した2つの建築板のための加飾方法として特定することもできる。この場合の加飾方法は、上記同様、例えば、インクジェット記録装置にて行うことが可能で、その際、上面データ部と、好適な明度が設定された、第一データ部又は第二データ部を含む加飾データが用いられる。このような建築板又は加飾方法によっても、第一傾斜面又は第二傾斜面において凸状部の立体感を強調させることができる。
【0062】
<変形例>
本実施形態は、次のようにすることもできる。上記では、第一傾斜面53及び第二傾斜面55が、平面又は平面状の面である構成を例として説明した。第一傾斜面53及び第二傾斜面55は、基端57の側に裾広がり状であれば、曲面であってもよい。この場合、上述した垂線(図3に示す「PL1」及び「PL2」参照)は、曲面における法線として定義される。
【符号の説明】
【0063】
20 建築板、 30 基材、 50 凸状部
51 上面、 53 第一傾斜面、 55 第二傾斜面、 57 基端
PL,PL1,PL2 垂線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凸状部が形成され、表面が加飾された建築板であって、
前記凸状部は、
前記凸状部の頂部を形成する上面と、
前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、
前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含み、
前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、
前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾されている、建築板。
【請求項2】
前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす、請求項1に記載の建築板。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【請求項3】
前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす、請求項1又は請求項2に記載の建築板。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【請求項4】
表面に凸状部が形成され、前記凸状部が、前記凸状部の頂部を形成する上面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、建築板が建築物に取り付けられた取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の下側に配置される第一傾斜面と、前記上面に連続し、前記凸状部の基端側に向けて裾広がり状に傾斜し、前記取付状態において、前記上面に対して鉛直方向の上側に配置される第二傾斜面と、を含む、建築板の基材の表面を加飾する加飾方法であって、
前記上面と、前記第一傾斜面と、前記第二傾斜面と、を含む基材の表面を加飾する加飾工程を含み、
前記加飾工程では、
前記第一傾斜面は、前記上面より、JIS Z 8729:2004のL*a*b*表色系における明度が低くなるように加飾され、
前記第二傾斜面は、前記上面より、前記明度が高くなるように加飾される、加飾方法。
【請求項5】
前記加飾工程において、前記上面と、前記第一傾斜面と、は、
前記第一傾斜面の前記明度をL*(1)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(1)及びL*は、下記式1の関係を満たす状態で加飾される、請求項4に記載の加飾方法。
式1:L*(1)=L*×cos(θ1)/cos(θ)
(但し、式1において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ1は、前記第一傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【請求項6】
前記加飾工程において、前記上面と、前記第二傾斜面と、は、
前記第二傾斜面の前記明度をL*(2)とし、前記上面の前記明度をL*としたとき、L*(2)及びL*は、下記式2の関係を満たす状態で加飾される、請求項4又は請求項5に記載の加飾方法。
式2:L*(2)=L*×cos(θ2)/cos(θ)
(但し、式2において、θは、前記上面の垂線と、前記建築板に照射される照射光の光線とのなす角度であり、θ2は、前記第二傾斜面の垂線と、前記光線とのなす角度である)
【請求項7】
前記加飾工程では、インクジェット記録装置が備えるインクジェットヘッドからインクを吐出して、前記基材の表面を加飾する、請求項4から請求項6の何れか1項に記載の加飾方法。
【請求項8】
前記加飾方法は、前記基材の表面を加飾するためのデータであって、前記上面を加飾するための上面データ部と、前記第一傾斜面を加飾するための第一データ部と、前記第二傾斜面を加飾するための第二データ部と、を含むデータ構造の加飾データを取得する取得工程を含み、
前記加飾工程では、前記取得工程にて取得された前記加飾データに対応してインクを吐出し、前記基材の表面を加飾する、請求項7に記載の加飾方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−92001(P2013−92001A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235561(P2011−235561)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000107907)セーレン株式会社 (462)
【Fターム(参考)】