建築物耐震用の乗客コンベア装置
【課題】建築物に対する耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を提供する。
【解決手段】乗客コンベアの枠体5の上端部を建築物4に設けた強度部材3に連結手段16を介して固定すると共に、枠体5の下端部を地盤2に固定手段を介して固定した。 上記構成とすることで、建築物4の地震時の揺れを乗客コンベア1が損傷されるまで抑制することができ、その結果、建築物4の耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を得ることができる。
【解決手段】乗客コンベアの枠体5の上端部を建築物4に設けた強度部材3に連結手段16を介して固定すると共に、枠体5の下端部を地盤2に固定手段を介して固定した。 上記構成とすることで、建築物4の地震時の揺れを乗客コンベア1が損傷されるまで抑制することができ、その結果、建築物4の耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエスカレーターや傾斜型電動道路等の乗客コンベアを設置して建築物の耐震性を向上させる建築物耐震用の乗客コンベア装置に係り、特に、乗客コンベアを地盤から傾斜して建築物に設置して建築物の耐震性を向上させる建築物耐震用の乗客コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベア装置において、地震時の建築物の揺れに対しては、例えば特許文献1に示すような対策が講じられている。即ち、地震時の建築物の揺れによる離れた階床間の距離の拡大変位によって乗客コンベア装置が落下しないように、乗客コンベア装置と階床との間に滑動部を設けたものである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−158585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術は、乗客コンベア装置に対する対策であり、乗客コンベア装置が設置された建築物が耐震構造となっていることが前提の技術である。そのため、地震時の際、乗客コンベア装置の落下に対しての対策を講じても、建築物が揺れによって損傷しては意味のない対策となる。
【0005】
本発明の目的は、建築物に対する耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明は、乗客コンベアの枠体の上端部を建築物に設けられた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したのである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、乗客コンベアの枠体の上端部を建築物に固定し、下端部を地盤に固定することで、建築物の地震時の揺れに対して乗客コンベアが損傷されるまで抑制することができ、その結果、建築物の耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を得ることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第1の実施の形態を図1〜図5に示すエスカレーター装置について説明する。ここに示すエスカレーター装置1は、駅舎のホーム(地盤)2と、ホーム2から支持体3を介して支持された橋上通路(建築物)4間に跨って設置されるものである。
【0009】
そして、エスカレーター装置1は、地盤であるホーム2の床面2Fと建築物である橋上通路4の床面4Fに跨って、枠体5を設置している。
【0010】
この枠体5は、図5に示すように、左右一対の側枠6A,6Bと、これら側枠6A,6Bを連結する連結梁7とを備えている。そして前記側枠6A,6Bは、長手方向に延在する上弦材8A,8Bと、この上弦材8A,8Bの下方に間隔をおいて配置された下弦材9A,9Bと、これら上弦材8A,8Bと下弦材9A,9Bとを連結する連結部材10A,10Bとを備えている。
【0011】
このように構成された枠体5は、図4に示すように、傾斜区間L1と、この傾斜区間L1の上端部に連なる上水平区間L2と、傾斜区間L1の下端部に連なる下水平区間L3とを有している。
【0012】
このように構成された枠体5の下水平区間L3は、前記ホーム2に設けたピット2P内に収納され、その端部を床面2Fの近傍に係合し、上水平区間L2の端部は橋上通路4の床面4Fの近傍に係合している。そして、このような枠体5内には無端状に連結された複数の踏板11が図示しない駆動手段によって回動できるように案内されている。この踏板11の両側に沿った前記側枠6A,6Bには、夫々欄干パネル12が立設され、この欄干パネル12の周縁に沿って前記踏板11と同期して駆動される移動手摺13が案内されている。
【0013】
このように構成された枠体5の上端部、具体的には、枠体5の傾斜区間L1の上端部を、強度部材である前記橋上通路4の支持体3に、連結手段であるワイヤロープ16を介して連結している。詳細には、枠体5の傾斜区間L1における左右一対の下弦材9A,9Bの上端部に跨って連結座17を固定し、この連結座17と前記支持体3に夫々アイボルト18A,18Bを連結し、これらアイボルト18A,18B間にワイヤロープ16を通して張力を加えたものである。尚、ワイヤロープ16の代わりにチェーンや連結棒を用いてもよい。
【0014】
さらに、枠体5の下端部、具体的には、枠体5の傾斜区間L1の下端部でホーム2に設けたピット2P内に収納された部分を、固定具19に固定している。さらに詳しく説明すると、図3に示すように、ピット2P内に、枠体5の傾斜区間L1と同じ傾斜の取付け面19Sを有する固定具19を固定し、この取付け面19Sと対向する枠体5の傾斜区間L1の下端に固定座20を設け、これら固定座20と取付け面19Sとをボルトやナットあるいは溶接等の周知の固定手段21で固定している。
【0015】
以上説明したように、エスカレーター装置1の枠体5の上端部を支持体3に連結手段(16,18A,18B)を介して連結し、枠体5の下端部を固定手段21を介してホーム2に固定することで、地震時に橋上通路4が揺れようとしても、その揺れはエスカレーター装置1の枠体5が強度部材となって抑制される。その結果、橋上通路4の耐震性は向上する。
【0016】
ところで、上記実施の形態においては、震度が小さい地震時には、エスカレーター装置1によって建築物(橋上通路4)の揺れにある程度耐えるが、震度が大きい地震時には、建築物(橋上通路4)の揺れを抑制することで、エスカレーター装置1の枠体5には大きな力が作用し、枠体5を変形させようとする。
【0017】
このように、エスカレーター装置1の枠体5には大きな力が作用することが十分に予想される場合には、図6及び図7の第1変形例に示すように、枠体5を補強すればよい。尚、図1〜図5と同符号は、同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0018】
即ち、建築物(橋上通路4)の揺れによって圧縮力や引張力が集中し易い枠体5の上屈曲部P1と下屈曲部P2とを、上水平区間L2から傾斜区間L1の一部にかけて上補強板22A,22Bを設けると共に、下水平区間L3から傾斜区間L1の一部にかけて下補強板23A,23Bを設けるのである。
【0019】
これら上補強板22A,22B及び下補強板23A,23Bは、各側枠6A,6Bの幅寸法Wを超えてエスカレーター装置1の構成部品の設置に支障が生じては問題となるので、図7に示すように、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの幅寸法W内に位置するように、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bと略同じ厚さの板材を用いている。
【0020】
そして、上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bは、高さ方向に延在して上弦材8A,8Bの下縁と下弦材9A,9Bの上縁に跨って溶接して連結されると共に、必要に応じて、連結部材10A,10Bにも溶接により連結されている。
【0021】
このように、枠体5の上屈曲部P1と下屈曲部P2を補強することで、地震によって橋上通路4が大きく横揺れしようとしても、その圧縮力や引張力による曲げに対して上屈曲部P1と下屈曲部P2は変形することはない。その結果、エスカレーター装置1の枠体5によって橋上通路4の横揺れを防止することができ、橋上通路4の耐震性を向上させることができる。逆を云えば、エスカレーター装置1によって橋上通路4の耐震性が向上するので、橋上通路4の支持体3は、垂直荷重を重点に設計をすればよく、したがって、支持体3の設計施工を簡単にすることが可能となる。
【0022】
さらに、枠体5の上水平区間L2と下水平区間L3を建築物である橋上通路4に連結及び固定せずに、枠体5の傾斜区間L1の上下端部を建築物である橋上通路4の支持体3及びホーム2に直接連結及び固定することで、上水平区間L2と下水平区間L3には橋上通路4の横揺れに起因する圧縮力や引張力が作用することがなくなり、したがって、枠体5の上屈曲部P1及び下屈曲部P2には大きな曲げ応力は作用しなくなる。その結果、場合によっては上補強板22A,22Bの機械的強度を下げたり、あるいは省略したりすることが可能となる。
【0023】
図8及び図9は、枠体5の第2変形例を示すもので、枠体5の上下端部を橋上通路4及びホーム2に連結及び固定するための補強構成であり、図1〜図7に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0024】
第2変形例において、第1の実施の形態と異なる構成は、夫々の側枠6A,6Bの傾斜区間L1における上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強された以外の部分をさらに補強して建築物の耐震性を向上させるものである。
【0025】
即ち、上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強された以外の傾斜区間L1の各側枠6A,6Bにおいて、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの下縁及び上縁に、上縁側中間補強板24A,24Bと下縁側中間補強板25A,25Bを、上補強板22A,22B及び下補強板23A,23Bと同じ方法で連結したのである。
【0026】
このように、上縁側中間補強板24A,24Bと下縁側中間補強板25A,25Bを、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの下縁及び上縁に連結することで、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの断面積が結果的に増加したこととなる。
【0027】
その結果、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの傾斜区間L1における強度を向上させることができるのは勿論のこと、上屈曲部P1及び下屈曲部P2も上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強できるので、さらに圧縮力と引張力に強い枠体5を得ることができ、建築物(橋上通路4)の耐震性をさらに向上させることができる。
【0028】
図10は、図8及び図9をさらに変形させた枠体5の第3変形例を示すもので、図1〜図9に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0029】
この第3変形例においては、枠体5の上屈曲部P1の圧縮力に対する強度をさらに向上させる構成として、上屈曲部P1の内側に、上水平区間L2における下弦材9A,9Bと傾斜区間L1における下弦材9A,9Bとに跨って、補強梁26を設け、この補強梁26と下弦材9A,9Bとの間を補助補強板27で塞ぐか、上補強板22A,22Bを補強梁26まで延在させて補強梁26と下弦材9A,9Bとの間を塞ぐようにしたものである。
【0030】
このように、補強梁26を設けることで、枠体5に圧縮力が作用して上屈曲部P1を内側に曲げようとしても、補強梁26及び補助補強板27さらには上補強板22A,22Bによってその曲げに対抗することができ、結果的に、枠体5の強度を向上させて建築物の揺れを抑制することができる。
【0031】
図11は、本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第2の実施の形態を示すもので、図1〜図10に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施の形態は、枠体5の上水平区間L2の端部における左右一対の側枠6A,6Bに跨って、連結座28を設けると共に、この連結座28と橋上通路4の強度梁29とに夫々アイボルト18A,18Bを設け、これらアイボルト18A,18B間を連結具30で連結したものである。
【0033】
即ち、第1の実施の形態は、枠体5の傾斜区間L1における上端部の下方と支持体3との間をワイヤロープ16で連結したものであるが、第2の実施の形態においては、枠体5の上水平区間L2の端部と強度部材である橋上通路4の強度梁29との間を連結具30で連結したものであり、第1の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0034】
尚、第2の実施の形態においても、建築物の規模に応じて、枠体5に、上補強板22A,22B、下補強板23A,23B、上縁側中間補強板24A,24B、下縁側中間補強板25A,25B、補強梁26、補助補強板27を全て備えたり、選択的に備えたりすることは可能である。
【0035】
図12は、図10の第3変形例をさらに変形させた枠体5の第4変形例を示すもので、図1〜図11に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施の形態において、第3変形例と異なる構成は、下屈曲部P2に下補強板を設ける代わりに、傾斜区間L1に設けられた上縁側中間補強板19A,19Bと下縁側中間補強板20A,20Bを下水平区間L3の端部にまで延在させて設けたのである。
【0037】
ただ本変形例においては、枠体5の下端部が傾斜区間L1の下端においてピット2P内に固定されていることが前提である。即ち、枠体5の下端部が傾斜区間L1の下端においてピット2P内に固定されていると云うことは、枠体5の長手方向に圧縮力と引張力が加わっても、傾斜区間L1と下水平区間L3との境界の下屈曲部P2には、この下屈曲部P2を変形させるような力は加わることはなく、したがって、重量が嵩む大掛かりな下補強板を設置する必要はなく、軽量な上縁側中間補強板19A,19Bと下縁側中間補強板20A,20Bで十分に対応することができるからである。
【0038】
しかし、各実施の形態において、枠体5の下水平区間L3が地盤に固定される場合には、下屈曲部P2を変形させる力が作用するので、下補強板を設置する必要がある。
【0039】
本実施の形態によっても上記各実施の形態と略同じような効果を奏することができる。
【0040】
以上説明したように本発明によれば、エスカレーター装置1の枠体5の上端部を、建築物である橋上通路4の強度部材である支持体3や強度梁29に連結した上で、枠体5の下端部を地盤(ホーム2)に固定することで、結果的に、橋上通路(建築物)4はエスカレーター装置1の枠体5で支えられることになり、橋上通路4の耐震性を向上することができる。
【0041】
ところで、上記各実施の形態は、乗客コンベア装置としてエスカレーター装置を説明したが、エスカレーター装置に特定されるものではなく、傾斜して設置される電動道路にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第1の実施の形態を示すエスカレーター装置の全体を示す概略側面図。
【図2】図1のエスカレーター装置の枠体の上端部近傍を示す拡大側面図。
【図3】図1のエスカレーター装置の枠体の下端部近傍を示す拡大側面図。
【図4】図1のエスカレーター装置の枠体の全体を示す側面図。
【図5】図4のA−A線に沿う拡大断面図。
【図6】図4の枠体の第1変形例を示す側面図。
【図7】図6のB−B線に沿う拡大断面図。
【図8】図4の枠体の第2変形例を示す側面図。
【図9】図8のB−B線に沿う拡大断面図。
【図10】第2変形例をさらに変形した第3変形例を示す図8相当図。
【図11】本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第2の実施の形態を示すエスカレーター装置の枠体の上端部を示す図1相当図。
【図12】第3変形例をさらに変形させた第4変形例を示す図3相当図。
【符号の説明】
【0043】
1…エスカレーター装置、2…ホーム(地盤)、2F…床面、3…支持体、4…橋上通路(建築物)、4F…床面、5…枠体、6A,6B…側枠、7…連結梁、8A,8B…上弦材、9A,9B…下弦材、10A,10B…連結部材、11…踏板、12…欄干パネル、13…移動手摺、16…ワイヤロープ、17,28…連結座、18A,18B…アイボルト、19…固定具、19S…取付け面、20…固定座、21…固定手段、22A,22B…上補強板、23A,23B…下補強板、24A,24B…上縁側中間補強板、25A,25B…下縁側中間補強板、26…補強梁、27…補助補強板、29…強度梁、30…連結具、P1…上屈曲部、P2…下屈曲部、L1…傾斜区間、L2…上水平区間、L3…下水平区間。
【技術分野】
【0001】
本発明はエスカレーターや傾斜型電動道路等の乗客コンベアを設置して建築物の耐震性を向上させる建築物耐震用の乗客コンベア装置に係り、特に、乗客コンベアを地盤から傾斜して建築物に設置して建築物の耐震性を向上させる建築物耐震用の乗客コンベア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベア装置において、地震時の建築物の揺れに対しては、例えば特許文献1に示すような対策が講じられている。即ち、地震時の建築物の揺れによる離れた階床間の距離の拡大変位によって乗客コンベア装置が落下しないように、乗客コンベア装置と階床との間に滑動部を設けたものである。
【0003】
【特許文献1】特開2001−158585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示の技術は、乗客コンベア装置に対する対策であり、乗客コンベア装置が設置された建築物が耐震構造となっていることが前提の技術である。そのため、地震時の際、乗客コンベア装置の落下に対しての対策を講じても、建築物が揺れによって損傷しては意味のない対策となる。
【0005】
本発明の目的は、建築物に対する耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明は、乗客コンベアの枠体の上端部を建築物に設けられた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したのである。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、乗客コンベアの枠体の上端部を建築物に固定し、下端部を地盤に固定することで、建築物の地震時の揺れに対して乗客コンベアが損傷されるまで抑制することができ、その結果、建築物の耐震性を向上し得る建築物耐震用の乗客コンベア装置を得ることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第1の実施の形態を図1〜図5に示すエスカレーター装置について説明する。ここに示すエスカレーター装置1は、駅舎のホーム(地盤)2と、ホーム2から支持体3を介して支持された橋上通路(建築物)4間に跨って設置されるものである。
【0009】
そして、エスカレーター装置1は、地盤であるホーム2の床面2Fと建築物である橋上通路4の床面4Fに跨って、枠体5を設置している。
【0010】
この枠体5は、図5に示すように、左右一対の側枠6A,6Bと、これら側枠6A,6Bを連結する連結梁7とを備えている。そして前記側枠6A,6Bは、長手方向に延在する上弦材8A,8Bと、この上弦材8A,8Bの下方に間隔をおいて配置された下弦材9A,9Bと、これら上弦材8A,8Bと下弦材9A,9Bとを連結する連結部材10A,10Bとを備えている。
【0011】
このように構成された枠体5は、図4に示すように、傾斜区間L1と、この傾斜区間L1の上端部に連なる上水平区間L2と、傾斜区間L1の下端部に連なる下水平区間L3とを有している。
【0012】
このように構成された枠体5の下水平区間L3は、前記ホーム2に設けたピット2P内に収納され、その端部を床面2Fの近傍に係合し、上水平区間L2の端部は橋上通路4の床面4Fの近傍に係合している。そして、このような枠体5内には無端状に連結された複数の踏板11が図示しない駆動手段によって回動できるように案内されている。この踏板11の両側に沿った前記側枠6A,6Bには、夫々欄干パネル12が立設され、この欄干パネル12の周縁に沿って前記踏板11と同期して駆動される移動手摺13が案内されている。
【0013】
このように構成された枠体5の上端部、具体的には、枠体5の傾斜区間L1の上端部を、強度部材である前記橋上通路4の支持体3に、連結手段であるワイヤロープ16を介して連結している。詳細には、枠体5の傾斜区間L1における左右一対の下弦材9A,9Bの上端部に跨って連結座17を固定し、この連結座17と前記支持体3に夫々アイボルト18A,18Bを連結し、これらアイボルト18A,18B間にワイヤロープ16を通して張力を加えたものである。尚、ワイヤロープ16の代わりにチェーンや連結棒を用いてもよい。
【0014】
さらに、枠体5の下端部、具体的には、枠体5の傾斜区間L1の下端部でホーム2に設けたピット2P内に収納された部分を、固定具19に固定している。さらに詳しく説明すると、図3に示すように、ピット2P内に、枠体5の傾斜区間L1と同じ傾斜の取付け面19Sを有する固定具19を固定し、この取付け面19Sと対向する枠体5の傾斜区間L1の下端に固定座20を設け、これら固定座20と取付け面19Sとをボルトやナットあるいは溶接等の周知の固定手段21で固定している。
【0015】
以上説明したように、エスカレーター装置1の枠体5の上端部を支持体3に連結手段(16,18A,18B)を介して連結し、枠体5の下端部を固定手段21を介してホーム2に固定することで、地震時に橋上通路4が揺れようとしても、その揺れはエスカレーター装置1の枠体5が強度部材となって抑制される。その結果、橋上通路4の耐震性は向上する。
【0016】
ところで、上記実施の形態においては、震度が小さい地震時には、エスカレーター装置1によって建築物(橋上通路4)の揺れにある程度耐えるが、震度が大きい地震時には、建築物(橋上通路4)の揺れを抑制することで、エスカレーター装置1の枠体5には大きな力が作用し、枠体5を変形させようとする。
【0017】
このように、エスカレーター装置1の枠体5には大きな力が作用することが十分に予想される場合には、図6及び図7の第1変形例に示すように、枠体5を補強すればよい。尚、図1〜図5と同符号は、同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0018】
即ち、建築物(橋上通路4)の揺れによって圧縮力や引張力が集中し易い枠体5の上屈曲部P1と下屈曲部P2とを、上水平区間L2から傾斜区間L1の一部にかけて上補強板22A,22Bを設けると共に、下水平区間L3から傾斜区間L1の一部にかけて下補強板23A,23Bを設けるのである。
【0019】
これら上補強板22A,22B及び下補強板23A,23Bは、各側枠6A,6Bの幅寸法Wを超えてエスカレーター装置1の構成部品の設置に支障が生じては問題となるので、図7に示すように、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの幅寸法W内に位置するように、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bと略同じ厚さの板材を用いている。
【0020】
そして、上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bは、高さ方向に延在して上弦材8A,8Bの下縁と下弦材9A,9Bの上縁に跨って溶接して連結されると共に、必要に応じて、連結部材10A,10Bにも溶接により連結されている。
【0021】
このように、枠体5の上屈曲部P1と下屈曲部P2を補強することで、地震によって橋上通路4が大きく横揺れしようとしても、その圧縮力や引張力による曲げに対して上屈曲部P1と下屈曲部P2は変形することはない。その結果、エスカレーター装置1の枠体5によって橋上通路4の横揺れを防止することができ、橋上通路4の耐震性を向上させることができる。逆を云えば、エスカレーター装置1によって橋上通路4の耐震性が向上するので、橋上通路4の支持体3は、垂直荷重を重点に設計をすればよく、したがって、支持体3の設計施工を簡単にすることが可能となる。
【0022】
さらに、枠体5の上水平区間L2と下水平区間L3を建築物である橋上通路4に連結及び固定せずに、枠体5の傾斜区間L1の上下端部を建築物である橋上通路4の支持体3及びホーム2に直接連結及び固定することで、上水平区間L2と下水平区間L3には橋上通路4の横揺れに起因する圧縮力や引張力が作用することがなくなり、したがって、枠体5の上屈曲部P1及び下屈曲部P2には大きな曲げ応力は作用しなくなる。その結果、場合によっては上補強板22A,22Bの機械的強度を下げたり、あるいは省略したりすることが可能となる。
【0023】
図8及び図9は、枠体5の第2変形例を示すもので、枠体5の上下端部を橋上通路4及びホーム2に連結及び固定するための補強構成であり、図1〜図7に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0024】
第2変形例において、第1の実施の形態と異なる構成は、夫々の側枠6A,6Bの傾斜区間L1における上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強された以外の部分をさらに補強して建築物の耐震性を向上させるものである。
【0025】
即ち、上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強された以外の傾斜区間L1の各側枠6A,6Bにおいて、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの下縁及び上縁に、上縁側中間補強板24A,24Bと下縁側中間補強板25A,25Bを、上補強板22A,22B及び下補強板23A,23Bと同じ方法で連結したのである。
【0026】
このように、上縁側中間補強板24A,24Bと下縁側中間補強板25A,25Bを、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの下縁及び上縁に連結することで、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの断面積が結果的に増加したこととなる。
【0027】
その結果、上弦材8A,8B及び下弦材9A,9Bの傾斜区間L1における強度を向上させることができるのは勿論のこと、上屈曲部P1及び下屈曲部P2も上補強板22A,22Bと下補強板23A,23Bで補強できるので、さらに圧縮力と引張力に強い枠体5を得ることができ、建築物(橋上通路4)の耐震性をさらに向上させることができる。
【0028】
図10は、図8及び図9をさらに変形させた枠体5の第3変形例を示すもので、図1〜図9に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0029】
この第3変形例においては、枠体5の上屈曲部P1の圧縮力に対する強度をさらに向上させる構成として、上屈曲部P1の内側に、上水平区間L2における下弦材9A,9Bと傾斜区間L1における下弦材9A,9Bとに跨って、補強梁26を設け、この補強梁26と下弦材9A,9Bとの間を補助補強板27で塞ぐか、上補強板22A,22Bを補強梁26まで延在させて補強梁26と下弦材9A,9Bとの間を塞ぐようにしたものである。
【0030】
このように、補強梁26を設けることで、枠体5に圧縮力が作用して上屈曲部P1を内側に曲げようとしても、補強梁26及び補助補強板27さらには上補強板22A,22Bによってその曲げに対抗することができ、結果的に、枠体5の強度を向上させて建築物の揺れを抑制することができる。
【0031】
図11は、本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第2の実施の形態を示すもので、図1〜図10に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施の形態は、枠体5の上水平区間L2の端部における左右一対の側枠6A,6Bに跨って、連結座28を設けると共に、この連結座28と橋上通路4の強度梁29とに夫々アイボルト18A,18Bを設け、これらアイボルト18A,18B間を連結具30で連結したものである。
【0033】
即ち、第1の実施の形態は、枠体5の傾斜区間L1における上端部の下方と支持体3との間をワイヤロープ16で連結したものであるが、第2の実施の形態においては、枠体5の上水平区間L2の端部と強度部材である橋上通路4の強度梁29との間を連結具30で連結したものであり、第1の実施の形態と同等の効果を奏することができる。
【0034】
尚、第2の実施の形態においても、建築物の規模に応じて、枠体5に、上補強板22A,22B、下補強板23A,23B、上縁側中間補強板24A,24B、下縁側中間補強板25A,25B、補強梁26、補助補強板27を全て備えたり、選択的に備えたりすることは可能である。
【0035】
図12は、図10の第3変形例をさらに変形させた枠体5の第4変形例を示すもので、図1〜図11に示す符号と同一符号は同一構成部品を示すので、再度の詳細な説明は省略する。
【0036】
本実施の形態において、第3変形例と異なる構成は、下屈曲部P2に下補強板を設ける代わりに、傾斜区間L1に設けられた上縁側中間補強板19A,19Bと下縁側中間補強板20A,20Bを下水平区間L3の端部にまで延在させて設けたのである。
【0037】
ただ本変形例においては、枠体5の下端部が傾斜区間L1の下端においてピット2P内に固定されていることが前提である。即ち、枠体5の下端部が傾斜区間L1の下端においてピット2P内に固定されていると云うことは、枠体5の長手方向に圧縮力と引張力が加わっても、傾斜区間L1と下水平区間L3との境界の下屈曲部P2には、この下屈曲部P2を変形させるような力は加わることはなく、したがって、重量が嵩む大掛かりな下補強板を設置する必要はなく、軽量な上縁側中間補強板19A,19Bと下縁側中間補強板20A,20Bで十分に対応することができるからである。
【0038】
しかし、各実施の形態において、枠体5の下水平区間L3が地盤に固定される場合には、下屈曲部P2を変形させる力が作用するので、下補強板を設置する必要がある。
【0039】
本実施の形態によっても上記各実施の形態と略同じような効果を奏することができる。
【0040】
以上説明したように本発明によれば、エスカレーター装置1の枠体5の上端部を、建築物である橋上通路4の強度部材である支持体3や強度梁29に連結した上で、枠体5の下端部を地盤(ホーム2)に固定することで、結果的に、橋上通路(建築物)4はエスカレーター装置1の枠体5で支えられることになり、橋上通路4の耐震性を向上することができる。
【0041】
ところで、上記各実施の形態は、乗客コンベア装置としてエスカレーター装置を説明したが、エスカレーター装置に特定されるものではなく、傾斜して設置される電動道路にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第1の実施の形態を示すエスカレーター装置の全体を示す概略側面図。
【図2】図1のエスカレーター装置の枠体の上端部近傍を示す拡大側面図。
【図3】図1のエスカレーター装置の枠体の下端部近傍を示す拡大側面図。
【図4】図1のエスカレーター装置の枠体の全体を示す側面図。
【図5】図4のA−A線に沿う拡大断面図。
【図6】図4の枠体の第1変形例を示す側面図。
【図7】図6のB−B線に沿う拡大断面図。
【図8】図4の枠体の第2変形例を示す側面図。
【図9】図8のB−B線に沿う拡大断面図。
【図10】第2変形例をさらに変形した第3変形例を示す図8相当図。
【図11】本発明による建築物耐震用の乗客コンベア装置の第2の実施の形態を示すエスカレーター装置の枠体の上端部を示す図1相当図。
【図12】第3変形例をさらに変形させた第4変形例を示す図3相当図。
【符号の説明】
【0043】
1…エスカレーター装置、2…ホーム(地盤)、2F…床面、3…支持体、4…橋上通路(建築物)、4F…床面、5…枠体、6A,6B…側枠、7…連結梁、8A,8B…上弦材、9A,9B…下弦材、10A,10B…連結部材、11…踏板、12…欄干パネル、13…移動手摺、16…ワイヤロープ、17,28…連結座、18A,18B…アイボルト、19…固定具、19S…取付け面、20…固定座、21…固定手段、22A,22B…上補強板、23A,23B…下補強板、24A,24B…上縁側中間補強板、25A,25B…下縁側中間補強板、26…補強梁、27…補助補強板、29…強度梁、30…連結具、P1…上屈曲部、P2…下屈曲部、L1…傾斜区間、L2…上水平区間、L3…下水平区間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項2】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下水平区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項3】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上水平区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項4】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の前記傾斜区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の前記傾斜区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項5】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体を構成する左右一対の側枠の前記上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に対応する位置に、夫々側枠の高さ方向に延在する上補強板と下補強板を設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項6】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体は上弦材と下弦材とこれらを連結する連結部材とで構成した左右一対の側枠と、これら左右の側枠を連結する連結梁とで構成した枠体とで構成され、この枠体の長手方向に屈曲する上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に、前記上弦材と下弦材に跨る上補強板と下補強板を設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項7】
左右一対の側枠を有し傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体と、前記左右一対の側枠の前記上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に夫々側枠の高さ方向に延在して設けられた上補強板と下補強板とを備えた乗客コンベアを構成し、この乗客コンベアを地盤と建築物との間に傾斜して設置し、かつ、前記枠体の前記傾斜区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項8】
前記上補強板と下補強板との間の前記側枠の上縁及び下縁に沿って上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とを設けたことを特徴とする請求項5,6又は7記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項9】
前記側枠は、前記上屈曲部の内側に前記傾斜区間から上水平区間に跨る強度梁を有することを特徴とする請求項5,6又は7記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項10】
前記上補強板は、前記補強梁まで延在されていることを特徴とする請求項9記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項11】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成された上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体を構成する左右一対の側枠の前記上屈曲部を含む上水平部に対応する位置に、夫々側枠の高さ方向に延在する上補強板を設けると共に、前記傾斜区間から下水平区間に至る左右の側枠の上弦材と下弦材とに上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とを設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とで補強された前記傾斜区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用乗客コンベア装置。
【請求項1】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項2】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下水平区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項3】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の上水平区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項4】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体の前記傾斜区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の前記傾斜区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項5】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体を構成する左右一対の側枠の前記上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に対応する位置に、夫々側枠の高さ方向に延在する上補強板と下補強板を設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項6】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体は上弦材と下弦材とこれらを連結する連結部材とで構成した左右一対の側枠と、これら左右の側枠を連結する連結梁とで構成した枠体とで構成され、この枠体の長手方向に屈曲する上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に、前記上弦材と下弦材に跨る上補強板と下補強板を設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項7】
左右一対の側枠を有し傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成した上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体と、前記左右一対の側枠の前記上屈曲部及び下屈曲部を含む上水平区間及び下水平区間に夫々側枠の高さ方向に延在して設けられた上補強板と下補強板とを備えた乗客コンベアを構成し、この乗客コンベアを地盤と建築物との間に傾斜して設置し、かつ、前記枠体の前記傾斜区間の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項8】
前記上補強板と下補強板との間の前記側枠の上縁及び下縁に沿って上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とを設けたことを特徴とする請求項5,6又は7記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項9】
前記側枠は、前記上屈曲部の内側に前記傾斜区間から上水平区間に跨る強度梁を有することを特徴とする請求項5,6又は7記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項10】
前記上補強板は、前記補強梁まで延在されていることを特徴とする請求項9記載の建築物耐震用の乗客コンベア装置。
【請求項11】
地盤から傾斜して設置した乗客コンベアによって建築物の耐震性を向上させるように構成した建築物耐震用の乗客コンベア装置において、前記乗客コンベアは、傾斜区間と上水平区間との間及び傾斜区間と下水平区間との間に形成された上屈曲部及び下屈曲部を有する枠体を備え、この枠体を構成する左右一対の側枠の前記上屈曲部を含む上水平部に対応する位置に、夫々側枠の高さ方向に延在する上補強板を設けると共に、前記傾斜区間から下水平区間に至る左右の側枠の上弦材と下弦材とに上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とを設け、かつ、枠体の上端部を前記建築物に設けた強度部材に連結手段を介して固定すると共に、この枠体の上縁側中間補強板と下縁側中間補強板とで補強された前記傾斜区間の下端部を前記地盤に形成したピット内に固定手段を介して固定したことを特徴とする建築物耐震用乗客コンベア装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−195475(P2008−195475A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30691(P2007−30691)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000221616)東日本旅客鉄道株式会社 (833)
【Fターム(参考)】
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