説明

建設機械の冷却装置

【課題】ファンの回転によって生成される空気流を効率良く捕集し、排気効率を向上させる。
【解決手段】ファン12の回転によってエンジンまわりを旋回しながらファン軸方向に移動する空気流が生成される建設機械において、上面に空気導入口21、下面に空気排出口を備えた排気ダクト18を、エンジンに沿ってファン軸方向に延びる状態でエンジンルーム8内におけるエンジンの前方下部に設け、この排気ダクト18により、ファン下流側の空気流をほぼエンジン全長部分に亘る領域で導入してエンジンルーム外に排出するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はショベル等の建設機械において、熱交換器を冷却するための空気流の排出構造を改良した冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ショベルを例にとって背景技術を説明する。
【0003】
ショベルは、図9に示すように下部走行体1上に上部旋回体2が旋回自在に搭載され、この上部旋回体2のベースとなるアッパーフレーム3上にキャビン4を含む各種設備、機器が搭載されるとともに、同フレーム3の前部に作業アタッチメント(掘削アタッチメント)5、後端部にカウンタウェイト6がそれぞれ装着されて構成される。
【0004】
なお、この明細書においては、キャビン4の位置を左側前部とし、これを基準に「前後」「左右」の方向性をいうものとする。
【0005】
また、図及び説明の簡略化のために本発明と直接関係のないアッパーフレーム各部の構成及び機器配置に関する細かな図示、説明を省略する。
【0006】
アッパーフレーム3の後部には、エンジン7が収容されるエンジンルーム8が設けられている。
【0007】
図10はこのエンジンルーム8内の機器配置と空気の流れを背面側から見た模式的断面図である。
【0008】
同図に示すようにエンジンルーム8は、アッパーフレーム底板9を床として、パネル材等のエンジンガード部材10(カウンタウェイト6もこのエンジンガード部材を兼ねる)で周囲を囲まれた左右方向に長い空間として形成され、エンジン7がこのエンジンルーム8内に左右方向に設置される。
【0009】
エンジン7の片側(右側)には、エンジン冷却用のラジエータやオイルクーラ等の熱交換器11と軸流式のファン12とが設けられ、このファン12の回転により、右側上面壁に設けられた吸気口13から外気が取り込まれて熱交換器11を通過し、これによって熱交換器11が冷却される。
【0010】
一方、エンジン7の反対側(左側)には油圧ポンプ14が設けられるとともに、この油圧ポンプ14からミスト状に漏洩・飛散した油がエンジン7(正確には図示しないマフラーを含む排気系)に降りかかることのないように、エンジン7と油圧ポンプ14とを仕切る防火カバー15が設けられる。16はエンジンルーム8の左側上面壁に設けられた排気口である。
【0011】
この構成において、ファン12の回転中、ファン12の下流側に、図10中に矢印で示すようにファン回転方向の成分と遠心方向の成分とファン軸方向の成分が合成された空気流が生成される。
【0012】
この空気流は、ファン下流側のほぼ全域に亘る長い距離を右から左に移動して左端の排気口16から排出されるため、通過抵抗が大きいこと、及び乱流が発生し易いこと等から排出効率が悪いという問題があった。
【0013】
一方、この問題を解決するための技術として、特許文献1,2に示されているように、エンジンルーム8の背面を形成するカウンタウェイト6の前面におけるファン後方の部位に上下方向に延びる溝(凹状通路)を設け、ファン12から旋回/半径方向に吐出された空気をこの溝を通して直接捕集し、エンジンルーム外に排出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−3447号公報
【特許文献2】特開2005−145114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、空気流は、実際には、上記のようにファン軸方向の成分によってファン下流側の全域を旋回しながら移動するにもかかわらず、上記公知技術では、ファン12から旋回/半径方向に吐出された空気のみを捕捉して排出する構成をとっているため、ファン下流側の大半の領域を通る空気流は捕集できない。
【0016】
また、溝の入口部分での通気抵抗が大きくなるため、風量性能も悪い。
【0017】
これらの点で、公知技術によると、実際上、空気の排出効率の向上には至らない。
【0018】
なお、公知技術において、風量性能を上げるために溝幅を大きくして空気流の捕捉範囲をファン軸方向に広げることは可能であるが、こうすると本来のカウンタウェイト機能が低下することから限界があるため、実効には至らない。
【0019】
そこで本発明は、ファンの回転によって生成される空気流は、ファン回転方向及び遠心方向の成分に加えてファン軸方向の成分を含むという実情に合わせて、空気流を効率良く捕集し、排気効率を向上させることができる建設機械の冷却装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決する手段として、本発明においては、エンジンルームに収容されたエンジンの片側に、熱交換器と、エンジンルーム外部から冷却用の空気を導入して上記熱交換器に通す軸流式のファンとを設け、上記ファンの回転により、ファンの回転方向、遠心方向、軸方向の各成分が合成された冷却用の空気流をエンジンまわりに生成するように構成した建設機械の冷却装置において、空気導入口と空気排出口を備えた排気ダクトを、エンジンに沿ってファン軸方向に延びる状態で上記エンジンルーム内に設け、この排気ダクトにより、ファン下流側の空気流をファン軸方向の一定範囲に亘る領域で導入してエンジンルーム外に排出するように構成したものである。
【0021】
この構成によれば、ファンの回転によって生成される、旋回しながらファン軸方向に移動する空気流をその移動方向の一定範囲に亘る領域で捕集できること、及び空気入口部分での通気抵抗が少ないことの二点により、ファンから旋回/半径方向に吐出される空気しか捕集できない公知技術と比較して、排気効率を格段に向上させることができる。
【0022】
この場合、上記排気ダクトを上記エンジンのほぼ全長に亘る領域に亘って設けるとともに、この排気ダクトのほぼ全長部分に空気導入口及び空気排出口を設けるのが望ましい(請求項2)。
【0023】
こうすれば、ファン下流側でエンジンまわりを旋回しながらファン軸方向に移動する空気流をほぼエンジン全長域で捕集し排出できるため、排気効率が最良となる。
【0024】
また本発明においては、上記排気ダクトを上記エンジンの前方または後方の下部に配置し、上記空気流を上から吸入して下から排出するように上記排気ダクトの上面に上記空気導入口、下面に上記空気排出口をそれぞれ設けるのが望ましい(請求項3)。
【0025】
このように、空気流をその旋回方向に合わせてダクトの上から吸入して下から排出する構成をとることにより、空気を少ない通気抵抗でスムーズに吸入、排出できるため、排気効率の点でさらに有利となる。
【0026】
また、下から排出することで、エンジンルーム内から外部に漏れる機器騒音(エンジン音、ポンプ音)によって周囲に与える影響を抑えることができる。
【0027】
さらに本発明においては、機械のフレーム上に垂直な仕切り部材を上記エンジンとほぼ平行に設けて上記エンジンルームを区画形成し、前面が開放した枠状のダクト本体を上記仕切り部材の背面側に取付けることによって上記排気ダクトを構成するのが望ましい(請求項4)。
【0028】
このように、エンジンガードの一部である仕切り部材を利用して排気ダクトを構成することにより、排気ダクトの部品点数と組立工数を減らしてコストダウンを実現することができる。
【0029】
一方、本発明においては、上記ファンから最も遠い下流側で上記空気流を上記排気ダクトに導く導風板を設けるのが望ましい(請求項5,6)。
【0030】
こうすれば、排気ダクトの域外に漏れようとする空気を最下流部分で導風板によって捕集できるため、漏れ空気による乱流の発生を抑え得ることと併せて排気効率の向上に寄与する。
【0031】
この場合、上記エンジンのファンと反対側に油圧ポンプを設けるとともに、この油圧ポンプとエンジンとを仕切る防火カバーを設け、この防火カバーが上記導風板を兼ねるように、防火カバーに、上記空気流を導入する空気入口と、導入した空気流を上記排気ダクトに導く空気出口とを設けるのが望ましい(請求項6)。
【0032】
このように、防火カバーを導風板として兼用する構成により、部品点数を節減できるとともに、スペースが限られたエンジンルーム内に導風板を無理なく設置することができる。
【0033】
さらに本発明においては、上記排気ダクトを、上記空気導入口と空気排出口の間で少なくとも一つの曲げ部を備えた曲折状に形成するのが望ましい(請求項7,8)。
【0034】
この構成によれば、曲折形状によって排気ダクト内での音の反射・減衰効果を高め得ること、及び排気ダクトを通じて外部に直接漏れる「直接音」を抑制できることにより、騒音低減効果が高いものとなる。
【0035】
この場合、曲げ部を空気流の旋回方向に沿った曲げ形状とする(請求項8)ことにより、ダクト内での空気の流れを良くして排気効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、空気流を効率良く捕集し、排気効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ショベルを適用対象とした本発明の第1実施形態を模式的に示すショベル後部の平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面図である。
【図5】第1実施形態におけるショベル後部の概略斜視図である。
【図6】第1実施形態における排気ダクトと防火カバーの概略斜視図である。
【図7】本発明の第2実施形態を模式的に示す図3相当図である。
【図8】第2実施形態における排気ダクトの概略斜視図である。
【図9】本発明の適用対象であるショベルの全体概略側面図である。
【図10】従来の冷却装置を示す図2相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態を図1〜図8によって説明する。
【0039】
実施形態は、背景技術の説明に合わせて、図9に示すショベルを適用対象としている。
【0040】
実施形態において、次の点は図9,10に示す従来技術と同じである。なお、図1〜図8に図示しない部分について、適宜、図9中の符号を引用する。
【0041】
(A) 上部旋回体2のアッパーフレーム後部に、エンジン7が収容されるエンジンルーム8が設けられている点。
【0042】
(B) エンジンルーム8は、アッパーフレーム底板9を床として、パネル材等のエンジンガード部材10(カウンタウェイト6もこのエンジンガード部材を兼ねる)で周囲を囲まれた左右方向に長い空間として形成され、エンジン7がこのエンジンルーム8内に左右方向に設置される点。
【0043】
(C) エンジン7の片側(右側)には、エンジン冷却用のラジエータやオイルクーラ等の熱交換器11と軸流式のファン12とが設けられ、このファン12の回転により、右側上面壁に設けられた吸気口13から外気が取り込まれて熱交換器11を通過することにより熱交換器11が冷却される点。
【0044】
(D) エンジン7の反対側(左側)には油圧ポンプ14が設けられるとともに、この油圧ポンプ14からミスト状に漏洩・飛散した油がエンジン7(正確には図示しないマフラーを含む排気系)に降りかかることのないように、エンジン7と油圧ポンプ14とを仕切る防火カバー17が設けられる点。
【0045】
(E) ファン12の回転中、熱交換器11の下流側に、図1〜図4、図7中に矢印で示すようにファン回転方向の成分と遠心方向の成分とファン軸方向の成分が合成された空気流が生成される点。
【0046】
第1実施形態(図1〜図6参照)
エンジンルーム8内におけるエンジン7の前方下部に、排気ダクト18がエンジン7に沿ってファン軸方向(左右方向)に延びる状態で設けられている。
【0047】
この排気ダクト18は、ダクト本体19と、エンジン前方の仕切り板20とによって構成されている。
【0048】
詳述すると、仕切板20は、エンジンルーム8をアッパーフレーム後部に区画形成するための仕切り部材の一つとして、エンジン前方においてアッパーフレーム底板9上に左右方向ほぼ全幅に亘って立設されている。
【0049】
ダクト本体19は、前面壁19aと左右両側壁19b,19c(図の簡略化のため図5,6のみに符号を付している)とによって、前面及び上下両面が開放した左右に長い枠体として形成されている。
【0050】
そして、このダクト本体19がアッパーフレーム底板9上で仕切板20の背面に取付けられることにより、上面側に空気導入口21、下面側に空気排出口22がそれぞれほぼダクト全長に亘って形成された排気ダクト18が構成されている。
【0051】
ここで、アッパーフレーム底板9には、排気ダクト18の空気排出口22に対応する部位にエンジンルーム下方に開口する排気口23が設けられている。
【0052】
こうして、エンジンまわりを移動する空気流を、排気ダクト18内に上(空気導入口21)から吸入して下(空気排出口22及び排気口23)から排出するように構成されている。
【0053】
また、ダクト本体前面壁19aの前面右側端部、すなわち、ファン12の前方部分であって空気流の最上流側の部分に、主として空気流のファン回転方向及び遠心方向の成分を導入し易くするための切欠24(図5,6のみに符号を付している)が設けられている。
【0054】
さらに、排気ダクト18は、図3,4等に示すように下半部が後方に折れ曲がった側面視ほぼくの字形、つまりほぼ空気の旋回方向に沿った曲折形状とされている。
【0055】
なお、排気ダクト18の内面にグラスウール等の吸音材を設けてもよい。
【0056】
また、排気ダクト18は、空気流をファン軸方向のできるだけ広い流域範囲で捕集し得るように、図示のようにほぼエンジン全長またはそれ以上の範囲に亘って設けるのが望ましいが、機器レイアウトの関係等から制限を受ける場合には図示よりも短い範囲に設けてもよい。
【0057】
請求項1中の「ファン軸方向の一定範囲」とは、公知技術のようにファン12から旋回/半径方向に吐出される空気のみでなく、ファン下流側に移動する空気をも、エンジン全長またはそれに近い領域を含めて許容される最大限広い範囲で捕集し得る範囲をいう。
【0058】
一方、防火カバー17は、エンジン7に対して油圧ポンプ14(図1,2に示す)を遮蔽する本来のポンプ遮蔽機能を果たしつつ、空気流を最下流側で排気ダクト18に導く導風板としての機能をも果たすように構成されている。
【0059】
すなわち、防火カバー17は、背面から見て大略L字形のカバー本体17aの周囲に下向きの折り曲げ部17bが一体に連設された、下面が開口する枠状に形成されている。
【0060】
この防火カバー17の前端部には、排気ダクト18の空気導入口21に向かって突出するガイド部25が設けられ、同カバー17の下面開口26(図4のみに符号を付している)の後部から導入した旋回流を、このガイド部25から排気ダクト18の空気導入口21に導くように構成されている。
【0061】
なお、ガイド部25は、図2に示すように空気導入口21の左側端部に上から被さるように配置してもよいし、空気導入口21の左側端部よりも少し左側に位置するように配置してもよい。
【0062】
上記構成によると、排気ダクト18により、ファン12の回転によって生成される、旋回しながらファン軸方向に移動する空気流を、その移動方向の一定範囲に亘る領域(実施形態ではほぼエンジン全長に亘る領域)で捕集することができる。
【0063】
また、排気ダクト18のほぼ全長に亘って空気導入口21を設けているため、この空気入口部分での通気抵抗が少ない。
【0064】
この二点により、ファン12から旋回/半径方向に吐出される空気しか捕集できない公知技術と比較して、排気効率を格段に向上させることができる。
【0065】
また、第1実施形態によると、次の効果を得ることができる。
【0066】
(i) 排気ダクト18をエンジン7の前方の下部に配置し、空気流を上から吸入して下から排出するように構成しているため、空気を少ない通気抵抗でスムーズに吸入、排出できるため、排気効率の点でさらに有利となる。
【0067】
(ii) 捕集した空気をダクト下方に排出するため、エンジンルーム8内から外部に漏れる機器騒音(エンジン音、ポンプ音)によって周囲に与える影響を抑えることができる。
【0068】
(iii) エンジンガードの一部である仕切り板20を利用して排気ダクト18を構成するため、排気ダクト18の部品点数と組立工数を減らしてコストダウンを実現することができる。
【0069】
(iv) 排気ダクト18の域外に漏れようとする空気を、最下流部分で、防火カバー17によって排気ダクト18に捕集できるため、漏れ空気による乱流の発生を抑え得ることと併せて排気効率の向上に寄与する。
【0070】
また、防火カバー17を導風板として兼用するため、部品点数を節減できるとともに、スペースが限られたエンジンルーム内に導風板を無理なく設置することができる。
【0071】
(v) 排気ダクト18を、側面視ほぼくの字形、すなわち、空気の旋回方向にほぼ沿った曲折形状に形成しているため、排気ダクト18内での音の反射・減衰効果を高め得ること、及び排気ダクト18を通じて外部に直接漏れる「直接音」を抑制できることにより、騒音低減効果が高いものとなるとともに、排気ダクト18内での空気の流れを良くして排気効率を高めることができる。
【0072】
第2実施形態(図7,8参照)
第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0073】
第2実施形態においては、排気ダクト27が、左右に長い独立した箱体として構成され、第1実施形態と同様に、エンジンルーム8内におけるエンジン7の前方に左右方向に延びる状態で設置されている。
【0074】
この排気ダクト27は、上部及び下部がそれぞれ後向きに折れ曲がった曲折形状、すなわち、二つの曲げ部によってダクト全体が空気の旋回方向によりフィットする形状に形成され、後面上部に空気導入口28、下面に空気排出口29がそれぞれ形成されている。
【0075】
また、この排気ダクト27は、第1実施形態の排気ダクト18よりも大きな高さ寸法をもって形成され、空気導入口28がエンジン7の上部に臨む状態で設置されている。
【0076】
このダクト構成をとれば、第1実施形態と基本的に同じ効果を得ながら、第1に、排気ダクト27を、機械ごとのエンジンルーム8のサイズや機器レイアウト等に応じて最適の位置に配置できる利点がある。
【0077】
第2に、空気流を、第1実施形態よりも高い位置で迎え入れるため、空気流をよりスムーズにかつ漏れなく捕集することができる。
【0078】
第3に、二つの曲げ部を備えた曲折形状であるため、機器騒音の外部への漏洩を抑制する点の効果がより高いものとなる。
【0079】
他の実施形態
(1) スペース及び機器レイアウト上問題がなければ、排気ダクト18,27をエンジン7の後方に設けてもよい。
【0080】
(2) 防火カバー17とは別に専用の導風板を空気流の下流側に設けてもよい。
【0081】
(3) 本発明はショベルに限らず、ショベルを母体として構成される解体機や破砕機等、アッパーフレーム後部に形成されたエンジンルームにエンジンが設置されるとともに、このエンジンの片側に熱交換器とファンが配置され、ファンの回転によってエンジンまわりを旋回しながらファン軸方向に移動する空気流が生成される建設機械に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
3 アッパーフレーム(機械のフレーム)
7 エンジン
8 エンジンルーム
9 アッパーフレーム底板
10 エンジンガード部材
11 熱交換器
12 ファン
13 吸気口
14 油圧ポンプ
17 防火カバー
18 排気ダクト
19 排気ダクトを構成するダクト本体
20 同、仕切板
21 排気ダクトの空気導入口
22 空気排出口
23 排気口
27 排気ダクト
28 空気導入口
29 空気排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームに収容されたエンジンの片側に、熱交換器と、エンジンルーム外部から冷却用の空気を導入して上記熱交換器に通す軸流式のファンとを設け、上記ファンの回転により、ファンの回転方向、遠心方向、軸方向の各成分が合成された冷却用の空気流をエンジンまわりに生成するように構成した建設機械の冷却装置において、空気導入口と空気排出口を備えた排気ダクトを、エンジンに沿ってファン軸方向に延びる状態で上記エンジンルーム内に設け、この排気ダクトにより、ファン下流側の空気流をファン軸方向の一定範囲に亘る領域で導入してエンジンルーム外に排出するように構成したことを特徴とする建設機械の冷却装置。
【請求項2】
上記排気ダクトを上記エンジンのほぼ全長に亘る領域に亘って設けるとともに、この排気ダクトのほぼ全長部分に空気導入口及び空気排出口を設けたことを特徴とする請求項1記載の建設機械の冷却装置。
【請求項3】
上記排気ダクトを上記エンジンの前方または後方の下部に配置し、上記空気流を上から吸入して下から排出するように上記排気ダクトの上面に上記空気導入口、下面に上記空気排出口をそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の冷却装置。
【請求項4】
機械のフレーム上に垂直な仕切り部材を上記エンジンとほぼ平行に設けて上記エンジンルームを区画形成し、前面が開放した枠状のダクト本体を上記仕切り部材の背面側に取付けることによって上記排気ダクトを構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の建設機械の冷却装置。
【請求項5】
上記ファンから最も遠い下流側で上記空気流を上記排気ダクトに導く導風板を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の建設機械の冷却装置。
【請求項6】
上記エンジンのファンと反対側に油圧ポンプを設けるとともに、この油圧ポンプとエンジンとを仕切る防火カバーを設け、この防火カバーが上記導風板を兼ねるように、防火カバーに、上記空気流を導入する空気入口と、導入した空気流を上記排気ダクトに導く空気出口とを設けたことを特徴とする請求項5記載の建設機械の冷却装置。
【請求項7】
上記排気ダクトを、上記空気導入口と空気排出口の間で少なくとも一つの曲げ部を備えた曲折状に形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の建設機械の冷却装置。
【請求項8】
上記曲げ部を空気流の旋回方向に沿った曲げ形状としたことを特徴とする請求項7記載の建設機械の冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−39895(P2013−39895A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179689(P2011−179689)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】