説明

建築用パネル

【課題】隣接する他の建築用パネルとの接続部分が、シンプルな形状となった建築用パネルを提供する。
【解決手段】本発明は、表面板2と裏面板3との間に芯材4が充填された建築用パネル1である。表面板2及び裏面板3は、略矩形状の本体部21,31と、この本体部21,31の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22,32と、この側面部22,32の突出端縁から外側方に向けて突設された突出片23,33とを備えている。突出片23,33同士が重合された状態で表面板2及び裏面板3とが対向配置され、前記表面板2の本体部21及び側面部22と前記裏面板3の本体部31及び側面部32とに囲まれた部分に前記芯材4が充填されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1記載の建築用パネルは、表面板と、裏面板と、この表面板と裏面板との間に充填された芯材とを備えており、いわゆるサンドイッチパネルにより構成されている。この種の建築用パネルは、幅方向の一方の端部に嵌合凸部が形成され、他方の端部に嵌合凹部が形成されている。この建築用パネルは、幅方向に隣接する他の建築用パネルに対し、嵌合凸部と嵌合凹部とが嵌合することで連結される。
【0004】
この嵌合凸部及び嵌合凹部の形状を形成するには、表面板及び裏面板の端部を屈曲したり折り返したりして複数箇所で曲げられ、その曲げられた端部同士を対向させることで形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−247656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように特許文献1の建築用パネルは、隣接する他の建築用パネルに対して接続するには、嵌合凹部と嵌合凸部とが必要である。ところが、この嵌合凹部及び嵌合凸部は、上述のように、表面板及び裏面板の両端部を複雑に曲げ加工することで形成されているため、加工に手間が掛かり、この結果、製造コストを抑えにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隣接する他の建築用パネルとの接続部分が、シンプルな形状となった建築用パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、表面板2と裏面板3との間に芯材4が充填された建築用パネル1であって、前記表面板2及び裏面板3は、略矩形状の本体部21,31と、この本体部21,31の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22,32と、この側面部22,32の突出端縁から外側方に向けて突設された突出片23,33とを備え、前記突出片23,33同士が重合された状態で表面板2及び裏面板3とが対向配置され、前記表面板2の本体部21及び側面部22と前記裏面板3の本体部31及び側面部32とに囲まれた部分に前記芯材4が充填されていることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、隣接する他の建築用パネル1に接続するに当たり、裏面板3の突出片33と表面板2の突出片23とが重合された部分を用いて、設置することができる。すなわち、表面板2及び裏面板3の形状を、側面部22,32と突出片23,33とを設けた単純な形状とすることができ、製造が容易となる。また、表面板2と裏面板3とが同じような構造となっているため、表裏逆にして使用することもできる。
【0010】
またこの建築用パネル1において、前記表面板2の本体部21及び前記裏面板3の本体部31が、いずれも化粧面210,310を構成していることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、表面板2の化粧面210で建物外壁を形成しつつ、裏面板3の化粧面310で室内の壁面を形成することも可能である。また施工時に、表裏を選択して使用することができるため、設置場所に応じて表裏を入れ替えることもできて、一種類の建築用パネル1で多様なデザインを形成することも可能である。
【0012】
またこの建築用パネル1において、前記表面板2と前記裏面板3とが、いずれも略同じ形状に形成されたものであることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、シンプルな形状の表面板2と裏面板3とを同じ成形機で製造することができるため、装置のコストが低減できるだけでなく、表面板2及び裏面板3についてまとめて製造することもできるようになり、より一層コストダウンが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の建築用パネルによれば、隣接する他の建築用パネルとの接続部分を、シンプルな形状とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態1の建築用パネルの斜視図である。
【図2】実施形態1の建築用パネルの断面図である。
【図3】実施形態1の建築用パネルの取付状態を示す斜視図である。
【図4】実施形態1の建築用パネルの取付状態を示す要部側断面図である。
【図5】実施形態2の建築用パネルの斜視図であり、
【図6】実施形態3の建築用パネルの斜視図である。
【図7】本実施形態の建築用パネルの異なる取り付け状態を示す要部側断面図である。
【図8】(a)は芯材の変形例を示す斜視図であり、(b)はさらに他の芯材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、便宜上、図1において矢印Aで示す方向を幅方向とし、この幅方向に直角で且つパネルに沿った方向Bを長さ方向と定義し、厚み方向Cを前後方向と定義する。
【0017】
実施形態1の建築用パネル1は、建物の外壁材として用いられる。本実施形態の建築用パネル1は、主に、横張り用の建築用パネル1として用いられるが、設置箇所に応じて90°回転され、縦張り用の建築用パネル1としても用いられる。
【0018】
なお、本実施形態の建築用パネル1は、外壁材としてだけでなく、内壁材や屋根材や天井材として用いられてもよい。
【0019】
本実施形態の建築用パネル1は、図2に示されるように、第1の金属外皮により構成された表面板2と、表面板2に対向配置されると共に第2の金属外皮により構成された裏面板3と、この表面板2と裏面板3との間に配設された芯材4とを備えている。本実施形態の建築用パネル1は、正面視矩形状のサンドイッチパネルにより構成されている。
【0020】
表面板2及び裏面板3は、例えば厚み0.35〜0.8mm程度の金属板を、プレス加工等の曲げ加工を施すことにより形成される。この表面板2及び裏面板3の母材となる金属板は、亜鉛めっき鋼板や塗装鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)、ステンレス鋼板等により構成される。
【0021】
表面板2は、図1に示されるように、主体を構成する平面視略矩形状の本体部21と、この本体部21の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22と、この側面部22の芯材4側の突出端縁から外側方に向けて連設された突出片23とを備えている。表面板2は、この本体部21及び側面部22及び突出片23が、曲げ加工により一体に成形されている。
【0022】
本体部21は、その前面が化粧面210を構成している。本体部21は、建築用パネル1が外壁材として使用される場合、建物の外壁面を構成する。本体部21は、平面視略矩形状(正方形形状を含む)をしており、その化粧面210が平坦面となっている。
【0023】
なお化粧面210としては、例えば、断面波形のリブ形状を全面に亘って施してもよいし、部分的にエンボス加工を施してもよいし、また各種の色を塗装してもよい。また、鏡面加工を施してもよいし、シボ加工を施してもよい。
【0024】
側面部22は、矩形状の金属板の外周縁部を芯材4側に曲げ加工することで形成されている。本実施形態の側面部22は、矩形状の本体部21の四辺の各外縁から芯材4側に屈曲することで形成されている。各側面部22は、本体部21に連続しており、本体部21との境界においては溶接により接続されたような継ぎ目が存在しない。しかも各側面部22同士は、図1に示されるように、周方向に一体となっている。これにより側面部22同士により形成されるコーナー部分24(出隅部分)は、本体部21及び側面部22が連続した滑らかな角部240となっている。
【0025】
突出片23は、図1,2に示されるように、側面部22における芯材4側の端縁を、外側に向けて且つ本体部21と略平行するよう曲げ加工することで形成されている。すなわち、突出片23は、側面部22の芯材4側の端縁から外側方に向けて屈曲形成されている。そのため各突出片23は、側面部22に連続しており、側面部22との境界においては溶接により接続されたような継ぎ目が存在しない。なお、突出片23同士でなすコーナー部分(各突出片23の長手方向の両端部分)には切欠部25が設けられており、各突出片23同士は周方向に連続せずに独立している。
【0026】
裏面板3は、表面板2と同じような構造となっており、図2に示されるように、平面視矩形状の本体部31と、この本体部31の外縁から芯材4側に向けて突設された側面部32と、この側面部32の芯材4側の端縁から外側方に向けて連設された突出片33とを備えている。この裏面板3は、表面板2と同様、本体部31及び側面部32及び突出片33が、曲げ加工により一体に成形されている。また裏面板3は、各側面部32から突設された突出片33同士でなすコーナー部分(各突出片33の長手方向の両端部分)に、表面板2と同様、切欠部35が設けられている。
【0027】
本実施形態の裏面板3は、表面板2と同じ金属外皮により構成されており、表面板2と略同じ形状となっている。本実施形態の裏面板3は、表面板2に対し、化粧面310の態様が異なっている。
【0028】
裏面板3の化粧面310は、表面板2の化粧面210とは異なる色に塗装されている。本実施形態の建築用パネル1は、表面板2の化粧面210と裏面板3の化粧面310とが互いに異なる化粧面を構成することで、ユーザーがいずれかの化粧面を選択することができるよう構成されている。これにより、一種類の建築用パネル1で、多種のデザインを形成することができる。
【0029】
なお、裏面板3のその他の構成については、表面板2と同じであるため説明は省略する。
【0030】
芯材4は、表面板2と裏面板3との間に充填される。具体的に芯材4は、図2に示されるように、突出片23,33同士を重ね合わせて表面板2の本体部21と裏面板3の本体部31とを対向配置した状態で、本体部21,31及び側面部22,32に囲まれた閉塞空間内に収容配置される。
【0031】
芯材4は、例えば、ロックウールやグラスウールなどの無機質断熱材や、ウレタンフォーム・スチレンフォーム・フェノールフォーム・ポリイソシアヌレートフォーム等の合成樹脂発泡体からなる断熱材や、石膏ボード・ケイ酸カルシウム板・水酸化アルミニウム板等の無機質板などが用いられる。また、ペンタンからなる発泡剤により構成されたフロン不使用の発泡断熱材を用いてもよい。芯材4としては、これら複数種類を組み合わせて形成してもよいし、どれか一つだけを用いてもよい。
【0032】
あるいは芯材4は、図8(a)(b)に示されるように、ハニカム構造体41により構成されていてもよい。ハニカム構造体41は、断面角型あるいは断面円形の貫通孔42が敷き詰められた構造体である。ハニカム構造体41は、紙、ダンボール、プラスチック等により構成される。ハニカム構造体41は、各貫通孔42が断面六角形状のものに限定されない。例えば図8(b)のように、ダンボールの断面のように波形隔壁により形成されたものであってもよい。また、ハニカム構造体41は、図8(a)のように、貫通孔42の連通方向が、表側金属外皮2及び裏側金属外皮3に直角な方向(言い換えると、前後方向)に向くよう配置されてもよい。あるいは、図8(b)のように、貫通孔42の連通方向が、サンドイッチパネル1の長さ方向と平行になるよう配置されていてもよいし、特に図示しないが、幅方向と平行になるよう配置されてもよい。
【0033】
芯材4がハニカム構造体41により構成されると、軽量化が図れると共にコスト的にも安価に製造可能である。
【0034】
このような建築用パネル1は、図1に示されるように、主体を構成する平面視略矩形状のパネル主体部11と、このパネル主体部11の外周縁に設けられた接続部12とにより構成される。本実施形態の接続部12は、パネル主体部11の厚み方向の略中間部から側方に向けて突出しており、当該パネル主体部11の外周全周に亘って設けられている。本実施形態のパネル主体部11は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3の本体部31及び側面部32と、芯材4とにより構成されている。また接続部12は、表面板2の突出片23と、裏面板3の突出片33とを重ね合わせることにより構成されている。
【0035】
このような構成の本実施形態の建築用パネル1は、図3,4に示されるように取り付けられる。以下、施工者が本実施形態の建築用パネル1を取り付けて、外壁面を構成する場合につき説明する。
【0036】
本実施形態の建築用パネル1は、水平方向に所定のピッチで離設された縦胴縁5に取り付けられる。縦胴縁5は、図3に示されるように、例えば角柱により構成されており、床スラブ上に立設される。なお、縦胴縁5は角柱でなくてもよく、例えばH型鋼やC型鋼やアングル材などにより構成されていてもよい。
【0037】
この縦胴縁5に本実施形態の建築用パネル1を取り付ける。まず施工者は、縦胴縁5の建築用パネル1を取り付ける面(以下、取付面51という)に取付部材6を固設する。施工者は、縦胴縁5の長手方向に沿って長尺な取付部材6を配置し、縦胴縁5の長手方向に対し直角となるよう別の取付部材6を配置する。なお、縦胴縁5の長手方向とは直交する方向に架設される取付部材6は、上下方向の取り付けピッチが、パネル主体部11の幅方向の長さに対応する長さとなるよう取り付けられる。詳しく説明すると、取付部材6における後述のパネル取付部64の対向間の距離が、一の建築用パネル1の裏面板3の側面部32間の距離と略同寸法となるよう、取付部材6が配設される。
【0038】
ここで取付部材6は、図4に示されるように、断面ハット状に形成されている。取付部材6は、建築用パネル1の接続部12の後面に当接又は近接対向する断面略コ字状のパネル取付部61と、このパネル取付部61の端部から側方に連設された固定部62とを備えている。パネル取付部61は、前後方向の長さが、パネル主体部11の厚みの約半分の長さ(すなわち、裏面板3の側面部32の前後方向の長さ)と略同じ寸法に形成され、前後方向に直交する方向の長さ(幅寸法)が接続部12の突出長さと略同じ寸法に形成されている。パネル取付部61には、図3に示されるように、固着具挿通孔が所定のピッチで穿設されている。また、固定部62は、縦胴縁5の取付面51に固定される部位であり、溶接や固着具等を介して縦胴縁5に固定される。
【0039】
取付部材6を縦胴縁5の取付面51に取り付けた後、施工者は、当該取付部材6に本実施形態の建築用パネル1を取り付ける。施工者は、図4に示されるように、建築用パネル1の接続部12を取付部材6のパネル取付部64の前面に当接するよう建築用パネル1を配置する。この状態で、隣接する他の建築用パネル1の接続部12を、既に配置された建築用パネル1の接続部12の前面に当接し、この後、前方から固着具8を螺合する。固着具8は、2つの接続部12、パネル取付部61の順に貫通し、これらを固着一体化する。施工者は、取付部材6の長手方向に沿って、固着具8を所定のピッチで複数箇所に螺合する。
【0040】
このとき、一の建築用パネル1において、幅方向両側に位置する接続部12の長手方向両端と、長さ方向両側に位置する接続部12の長手方向両端とに位置する各コーナー部分には切欠部(表面板2の切欠部25と裏面板の切欠部35)が設けられている。このため、図3に示されるように、長さ方向及び幅方向に建築用パネル1を並設しても切欠部25,35同士が重なり合ってしまい、このままではこの部分だけ取付部材6が露出してしまう。このため、本実施形態においては、隣接する建築用パネル1のコーナー部分24が集まる箇所に、図3に示されるような、平面視十字状の閉塞体7が取り付けられる。この閉塞体7は、例えばゴム板により形成され、切欠部25,35を覆うよう水密的に装着される。
【0041】
以上のようにして、長さ方向及び幅方向に他の建築用パネル1を順に取り付けてゆく。このとき、建築用パネル1の幅方向の一方の端部の接続部12が、すぐ隣の他の建築用パネル1の接続部12の前面に当接し、且つ、幅方向の他方の端部の接続部12が、すぐ隣のさらに他の建築用パネル1の接続部12の後面に当接するようにして、設置される。また建築用パネル1の長さ方向の一方の端部の接続部12が、すぐ隣の他の建築用パネル1の接続部12の前面に当接し、且つ、長さ方向の他方の端部の接続部12が、すぐ隣のさらに他の建築用パネル1の接続部12の後面に当接するようにして、順次設置される。そして必要に応じて、パネル主体部11の端面間で且つ接続部12の前面で形成される目地にコーキング材(図示せず)が配設される。これにより建物の外壁面が形成される。
【0042】
また、本実施形態の建築用パネル1は、複数並設された状態から、一つの建築用パネル1だけを取り外して、別の新しい建築用パネル1に取り替える施工が行いやすいような構造になっている。以下、設置された状態の複数の建築用パネル1から、一つの建築用パネル1だけを取り外す場合につき説明する。
【0043】
まず、対象となる建築用パネル1を固定する固着具8を全て取り外す。この後、パネル主体部11の外周部の4つの接続部12のうち、隣接する建築用パネル1の接続部12よりも前側に位置する2つの接続部12を、共に前方に引っ張る。この状態で、前記2つの接続部12により形成されるコーナー部分24に向けて、当該建築用パネル1を前方に引き出しながらスライド移動させる。これにより、複数並設された建築用パネル1から、一つだけの建築用パネル1を取り外すことができる。
【0044】
このような構成の本実施形態の建築用パネル1は、隣接する建築用パネル1と接続する際に用いられる接続部12が、表面板2及び裏面板3の側面部22,32の端縁から突設された突出片23,33により構成されているため、従来の嵌合構造よりも単純な構造となっており、シンプルな形状となっている。このため本実施形態の建築用パネル1は、容易に製造することができるようになり、製造コストを低減することができる。
【0045】
また本実施形態の建築用パネル1は、表面板2と裏面板3とが、いずれも略同じ形状に形成されたものであるため、表面板2と裏面板3とを成形するに当たり、プレス機などの成形機として同じ成形機を用いることができ、この結果、装置のコストを低減することができる。その上、表面板2及び裏面板3についてまとめて製造することもできるようになり、より一層コストダウンが可能となる。
【0046】
また本実施形態の建築用パネル1は、表面板2と裏面板3とが異なる化粧面210,310を有しているため、表面板2の化粧面210で建物外壁を形成しつつ、裏面板3の化粧面310で室内の壁面を形成するというようなことも可能である。また施工時に、表裏を選択して使用することができるため、設置場所に応じて化粧面210,310を入れ替えることもできて、一種類の建築用パネル1で多種多様なデザインの壁面等を形成することも可能である。
【0047】
また、本実施形態の建築用パネル1は、パネル主体部11の外周端面から接続部12が突出するような形状となっているため、複数の建築用パネル1を設置した後に、一つだけを取り外すことができ、補修作業が容易となる。
【0048】
次に、実施形態2について図5に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0049】
実施形態2の建築用パネルは、実施形態1の建築用パネルとは異なり、パネル主体部11から突出した接続部12が、パネル主体部11の幅方向の両端に設けられており、長さ方向の両端には設けられていない。
【0050】
本実施形態の建築用パネル1の表面板2及び裏面板3は、略矩形状の本体部21,31と、この本体部21,31の四辺の各外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22,32と、四辺の側面部22,32のうちパネル幅方向両端の側面部22,32の突出端縁から外側方に向けて突設された突出片23,33とを備えている。この建築用パネル1の芯材4は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3の本体部31及び側面部32とに囲まれた部分に充填されている。
【0051】
建築用パネル1の長さ方向両端の側面部22,32は、図5(b)に示されるように、表面板2の側面部22の端縁と、裏面板3の側面部32の端縁とが離間するよう構成されている。
【0052】
このような構成の建築用パネル1も、実施形態1と同様に、取り付ける際には接続部12を用いることができる。つまり嵌合構造が必要とはならないため、表面板2及び裏面板3の形状を、シンプルな形状とすることができ、製造が容易となる。また、表面板2と裏面板3とが同じような構造となっているため、表裏逆にして使用することもできる。
【0053】
しかも本実施形態の建築用パネル1も、実施形態1と同様に、表面板2及び裏面板3の本体部21,31が化粧面210,310を構成する。なお、表面板2及び裏面板3の本体部21,31は、化粧面210,310を構成しなくてもよい。
【0054】
次に実施形態3について図6に基づいて説明する。なお、本実施形態は実施形態1と大部分において同じであるため、同じ部分においては説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0055】
実施形態3の建築用パネルは、実施形態2と同様、パネル主体部11から突出した接続部12が、パネル主体部11の幅方向の両端に設けられており、長さ方向の両端には設けられていない点で実施形態1とは異なっている。なお本実施形態の建築用パネル1は、パネルの長さ方向の両端に位置する側面部22,32が設けられていない点で、実施形態2の建築用パネル1とは異なっている。
【0056】
本実施形態の建築用パネル1の表面板2及び裏面板3は、略矩形状の本体部21,31と、この本体部21,31の幅方向両端の各外縁から芯材4側に向けて突設された側面部22,32と、この側面部22,32の突出端縁から外側方に向けて突設された突出片23,33とを備えている。この建築用パネル1の芯材4は、表面板2の本体部21及び側面部22と、裏面板3の本体部31及び側面部32とに囲まれた部分に充填されている。
【0057】
このような構成の建築用パネル1も、実施形態1,2と同様に、取り付ける際には接続部12を用いることができる。つまり嵌合構造が必要とはならないため、表面板2及び裏面板3の形状を、シンプルな形状とすることができ、製造が容易となる。また、表面板2と裏面板3とが同じような構造となっているため、表裏逆にして使用することもできる。
【0058】
しかも本実施形態の建築用パネル1も、実施形態1,2と同様に、表面板2及び裏面板3の本体部21,31を化粧面とすることができる。
【0059】
ところで実施形態1〜3の建築用パネル1においては、上記のような取付方法とは異なり、図7に示されたような別の取付構造とすることもできる。
【0060】
本使用例では、実施形態1〜3の取付構造において用いられた取付部材6とは、異なる取付部材63が用いられる。この取付部材63は、パネル取付部64の幅寸法が、建築用パネル1の接続部12の突出長さの約2倍の長さとなるよう形成されている。
【0061】
施工者は、取付部材63のパネル取付部64の前面に、接続部12が当接するよう建築用パネル1を配置する。次いで、他の建築用パネル1を、その接続部12が、既に配置された建築用パネル1の接続部12に隣り合うよう配置する。この状態で、隣り合う一対の接続部12,12上に帯状の金属板65を配置し、固着具8を螺合する。固着具8を螺合することにより、両接続部12,12を金属板65と取付部材63との間で挟持固定し、建築用パネル1を縦胴縁5に固定する。
【0062】
本使用例では、隣接する建築用パネル1が、接続部12同士が重合しない状態で固定されているため、実施形態1〜3による取り付け構造よりも、設置後の取り外しが容易となる。
【0063】
なお、実施形態1〜3の建築用パネル1は、表面板2と裏面板3とが同じ形状となっていたが、本発明においては、表面板と裏面板とが同じ形状となっていることは必ずしも必要な構成ではない。
【0064】
また実施形態1〜3の建築用パネル1は、表面板2と裏面板3との本体部21,31が化粧面を有していたが、本発明においては、化粧面は必ずしも必要な構成ではない。すなわち、例えば、建築用パネルにより構成された室内側壁面に、さらに内装材を付設してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 建築用パネル
11 パネル主体部
12 接続部
2 表面板
21 本体部
210 化粧面
22 側面部
23 突出片
24 コーナー部分
240 角部
25 切欠部
3 裏面板
31 本体部
310 化粧面
32 側面部
33 突出片
34 コーナー部分
340 角部
35 切欠部
4 芯材
5 縦胴縁
51 取付面
6 取付部材
61 パネル取付部
62 固定部
63 取付部材
64 パネル取付部
65 固定プレート
7 閉塞体
8 固着具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面板と裏面板との間に芯材が充填された建築用パネルであって、
前記表面板及び裏面板は、
略矩形状の本体部と、
この本体部の外縁から芯材側に向けて突設された側面部と、
この側面部の突出端縁から外側方に向けて突設された突出片と
を備え、
前記突出片同士が重合された状態で表面板及び裏面板とが対向配置され、前記表面板の本体部及び側面部と前記裏面板の本体部及び側面部とに囲まれた部分に前記芯材が充填されている
ことを特徴とする建築用パネル。
【請求項2】
前記表面板の本体部及び前記裏面板の本体部が、いずれも化粧面を構成している
ことを特徴とする請求項1記載の建築用パネル。
【請求項3】
前記表面板と前記裏面板とが、いずれも略同じ形状に形成されたものである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の建築用パネル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−87420(P2013−87420A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225829(P2011−225829)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000207436)日鉄住金鋼板株式会社 (178)
【Fターム(参考)】