建設機械の安全装置
【課題】周囲の状況に応じて吊り荷荷重の負荷率の制限値を変更することが可能であり、かつ、オペレータの負担を軽減する。
【解決手段】作業範囲制限OFF状態では、3色燈は、負荷率f7が基準限界値より小さければ青色、基準限界値以上では黄色、限界値g7aに達すると赤色に点灯する。作業範囲制限ON状態では、3色燈は、負荷率f7が基準設定値より小さければ青色、基準設定値以上では黄色、設定値g7bに達すると赤色に点灯する。また、ドラムは、作業範囲制限OFF状態では、限界値g7aに達した時点で、作業範囲制限ON状態では設定値g7bに達した時点で停止する。
【解決手段】作業範囲制限OFF状態では、3色燈は、負荷率f7が基準限界値より小さければ青色、基準限界値以上では黄色、限界値g7aに達すると赤色に点灯する。作業範囲制限ON状態では、3色燈は、負荷率f7が基準設定値より小さければ青色、基準設定値以上では黄色、設定値g7bに達すると赤色に点灯する。また、ドラムは、作業範囲制限OFF状態では、限界値g7aに達した時点で、作業範囲制限ON状態では設定値g7bに達した時点で停止する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、クレーン等の建設機械の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン等の建設機械には、クレーンの転倒や破損を防止するため、モーメントリミッタなどの過負荷防止装置が搭載されている。過負荷防止装置とは、実作業半径や実荷重が限界作業半径や限界荷重(限界作業範囲)に達するとウインチの駆動を停止し、限界作業範囲を超えての作業を禁止するものである。
このように、モーメントリミッタが搭載された建設機械においては、オペレータの操作を効率的にするために、実際の作業半径や吊り荷の荷重と共に限界作業範囲をモニタ画面に表示するようにした装置が知られている。
【0003】
限界作業範囲は、周囲の障害物等により作業範囲が制限される場合があり、予め設定された限界作業範囲を変更することが可能な装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような装置では、建設機械の実際の作業姿勢や荷重等が限界作業範囲に達した時点で、モニタ画面における該当する表示部の表示色が、例えば、黄色から赤色に変更され、オペレータは限界作業範囲に達したことを視認することができ、同時に、作業が禁止される。例えば、吊り荷荷重については、実際の荷重および限界荷重をモニタ画面に表示する共に、その負荷率を演算し、算出された負荷率が限界値に達した時点で巻取りドラムを停止するようにしている。
このようにすることにより、作業の安全性が確保され、かつ、作業の効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−284729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された発明では、吊り荷荷重の負荷率については、モニタ画面で表示されるためオペレータには視認できるが、周囲の人には視認することができない。また、上記特許文献1に記載された発明では、吊り荷荷重の負荷率に関しては、予め設定された制限値を変更する手段を有していないため、常に、3色燈の赤色への点灯と巻取りドラムの停止とは、初期設定された制限値に達した時点で行われる。
このように、吊り荷荷重の負荷率に関しては、状況に応じて変更することができず、また、周囲の人に警告を報知することができないため、オペレータに大きな負担を与えるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械の安全装置は、吊り荷作業を含む建設機械の複数の作業に関して、それぞれ、仕様に応じた第1の作業範囲が記憶された第1の作業範囲記憶手段と、オペレータの指令により、吊り荷作業を含む複数の作業に関して、それぞれ、第1の作業範囲内における第2の作業範囲を設定する作業範囲調整手段と、建設機械の作業姿勢を検出する検出手段と、作業情報を表示するモニタ装置と、吊り荷作業を含む建設機械の作業に関して、それぞれの作業に関連する駆動部を駆動する駆動手段と、実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に対して所定の値に達した時点で、それぞれ異なる点灯色で点灯する複数の点灯部を有する点灯手段と、モニタ装置に実際の作業情報、および第1または第2の作業範囲の制限値の一方を表示させると共に、実際の吊り荷荷重の負荷率が第1または第2の作業範囲における制限値に達した時点で吊り荷作業の駆動手段を停止する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周囲の状況に対応して負荷率の制限値を変更することが可能であり、また、負荷率の状態に対応して点灯色が変化する点灯手段を有しており、周囲の人の注意を喚起するので、オペレータの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が適用されるタワークレーンの外観側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる安全装置の構成を示すブロック図。
【図3】図2のコントローラ内の構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施の形態に係わるモニタ画面の表示処理を示すフローチャート。
【図5】第1の実施の形態に係わる作業時の表示画面(作業状態制限OFF状態)を示す図。
【図6】第1の実施の形態に係わる作業時の表示画面(作業状態制限ON状態)を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係わるメニュー画面の表示処理を示すフローチャート。
【図8】第1の実施の形態に係わるメニュー画面を示す図。
【図9】第1の実施の形態に係わる作業範囲設定画面を示す図。
【図10】第1の実施の形態に係わる作業範囲設定処理を示すフローチャート。
【図11】第1の実施の形態に係わる安全装置としての処理を示すフローチャート。
【図12】第1の実施の形態に係る3色燈の点灯処理を示すフローチャート。
【図13】第1の実施形態に係り、作業範囲制限OFFの場合における吊り荷荷重の負荷率に対する3色燈の点灯色とドラム動作の関係を示す図。
【図14】第1の実施形態に係り、作業範囲制限ONの場合における一例としての吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図15】第1の実施形態に係り、作業範囲制限ONの場合における他の例としての吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図16】第2の実施の形態に係り、図12とは異なる3色燈の点灯処理を示すフローチャート。
【図17】第2の実施形態に係る吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図18】本発明における作業範囲設定処理の変形例を示すフローチャート。
【図19】図18に示す変形例1に係る作業範囲の項目選択画面を示す図。
【図20】図18に示す変形例1に係る作業範囲設定画面を示す図。
【図21】図18に示す変形例1に係るモニタ画面の表示処理を示すフローチャート。
【図22】図18に示す変形例1に係る作業時の表示画面(作業状態制限ON状態)を示す図。
【図23】本発明における表示処理の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
--第1の実施の形態--
以下、図1〜図11を参照して本発明による建設機械の安全装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるタワークレーンの構成を示す外観側面図である。タワークレーンは、走行体111と、走行体111上に旋回可能に搭載される旋回体113と、旋回体113の先端部に回動可能に軸支されたブーム114およびブーム114の先端部に回動可能に軸支されたジブ115を有するフロントアタッチメント116とからなる。117はカウンタウエイトである。
旋回体113には主巻ドラム103aと、補巻ドラム103bと、第3ドラム103cが搭載されている。主巻ドラム103aを駆動すると主巻ロ一プ118が巻き取りまたは繰り出され、主巻ロープ118を介してブーム先端部から吊り下げられた主フック120が昇降する。補巻ドラム103bを駆動すると補巻ロープ119が巻き取りまたは繰り出され、補巻ロープ119を介してジブ先端部から吊り下げられた補フック121が昇降する。
旋回体113には操作室が備えられており、この操作室の屋根等、旋回体113の所定の箇所には青色または緑色(以下、代表して青色と記載する)、黄色、赤色に点灯する点灯部を有する3色燈10が取付けられている。
【0010】
図2は、本実施の形態に係わる安全装置の構成を示すブロック図である。コントローラ50には、旋回体113に対するブーム角度を検出する角度検出器1と、ブーム114に対するジブ角度を検出する角度検出器2と、吊り荷重を検出する荷重検出器3と、フック120、121の高さをそれぞれ検出する吊り金具高さ検出器4と、オペレータの操作により各種指令を入力する入力装置5と、ドラム駆動用圧油の供給を停止する電磁比例弁6と、作業情報を表示するディスプレイ7と、スピーカ8と、周辺監視用のカメラ9と、3色燈10とが接続されている。
【0011】
荷重検出器3は、例えば起伏ロープ張力を検出するロードセルであり(図1参照)、この張力検出値から吊り荷重を求める。吊り金具高さ検出器4は例えば揚程計であり、初期状態からのドラム103a、103bの回転量を検出し、この検出値からフック120、121の高さを求める。入力装置5は矢印キー(「↑」キー、「↓」キー、「←」キー、「→」キー)5a、5b、5c、5dと、リターンキー(「○」キー)5eと、キャンセルキー(「×」キー)5fとを有し、オペレータはディスプレイ7を見ながら後述するようにキー操作する。入力装置5およびディスプレイ7は、オペレータが操作することが可能に操作室内に装着されている。また、図示はしないが、操作室内には、走行体111および旋回体113、ブーム114、ジブ115を駆動するための操作部材が設けられている。
【0012】
旋回体113には、上述した如く、青色、黄色、赤色の3色に点灯する点灯部を有する3色燈10が固定されている。3色燈10は、詳細は後述するが、過負荷防止装置によって演算される定格荷重に対する実際の吊上げ荷重(実荷重)の比である負荷率の状況を異なる色で発光する警報装置である。これにより、クレーンの周囲にいる作業者に負荷率の状況を知らせて危険を未然に防止する。
【0013】
図3はコントローラ50内の構成を示すブロック図である。コントローラ50は、CPU61と、各種プログラムやクレーンの仕様に応じた定格荷重曲線(限界作業半径と限界荷重の関係)、ブーム114やジブ115の回動可能範囲等を記憶するROM62と、RAM63と、検出器1〜4からの信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器65と、入力装置5からの信号を入力するための入カインターフェース64とからなるシングルチップマイコン60を有する。コントローラ50は、また、オペレータが設定する各種仕様を記億する不揮発性のEEPROM53、画像信号を生成する表示制御部52、画像信号をディスプレイ7に出力するための出カインターフェース51、および電磁比例弁6および3色燈10へ信号を出力する増幅器54を有する。
【0014】
CPU61では、角度検出器1、2および荷重検出器3からの信号に基づいて、実作業半径とフック120、121に吊り下げられた吊り荷の実荷重をそれぞれ演算するとともに、その作業半径における限界荷重に対する実荷重の比(負荷率)を演算する。そして、吊り荷荷重の負荷率(以下、単に「負荷率」という。)が所定値α(例えば90%)未満では3色燈10に青色を点灯させるための制御信号、所定値α(例えば90%)以上になると黄色を点灯させるための制御信号を3色燈10に出力する。さらに、負荷率が限界値(例えば100%)以上になると赤色を点灯させるための制御信号を3色燈10に出力するとともに、電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
これにより負荷率の状態をクレーンの周囲にいる人(作業者)に知らせて危険を未然に防止するとともに、クレーンに作用する負荷が制限され、クレーンの転倒が防止される。すなわち、コントローラ50は過負荷防止装置(モーメントリミッタ)などの安全装置としての機能を有する。さらにコントローラ50では、以下のような画像表示処理を実行する。なお、以下では、補フック121を用いた作業を行う場合の処理を説明する。
【0015】
図4は、メイン電源ON直後のコントローラ50内での表示処理の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1で、予め設定しておいたクレーンの仕様(ブームやジブの有無、長さ)の設定値を読み込み、この初期設定に対応した画面(モーメントリミッタ画面200)をディスプレイ7に表示させる。次いで、ステップS2で検出器1〜4からの信号に基づいて、現在のブーム角度f1、ジブ角度f2、実作業半径f3、実吊り荷重f4、揚程f5、ジブ先端部の高さf6、および負荷率f7をそれぞれ演算する。なお、演算値f1〜f7を現在値と呼ぶ。
【0016】
図5に、ステップS1で表示されるモーメントリミッタ画面200を示す。ディスプレイ7にはクレーンのイラスト201が表示されるとともに、このイラスト201に対応して現在値f1〜f7が、それぞれ表示部211〜217に表示されている。すなわち、表示部212にブーム角度f1が、表示部213にジブ角度f2が、表示部211に実作業半径f3が、表示部214に実吊り荷重f4が、表示部216に揚程f5が、表示部215にジブ先端部の高さf6が、表示部217に負荷率f7がそれぞれ表示されている。これら表示部211〜217の背景色は、例えば白色である。
【0017】
また、ディスプレイ7の表示部221〜231には、それぞれ現在値f1〜f7に対応して作業範囲の制限値g1〜g7が表示されている。すなわち、表示部223および224にブーム角度の下限および上限値g1が、表示部225および226にジブ角度の下限および上限値g2が、表示部221および222に作業半径の下限および上限値g3が、表示部227に実吊り荷重の上限値g4が、表示部230および229に揚程の下限および上限値g5が、表示部228にジブ高さの上限値g6が、表示部231に負荷率の上限値g7が、それぞれ表示されている。これら表示部221〜231の背景色は、後述するように変化する。
【0018】
図5の制限値g1〜g7は、ROM62に記憶された定格荷重曲線やブーム114、ジブ115の回動範囲等に基づき自動的に設定される(ステップS10)。本実施の形態では、これらクレーンの仕様に応じた制限値g1〜g7を、その範囲内でオペレータの操作により変更可能に構成するとともに、変更前または変更後の制限値g1〜g7のいずれか一方を選択し、その選択値をディスプレイ7に表示する。以下では、変更前の制限値、すなわちクレーンの仕様に応じた制限値を限界値g1a〜g7aと呼び、変更後の制限値、すなわち限界値g1a〜g7aの範囲内でオペレータが設定する制限値を設定値g1b〜g7bと呼ぶ。また、制限値g1〜g7として限界値g1a〜g7aが選択される状態を作業範囲制限OFF状態と呼び、設定値g1b〜g7bが選択される状態を作業範囲制限ON状態と呼ぶ。
【0019】
なお、図5では、イラスト201および表示部211〜217、221〜231の他に、時計241、エンジン回転メータ242、負荷率メータ243がそれぞれ表示されている。負荷率メータ243には表示部217の負荷率の現在値f7がアナログ表示されている。また、ディスプレイ7の下部にはキー操作ガイダンス244が表示され、上部には作業範囲制限OFF状態を示す文字245Aが表示されている。
【0020】
図4のステップS2で現在値fが演算されるとステップS3に進み、入力装置5のリターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS3が肯定されると後述するメニュー表示処理を実行し、ステップS3が否定されるとステップS4に進む。ステップS4では作業範囲制限がON状態かOFF状態かを判定する。初期状態では作業範囲制限OFF状態にセットされている。そして、モーメントリミッタ画面200を表示中に「↑」キー5aを操作すると作業範囲制限ON状態となり、「↓」キー5bを操作すると作業範囲制限OFF状態となる。
【0021】
ステップS4で作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進む。ステップS10では、ROM62に記憶された定格荷重曲線やブーム114、ジブ115の回動範囲に基づいて、現在値f1〜f7に対応した作業範囲の限界値g1a〜g7a(ga)を制限値gとしてセットする。これにより図5に示すように表示部221〜231には限界値g1a〜g7aがそれぞれ表示され、ディスプレイ7の上部に作業範囲制限OFF状熊を示す文字245Aが表示される。
【0022】
次いで、ステップS11で現在値f1〜f7が、それぞれ対応する限界値g1a〜g7aに所定の係数αを乗じた値(基準限界値と呼ぶ)より小さいか否かを判定する。これは、現在値f1〜f7のいずれかが限界値g1a〜g7aに一定以上接近しているか否かを判定するための処理であり、係数αは、例えば0.9<α<0.95の範囲で設定される。 ステップS11で現在値f1〜f7が、全て基準限界値未満と判定されるとステップS12に進み、表示部221〜231の背景色が緑色となるようにディスプレイ7に制御信号を出力する。
【0023】
これに対し、ステッフS11で、現在値f1〜f7の少なくとも1つが基準限界値以上と判定されるとステップS13に進み、現在値f1〜f7が限界値g1a〜g7aに達したか否かを判定する。ステップS13が否定されるとステップS14に進み、基準限界値に達した表示部221〜231の背景色が、緑色から黄色となるように制御信号を出力する。ステップS13が肯定されるとステップS15に進み、限界値g1a〜g7aに達した表示部221〜231の背景色が、黄色から赤色となるように制御信号を出力する。
【0024】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進む。ステップS20では、限界値g1a〜g7aの範囲内で予めオペレータが設定した設定値g1b〜g7b(gb)を制限値gとしてセットする。これにより図6に示すように表示部221〜231には設定値g1b〜g7bがそれぞれ表示され、ディスプレイ7の上部に作業範囲制限ON状態を示す文字245Bが表示される。なお、設定値g1b〜g7bの設定については後述する。
【0025】
次いで、ステップS21で全ての現在値f1〜f7が、それぞれ設定値g1b〜g7bに所定の係数αを乗じた値(基準設定値と呼ぶ)より小さいか否かを判定する。すなわち、現在値f1〜f7のいずれかが設定値g1b〜g7bに一定以上接近しているか否かを判定する。ステップS21で現在値f1〜f7が、全て基準設定値未満と判定されるとステップS22に進み、表示部221〜231の背景色が水色となるように制御信号を出力する。なお、以下の説明において、基準限界値または基準設定値を算出する際、限界値または設定値に乗じる係数αを単に係数αとする。
【0026】
これに対し、ステップS21で、現在値f1〜f7の少なくとも1つが基準設定値以上と判定されるとステップS23に進み、現在値f1〜f7が設定値g1b〜g7bに達したか否かを判定する。ステップS23が否定されるとステップS24に進み、現在値f1〜f7が基準設定値に達した表示部221〜231の背景色が、水色から黄色となるように制御信号を出力する。ステップS23が肯定されるとステップS25に進み、設定値g1b〜g7bに達した表示部221〜231の背景色が、黄色から赤色となるように制御信号を出力する。
【0027】
次に、メニュー画面の表示処理について説明する。この処理は、リターンキー5eの操作により実行され、ステップS3が肯定されると図7のステップS31に進む。ステップS31では、例えば図8に示すように、メニュー画面300をディスプレイ7にポップアップ表示する。次いで、ステップS32でリターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS32が否定されるとステップS34に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS34が肯定されるとステップS35に進み、画面上の選択バーを上方に移動し、選択項目を変更する。なお、図8では、「作業範囲設定」が選択されている。ステップS34が否定されるとステップS36に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS36が肯定されるとステップS37に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。以上の処理は、リターンキー5eが操作されるまで繰り返される。
【0028】
一方、リターンキー5eが操作されると、ステップS33に進み、選択バーにより選択されたメニューの詳細画面をディスプレイ7に表示する。すなわち、「モーメントリミッタ」を選択すると、上述したモーメントリミッタ画面200を表示し、「作業状態設定」を選択すると、モーメントリミッタの計算に必要なクレーンの仕様を設定、確認するための作業状態設定画面を表示し、「点検」を選択すると、クレーン各部の点検箇所および点検項目を確認する点検画面を表示し、「作業範囲設定」を選択すると、後述するように作業範囲設定画面を表示し、「荷重表」を選択すると、作業状態設定画面で設定されたフロント仕様でのクレーン性能(作業半径、ブーム角度、定格総荷重、ブーム高さなど)を示す荷重表画面を表示し、「時計調整」を選択すると、内蔵時計の日付と時刻を設定する時計調整画面を表示し、「取扱説明」を選択すると、多機能表示装置の取扱説明画面を表示する。
【0029】
図10は、作業範囲設定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、上述したメニュー画面で「作業範囲設定」を選択する(ステップS33)と開始される。
まず、ステップS41で図9に示すような作業範囲設定画面400を表示する。図9において、設定画面には、吊り荷重、ブーム角度、ジブ角度、作業半径、ジブ高さ、揚程、および負荷率の設定値と現在値がそれぞれ表示されている。
【0030】
次いで、ステップS42で入力装置5のキャンセルキー5fが操作されたか否かを判定する。ステップS42が否定されるとステップS44に進み、リターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS44が否定されるとステップS46に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS46が肯定されるとステップS47に進み、画面上の選択バーを上方に移動する。なお、図9では、選択バーにより「負荷率」が選択されている。ステップS46が否定されるとステップS48に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS48が肯定されるとステップS49に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。ステップS48が否定されるとステップS50に進み、「←」キー5cが操作されたか否かを判定する。
【0031】
ステップS50が肯定されるとステップS51に進み、選択バーで選択されている設定値g1b〜g7bを所定量(例えば1)だけ減少する。ステップS50が否定されるとステップS52に進み、「→」キー5dが操作されたか否かを判定する。ステップS52が肯定されるとステップS53に進み、選択バーで選択されている設定値g1b〜g7bを所定量(例えば1)だけ増加する。なお、ステップS51、ステップS53において、設定値g1b〜g7bは限界値g1a〜g7aの範囲内でのみ変更可能であり、限界値g1a〜g7aを超えての設定は禁止されている。また、ディスプレイ7に現在値f1〜f7が表示されるので、設定値g1b〜g7bを入力する際に、設定値としていかなる値を入力するかの目安とすることができる。以上の処理は、キャンセルキー5fまたはリターンキー5eが操作されるまで繰り返される。
【0032】
キャンセルキー5fが操作されると、ステップS42が肯定されてステップS43に進み、作業範囲設定画面400から図5のモーメントリミッタ画面200に画面表示を切り換える。また、リターンキー5eが操作されるとステップS44が肯定されてステップS45に進み、現在の設定値g1b〜g7bをEEPROM53に保存し、ステップS43に進む。ステップS45で保存された設定値gbが、上述したようにステップS20でセットされ、画面表示を図6のモーメントリミッタ画面200に切り換える。
なお、図9は、作業範囲の設定が完了し、設定値g1b〜g7bが設定された状態を示し、図6は、図9に図示された設定値g1b〜g7bが表示されたモーメントリミッタ画面を示している。
以上では補フック121を用いた作業を行う場合の処理について説明したが、主フック120を用いた作業を行う場合の処理についても基本的には同様である。この揚合、ディスプレイ7には、図5、6と異なり、主フック120に対応したイラストを表示する。
【0033】
以上の表示処理とは別に、コントローラ50では図11に示すように過負荷防止装置としての処理を実行する。なお、図11において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。メイン電源がONされると、まず、ステップS2で現在値fを演算し、ステップS4で作業範囲制限ON状態かOFF状態かを判定する。作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進み、限界値gaを制限値gにセットし、ステップS11で現在値fが基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとリターンする。ステップS13が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとステップS16に進む。
【0034】
ステップS16では、現在値fが基準限界値以上であることを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が基準限界値以上になると(f7≧g7a×α)、『負荷率が限界値に近づいています。』などの音声をスピーカ8は出力する。ステップS17では、現在値fが限界値gaに達したことを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が限界値g7aに達すると(f7=g7a)、『負荷率が限界値に達しました。』などの音声をスピーカ8は出力する。次いで、ステップS18で電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
【0035】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進み、設定値gbを制限値gにセットし、ステップS21で現在値fが基準設定値より小さいか否かを判定する。ステップS21が否定されるとステップS23に進み、肯定されるとリターンする。ステップS23が肯定されるとステップS27に進み、否定されるとステップS26に進む。
【0036】
ステップS26では、現在値fが基準設定値以上であることを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が基準設定値以上になると(f7≧g7b×α)、『負荷率が制限値に近づいています。』などの音声をスピーカ8は出力する。ステップS27では、現在値fが設定値gbに達したことを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が設定値g7bに達すると(f7=g7b)、『負荷率が制限値に達しました。』などの音声を出力する。次いで、ステップS28で電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
【0037】
さらに、コントローラ50では図12に示すように3色燈10の点灯色を変化させる処理を実行する。なお、図12において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。メイン電源がONされると、まず、ステップS2で負荷率の現在値f7を演算し、ステップS4で作業範囲制限ON状態かOFF状態かを判定する。作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進み、負荷率の限界値g7aを制限値g7にセットし、ステップS11で負荷率の現在値fが基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとステップS61に進む。ステップS13が肯定されるとステッフS62に進み、否定されるとステップS63に進む。
【0038】
ステップS61では、負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいことを示すために、3色燈10に青色点灯の制御信号を出力する。ステッフS63では、負荷率の現在値f7が基準限界値以上であることを示すために、3色燈10に黄色点灯の制御信号を出力する。ステップS62では、負荷率の現在値f7が限界値g7aに達したことを示すために、3色燈10に赤色点灯の制御信号を出力する。
【0039】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進み、負荷率の設定値g7bを制限値g7にセットし、ステップS21で負荷率の現在値fが基準設定値より小さいか否かを判定する。ステップS21が否定されるとステップS23に進み、肯定されるとステップS65に進む。ステップS23が肯定されるとステップS66に進み、否定されるとステップS67に進む。
【0040】
ステップS65では、負荷率の現在値f7が基準設定値より小さいことを示すために、3色燈10に青色点灯の制御信号を出力する。ステップS67では、負荷率の現在値f7が基準設定値以上であることを示すために、3色燈10に黄色点灯の制御信号を出力する。ステップS66では、負荷率の現在値f7が設定値g7bに達したことを示すために、3色燈10に赤色点灯の制御信号を出力する。
【0041】
図13〜15は、作業範囲として設定された制限値に対する3色燈10の点灯色とドラム103a、103bの動作状態を示す図である。
図13では、作業範囲制限OFF状態の場合を例としている。従って、負荷率の限界値g7aは100%である。また、図13においては、係数α=0.9を例としている。
作業範囲制限OFF状態であり、係数α=0.9であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS10)において、負荷率90%未満では青色(ステップS61)、負荷率90%以上100%未満では黄色(ステップS63)、負荷率100%以上では、赤色(ステップS62)の点灯部が点灯される。また、ドラム103a、103bの動作に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローにおいて、負荷率90%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS11)、負荷率90%以上100%未満では音声出力をする(ステップS16)と共にドラム駆動を継続し、負荷率100%以上では音声出力をする(ステップS17)と共にドラムを停止する処理が行われる。
このように、作業範囲制限OFF状態では、負荷率が100%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
【0042】
図14は、作業範囲制限ON状態、負荷率の設定値g7bを95%に設定した場合である。また、係数αについては、図13の場合と同様にα=0.9としている。なお、以下に示す各例の場合も、負荷率の限界値g7aは100%とする。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.9、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率85.5%(95%×0.9)未満では青色(ステップS65)、負荷率85.5%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
【0043】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.9、負荷率の設定値は95%であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率85.5%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS21)、負荷率85.5%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続し、負荷率95%以上では音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
このように、負荷率の設定値g7bが95%に設定されている場合、作業範囲制限ON状態では、負荷率が95%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
【0044】
図15は、図14の場合と同様に、作業範囲制限ON状態、負荷率の設定値g7bは95%の場合を例とする。しかし、係数αについては、図14の場合とは異なりにα=0.85に設定した場合である。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率80.75%(95%×0.85)未満では青色(ステップS65)、負荷率80.75%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
【0045】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85、負荷率の設定値は95%であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率80.75%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS21)、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続し、負荷率95%以上では音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
【0046】
このように、図15に示す例の場合においても、負荷率の作業範囲の設定値g7bが95%に設定されているので、作業範囲制限ON状態では、負荷率が95%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。但し、係数αは、が0.85に設定されており、係数αが0.9に設定された図14の場合と異なるので、黄色に点灯する負荷率の閾値が変化する。黄色に点灯する負荷率の範囲は、図14の例では85.5%以上95%未満であり、図15の場合は、80.75%以上95%未満である。
【0047】
図15に示す例では、3色燈10が黄色に点灯する負荷率の範囲が図14に示す例よりも広いので、ドラム103a、103bの停止までの猶予を大きくすることができる。ドラム103a、103bの停止までの猶予は、大きすぎても作業に支障をきたすので、作業に応じて適切な範囲に設定することが望ましい。
一般的には、負荷率が90%に達した時点で3色燈10を黄色に点灯させ、負荷率が100%に達した時点で3色燈の10の赤色を点灯させるようにすることが望ましい。
しかし、係数αおよび負荷率の設定値g7bは、上記の例に限られるものではなく、建設機械の種類や作業の内容に応じて、適切な値に設定することができる。
【0048】
次に、本実施の形態に係わる表示装置の動作をより具体的に説明する。
(1)作業範囲制限OFF状態
電源をONすると、ディスプレイ7に初期画面としてモーメントリミッタ画面200が表示され(ステップS1)、表示部211〜217に現在値f1〜f7が表示される。初期状態では、クレーンの仕様に応じた限界値gaが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限OFF状態)、図5に示すように表示部221〜231にそれぞれ限界値g1a〜g7aが表示される。このとき、表示部211〜217は白色で表示されるのに対し、表示部221〜231は緑色で表示される(ステップS12)。また、画面上部には「作業範囲制限OFF」の文字245Aが表示される。これによりオペレータは、現在値fと制限値gとを明確に識別することができるとともに、制限値gとして限界値gaが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限OFF状態は「↑」キー5aが操作されるまで継続され、「↑」キー5aが操作されると作業範囲制限ON状態となる。
【0049】
作業範囲制限OFF状態でクレーン作業を行う場合、現在値fが基準限界値より小さいときは、表示部221〜231は緑色で表示されたままである。現在値f1〜f7のいずれかが基準限界値に達すると、対応する表示部221〜231が黄色表示に変更され(ステップS14)、スピーカ8から所定の音声が出力される(ステップS16)。これによりオペレータは作業姿勢が限界状態に近づいていることを容易に認識することができる。
【0050】
現在値fが限界値gaに達すると、対応する表示部221〜231が赤色表示に変更される(ステップS15)。また、スピーカ8から所定の音声が出力され(ステップS17)、ドラム103a、103bの駆動が停止される(ステップS18)。これによりクレーンの転倒や破損を防止することができるとともに、オペレータは作業姿勢が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
【0051】
現在値fの中、負荷率f7が基準限界値未満のときは、3色燈10は青色の表示部を点灯する。負荷率f7が基準限界値に達すると、3色燈10は黄色の表示部を点灯する。そして、負荷率f7が限界値g7aに達すると、3色燈10が赤色の表示部を点灯する。このため、オペレータのみならず、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、負荷率が限界状態に近づいていることや、負荷率が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0052】
(2)作業範囲制限ON状態
作業範囲を任意に制限するときは、入力装置5のキー操作により作業範囲設定画面400に表示を切り換え、制限値gaの範囲内で設定値gbを設定した後、モーメントリミッタ画面200に表示を切り換える。この状態で「↑」キー5aを操作すると、設定値gbが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限ON状態)、図6に示すように表示部221〜231にそれぞれ設定値g1b〜g7bが表示される。このとき、表示部221〜231は水色で表示され(ステップS22)、画面上部に「作業範囲制限ON」の文字245Bが表示される。これによりオペレータは、制限値gとして設定値gbが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限ON状態は「↓」キー5bが操作されるまで継続され、「↓」キー5bが操作されると作業範囲制限OFF状態となる。なお、設定値gbはEEPROM53に記憶しているので、電源をOFFしても設定値gbは保存され、電源ON後に再度、設定値gbを設定する必要はない。
【0053】
作業範囲制限ON状態でクレーン作業を行う場合、現在値fが基準設定値より小さいときは、表示部221〜231は水色で表示されたままである。現在値f1〜f7のいずれかが基準設定値に達すると、対応する表示部221〜231が黄色表示に変更され(ステップS24)、スピーカ8から所定の音声が出力される(ステップS26)。これによりオペレータは作業姿勢が作業範囲設定状態に近づいていることを容易に認識することができる。
【0054】
現在値fが設定値gbに達すると、対応する表示部221〜231が赤色表示に変更される(ステップS25)。また、スピーカ8から所定の音声が出力され(ステップS27)、ドラム103a、103bの駆動が停止される(ステップS28)。これによりブーム114やジブ115が建物等に接触することを防止することができるとともに、オペレータは作業姿勢が作業範囲設定状態に達したことを容易に認識することができる。
【0055】
現在値fの中、負荷率f7が基準設定値未満のときは、3色燈10は青色の表示部を点灯する。負荷率f7が基準設定値に達すると、3色燈10は黄色の表示部を点灯する。そして、負荷率f7が設定値g7bに達すると、3色燈10が赤色の表示部を点灯する。このため、オペレータのみならず、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、負荷率が限界状態に近づいていることや、負荷率が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0056】
以上の第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)負荷率を作業範囲設定の項目としたことにより、クレーン作業の現場において、負荷率として初期設定された、例えば、100%に到達する前に音声出力およびドラム停上させることができる。
(2)実際の負荷率の状況に対応して3色燈10の点灯色を変化するので、クレーンの周囲の人(作業者)が負荷率の状況を視認して回避行動をとることが可能となるため、オペレータの負担を軽減することができる。
【0057】
なお、第1の実施の形態によれば、上記以外にも下記の効果を奏する。
・入力装置5のキー操作により作業範囲制限ON状態が選択されると設定値gbを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に設定値gbを表示し、作業範囲制限OFF状態が選択されると限界値gaを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に限界値gaを表示するようにした。すなわち、作業範囲制限ON/OFF状態に応じて設定値gbと限界値gaの一方を選択的に表示するようにした。これにより、画面表示が煩雑になることがなく、オペレータは即座にかつ正しく必要な情報を認識することができ、作業情報の誤認による誤操作を抑制することができる。
・表示部221〜231に限界値gaと設定値gbを異なる色で表示するようにしたので(ステップS12、ステップS22)、限界値gaと設定値gbを容易に識別することができる。
・作業範囲制限ON/OFF状態をそれぞれ文字245A、245Bでも表示するようにしたので、限界値gaと設定値gbをより一屈明確に区別することができる。
・現在値fと制限値gを異なる色で表示するようにしたので、現在値fと制限値gを容易に識別することができる。
・現在値fが制限値gに近づくと制限値を黄色表示に変更し、制限値gに達すると赤色表示に変更するようにした。すなわち現在値fの制限値gへの接近の度合に応じて表示部221〜231の色を変更するようにしたので、作業姿勢が制限値gに対してどの程度接近しているかを即座に把握することができる。
・上記の表示に加え、スピーカ8からの音声によっても現在値fの接近の度合を報知するようにしたので、オペレータはディスプレイ7を注視しなくても、現在の作業状態を把握することができる。
・入力装置5の矢印キー5a、5bの操作により作業範囲制限ON/OFF状態の設定を切り換えるとともに、この作業範囲制限状態に応じたディスプレイ7の画面に切り換えるので、切換操作が容易である。
【0058】
--第2の実施の形態--
図16は、本発明の第2の実施の形態に係り、3色燈の点灯処理を示すフローチャートである。
図16に示す3色燈の表示処理では、作業範囲制限OFF状態および作業範囲制限ON状態のいずれでも、3色燈10の点灯/消灯のしきい値となる制限値を一定の値に設定するものである。
以下、図16に図示された3色燈10の処理フローを説明するが、図16において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
メイン電源がONされると、まず、ステップS2で負荷率の現在値f7を演算し、ステップS10で負荷率の限界値g7aを制限値g7にセットする。従って、仮に、負荷率に関する作業範囲の設定値g7bとして、初期状態の制限値g7aと異なる値が設定されていても、3色燈10の点灯処理においては、常に、負荷率の制限値は、初期状態の値にセットされる。
【0059】
次に、ステップS11で負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとステップS61に進む。ステップS13が肯定されるとステップS62に進み、否定されるとステップS63に進む。
ステップS61では、負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいことを示すために、3色燈10に青色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS63では、負荷率の現在値f7が基準限界値以上であることを示すために、3色燈10に黄色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS62では、負荷率の現在値f7が限界値g7aに達したことを示すために、3色燈10に赤色を点灯させるための制御信号を出力する。
【0060】
図17は、作業範囲として設定された制限値に対する3色燈10の点灯色とドラム103a、103bの動作状態を示す図である。図17においては、作業範囲制限ON、負荷率の限界値g7aは100%、負荷率の設定値g7bは95%、係数α=0.85を例としている。
図16に示された処理フローのステップS10において、負荷率の限界値g7a=100%がセットされる。このため、3色燈10は、図16に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS11)において、負荷率85%未満では青色(ステップS61)、負荷率85%以上95%未満では黄色(ステップS63)の点灯部を点灯する。また、負荷率95%以上でも、負荷率の限界値g7a=100%には達していないのでステップS63の黄色の点灯部を点灯する処理を行う。
【0061】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率80.75%(95%×0.85)未満ではドラムを駆動(ステップS21)し、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続する。つまり、負荷率が95%未満ではドラム103a、103bは駆動される。そして、負荷率が95%以上になると、負荷率の設定値g7bとして設定された95%に達するので、音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
【0062】
図17を参照して明らかな通り、第2の実施形態においては、3色燈10が黄色の表示部を点灯している状態でドラム103a、103bが停止する。このように、3色燈10が赤色の表示部を点灯する前に、ドラム103a、103bを停止するので、クレーンの周囲にいる人(作業者)に不安を与えることがないという効果を奏する。
【0063】
なお、図示はしないが、第2の実施の形態において、作業範囲制限OFF状態とした場合について説明する。この場合にも、負荷率の限界値g7aは100%、負荷率の設定値g7bは95%、係数α=0.85とする。
3色燈10の点灯色については、図16に示された処理フローは、作業範囲制限ON/OFFの切換えには関係しないので、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
ドラムの駆動に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローおける作業範囲制限OFF状態の処理が実行される。このため、負荷率80.75%(95%×0.85)未満ではドラムを駆動(ステップS21)し、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続する。つまり、負荷率が95%未満ではドラム103a、103bは駆動される。そして、負荷率が95%以上になると、負荷率の設定値g7bとして設定された95%に達するので、音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
この結果は、音声出力の処理の際の負荷率は異なるが、3色燈10の点灯色およびドラムの駆動に関しては、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
【0064】
第2の実施の形態においても、負荷率を作業範囲設定の項目とし、また、実際の負荷率の状況を3色燈10の点灯色により報知するので、第1の実施の形態と同様な効果を奏する。
また、第2の実施の形態においては、3色燈10が赤色を点灯する前に、ドラム103a、103bを停止するので、クレーンの周囲にいる人(作業者)に不安を与えることがないという特有な効果を奏する。
【0065】
[変形例1]
図18〜図22を参照して上述した各実施の形態の変形例1を説明する。
図18は、本発明における作業範囲設定処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態においては、作業範囲設定画面400で全ての作業範囲の項目を設定するようにした。図18に示す変形例では、オペレータにより選択された作業範囲の項目のみを設定する。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。
【0066】
図18に示す作業範囲設定処理は、図8のメニュー画面で「作業範囲設定」を選択すると開始される。まず、ステップS71で図19に示すような項目選択画面500を表示する。次いで、ステップS72で入力装置5のキャンセルキー5fが操作されたか否かを判定する。ステップS72が否定されるとステップS73に進み、リターンキー5eが操作されたか否かを判定する。
【0067】
ステップS73が否定されるとステップS75に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS75が肯定されるとステップS76に進み、画面上の選択バーを上方に移動する。なお、図19では、選択バーにより「負荷率制限」が選択されている。ステップS75が否定されるとステップS77に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS77が肯定されるとステップS78に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。ステップS77が否定されるとステップS79に進み、「←」キー5cが操作されたか否かを判定する。ステップS79が肯定されるとステップS80に進み、選択バーで選択されている項目をオンする。ステップS69が否定されるとステップS71に進み、「→」キー5dが操作されたか否かを判定する。ステップS81が肯定されるとステップS82に進み、選択バーで選択されている項目をオフする。以上の処理は、キャンセルキー5fまたはリターンキー5eが操作されるまで繰り返される。なお、図19では、荷重、作業半径、高さ、負荷率がそれぞれONされている。
【0068】
リターンキー5eが操作されると、ステップS73が肯定され、ステップS74に進む。ステップS74では、作業範囲制限項目のON、OFF情報をEEPROM53に保存し、ステップS41Aに進む。また、キャンセルキー5fが操作されると、ステップS72が肯定され、ステップS41Aに進む。ステップS41Aでは、図20に示すような作業範囲設定画面400を表示する。この場合、第1の実施の形態(図9)とは異なり、作業範囲制限項目がONされたものだけが表示される。以降、第1の実施の形態と同様の処理(ステップS42〜ステップS53)を実行し、作業範囲の設定値gbを設定する。
【0069】
図21は、変形例に係る表示処理の一部を示すフローチャートである。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。モーメントリミッタ画面200を表示中に作業範囲制限ON状態とされると、ステップS20Aに進む。ステップS20Aでは、上述した処理によりオペレータが設定した設定値gbを制限値gとしてセットするとともに、設定値gbを設定していない項目については、限界値gaを制限値gとしてセットする。次いで、ステッフS21で現在値fが、対応する制限値ga、またはgbにαを乗じた値よりも小さいか否かを判定し、肯定されるとステップS22Aに進み、否定されるとステップS23Aに進む。
【0070】
ステップS22Aでは限界値gaが表示される表示部221〜231を緑色で表示し、設定値gbが表示される表示部221〜231を水色で表示するように制御信号を出力する。ステップS23Aでは、現在値fが制限値gaまたはgbに達したか否かを判定し、肯定されるとステップS24に進み、否定されるとステップS25に進む。図22は、作業範囲設定ON状態におけるモーメントリミッタ画面200の一例である。図では、限界値g1a、g2a、g5aを表示する表示部223〜226、229、230がそれぞれ緑色で表示され、設定値g3b、g4b、g6b、g7bを表示する表示部221、222、227、228、231がそれぞれ水色で表示されている。
【0071】
このように変形例1に示した例では、作業範囲設定項目を選択し、選択項目についてのみ作業範囲を設定するようにしたので、全ての作業範囲項目につき設定値gbを入力する必要がなく、設定作業が容易である。また、作業範囲制限ON状態では、限界値gaと設定値gbが同一画面上で異なる色で表示されるので、制限値gとして設定値gbと限界値gaのいずれがセットされているかをオペレータは即座に認識することができる。
【0072】
[変形例2]
図23を参照して上述した各実施の形態の変形例2を説明する。
図23は、本発明における表示処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態では、キー操作により作業範囲制限ON/OFF状態を選択するとともに、その作業範囲制限状態に対応した制限値gaまたはgbを表示するようにしたが、変形例では、作業範囲制限状態に拘わらず制限値gbおよびgaを表示可能とする。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
【0073】
モーメントリミッタ画面200を表示中に作業範囲制限OFF状態とされると、ステップS19に進む。ステップS19では、設定値gbの表示指令が出力されたか否かを判定する。初期状態では、設定値gbの表示指令を出力せず、「←」キー5cを操作すると表示指令を出力する。また、表示指令の出力中、「→」キー5dを操作すると表示指令の出力を停止する。
【0074】
ステップS19が肯定されるとステップS10Aに進み、設定値gbを制限値gにセットする。次いで、ステップS11Aで現在値fが基準設定値(gb×α)より小さいか否かを判定し、肯定されるとステップS12Aに進み、否定されるとステップS13に進む。ステップS12Aでは表示部221〜231が薄緑色となるように制御信号を出力する。
これにより作業範囲制限OFF状態であっても、表示部221〜231に設定値gbを表示することができる。なお、同様に、作業範囲制限ON状熊のときに、「→」キー5dの操作により制限値gaを表示するようにしてもよい。
【0075】
このように、本発明の変形例2では、作業範囲制限OFF状態のとき、「←」キー5c、「→」キー5dの操作により限界値gaと設定値gbを選択的に表示可能とした、すなわち「↑」キー5a,「↓」5bの操作による表示よりも「←」キー5c、「→」キー5dの操作による表示を優先するようにしたので、クレーン作業時に作業範囲制限状態に拘わらずオペレータは設定値gbを容易に確認することができる。また、設定値gbが表示されるときは限界値gaが表示されるときよりも薄い色となるようにしたので、オペレータは設定値gbと限界値gaを即座に識別することができる。
【0076】
なお、上記各実施の形態では、定格荷重曲線などにより限界値ga(第1の作業範囲)を設定し、オペレータのキー操作により設定値gb(第2の作業範囲)を設定するようにしたが、第2の設定手段としてキー操作以外で設定値gbを設定してもよい。角度検出器1、2、荷重検出器3、吊り金具高さ検出器4により作業姿勢を検出するようにしたが、検出手段としての構成はこれに限らない。電磁比例弁6の駆動によりクレーンの作動を制限するようにしたが、制限手段の構成は上述したものに限らない。作業姿勢の制限値gへの接近度合に応じてスピーカ8から音声を出力するようにしたが、音声出力手段の構成はこれに限らない。
【0077】
表示制御手段としてのコントローラ50による表示処理は上述したものに限らない。例えば上記では、限界値gaと設定値gbで表示色を変更するようにしたが、限界値gaと設定値gbを異なる模様で表示する等、色以外の表示形態で限界値gaと設定値gbを区別してもよい。また、限界値gaと設定値gbが択一的に表示されるのであれば、必ずしも限界値gaと設定値gbで表示形態を変更する必要はない。現在値fと制限値ga、gbとの接近度合に応じて表示色を変更するようにしたが(ステップS14、ステップS15、ステップS24、ステップS25)、さらに作業範囲制限ON/OFF状態に応じて表示色を変更してもよい。すなわち、ステップS14、ステップS24およびステップS15、ステップS25で異なる表示色としてもよい。
【0078】
また、上記の各実施形態において、負荷率の状態を報知する光源体として、青色、黄色、赤色の点灯部を有する3色燈10で例示した。しかし、3色は、これらの色に限られるものではなく、青緑、橙、朱色、紫紺等、他の色に点灯する点灯部を有するものとしてもよい。また、3色燈に限らず、2色または4色以上の点灯部を有する光源体としてもよい。
【0079】
第2の実施の形態として示した図16に示す3色燈の表示処理フローでは、ステップS10において、負荷率の制限値g7として限界値g7aがセットされるとして例示した。しかし、負荷率の制限値g7として、設定値g7bをセットするようにしてもよい。その場合には、ステップS13を、f7=g7aか否かを判断するステップS23Aに置き換える。作業範囲制限ON状態を選択した場合、ステップS23Aが肯定された場合には赤色を点灯し、否定された場合には黄色を点灯する。しかし、作業範囲制限ON状態では、図11の処理フローのステップS28において負荷率は設定値g7bに達した時点でドラム103a、103bが停止する。従って、このようにした場合でも、赤色が点灯される前に、ドラム103a、103bが駆動を停止する。
【0080】
また、コントローラ50に、図12に示された3色燈10の点灯処理および図13に示された3色燈10の点灯処理の両方を実行可能に備えたものとし、選択手段により、一方を選択可能とするようにしてもよい。
【0081】
上記実施の形態は、作業範囲制限ON/OFF状態の機能を有するクレーンに適用したが、複数の作業形態のいずれかを選択して作業を行うような機能を有するものであれば、クレーン以外の建設機械にも本発明を同様に適用することができる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1、2 角度検出器
3 荷重検出器
4 吊り金具高さ検出器
5 入力装置
5a〜5d 矢印キー
6 電磁比例弁
7 ディスプレイ
10 3色燈
50 コントローラ
200 モーメントリミッタ画面
400 作業範囲設定画面
500 項目選択画面
g1〜g6 制限値
g1a〜g7a 限界値
g1b〜g7b 設定値
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、クレーン等の建設機械の安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン等の建設機械には、クレーンの転倒や破損を防止するため、モーメントリミッタなどの過負荷防止装置が搭載されている。過負荷防止装置とは、実作業半径や実荷重が限界作業半径や限界荷重(限界作業範囲)に達するとウインチの駆動を停止し、限界作業範囲を超えての作業を禁止するものである。
このように、モーメントリミッタが搭載された建設機械においては、オペレータの操作を効率的にするために、実際の作業半径や吊り荷の荷重と共に限界作業範囲をモニタ画面に表示するようにした装置が知られている。
【0003】
限界作業範囲は、周囲の障害物等により作業範囲が制限される場合があり、予め設定された限界作業範囲を変更することが可能な装置も知られている(例えば、特許文献1参照)。
このような装置では、建設機械の実際の作業姿勢や荷重等が限界作業範囲に達した時点で、モニタ画面における該当する表示部の表示色が、例えば、黄色から赤色に変更され、オペレータは限界作業範囲に達したことを視認することができ、同時に、作業が禁止される。例えば、吊り荷荷重については、実際の荷重および限界荷重をモニタ画面に表示する共に、その負荷率を演算し、算出された負荷率が限界値に達した時点で巻取りドラムを停止するようにしている。
このようにすることにより、作業の安全性が確保され、かつ、作業の効率が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−284729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載された発明では、吊り荷荷重の負荷率については、モニタ画面で表示されるためオペレータには視認できるが、周囲の人には視認することができない。また、上記特許文献1に記載された発明では、吊り荷荷重の負荷率に関しては、予め設定された制限値を変更する手段を有していないため、常に、3色燈の赤色への点灯と巻取りドラムの停止とは、初期設定された制限値に達した時点で行われる。
このように、吊り荷荷重の負荷率に関しては、状況に応じて変更することができず、また、周囲の人に警告を報知することができないため、オペレータに大きな負担を与えるものであった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建設機械の安全装置は、吊り荷作業を含む建設機械の複数の作業に関して、それぞれ、仕様に応じた第1の作業範囲が記憶された第1の作業範囲記憶手段と、オペレータの指令により、吊り荷作業を含む複数の作業に関して、それぞれ、第1の作業範囲内における第2の作業範囲を設定する作業範囲調整手段と、建設機械の作業姿勢を検出する検出手段と、作業情報を表示するモニタ装置と、吊り荷作業を含む建設機械の作業に関して、それぞれの作業に関連する駆動部を駆動する駆動手段と、実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に対して所定の値に達した時点で、それぞれ異なる点灯色で点灯する複数の点灯部を有する点灯手段と、モニタ装置に実際の作業情報、および第1または第2の作業範囲の制限値の一方を表示させると共に、実際の吊り荷荷重の負荷率が第1または第2の作業範囲における制限値に達した時点で吊り荷作業の駆動手段を停止する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、周囲の状況に対応して負荷率の制限値を変更することが可能であり、また、負荷率の状態に対応して点灯色が変化する点灯手段を有しており、周囲の人の注意を喚起するので、オペレータの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明が適用されるタワークレーンの外観側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係わる安全装置の構成を示すブロック図。
【図3】図2のコントローラ内の構成を示すブロック図。
【図4】第1の実施の形態に係わるモニタ画面の表示処理を示すフローチャート。
【図5】第1の実施の形態に係わる作業時の表示画面(作業状態制限OFF状態)を示す図。
【図6】第1の実施の形態に係わる作業時の表示画面(作業状態制限ON状態)を示す図。
【図7】第1の実施の形態に係わるメニュー画面の表示処理を示すフローチャート。
【図8】第1の実施の形態に係わるメニュー画面を示す図。
【図9】第1の実施の形態に係わる作業範囲設定画面を示す図。
【図10】第1の実施の形態に係わる作業範囲設定処理を示すフローチャート。
【図11】第1の実施の形態に係わる安全装置としての処理を示すフローチャート。
【図12】第1の実施の形態に係る3色燈の点灯処理を示すフローチャート。
【図13】第1の実施形態に係り、作業範囲制限OFFの場合における吊り荷荷重の負荷率に対する3色燈の点灯色とドラム動作の関係を示す図。
【図14】第1の実施形態に係り、作業範囲制限ONの場合における一例としての吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図15】第1の実施形態に係り、作業範囲制限ONの場合における他の例としての吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図16】第2の実施の形態に係り、図12とは異なる3色燈の点灯処理を示すフローチャート。
【図17】第2の実施形態に係る吊り荷荷重の負荷率と3色燈の点灯色およびドラム動作の関係を示す図。
【図18】本発明における作業範囲設定処理の変形例を示すフローチャート。
【図19】図18に示す変形例1に係る作業範囲の項目選択画面を示す図。
【図20】図18に示す変形例1に係る作業範囲設定画面を示す図。
【図21】図18に示す変形例1に係るモニタ画面の表示処理を示すフローチャート。
【図22】図18に示す変形例1に係る作業時の表示画面(作業状態制限ON状態)を示す図。
【図23】本発明における表示処理の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
--第1の実施の形態--
以下、図1〜図11を参照して本発明による建設機械の安全装置の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明が適用されるタワークレーンの構成を示す外観側面図である。タワークレーンは、走行体111と、走行体111上に旋回可能に搭載される旋回体113と、旋回体113の先端部に回動可能に軸支されたブーム114およびブーム114の先端部に回動可能に軸支されたジブ115を有するフロントアタッチメント116とからなる。117はカウンタウエイトである。
旋回体113には主巻ドラム103aと、補巻ドラム103bと、第3ドラム103cが搭載されている。主巻ドラム103aを駆動すると主巻ロ一プ118が巻き取りまたは繰り出され、主巻ロープ118を介してブーム先端部から吊り下げられた主フック120が昇降する。補巻ドラム103bを駆動すると補巻ロープ119が巻き取りまたは繰り出され、補巻ロープ119を介してジブ先端部から吊り下げられた補フック121が昇降する。
旋回体113には操作室が備えられており、この操作室の屋根等、旋回体113の所定の箇所には青色または緑色(以下、代表して青色と記載する)、黄色、赤色に点灯する点灯部を有する3色燈10が取付けられている。
【0010】
図2は、本実施の形態に係わる安全装置の構成を示すブロック図である。コントローラ50には、旋回体113に対するブーム角度を検出する角度検出器1と、ブーム114に対するジブ角度を検出する角度検出器2と、吊り荷重を検出する荷重検出器3と、フック120、121の高さをそれぞれ検出する吊り金具高さ検出器4と、オペレータの操作により各種指令を入力する入力装置5と、ドラム駆動用圧油の供給を停止する電磁比例弁6と、作業情報を表示するディスプレイ7と、スピーカ8と、周辺監視用のカメラ9と、3色燈10とが接続されている。
【0011】
荷重検出器3は、例えば起伏ロープ張力を検出するロードセルであり(図1参照)、この張力検出値から吊り荷重を求める。吊り金具高さ検出器4は例えば揚程計であり、初期状態からのドラム103a、103bの回転量を検出し、この検出値からフック120、121の高さを求める。入力装置5は矢印キー(「↑」キー、「↓」キー、「←」キー、「→」キー)5a、5b、5c、5dと、リターンキー(「○」キー)5eと、キャンセルキー(「×」キー)5fとを有し、オペレータはディスプレイ7を見ながら後述するようにキー操作する。入力装置5およびディスプレイ7は、オペレータが操作することが可能に操作室内に装着されている。また、図示はしないが、操作室内には、走行体111および旋回体113、ブーム114、ジブ115を駆動するための操作部材が設けられている。
【0012】
旋回体113には、上述した如く、青色、黄色、赤色の3色に点灯する点灯部を有する3色燈10が固定されている。3色燈10は、詳細は後述するが、過負荷防止装置によって演算される定格荷重に対する実際の吊上げ荷重(実荷重)の比である負荷率の状況を異なる色で発光する警報装置である。これにより、クレーンの周囲にいる作業者に負荷率の状況を知らせて危険を未然に防止する。
【0013】
図3はコントローラ50内の構成を示すブロック図である。コントローラ50は、CPU61と、各種プログラムやクレーンの仕様に応じた定格荷重曲線(限界作業半径と限界荷重の関係)、ブーム114やジブ115の回動可能範囲等を記憶するROM62と、RAM63と、検出器1〜4からの信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/D変換器65と、入力装置5からの信号を入力するための入カインターフェース64とからなるシングルチップマイコン60を有する。コントローラ50は、また、オペレータが設定する各種仕様を記億する不揮発性のEEPROM53、画像信号を生成する表示制御部52、画像信号をディスプレイ7に出力するための出カインターフェース51、および電磁比例弁6および3色燈10へ信号を出力する増幅器54を有する。
【0014】
CPU61では、角度検出器1、2および荷重検出器3からの信号に基づいて、実作業半径とフック120、121に吊り下げられた吊り荷の実荷重をそれぞれ演算するとともに、その作業半径における限界荷重に対する実荷重の比(負荷率)を演算する。そして、吊り荷荷重の負荷率(以下、単に「負荷率」という。)が所定値α(例えば90%)未満では3色燈10に青色を点灯させるための制御信号、所定値α(例えば90%)以上になると黄色を点灯させるための制御信号を3色燈10に出力する。さらに、負荷率が限界値(例えば100%)以上になると赤色を点灯させるための制御信号を3色燈10に出力するとともに、電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
これにより負荷率の状態をクレーンの周囲にいる人(作業者)に知らせて危険を未然に防止するとともに、クレーンに作用する負荷が制限され、クレーンの転倒が防止される。すなわち、コントローラ50は過負荷防止装置(モーメントリミッタ)などの安全装置としての機能を有する。さらにコントローラ50では、以下のような画像表示処理を実行する。なお、以下では、補フック121を用いた作業を行う場合の処理を説明する。
【0015】
図4は、メイン電源ON直後のコントローラ50内での表示処理の一例を示すフローチャートである。まず、ステップS1で、予め設定しておいたクレーンの仕様(ブームやジブの有無、長さ)の設定値を読み込み、この初期設定に対応した画面(モーメントリミッタ画面200)をディスプレイ7に表示させる。次いで、ステップS2で検出器1〜4からの信号に基づいて、現在のブーム角度f1、ジブ角度f2、実作業半径f3、実吊り荷重f4、揚程f5、ジブ先端部の高さf6、および負荷率f7をそれぞれ演算する。なお、演算値f1〜f7を現在値と呼ぶ。
【0016】
図5に、ステップS1で表示されるモーメントリミッタ画面200を示す。ディスプレイ7にはクレーンのイラスト201が表示されるとともに、このイラスト201に対応して現在値f1〜f7が、それぞれ表示部211〜217に表示されている。すなわち、表示部212にブーム角度f1が、表示部213にジブ角度f2が、表示部211に実作業半径f3が、表示部214に実吊り荷重f4が、表示部216に揚程f5が、表示部215にジブ先端部の高さf6が、表示部217に負荷率f7がそれぞれ表示されている。これら表示部211〜217の背景色は、例えば白色である。
【0017】
また、ディスプレイ7の表示部221〜231には、それぞれ現在値f1〜f7に対応して作業範囲の制限値g1〜g7が表示されている。すなわち、表示部223および224にブーム角度の下限および上限値g1が、表示部225および226にジブ角度の下限および上限値g2が、表示部221および222に作業半径の下限および上限値g3が、表示部227に実吊り荷重の上限値g4が、表示部230および229に揚程の下限および上限値g5が、表示部228にジブ高さの上限値g6が、表示部231に負荷率の上限値g7が、それぞれ表示されている。これら表示部221〜231の背景色は、後述するように変化する。
【0018】
図5の制限値g1〜g7は、ROM62に記憶された定格荷重曲線やブーム114、ジブ115の回動範囲等に基づき自動的に設定される(ステップS10)。本実施の形態では、これらクレーンの仕様に応じた制限値g1〜g7を、その範囲内でオペレータの操作により変更可能に構成するとともに、変更前または変更後の制限値g1〜g7のいずれか一方を選択し、その選択値をディスプレイ7に表示する。以下では、変更前の制限値、すなわちクレーンの仕様に応じた制限値を限界値g1a〜g7aと呼び、変更後の制限値、すなわち限界値g1a〜g7aの範囲内でオペレータが設定する制限値を設定値g1b〜g7bと呼ぶ。また、制限値g1〜g7として限界値g1a〜g7aが選択される状態を作業範囲制限OFF状態と呼び、設定値g1b〜g7bが選択される状態を作業範囲制限ON状態と呼ぶ。
【0019】
なお、図5では、イラスト201および表示部211〜217、221〜231の他に、時計241、エンジン回転メータ242、負荷率メータ243がそれぞれ表示されている。負荷率メータ243には表示部217の負荷率の現在値f7がアナログ表示されている。また、ディスプレイ7の下部にはキー操作ガイダンス244が表示され、上部には作業範囲制限OFF状態を示す文字245Aが表示されている。
【0020】
図4のステップS2で現在値fが演算されるとステップS3に進み、入力装置5のリターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS3が肯定されると後述するメニュー表示処理を実行し、ステップS3が否定されるとステップS4に進む。ステップS4では作業範囲制限がON状態かOFF状態かを判定する。初期状態では作業範囲制限OFF状態にセットされている。そして、モーメントリミッタ画面200を表示中に「↑」キー5aを操作すると作業範囲制限ON状態となり、「↓」キー5bを操作すると作業範囲制限OFF状態となる。
【0021】
ステップS4で作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進む。ステップS10では、ROM62に記憶された定格荷重曲線やブーム114、ジブ115の回動範囲に基づいて、現在値f1〜f7に対応した作業範囲の限界値g1a〜g7a(ga)を制限値gとしてセットする。これにより図5に示すように表示部221〜231には限界値g1a〜g7aがそれぞれ表示され、ディスプレイ7の上部に作業範囲制限OFF状熊を示す文字245Aが表示される。
【0022】
次いで、ステップS11で現在値f1〜f7が、それぞれ対応する限界値g1a〜g7aに所定の係数αを乗じた値(基準限界値と呼ぶ)より小さいか否かを判定する。これは、現在値f1〜f7のいずれかが限界値g1a〜g7aに一定以上接近しているか否かを判定するための処理であり、係数αは、例えば0.9<α<0.95の範囲で設定される。 ステップS11で現在値f1〜f7が、全て基準限界値未満と判定されるとステップS12に進み、表示部221〜231の背景色が緑色となるようにディスプレイ7に制御信号を出力する。
【0023】
これに対し、ステッフS11で、現在値f1〜f7の少なくとも1つが基準限界値以上と判定されるとステップS13に進み、現在値f1〜f7が限界値g1a〜g7aに達したか否かを判定する。ステップS13が否定されるとステップS14に進み、基準限界値に達した表示部221〜231の背景色が、緑色から黄色となるように制御信号を出力する。ステップS13が肯定されるとステップS15に進み、限界値g1a〜g7aに達した表示部221〜231の背景色が、黄色から赤色となるように制御信号を出力する。
【0024】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進む。ステップS20では、限界値g1a〜g7aの範囲内で予めオペレータが設定した設定値g1b〜g7b(gb)を制限値gとしてセットする。これにより図6に示すように表示部221〜231には設定値g1b〜g7bがそれぞれ表示され、ディスプレイ7の上部に作業範囲制限ON状態を示す文字245Bが表示される。なお、設定値g1b〜g7bの設定については後述する。
【0025】
次いで、ステップS21で全ての現在値f1〜f7が、それぞれ設定値g1b〜g7bに所定の係数αを乗じた値(基準設定値と呼ぶ)より小さいか否かを判定する。すなわち、現在値f1〜f7のいずれかが設定値g1b〜g7bに一定以上接近しているか否かを判定する。ステップS21で現在値f1〜f7が、全て基準設定値未満と判定されるとステップS22に進み、表示部221〜231の背景色が水色となるように制御信号を出力する。なお、以下の説明において、基準限界値または基準設定値を算出する際、限界値または設定値に乗じる係数αを単に係数αとする。
【0026】
これに対し、ステップS21で、現在値f1〜f7の少なくとも1つが基準設定値以上と判定されるとステップS23に進み、現在値f1〜f7が設定値g1b〜g7bに達したか否かを判定する。ステップS23が否定されるとステップS24に進み、現在値f1〜f7が基準設定値に達した表示部221〜231の背景色が、水色から黄色となるように制御信号を出力する。ステップS23が肯定されるとステップS25に進み、設定値g1b〜g7bに達した表示部221〜231の背景色が、黄色から赤色となるように制御信号を出力する。
【0027】
次に、メニュー画面の表示処理について説明する。この処理は、リターンキー5eの操作により実行され、ステップS3が肯定されると図7のステップS31に進む。ステップS31では、例えば図8に示すように、メニュー画面300をディスプレイ7にポップアップ表示する。次いで、ステップS32でリターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS32が否定されるとステップS34に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS34が肯定されるとステップS35に進み、画面上の選択バーを上方に移動し、選択項目を変更する。なお、図8では、「作業範囲設定」が選択されている。ステップS34が否定されるとステップS36に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS36が肯定されるとステップS37に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。以上の処理は、リターンキー5eが操作されるまで繰り返される。
【0028】
一方、リターンキー5eが操作されると、ステップS33に進み、選択バーにより選択されたメニューの詳細画面をディスプレイ7に表示する。すなわち、「モーメントリミッタ」を選択すると、上述したモーメントリミッタ画面200を表示し、「作業状態設定」を選択すると、モーメントリミッタの計算に必要なクレーンの仕様を設定、確認するための作業状態設定画面を表示し、「点検」を選択すると、クレーン各部の点検箇所および点検項目を確認する点検画面を表示し、「作業範囲設定」を選択すると、後述するように作業範囲設定画面を表示し、「荷重表」を選択すると、作業状態設定画面で設定されたフロント仕様でのクレーン性能(作業半径、ブーム角度、定格総荷重、ブーム高さなど)を示す荷重表画面を表示し、「時計調整」を選択すると、内蔵時計の日付と時刻を設定する時計調整画面を表示し、「取扱説明」を選択すると、多機能表示装置の取扱説明画面を表示する。
【0029】
図10は、作業範囲設定処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、上述したメニュー画面で「作業範囲設定」を選択する(ステップS33)と開始される。
まず、ステップS41で図9に示すような作業範囲設定画面400を表示する。図9において、設定画面には、吊り荷重、ブーム角度、ジブ角度、作業半径、ジブ高さ、揚程、および負荷率の設定値と現在値がそれぞれ表示されている。
【0030】
次いで、ステップS42で入力装置5のキャンセルキー5fが操作されたか否かを判定する。ステップS42が否定されるとステップS44に進み、リターンキー5eが操作されたか否かを判定する。ステップS44が否定されるとステップS46に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS46が肯定されるとステップS47に進み、画面上の選択バーを上方に移動する。なお、図9では、選択バーにより「負荷率」が選択されている。ステップS46が否定されるとステップS48に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS48が肯定されるとステップS49に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。ステップS48が否定されるとステップS50に進み、「←」キー5cが操作されたか否かを判定する。
【0031】
ステップS50が肯定されるとステップS51に進み、選択バーで選択されている設定値g1b〜g7bを所定量(例えば1)だけ減少する。ステップS50が否定されるとステップS52に進み、「→」キー5dが操作されたか否かを判定する。ステップS52が肯定されるとステップS53に進み、選択バーで選択されている設定値g1b〜g7bを所定量(例えば1)だけ増加する。なお、ステップS51、ステップS53において、設定値g1b〜g7bは限界値g1a〜g7aの範囲内でのみ変更可能であり、限界値g1a〜g7aを超えての設定は禁止されている。また、ディスプレイ7に現在値f1〜f7が表示されるので、設定値g1b〜g7bを入力する際に、設定値としていかなる値を入力するかの目安とすることができる。以上の処理は、キャンセルキー5fまたはリターンキー5eが操作されるまで繰り返される。
【0032】
キャンセルキー5fが操作されると、ステップS42が肯定されてステップS43に進み、作業範囲設定画面400から図5のモーメントリミッタ画面200に画面表示を切り換える。また、リターンキー5eが操作されるとステップS44が肯定されてステップS45に進み、現在の設定値g1b〜g7bをEEPROM53に保存し、ステップS43に進む。ステップS45で保存された設定値gbが、上述したようにステップS20でセットされ、画面表示を図6のモーメントリミッタ画面200に切り換える。
なお、図9は、作業範囲の設定が完了し、設定値g1b〜g7bが設定された状態を示し、図6は、図9に図示された設定値g1b〜g7bが表示されたモーメントリミッタ画面を示している。
以上では補フック121を用いた作業を行う場合の処理について説明したが、主フック120を用いた作業を行う場合の処理についても基本的には同様である。この揚合、ディスプレイ7には、図5、6と異なり、主フック120に対応したイラストを表示する。
【0033】
以上の表示処理とは別に、コントローラ50では図11に示すように過負荷防止装置としての処理を実行する。なお、図11において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。メイン電源がONされると、まず、ステップS2で現在値fを演算し、ステップS4で作業範囲制限ON状態かOFF状態かを判定する。作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進み、限界値gaを制限値gにセットし、ステップS11で現在値fが基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとリターンする。ステップS13が肯定されるとステップS17に進み、否定されるとステップS16に進む。
【0034】
ステップS16では、現在値fが基準限界値以上であることを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が基準限界値以上になると(f7≧g7a×α)、『負荷率が限界値に近づいています。』などの音声をスピーカ8は出力する。ステップS17では、現在値fが限界値gaに達したことを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が限界値g7aに達すると(f7=g7a)、『負荷率が限界値に達しました。』などの音声をスピーカ8は出力する。次いで、ステップS18で電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
【0035】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進み、設定値gbを制限値gにセットし、ステップS21で現在値fが基準設定値より小さいか否かを判定する。ステップS21が否定されるとステップS23に進み、肯定されるとリターンする。ステップS23が肯定されるとステップS27に進み、否定されるとステップS26に進む。
【0036】
ステップS26では、現在値fが基準設定値以上であることを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が基準設定値以上になると(f7≧g7b×α)、『負荷率が制限値に近づいています。』などの音声をスピーカ8は出力する。ステップS27では、現在値fが設定値gbに達したことを報知するように、スピーカ8に制御信号を出力する。これにより例えば負荷率f7が設定値g7bに達すると(f7=g7b)、『負荷率が制限値に達しました。』などの音声を出力する。次いで、ステップS28で電磁比例弁6に制御信号を出力し、ドラム103a、103bの駆動を停止する。
【0037】
さらに、コントローラ50では図12に示すように3色燈10の点灯色を変化させる処理を実行する。なお、図12において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。メイン電源がONされると、まず、ステップS2で負荷率の現在値f7を演算し、ステップS4で作業範囲制限ON状態かOFF状態かを判定する。作業範囲制限OFF状態と判定されるとステップS10に進み、負荷率の限界値g7aを制限値g7にセットし、ステップS11で負荷率の現在値fが基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとステップS61に進む。ステップS13が肯定されるとステッフS62に進み、否定されるとステップS63に進む。
【0038】
ステップS61では、負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいことを示すために、3色燈10に青色点灯の制御信号を出力する。ステッフS63では、負荷率の現在値f7が基準限界値以上であることを示すために、3色燈10に黄色点灯の制御信号を出力する。ステップS62では、負荷率の現在値f7が限界値g7aに達したことを示すために、3色燈10に赤色点灯の制御信号を出力する。
【0039】
一方、ステップS4で作業範囲制限ON状態と判定されるとステップS20に進み、負荷率の設定値g7bを制限値g7にセットし、ステップS21で負荷率の現在値fが基準設定値より小さいか否かを判定する。ステップS21が否定されるとステップS23に進み、肯定されるとステップS65に進む。ステップS23が肯定されるとステップS66に進み、否定されるとステップS67に進む。
【0040】
ステップS65では、負荷率の現在値f7が基準設定値より小さいことを示すために、3色燈10に青色点灯の制御信号を出力する。ステップS67では、負荷率の現在値f7が基準設定値以上であることを示すために、3色燈10に黄色点灯の制御信号を出力する。ステップS66では、負荷率の現在値f7が設定値g7bに達したことを示すために、3色燈10に赤色点灯の制御信号を出力する。
【0041】
図13〜15は、作業範囲として設定された制限値に対する3色燈10の点灯色とドラム103a、103bの動作状態を示す図である。
図13では、作業範囲制限OFF状態の場合を例としている。従って、負荷率の限界値g7aは100%である。また、図13においては、係数α=0.9を例としている。
作業範囲制限OFF状態であり、係数α=0.9であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS10)において、負荷率90%未満では青色(ステップS61)、負荷率90%以上100%未満では黄色(ステップS63)、負荷率100%以上では、赤色(ステップS62)の点灯部が点灯される。また、ドラム103a、103bの動作に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローにおいて、負荷率90%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS11)、負荷率90%以上100%未満では音声出力をする(ステップS16)と共にドラム駆動を継続し、負荷率100%以上では音声出力をする(ステップS17)と共にドラムを停止する処理が行われる。
このように、作業範囲制限OFF状態では、負荷率が100%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
【0042】
図14は、作業範囲制限ON状態、負荷率の設定値g7bを95%に設定した場合である。また、係数αについては、図13の場合と同様にα=0.9としている。なお、以下に示す各例の場合も、負荷率の限界値g7aは100%とする。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.9、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率85.5%(95%×0.9)未満では青色(ステップS65)、負荷率85.5%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
【0043】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.9、負荷率の設定値は95%であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率85.5%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS21)、負荷率85.5%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続し、負荷率95%以上では音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
このように、負荷率の設定値g7bが95%に設定されている場合、作業範囲制限ON状態では、負荷率が95%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。
【0044】
図15は、図14の場合と同様に、作業範囲制限ON状態、負荷率の設定値g7bは95%の場合を例とする。しかし、係数αについては、図14の場合とは異なりにα=0.85に設定した場合である。
作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85、負荷率の設定値g7bは95%であるので、3色燈10は、図12に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS21)において、負荷率80.75%(95%×0.85)未満では青色(ステップS65)、負荷率80.75%以上95%未満では黄色(ステップS67)、負荷率95%以上では赤色(ステップS66)の点灯部が点灯される。
【0045】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85、負荷率の設定値は95%であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率80.75%未満ではドラム駆動を継続し(ステップS21)、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続し、負荷率95%以上では音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
【0046】
このように、図15に示す例の場合においても、負荷率の作業範囲の設定値g7bが95%に設定されているので、作業範囲制限ON状態では、負荷率が95%に達すると3色燈10が赤色に点灯すると共にドラム103a、103bが停止する。但し、係数αは、が0.85に設定されており、係数αが0.9に設定された図14の場合と異なるので、黄色に点灯する負荷率の閾値が変化する。黄色に点灯する負荷率の範囲は、図14の例では85.5%以上95%未満であり、図15の場合は、80.75%以上95%未満である。
【0047】
図15に示す例では、3色燈10が黄色に点灯する負荷率の範囲が図14に示す例よりも広いので、ドラム103a、103bの停止までの猶予を大きくすることができる。ドラム103a、103bの停止までの猶予は、大きすぎても作業に支障をきたすので、作業に応じて適切な範囲に設定することが望ましい。
一般的には、負荷率が90%に達した時点で3色燈10を黄色に点灯させ、負荷率が100%に達した時点で3色燈の10の赤色を点灯させるようにすることが望ましい。
しかし、係数αおよび負荷率の設定値g7bは、上記の例に限られるものではなく、建設機械の種類や作業の内容に応じて、適切な値に設定することができる。
【0048】
次に、本実施の形態に係わる表示装置の動作をより具体的に説明する。
(1)作業範囲制限OFF状態
電源をONすると、ディスプレイ7に初期画面としてモーメントリミッタ画面200が表示され(ステップS1)、表示部211〜217に現在値f1〜f7が表示される。初期状態では、クレーンの仕様に応じた限界値gaが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限OFF状態)、図5に示すように表示部221〜231にそれぞれ限界値g1a〜g7aが表示される。このとき、表示部211〜217は白色で表示されるのに対し、表示部221〜231は緑色で表示される(ステップS12)。また、画面上部には「作業範囲制限OFF」の文字245Aが表示される。これによりオペレータは、現在値fと制限値gとを明確に識別することができるとともに、制限値gとして限界値gaが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限OFF状態は「↑」キー5aが操作されるまで継続され、「↑」キー5aが操作されると作業範囲制限ON状態となる。
【0049】
作業範囲制限OFF状態でクレーン作業を行う場合、現在値fが基準限界値より小さいときは、表示部221〜231は緑色で表示されたままである。現在値f1〜f7のいずれかが基準限界値に達すると、対応する表示部221〜231が黄色表示に変更され(ステップS14)、スピーカ8から所定の音声が出力される(ステップS16)。これによりオペレータは作業姿勢が限界状態に近づいていることを容易に認識することができる。
【0050】
現在値fが限界値gaに達すると、対応する表示部221〜231が赤色表示に変更される(ステップS15)。また、スピーカ8から所定の音声が出力され(ステップS17)、ドラム103a、103bの駆動が停止される(ステップS18)。これによりクレーンの転倒や破損を防止することができるとともに、オペレータは作業姿勢が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
【0051】
現在値fの中、負荷率f7が基準限界値未満のときは、3色燈10は青色の表示部を点灯する。負荷率f7が基準限界値に達すると、3色燈10は黄色の表示部を点灯する。そして、負荷率f7が限界値g7aに達すると、3色燈10が赤色の表示部を点灯する。このため、オペレータのみならず、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、負荷率が限界状態に近づいていることや、負荷率が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0052】
(2)作業範囲制限ON状態
作業範囲を任意に制限するときは、入力装置5のキー操作により作業範囲設定画面400に表示を切り換え、制限値gaの範囲内で設定値gbを設定した後、モーメントリミッタ画面200に表示を切り換える。この状態で「↑」キー5aを操作すると、設定値gbが制限値gとしてセットされ(作業範囲制限ON状態)、図6に示すように表示部221〜231にそれぞれ設定値g1b〜g7bが表示される。このとき、表示部221〜231は水色で表示され(ステップS22)、画面上部に「作業範囲制限ON」の文字245Bが表示される。これによりオペレータは、制限値gとして設定値gbが選択されていることを即座に認識することができる。作業範囲制限ON状態は「↓」キー5bが操作されるまで継続され、「↓」キー5bが操作されると作業範囲制限OFF状態となる。なお、設定値gbはEEPROM53に記憶しているので、電源をOFFしても設定値gbは保存され、電源ON後に再度、設定値gbを設定する必要はない。
【0053】
作業範囲制限ON状態でクレーン作業を行う場合、現在値fが基準設定値より小さいときは、表示部221〜231は水色で表示されたままである。現在値f1〜f7のいずれかが基準設定値に達すると、対応する表示部221〜231が黄色表示に変更され(ステップS24)、スピーカ8から所定の音声が出力される(ステップS26)。これによりオペレータは作業姿勢が作業範囲設定状態に近づいていることを容易に認識することができる。
【0054】
現在値fが設定値gbに達すると、対応する表示部221〜231が赤色表示に変更される(ステップS25)。また、スピーカ8から所定の音声が出力され(ステップS27)、ドラム103a、103bの駆動が停止される(ステップS28)。これによりブーム114やジブ115が建物等に接触することを防止することができるとともに、オペレータは作業姿勢が作業範囲設定状態に達したことを容易に認識することができる。
【0055】
現在値fの中、負荷率f7が基準設定値未満のときは、3色燈10は青色の表示部を点灯する。負荷率f7が基準設定値に達すると、3色燈10は黄色の表示部を点灯する。そして、負荷率f7が設定値g7bに達すると、3色燈10が赤色の表示部を点灯する。このため、オペレータのみならず、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、負荷率が限界状態に近づいていることや、負荷率が限界状態に達したことを容易に認識することができる。
このため、建設機械の周囲にいる人(作業者)は、建設機械から遠ざかったり、建設機械への接近を回避したりする対応を図るので、オペレータの負担を軽減することができる。
【0056】
以上の第1の実施の形態によれば、以下のような作用効果を奏する。
(1)負荷率を作業範囲設定の項目としたことにより、クレーン作業の現場において、負荷率として初期設定された、例えば、100%に到達する前に音声出力およびドラム停上させることができる。
(2)実際の負荷率の状況に対応して3色燈10の点灯色を変化するので、クレーンの周囲の人(作業者)が負荷率の状況を視認して回避行動をとることが可能となるため、オペレータの負担を軽減することができる。
【0057】
なお、第1の実施の形態によれば、上記以外にも下記の効果を奏する。
・入力装置5のキー操作により作業範囲制限ON状態が選択されると設定値gbを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に設定値gbを表示し、作業範囲制限OFF状態が選択されると限界値gaを制限値gに設定するとともに表示部221〜231に限界値gaを表示するようにした。すなわち、作業範囲制限ON/OFF状態に応じて設定値gbと限界値gaの一方を選択的に表示するようにした。これにより、画面表示が煩雑になることがなく、オペレータは即座にかつ正しく必要な情報を認識することができ、作業情報の誤認による誤操作を抑制することができる。
・表示部221〜231に限界値gaと設定値gbを異なる色で表示するようにしたので(ステップS12、ステップS22)、限界値gaと設定値gbを容易に識別することができる。
・作業範囲制限ON/OFF状態をそれぞれ文字245A、245Bでも表示するようにしたので、限界値gaと設定値gbをより一屈明確に区別することができる。
・現在値fと制限値gを異なる色で表示するようにしたので、現在値fと制限値gを容易に識別することができる。
・現在値fが制限値gに近づくと制限値を黄色表示に変更し、制限値gに達すると赤色表示に変更するようにした。すなわち現在値fの制限値gへの接近の度合に応じて表示部221〜231の色を変更するようにしたので、作業姿勢が制限値gに対してどの程度接近しているかを即座に把握することができる。
・上記の表示に加え、スピーカ8からの音声によっても現在値fの接近の度合を報知するようにしたので、オペレータはディスプレイ7を注視しなくても、現在の作業状態を把握することができる。
・入力装置5の矢印キー5a、5bの操作により作業範囲制限ON/OFF状態の設定を切り換えるとともに、この作業範囲制限状態に応じたディスプレイ7の画面に切り換えるので、切換操作が容易である。
【0058】
--第2の実施の形態--
図16は、本発明の第2の実施の形態に係り、3色燈の点灯処理を示すフローチャートである。
図16に示す3色燈の表示処理では、作業範囲制限OFF状態および作業範囲制限ON状態のいずれでも、3色燈10の点灯/消灯のしきい値となる制限値を一定の値に設定するものである。
以下、図16に図示された3色燈10の処理フローを説明するが、図16において、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
メイン電源がONされると、まず、ステップS2で負荷率の現在値f7を演算し、ステップS10で負荷率の限界値g7aを制限値g7にセットする。従って、仮に、負荷率に関する作業範囲の設定値g7bとして、初期状態の制限値g7aと異なる値が設定されていても、3色燈10の点灯処理においては、常に、負荷率の制限値は、初期状態の値にセットされる。
【0059】
次に、ステップS11で負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいか否かを判定する。ステップS11が否定されるとステップS13に進み、肯定されるとステップS61に進む。ステップS13が肯定されるとステップS62に進み、否定されるとステップS63に進む。
ステップS61では、負荷率の現在値f7が基準限界値より小さいことを示すために、3色燈10に青色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS63では、負荷率の現在値f7が基準限界値以上であることを示すために、3色燈10に黄色を点灯させるための制御信号を出力する。ステップS62では、負荷率の現在値f7が限界値g7aに達したことを示すために、3色燈10に赤色を点灯させるための制御信号を出力する。
【0060】
図17は、作業範囲として設定された制限値に対する3色燈10の点灯色とドラム103a、103bの動作状態を示す図である。図17においては、作業範囲制限ON、負荷率の限界値g7aは100%、負荷率の設定値g7bは95%、係数α=0.85を例としている。
図16に示された処理フローのステップS10において、負荷率の限界値g7a=100%がセットされる。このため、3色燈10は、図16に示された3色燈10の点灯処理フロー(ステップS11)において、負荷率85%未満では青色(ステップS61)、負荷率85%以上95%未満では黄色(ステップS63)の点灯部を点灯する。また、負荷率95%以上でも、負荷率の限界値g7a=100%には達していないのでステップS63の黄色の点灯部を点灯する処理を行う。
【0061】
また、ドラム103a、103bの動作に関しては、作業範囲制限ON状態であり、係数α=0.85であるので、図11に示された過負荷防止処理フローおいて、負荷率80.75%(95%×0.85)未満ではドラムを駆動(ステップS21)し、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続する。つまり、負荷率が95%未満ではドラム103a、103bは駆動される。そして、負荷率が95%以上になると、負荷率の設定値g7bとして設定された95%に達するので、音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
【0062】
図17を参照して明らかな通り、第2の実施形態においては、3色燈10が黄色の表示部を点灯している状態でドラム103a、103bが停止する。このように、3色燈10が赤色の表示部を点灯する前に、ドラム103a、103bを停止するので、クレーンの周囲にいる人(作業者)に不安を与えることがないという効果を奏する。
【0063】
なお、図示はしないが、第2の実施の形態において、作業範囲制限OFF状態とした場合について説明する。この場合にも、負荷率の限界値g7aは100%、負荷率の設定値g7bは95%、係数α=0.85とする。
3色燈10の点灯色については、図16に示された処理フローは、作業範囲制限ON/OFFの切換えには関係しないので、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
ドラムの駆動に関しては、図11に示された過負荷防止処理フローおける作業範囲制限OFF状態の処理が実行される。このため、負荷率80.75%(95%×0.85)未満ではドラムを駆動(ステップS21)し、負荷率80.75%以上95%未満では音声出力をする(ステップS26)と共にドラム駆動を継続する。つまり、負荷率が95%未満ではドラム103a、103bは駆動される。そして、負荷率が95%以上になると、負荷率の設定値g7bとして設定された95%に達するので、音声出力をする(ステップS27)と共にドラム駆動を停止する(ステップS28)処理が行われる。
この結果は、音声出力の処理の際の負荷率は異なるが、3色燈10の点灯色およびドラムの駆動に関しては、作業範囲制限ON状態の場合と同じである。
【0064】
第2の実施の形態においても、負荷率を作業範囲設定の項目とし、また、実際の負荷率の状況を3色燈10の点灯色により報知するので、第1の実施の形態と同様な効果を奏する。
また、第2の実施の形態においては、3色燈10が赤色を点灯する前に、ドラム103a、103bを停止するので、クレーンの周囲にいる人(作業者)に不安を与えることがないという特有な効果を奏する。
【0065】
[変形例1]
図18〜図22を参照して上述した各実施の形態の変形例1を説明する。
図18は、本発明における作業範囲設定処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態においては、作業範囲設定画面400で全ての作業範囲の項目を設定するようにした。図18に示す変形例では、オペレータにより選択された作業範囲の項目のみを設定する。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。
【0066】
図18に示す作業範囲設定処理は、図8のメニュー画面で「作業範囲設定」を選択すると開始される。まず、ステップS71で図19に示すような項目選択画面500を表示する。次いで、ステップS72で入力装置5のキャンセルキー5fが操作されたか否かを判定する。ステップS72が否定されるとステップS73に進み、リターンキー5eが操作されたか否かを判定する。
【0067】
ステップS73が否定されるとステップS75に進み、「↑」キー5aが操作されたか否かを判定する。ステップS75が肯定されるとステップS76に進み、画面上の選択バーを上方に移動する。なお、図19では、選択バーにより「負荷率制限」が選択されている。ステップS75が否定されるとステップS77に進み、「↓」キー5bが操作されたか否かを判定する。ステップS77が肯定されるとステップS78に進み、画面上の選択バーを下方に移動する。ステップS77が否定されるとステップS79に進み、「←」キー5cが操作されたか否かを判定する。ステップS79が肯定されるとステップS80に進み、選択バーで選択されている項目をオンする。ステップS69が否定されるとステップS71に進み、「→」キー5dが操作されたか否かを判定する。ステップS81が肯定されるとステップS82に進み、選択バーで選択されている項目をオフする。以上の処理は、キャンセルキー5fまたはリターンキー5eが操作されるまで繰り返される。なお、図19では、荷重、作業半径、高さ、負荷率がそれぞれONされている。
【0068】
リターンキー5eが操作されると、ステップS73が肯定され、ステップS74に進む。ステップS74では、作業範囲制限項目のON、OFF情報をEEPROM53に保存し、ステップS41Aに進む。また、キャンセルキー5fが操作されると、ステップS72が肯定され、ステップS41Aに進む。ステップS41Aでは、図20に示すような作業範囲設定画面400を表示する。この場合、第1の実施の形態(図9)とは異なり、作業範囲制限項目がONされたものだけが表示される。以降、第1の実施の形態と同様の処理(ステップS42〜ステップS53)を実行し、作業範囲の設定値gbを設定する。
【0069】
図21は、変形例に係る表示処理の一部を示すフローチャートである。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。モーメントリミッタ画面200を表示中に作業範囲制限ON状態とされると、ステップS20Aに進む。ステップS20Aでは、上述した処理によりオペレータが設定した設定値gbを制限値gとしてセットするとともに、設定値gbを設定していない項目については、限界値gaを制限値gとしてセットする。次いで、ステッフS21で現在値fが、対応する制限値ga、またはgbにαを乗じた値よりも小さいか否かを判定し、肯定されるとステップS22Aに進み、否定されるとステップS23Aに進む。
【0070】
ステップS22Aでは限界値gaが表示される表示部221〜231を緑色で表示し、設定値gbが表示される表示部221〜231を水色で表示するように制御信号を出力する。ステップS23Aでは、現在値fが制限値gaまたはgbに達したか否かを判定し、肯定されるとステップS24に進み、否定されるとステップS25に進む。図22は、作業範囲設定ON状態におけるモーメントリミッタ画面200の一例である。図では、限界値g1a、g2a、g5aを表示する表示部223〜226、229、230がそれぞれ緑色で表示され、設定値g3b、g4b、g6b、g7bを表示する表示部221、222、227、228、231がそれぞれ水色で表示されている。
【0071】
このように変形例1に示した例では、作業範囲設定項目を選択し、選択項目についてのみ作業範囲を設定するようにしたので、全ての作業範囲項目につき設定値gbを入力する必要がなく、設定作業が容易である。また、作業範囲制限ON状態では、限界値gaと設定値gbが同一画面上で異なる色で表示されるので、制限値gとして設定値gbと限界値gaのいずれがセットされているかをオペレータは即座に認識することができる。
【0072】
[変形例2]
図23を参照して上述した各実施の形態の変形例2を説明する。
図23は、本発明における表示処理の変形例を示すフローチャートである。
上記各実施の形態では、キー操作により作業範囲制限ON/OFF状態を選択するとともに、その作業範囲制限状態に対応した制限値gaまたはgbを表示するようにしたが、変形例では、作業範囲制限状態に拘わらず制限値gbおよびgaを表示可能とする。以下では、上述した各実施の形態との相違点を主に説明する。なお、図4と同一の箇所には同一の符号を付す。
【0073】
モーメントリミッタ画面200を表示中に作業範囲制限OFF状態とされると、ステップS19に進む。ステップS19では、設定値gbの表示指令が出力されたか否かを判定する。初期状態では、設定値gbの表示指令を出力せず、「←」キー5cを操作すると表示指令を出力する。また、表示指令の出力中、「→」キー5dを操作すると表示指令の出力を停止する。
【0074】
ステップS19が肯定されるとステップS10Aに進み、設定値gbを制限値gにセットする。次いで、ステップS11Aで現在値fが基準設定値(gb×α)より小さいか否かを判定し、肯定されるとステップS12Aに進み、否定されるとステップS13に進む。ステップS12Aでは表示部221〜231が薄緑色となるように制御信号を出力する。
これにより作業範囲制限OFF状態であっても、表示部221〜231に設定値gbを表示することができる。なお、同様に、作業範囲制限ON状熊のときに、「→」キー5dの操作により制限値gaを表示するようにしてもよい。
【0075】
このように、本発明の変形例2では、作業範囲制限OFF状態のとき、「←」キー5c、「→」キー5dの操作により限界値gaと設定値gbを選択的に表示可能とした、すなわち「↑」キー5a,「↓」5bの操作による表示よりも「←」キー5c、「→」キー5dの操作による表示を優先するようにしたので、クレーン作業時に作業範囲制限状態に拘わらずオペレータは設定値gbを容易に確認することができる。また、設定値gbが表示されるときは限界値gaが表示されるときよりも薄い色となるようにしたので、オペレータは設定値gbと限界値gaを即座に識別することができる。
【0076】
なお、上記各実施の形態では、定格荷重曲線などにより限界値ga(第1の作業範囲)を設定し、オペレータのキー操作により設定値gb(第2の作業範囲)を設定するようにしたが、第2の設定手段としてキー操作以外で設定値gbを設定してもよい。角度検出器1、2、荷重検出器3、吊り金具高さ検出器4により作業姿勢を検出するようにしたが、検出手段としての構成はこれに限らない。電磁比例弁6の駆動によりクレーンの作動を制限するようにしたが、制限手段の構成は上述したものに限らない。作業姿勢の制限値gへの接近度合に応じてスピーカ8から音声を出力するようにしたが、音声出力手段の構成はこれに限らない。
【0077】
表示制御手段としてのコントローラ50による表示処理は上述したものに限らない。例えば上記では、限界値gaと設定値gbで表示色を変更するようにしたが、限界値gaと設定値gbを異なる模様で表示する等、色以外の表示形態で限界値gaと設定値gbを区別してもよい。また、限界値gaと設定値gbが択一的に表示されるのであれば、必ずしも限界値gaと設定値gbで表示形態を変更する必要はない。現在値fと制限値ga、gbとの接近度合に応じて表示色を変更するようにしたが(ステップS14、ステップS15、ステップS24、ステップS25)、さらに作業範囲制限ON/OFF状態に応じて表示色を変更してもよい。すなわち、ステップS14、ステップS24およびステップS15、ステップS25で異なる表示色としてもよい。
【0078】
また、上記の各実施形態において、負荷率の状態を報知する光源体として、青色、黄色、赤色の点灯部を有する3色燈10で例示した。しかし、3色は、これらの色に限られるものではなく、青緑、橙、朱色、紫紺等、他の色に点灯する点灯部を有するものとしてもよい。また、3色燈に限らず、2色または4色以上の点灯部を有する光源体としてもよい。
【0079】
第2の実施の形態として示した図16に示す3色燈の表示処理フローでは、ステップS10において、負荷率の制限値g7として限界値g7aがセットされるとして例示した。しかし、負荷率の制限値g7として、設定値g7bをセットするようにしてもよい。その場合には、ステップS13を、f7=g7aか否かを判断するステップS23Aに置き換える。作業範囲制限ON状態を選択した場合、ステップS23Aが肯定された場合には赤色を点灯し、否定された場合には黄色を点灯する。しかし、作業範囲制限ON状態では、図11の処理フローのステップS28において負荷率は設定値g7bに達した時点でドラム103a、103bが停止する。従って、このようにした場合でも、赤色が点灯される前に、ドラム103a、103bが駆動を停止する。
【0080】
また、コントローラ50に、図12に示された3色燈10の点灯処理および図13に示された3色燈10の点灯処理の両方を実行可能に備えたものとし、選択手段により、一方を選択可能とするようにしてもよい。
【0081】
上記実施の形態は、作業範囲制限ON/OFF状態の機能を有するクレーンに適用したが、複数の作業形態のいずれかを選択して作業を行うような機能を有するものであれば、クレーン以外の建設機械にも本発明を同様に適用することができる。すなわち、本発明の特徴、機能を実現できる限り、本発明は実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1、2 角度検出器
3 荷重検出器
4 吊り金具高さ検出器
5 入力装置
5a〜5d 矢印キー
6 電磁比例弁
7 ディスプレイ
10 3色燈
50 コントローラ
200 モーメントリミッタ画面
400 作業範囲設定画面
500 項目選択画面
g1〜g6 制限値
g1a〜g7a 限界値
g1b〜g7b 設定値
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吊り荷作業を含む建設機械の複数の作業に関して、それぞれ、仕様に応じた第1の作業範囲が記憶された第1の作業範囲記憶手段と、
オペレータの指令により、前記吊り荷作業を含む複数の作業に関して、それぞれ、前記第1の作業範囲内における第2の作業範囲を設定する作業範囲調整手段と、
前記建設機械の作業姿勢を検出する検出手段と、
作業情報を表示するモニタ装置と、
前記吊り荷作業を含む建設機械の作業に関して、それぞれの作業に関連する駆動部を駆動する駆動手段と、
実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に対して所定の値に達した時点で、それぞれ異なる点灯色で点灯する複数の点灯部を有する点灯手段と、
前記モニタ装置に実際の作業情報、および前記第1または前記第2の作業範囲の制限値の一方を表示させると共に、実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に達した時点で前記吊り荷作業の駆動手段を停止する制御手段とを備える建設機械の安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は3色燈であり、実際の吊り荷荷重の負荷率が、前記所定の値未満では青色または緑色、前記所定の値以上前記制限値未満では黄色、前記制限値以上では赤色を点灯することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械の安全装置において、前記制御手段は、前記点灯手段が黄色を点灯している状態で、前記吊り荷作業の駆動手段を停止する手段を有することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は、実際の吊り荷荷重の負荷率が80〜90%に達した時点で黄色を点灯し、前記制御手段は、実際の吊り荷荷重の負荷率が90〜99%に達した時点で前記吊り荷作業の駆動手段を停止することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建設機械の安全装置において、前記制御手段は、前記第1の作業範囲の限界値に基づいて前記吊り荷作業の点灯手段を点灯する第1の手段と、前記第2の作業範囲の設定値に基づいて前記吊り荷作業の駆動手段を停止する第2の手段を有し、前記第1の作業範囲の限界値に達する前に、前記吊り荷作業の駆動手段を停止することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項1】
吊り荷作業を含む建設機械の複数の作業に関して、それぞれ、仕様に応じた第1の作業範囲が記憶された第1の作業範囲記憶手段と、
オペレータの指令により、前記吊り荷作業を含む複数の作業に関して、それぞれ、前記第1の作業範囲内における第2の作業範囲を設定する作業範囲調整手段と、
前記建設機械の作業姿勢を検出する検出手段と、
作業情報を表示するモニタ装置と、
前記吊り荷作業を含む建設機械の作業に関して、それぞれの作業に関連する駆動部を駆動する駆動手段と、
実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に対して所定の値に達した時点で、それぞれ異なる点灯色で点灯する複数の点灯部を有する点灯手段と、
前記モニタ装置に実際の作業情報、および前記第1または前記第2の作業範囲の制限値の一方を表示させると共に、実際の吊り荷荷重の負荷率が前記第1または第2の作業範囲における制限値に達した時点で前記吊り荷作業の駆動手段を停止する制御手段とを備える建設機械の安全装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は3色燈であり、実際の吊り荷荷重の負荷率が、前記所定の値未満では青色または緑色、前記所定の値以上前記制限値未満では黄色、前記制限値以上では赤色を点灯することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項3】
請求項2に記載の建設機械の安全装置において、前記制御手段は、前記点灯手段が黄色を点灯している状態で、前記吊り荷作業の駆動手段を停止する手段を有することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の建設機械の安全装置において、前記点灯手段は、実際の吊り荷荷重の負荷率が80〜90%に達した時点で黄色を点灯し、前記制御手段は、実際の吊り荷荷重の負荷率が90〜99%に達した時点で前記吊り荷作業の駆動手段を停止することを特徴とする建設機械の安全装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の建設機械の安全装置において、前記制御手段は、前記第1の作業範囲の限界値に基づいて前記吊り荷作業の点灯手段を点灯する第1の手段と、前記第2の作業範囲の設定値に基づいて前記吊り荷作業の駆動手段を停止する第2の手段を有し、前記第1の作業範囲の限界値に達する前に、前記吊り荷作業の駆動手段を停止することを特徴とする建設機械の安全装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2013−52991(P2013−52991A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193946(P2011−193946)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(503032946)日立住友重機械建機クレーン株式会社 (104)
【Fターム(参考)】
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