説明

建設機械のドアハンドル

【課題】建設機械の開閉ドアのドア面に埋め込まれているドアハンドルの操作に、手指の大きな力が必要な問題、手指が掛けにくく外れやすい問題、さらに手指を届かせにくい問題、などを解決する。
【解決手段】建設機械のドアハンドル(10)が、開閉ドア(8)のドア面(F)に埋め込まれ凹部(12a)にドア開閉操作用の取手板(12b)を有した埋め込みハンドル(12)と、埋め込みハンドルの取手板(12b)に取付けられ、ドア面(F)の外方に向けて延び、操作用の握り部(18a)を有した補助取手(18)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械のドアハンドル、さらに詳しくは、建設機械の運転室、エンジン室などの開閉ドアに備えられるドアハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ、ブルドーザ、油圧ショベルなどの建設機械の開閉ドア、例えば運転室の乗降用ドア、エンジン室の保守点検用ドアなどには、ドア面と略同一面に埋め込んだドアハンドルが備えられ沈んだ凹部に開閉操作用の取手板が設けられている。この取手板に手指を掛けて手前に引くことにより、ドアを閉じ位置に保持しているフックあるいはラッチがばね力に抗して外されドアが開けられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58−40201号公報(図4、図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の建設機械のドアハンドルには、建設機械の稼働環境、用途、ドアハンドルの設置位置などに起因して、次のような問題がある。
【0005】
すなわち、建設機械は、屋外で使用され、屋外に放置され、雨水、土砂、ほこりなどにさらされるので、ドアハンドルの固着などによって取手板の操作に大きな手指の力が必要になり操作が困難になる問題がある。
【0006】
また、取手板の設けられた凹部に作業処理物、雪などが堆積した場合や、寒冷地などで作業者が手袋を着用している場合には、取手板に手指を掛けにくい、また手指が外れやすい、などの問題がある。
【0007】
さらに、建設機械の開閉ドア、例えば運転室の乗降用の開閉ドア、エンジン室の保守点検用ドアなどは、地上から比較的高い位置にあり、ドアハンドルは乗降ステップ、機体などに上って、また手摺などにつかまって操作されるので、安定した姿勢で取手板に手指を掛けるのが難しい問題がある。
【0008】
本発明は上記事実に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、建設機械の開閉ドアのドア面に埋め込まれているドアハンドルの操作に、手指の大きな力が必要な問題、手指が掛けにくく外れやすい問題、さらに安定した姿勢で手指を掛けにくい問題、などを解決することができる、建設機械のドアハンドルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば上記技術的課題を解決する建設機械のドアハンドルとして、建設機械の開閉ドアのドア面に埋め込まれ、凹部にドア開閉操作用の取手板を有した埋め込みハンドルと、この埋め込みハンドルの取手板に取付けられ、ドア面の外方に向けて延び、操作用の握り部を有した補助取手と、を備えている、ことを特徴とする建設機械のドアハンドルが提供される。
【0010】
好適には、補助取手は、ドア面に沿って斜めに延びている。また、補助取手は、取手板に着脱を自在に取付けられている。さらに、該ドアハンドルは、建設機械の運転室の乗降ドアに備えられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従って構成された建設機械のドアハンドルは、埋め込みハンドルの取手板に取付けられドア面の外方に向けて延びる、操作用の握り部を有した補助取手を備えている。したがって、この補助取手に手指を掛けることにより、ドアハンドルを小さい力で、手指を十分に掛けて、さらに手指を容易に届かせて、操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従って構成された建設機械のドアハンドルの(a)側面図および(b)上面図。
【図2】図1に示す埋め込みハンドルの(a)側面図、(b)上面図。
【図3】図1に示す補助取手の(a)側面図、(b)上面図、(c)Y−Y断面図。
【図4】図1に示すドアハンドルを備えた建設機械であるホイールローダの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に従って構成された建設機械のドアハンドルについて、好適実施形態を図示している添付図面を参照して、さらに詳細に説明する。
【0014】
図4を参照して建設機械の代表例であるホイールローダについて説明する。番号2で示すホイールローダは、屈折操向を自在に連結された前車体4と後車体6を備え、前車体4には、前車輪4a、作業装置4bを備え、後車体6には、後車輪6a、運転室6b、エンジン室6cを備えている。運転室6bの開閉ドアである乗降ドア8には、本発明に係るドアハンドル10を備えている。運転室6bの外からのドアハンドル10の操作は、作業者が地上から手を伸ばし、あるいは後車体6の昇降ステップ6dに上がって行われる。
【0015】
ドアハンドル10について図1を参照して説明する。ドアハンドル10は、乗降ドア8のドア面Fに埋め込まれ、凹部12aにドア開閉操作用の取手板12bを有した埋め込みハンドル12と、この埋め込みハンドル12の取手板12bにボルト14、ナット16、それぞれ2個によって取付けられ、ドア面Fの外方に向けてドア面Fに沿って斜めに延びた、操作用の握り部18aを有した補助取手18を備えている。
【0016】
図1とともに図2を参照して埋め込みハンドル12について説明する。埋め込みハンドル12は、取手板12bに補助取手18取付用のボルト穴12cを2個追加した以外は周知のものである。すなわち、埋め込みハンドル12は、周縁が矩形のフランジの内側に凹部12aを有したハウジング12dを備え、凹部12aの一側(図2の左側)に矩形周縁の一辺と平行に備えた回動軸12eに取手板12bが取付けられている。矩形のフランジ部がドア面Fに取付けられている(取付手段の図示は省略)。回動軸12eには乗降ドア8を閉じ位置に保持するためのフックあるいはラッチが連結されている(図示は省略)。
【0017】
取手板12bは、凹部12a開口面の略半分を占める矩形に形成され、回動軸12eに取付けられた一端に平行な他端が手指を掛ける操作用の縁部になっている。2個のボルト穴12cは操作用縁部に沿って軸線Xと平行に設けられている。取手板12bは、回動軸12eの軸線Xを中心に外方(矢印A)内方(矢印B)に揺動自在であり、常時はばね力によって矢印Bの凹部12a側に位置付けられ、手指により矢印A側にばね力に抗して引き起こされる。取手板12bには鍵穴を有した錠前12fが備えられ、取手板12bを矢印B側位置に固定施錠することができる。
【0018】
図1とともに図3を参照して補助取手18について説明する。補助取手18は、取手板12bに取付けられる2個のボルト穴18eを有した長方形の基板18bと、一端がこの基板18bの長手方向両端それぞれに溶接され平行に延びた一対の矩形断面の腕18c、18cと、一対の腕18c、18cの他端の間に挟まれ腕18cの外側からスクリュー18dによって取付けられた前記の握り部18aを備えている。握り部18aはアルミ丸棒によって形成され、基板18bおよび腕18cは鋼によって形成されている。
【0019】
埋め込みハンドル12の取手板12bと補助取手18の握り部18aの位置関係について説明する。丸棒状の握り部18aはドア面Fと平行に位置付けられ、その軸心と、基板18bの取手板12bへの取付面までの寸法(ドア面Fまでの寸法と略同一)をH、基板18bの取手板12bへの取付ボルト穴18eの中心までの寸法をLとすると、これらの寸法は手袋を着用しても握り部18aを操作しやすい寸法に規定される。
【0020】
主として図1を参照して、上述したとおりの建設機械のドアハンドル10の作用効果について説明する。
【0021】
ドアハンドル10は、埋め込みハンドル12の取手板12bに取付けられ、ドア面Fの外方に向けて延び、操作用の握り部18aを有した補助取手18を備えている。したがって、この補助取手18を用いることにより、ドアハンドル10を小さい手指の力で操作でき、ドアハンドル10に手指を十分に掛けて、さらに手指を容易に届かせて、操作することができるので、ドアハンドルの操作に、手指の大きな力が必要な問題、手指が掛けにくく外れやすい問題、手指を届かせにくい問題、などを解決することができる。
【0022】
そして、ドアハンドル10は、周知の既存の埋め込みハンドル12の取手板12bに補助取手18を取付けて形成できるので、操作性を向上させたドアハンドルを安価に、経済的に提供できる。
【0023】
また、補助取手18は、ドア面Fに沿って斜めに延びているので、ドア面Fから外側への突出を最小限にして、操作性を向上させたドアハンドルを提供できる。
【0024】
さらに、補助取手18は取手板12bに着脱を自在に取付けられている。すなわち、ドアハンドル10の埋め込みハンドル12と補助取手18は着脱が自在な取付構造であるので、補助取手18は、操作性を向上させる必要のある既存の埋め込みハンドルに容易に簡単に取付けることができる。
【0025】
また、このドアハンドル10は、地上から比較的高い位置にあり開閉頻度の多い建設機械の運転室6bの乗降ドア8に好適である。
【0026】
以上、本発明を実施例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、例えば下記のように、本発明の範囲内においてさまざまな変形あるいは修正ができるものである。
【0027】
本発明の実施の形態においては、補助取手18は、ドア面Fに沿って斜めに延びているが、好都合であればドア面Fに直交する外方に延ばしてもよい。
【0028】
本発明の実施の形態においては、補助取手18は、取手板12bにボルト14、ナット16により着脱を自在に取付けられているが、溶接によって一体に固定してもよい。
【符号の説明】
【0029】
2:ホイールローダ(建設機械)
6b:運転室
8:乗降ドア(開閉ドア)
10:ドアハンドル
12:埋め込みハンドル
12a:凹部
12b:取手板
18:補助取手
18a:握り部
F:ドア面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の開閉ドアのドア面に埋め込まれ、凹部にドア開閉操作用の取手板を有した埋め込みハンドルと、
この埋め込みハンドルの取手板に取付けられ、ドア面の外方に向けて延び、操作用の握り部を有した補助取手と、を備えている、
ことを特徴とする建設機械のドアハンドル。
【請求項2】
補助取手が、ドア面に沿って斜めに延びている、
ことを特徴とする請求項1記載の建設機械のドアハンドル。
【請求項3】
補助取手が、取手板に着脱を自在に取付けられている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械のドアハンドル。
【請求項4】
該ドアハンドルが、建設機械の運転室の乗降ドアに備えられている、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の建設機械のドアハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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