建築用造作材および建築用造作材セットの製造方法
【課題】表面材に用いた化粧紙が折り曲げ加工によって破れることのない建築用造作材の製造方法を提供する。
【解決手段】木質基材12の表面に弾性接着剤層14を形成した後、弾性接着剤層14の表面に化粧紙16を配設するとともに、木質基材12に底部18aがV字状の溝18を形成し、然る後、溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行い、このとき、溝18を、木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さに設定し、弾性接着剤層14を、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有するようにすることにより、上記課題を解決することができる。
【解決手段】木質基材12の表面に弾性接着剤層14を形成した後、弾性接着剤層14の表面に化粧紙16を配設するとともに、木質基材12に底部18aがV字状の溝18を形成し、然る後、溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行い、このとき、溝18を、木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さに設定し、弾性接着剤層14を、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有するようにすることにより、上記課題を解決することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物に用いられる框、踏板、幅木等の建築用造作材および建築用造作材セットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、様々な態様の住宅等の建築物に用いられる框、踏板、幅木等の建築用造作材が開発されており、例えば、特許文献1には、図11に示すように、合板製の板材1の表面に、ポリエステル等を原料とする不織布や合成樹脂シート等の可撓性シート2を貼着し、さらに当該可撓性シート2の表面に、天然木を薄板化した突板等を表面材3として貼着するとともに、板材1の裏面(可撓性シート2等が貼着された面とは反対側の面)側から可撓性シート2に向けて底部がV字状の切欠溝4が形成された建築用造作材5(折り曲げ加工前)が開示されている。
【0003】
この建築用造作材5によれば、図12(a)に示すように、可撓性シート2をガイドにして切欠溝4を閉じるようにして折り曲げ加工することにより、建築用造作材5を所望の部材に取り付けることができる(特許文献1では「角柱」の周面に取り付けるようになっている。)。
【0004】
加えて、板材1の表面に可撓性シート2を貼着していることから、折り曲げ加工を施しても建築用造作材5が割れてしまうことがなく、また、天然木の表面材3と板材1との間に可撓性に富む可撓性シート2が挟着されているので、当該表面材3に「しわ」や「割れ」等が生じることもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−109317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表面材3として、希少性の高い美しい木目を有する銘木をスライスして薄板化したものに人気が集まっていることから、このような「美しい木目」に基づいてデザインされた木目化粧柄がグラビア輪転印刷技術等で繰り返し連続的に印刷された化粧紙が広く用いられるようになっており、より安価な化粧紙を建築用造作材5の表面材3’として使用することが求められている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の建築用造作材5において、表面材3’として化粧紙を使用することについては問題があった。
【0008】
すなわち、可撓性シート2を構成するポリエステルシートや塩化ビニル樹脂シートは、折り曲げ加工時におけるガイドの役割に耐えうる強度および可撓性を有している反面、弾性に乏しいという性質を有している。このため、上述のように可撓性シート2をガイドにして切欠溝4を閉じるように折り曲げることにより、当該折り曲げ部Xの可撓性シート2が外側へ膨出しようとしたとき、突板等の天然木で表面材3が構成されていれば、当該膨出部の膨出力に対抗できる程度の強度を有しているので問題ないものの(図12(a)参照)、化粧紙で表面材3’が構成されている場合、化粧紙(=表面材3’)は可撓性シート2における膨出部の膨出力に対抗できずに破れてしまうおそれがあった(図12(b)参照)。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、表面材として用いた化粧紙が折り曲げ加工によって破れることのない建築用造作材および建築用造作材セットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した発明は、「木質基材12におけるいずれか一方の表面に弾性接着剤層14を形成した後、前記弾性接着剤層14の表面に化粧紙16を配設するとともに、
前記木質基材12における、前記弾性接着剤層14が設けられていない面に、底部18aがV字状の溝18を形成し、
然る後、前記溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行う建築用造作材20の製造方法であって、
前記溝18は、前記木質基材12を切断するが、前記弾性接着剤層14は切断しない深さに設定されており、
前記弾性接着剤層14は、少なくとも前記折り曲げ加工が行われている間において弾性を有していることを特徴とする建築用造作材20の製造方法」である。
【0011】
この発明によれば、木質基材12と化粧紙16との間に弾性接着剤層14が設けられており、当該弾性接着剤層14は、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有している。このため、木質基材12に設けられたV字状の溝18を閉じるようにして折り曲げることにより、当該折り曲げ部Xの弾性接着剤層14が外側へ膨出しようとしたとき、弾性接着剤層14はその膨出力で化粧紙16を押圧するものの、当該弾性接着剤層14は上述のように弾性を有していることから、化粧紙16からの反力を受けて弾性接着剤層14自身が弾性変形することによって収縮(薄肉化)して該膨出力を吸収するので、化粧紙16が破れてしまうおそれを回避できる。
【0012】
なお、溝18の「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」とは、図2(a)〜(c)に示すように、(a)溝18におけるV字状の底部18aの位置が、弾性接着剤層14における、木質基材12に対向する面と面一になっている場合、あるいは(b)溝18の底部18aの位置が、木質基材12の層を越えて弾性接着剤層14に食い込んでおり、弾性接着剤層14の一部が取り除かれているような場合に限られず、(c)溝18の底部18aが木質基材12と弾性接着剤層14との接触面にまで届いていないことから木質基材12が完全に切断されていない場合であっても、木質基材12における最薄部の厚さが、問題なく折り曲げ加工を行うことができる程度に薄い場合であれば、本発明にいう「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」に含まれる。
【0013】
また、溝18の数は1つに限定されることはなく、後述する実施例に示すように、複数個の溝18を形成する場合も当然に含まれる。
【0014】
また、「V字状の底部18a」の形状は、図2(a)〜(c)に示すように、平面部分を有するものであってもよいし、図3に示すように、その断面形状が鋭角になっており平面部分が存在しないような形状であってもよい。
【0015】
さらに、木質基材12に溝18を形成する工程は、木質基材12に化粧紙16を配設する前であってもよいし、後であってもよい。
【0016】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記弾性接着剤層14は、PUR接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工は、前記弾性接着剤層14を形成した後、前記弾性接着剤層14の平面平滑が失われない程度に前記PUR接着剤を硬化させる際において、前記PUR接着剤が完全に硬化するまでに行われる」ことを特徴とする。
【0017】
「PUR(Poly Urethane Reactive)接着剤」とは、ポリウレタン系のホットメルト接着剤であり、反応性ホットメルト接着剤ともいう。冷却硬化により初期強度の発現が早いだけでなく、湿気硬化性(反応性)を有するため、最終的な物性にも優れるという特徴をもっている。また、冷却硬化後、湿気硬化するまでは、熱を加えると再度溶融状態になるという優れた特徴を有するとともに、湿気硬化後は熱を加えても軟化しない、耐久性の高い接着剤である。この発明では、PUR接着剤を硬化させる途中において、当該PUR接着剤が完全に湿気硬化してしまう前に折り曲げ加工を施すようになっているので、未硬化のPUR接着剤が有する弾性によって化粧紙が破れるのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し、さらにPUR接着剤を湿気硬化させた後は、例えPUR接着剤(=弾性接着剤層14)に熱が加えられたとしても、PUR接着剤が再び軟化することはないので、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材を提供することができる。
【0018】
つまり、本発明に使用されるPUR接着剤は、冷却硬化後、湿気硬化するまでの間、適度な弾性を有することが必要である。さらに具体的にいうと、折り曲げ加工時に折り曲げ部Xの膨出力に起因する化粧紙16からの反力を吸収できる程度の弾性があればよい。このため、好ましくは、冷却硬化したPUR接着剤を熱により軟化させる方法や、PUR接着剤に添加剤を添加して、冷却硬化時には弾性を有するが、湿気効果後には弾性がなくなるPUR接着剤を選択すればよい。
【0019】
上述した添加剤としては、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂やロジエステル等の樹脂、3級アミン系触媒や錫系触媒等の触媒、パラフィンワックスやマイクロクリスタリン系ワックス等のワックス、着色顔料等のフィラー、老化防止剤等が用いられる。
【0020】
また、可塑剤等を添加したり、PUR接着剤を発泡固化させる等により、湿気硬化後にも適度な弾性を有するPUR接着剤を選択し、使用することを妨げるものではない。但し、この場合は、表面の強度が弱くなるため、玄関の上がり框等の高い表面強度が求められる場合には好ましくない。
【0021】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記弾性接着剤層14は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工を行う際には、折り曲げ位置およびその周辺のみを加熱して前記熱可塑性接着剤に弾性を生じさせる」ことを特徴とする。
【0022】
この発明では、弾性接着剤層14は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、折り曲げ加工を行う際に、必要な部分(=折り曲げ部X)の弾性接着剤層14のみを加熱して弾性を生じさせるようになっており、折り曲げ加工を行わないときや弾性を生じさせる必要がない部分において、弾性接着剤層14は硬化した(つまり弾性が生じない)状態となっている。このため、折り曲げ加工の最中において、加熱された熱可塑性接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れるのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し加熱を止めた後(つまり、弾性接着剤層14が常温になったとき)は、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材を提供することができる。
【0023】
請求項4に記載した発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「加温した状態の前記化粧紙16に前記弾性接着剤層14を構成する接着剤を塗布することにより、前記化粧紙16における前記弾性接着剤層14に対向する面の少なくとも一部には、前記接着剤が含浸されている」ことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、弾性接着剤層14を構成する接着剤が化粧紙16の一部に含浸することによって弾性接着剤層14と化粧紙16との親和性を著しく向上させることができ、化粧紙16が弾性接着剤層14から剥離するおそれを極小化することができる。
【0025】
特にPUR接着剤を使用する場合において、少なくとも化粧紙16を加温しておくことにより、PUR接着剤の含浸性を向上させることが望ましい。これは、化粧紙16にPUR接着剤が塗布された直後に冷却固化するのを防止でき、PUR接着剤の浸透性が向上するからである。これにより、弾性接着剤層14と、化粧紙16のうちPUR接着剤層が含浸された部分が一体となって折り曲げ部Xの膨出力に耐えうる効果が期待できる。
【0026】
また、PUR接着剤を使用する場合、木質基材12も加熱しておき、弾性接着剤層14と木質基材12の親和性を向上させることが望ましい。
【0027】
請求項5に記載した発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記化粧紙16を配設した後、前記折り曲げ加工を行うまでの間において、易剥離粘着材層25を介して前記化粧紙16の表面に可撓性シート26を配設する」ことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、化粧紙16の表面に易剥離粘着材層25を介して可撓性シート26が配設されているので、当該可撓性シート26が、折り曲げ加工時に表面に傷がつくのを防止するだけでなく、完成した建築用造作材20を施工現場まで運搬する際等に化粧紙16の表面が傷つくのを防止するとともに、現場での施工完了後は、可撓性シート26を剥離して化粧紙16を露出させることにより、仕上がり時の美観をより向上させることができる。
【0029】
なお、可撓性シート26を配設する工程は、木質基材12に溝18を形成する工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0030】
請求項6に記載した発明は、「請求項5の製造方法で製造した複数のL型の前記建築用造作材20を、ひとつの前記建築用造作材20の前記可撓性シート26と、他の前記建築用造作材20の前記木質基材12とが互いに近接対向するように配置し、然る後、梱包する、建築用造作材セット30の製造方法」である。
【0031】
従来、折り曲げ加工を施した後のL型の建築用造作材は、表面材に傷がつくのを防止するため、1本ごと、あるいは図9に示すようにロ字状に組み合わせて2本一組で箱29に梱包しなければならず、梱包効率が悪いという問題があった。しかし、請求項5の製造方法で製造した建築用造作材20の表面には可撓性シート26が配設されているので、例えば図10に示すように、或る建築用造作材20の可撓性シート26と、これとは別の建築用造作材20の木質基材12とが互いに近接対向するようにして配置して箱29に梱包しても化粧紙16を傷つけるおそれがないので、梱包効率および運送効率に優れた建築用造作材セット30を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、折り曲げ加工を行うことによって折り曲げ部の弾性接着剤層が外側へ膨出しようとしても、弾性接着剤層自身が弾性変形収縮して膨出力を吸収することにより、当該膨出力で化粧紙が破れてしまうおそれを回避できるので、表面材として化粧紙を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る、折り曲げ加工前の建築用造作材(a)、および折り曲げ加工後の建築用造作材(b)を示す断面図である。
【図2】折り曲げ部(図1(a)の「X」部)を示す拡大断面図である。
【図3】折り曲げ部に関する他の実施例を示す拡大断面図である。
【図4】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図5】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図6】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図7】他の実施例に関する折り曲げ加工前の断面図である。
【図8】他の実施例に関する折り曲げ加工前の断面図である。
【図9】従来の建築用造作材の梱包方法を示す断面図である。
【図10】本発明に係る、建築用造作材の梱包方法を示す断面図である。
【図11】従来技術を示す図である。
【図12】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施態様について図面を用いて説明する。最初に、折り曲げ加工前の建築用造作材(以下、「折曲前建築用造作材10」という。)について図1を用いて説明すると、折曲前建築用造作材10は、大略、木質基材12と、弾性接着剤層14と、化粧紙16とで構成されている。
【0035】
木質基材12は、合板、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF、HDF等の木質材料、あるいはこれらを複合させた板材である。後述するように、木質基材12には、V字状の底部18aを有する溝18が形成された後、当該溝18を閉じるようにして折り曲げ加工が施されることから、当該折り曲げ加工を施し易い柔らかさを有している点でMDF、あるいは合板の表面に0.5〜3.0mm程度の厚さのMDFを積層一体化したMDF複合合板を用いるのが好適である。
【0036】
また、木質基材12の裏面側(弾性接着剤層14や化粧紙16が配設されている側とは反対の側。以下同じ。)には、V字状の底部18aを有する溝18が形成されている。当該溝18の形状等については後述する。なお、溝18の数については、従来技術(図9)と同様に1つであってもよいし、本実施例(図1)のように2つ、あるいはそれ以上であってもよい。複数の溝18が形成される場合には、一対の溝18同士の間に三角形状の木質基材12が存在することになる。
【0037】
弾性接着剤層14は、上述した木質基材12の表面側に設けられた、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有する、0.05mm〜0.15mm(好ましくは0.05〜0.07mm)厚さの接着剤の層であり、この弾性接着剤層14を構成する接着剤として、酢酸ビニル系樹脂、水性ビニルウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ホットメルト系樹脂、PUR(Poly Urethane Reactive)ホットメルト系樹脂(すなわち、「PUR接着剤」)等を挙げることができる。
【0038】
0.05mmよりも薄い場合は、折り曲げ部Xの膨出力に耐えられなくなるおそれが高くなり、0.15mmよりも厚い場合、均一な厚さの弾性接着剤層14を形成するのが困難になるだけでなく、弾性接着剤層14自体の変形膨出力により化粧紙16が破れるおそれが高くなる。
【0039】
化粧紙16は、その表面に希少性の高い美しい木目に基づいてデザインされた木目化粧柄等がグラビア輪転印刷技術等で印刷された、0.01mm〜0.1mm程度の厚さを有する紙材である。なお、当該紙材に弾性接着剤層14を構成する接着剤を予め塗布しておき、紙材に弾性接着剤層14を構成する接着剤を含浸させておくことにより、(当該接着剤が含浸された)化粧紙16と弾性接着剤層14との親和性(接着性)が向上するのでより好適である。また、化粧紙16を加温しておくことにより、接着剤の浸透性が向上する点で好ましい。
【0040】
また、上記紙材として、アクリル系樹脂等を含浸硬化させた後、微細な針状突起が多数設けられた針付きカレンダーロール、針付き平板、あるいはレーザー照射やコロナ放電等の方法により、多数の微細孔が穿設されて通気性が付与された多孔質樹脂含浸化粧紙を使用することもできる。この場合、弾性接着剤層14を構成する接着剤が当該微細孔に浸透することにより、化粧紙16と弾性接着剤層14との接着力をより強固にすることができるので好適である。
【0041】
次に、上述した折曲前建築用造作材10を構成し、然る後、折り曲げ加工を施して完成品である建築用造作材20を製造する手順について説明する。
【0042】
まず、木質基材12と化粧紙16とを用意し、然る後、木質基材12の表面および化粧紙16の表面のいずれか一方あるいは両方に弾性接着剤層14を構成する接着剤を塗布する(もちろん、塗布に限られることはなく、吹き付け等の他の方法を用いることもできる。以下同じ。)。
【0043】
接着剤の塗布について詳述すると、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系樹脂を使用する場合には、40〜60℃に加温した木質基材12および40〜60℃に加温した化粧紙16の一方または両方にフローコーターやロールコーターを用いて水系樹脂を塗布した後、当該水系樹脂に弾性が生じる程度まで乾燥させ、然る後、化粧紙16を木質基材12に貼り合わせる。なお、水系樹脂の塗布方法としては上述したものの他、樹脂接着剤および化粧紙16を予め熱圧プレスして積層一体化してもよい。熱圧プレスの方法は、一般的なロールプレスや平板プレス等、様々な方法があるが、好ましくは平板プレスが使用される。熱圧プレスは、100〜130℃、かつ、0.2〜1.0MPaの条件下で、30〜90秒程度行われる。
【0044】
また、ホットメルト系接着剤やPURホットメルト系接着剤の場合には、40〜60℃に加温した木質基材12および40〜60℃に加温した化粧紙16の一方または両方に、ダイコーター、ロールコーター、エクストルーダー、スロットダイ、あるいはスパイラルスプレー等を用いて、加熱溶融状態のこれら接着剤を塗布した後、直ちに(あるいはヒーター等によって溶融状態を維持したままで)化粧紙16を木質基材12に積層一体化させ、然る後、面あわせ堆積、冷却ロール等で弾性接着剤層14が弾性を完全に失わない程度まで冷却硬化させる。
【0045】
木質基材12の表面に弾性接着剤層14を介して化粧紙16を配設した後(あるいは化粧紙16を配置する前に)、木質基材12の裏面から、V字状の底部18aを有する溝18を形成する(ここまでの手順で、折曲前建築用造作材10が完成する。)。
【0046】
溝18は、「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」に設定されている。この点について図2(a)〜(c)を用いて詳述すると、溝18の深さは、図2(a)に示すように、溝18におけるV字状の底部18aの位置が、弾性接着剤層14における、木質基材12に対向する面と面一になっていること(換言すれば、木質基材12と弾性接着剤層14との接触面に溝18の底部18aが一致すること)が好適である。
【0047】
しかしながら、木質基材12の加工精度は±0.03mm程度であることから、図2(b)に示すように、溝18の底部18aの位置が、木質基材12の層を越えて弾性接着剤層14に食い込んでおり、弾性接着剤層14の一部が取り除かれている状態、あるいは、図2(c)に示すように、逆に、溝18の底部18aが当該接触面に届かず、木質基材12が完全には切断されていない状態になることもあるが、いずれの場合も、弾性接着剤層14が残存しており(図2(b)の場合)、また、木質基材12の非切断部分(=残存部分)が非常に薄い(図2(c)の場合)ことから、問題なく折り曲げ加工を行うことができる。
【0048】
したがって、図2(a)〜(c)いずれの場合も、本発明にいう「木質基材を切断するが、弾性接着剤層は切断しない深さ」に含まれる。
【0049】
また、「V字状の底部18a」の形状は、図2(a)〜(c)に示すように、平面部分を有するものであってもよいし、図3に示すように、その断面形状が鋭角になっており平面部分が存在しないような形状であってもよい。
【0050】
さらに、溝18の形状についても、様々なものが考えられる。例えば、図1に示すようなシンプルなものから、図4〜6に示すように、溝18を挟んだ両側壁に段22を設け、折り曲げ加工を施したときにこれら段22が互いに噛み合うようにしてもよい。また、互いに噛み合う両段22の面間に接着剤24を入れることにより、折り曲げ加工後の建築用造作材20の形状をより強固に保持することができる(図1の実施例でも同じ。)。
【0051】
最後に、木質基材12に溝18を形成した後、当該溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行うことにより、建築用造作材20が完成する(図1(b)参照)。
【0052】
本実施例によれば、木質基材12と化粧紙16との間に弾性接着剤層14が設けられており、当該弾性接着剤層14は、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有している。このため、木質基材12に設けられたV字状の溝18を閉じるようにして折り曲げることにより、折り曲げ部Xの弾性接着剤層14が外側へ膨出しようとしたとき、弾性接着剤層14はその膨出力で化粧紙16を押圧するものの、当該弾性接着剤層14は上述のように弾性を有していることから、化粧紙16からの反力を受けて弾性接着剤層14自身が弾性変形することによって収縮して該膨出力を吸収するので、化粧紙16が破れてしまうおそれを回避できる。
【0053】
また、弾性接着剤層14を構成する接着剤としてPUR接着剤を用いた場合、PUR接着剤を湿気硬化させる途中において、当該PUR接着剤が完全に湿気硬化して弾性を失ってしまう前に折り曲げ加工を施すことにより、弾性を有する状態に冷却硬化されたPUR接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れてしまうのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し、さらにPUR接着剤を湿気硬化させた後は、例えPUR接着剤(=弾性接着剤層14)に熱が加えられたとしても、PUR接着剤が再び軟化することはないので、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材20を提供することができる。
【0054】
また、弾性接着剤層14を構成する接着剤として「常温で硬化する熱可塑性接着剤」を用いた場合、折り曲げ加工を行う際に、必要な部分(=折り曲げ部X)の弾性接着剤層14のみを加熱して弾性を生じさせ、折り曲げ加工を行わないときや弾性を生じさせる必要がない部分については、弾性接着剤層14を硬化した(つまり弾性が生じない)ままの状態とすることにより、折り曲げ加工の最中において、加熱された熱可塑性接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れてしまうのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し加熱を止めた後(つまり、弾性接着剤層14が常温になったとき)は、折り曲げ加工した形状を維持できる建築用造作材20を提供することができる。
【0055】
なお、図7に示すように、化粧紙16の表面に易剥離粘着材層25を介して可撓性シート26を積層することにより、建築用造作材20の運搬中等において化粧紙16の表面に傷が付くのを防止してもよい。このような可撓性シート26として、当該樹脂製シートの裏面に、化粧紙16から容易に剥離可能となるようなタック性(粘着性)を有する易剥離粘着材を塗布したもの(例えば、株式会社スミロンの[E−75M])を使用することができる。
【0056】
また、図8に示すように、折り曲げ加工後、化粧紙16の表面に、一般的なUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、あるいはウレタン系塗料等で透明塗膜28を設けることにより、化粧紙16の表面を保護してもよい。
【0057】
従来、折り曲げ加工を施した建築用造作材は、表面材に傷がつくのを防止するため、1本ごと、あるいは図9に示すように、L型の建築用造作材をロ字状に組み合わせて2本一組で箱29に梱包して建築用造作材セットを構成しなければならず、梱包効率が悪いという問題があった。しかし、上述のように化粧紙16の表面を可撓性シート26や透明塗膜28で保護することにより、図10に示すように、1の建築用造作材20(例えばL型)の可撓性シート26と、他の建築用造作材20の木質基材12とが互いに対向近接するように配置して箱29に梱包しても化粧紙16を傷つけるおそれがないので、梱包効率および運送効率に優れた建築用造作材セット30を提供することができる。もちろん、建築用造作材20の並べ方は図10に示すものに限られず、全ての建築用造作材20を同じ向きに並べてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…折曲前建築用造作材
12…木質基材
14…弾性接着剤層
16…化粧紙
18…(V字状の)溝
20…建築用造作材
22…段
24…接着剤
25…易剥離粘着材層
26…可撓性シート
28…透明塗膜
29…箱
30…建築用造作材セット
X …折り曲げ部
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建築物に用いられる框、踏板、幅木等の建築用造作材および建築用造作材セットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以前から、様々な態様の住宅等の建築物に用いられる框、踏板、幅木等の建築用造作材が開発されており、例えば、特許文献1には、図11に示すように、合板製の板材1の表面に、ポリエステル等を原料とする不織布や合成樹脂シート等の可撓性シート2を貼着し、さらに当該可撓性シート2の表面に、天然木を薄板化した突板等を表面材3として貼着するとともに、板材1の裏面(可撓性シート2等が貼着された面とは反対側の面)側から可撓性シート2に向けて底部がV字状の切欠溝4が形成された建築用造作材5(折り曲げ加工前)が開示されている。
【0003】
この建築用造作材5によれば、図12(a)に示すように、可撓性シート2をガイドにして切欠溝4を閉じるようにして折り曲げ加工することにより、建築用造作材5を所望の部材に取り付けることができる(特許文献1では「角柱」の周面に取り付けるようになっている。)。
【0004】
加えて、板材1の表面に可撓性シート2を貼着していることから、折り曲げ加工を施しても建築用造作材5が割れてしまうことがなく、また、天然木の表面材3と板材1との間に可撓性に富む可撓性シート2が挟着されているので、当該表面材3に「しわ」や「割れ」等が生じることもない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭54−109317号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、表面材3として、希少性の高い美しい木目を有する銘木をスライスして薄板化したものに人気が集まっていることから、このような「美しい木目」に基づいてデザインされた木目化粧柄がグラビア輪転印刷技術等で繰り返し連続的に印刷された化粧紙が広く用いられるようになっており、より安価な化粧紙を建築用造作材5の表面材3’として使用することが求められている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の建築用造作材5において、表面材3’として化粧紙を使用することについては問題があった。
【0008】
すなわち、可撓性シート2を構成するポリエステルシートや塩化ビニル樹脂シートは、折り曲げ加工時におけるガイドの役割に耐えうる強度および可撓性を有している反面、弾性に乏しいという性質を有している。このため、上述のように可撓性シート2をガイドにして切欠溝4を閉じるように折り曲げることにより、当該折り曲げ部Xの可撓性シート2が外側へ膨出しようとしたとき、突板等の天然木で表面材3が構成されていれば、当該膨出部の膨出力に対抗できる程度の強度を有しているので問題ないものの(図12(a)参照)、化粧紙で表面材3’が構成されている場合、化粧紙(=表面材3’)は可撓性シート2における膨出部の膨出力に対抗できずに破れてしまうおそれがあった(図12(b)参照)。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、表面材として用いた化粧紙が折り曲げ加工によって破れることのない建築用造作材および建築用造作材セットの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載した発明は、「木質基材12におけるいずれか一方の表面に弾性接着剤層14を形成した後、前記弾性接着剤層14の表面に化粧紙16を配設するとともに、
前記木質基材12における、前記弾性接着剤層14が設けられていない面に、底部18aがV字状の溝18を形成し、
然る後、前記溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行う建築用造作材20の製造方法であって、
前記溝18は、前記木質基材12を切断するが、前記弾性接着剤層14は切断しない深さに設定されており、
前記弾性接着剤層14は、少なくとも前記折り曲げ加工が行われている間において弾性を有していることを特徴とする建築用造作材20の製造方法」である。
【0011】
この発明によれば、木質基材12と化粧紙16との間に弾性接着剤層14が設けられており、当該弾性接着剤層14は、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有している。このため、木質基材12に設けられたV字状の溝18を閉じるようにして折り曲げることにより、当該折り曲げ部Xの弾性接着剤層14が外側へ膨出しようとしたとき、弾性接着剤層14はその膨出力で化粧紙16を押圧するものの、当該弾性接着剤層14は上述のように弾性を有していることから、化粧紙16からの反力を受けて弾性接着剤層14自身が弾性変形することによって収縮(薄肉化)して該膨出力を吸収するので、化粧紙16が破れてしまうおそれを回避できる。
【0012】
なお、溝18の「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」とは、図2(a)〜(c)に示すように、(a)溝18におけるV字状の底部18aの位置が、弾性接着剤層14における、木質基材12に対向する面と面一になっている場合、あるいは(b)溝18の底部18aの位置が、木質基材12の層を越えて弾性接着剤層14に食い込んでおり、弾性接着剤層14の一部が取り除かれているような場合に限られず、(c)溝18の底部18aが木質基材12と弾性接着剤層14との接触面にまで届いていないことから木質基材12が完全に切断されていない場合であっても、木質基材12における最薄部の厚さが、問題なく折り曲げ加工を行うことができる程度に薄い場合であれば、本発明にいう「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」に含まれる。
【0013】
また、溝18の数は1つに限定されることはなく、後述する実施例に示すように、複数個の溝18を形成する場合も当然に含まれる。
【0014】
また、「V字状の底部18a」の形状は、図2(a)〜(c)に示すように、平面部分を有するものであってもよいし、図3に示すように、その断面形状が鋭角になっており平面部分が存在しないような形状であってもよい。
【0015】
さらに、木質基材12に溝18を形成する工程は、木質基材12に化粧紙16を配設する前であってもよいし、後であってもよい。
【0016】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記弾性接着剤層14は、PUR接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工は、前記弾性接着剤層14を形成した後、前記弾性接着剤層14の平面平滑が失われない程度に前記PUR接着剤を硬化させる際において、前記PUR接着剤が完全に硬化するまでに行われる」ことを特徴とする。
【0017】
「PUR(Poly Urethane Reactive)接着剤」とは、ポリウレタン系のホットメルト接着剤であり、反応性ホットメルト接着剤ともいう。冷却硬化により初期強度の発現が早いだけでなく、湿気硬化性(反応性)を有するため、最終的な物性にも優れるという特徴をもっている。また、冷却硬化後、湿気硬化するまでは、熱を加えると再度溶融状態になるという優れた特徴を有するとともに、湿気硬化後は熱を加えても軟化しない、耐久性の高い接着剤である。この発明では、PUR接着剤を硬化させる途中において、当該PUR接着剤が完全に湿気硬化してしまう前に折り曲げ加工を施すようになっているので、未硬化のPUR接着剤が有する弾性によって化粧紙が破れるのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し、さらにPUR接着剤を湿気硬化させた後は、例えPUR接着剤(=弾性接着剤層14)に熱が加えられたとしても、PUR接着剤が再び軟化することはないので、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材を提供することができる。
【0018】
つまり、本発明に使用されるPUR接着剤は、冷却硬化後、湿気硬化するまでの間、適度な弾性を有することが必要である。さらに具体的にいうと、折り曲げ加工時に折り曲げ部Xの膨出力に起因する化粧紙16からの反力を吸収できる程度の弾性があればよい。このため、好ましくは、冷却硬化したPUR接着剤を熱により軟化させる方法や、PUR接着剤に添加剤を添加して、冷却硬化時には弾性を有するが、湿気効果後には弾性がなくなるPUR接着剤を選択すればよい。
【0019】
上述した添加剤としては、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂やロジエステル等の樹脂、3級アミン系触媒や錫系触媒等の触媒、パラフィンワックスやマイクロクリスタリン系ワックス等のワックス、着色顔料等のフィラー、老化防止剤等が用いられる。
【0020】
また、可塑剤等を添加したり、PUR接着剤を発泡固化させる等により、湿気硬化後にも適度な弾性を有するPUR接着剤を選択し、使用することを妨げるものではない。但し、この場合は、表面の強度が弱くなるため、玄関の上がり框等の高い表面強度が求められる場合には好ましくない。
【0021】
請求項3に記載した発明は、請求項1に記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記弾性接着剤層14は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工を行う際には、折り曲げ位置およびその周辺のみを加熱して前記熱可塑性接着剤に弾性を生じさせる」ことを特徴とする。
【0022】
この発明では、弾性接着剤層14は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、折り曲げ加工を行う際に、必要な部分(=折り曲げ部X)の弾性接着剤層14のみを加熱して弾性を生じさせるようになっており、折り曲げ加工を行わないときや弾性を生じさせる必要がない部分において、弾性接着剤層14は硬化した(つまり弾性が生じない)状態となっている。このため、折り曲げ加工の最中において、加熱された熱可塑性接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れるのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し加熱を止めた後(つまり、弾性接着剤層14が常温になったとき)は、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材を提供することができる。
【0023】
請求項4に記載した発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「加温した状態の前記化粧紙16に前記弾性接着剤層14を構成する接着剤を塗布することにより、前記化粧紙16における前記弾性接着剤層14に対向する面の少なくとも一部には、前記接着剤が含浸されている」ことを特徴とする。
【0024】
この発明によれば、弾性接着剤層14を構成する接着剤が化粧紙16の一部に含浸することによって弾性接着剤層14と化粧紙16との親和性を著しく向上させることができ、化粧紙16が弾性接着剤層14から剥離するおそれを極小化することができる。
【0025】
特にPUR接着剤を使用する場合において、少なくとも化粧紙16を加温しておくことにより、PUR接着剤の含浸性を向上させることが望ましい。これは、化粧紙16にPUR接着剤が塗布された直後に冷却固化するのを防止でき、PUR接着剤の浸透性が向上するからである。これにより、弾性接着剤層14と、化粧紙16のうちPUR接着剤層が含浸された部分が一体となって折り曲げ部Xの膨出力に耐えうる効果が期待できる。
【0026】
また、PUR接着剤を使用する場合、木質基材12も加熱しておき、弾性接着剤層14と木質基材12の親和性を向上させることが望ましい。
【0027】
請求項5に記載した発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載した「建築用造作材20の製造方法」に関し、「前記化粧紙16を配設した後、前記折り曲げ加工を行うまでの間において、易剥離粘着材層25を介して前記化粧紙16の表面に可撓性シート26を配設する」ことを特徴とする。
【0028】
この発明によれば、化粧紙16の表面に易剥離粘着材層25を介して可撓性シート26が配設されているので、当該可撓性シート26が、折り曲げ加工時に表面に傷がつくのを防止するだけでなく、完成した建築用造作材20を施工現場まで運搬する際等に化粧紙16の表面が傷つくのを防止するとともに、現場での施工完了後は、可撓性シート26を剥離して化粧紙16を露出させることにより、仕上がり時の美観をより向上させることができる。
【0029】
なお、可撓性シート26を配設する工程は、木質基材12に溝18を形成する工程の前であってもよいし、後であってもよい。
【0030】
請求項6に記載した発明は、「請求項5の製造方法で製造した複数のL型の前記建築用造作材20を、ひとつの前記建築用造作材20の前記可撓性シート26と、他の前記建築用造作材20の前記木質基材12とが互いに近接対向するように配置し、然る後、梱包する、建築用造作材セット30の製造方法」である。
【0031】
従来、折り曲げ加工を施した後のL型の建築用造作材は、表面材に傷がつくのを防止するため、1本ごと、あるいは図9に示すようにロ字状に組み合わせて2本一組で箱29に梱包しなければならず、梱包効率が悪いという問題があった。しかし、請求項5の製造方法で製造した建築用造作材20の表面には可撓性シート26が配設されているので、例えば図10に示すように、或る建築用造作材20の可撓性シート26と、これとは別の建築用造作材20の木質基材12とが互いに近接対向するようにして配置して箱29に梱包しても化粧紙16を傷つけるおそれがないので、梱包効率および運送効率に優れた建築用造作材セット30を提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、折り曲げ加工を行うことによって折り曲げ部の弾性接着剤層が外側へ膨出しようとしても、弾性接着剤層自身が弾性変形収縮して膨出力を吸収することにより、当該膨出力で化粧紙が破れてしまうおそれを回避できるので、表面材として化粧紙を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る、折り曲げ加工前の建築用造作材(a)、および折り曲げ加工後の建築用造作材(b)を示す断面図である。
【図2】折り曲げ部(図1(a)の「X」部)を示す拡大断面図である。
【図3】折り曲げ部に関する他の実施例を示す拡大断面図である。
【図4】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図5】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図6】建築用造作材の木質基材に形成する溝に関する他の実施例を示す、折り曲げ加工前(a)、および折り曲げ加工後(b)の断面図である。
【図7】他の実施例に関する折り曲げ加工前の断面図である。
【図8】他の実施例に関する折り曲げ加工前の断面図である。
【図9】従来の建築用造作材の梱包方法を示す断面図である。
【図10】本発明に係る、建築用造作材の梱包方法を示す断面図である。
【図11】従来技術を示す図である。
【図12】従来技術を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施態様について図面を用いて説明する。最初に、折り曲げ加工前の建築用造作材(以下、「折曲前建築用造作材10」という。)について図1を用いて説明すると、折曲前建築用造作材10は、大略、木質基材12と、弾性接着剤層14と、化粧紙16とで構成されている。
【0035】
木質基材12は、合板、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF、HDF等の木質材料、あるいはこれらを複合させた板材である。後述するように、木質基材12には、V字状の底部18aを有する溝18が形成された後、当該溝18を閉じるようにして折り曲げ加工が施されることから、当該折り曲げ加工を施し易い柔らかさを有している点でMDF、あるいは合板の表面に0.5〜3.0mm程度の厚さのMDFを積層一体化したMDF複合合板を用いるのが好適である。
【0036】
また、木質基材12の裏面側(弾性接着剤層14や化粧紙16が配設されている側とは反対の側。以下同じ。)には、V字状の底部18aを有する溝18が形成されている。当該溝18の形状等については後述する。なお、溝18の数については、従来技術(図9)と同様に1つであってもよいし、本実施例(図1)のように2つ、あるいはそれ以上であってもよい。複数の溝18が形成される場合には、一対の溝18同士の間に三角形状の木質基材12が存在することになる。
【0037】
弾性接着剤層14は、上述した木質基材12の表面側に設けられた、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有する、0.05mm〜0.15mm(好ましくは0.05〜0.07mm)厚さの接着剤の層であり、この弾性接着剤層14を構成する接着剤として、酢酸ビニル系樹脂、水性ビニルウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、ホットメルト系樹脂、PUR(Poly Urethane Reactive)ホットメルト系樹脂(すなわち、「PUR接着剤」)等を挙げることができる。
【0038】
0.05mmよりも薄い場合は、折り曲げ部Xの膨出力に耐えられなくなるおそれが高くなり、0.15mmよりも厚い場合、均一な厚さの弾性接着剤層14を形成するのが困難になるだけでなく、弾性接着剤層14自体の変形膨出力により化粧紙16が破れるおそれが高くなる。
【0039】
化粧紙16は、その表面に希少性の高い美しい木目に基づいてデザインされた木目化粧柄等がグラビア輪転印刷技術等で印刷された、0.01mm〜0.1mm程度の厚さを有する紙材である。なお、当該紙材に弾性接着剤層14を構成する接着剤を予め塗布しておき、紙材に弾性接着剤層14を構成する接着剤を含浸させておくことにより、(当該接着剤が含浸された)化粧紙16と弾性接着剤層14との親和性(接着性)が向上するのでより好適である。また、化粧紙16を加温しておくことにより、接着剤の浸透性が向上する点で好ましい。
【0040】
また、上記紙材として、アクリル系樹脂等を含浸硬化させた後、微細な針状突起が多数設けられた針付きカレンダーロール、針付き平板、あるいはレーザー照射やコロナ放電等の方法により、多数の微細孔が穿設されて通気性が付与された多孔質樹脂含浸化粧紙を使用することもできる。この場合、弾性接着剤層14を構成する接着剤が当該微細孔に浸透することにより、化粧紙16と弾性接着剤層14との接着力をより強固にすることができるので好適である。
【0041】
次に、上述した折曲前建築用造作材10を構成し、然る後、折り曲げ加工を施して完成品である建築用造作材20を製造する手順について説明する。
【0042】
まず、木質基材12と化粧紙16とを用意し、然る後、木質基材12の表面および化粧紙16の表面のいずれか一方あるいは両方に弾性接着剤層14を構成する接着剤を塗布する(もちろん、塗布に限られることはなく、吹き付け等の他の方法を用いることもできる。以下同じ。)。
【0043】
接着剤の塗布について詳述すると、酢酸ビニル系樹脂や水性ビニルウレタン系樹脂等の水系樹脂を使用する場合には、40〜60℃に加温した木質基材12および40〜60℃に加温した化粧紙16の一方または両方にフローコーターやロールコーターを用いて水系樹脂を塗布した後、当該水系樹脂に弾性が生じる程度まで乾燥させ、然る後、化粧紙16を木質基材12に貼り合わせる。なお、水系樹脂の塗布方法としては上述したものの他、樹脂接着剤および化粧紙16を予め熱圧プレスして積層一体化してもよい。熱圧プレスの方法は、一般的なロールプレスや平板プレス等、様々な方法があるが、好ましくは平板プレスが使用される。熱圧プレスは、100〜130℃、かつ、0.2〜1.0MPaの条件下で、30〜90秒程度行われる。
【0044】
また、ホットメルト系接着剤やPURホットメルト系接着剤の場合には、40〜60℃に加温した木質基材12および40〜60℃に加温した化粧紙16の一方または両方に、ダイコーター、ロールコーター、エクストルーダー、スロットダイ、あるいはスパイラルスプレー等を用いて、加熱溶融状態のこれら接着剤を塗布した後、直ちに(あるいはヒーター等によって溶融状態を維持したままで)化粧紙16を木質基材12に積層一体化させ、然る後、面あわせ堆積、冷却ロール等で弾性接着剤層14が弾性を完全に失わない程度まで冷却硬化させる。
【0045】
木質基材12の表面に弾性接着剤層14を介して化粧紙16を配設した後(あるいは化粧紙16を配置する前に)、木質基材12の裏面から、V字状の底部18aを有する溝18を形成する(ここまでの手順で、折曲前建築用造作材10が完成する。)。
【0046】
溝18は、「木質基材12を切断するが、弾性接着剤層14は切断しない深さ」に設定されている。この点について図2(a)〜(c)を用いて詳述すると、溝18の深さは、図2(a)に示すように、溝18におけるV字状の底部18aの位置が、弾性接着剤層14における、木質基材12に対向する面と面一になっていること(換言すれば、木質基材12と弾性接着剤層14との接触面に溝18の底部18aが一致すること)が好適である。
【0047】
しかしながら、木質基材12の加工精度は±0.03mm程度であることから、図2(b)に示すように、溝18の底部18aの位置が、木質基材12の層を越えて弾性接着剤層14に食い込んでおり、弾性接着剤層14の一部が取り除かれている状態、あるいは、図2(c)に示すように、逆に、溝18の底部18aが当該接触面に届かず、木質基材12が完全には切断されていない状態になることもあるが、いずれの場合も、弾性接着剤層14が残存しており(図2(b)の場合)、また、木質基材12の非切断部分(=残存部分)が非常に薄い(図2(c)の場合)ことから、問題なく折り曲げ加工を行うことができる。
【0048】
したがって、図2(a)〜(c)いずれの場合も、本発明にいう「木質基材を切断するが、弾性接着剤層は切断しない深さ」に含まれる。
【0049】
また、「V字状の底部18a」の形状は、図2(a)〜(c)に示すように、平面部分を有するものであってもよいし、図3に示すように、その断面形状が鋭角になっており平面部分が存在しないような形状であってもよい。
【0050】
さらに、溝18の形状についても、様々なものが考えられる。例えば、図1に示すようなシンプルなものから、図4〜6に示すように、溝18を挟んだ両側壁に段22を設け、折り曲げ加工を施したときにこれら段22が互いに噛み合うようにしてもよい。また、互いに噛み合う両段22の面間に接着剤24を入れることにより、折り曲げ加工後の建築用造作材20の形状をより強固に保持することができる(図1の実施例でも同じ。)。
【0051】
最後に、木質基材12に溝18を形成した後、当該溝18を閉じるようにして折り曲げ加工を行うことにより、建築用造作材20が完成する(図1(b)参照)。
【0052】
本実施例によれば、木質基材12と化粧紙16との間に弾性接着剤層14が設けられており、当該弾性接着剤層14は、少なくとも折り曲げ加工が行われている間において弾性を有している。このため、木質基材12に設けられたV字状の溝18を閉じるようにして折り曲げることにより、折り曲げ部Xの弾性接着剤層14が外側へ膨出しようとしたとき、弾性接着剤層14はその膨出力で化粧紙16を押圧するものの、当該弾性接着剤層14は上述のように弾性を有していることから、化粧紙16からの反力を受けて弾性接着剤層14自身が弾性変形することによって収縮して該膨出力を吸収するので、化粧紙16が破れてしまうおそれを回避できる。
【0053】
また、弾性接着剤層14を構成する接着剤としてPUR接着剤を用いた場合、PUR接着剤を湿気硬化させる途中において、当該PUR接着剤が完全に湿気硬化して弾性を失ってしまう前に折り曲げ加工を施すことにより、弾性を有する状態に冷却硬化されたPUR接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れてしまうのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し、さらにPUR接着剤を湿気硬化させた後は、例えPUR接着剤(=弾性接着剤層14)に熱が加えられたとしても、PUR接着剤が再び軟化することはないので、折り曲げ加工した形状を強固に維持できる建築用造作材20を提供することができる。
【0054】
また、弾性接着剤層14を構成する接着剤として「常温で硬化する熱可塑性接着剤」を用いた場合、折り曲げ加工を行う際に、必要な部分(=折り曲げ部X)の弾性接着剤層14のみを加熱して弾性を生じさせ、折り曲げ加工を行わないときや弾性を生じさせる必要がない部分については、弾性接着剤層14を硬化した(つまり弾性が生じない)ままの状態とすることにより、折り曲げ加工の最中において、加熱された熱可塑性接着剤が有する弾性によって化粧紙16が破れてしまうのを回避できるだけでなく、折り曲げ加工が完了し加熱を止めた後(つまり、弾性接着剤層14が常温になったとき)は、折り曲げ加工した形状を維持できる建築用造作材20を提供することができる。
【0055】
なお、図7に示すように、化粧紙16の表面に易剥離粘着材層25を介して可撓性シート26を積層することにより、建築用造作材20の運搬中等において化粧紙16の表面に傷が付くのを防止してもよい。このような可撓性シート26として、当該樹脂製シートの裏面に、化粧紙16から容易に剥離可能となるようなタック性(粘着性)を有する易剥離粘着材を塗布したもの(例えば、株式会社スミロンの[E−75M])を使用することができる。
【0056】
また、図8に示すように、折り曲げ加工後、化粧紙16の表面に、一般的なUV硬化型塗料、電子線硬化型塗料、あるいはウレタン系塗料等で透明塗膜28を設けることにより、化粧紙16の表面を保護してもよい。
【0057】
従来、折り曲げ加工を施した建築用造作材は、表面材に傷がつくのを防止するため、1本ごと、あるいは図9に示すように、L型の建築用造作材をロ字状に組み合わせて2本一組で箱29に梱包して建築用造作材セットを構成しなければならず、梱包効率が悪いという問題があった。しかし、上述のように化粧紙16の表面を可撓性シート26や透明塗膜28で保護することにより、図10に示すように、1の建築用造作材20(例えばL型)の可撓性シート26と、他の建築用造作材20の木質基材12とが互いに対向近接するように配置して箱29に梱包しても化粧紙16を傷つけるおそれがないので、梱包効率および運送効率に優れた建築用造作材セット30を提供することができる。もちろん、建築用造作材20の並べ方は図10に示すものに限られず、全ての建築用造作材20を同じ向きに並べてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10…折曲前建築用造作材
12…木質基材
14…弾性接着剤層
16…化粧紙
18…(V字状の)溝
20…建築用造作材
22…段
24…接着剤
25…易剥離粘着材層
26…可撓性シート
28…透明塗膜
29…箱
30…建築用造作材セット
X …折り曲げ部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質基材におけるいずれか一方の表面に弾性接着剤層を形成した後、前記弾性接着剤層の表面に化粧紙を配設するとともに、
前記木質基材における、前記弾性接着剤層が設けられていない面に、底部がV字状の溝を形成し、
然る後、前記溝を閉じるようにして折り曲げ加工を行う建築用造作材の製造方法であって、
前記溝は、前記木質基材を切断するが、前記弾性接着剤層は切断しない深さに設定されており、
前記弾性接着剤層は、少なくとも前記折り曲げ加工が行われている間において弾性を有していることを特徴とする建築用造作材の製造方法。
【請求項2】
前記弾性接着剤層は、PUR接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工は、前記弾性接着剤層を形成した後、前記弾性接着剤層の平面平滑が失われない程度に前記PUR接着剤を硬化させる際において、前記PUR接着剤が完全に硬化するまでに行われることを特徴とする請求項1に記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項3】
前記弾性接着剤層は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工を行う際には、折り曲げ位置およびその周辺のみを加熱して前記熱可塑性接着剤に弾性を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項4】
加温した状態の前記化粧紙に前記弾性接着剤層を構成する接着剤を塗布することにより、前記化粧紙における前記弾性接着剤層に対向する面の少なくとも一部には、前記接着剤が含浸されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項5】
前記化粧紙を配設した後、前記折り曲げ加工を行うまでの間において、易剥離粘着材層を介して前記化粧紙の表面に可撓性シートを配設することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項6】
請求項5の製造方法で製造した複数のL型の前記建築用造作材を、ひとつの前記建築用造作材の前記可撓性シートと、他の前記建築用造作材の前記木質基材とが互いに近接対向するように配置し、然る後、梱包する、建築用造作材セットの製造方法。
【請求項1】
木質基材におけるいずれか一方の表面に弾性接着剤層を形成した後、前記弾性接着剤層の表面に化粧紙を配設するとともに、
前記木質基材における、前記弾性接着剤層が設けられていない面に、底部がV字状の溝を形成し、
然る後、前記溝を閉じるようにして折り曲げ加工を行う建築用造作材の製造方法であって、
前記溝は、前記木質基材を切断するが、前記弾性接着剤層は切断しない深さに設定されており、
前記弾性接着剤層は、少なくとも前記折り曲げ加工が行われている間において弾性を有していることを特徴とする建築用造作材の製造方法。
【請求項2】
前記弾性接着剤層は、PUR接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工は、前記弾性接着剤層を形成した後、前記弾性接着剤層の平面平滑が失われない程度に前記PUR接着剤を硬化させる際において、前記PUR接着剤が完全に硬化するまでに行われることを特徴とする請求項1に記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項3】
前記弾性接着剤層は、常温で硬化する熱可塑性接着剤で形成されており、
前記折り曲げ加工を行う際には、折り曲げ位置およびその周辺のみを加熱して前記熱可塑性接着剤に弾性を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項4】
加温した状態の前記化粧紙に前記弾性接着剤層を構成する接着剤を塗布することにより、前記化粧紙における前記弾性接着剤層に対向する面の少なくとも一部には、前記接着剤が含浸されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項5】
前記化粧紙を配設した後、前記折り曲げ加工を行うまでの間において、易剥離粘着材層を介して前記化粧紙の表面に可撓性シートを配設することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の建築用造作材の製造方法。
【請求項6】
請求項5の製造方法で製造した複数のL型の前記建築用造作材を、ひとつの前記建築用造作材の前記可撓性シートと、他の前記建築用造作材の前記木質基材とが互いに近接対向するように配置し、然る後、梱包する、建築用造作材セットの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−76233(P2012−76233A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220540(P2010−220540)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000204985)大建工業株式会社 (419)
【Fターム(参考)】
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