説明

建築用外装化粧材の取付構造

【課題】 外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく、取付後の外装化粧材のデザイン性を確保でき、取付部材を用いて建物躯体に外装化粧材を確実に装着できる外装化粧材の取付構造を提供する。
【解決手段】 第1化粧材と第2化粧材とを含む建築用外装化粧材を備え、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される建築用外装化粧材の取付構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅建築の外壁等に用いられる胴差しや鼻隠し、あるいは破風等の建築用外装化粧材の取付構造に関し、特に、窯業系材料で形成された化粧材と取付部材とを用いる建築用外装化粧材の取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、窯業系材料で形成された外装化粧材の取付構造は、取付後の確実な装着性を確保するため、建物躯体に対して直接ビス止めされていた。そのため、外装化粧材の外観のデザイン性を確保するために、取付後、外装化粧材の外面に現れるビス頭部を塗装等により加工していた(特許文献1参照)。
【0003】
また、最近では取付後のデザイン性がより強く要求されるため、ビスの頭が外観に現れないようにし、直接、外装化粧材にビス固定を行わない構造が採用されている(特許文献2参照)。
【0004】
特許文献2に記載された従来の外装化粧材の取付構造は、建物の外壁面に沿って建物躯体にビスで締め付け固定されるプレート部と、一対の嵌合顎部を端部として有する外装化粧材と、外装化粧材の一対の嵌合顎部を上方から受け入れる一対の鉤状部とからなる取付金具とから構成されている。外装化粧材の嵌合顎部のいずれにも、鉤状部の中に入る部分は同一形状にされており、鉤状部に臨む面に小突起が形成されている。したがって、小突起を積極的に鉤状部の面に摩滅させることで、建物の表面に多少の凹凸が生じていた場合でも、凹凸による外装化粧材の厚さ方向の段違いを小突起の摩滅で容易に吸収することができ、外装化粧材を美しく並べて取り付けることができるように形成されている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第2506889号公報
【特許文献2】特開平07−269067号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、外装化粧材は、取付後の確実な装着の他、取付後のデザイン性や、取付の容易性が求められる一方、取付後のメンテナンスや外装化粧材が破損した場合の交換等が行えることも求められる。
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の外装化粧材の取付構造では、取付後の外装化粧材の装着に対する確実性を達成するために、外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をしている。その結果、外装化粧材外観のデザイン性を確保するため、取付後、外装化粧材に現れるビス頭部を塗装等により加工することが必要となり、取付作業が繁雑になる。
【0008】
また、特許文献2記載の外装化粧材の取付構造では、取付後のデザイン性や、取付の容易性を達成しているが、鉤状部に臨む外装化粧材の嵌合顎部に形成された小突起だけでは取付後の装着に対する確実性を達成することは困難である。したがって、外装化粧材の外観のデザイン性を確保しつつ、ビス固定することなく取付後の装着に対する確実性を達成するには、外装化粧材の嵌合顎部と鉤状部との間に接着剤を塗布して固定する必要が生じる。この結果、接着剤により一度固定された外装化粧材は、取り外すことができない。
【0009】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく、取付後の外装化粧材のデザイン性を確保できる外装化粧材の取付構造を提供することである。第2の目的は、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着できる外装化粧材の取付構造を提供することである。第3の目的は、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を容易に取り付けることができる外装化粧材の取付構造を提供することである。さらに、第4の目的は、施工後、建物躯体からの取り外しが容易にできる外装化粧材の取付構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような目的を達成するため、本発明に係る外装化粧材の取付構造においては、第1化粧材と第2化粧材とを含む建築用外装化粧材を備える建築用外装化粧材の取付構造であって、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される。
【0011】
具体的には、本発明に係る外装化粧材の取付構造は、
窯業系材料よりなる建築用外装化粧材を建物躯体に取付部材を用いて取り付ける建築用外装化粧材の取付構造であって、
前記建築用外装化粧材は、
前記取付部材にビス固定される化粧材固定部と前記取付部材と係合する第1係合凸部とを有する第1化粧材と、
前記取付部材と係合する第2係合凸部を有する第2化粧材と、を含み、
前記取付部材は、
前記化粧材固定部が載置されるとともに、前記化粧材固定部と上方からビス固定される取付部材固定部と、
前記取付部材固定部の下方に設けられ、前記第1係合凸部を上方から受け入れる第1凹部と、
前記第1凹部の下方に設けられ、前記第2係合凸部を上方から受け入れる第2凹部と、
を含み、
前記第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、前記第2化粧材が前記第1化粧材により前記建物躯体に押圧され固定される、
ことを特徴とする。
【0012】
上述した発明によれば、化粧材固定部が載置される取付部材固定部が化粧材固定部と上方からビス固定されて、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される。したがって、外部から視認可能な外装化粧材の外面(取り付けられた外装化粧材を、外部から見上げたときに、視認可能な外装化粧材の外面)から直接ビス固定をすることなく取り付けることができる。この結果、取付後の外装化粧材のデザイン性を損なうことなく確保できる。
【0013】
また、建築用外装化粧材は、化粧材固定部と、取付部材と係合する第1係合凸部とを有する第1化粧材と、取付部材と係合する第2係合凸部を有する第2化粧材とを含み、取付部材は、化粧材固定部が載置されるとともに化粧材固定部と上方からビス固定される取付部材固定部と、取付部材固定部の下方に設けられ、第1係合凸部を上方から受け入れる第1凹部と、第1凹部の下方に設けられ、第2係合凸部を上方から受け入れる第2凹部と、を含み、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定されることから、外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく、さらに、接着剤を用いることもなく、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着できる。
【0014】
また、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着するために接着剤を用いることもないことから、第1化粧材の化粧材固定部と取付部材の取付部材固定部とをビス固定したビスを緩めて取り外すことにより、取付後の外装化粧材の取り外しを容易に行うことができる。この結果、施工後のメンテナンスや外装化粧材が破損した場合の交換等を容易に行うことができる。
【0015】
さらに、第1化粧材の化粧材固定部及び第1係合凸部と、第2化粧材の第2係合凸部と、そして、取付部材のプレート部、取付部材固定部、第1凹部及び第2凹部とは、各係合凸部と凹部が係合し、かつ、各固定部がビス固定されることにより、各化粧材が建物躯体に固定されるように、予め位置・大きさ・向きが定められていることから、第1化粧材が所定位置に取り付けられ、取付部材固定部と化粧材固定部とをビス固定することにより、第2化粧材を建物躯体に押圧して固定できる。すなわち、取付部材固定部と第1化粧材の化粧材固定部とをビス固定できた場合は、第2化粧材の第2係合凸部が取付部材の第2凹部に確実に係合していることが保証される。したがって、取付時において、第1化粧材及び第2化粧材の各々位置を合わせるような作業も補助機構も必要なく、建物躯体に外装化粧材を容易に取り付けることができる。
【0016】
特に、視認可能な外面からのビス固定を必要としないことは、作業の容易性や、取付後の外装化粧部材の外観維持のための修復作業が不要になることから、取り付ける者が熟練していない場合であっても、取付時間の短縮化及び歩留りの向上を図ることができる。
【0017】
ここで、「外装用化粧材」には、建物躯体に取り付けられる部材であれば、破風、鼻隠し、幕板、窓枠等が含まれ、長尺品である平物だけでなく、入隅及び出隅に用いられる出入隅役物も含まれる。
【0018】
「取付部材」は、化粧材を建物躯体に取り付ける部材であって、取付部材を用いて化粧材を建物躯体に取り付けたときに形状変形を生じない部材、例えば、ステンレス、アルミ等の金属部材である。そして、取付部材を用いて化粧材を建物躯体に取り付けたとき、化粧材と建物躯体との位置関係は、化粧材と建物躯体が所定の間隔(例えば、取付部材の連結部分の長さ)だけ離れた状態で互いに平行に配置される場合もあるし、化粧材が建物躯体に対して斜めに取り付けられる場合もある。その際、化粧材は単一部材として配置される場合もあるが、複数の部材を連結して配置される場合もある。
【0019】
本発明に係る外装化粧材の取付構造として、第1係合凸部は第1化粧材の下端部に設けられ、第2係合凸部は第2化粧材の上端部に設けられる、ことが好ましい。
【0020】
上述した発明によれば、第1係合凸部は第1化粧材の下端部に設けられ、第2係合凸部は第2化粧材の上端部に設けられることから、まず、第2化粧材の第2係合凸部を取付部材の第2凹部に係合させ、次に、第2化粧材の上方から、第1化粧材の第1係合凸部を取付部材の第1凹部に係合させ、そして、第1化粧材の化粧材固定部を取付部材の取付部材固定部に載置した後、化粧材固定部と取付部材固定部とをビス固定することができるため、第1化粧材及び第2化粧材が落下するのを防止するための補助具を用いることなく、第1化粧材及び第2化粧材を取り付けることができる。この結果、取付時において、第1化粧材及び第2化粧材の各々位置を合わせるような作業も補助機構も必要とせず、建物躯体に外装化粧材を容易に取り付けることができる。
【0021】
本発明に係る外装化粧材の取付構造として、第2化粧材は、第1化粧材と第2化粧材との間にシール可能に設けられた化粧材用弾性部材を介して、第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される、ことが好ましい。
【0022】
上述した発明によれば、第1化粧材と第2化粧材との間にシール可能に設けられた化粧材用弾性部材により、雨水などの水が第1化粧材と第2化粧材との間から浸入することを防止できるため、部材の腐食などを防止することができる。また、化粧材用弾性部材により、第1化粧材及び第2化粧材、特に、第1化粧材を所定位置に取り付けるとき、第1化粧材を第2化粧材に直接接触させることなく、第2化粧材を押圧して建物躯体に固定することができる。この結果、第1化粧材と第2化粧材との接触による破損を防止することができる。さらに、第1化粧材と第2化粧材との間に化粧材用弾性部材を使用することにより、建物躯体や各部材などの寸法誤差に対しても容易かつ確実な取り付けを可能にする。
【0023】
ここで、「化粧材用弾性部材」とは、取り付けたときに若干つぶれるような部材が好ましく、例えば、発泡ポリ塩化ビニル樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡ウレタン樹脂などの発泡部材や、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)などのゴム系部材などが含まれる。
【0024】
本発明に係る外装化粧材の取付構造として、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、化粧材固定部と建物躯体との間にシール可能に設けられた第1建物躯体用弾性部材と、第2化粧材の下端部と建物躯体との間にシール可能に設けられた第2建物躯体用弾性部材と、を有する、ことが好ましい。
【0025】
上述した発明によれば、第1建物躯体用弾性部材及び第2建物躯体用弾性部材を有することから、雨水などの水が第1化粧材と建物躯体との間や第2化粧材と建物躯体の間から浸入することを防止でき、さらに、建物躯体や各部材などの寸法誤差に対しても容易かつ確実な取付を可能にする。
【0026】
「第1建物躯体用弾性部材」及び「第2建物躯体用弾性部材」は、「化粧材用弾性部材」と同様に、取り付けたときに若干つぶれるような部材が好ましく、例えば、発泡ポリ塩化ビニル樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡ウレタン樹脂などの発泡部材や、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)などのゴム系部材などが含まれる。
【0027】
本発明に係る外装化粧材の取付構造として、第1化粧材は、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材を押圧する第1化粧材の第1端面と、第1端面と鋭角に交わる第1外面とを有し、第1端面は、第1外面から建物躯体へ後上がりに傾斜し、第2化粧材は、第1端面に対向して略平行な第2端面を有する、ことが好ましい。
【0028】
上述した発明によれば、第1化粧材は第1外面から建物躯体へ後上がりに傾斜する第1端面を、第2化粧材は第1端面に対向して略平行な第2端面を有することから、雨水などの水が第1端面と第2端面との間から浸入することを防止できるとともに、水切れを良くすることができる。さらに、第1化粧材は、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材を押圧する第1化粧材の第1端面と、第1端面と鋭角に交わる第1外面とを有することから、第1外面下端における水切れを良くすることができる。
【0029】
本発明に係る外装化粧材の取付構造として、第2化粧材は、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第1外面から建物躯体方向内側に設けられる、ことも望ましい。
【0030】
上述した発明によれば、第2化粧材は、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第1外面から建物躯体方向内側に設けられることから、第1外面から滴下した水滴が第2化粧材に接触することなく落下するため、第2化粧材に付着することを防止できる。さらに、第1化粧材下端から滴下した水が、第1化粧材と第2化粧材との間から浸入することをも防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
上述した発明によれば、化粧材固定部が載置される取付部材固定部が化粧材固定部と上方からビス固定されて、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、第2化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される。したがって、外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく取り付けることができる。この結果、取付後の外装化粧材のデザイン性を損なうことなく確保できる。また、接着剤を用いることもなく、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着できる。
【0032】
また、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着するために接着剤を用いることもないことから、第1化粧材の化粧材固定部と取付部材の取付部材固定部とをビス固定したビスを緩めて取り外すことにより、取付後の外装化粧材の取り外しを容易に行うことができる。この結果、施工後のメンテナンスや外装化粧材が破損した場合の交換等を容易に行うことができる。
【0033】
さらに、第1化粧材の化粧材固定部及び第1係合凸部と、第2化粧材の第2係合凸部と、そして、取付部材のプレート部、取付部材固定部、第1凹部及び第2凹部とは、各係合凸部と凹部が係合し、かつ、各固定部がビス固定されることにより、各化粧材が建物躯体に固定されるように、予め位置・大きさ・向きが定められていることから、第1化粧材が所定位置に取り付けられ、取付部材固定部と化粧材固定部とをビス固定することにより、第2化粧材を建物躯体に押圧して固定できる。すなわち、取付部材固定部と第1化粧材の化粧材固定部とをビス固定できた場合は、第2化粧材の第2係合凸部が取付部材の第2凹部に確実に係合していることが保証される。したがって、取付時において、第1化粧材及び第2化粧材の各々位置を合わせるような作業も補助機構も必要なく、建物躯体に外装化粧材を容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1〜図4を用いて、本発明の第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造について、さらに、図5を用いて、本発明の第2実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造について、図面を参照しつつ説明する。本発明の各実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造は、窯業系材料よりなる建築用外装化粧材を建物躯体に取付部材を用いて取り付ける建築用外装化粧材の取付構造である。
【0035】
<<<第1実施形態>>>
図1は本発明の第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造の側面図である。但し、建物躯体については断面で示されている。図2は第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造に用いられる取付金具の正面図である。図3〜図4は建築用外装化粧材を建物躯体に取り付ける方法を説明するための概念図である。
【0036】
<<建築用外装化粧材の取付構造の概要>>
図1に示すように、第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造100は、建物躯体110に取り付けられる取付部材120と、外装化粧材である第1化粧材130及び第2化粧材140と、取付部材120を建物躯体110に取り付ける固定具150、152と、第1化粧材130を取付部材120に固定するビス160と、外装化粧材どうしの間に設けられた弾性部材170と、化粧材130、140と建物躯体110との間に設けられた弾性部材172、174とにより構成される。
【0037】
そして、第1化粧材130がビス160を用いて取付部材120に対して所定の位置に取り付けられると、外部から視認可能な第1化粧材130及び第2化粧材140の外面から直接ビス固定などすることなく、第2化粧材140が第1化粧材130によって建物躯体110に押圧されることにより確実に固定される。
【0038】
また、固定具150、152は、取付部材120を建物躯体110に固定できる部品であればビス、特にタッピングビスに限られず、取付ネジ、ボルトナットなど、あらゆるものを用いることができる。
【0039】
<取付部材120>
図1及び図2に示すように、取付部材120は、金属部材であって、平板状かつ矩形状のプレート部121と、図2の正面から見てプレート部121から手前側に略垂直に伸びた板状の取付部材固定部122と、取付部材固定部122より下部に横方向に延びる鉤状の第1凹部123と、第1凹部123よりさらに下部に横方向に延びる鉤状の第2凹部124とから構成されている。なお、取付部材120の材料は金属部材に限られず、樹脂部材なども用いることができる。
【0040】
そして、プレート部121の中心軸上には、取付部材120を建物躯体110に固定用の2つのビス穴126、127が開口されている。このビス穴126、127は、上下に一つずつ設けられているが、中心軸に関して対称となるように複数個ずつ設けることも可能である。また、ビス穴126は取付部材固定部122と第1凹部123との間に、ビス穴127は第2凹部124の下方に設けられているが、建物躯体110に取付部材120が固定できればビス穴の位置及び穴の数は任意に定めることができる。
【0041】
取付部材固定部122は、プレート部121から略垂直に伸びた板状の部材である。したがって、後述する第1化粧材130の化粧材固定部132は取付部材の他の部分などと係合することなく取付部材固定部122上に載置されるため、容易に第1化粧材130を所定の位置に置くことができる。また、取付部材固定部122には、第1化粧材130の化粧材固定部132と取付部材固定部122とを、ビス160を用いて固定するためのビス穴125が予め開口されている。なお、固定用のビス160は、第1化粧材130を取付部材120に固定できる部品であればビスに限られず、取付ネジ、ボルトナットなど、あらゆるものを用いることができる。
【0042】
第1凹部123は、取付部材固定部122より下部に設けられた鉤状の凹部であって、具体的には、図2の取付部材120を正面から見てプレート部121から手前側へ略垂直に延びる基底部と、上方に折れ曲がり基底部に対して略直角の方向に延びる前壁部とから構成されている。そして、後述する下方に折り曲がる第1化粧材130の第1係合凸部134を上方から受け入れることができる。なお、化粧材130は脆性を有することから、第1凹部123の端部を丸める必要がなく、確実に装着することができる。
【0043】
第2凹部124は、第1凹部123より下部に設けられた鉤状の凹部であって、第1凹部123と同様の形状を有し、後述する下方に折り曲がる第2化粧材140の第2係合凸部142を上方から受け入れることができる。なお、必ずしも同一の形状とすることはなく、取付位置や化粧材の大きさに合わせて、形状を変更することもできる。
【0044】
<外装化粧材130,140>
第1実施形態に係る外装化粧材の取付構造における外装化粧材は、図1に示すように、第1化粧材130と第2化粧材140とから構成され、取付後、第1化粧材130と第2化粧材140とにより、取付部材120を上端部から下端部まで覆い隠している。したがって、化粧材130、140の正面側から見ると取付部材120は露出することはない。また、外装化粧材の材料としては、繊維含有珪酸カルシウム系の窯業系材料であり、これに限られず、デザイン性を高めるために樹脂系材料も適用することができる。
【0045】
ここで、いずれの化粧材も、建物躯体110及び取付部材120により中空の空間が形成できるような形状となっている。したがって、中空の空間が、化粧材内部に形成されることにより化粧材の軽量化を図ることができる。なお、軽量化を図るためには、各化粧材の上端部及び下端部以外をすべて中空の空間にすることが好ましいが、化粧材は窯業系材料からなる部材であることから、化粧材の製造過程において化粧材が撓むのを防止するため、各化粧材の上端部及び下端部以外にも、建物躯体110及び取付部材120に対して少なくとも1つの柱状部が形成されている。
【0046】
第1化粧材130は、第1化粧材130の上端部に設けられた化粧材固定部132と、下端部に設けられた第1係合凸部134と、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられたときに第2化粧材140を押圧する第1端面136と、外部から視認可能な第1外面138とが設けられている。また、化粧材固定部132には、第1化粧材130を所定の位置に取り付けるとき、ビス160により取付部材固定部122と化粧材固定部132とを固定できるように、ビス穴133が設けられている。
【0047】
化粧材固定部132は、確実な装着を可能にするため、取付部材120の板状の取付部材固定部122と対向する下面を、板状の取付部材固定部122と密着可能な平面状に加工されている。また、化粧材固定部132の上面は、ビス固定した際に上面上に現れるビス160の頭部をコーキング剤により隠し易いように、下面と平行な平面状に加工されている。したがって、化粧材固定部132が取付部材固定部122上でビス固定されて第1化粧材130が所定位置に取り付けられることから、外部から視認可能な第1化粧材130の第1外面138から直接ビス固定をすることなく取り付けることができる。この結果、取付後の第1化粧材130のデザイン性を損なうことなく確保できる。
【0048】
第1係合凸部134は、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられたとき、上部が開口している取付部材120の第1凹部123に対応する位置に、第1凹部126と係合可能に下方に向って凸形状に形成されている。したがって、第1係合凸部134が第1凹部123に係合し、かつ化粧材固定部132が取付部材固定部122とビス固定されることにより、接着剤を用いることなく、第1化粧材130は確実に装着することができる。
【0049】
なお、第1化粧材130はビス固定されているだけであるため、取り外しも容易に行うことができる。したがって、施工後のメンテナンスや外装化粧材が破損した場合の交換等を容易に行うことができる。
【0050】
さらに、第1係合凸部134は第1化粧材130の下端部に設けられ、第2係合凸部142は第2化粧材140の上端部に設けられることから、まず、第2化粧材140の第2係合凸部142を取付部材120の第2凹部124に係合させ、次に、第2化粧材140の上方から、第1化粧材130の第1係合凸部134を取付部材120の第1凹部123に係合させ、そして、第1化粧材130の化粧材固定部132を取付部材120の取付部材固定部122に載置した後、化粧材固定部132と取付部材固定部122とをビス固定することができるため、第1化粧材130及び第2化粧材140が取付時に落下するのを防止するための補助具を用いることなく、第1化粧材130及び第2化粧材140を取り付けることができる。この結果、取付時において、第1化粧材130及び第2化粧材140の各々位置を合わせるような作業も補助機構も必要とせず、建物躯体110に外装化粧材を容易に取り付けることが可能となる。
【0051】
第1端面136は、図1に示すように、第1化粧材130の正面から建物躯体110方向に後上がりに傾斜している。したがって、第1端面136に付着した水は第1外面138下端に集めることができる。また、第1端面136と第1外面138とは鋭角に交わる。この結果、第1外面138下端における水切れをさらに良くすることができる。
【0052】
なお、第1化粧材130の第1外面138は、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられたとき、建物躯体110及び建物躯体110に取り付けられる取付部材120に対して、略平行になるように形成されている。第1外面138を、図1のように、必ずしも建物躯体110等と略平行とする必要はなく、第1外面138上に付着した水が下端で水切りが良くなる形状、例えば正面から建物躯体110方向に上がり又は下がりに傾斜させることもできる。
【0053】
第2化粧材140は、第2化粧材140の上端部に設けられた第2係合凸部142と、下端部144と、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられたときに第1端面136により押圧される第2端面146と、外部から視認可能な外面148とが設けられている。
【0054】
第2係合凸部142は、上部が開口している取付部材120の第2凹部124に対応する位置に、第2凹部124と係合可能に下方に向って凸形状に形成されている。なお、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられると、第1端面136により第2化粧材140を押圧することとなる。したがって、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられていれば、第2係合凸部142と第2凹部124との係合が維持されため、第2化粧材140には固定用のビスは必要がない。すなわち、施工後の第2化粧材140のデザイン性を損なうことなく位置固定できるのである。
【0055】
下端部144は、第2係合凸部142を取付部材120の第2凹部124に係合させたとき、第2化粧材140を安定させるために、建物躯体110に対して略垂直となるように形成されている。
【0056】
第2端面146は、図1に示すように、第2化粧材140の正面から建物躯体110方向に後上がりに傾斜している。したがって、第2端面146に付着した水は、第2外面側に流れることとなり、第1化粧材と第2化粧材との間からの水の侵入を防ぐことができる。
【0057】
なお、第2化粧材140の第2外面148は、第1化粧材130が所定の位置に取り付けられたとき、第1化粧材130の第1外面138より建物躯体110方向内側に設けられている。この結果、第1化粧材130の外面138から落ちる水が第2化粧材140に付着することを防止することができる。
【0058】
<弾性部材170,172,174>
本発明に係る外装化粧材の取付構造は、図1に示すとおり、第1化粧材130の第1端面136と第2化粧材140の第2端面146との間に化粧材用弾性部材170が、建物躯体110と第1化粧材130の化粧材固定部132との間に第1建物躯体用弾性部材172が、建物躯体110と第2化粧材130の下端部144との間に第2建物躯体用弾性部材174がシール可能に設けられている。
【0059】
化粧材用弾性部材170は、第1化粧材130の第1端面136と第2化粧材140の第2端面146との間をシール可能に設けられていることから、雨水などの水が第1端面136と第2端面146との間から浸入することを防止できるため、建物躯体側に存在する木質部材の腐食などを防止することができる。
【0060】
さらに、化粧材用弾性部材170は、第2化粧材140を取付部材120の第2凹部124に係合させた後に第1化粧材130を所定位置に取り付けるとき、第1化粧材130を第2化粧材140に、より具体的には第1化粧材130の第1端面136を第2化粧材140の第2端面146に直接接触させることなく押圧して、第2係合凸部142と第2凹部124との係合を維持し、第2化粧材140を建物躯体に対し確実に固定することができる。また、第1化粧材130と第2化粧材140との接触による破損を防止することができる。さらに、第1化粧材130と第2化粧材140との間に化粧材用弾性部材170を使用することにより、建物躯体110や各部材などの寸法誤差に対しても容易かつ確実な取り付けを可能にする。
【0061】
化粧材用弾性部材の材料は、第1化粧材130と第2化粧材140との間の緩衝材となることから、取り付けたときに若干つぶれるような部材が好ましく、例えば、発泡ポリ塩化ビニル樹脂、発泡ポリエチレン樹脂、発泡ウレタン樹脂などの発泡部材や、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、エチレン-プロピレン-ジエン三元共重合体(EPDM)などのゴム系部材などが含まれる。なお、第1建物躯体用弾性部材172及び第2建物躯体用弾性部材174も、化粧材用弾性部材170と同様の材料とすることもできる。
【0062】
第1建物躯体用弾性部材172は、建物躯体110と化粧材固定部132との間をシール可能に設けられていることから、雨水などの水が化粧材固定部132と建物躯体110との間から浸入することを防止できるため、部材の腐食などを防止することができる。また、第1化粧材130を所定の位置に取り付けるとき、第1化粧材130を建物躯体110に直接接触させることなく押圧することができることから、第1化粧材130と建物躯体110との接触による破損を防止することができる。さらに、第1化粧材130と建物躯体110との間に第1建物躯体用弾性部材172を使用することにより、建物躯体110や各部材などの寸法誤差に対しても容易かつ確実な取り付けを可能にする。
【0063】
第2建物躯体用弾性部材174は、建物躯体110と第2化粧材140の下端部144との間をシール可能に設けられていることから、雨水などの水が下端部144と建物躯体110との間から浸入することを防止できるため、部材の腐食などを防止することができる。また、第2化粧材140の第2係合凸部142を第2凹部128に係合させるとき、第2化粧材140を建物躯体110に直接接触させることなく、位置固定することができる。この結果、第1建物躯体用弾性部材172と同様に、第2化粧材140と建物躯体110との接触による破損を防止することができるとともに、建物躯体110や各部材などの寸法誤差に対しても容易かつ確実な取り付けを可能にする。
【0064】
<<建築用外装化粧材の取付方法>>
図3及び図4を用いて、外装化粧材の取付方法を説明する。図3(a)は取付方法を説明するための概念図であって、建物外壁面に対して取付部材120を取り付けた図である。図3(b)は、取付方法を説明するための概念図であって、第2化粧材140を取付部材120を用いて取り付けた図である。図3(c)は、取付方法を説明するための概念図であって、第1化粧材130を取付部材120を用いて取り付けた図である。図4(a)は図3(a)の建築用外装化粧材の取付構造の側面図である。図4(b)は図3(b)の建築用外装化粧材の取付構造の側面図である。図4(c)は図3(c)の建築用外装化粧材の取付構造の側面図である。
【0065】
具体的には、外装化粧材の取り付けは、はじめに、建物外壁に取付部材120を取り付け、次に、第2化粧材140を取付部材120に取り付け、そして、第2化粧材140の第1化粧材130を上方から取付部材120に取り付け、そして、第1化粧材130と取付部材120とをビス固定することにより行われる。
【0066】
<取付部材120の取り付け>
図3(a)及び図4(a)を用いて、取付部材120を外壁面に取り付ける方法を説明する。はじめに、建物外壁の取付箇所に取付部材120を取り付ける。具体的には、図3(a)に示すとおり、第1化粧材130及び第2化粧材140と取付部材120との取付位置関係を考慮して、外壁面に対して一定高さに取り付けられるようにマーキングライン(図3(a)の破線)を引く。そして、固定具150、152を用いて、取付部材どうしの間隔が一定幅になるように取付部材120を取り付ける。その際、取り付け、取り外しを考慮して、隣り合う第1化粧材どうし及び隣り合う第2化粧材どうしのジョイント部が、取付部材を跨るような取付位置に取付部材を取り付ける。なお、ジョイント部は、化粧材どうしが所定幅、例えば3mm程度の目地を設けることができるように取り付ける。
【0067】
<第2化粧材140の取り付け>
図3(b)及び図4(b)を用いて、外壁面に取り付けられた取付部材120に、第2化粧材を取り付ける方法を説明する。ここで、第2化粧材として、出隅役物140Aと、長尺品である胴差140Bと、入隅役物140Cとが、図3(b)に示されている。
【0068】
第1化粧材130の下方に設けられる第2化粧材140として、図4(b)に示すとおり、出隅役物140Aと、入隅役物140Cとを、取付部材120の第2凹部124に第2係合凸部142を落とし込むように上から下に向って、取付部材120に対して取り付ける。そして、出隅役物140A及び入隅役物140Cが取付部材120に取り付けられた後、長尺品である胴差140Bを、図3(b)に示すとおり取り付ける。
【0069】
<第1化粧材の取り付け>
図3(c)及び図4(c)を用いて、外壁面に取り付けられた取付部材120を用いて、第1化粧材130を外壁面に取り付ける方法を説明する。ここで、第1化粧材130は、第2化粧材140と対応して横方向に同じ長さを有する、出隅役物130Aと、長尺品である胴差130Bと、入隅役物130Cとが、図3(c)に示されている。
【0070】
第1化粧材130も第2化粧材140と同様に、図4(c)に示すとおり、出隅役物130Aと、入隅役物130Cとを、取付部材120の第1凹部123に第1係合凸部134を落とし込むように上から下に向って、取付部材120に対して取り付ける。そして、出隅役物130A及び入隅役物130Cが取付部材120に取り付けられた後、長尺品である胴差130Bを、図3(c)に示すとおり取り付ける。そして、第1化粧材130の上端部である化粧材固定部134を、ビス160を用いて取付部材120の取付部材固定部124とビス固定する。
【0071】
以上のようにして、外装化粧材を取り付けることができる。ここで、第1化粧材130の化粧材固定部132及び第1係合凸部134と、第2化粧材140の第2係合凸部142と、そして、取付部材120のプレート部121、取付部材固定部122、第1凹部123及び第2凹部124とは、各係合凸部と凹部が係合し、かつ、各固定部がビス固定されることにより、各化粧材が建物躯体110に固定されるように、予め位置・大きさ・向きが定められていることから、第1化粧材130が所定位置に取り付けられ、取付部材固定部122と化粧材固定部132とをビス固定することにより、第2化粧材140を建物躯体110に押圧して固定できる。すなわち、取付部材固定部122と第1化粧材130の化粧材固定部132とをビス固定できた場合は、第2化粧材140が取付部材120の第2凹部124に確実に係合していることが保証される。したがって、取付時において、第1化粧材130及び第2化粧材140の各々位置を合わせるような作業も補助機構も必要なく、建物躯体110に外装化粧材を容易に取り付けることができる。
【0072】
特に、視認可能な外面138、148からのビス固定を必要としないことは、作業の容易性や、取付後の外装化粧部材の外観維持のための修復作業が不要になることから、取り付ける者が熟練していない場合であっても、取付時間の短縮化及び歩留りの向上を図ることができる。
【0073】
<<<第2実施形態>>>
第2実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造200は、第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造100の変形である。したがって、第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造100と異なる部分について説明する。
【0074】
図5は本発明の第2実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造の側面図である。図5で示すとおり、第2実施形態の取付構造200は、建物躯体210に取り付けられる取付部材220と、外装化粧材である第1化粧材230、第2化粧材240及び第3化粧材280と、取付部材220を建物躯体210に取り付ける固定具250、252及び254と、第1化粧材230を取付部材220に固定するビス260と、外装化粧材どうしの間に設けられた弾性部材270及び272と、化粧材230、280と建物躯体210との間に設けられた弾性部材276、278とにより構成される。
【0075】
図5に示すように、取付部材220は、取付部材120を変形したものであり、板状かつ矩形状のプレート部221と、化粧材側から見てプレート部221から手前側に略垂直に伸びた板状の取付部材固定部222と、取付部材固定部222より下部にあって、順に横方向に延びる鉤状の第1凹部223、第2凹部224、第3凹部225及び第4凹部226とから構成されている。そして、取付部材210は、固定具250、252、254を用いて、建物躯体210に取り付けられる。
【0076】
また、外装化粧材は、第1化粧材230、第2化粧材240及び第3化粧材280の3つの化粧材から構成されている。第1化粧材230と第3化粧材280との間に設けられる第2化粧材240には、取付時の安定性を考慮し、取付部材220に設けられた2つの凹部224、225に係合可能な2つの係合凸部242、244が設けられている。さらに、第3化粧材280は第1実施形態に係る取付構造の第2化粧材140と略同様の形状を有し、その下端部と建物躯体210との間にシール可能な建物躯体用弾性部材278を備えている。そして、化粧材用弾性部材として、弾性部材270が第1化粧材230と第2化粧材240との間に、弾性部材272が第2化粧材240と第3化粧材280との間に設けられている。
【0077】
各係合部は、各化粧材が所定の位置に取り付けられたとき、上部が開口している取付部材220の各凹部に対応する位置に、各凹部と係合可能に下方に向って凸形状に形成されている。したがって、各係合凸部が対応する凹部に係合し、かつ化粧材固定部232が取付部材固定部222とビス固定されることにより、第1化粧材230は確実に装着することができるだけでなく、第2化粧材240及び第3化粧材280も押圧されて建物躯体210に固定される。なお、第1化粧材230はビス固定されているだけであるため、取り外しも容易に行うことができる。
【0078】
第1化粧材230、第2化粧材240そして第3化粧材280の外面は、各化粧材下端における水切りを考慮し、各化粧材が所定の位置に取り付けられたとき、順に、建物躯体側方向に向って内側になるように形成されている。また、外部から視認可能な複数の外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく取り付けることができるため、取付後の外装化粧材のデザイン性を損なうことなく確保できる。さらに、第2実施形態に係る取付構造の外装化粧材は、3つの化粧材を使用することから、第1実施形態に係る取付構造の化粧材と比較して、様々な模様や彩色等を外装化粧材に施すことができるため、外装化粧材の外観のデザイン性をよい一層向上させることができる。
【0079】
以上のとおり、本実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造によれば、化粧材固定部が載置される取付部材固定部が化粧材固定部と上方からビス固定されて、第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、他の化粧材が第1化粧材により建物躯体に押圧され固定される。したがって、外部から視認可能な外装化粧材の外面から直接ビス固定をすることなく取り付けることができる。この結果、取付後の外装化粧材のデザイン性を損なうことなく確保できる。また、接着剤を用いることもなく、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着できる。
【0080】
また、取付部材を用いて、建物躯体に外装化粧材を確実に装着するために接着剤を用いることもないことから、第1化粧材の化粧材固定部と取付部材の取付部材固定部とをビス固定したビスを緩めて取り外すことにより、取付後の外装化粧材の取り外しを容易に行うことができる。この結果、施工後のメンテナンスや外装化粧材が破損した場合の交換等を容易に行うことができる。
【0081】
さらに、各化粧材の係合凸部及び取付部材の各凹部が係合し、かつ、第1化粧材の化粧材固定部及び取付部材の取付部材固定部とがビス固定されることにより、各化粧材が建物躯体に固定されるように、予め位置・大きさ・向きが定められていることから、第1化粧材が所定位置に取り付けられ、各固定部をビス固定することにより、他の化粧材を建物躯体に押圧して固定できる。すなわち、取付部材固定部と第1化粧材の化粧材固定部とをビス固定できた場合は、他の化粧材の係合凸部が取付部材の各凹部に確実に係合していることが保証される。したがって、取付時において、化粧材の各々の位置を合わせるような作業も補助機構も必要なく、建物躯体に外装化粧材を容易に取り付けることができる。
【0082】
特に、視認可能な外面からのビス固定を必要としないことは、作業の容易性や、取付後の外装化粧部材の外観維持のための修復作業が不要になることから、取り付ける者が熟練していない場合であっても、取付時間の短縮化及び歩留りの向上を図ることができる。
【0083】
更に、本発明に係る建物外装用化粧材の取付構造は、上述の実施形態には限られず、その他様々な実施形態が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の第1実施形態に係る取付構造100の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る建築用外装化粧材の取付構造に用いられる取付金具120の正面図である。
【図3】建築用外装化粧材を取り付ける方法を説明するための概念図である。
【図4】建築用外装化粧材を取り付ける方法を説明するための概念図であって、取付構造100の側面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る取付構造200の側面図である。
【符号の説明】
【0085】
100、200 建築用外装化粧材の取付構造
110 建物躯体
120 取付部材
121 プレート部
122 取付部材固定部
123 第1凹部
124 第2凹部
125,126,127 ビス穴
130 第1化粧材
132 化粧材固定部
134 第1係合凸部
136 第1端面
138 第1外面
140 第2化粧材
142 第2係合凸部
146 第2端面
148 第2外面
150,152 固定具
160 ビス
170 化粧材用弾性部材
172,174 建物躯体用弾性部材
210 建物躯体
220 取付部材
221 プレート部
222 取付部材固定部
223 第1凹部
224 第2凹部
225 第3凹部
226 第4凹部
230 第1化粧材
232 化粧材固定部
234 第1係合凸部
240 第2化粧材
242 第2係合凸部
244 第3係合凸部
250,252,254 固定具
260 ビス
270,272 化粧材用弾性部材
274,276 建物躯体用弾性部材
280 第3化粧材
282 第4係合凸部
284 下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
窯業系材料よりなる建築用外装化粧材を建物躯体に取付部材を用いて取り付ける建築用外装化粧材の取付構造であって、
前記建築用外装化粧材は、
前記取付部材にビス固定される化粧材固定部と前記取付部材と係合する第1係合凸部とを有する第1化粧材と、
前記取付部材と係合する第2係合凸部を有する第2化粧材と、を含み、
前記取付部材は、
前記化粧材固定部が載置されるとともに、前記化粧材固定部と上方からビス固定される取付部材固定部と、
前記取付部材固定部の下方に設けられ、前記第1係合凸部を上方から受け入れる第1凹部と、
前記第1凹部の下方に設けられ、前記第2係合凸部を上方から受け入れる第2凹部と、
を含み、
前記第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、前記第2化粧材が前記第1化粧材により前記建物躯体に押圧され固定される、
ことを特徴とする建築用外装化粧材の取付構造。
【請求項2】
前記第1係合凸部は前記第1化粧材の下端部に設けられ、
前記第2係合凸部は前記第2化粧材の上端部に設けられる、
請求項1記載の建築用外装化粧材の取付構造。
【請求項3】
前記第2化粧材は、前記第1化粧材と前記第2化粧材との間にシール可能に設けられた化粧材用弾性部材を介して、前記第1化粧材により前記建物躯体に押圧され固定される、
請求項1又は2記載の建築用外装化粧材の取付構造。
【請求項4】
前記第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、前記化粧材固定部と前記建物躯体との間にシール可能に設けられた第1建物躯体用弾性部材と、前記第2化粧材の下端部と前記建物躯体との間にシール可能に設けられた第2建物躯体用弾性部材と、を有する、
請求項1〜3いずれか一項記載の建築用外装化粧材の取付構造。
【請求項5】
前記第1化粧材は、前記第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、前記第2化粧材を押圧する前記第1化粧材の第1端面と、前記第1端面と鋭角に交わる第1外面とを有し、
前記第1端面は、前記第1外面から前記建物躯体へ後上がりに傾斜し、
前記第2化粧材は、第1端面に対向して略平行な第2端面を有する、
請求項1〜4いずれか一項記載の建築用外装化粧材の取付構造。
【請求項6】
前記第2化粧材は、前記第1化粧材が所定位置に取り付けられるとき、前記第1外面から前記建物躯体方向内側に設けられる、
請求項1〜5いずれか一項記載の建築用外装化粧材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−63793(P2008−63793A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−241844(P2006−241844)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】