説明

建築用板

【課題】 暖房効率を高めることが出来る建築用板を得る。
【解決手段】 粒子径が1〜20μmの蓄熱剤が表面に塗布された建築用板1であって、前記蓄熱剤が、融点が摂氏31.7〜33.7度で且つ凝固点が摂氏28.2〜30.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆するメラミン樹脂層とからなるものである。パラフィンが蓄熱作用を有するので、蓄熱作用を有する建築用板1を得ることが出来る。特に、図2〜図4で明らかなごとく、摂氏32度程度の温度より高温時は温度低下が早く、逆に、摂氏32度程度の温度まで温度が低下すると、温度低下が遅いので、暖房時の温度(摂氏25度程度の温度)近くで、蓄熱効果を発揮しやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建築用板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の建築用板として、蓄熱剤が表面に塗布されたものは知られている。
【特許文献1】特開2001−140,437号公報
【発明の開示】
【発明の背景】
【0003】
本願発明者は、融点が摂氏32.7度で且つ凝固点が摂氏29.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆するメラミン樹脂層とからなる蓄熱剤(粒子径が1〜20μmである)を、建築用板の表面に塗布し、その建築用板を用いて、後で詳述する加熱後、常温に放置する実験を行って、建築用板が冷め難いことを知見した。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【完成された発明】
【0004】
本発明は以下の如きものである。
請求項1の発明は、粒子径が1〜20μmの蓄熱剤が表面に塗布された建築用板であって、前記蓄熱剤が、融点が摂氏31.7〜33.7度で且つ凝固点が摂氏28.2〜30.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆するメラミン樹脂層とからなるものである。
【0005】
本発明は前記した如き構成によって以下の如き効果を奏する。
請求項1の発明によれば、パラフィンが蓄熱作用を有するので、蓄熱作用を有する建築用板を得ることが出来る。従って、この建築用板を使用した建物の暖房効率を高め、省エネを図ることが出来る。特に、図2〜図4で明らかなごとく、摂氏32度程度の温度より高温時は温度低下が早く、逆に、摂氏32度程度の温度まで温度が低下すると、温度低下が遅いので、暖房時の温度(摂氏25度程度の温度)近くで、蓄熱効果を発揮しやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
なお、この説明において、前とは図1紙面表側を、後とは同裏側をいい、左とは図1左側を、右とは同図右側をいう。
【0007】
床板等の建築用板1は、合板からなる基材2を有している。基材2は、厚さが12mmで、左右長さ(短手方向長さ)(後述の雄実4の長さを除く)は303mmで、前後長さ(長手方向長さ)(後述の雄実4の長さを除く)は1818mmである。
基材2の左縁部及び後部縁部に雄実4が形成され、右縁部及び前部縁部に雌実5が形成されている。
【0008】
前記基材2の表面(上面)に突板7が貼り付けられ、この突板7の表面(上面)に着色塗料層9が塗布形成され、この着色塗料層9の表面(上面)に下塗り塗料層10が塗布形成され、この下塗り塗料層10の表面(上面)に中塗り塗料層11が塗布形成され、この中塗り塗料層11の表面(上面)に上塗り塗料層12が塗布形成されている。
【0009】
前記突板7は、0.3mmのオーク材からなるものである。
前記着色塗料層9は、突板7の表面を研磨後、ワイピング塗装により形成される。
前記下塗り塗料層10は透明である。
前記中塗り塗料層11には、研磨材粉末が添加されている。
【0010】
前記上塗り塗料層12は、透明な紫外線硬化型塗料(16キログラム)に、以下に詳述する蓄熱剤を150グラム添加したものを、0.092平方メートル当たり9グラムの割合で塗布して形成される。
前記蓄熱剤は、粒子径が1〜20μmであって、融点が摂氏32.7度で且つ凝固点が摂氏29.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆する、超薄厚の壁層からなるメラミン樹脂層とからなるものである。
【0011】
建築用板1の効果を確認するため、上塗り塗料層12に蓄熱剤を添加していない点を除いて、その他は建築用板1と同様の、比較例としての建築用板(以下、単に比較例という。)を製造し、以下の実験を行った。
【0012】
建築用板1をジェットドライヤー内で摂氏80度で5分間加熱した。
その後、ジェットドライヤーより取り出し、40分間大気中(摂氏18度)に放置し、建築用板1の温度の変化を測定した。測定場所は、雌実5側の表面、建築用板1の前後・左右の中央部、雄実4側縁の表面の3ヶ所である。
その結果を、図2〜図4の曲線Aで示す。
【0013】
比較例を建築用板1と同様に加熱、大気放置し、同様の位置の温度変化を測定した。
その結果を、図2〜図4の曲線Bで示す。
【0014】
この結果から以下のことが分かる。
建築用板1は、比較例に比較して、摂氏32度程度の温度より高温時は温度低下が早く、逆に、摂氏32度程度の温度まで温度が低下すると、温度低下が遅い。このことから、暖房時の温度(摂氏25度程度の温度)近くで、蓄熱効果を発揮しやすいことが分かる。
【0015】
以下に変形例等について説明を加える。
(1)蓄熱剤は、着色塗料層9、下塗り塗料層10、中塗り塗料層11、上塗り塗料層12のいずれか1つに添加するようにすればよい。
(2)基材2の大きさは任意である。
(3)基材2の素材は、パーティクルボード等であってもよい。
(4)突板7の素材はぶな材等任意である。
(5)実験結果から判断すれば、本願発明における蓄熱剤は、融点が摂氏31.7〜33.7度で且つ凝固点が摂氏28.2〜30.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆するメラミン樹脂層とからなるものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態を示す断面図である。
【図2】雌実側縁の表面温度の変化を示すグラフである。
【図3】中央部の表面温度の変化を示すグラフである。
【図4】雄実側縁の表面温度の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0017】
1 建築用板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子径が1〜20μmの蓄熱剤が表面に塗布された建築用板であって、前記蓄熱剤が、融点が摂氏31.7〜33.7度で且つ凝固点が摂氏28.2〜30.2度であるパラフィンと、このパラフィンを被覆するメラミン樹脂層とからなる建築用板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−45804(P2006−45804A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225031(P2004−225031)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000000413)永大産業株式会社 (243)
【Fターム(参考)】