説明

建築用配管材

【課題】配管材そのもので防火措置が可能な施工性に優れた建築用配管材を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛1〜10重量部を含有させてなる耐火性樹脂組成物からなる耐火膨張層を備えていることを特徴とする。また、本発明は、この耐火性樹脂組成物が、成形時の熱安定性を付与するための添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれた少なくともいずれか一種を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることが好適である。さらに、本発明は、前記安定剤に加えて、塩基性化合物を、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部含んでいてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、建築物の仕切り部に貫通施工される耐火性に優れた建築用配管材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物には、建物種類や仕様によって、防火区画が定められており、防火区画には、仕様に応じて、建築基準法によって定められている耐火構造または準耐火構造の床材や壁材が用いられる。建築基準法によって定められている耐火構造、準耐火構造の床材や壁材とは、その材質、構造が、国土交通大臣が定めたあるいは国土交通大臣の認定を受けたものであり、例えば、鉄筋コンクリート、鉄材によって補強されたコンクリートブロックまたは煉瓦造りまたは石造り、鉄材の両面を鉄網モルタルまたはコンクリートで覆ったもの、軽量発泡コンクリート、プレキャストコンクリート板、合板と石膏ボードまたは硬質木片セメント板または軽量気泡コンクリートなどの貼り合わせなどが挙げられる。
【0003】
一方、建築物内には、配管(電線管、排水管、ダクト等)が設置されるが、かかる配管は、上記のような防火区画を貫通するものもある。
上記防火区画に、配管等を貫通させる貫通孔(以下、「区画貫通部」と記す)を設けた場合、火災が発生すると、この区画貫通部を介して、火災が発生した部屋から防火区画を挟んだ隣の部屋に、炎や煙がすぐに入り込み、短時間で大きな火災事故を招く恐れがある。
そのため、建物内の区画貫通部を貫通する配管材は、区画貫通耐火試験に合格し、国土交通省認定または消防評定を受けたものしか設置できないと建築基準法に定められている。
そこで、この区画貫通部には、配管を貫通させた後、前記区画貫通部と配管との間に隙間が生じないように、隙間を不燃材料であるモルタルなどにより閉塞する防火措置工法が行われている。
【0004】
配管材が、金属製である場合は、それ自体に耐熱性、不燃性を有するので、上記のように、隙間を不燃材料であるモルタルなどにより閉塞するだけで十分な効果が認められるが、管の重量が重くなるため、運搬時や施工時の作業性に劣るという問題点がある。
一方、配管材が、合成樹脂製である場合は、金属製のものに比べて、軽量で取り扱い性に優れ、接合が簡単であるなどのメリットが大きいが、耐熱性、耐火性に劣る。そのため、火災時に、配管材が、燃焼によって消失したり、熱変形して、区画貫通部と配管材との間に隙間が生じて、防火区画の一方の側で発生した熱、火炎、煙等が他方側へ到達してしまう恐れがある。
【0005】
そこで、例えば、合成樹脂製の配管材の外面に、耐火膨張性を備えたシート状被覆材を巻きつける防火措置工法が採用されている。シート状被覆材を構成する耐火性樹脂組成物としては、塩化ビニル系樹脂に、熱膨張性黒鉛、無機充填剤および可塑剤を配合するとともに、特定のリン化合物を配合したものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、樹脂に配合される熱膨張性黒鉛の製造方法として、原料黒鉛を硫酸及び酸化剤の混合物で処理した後、アルカリ水溶液で洗浄したものに、固体中和剤を混合する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
しかし、シート状被覆材を用いた防火措置工法の場合、一旦、合成樹脂製の配管材を仮配管して、シート状被覆材を巻きつける部位の位置決めを行った後に、シート状被覆材を配管材に巻きつけ、配管材の支持、固定を行ってから開口部をモルタルで埋め戻すようになっているため、作業工数が多く施工時間が長くかかる上、シート状被覆材を配管材に巻きつけた後は、配管の位置調整がやりにくいという問題がある。
【0007】
そこで、耐火膨張性を有する樹脂組成物を用いて配管材を直接製造すれば、上記問題は解決されるのであるが、上記の耐火性樹脂組成物の場合、塩化ビニル系樹脂に無機充填剤と可塑剤とが多量に配合されている。そのため、上記の耐火性樹脂組成物から配管材を成形した場合には、管として必須の条件である機械的強度が得られない。
【0008】
【特許文献1】特開2006−348228号公報
【特許文献2】特開2006−69809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みて提案されたものであって、配管材そのもので防火措置が可能な建築用配管材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛1〜10重量部を含有させてなる耐火性樹脂組成物からなる耐火膨張層を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明で用いられる熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで、黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした後、pH調整して得られる炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。
【0012】
上記熱膨張性黒鉛のpH調整方法は、特に限定されないが、通常、上記のように、原料黒鉛の層間に無機酸を挿入する酸処理をした状態では、pH1以下になっているため、例えば、酸処理後の黒鉛を水で洗浄して、黒鉛の表面に残存する酸を除去した後、乾燥させる方法が挙げられる。すなわち、熱膨張性黒鉛のpHを上昇させるには、水洗と乾燥とを繰り返せばよい。
【0013】
ところで、本発明において、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛を配合した理由は、ポリ塩化ビニル系樹脂が、酸存在下において、塩化水素脱離反応を繰り返して、難燃性の炭化物を生成する性質を利用して、燃焼時に、ポリ塩化ビニル樹脂を効果的に炭化させて、燃焼を抑制し、耐火性能を向上させることにある。
すなわち、ポリ塩化ビニル系樹脂は、ルイス酸や塩化水素などの酸存在下で、塩化水素の脱離反応を繰り返して、二重結合を生成する。塩化水素が脱離すると、それ自身が触媒になって、次の脱離反応を引き起こしやすい状態になる。その上、生成した二重結合の隣では、元の状態に比べて脱塩化水素が起こりやすい状態になり、二重結合が次々に生成される。これは、通称ジッパー反応と呼ばれる脱離連鎖反応であり、反応の程度が小さいうちは、着色、やけなどの変色が生じ、反応が進行すると炭化する。
そこで、本願発明者らは、燃焼時の耐火性能を向上させるためには、ある特定の高温条件下で、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化反応をむしろ促進させ、樹脂として燃焼する前に、炭化構造を作って燃えにくくしてしまうことが有効であると考え、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化を促進させるために、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛を配合したのである。
【0014】
また、熱膨張性黒鉛のpHを1.5〜4.0の範囲とした理由としては、pHが1.5未満であると、酸性が強すぎて、成形装置の腐食などを引き起こしやすいからである。一方、pHが4.0を超えると、ポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進効果が薄れ、十分な耐火性能が得られないからである。
【0015】
また、本発明において、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して熱膨張性黒鉛を1〜10重量部配合した理由としては、熱膨張性黒鉛が1重量部未満であると、燃焼時に、十分な熱膨張性が得られず、管内を充分に閉塞できず、管内を通じて熱気が上昇し、耐火性能が悪くなるからである。一方、熱膨張性黒鉛が10重量部を超えると、加熱により組織が熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうからである。なお、熱膨張性黒鉛の配合比は、好ましくはポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して1〜8重量部であり、さらに好ましくはポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して2〜7重量部である。
【0016】
なお、請求項1記載の発明で用いられる熱膨張性黒鉛の粒径は、特に限定されないが、粒径が細かくなりすぎると、耐火性樹脂組成物の膨張率が低下してしまう。一方、粒径が大きくなりすぎると、加熱により組織が熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣が脱落し、耐火性が低下してしまうし、耐火性樹脂組成物を配管材としたときの引張強度や扁平強度などの物性が低下してしまい、管材として必要な機械的強度が得られなくなってしまう。
したがって、請求項1記載の発明で用いられる熱膨張性黒鉛の平均粒径は、好ましくは100〜400μmであり、さらに好ましくは120〜350μmである。
【0017】
また、請求項1記載の発明で用いられるポリ塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル単独重合体;塩化ビニルモノマーと、該塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体;塩化ビニル以外の(共)重合体に塩化ビニルをグラフト共重合したグラフト共重合体等が挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。又、必要に応じて上記ポリ塩化ビニル系樹脂を塩素化してもよい。
【0018】
上記塩化ビニルモノマーと共重合可能な不飽和結合を有するモノマーとしては、特に限定されず、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等のα−オレフィン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類などが挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0019】
上記塩化ビニルをグラフト共重合する(共)重合体としては、塩化ビニルをグラフト(共)重合するものであれば、特に限定されず、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−ブチルアクリレート−一酸化炭素共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなどが挙げられ、これらは単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0020】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、特に限定されるものではないが、小さくなると成形体の物性低下が起こり、大きくなると溶融粘度が高くなって成形が困難になるので、400〜1600が好ましく、600〜1400が、特に好ましい。尚、上記平均重合度とは、複合塩化ビニル系樹脂をテトラヒドロフラン(THF)に溶解させ、濾過により不溶成分を除去した後、濾液中のTHFを乾燥除去して得た樹脂を試料とし、JIS K−6721「塩化ビニル樹脂試験方法」に準拠して測定した平均重合度を意味する。
【0021】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の重合方法は、特に限定されず、従来公知の任意の重合方法が採用されてよく、例えば、塊状重合方法、溶液重合方法、乳化重合方法、懸濁重合方法等が挙げられる。
【0022】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂の塩素化方法としては、特に限定されず、従来公知の塩素化方法が採用されてよく、例えば、熱塩素化方法、光塩素化方法等が挙げられる。
【0023】
上記ポリ塩化ビニル系樹脂はいずれも、樹脂組成物としての耐火性能を阻害しない範囲で、架橋、変性して用いてもよい。この場合、予め架橋、変性した樹脂を用いてもよく、添加剤等を配合する際に、同時に架橋、変性してもよいし、あるいは樹脂に前記成分を配合した後に架橋、変性してもよい。上記樹脂の架橋方法についても、特に限定はなく、ポリ塩化ビニル系樹脂の通常の架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物を使用する架橋、電子線照射による架橋、水架橋性材料を使用した方法等が挙げられる。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、請求項1記載の耐火性樹脂組成物が、成形時の熱安定性を付与するための添加剤を含むことを特徴とする。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれた少なくともいずれか一種を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることを特徴とする。
【0026】
上記鉛系安定剤としては、例えば、鉛白、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、三塩基性マレイン酸鉛、シリカゲル共沈ケイ酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。
【0027】
また、上記有機スズ系安定剤としては、例えば、ジブチル錫メルカプト、ジオクチル錫メルカプト、ジメチル錫メルカプトなどのメルカプチド類;ジブチル錫マレート、ジブチル錫マレートポリマー、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫マレートポリマーなどのマレート類;ジブチル錫メルカプト、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ラウレートポリマーなどのカルボキシレート類が挙げられる。
【0028】
また、上記高級脂肪酸金属塩(金属石ケン)としては、例えば、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ステアリン酸ストロンチウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、リシノール酸バリウム、ステアリン酸カドミウム、ラウリン酸カドミウム、リシノール酸カドミウム、ナフテン酸カドミウム、2−エチルヘキソイン酸カドミウム、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、2−エチルヘキソイン酸亜鉛、ステアリン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、ナフテン酸鉛が挙げられる。
【0029】
本発明において、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群の総添加割合を0.3〜5.0重量部とした理由は、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群の総添加割合が0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されにくく、成形中に炭化物が出やすくなってしまう恐れがあるからである。一方、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群の総添加割合が5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害することとなり、十分な耐火性能が得られない恐れがあるからである。
【0030】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、さらに塩基性化合物を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることを特徴とする。
【0031】
上記塩基性化合物としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、酸化鉄が挙げられる。
【0032】
本発明において、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、塩基性化合物の添加割合を0.3〜5.0重量部とした理由は、塩基性化合物の添加割合が0.3重量部未満であると、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の熱安定性が確保されにくく、成形中に炭化物が出やすくなってしまう恐れがあるからである。一方、塩基性化合物の添加割合が5.0重量部を超えると、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化促進を阻害することとなり、十分な耐火性能が得られない恐れがあるからである。
【0033】
なお、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明にかかる建築用配管材には、その物性を損なわない範囲で、難燃剤、滑剤、加工助剤、衝撃改質剤、耐熱向上剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、可塑剤、熱可塑性エラストマーなどの添加剤が添加されていてもよい。
【0034】
上記難燃剤としては、燃焼時の難燃性を高めるためのものであれば特に限定されず、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ハイドロタルサイト、二酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモン、三酸化モリブデン、二硫化モリブデン、アンモニウムモリブデート等のモリブデン化合物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロムエタン、テトラブロムエタン、テトラブロムエタン等の臭素系化合物、トリフェニルフォスフェート、アンモニウムポリフォスフェート等のリン系化合物、ホウ酸カルシウム、ホウ酸亜鉛などが挙げられるが、ポリ塩化ビニルの燃焼抑制効果としては、三酸化アンチモンが特に好ましい。アンチモン化合物は、ハロゲン系化合物の存在下では、高温条件のもとで、ハロゲン化アンチモン化合物を作り、燃焼サイクルを抑制させる効果が非常に強く、相乗効果が著しいからである。
【0035】
難燃剤を併用することにより、燃焼時において、熱膨張性黒鉛の膨張による断熱効果と難燃剤による燃焼遅延効果が相乗効果を発揮して、より効率的に耐火性能を向上させることができる。難燃剤の添加部数は、特に限定されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、1重量部以上20重量部以下、添加されていることが好ましい。難燃剤が1重量部未満であると、十分な相乗効果が得られにくいことがあるし、難燃剤が20重量部を超えて添加されると、成形性や物性が著しく低下してしまう恐れがあるからである。
【0036】
上記滑剤としては、内部滑剤、外部滑剤が挙げられる。
内部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂の流動粘度を下げ、摩擦発熱を防止する目的で使用される。上記内部滑剤としては特に限定されず、例えば、ブチルステアレート、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、エポキシ大豆油、グリセリンモノステアレート、ステアリン酸、ビスアミド等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記外部滑剤は、成形加工時の溶融樹脂と金属面との滑り効果を上げる目的で使用される。外部滑剤としては特に限定されず、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、エステルワックス、モンタン酸ワックスなどが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
上記加工助剤としては特に限定されず、例えば重量平均分子量10万〜200万のアルキルアクリレート−アルキルメタクリレート共重合体等のアクリル系加工助剤などが挙げられる。上記アクリル系加工助剤としては特に限定されず、例えば、n−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート−メチルメタクリレート−ブチルメタクリレート共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】
上記衝撃改質剤としては特に限定されず、例えばメタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、塩素化ポリエチレン、アクリルゴムなどが挙げられる。
【0039】
上記耐熱向上剤としては特に限定されず、例えばα−メチルスチレン系、N−フェニルマレイミド系樹脂等が挙げられる。
【0040】
上記酸化防止剤としては特に限定されず、例えば、フェノール系抗酸化剤などが挙げられる。
【0041】
上記光安定剤としては特に限定されず、例えば、ヒンダードアミン系等の光安定剤等が挙げられる。
【0042】
上記紫外線吸収剤としては特に限定されず、例えば、サリチル酸エステル系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等の紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0043】
上記顔料としては特に限定されず、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、スレン系、染料レーキ系等の有機顔料;酸化物系、クロム酸モリブデン系、硫化物・セレン化物系、フェロシアニン化物系などの無機顔料などが挙げられる。
【0044】
また、上記ポリ塩化ビニル系樹脂には可塑剤が添加されていてもよいが、成形品の耐熱性や耐火性を低下させることがあるため、多量に使用することはあまり好ましくない。
上記可塑剤としては特に限定されず、例えば、ジブチルフタレート、ジー2―エチルヘキシルフタレート、ジー2―エチルヘキシルアジペート等が挙げられる。
【0045】
上記熱可塑性エラストマーとしては特に限定されず、例えば、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素共重合体(EVACO)、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等の塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの熱可塑性エラストマーは、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0046】
上記添加剤を上記ポリ塩化ビニル系樹脂に混合する方法としては特に限定されず、例えば、ホットブレンドによる方法、コールドブレンドによる方法等が挙げられる。
【0047】
ところで、本発明の建築用配管材としては、例えば、耐火管や耐火管継手が挙げられる。また、本発明の建築用配管材は、一般的に用いられる押出成形機や射出成形機によって成形される。成形機の種類やスクリュー形状などは、特に限定されず、引張強度や衝撃を考慮して、十分に混練できるものであればよいが、連続成形可能な押出成形機が好ましい。
【発明の効果】
【0048】
請求項1記載の発明は、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛1〜10重量部を含有させてなる耐火性樹脂組成物からなる耐火膨張層を備えているので、以下の優れた効果を有する。
すなわち、本発明の建築用配管材は、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛が配合されているので、燃焼時には、熱膨張性黒鉛の層間に挿入されている酸だけでなく、熱膨張性黒鉛の表面に残っている酸も放出される。したがって、中和処理された熱膨張性黒鉛に比べて、酸の放出量が多く、ポリ塩化ビニル系樹脂の塩化水素脱離反応が活発になり、燃焼時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の炭化を効果的に進めることができる。その結果、燃焼時には、膨張した熱膨張性黒鉛とポリ塩化ビニル系樹脂の炭化物とが強力に絡み合ってできた残渣によって、管の加熱側端部を確実に閉塞することができる。
その上、熱膨張性黒鉛のpHが1.5〜4.0の範囲であるので、配管材を成形するための成形装置を傷める恐れもない。
また、熱膨張性黒鉛は、それ自体が燃えにくく、かつ、熱により膨張して断熱効果を発現するので、燃焼速度の遅延が効果的に行われる。その上、熱膨張性黒鉛は、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して適度な割合で配合されているので、燃焼後の残渣の形状保持性に優れている。
また、ベース樹脂として、自己消火性を有するポリ塩化ビニル系樹脂が用いられているため、燃焼速度の遅延がさらに効果的に行われ、燃焼時の火炎の伝播速度を抑えることができる。さらに、ポリ塩化ビニル系樹脂は、燃焼初期に発泡する性質があるため、熱膨張性黒鉛が膨張しやすいという利点がある。
【0049】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、請求項1記載の耐火性樹脂組成物が、成形時の熱安定性を付与するための添加剤を含むので、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の塩化水素脱離反応が抑制され、成形時における樹脂の劣化や炭化を防止することができる。
【0050】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、成形時の熱安定性を付与する添加剤が、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩、塩基性化合物からなる群の少なくともいずれか一種を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であるので、以下の1)〜4)のいずれかの働きによって、成形時におけるポリ塩化ビニル系樹脂の塩化水素脱離反応が抑制され、成形時の樹脂の劣化や炭化を防止することができる。
1)塩化水素の捕捉、中和
2)塩素原子との置換
3)ラジカルの捕捉、失活
4)共役二重結合の孤立
また、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩は、成形時の熱安定性を付与する他の添加剤に比べて、より一層、成形時の熱安定性に優れているため、製品の歩留まりがよい上、押出成形時のロングラン性にも優れている。
また、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩は、少量でも成形安定性を発揮するため、成形時の熱安定性を付与する他の添加剤に比べて、ポリ塩化ビニル系樹脂に対する添加割合が少なくて済み、管の引張強度や耐火性が低下しにくい。
【0051】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、さらに塩基性化合物を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であるので、より確実に、成形時の熱安定性、管の引張強度、および耐火性を確保できる。
【0052】
以上詳述したように、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の建築用配管材は、それ自体が優れた耐火膨張性を備えており、燃焼時には、管の加熱側端部を確実に閉塞するので、区画貫通部で仕切られた他の側に火炎や煙が回るのを長時間阻止することができる。
その結果、区画貫通部に配管材を貫通施工するときに、従来のように、配管材の周囲に他の耐火部材を設ける必要がない上、施工時の仮配管時に、位置確認のためにマーキングするなどの作業も不要であり、単に、区画貫通部に本発明の建築用配管材を挿通させるだけでよいので、作業負担を大幅に軽減でき、現場施工性を飛躍的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
本実施形態の建築用配管材Pは、単層管であり、長さ1200mm、外径114mm、厚さ6.6mm、呼び径100Aに作製されている。
以下、実施例を挙げて詳細に説明する。
【0054】
(実施例1)〜(実施例26)、(比較例1)〜(比較例10)について、以下の材料を用意した。
塩化ビニル樹脂(徳山積水工業社製 商品名「TS1000R」)
熱膨張性黒鉛(中越黒鉛工業社製、商品名「SFF」)
鉛系安定剤:ステアリン酸鉛(水澤化学社製、商品名「StabinexNC18」)
有機スズ系安定剤:オクチル錫メルカプト(三共有機社製、商品名「ONE−100F」)
高級脂肪酸金属塩:Ca/Zn系複合安定剤(堺化学社製、商品名「NWP-6000」)
塩基性化合物:炭酸カルシウム(白石カルシウム社製、商品名「ホワイトンSB」)
:水酸化マグネシウム(協和化学工業社製、商品名「KISUMA5A」)
ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、商品名「DHT-4A」)
エポキシ化大豆油(ADEKA社製、商品名「アデカサイザー O130P」)
滑剤:(三井化学株式会社製 商品名ハイワックス4202E)
【0055】
上記熱膨張性黒鉛のpHは、以下の方法によって確認した。
1)熱膨張性黒鉛の試料5gにイオン交換水25mlを添加して黒鉛混合液を作成する。
2)作製した黒鉛混合液をガラス棒で30秒間混ぜる。
3)20分放置した後、pH測定器(株式会社堀場製作所製、商品名「pH/ION METER F-23」
)によって、黒鉛混合液のpHを測定する。
【0056】
また、上記熱膨張性黒鉛のpH調整は、以下の方法によって行った。
すなわち、上記熱膨張性黒鉛をビーカーに入れ、イオン交換水を加えて攪拌し、上記pH測定器で黒鉛混合液のpHを確認しながら、熱膨張性黒鉛の表面に残存する酸を洗浄除去した後、黒鉛混合液をろ過し、恒温槽に入れて乾燥させて、所望のpHの熱膨張性黒鉛を得た。一回の洗浄で所望のpHとならない場合は、洗浄、乾燥工程を繰り返し行った。
【0057】
そして、上記の各材料を(表1)〜(表6)に示した割合で配合し、内容積200リットルのヘンシェルミキサー(川田工業社製)で攪拌混合し、耐火性樹脂組成物を得た後、一般的に用いられる押出成形機によって押出成形して、耐火性評価に用いる建築用配管材Pを作製した。
また、この建築用配管材Pから、性能評価に用いる試験片を作製した。試験片は、前記建築用配管材Pの管壁の一部を切り出した後、荷重200kgf、190℃で3分間プレス成形して厚さ3mmのプレス板を1cm角に切り作製した。
【0058】
(耐火性評価)
図1に示す耐火試験炉Xにより、耐火試験(平成12年6月1日に施行された改正建築基準法の耐火性能試験の評価方法 ISO834-1に従う)を実施した。
床材Yは、100mm厚さのPC(プレキャストコンクリート)パネルを用いた。建築用配管材Pは、床材Yに設けられた区画貫通部Rに貫通させ、加熱室Z内に300mm露出させ、床材Yの外部に800mm露出させた。
なお、加熱室Zの側壁にはバーナーV,Vが設置されている。また、建築用配管材Pの先端部近傍に温度測定用の熱電対Qが設置されている。
そして、加熱開始後、区画貫通部Rと建築用配管材Pとの隙間から煙が出るまでの時間(発煙時間)を測定した。消防法の令8区画の判定基準に従って、発煙時間が130分以上の場合を◎(優秀)、120分以上の場合を○(合格)、120分未満の場合を×(不合格)とした。煙の発生の有無については、目視で判断した。
【0059】
(性能評価)
得られた試験片について、管としての性能を満たしているかを判定するため、JISK7113に規定される引張試験(評価温度23℃)を行った。なお、管としての実用的な性能を満たしているかを判定するため、23℃で引張強度が45(MPa)以上を◎(優秀)、30(MPa)以上を○(合格)、30(MPa)未満のものを×(不合格)とした。
【0060】
(成形性評価)
装置腐食性と押出成形安定性の2点について評価した。
装置腐食性:3時間製造した後、そのまま3日間放置して、原料投入部の金属ホッパー部の腐食度合いを目視で観察した。異常なしの場合は○(合格)、赤錆が確認された場合は×(不合格)とした。
押出成形安定性:3時間連続運転中、押出成形機先端より吐出される樹脂組成物を目視により確認した。そして、炭化物なし、ヤケ(黄変)なしの場合は◎(優秀)、炭化物なしの場合は○(合格)、炭化物ありの場合は×(不合格)とした。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
【表4】

【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
(実験結果)
(表1)において、(比較例1)(比較例2)は、熱膨張性黒鉛の酸性が強すぎるため、装置の腐食が見られた。(比較例3)(比較例4)は、熱膨張性黒鉛の酸性が弱すぎるため、燃焼時における塩化ビニル樹脂の炭化が促進されにくく、耐火性評価において発煙時間120分を達成できず、不合格であった。
この結果から、装置の腐食の心配がなく、かつ、優れた耐火性を発揮するためには、熱膨張性黒鉛のpHは1.5〜4.0の範囲であることが必要であることがわかった。
(表2)において、(比較例5)(比較例6)は、熱膨張性黒鉛の配合割合が少なすぎたため、耐火性評価において発煙時間120分を達成できず、不合格であった。また、(比較例7)(比較例8)は、熱膨張性黒鉛の配合割合が多すぎたため、耐火性評価において発煙時間120分を達成できず、不合格であった。
この結果から、管として必要な強度を有し、かつ、優れた耐火性を発揮するためには、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、熱膨張性黒鉛を1〜10重量部配合する必要があることがわかった。なお、熱膨張性黒鉛が10重量部を超えると、図2に示すように、加熱により組織が熱膨張しすぎて、その形状を保持できずに残渣2が脱落してしまった。
(表3)において、(実施例15)は、安定剤の添加割合が多すぎたため、(実施例10)〜(実施例14)に比べて、引張強度が低下した。
(表4)において、(実施例18)は、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、エポキシ化大豆油を配合したものである。しかし、エポキシ化大豆油は、成形時の熱安定性を付与する能力があまり高くなく、可塑効果が高い。その結果、(実施例18)は、押出成形安定性が不合格であった上、(表4)に示す他の実施例に比べて、引張強度と耐火性がやや低下してしまった。
この結果から、引張強度と耐火性に優れ、かつ、成形安定性に優れた管を得るには、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれた少なくともいずれか一種を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることが好適であることがわかった。
(表5)において、(実施例19)は、塩基性化合物が添加されていないため、(表5)に示す他の実施例に比べて、押出成形安定性がやや低かった。また、(実施例23)は、塩基性化合物の添加割合が多すぎたため、(表5)に示す他の実施例に比べて、引張強度がやや低かった。
(表6)において、(実施例25)は、成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、安定剤は配合せず、ハイドロタルサイトだけを配合したものである。ハイドロタルサイトには、熱安定性を付与する能力があるものの、単独では十分な熱安定性が得られないため、押出成形安定性については不合格であった。
この結果から、引張強度と耐火性に優れ、かつ、成形安定性に優れた管を得るには、塩化ビニル樹脂100重量部に対して、上記の安定剤を0.3〜5.0重量部配合し、さらに、塩基性化合物を0.3〜5.0重量部配合することがより好適であることがわかった。
【0068】
(結論)
以上、実施例を提示して詳述したとおり、本実施形態の建築用配管材Pは、成形性、管としての機械的強度、耐火性のいずれの面においても優れており、燃焼時には、耐火性樹脂組成物で構成された層が膨張して、図3に示すように、建築用配管材Pと区画貫通部Rとの隙間を残渣2で閉塞することができ、床材Yで仕切られた他の側に火炎や煙が回るのを阻止することができる。
【0069】
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではない。例えば、上記の実施例では、建築用配管材Pの呼び径は100Aであったが、他の径であってももちろん構わない。
また、本発明は、本発明にかかる耐火性樹脂組成物からなる耐火膨張層を管の厚さ方向に備えた複層管であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】耐火性試験に使用する耐火試験炉Xの構造を簡単に示す説明図である。
【図2】建築用配管材Pが加熱により熱膨張した後、その形状を保持できずに残渣2が脱落する様子を示す説明図である。
【図3】建築用配管材Pが加熱により熱膨張した後、その形状を保持して耐火性を維持している様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
P 建築用配管材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、pH1.5〜4.0に調整された熱膨張性黒鉛1〜10重量部を含有させてなる耐火性樹脂組成物からなる耐火膨張層を備えることを特徴とする建築用配管材。
【請求項2】
請求項1記載の耐火性樹脂組成物が、成形時の熱安定性を付与するための添加剤を含むことを特徴とする請求項1記載の建築用配管材。
【請求項3】
成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、鉛系安定剤、有機スズ系安定剤、高級脂肪酸金属塩からなる群から選ばれた少なくともいずれか一種を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることを特徴とする請求項2記載の建築用配管材。
【請求項4】
成形時の熱安定性を付与するための添加剤として、さらに塩基性化合物を含み、その総添加割合が、ポリ塩化ビニル系樹脂100重量部に対して0.3〜5.0重量部であることを特徴とする請求項3記載の建築用配管材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−40940(P2009−40940A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209295(P2007−209295)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】