説明

建築物

【課題】 通気・換気機能を何等損なうことなく構成の簡略化、スペースの有効利用、工期の短縮、コストの低減を図ることが可能な建築物を提供すること。
【解決手段】 中空形状をなす複数本の柱材と、中空形状をなす複数本の梁材と、上記柱材と梁材或いは梁材同士或いは柱材同士を連結する中空形状のジョイント具と、を具備し、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路として使用するように構成したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に係り、特に、複数本の柱材と梁材を中空構造とすると共にそれら柱材や梁材を連結するためのジョイント具を中空構造とし、それら各中空部を連通させて通気路として使用することができるように構成し、例えば、その通気路内に冷気又は暖気を流通させて冷房又は暖房を行うことができるように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建築物、例えば、住宅の構造を開示するものとして特許文献1等がある。
【特許文献1】特開平11−36469号公報
【0003】
上記特許文献1に開示されている住宅は概略次のような構成をなしている。まず、複数の建物ユニットがあり、これら複数の建物ユニットは複数本の柱材と梁材等から構成されている。それら複数の建物ユニットを適宜の組み合わせにて接合することにより住宅の基本構造が構築される。
【0004】
又、上記建物ユニットとは別に適宜のルートで通気・換気用ダクトが設置されていて、このような通気・換気用ダクトを使用して住宅内の通気・換気を行うように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、従来の建築物の場合には、柱材や梁材から構成された住宅の基本構造とは別に、通気・換気用のダクトや配管が必要であり、それによって、構成が複雑化してしまうと共に使用可能なスペースが狭隘化してしまうという問題があった。
又、住宅の基本構造の構築とは別に通気・換気用のダクトや配管の敷設工事が必要になってしまうので、工期が長期化してしまうとともに多くの工数を必要としてしまうという問題があった。
【0006】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、通気・換気機能を何等損なうことなく構成の簡略化、スペースの有効利用、工期の短縮、コストの低減を図ることが可能な建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく本願発明の請求項1による建築物は、中空形状をなす複数本の柱材と、中空形状をなす複数本の梁材と、上記柱材と梁材或いは梁材同士或いは柱材同士を連結する中空形状のジョイント具と、を具備し、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路として使用するように構成したことを特徴とするものである。
又、請求項2による建築物は、請求項1記載の建築物において、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路としそこに冷気又は暖気を流通させて冷房又は暖房を行うように構成したことを特徴とするものである。
又、請求項3による建築物は、請求項1又は請求項2記載の建築物において、 上記複数本の梁材は複数本の天井梁材と複数本の床梁材であることを特徴とするものである。
又、請求項4による建築物は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の建築物において、上記梁材は二つ割り構造をなしていて、一対の梁材要素を対向・配置して接合した構成になっていることを特徴とするものである。
又、請求項5による建築物は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、上記ジョイント具は、ジョイント具本体と、上記ジョイント具本体より張り出され上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されていることを特徴とするものである。
又、請求項6による建築物は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、上記ジョイント具は、上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように本願発明の請求項1による建築物は、中空形状をなす複数本の柱材と、中空形状をなす複数本の梁材と、上記柱材と梁材或いは梁材同士或いは柱材同士を連結する中空形状のジョイント具と、を具備し、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路として使用するように構成したので、従来のように、別途ダクトや配管を設けることなく所望の通気機能を発揮させることができる。よって、建築物としての構成を簡略化させてスペースの有効利用を図ることができる。又、別途通気用のダクトや配管を敷設する必要がないので、工期の短縮化と工数の軽減を図ることができる。
又、請求項2による建築物は、請求項1記載の建築物において、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路として使用し、そこに冷気又は暖気を流通させて冷房又は暖房を行うように構成したので、又、別途暖房用のダクトや配管を敷設する必要がないので、工期の短縮化と工数の軽減を図ることができる等、上記効果を確実に得ることができる。
又、請求項3による建築物は、請求項1又は請求項2記載の建築物において、 上記複数本の梁材は複数本の天井梁材と複数本の床梁材であるので、建築物全体を通気範囲としてカバーすることができる。
又、請求項4による建築物は、請求項1〜請求項3の何れかに記載の建築物において、上記梁材は二つ割り構造をなしていて、一対の梁材要素を対向・配置して接合した構成になっているので、各種ジョイント具を使用した連結作業も簡単である。又、複数本の天井梁材3と複数本の床梁材21は基本的には同じ形状で、且つ、二つ割りの構造になっているので、その製作も容易である。
又、請求項5による建築物は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、上記ジョイント具は、ジョイント具本体と、上記ジョイント具本体より張り出され上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されているので、連結作業も容易である。
又、請求項6による建築物は、請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、上記ジョイント具は、上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されているので、連結作業も容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図1乃至図17を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。本実施の形態は本願発明を住宅に適用した例を示すものである。図1は住宅の骨組構造を示す平面図であり、複数本の柱材1と複数本の天井梁材3が露出されている。又、この実施の形態における住宅は、玄関5と、居間7と、台所9と、浴室11と、トイレ13と、2つの洋間15、17を備えた構造になっている。
【0010】
又、図1をII−II方向から視た矢視図を図2に示す。複数本の柱材1の下部には床梁材21が設置されている。又、床梁材21の下であって上記複数本の柱材1に対応する位置には基礎23が夫々設置されている。又、上記複数本の天井梁材3の上には支持部材25を介して屋根材27が設置されている。
【0011】
又、図2のIII−III断面を図3に示す。図3に示すように、床梁材21の間には複数本の支持部材27が設置されている。上記複数本の床梁材21と複数本の支持部材27の上に図示しない床材を設置することになる。
【0012】
又、図2及び図4に示すように、柱材1と柱材1との間であって天井梁材3と床梁材21とによって形成される任意の空間には、ブレース31、33が張設されている。これらブレース31、33はいわゆる「筋かい」としての機能を発揮する構造材であり、建築物に要求される強度に応じて適所に設置されるものである。
以上が本実施の形態による建築物の概略構成である。以下、各部の構成を詳細に説明する。
【0013】
まず、図1におけるV部の構成を説明する。V部は柱材1と三方に延長された天井梁材3との連結部である。V部の拡大図を図5に示す。又、図6は図5のVI−VI矢視図である。又、図7はV部の構成を示す分解斜視図である。まず、柱材1であるが、図5〜図7に示すように、中空形状をなしていて、その横断面形状は略正方形である。又、天井梁材3であるが、二分割構成になっていて、略U字形状をなす天井梁材要素41、41を接合・固定した構成になっている。
【0014】
上記天井梁材要素41の横断面形状は図6に示すようなものであり、略U字形状をなしていて、いわゆる「チャンネル部材」に似た形状をなしている。又、天井梁材要素41の端部には段付係合部43が形成されている。一対の天井梁材要素41、41は対向・配置されていて、且つ、夫々の段付係合部43、43を係合させた状態で接合・固定されている。
【0015】
上記接合・固定であるが、図7に示すように、まず、ジョイント具45があり、このジョイント具45は、ジョイント具本体47と、このジョイント具本体47より三方に夫々張り出された天井梁材用差込部49と、一方に張り出された柱材用差込部51とから構成されている。上記天井梁材用差込部49を対向・配置された一対の天井梁材要素41、41間に挿入し、その状態で、図5及び図6に示すように、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト53を螺合させる。すなわち、上記天井梁材用差込部49側には所定箇所に雌ねじ部49aが形成されていると共に一対の天井梁材要素41、41には貫通孔41aが形成されている。よって、上記固定ボルト53を上記貫通孔41aを介して上記雌ねじ部49aに螺合させるものである。それによって、一対の天井梁材要素41、41と1個の天井梁材用差込部49が接合・固定されることになる。
同様の構造によって、残り二方向に張り出された天井梁材用差込部49を対応する一対の天井梁材要素41、41間に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト53を螺合させる。それによって、一対の天井梁材要素41、41と1個の天井梁材用差込部49が接合・固定されることになる。
又、図6に示すように、固定ボルト53の先端は雌ねじ部49aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具45の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
【0016】
又、一方に張り出された柱材用差込部51を柱材1内に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト53を螺合させる。すなわち、上記柱材用差込部51側には所定箇所に雌ねじ部51aが形成されていると共に柱材1には貫通孔1aが形成されている。よって、上記固定ボルト53を上記貫通孔1aを介して上記雌ねじ部51aに螺合させるものである。それによって、柱材1と柱材用差込部51とが接合・固定されることになる。
又、図5に示すように、固定ボルト53の先端は雌ねじ部51aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具45の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
【0017】
次に、図3におけるVIII部の構成を示す。VIII部は柱材1と三方に延長された床梁材21との連結部である。VIII部の拡大図を図8に示す。図9は図8のIX−IX矢視図、図10は図8のX−X矢視図である。
まず、床梁材21の構成から説明する。基本的には、既に説明した天井梁材3の構成と同じであり、二分割構成になっていて、床梁材要素61、61を接合・固定した構成になっている。上記床梁材要素61の横端面形状は図9に示すようなものであり、略U字形状をなしていて、いわゆる「チャンネル部材」に似た形状をなしている。又、床梁材要素61の端部には段付係合部63が形成されている。一対の床梁材要素61、61を対向・配置させ、夫々の段付係合部63、63を係合させた状態で接合・固定されている。
【0018】
上記接合・固定であるが、まず、ジョイント具65があり、このジョイント具65は、ジョイント具本体67と、このジョイント具本体67より三方に張り出された床梁材用差込部69と、一方に張り出された柱材用差込部71とから構成されている。上記床梁材用差込部69を対向・配置された一対の床梁材要素61、61間に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト73を螺合させる。それによって、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部69が接合・固定されることになる。すなわち、上記床梁材用差込部69側には雌ねじ部69aが形成されていて、一方、床梁材要素61側には貫通孔61aが形成されている。上記固定ボルト73を貫通孔61aを介して雌ねじ部69aに螺合することにより、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部69が接合・固定されることになる。
又、固定ボルト73の先端は雌ねじ部69aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具65の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
同様の構造によって、残り二方に張り出された床梁材用差込部69を対応する一対の床梁材要素61、61間に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト73を螺合させる。それによって、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部69が接合・固定されることになる。
【0019】
又、一方に張り出された柱材用差込部71を柱材1内に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト73を螺合させる。それによって、柱材1と柱材用差込部71とが接合・固定されることになる。すなわち、上記柱材用差込部71側には雌ねじ部71aが形成されていて、一方、柱材1側には貫通孔1aが形成されている。上記固定ボルト73を貫通孔1aを介して雌ねじ部71aに螺合することにより、柱材1と1個の柱材用差込部71が接合・固定されることになる。
又、固定ボルト73の先端は雌ねじ部71aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具65の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
【0020】
次に、基礎23の近傍の構成について説明する。図9及び図10に示すように、基礎23上には金属製プレート81が設置されていて、この金属製プレート81の上にはモルタル83が設置されている。このモルタル83の上にはさらに別の金属製プレート85が設置されている。上記金属製プレート85はアンカーボルト87、ナット89、91、座金93を介して基礎23側に接合・固定されている。
【0021】
又、既に説明した床梁材21と金属製プレート85との間には固定金具101が設置されている。この固定金具101はいわゆる「アングル材」のような形状をなしている。そして、この固定金具101はボルト103によって上記金属製プレート85側に固定されている。又、床梁材21に対しては、既に説明した固定ボルト73によって固定されている。
【0022】
次、図3におけるXI部の構成を説明する。XI部は柱材1と二方向に張り出された床梁材21、21との連結部である。XI部の拡大図を図11に示す。図12は図11のXII−XII矢視図、図13は図11のXIII−XIII矢視図である。
まず、ジョイント具131があり、このジョイント具131は、ジョイント具本体133と、このジョイント具本体133より二方に張り出された床梁材用差込部135と、一方に張り出された柱材用差込部137とから構成されている。上記床梁材用差込部135を対向・配置された一対の床梁材要素61、61間に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト139を螺合させる。それによって、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部135が接合・固定されることになる。すなわち、上記床梁材用差込部135側には雌ねじ部135aが形成されていて、一方、床梁材要素61側には貫通孔61aが形成されている。上記固定ボルト139を貫通孔61aを介して雌ねじ部135aに螺合することにより、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部135が接合・固定されることになる。
又、固定ボルト139の先端は雌ねじ部135aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具133の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
同様の構造によって、残り一方に張り出された床梁材用差込部135を対応する一対の床梁材要素61、61間に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト139を螺合させる。それによって、一対の床梁材要素61、61と1個の床梁材用差込部135が接合・固定されることになる。
【0023】
又、一方に張り出された柱材用差込部137を柱材1内に挿入し、その状態で、片側4本ずつで合計8本の固定ボルト139を螺合させる。それによって、柱材1と柱材用差込部137とが接合・固定されることになる。すなわち、上記柱材用差込部137側には雌ねじ部137aが形成されていて、一方、柱材1側には貫通孔1aが形成されている。上記固定ボルト139を貫通孔1aを介して雌ねじ部137aに螺合することにより、柱材1と1個の柱材用差込部71が接合・固定されることになる。
又、固定ボルト139の先端は雌ねじ部137aの先端より殆ど突出することがないような長さに設定されている。それによって、ジョイント具133の中空部内の空間をできるだけ広く確保して通気路として有効に利用できるようにしているものである。
【0024】
次に、図14〜図17を参照して、既に説明したブレース31、33の連結構造について説明する。これは、図15に示すように、骨組構造側に切欠部151を形成しておき、そこにブレース31、33の両端に取り付けられた連結金具153を係合させるものである。上記連結金具153は一端側に係合突部155を備えていて、この係合凸部155を介して上記切欠部151に内側から係合するものであり、それによって、抜けを防止するものである。具体的には、上記連結金具153を柱材1及び天井梁材3の内側に配置して内側から外側に向けて上記切欠部151に差し込むものである。又、ブレース31、33側には連結金具157が取り付けられていて、この連結金具157と上記連結金具153が連結ガイドピン159、159を介して連結されている。又、上記連結ガイドピン159の両端にはねじ部材161、161が螺合されていて、それによって、連結ガイドピン159の抜けが防止されるようになっている。
【0025】
上記構成をなす建築物において、既に説明した骨組構造に対して、図示しない床材と壁材を設置していくことになる。又、全ての柱材1と天井梁材3と床梁材21と各種ジョイント具は全て中空形状をなしている。本実施の形態の場合にはそれら中空部を通気路として使用しそこに暖気を流通させて暖房を行うように構成している。
【0026】
この点に関してさらに詳しく説明すると、例えば、図示しないヒータによって床下の地面を温め、その暖気を床下に設置された図示しないファンと既に説明した全ての柱材1と天井梁材3と床梁材21と各種ジョイント具の中空部を介して循環させるものである。
【0027】
具体的には、図示しない暖房器具の吸排気口を上記骨組構造の任意の箇所に連結し、全ての柱材1と天井梁材3と床梁材21は各種ジョイント具の中空部を通気路として使用し、そこに暖気を流通させる。それによって、所望の暖房を行うように構成しているものである。その様子を部分的ではあるが図7に示す。図7中矢印で示す方向に暖気が流れることになり、それによって、建物全体に暖気を行き渡らせて暖房を行うものである。
【0028】
以上本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、本実施の形態の場合には、複数本の柱材1、複数本の天井梁材3、複数本の床梁材21、上記複数本の柱材1、複数本の天井梁材3、複数本の床梁材21相互を連結するための各種ジョイント金具が全て中空形状をなしていて、そこに暖気を流通させて暖房を行うように構成しており、従来のように、別途ダクトや配管を設けることなく所望の暖房を行うことができる。よって、建築物としての構成を簡略化させてスペースの有効利用を図ることができる。
又、別途暖房用のダクトや配管を敷設する必要がないので、工期の短縮化と工数の軽減を図ることができる。
又、複数本の天井梁材3と複数本の床梁材21は基本的には同じ形状で、且つ、二つ割りの構造になっているので、各種ジョイント具を使用した連結作業も簡単である。
又、複数本の天井梁材3と複数本の床梁材21は基本的には同じ形状で、且つ、二つ割りの構造になっているので、その製作も容易である。
【0029】
次に、図18乃至図20を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。この第2の実施の形態は、ブレース31、33の別の連結構造を示すものである。まず、ブレース33は二本のブレース要素141、141を金具143を介して連結した構成をなしている。上記ブレース31は上記金具143の中空部を通った状態で延長されている。
【0030】
上記ブレース31、33の端部の連結構造は次のようになっている。まず、ブレース31、33の両端には連結金具145が取り付けられている。この連結金具145は二又形状をなしていて、挟持片145a、145aを備えている。一方、骨組構造側には別の連結金具149が固定ボルト151によって取付・固定されている。この連結金具149も二又形状をなしていて、被挟持片149a、149aを備えている。上記連結金具145によって上記連結金具149を外側から挟み込むように配置する。そして、固定ピン147を差し込んでボルト153によって固定する。それによって、固定ピン147の抜けは防止され、且つ、固定ピン147を介して、連結金具145と連結金具149が連結されることになる。
【0031】
尚、本発明は前記第1及び第2の実施の形態に限定されるものではない。
まず、前記第1及び第2の実施の形態の場合には、住宅を例に挙げて説明しているが、それ以外の用途の各種建築物に適用できる。
又、前記第1及び第2の実施の形態の場合には、暖気を流通させて暖房を行う場合を例に挙げて説明したが、冷房でも良い。
但し、冷房の場合には結露が懸念されるため、程々に冷やされた空気の循環ということになる。
又、暖房の場合においても、どのような経路でどのような熱源の暖気を流通させるかについては任意に決定すればよい。
又、換気用のダクトとして使用することもできる。
その他、図示した各部の構成はあくまで一例である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、建築物に係り、特に、柱と梁を中空構造として通気ダクトとして使用、それによって、別途通気ダクトを要することなく所望の通気機能を備えた構造を得ることができるように工夫したものに関し、例えば、各種住宅に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、建築物としての住宅の骨組みを示す平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のII―II矢視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図2のIII−III断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図4(a)は図1のa−a断面図、図4(b)は図1のb−b断面図、図4(c)は図1のc−c断面図、図4(d)は図1のd−d断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のV部を拡大して示す平面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図5のVI−VI矢視図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1のV部の分解斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図3のVIII部を拡大して示す平面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図8のIX−IX矢視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図8のX−X矢視図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図3のXI部を拡大して示す平面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図11のXII−XII矢視図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図11のXIII−XIII矢視図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図1においてブレースが取り付けられている部分を抽出して拡大して示す側面図である。
【図15】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図14のXV部を拡大して示す断面図である。
【図16】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図15のXVI−XVI矢視図である。
【図17】本発明の第1の実施の形態を示す図で、図15のXVII−XVII矢視図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態を示す図で、ブレースの取付構造を示す側面図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態を示す図で、図18のXIX部を拡大して示す断面図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態を示す図で、取付ピンの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
1 柱材
3 天井梁材
21 床梁材
23 基礎
31 ブレース
33 ブレース
41 天井梁材要素
43 段付係合部
45 ジョイント具
47 ジョイント具本体
49 天井梁材用挿入部
51 柱材用挿入部
53 固定ボルト
65 ジョイント具
67 ジョイント具本体
69 床梁材用挿入部
71 柱材用挿入部
73 固定ボルト




【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空形状をなす複数本の柱材と、中空形状をなす複数本の梁材と、上記柱材と梁材或いは梁材同士或いは柱材同士を連結する中空形状のジョイント具と、を具備し、上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路として使用するように構成したことを特徴とする建築物。
【請求項2】
請求項1記載の建築物において、
上記複数本の柱材の中空部と上記複数本の梁材の中空部と上記ジョイント具の中空部を連通させて通気路としそこに冷気又は暖気を流通させて冷房又は暖房を行うように構成したことを特徴とする建築物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の建築物において、
上記複数本の梁材は複数本の天井梁材と複数本の床梁材であることを特徴とする建築物。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の建築物において、
上記梁材は二つ割り構造をなしていて、一対の梁材要素を対向・配置して接合した構成になっていることを特徴とする建築物。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、
上記ジョイント具は、ジョイント具本体と、上記ジョイント具本体より張り出され上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されていることを特徴とする建築物。
【請求項6】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の建築物において、
上記ジョイント具は、上記柱材又は梁材内に挿入・配置される挿入部と、上記柱材又は梁材と挿入部を締結・固定する締結・固定具と、から構成されていることを特徴とする建築物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−37744(P2010−37744A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−199292(P2008−199292)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【出願人】(595034204)SUS株式会社 (40)
【Fターム(参考)】