説明

建築現場の管理システム

【課題】建築現場の管理システムにおいて、インターネット等のネットワークを利用して、リアルタイムに確認が行えるようにする。
【解決手段】建築現場及び管理現場を包括して監視する管理システムにおいて、管理システムは、建築現場の各監視ポイントに設けられた監視装置と、各監視装置にネットワークを介して接続された管理サーバを有すると共に、前記監視ポイントで得られた画像データ及び該画像データから解析された空間データを、時間軸データと環境データに関連付けて、リアルタイムに表示すると共に記録・保存することを特徴とする建築現場の管理システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場における図面、文書、映像、音声等の管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物に必要な資材の管理や施行等の進渉管理を行う場合、建築現場や拠点内に設置した統合情報サーバにより、現場で発生する情報や、必要となるすべての情報を一元的に管理している。この場合、プロバイダー等と契約することで、発注者、設計事務所、協力会社等もインターネットを通じて上記システムを利用することができる。
【0003】
上記システムで管理されている情報は、作業調整情報、車両・揚重予定情報、安全衛生日誌情報、工事用記録写真情報、入退場管理情報、鍵管理情報、資機材発注管理情報、施工状況管理情報、建築工程計画情報、工事用提出書類情報、工事報告情報、設計変更管理情報、設計図書情報等、現場管理情報のほとんどすべてに亘り、これらの情報を、関係者と共有することで、CALS/ECを実現し、生産性向上を図ることができる。
【0004】
この様な管理システムの場合、とりわけ映像を通じた可視化システムが有効的である。例えば、特開2004−78987号「建築物の施工状況確認方法」には、建築物の進行に応じた撮影時期を設定する過程と、各撮影時期に対応して建築物の撮影箇所を設定する過程と、設定された撮影時期及び撮影箇所毎に建築物の目視用基準情報を生成する過程と、その建築物に対応する建築現場の撮影箇所において撮影装置を用いて実撮影画像を撮影する過程と、その実撮影画像と前記目視用基準情報とを表示装置に並べて表示する過程と、オペレータが実撮影画像と前記目視用基準情報に基づいて目視により、当該建築物が設計図書などの仕様通りに施工されているか否かを確認する過程とを含んだシステムが示されている。
【0005】
これらのシステムでは、工事監理者が建築現場に出向かなくても簡単かつ迅速に、設計図書通りに工事が行われているかを検査する検査データを取得できるようにすしたものである。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2004−78987号公報
【0006】
更に、これらのネットワークシステムでは、ローカルネットワーク上に撮像装置に接続された映像配信サーバーを設け、JPEG静止画像やストリーミング映像を、このサーバーを介してインターネット網を通じて端末受信することで、犯罪の抑止効果や災害発生の早期発見など、多彩な施設や場所で導入が進むライブ映像による集中監視システムを、低コストなIPネットワークを利用して構築する遠隔映像監視ソリューションとしての応用も可能である。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の検査データの取得システムや、汎用的な監視システムの場合、撮像ポイントの夫々の情報としての独立性が高く、各情報間の関連性に欠けるものである。より、具体的には、現場管理に使用される監視カメラによる動画画像、拡声器による音声、現場での打合せ記録(図面・書類・映像・音声)、建物の基本となる設計図書(図面・仕様書・施工計画)に対する空間、時間要素がリンクされず、情報の把握、整理等で手間がかかる等の問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて、建築現場及び管理現場を包括して監視する管理システムにおいて、管理システムは、建築現場の各監視ポイントに設けられた監視装置と、各監視装置にネットワークを介して接続された管理サーバを有すると共に、前記監視ポイントで得られた画像データ及び該画像データから解析された空間データを、時間軸データと環境データに関連付けて、リアルタイムに表示すると共に記録・保存することを特徴としている。
【0009】
空間データは、少なくとも監視対象とする建築物の設計図面等の管理データを含み、現場データである空間データと関連付けして表示または解析することを可能とし、環境データ、温度、湿度、風力、雨量等、センサーによる気象データを含み、現場データである空間データと関連付けして表示または解析することを可能としたことを特徴としている。
【0010】
尚、監視装置が固定または動的に移動可能な装置が適用される。
【実施例】
【0011】
第1図は、本発明の管理システムの第1実施例を示す概要図であり、第2図は、本発明の管理システムの第2実施例を示す概要図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みて、全てのデータを現場空間の三次元位置データと時間軸データに関連付けて、リアルタイムに表示すると共に、大容量サーバーに記録・保存するシステムを構築するものである。
【0013】
図1に図示の如く、建設会社の本社12やローカルネットワークら接続された関連施設内に設置した大容量データの管理サーバーS1に、物件別に図面データ、書類データ、カメラやロボットの映像データ・音声データをインターネットNWや専用回線網NWを介してデータが収集される。
【0014】
より、詳細には、これらの現場のデータは、空間データa、時間軸データb、環境データcで構成されている。
【0015】
前記管理サーバーは、本社12内の管理室や会議室内に設置された、プロジェクタ等で上記の図面データ、書類データ、カメラやロボットの映像データ・音声データを全てリアルタイムに表示でき、同時にそのデータをサーバーに記録・保存する。
【0016】
この際、CAD図面データから、通り芯・階高から現場の部屋毎の三次元位置データと図形データを分類しておくと共に、映像・音声データは時間軸によって管理し、同時に上記図面の位置データに関連付けて記録・保存する。つまり、時間と空間を有機的リンクさせる。従って、建設現場において、これらの情報を現場施工図と関連付け、リアルタイムに映像によって、例えば現場管理事務所のスクリーンで把握でき、又この情報を保存し、参照出来るシステムを構築する。
【0017】
設計・施工図面は建物の階高、平面図、立面図によって位置が特定され、施工状態が図面化されている。
【0018】
位置情報は階高、平面図の通り芯、立面図によって三次元位置がデータとして、例えばCADデータからテキストデータを取り出す事により、図面位置データをデジタルデータとしてデータサーバーに保存可能になる。
【0019】
建築現場での毎日の作業の進行状況、打合せ、記録写真等のデータをリアルタイムに図面位置データと共にスクリーンに投影し、同時に時間軸と関連付けて時間軸情報としてデータサーバーに保存する。
【0020】
情報の種類としては、空間データaについては、定点固定カメラによる定点・定時撮影の静止映像データ、動画データ、上記カメラの遠隔操作による臨時撮影の静止映像データ、動画データがある。
【0021】
時間軸データbについては、単にタイムコントローラだけではなく、進渉管理のスケジューラ等を含めることが好ましい。
【0022】
環境データcについては、現場管理者による定時、又は突発時の構内PHSとデジカメを使用した現場写真データ、及び現場報告電話の音声データ、現場に設置した温度、湿度、風力、雨量等、センサーによる気象データが考慮されると共に、それにより、例えば、晴天時の標準的なスケジュールを補正して、計画を立案することが可能となる。
【0023】
上記の如く構成した管理システムにおいては、図2に示すような第2実施例のように、建設現場の事務所内に管理サーバS1を仮設システムとして設置することも可能である。これは、インターネット等の公衆ネットワーク網に障害が生じた時でも時間軸データbを保持できるからである。
【0024】
尚、本発明は、ネットワークを介することで建設会社の本社12だけでなく、各営業所等の関連施設13.14においてもリアルタイム表示が可能であり、この際、ディスプレーシステムとして、複層ガラスや合わせガラスなどの複数枚以上の大型のガラス板により構成したスクリーン型の機能性ガラスを使用することができる。このようなシステムにおいては、現場事務所に大きなスクリーンに図面を映し、図面変更指示や検討事項を画面を見ながら画面にマーカーで記入し、その内容を画像データとして記録・保存する事により、紙の無駄を省く事が出来る。又、打合せ時間の短縮にも繋がり経費削減が可能である。又、マイクを設置して会議内容を録音する事により、議事録作成時も漏れを防ぐ事が出来、議事録作成の手間・時間の節約になる。
【0025】
データの効率化については、サーバーに記録、保存された一次データを市販の高圧縮ソフトを使用し、ファイルサイズの小さいデータにサムネイル化する事で、データー転送とプラウザによる閲覧の効率化により、時間の節約、経費の節約することが好ましい。
【0026】
これにより、画像化されたサムネイル化で必要な情報を目視ですばやく検索可能であり、建物完成後、重要なデータは元のまま保存し、経過的なデータは小容量のデータにして保存する事により、サーバー容量の削減を可能として、前述の如く仮設サーバの設置をも可能とするものである。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、上記の如く構成したことにより、現場の打合せではCAD図面をMGSSに投影し、書き込んだ文字データを保存・印刷が出来る、現場の監視カメラや巡回管理者によるデジカメ・ビデオも現場事務所のMGSSに投影・記録できる、現場事務所・本社・設計・施主が必要に応じてリアルタイムの施工状況把握・防犯管理等が出来る、日程表と照合し施工日程管理や資材管理等が出来る等のメリットが生じる。また、既存のシステムを有効使用し、可視化された明快なシステムが構築でき、保存データの参照が可視化で間違いがなく容易に出来る等の効果を有するものである。
【0028】
これらの画像・音声データは、現場のどの部分に関する打合せか、打合せ図面の三次元の位置データと関連して記録・保存する事により、後日データを参照する事で、打合せ通りに進行しているか、進捗の確認も出来ると共に、三次元の位置データと時間軸の4次元データで分類しておく事で、現場の特定の場所を参照すれば、時間経過も確認出来る。
【0029】
一方、保存データの参照は管理範囲を組み合わせて、管理者だけでなく、必要な業者も参照できるようにすれば、セキュリティも確保できる。
【0030】
各施設での効果は、以下の通りである。
【0031】
<現場事務所での管理、監視>▲1▼現場事務所内に外部の人間が入れない監視室を設け、大きなスクリーンに現場に設置した監視カメラ、マイクのストリーム映像を映し、音声をスピーカーで流し常時監視すると共に、カメラを遠隔操作して拡大して不審者や現場作業の危険性をチェックする。この時にも、その場所の図面、打合せ内容をサブ画面で映して綿密なチェックが出来る。▲2▼不審者や危険作業に対して監視者がマイクを通じて警告する事により、巡視の回数を減らし経費の削減が可能である。▲3▼事故等の突発事態に対しては、現場全体を把握しながら、指示が出来るので重複した処置がなくなり、再発防止にも出来て結果的に経費削減になる。
【0032】
<現場での管理、監視>▲1▼前記の管理により定期的な巡回の回数は減るが、現場巡回の必要性は残る。現場巡回員はハンディカメラ、ハンディデコーダー、携帯型IP電話、ハンズフリーマイク等を装備して巡回する事により、リアルタイムの映像、音声データを無線LANで現場事務所へ送り、現場時事務所からの指示を受けたり、現場事務所に報告、打合せが可能。▲2▼この映像、音声データも報告時の位置から図面上の三次元データと時間軸データの4次元データとして記録、保存される。▲3▼現場での施工記録も高精度のハンディカメラの動画データから駒取り画面を抽出して写真データとして記録、保存が可能とである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の管理システムの第1実施例を示す概要図である。
【図2】本発明の管理システムの第2実施例を示す概要図である。
【符号の説明】
【0034】
NW ネットワーク網(インターネット・専用回線)
S1 管理サーバ
a 空間データ
b 時間軸データ
c 環境データ
11 建設現場事務所
12 建設会社本社
13 関連施設(営業所・支店)
14 関連施設(営業所・支店)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築現場及び管理現場を包括して監視する管理システムにおいて、前記管理システムは、建築現場の各監視ポイントに設けられた監視装置と、各監視装置にネットワークを介して接続された管理サーバを有すると共に、前記監視ポイントで得られた画像データ及び該画像データから解析された空間データを、時間軸データに関連付けて、リアルタイムに表示すると共に記録・保存することを特徴とする建築現場の管理システム。
【請求項2】
前記空間データは、少なくとも監視対象とする建築物の設計図面等の管理データを含み、現場データである空間データと関連付けして表示または解析することを可能としたことを特徴とする請求項1に記載の建築現場の管理システム。
【請求項3】
建築現場及び管理現場を包括して監視する管理システムにおいて、前記管理システムは、建築現場の各監視ポイントに設けられた監視装置と、各監視装置にネットワークを介して接続された管理サーバを有すると共に、前記監視ポイントで得られた画像データ及び該画像データから解析された空間データを、時間軸データと環境データに関連付けて、リアルタイムに表示すると共に記録・保存することを特徴とする建築現場の管理システム。
【請求項4】
前記環境データ、温度、湿度、風力、雨量等、センサーによる気象データを含むことを特徴とする請求項2に記載の建築現場の管理システム。
【請求項5】
前記監視装置が固定または動的に移動可能な装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の建築現場の管理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−164741(P2007−164741A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−380931(P2005−380931)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000223986)フィグラ株式会社 (68)