説明

建設機械の情報表示装置、建設機械の情報表示方法及び建設機械の情報表示用コンピュータプログラム

【課題】表示装置の視認性を確保しつつ、建設機械の操作時に必要な情報をより多く表示装置に表示すること。
【解決手段】情報表示装置100は、建設機械に搭載されて、建設機械の各種の情報を表示する表示装置15と、建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面において、表示装置15に表示させる情報を切り替えるためのファンクションスイッチ16をガイドするファンクションガイド30の表示を消す制御装置20と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の各種情報を表示装置に表示させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ブルドーザ及び油圧ショベル等の建設機械のキャブは、作業者に建設機械の作動状況を視認させるために、各種の情報を表示する計器を備えている。近年は、前記各種の情報を液晶ディスプレイ等の表示装置に表示させるものが普及している。表示装置に建設機械の各種情報を表示させる場合、画面を操作するスイッチを表示装置の近傍に設けるものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−16926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は、建設機械の多機能化にともない、表示装置によって作業者に伝達したい情報の量が増加する傾向にある。増加した情報をそのまま表示装置に表示すると、それぞれの情報が表示装置に占める面積が小さくなる等の原因で、視認性が低下する。特に、建設機械の操作時に必要な情報は、十分な視認性を確保して表示装置に表示したいという要請がある。
【0005】
本発明は、表示装置の視認性を確保しつつ、建設機械の操作時に必要な情報をより多く表示装置に表示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建設機械に搭載されて、前記建設機械の各種の情報を表示する表示装置と、前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面において、前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消す制御装置と、を含むことを特徴とする建設機械の情報表示装置である。
【0007】
本発明において、前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力は受け付けられないことが好ましい。
【0008】
本発明において、前記制御装置は、消した前記ガイド用指標の位置に、前記建設機械の操作中に必要な情報を表示することが好ましい。
【0009】
本発明において、前記制御装置が消した前記ガイド用指標の位置に表示される情報は、複数種類の情報を前記表示切替スイッチで切り替えて表示する指標に割り当てられた情報であることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記制御装置は、前記建設機械の作業中に前記建設機械に不具合が発生した場合には、前記不具合の情報を表示する画面に切り替えるための表示切替スイッチを示すためのガイド用指標を表示することが好ましい。
【0011】
本発明において、前記制御装置は、前記建設機械が作業中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記制御装置は、前記建設機械を操作するための操作レバーに対する入力がある場合に、前記ガイド用指標の表示を消すことが好ましい。
【0013】
本発明において、前記制御装置は、前記操作レバーが中立の位置にある状態が予め定めた所定時間以内であるときには、前記ガイド用指標の表示を消すことが好ましい。
【0014】
本発明は、建設機械に搭載されて、前記建設機械の各種の情報を表示する表示装置と、前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチと、前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面において、前記表示装置の画面中の端部に表示されて前記表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消すとともに、消した前記ガイド用指標の位置に前記建設機械の操作中に必要な情報を表示し、また、前記建設機械が作業中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示し、さらに、前記建設機械の作業中に前記建設機械に不具合が発生した場合には、前記不具合の情報を表示する画面に切り替えるための表示切替スイッチを示すためのガイド用指標を表示する制御装置と、を含み、前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力は受け付けられないことを特徴とする建設機械の情報表示装置である。
【0015】
本発明は、建設機械が作業中であるか否かを判定する手順と、前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている表示装置の画面において、前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消す手順と、を含むことを特徴とする建設機械の情報表示方法である。
【0016】
本発明において、前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力を受け付けないことが好ましい。
【0017】
本発明において、前記建設機械の操作中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示することが好ましい。
【0018】
本発明において、前記建設機械を操作するための操作レバーに対する入力があった場合に、前記ガイド用指標の表示を消すことが好ましい。
【0019】
本発明において、前記操作レバーが中立の位置にある状態が予め定めた所定時間以内であるときには、前記ガイド用指標の表示を消すことが好ましい。
【0020】
本発明は、前記建設機械の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする建設機械の情報表示用コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、表示装置の視認性を確保しつつ、建設機械の操作時に必要な情報をより多く表示装置に表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施形態に係る情報表示装置を有する建設機械の一例を示す図である。
【図2】図2は、ブルドーザのダッシュボードをシート側から見た図である。
【図3】図3は、本実施形態に係る情報表示装置を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る情報表示装置の表示装置に建設機械情報が表示された状態の一例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る情報表示装置の表示装置に建設機械情報が表示された状態の一例を示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る情報表示方法の手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】図8は、表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、表示装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図10】図10は、メニュー画面の一例を示す図である。
【図11】図11は、本実施形態に係る情報表示方法をブルドーザ以外の建設機械に適用した例を示す図である。
【図12】図12は、本実施形態に係る情報表示方法をブルドーザ以外の建設機械に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0024】
<建設機械の一例>
図1は、本実施形態に係る情報表示装置を有する建設機械の一例を示す図である。本実施形態においては、建設機械の一例としてブルドーザ1を挙げるが、本実施形態の適用対象は、ブルドーザ1に限定されるものではない。ブルドーザ1は、車体1Bと、走行装置2と、作業機としてのブレード9とを有する。車体1Bは、動力発生源であるエンジン(内燃機関)5、エンジン5の動力を走行装置2に伝達するトランスミッション6及びエンジン5によって駆動される油圧ポンプ7を搭載している。エンジン5は、例えば、ディーゼルエンジンであるが、その種類は問わない。油圧ポンプ7は、エンジン5の動力によって作動油を加圧する。
【0025】
走行装置2は、左右一対の駆動輪3と、それぞれの駆動輪3によって駆動される左右一対の履帯4とを備えている。駆動輪3は、トランスミッション6を介して伝達されたエンジン5の動力によって駆動され、履帯4を駆動する。このようにして、走行装置2は、ブルドーザ1を走行させる。
【0026】
車体1Bは、ブルドーザ1を操作する作業者が搭乗するキャブ12を備えている。ブルドーザ1の作業者が着座するシート12Sと、ブルドーザ1の状態を表示する表示装置15と、ブルドーザ1を操作するために作業者が用いる操作レバーと、主にブルドーザ1の走行状態を制御するデセル(減速)ペダル及びブレーキペダルその他の操作ペダル12Pと、を含んでいる。
【0027】
ブルドーザ1の作業者が、自身の背後を振り返らないでキャブ12のシート12Sに着座したときに、作業者の視線が向かう方向をブルドーザ1の前又は前方という。あるいは、キャブ12のシート12Sから表示装置15又は操作ペダル12Pへ向かう方向を、ブルドーザ1の前又は前方という。前又は前方の反対側を後又は後方という。後又は後方は、キャブ12の表示装置15又は操作ペダル12Pからシート12Sへ向かう方向である。
【0028】
ブレード9は、車体1Bの前方に配置される。ブレード9は、フレーム8を介して車体1Bに支持されている。フレーム8の一端部がブレード9に対して揺動できるように取り付けられ、他端部が車体1Bに対して揺動できるように取り付けられている。このような構造により、ブレード9は、フレーム8の他端部を中心として揺動することができる。
【0029】
車体1Bとブレード9との間には、チルト調整用油圧シリンダ10と昇降用油圧シリンダ11とが取り付けられている。チルト調整用油圧シリンダ10は、地面に対するブレード9の傾きを調整する。昇降用油圧シリンダ11は、ブレード9を昇降させる。チルト調整用油圧シリンダ10及び昇降用油圧シリンダ11は、油圧ポンプ7から送られる作動油によって伸縮して、ブレード9の姿勢を変化させる。ブルドーザ1は、エンジン5によって発電機を駆動して生み出された電力によって電動機を駆動して、例えばブレード9を動作させるハイブリッド方式のものであってもよい。
【0030】
図2は、ブルドーザのダッシュボードをシート側から見た図である。ダッシュボード14は、キャブ12においてブルドーザ1の前方に配置されている。ダッシュボード14を図1に示すシート12S側から見ると、前方正面に表示装置15が配置されている。また、前方正面に向かって左側に、ブルドーザ1を操作するための操作レバーとしての走行操作レバー17が配置され、右側に、操作レバーとしての作業機操作レバー18が配置される。走行操作レバー17は、ブルドーザ1の走行に関する操作、例えば、前後進、変速、左右の旋回等を制御する。作業機操作レバー18は、ブレード9の動作を制御する。
【0031】
表示装置15は、例えば、液晶ディスプレイであるが、これに限定されるものではない。表示装置15は、建設機械(本実施形態ではブルドーザ1)に搭載されて、建設機械の各種の情報(建設機械情報)を表示する。建設機械情報は、例えば、図1に示すエンジン5の冷却水温度、油圧ポンプ7が吐出した作動油の圧力、エンジン5の燃料消費量、エンジン5の潤滑油の温度等がある。
【0032】
表示装置15の近傍かつ下方、すなわちキャブ12の床側には、表示装置15が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチ(以下、ファンクションスイッチという)16が配置されている。本実施形態において、ファンクションスイッチ16は、表示装置15と一体になっている。なお、ファンクションスイッチ16は表示装置15と一体になっているものに限定されない。例えば、ファンクションスイッチ16は、シート12Sの横のコンソールに設けられていてもよい。ブルドーザ1の作業者は、ファンクションスイッチ16を操作することにより、表示装置15に表示される建設機械情報を切り替えることができる。ファンクションスイッチ16の数は限定されるものではない。次に、本実施形態に係る情報表示装置を説明する。
【0033】
<情報表示装置>
図3は、本実施形態に係る情報表示装置を示す図である。情報表示装置100は、表示装置15と、制御装置20とを含む。制御装置20は、表示装置15が表示する建設機械情報を変更したり、本実施形態に係る情報表示方法を実行したり、ファンクションスイッチ16の操作の受け付けに関する制御を実行したりする。制御装置20は、例えば、マイクロコンピュータを備えている。制御装置20は、処理部21と、記憶部22と、入出力部23とを有する。処理部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、記憶部22は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、外部記憶装置又はこれらを組み合わせたものである。
【0034】
制御装置20は、入出力部23を介して表示装置15及びファンクションスイッチ16と接続されている。処理部21は、入出力部23を介して表示装置15又はファンクションスイッチ16に制御信号を送信したり、表示装置15又はファンクションスイッチ16から信号を取得したりする。記憶部22は、表示装置15及びファンクションスイッチ16を制御するためのコンピュータプログラム、本実施形態に係る情報表示方法を実行するためのコンピュータプログラム(以下、必要に応じて情報表示プログラムという)及び制御に必要なデータ等を記憶している。
【0035】
本実施形態に係る情報表示方法は、前述した情報表示プログラムにより実現できる。このため、情報表示プログラムを既存のブルドーザ1の記憶部22にインストールすれば、既存のブルドーザ1も本実施形態に係る情報表示方法により表示装置15が表示される。このように、情報表示プログラムは、既存の建設機械のアップデートを容易にできるという利点がある。情報表示プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、情報表示プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、情報表示プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0036】
制御装置20は、ブルドーザ1に搭載された通信回線24と電気的に接続されている。通信回線24には、ブルドーザ1に搭載される他の制御装置、例えば、走行制御装置25、作業機制御装置26及びエンジン制御装置27が電気的に接続されている。このように、制御装置20は、通信回線24を介して走行制御装置25及び作業機制御装置26等と互いに通信して建設機械情報を取得したり、建設機械情報を送信したりすることができる。
【0037】
走行制御装置25、作業機制御装置26及びエンジン制御装置27は、いずれもマイクロコンピュータを備えている。走行制御装置25は、走行操作レバー17、パーキングブレーキ28P及び車速センサ29が接続されている。走行制御装置25は、これらから取得した建設機械情報に基づいてブルドーザ1の走行を制御する。作業機制御装置26は、作業機操作レバー18及び作業機ロックレバー28Lが接続されている。作業機制御装置26は、これらから取得した建設機械情報に基づいてブレード9の動作を制御する。エンジン制御装置27は、デセルペダルから取得したデセルペダルの操作情報及び燃料調整ダイヤルから取得したスロットル信号等に基づき、図1に示すエンジン5の動作を制御する。
【0038】
本実施形態では、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18の操作量が電気信号に変換されて出力される。走行制御装置25及び作業機制御装置26は、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18から出力された電気信号、すなわち、これらの操作量に基づいて、ブルドーザ1の走行及びブレード9の動作を制御する。このように、本実施形態において、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18は電気指令式であるが、これに限定されるものではない。例えば、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18が油圧を操作することによって、ブルドーザ1の走行及びブレード9の動作を制御する機械式のものであってもよい。この場合、制御装置20は、例えば、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18に設けられたポジションセンサからこれらの位置を取得して、本実施形態に係る情報表示方法を実現する。次に、表示装置15に表示される建設機械情報の一例を説明する。
【0039】
<表示装置の表示例>
図4、図5は、本実施形態に係る情報表示装置の表示装置に建設機械情報が表示された状態の一例を示す図である。建設機械情報は、作業者がブルドーザ1を操作している最中でも視認しやすいように、アイコンの形態で表示装置15に表示されるものが多い。アイコンとは、物事を簡単な絵柄で記号化して表示するものである。図4に示す例では、複数のアイコンとともに、数値で表現される建設機械情報も表示装置15に表示されている。
【0040】
図4において、表示装置15の上又は上方はキャブ12の天井側であって、矢印Uで示す側であり、下又は下方はキャブ12の床側であって、矢印Bで示す側である。表示装置15の下方には、複数(この例では6個)のファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fが配置されている。これらを特に区別しない場合には符号16を用い、区別する場合には符号16a、16b等を用いる。表示装置15の画面中の下端部には、それぞれのファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fに対応する位置にガイド用指標としてのファンクションガイド30a、30b、30c、30d、30fが表示されている。これらを特に区別しない場合には符号30を用い、区別する場合には符号30a、30b等を用いる。
【0041】
本実施形態において、複数のファンクションスイッチ16は表示装置15の下方に配置されているが、複数のファンクションスイッチ16は、これ以外の場所に配置されていてもよい。例えば、複数のファンクションスイッチ16は、表示装置15の側方又は上方に配置されていてもよい。この場合、表示装置15の画面中には、それぞれのファンクションスイッチ16に対応する位置に対応して、複数のファンクションガイド30が表示される。例えば、複数のファンクションスイッチ16が表示装置15の側方に配置される場合、表示装置15の画面中の側端部には、それぞれのファンクションスイッチ16に対応して複数のファンクションガイド30が表示される。
【0042】
それぞれのファンクションガイド30は、ファンクションスイッチ16の機能を案内する指標であり、本実施形態では、アイコンの形式で表示装置15に表示される。すなわち、それぞれのファンクションガイド30は、対応するファンクションスイッチ16がどのような機能を有しているかをアイコンの形式で表示している。それぞれのファンクションガイド30は、これらが表示されている画面に対して機能が割り振られている。ファンクションガイド30により、作業者は、ファンクションスイッチ16の機能を直感的に把握して、所望のファンクションスイッチ16を選択することができる。また、ファンクションガイド30がファンクションスイッチ16の機能を表示することにより、作業者の視認性が向上する。
【0043】
図4に示す例において、表示装置15は、5個のメーター型のゲージアイコンを表示している。これらは、マルチゲージ31、エンジン水温ゲージ32、作動油温度ゲージ33、燃料ゲージ34、ミッションオイル温度ゲージ35である。これらのアイコンは、指針と円弧上のメモリとを有しており、指針を回転させることにより各種の建設機械情報の大きさを表示する。この他に、表示装置15は、燃料消費量を元にして省エネルギー運転の指標を示す省エネゲージ36、時刻を表示する時計37、現在のブルドーザ1の走行等の状態を示す状態インジケータ38、その他に、ブルドーザ1の機能を表示する機能表示アイコン39a、39b等を表示する。
【0044】
マルチゲージ31は、複数種類の建設機械情報をファンクションスイッチ16で切り替えて表示する指標である。本実施形態において、マルチゲージ31は、ファンクションスイッチ16bを操作することにより、自身が表示する建設機械情報の種類を変更することができる。例えば、図4に示す例は、図1に示すブルドーザ1が搭載するエンジン5の回転速度(単位時間あたりの回転数)を表示している。ファンクションガイド30bに対応するファンクションスイッチ16bを操作すると、図5に示すように、マルチゲージ31は、牽引力を表示するように表示が切り替わる。マルチゲージ31が表示する建設機械情報の一例としては、作動油圧力、エンジン油圧、バッテリー電圧、牽引力、車速、時計、エンジン回転速度がある。本実施形態においては、ファンクションスイッチ16bを1回操作する毎に、マルチゲージ31の表示する建設機械情報が1つずつ切り替わる。
【0045】
近年、建設機械、特にブルドーザ1は、表示装置15に表示する建設機械情報の量が増加する傾向にある。マルチゲージ31に表示される建設機械情報の中には、牽引力、車速等、ブルドーザ1の操作時(ブルドーザ1を走行させるための操作時又はブレード9の操作時等)において表示装置15の画面に表示していた方がよいものが含まれている。しかし、表示装置15の画面サイズの制約から、マルチゲージ31には1つの建設機械情報のみしか表示ができない。
【0046】
表示装置15が表示するゲージアイコンのデザインを変更することで、作業者の視認性を維持しつつゲージアイコン1個あたりの使用面積を低下させることにより、表示装置15に表示可能なゲージアイコンの個数を増加させることが考えられる。しかし、表示装置15の画面デザインがこれまでの機種から変更されると、既存のユーザーに違和感を与えるおそれがある。また、建設機械は、他の機種との間で表示装置15の画面のデザインを統一することが多いので、1つの機種(例えば油圧ショベル)のみ画面のデザインを変更することは難しいという事情もある。このため、表示装置15の画面のデザインを変更することは困難である。
【0047】
例えば、牽引力及び車速は、ブルドーザ1の停止中又は作業していないときには必要のない建設機械情報である。これらの建設機械情報は、ブルドーザ1の操作時に初めて必要とされる。また、作業機であるブレード9の状態を示す建設機械情報も、ブルドーザ1の停止中又は作業していないときには必要がなく、ブルドーザ1の操作時に、初めて必要とされる。このように、表示装置15の画面に表示される建設機械情報は、ブルドーザ1の操作時に初めて必要とされるものがある。一方、ファンクションスイッチ16は、ブルドーザ1の操作時において、不具合等の特別な事象が発生しない限り操作されず、ブルドーザ1の操作時以外で操作される。このため、ブルドーザ1の操作時において、ファンクションガイド30を消して表示装置15画面に表示しなくても特に問題はない。
【0048】
このような点に着目して、情報表示装置100及び本実施形態に係る情報表示方法は、ブルドーザ1の操作時には、ファンクションガイド30を表示装置15の画面から消して、代わりにブルドーザ1の操作時に必要となる建設機械情報を表示する。この場合、ブルドーザ1の操作時に必要となる建設機械情報は、ファンクションガイド30の位置に表示される。このようにすることで、ブルドーザ1の操作時においては、より多くの建設機械情報を表示できるようになる。次に、情報表示装置100の処理、すなわち本実施形態に係る情報表示方法の手順を説明する。
【0049】
<情報表示方法の手順例>
図6は、本実施形態に係る情報表示方法の手順を示すフローチャートである。図7から図9は、表示装置に表示される画面の一例を示す図である。本実施形態に係る情報表示方法は、情報表示装置100が実現する。より具体的には、制御装置20の処理部21が、記憶部22から情報表示プログラムを読み込み、これに記述されている命令を実行することにより本実施形態に係る情報表示方法が実現される。なお、上記の図4、図5に示す表示装置15は時刻を表示しているが、図7から図9に示す表示装置15は、ブルドーザ1の累積稼働時間を表す稼働時間を表示している。
【0050】
ステップS101において、情報表示装置100の制御装置20(より具体的には処理部21)は、建設機械(本実施形態ではブルドーザ1)の状態を取得する。本実施形態では、制御装置20は、図3に示す通信回線24を介して走行操作レバー17及び作業機操作レバー18の状態を取得する。これらの状態から、ブルドーザ1の操作中であるか否か、すなわち、作業者がブルドーザ1を操作しているか否かを把握することができるからである。
【0051】
次に、制御装置20はステップS102に進み、ブルドーザ1の操作中である場合(ステップS102、Yes)には、処理をステップS103に進め、ブルドーザ1の操作中でない場合(ステップS102、No)には、処理をステップS104に進める。走行操作レバー17と作業機操作レバー18との少なくとも一方に入力がある場合、すなわち中立(ニュートラル)の位置でない場合、ブルドーザ1は走行しているか、ブレード9が操作されているかのうち、少なくとも一方である。すなわち、ブルドーザ1は操作中、すなわち、作業者がブルドーザ1を操作している。したがって、制御装置20は、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18のうち少なくとも一方に入力がある場合(中立でない場合)には、ステップS102において肯定(Yes)であるとして、ステップS103へ進む。また、制御装置20は、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18の両方に入力がない場合(中立である場合)には、ステップS102において否定(No)であるとして、ステップS104へ進む。このように、走行操作レバー17及び作業機操作レバー18の状態を利用することにより、ブルドーザ1の操作中であるか否かを容易かつ確実に把握することができる。特に、ブルドーザ1は、走行中でなくてもブレード9を動作させるという特有の使い方がある。走行操作レバー17及び作業機操作レバー18の状態を利用することにより、前記特有の使い方であってもブルドーザ1の操作中であるか否かを容易かつ確実に把握することができる。ステップS103又はステップS104が終了したら、スタートに戻り、本実施形態に係る情報表示方法が繰り返される。
【0052】
なお、図3に示す車速センサ29の情報も用いてブルドーザ1の状態を把握してもよい。このようにすれば、例えば、走行操作レバー17の状態を検出するセンサに不具合が発生して、制御装置20が走行操作レバー17の状態を取得できない場合でも、車速センサ29の情報により、ブルドーザ1の状態を把握することができる。さらに、図3に示すパーキングブレーキ28P及び作業機ロックレバー28Lの情報を用いてブルドーザ1の状態を把握してもよい。例えば、パーキングブレーキ28P及び作業機ロックレバー28Lが有効になっている場合に、ブルドーザ1の操作中でないとしてもよい。
【0053】
ブルドーザ1の操作中である場合(ステップS102、Yes)、ステップS103において、制御装置20は、図7に示すように、表示装置15からファンクションガイド30の表示を消す。すなわち、制御装置20は、表示装置15に対してファンクションガイド30の表示を非表示とする。このとき、制御装置20は、これまでファンクションガイド30が表示されていた位置に、ブルドーザ1の操作中に必要な建設機械情報を表示してもよい。図7に示す例では、車速の情報を示す車速ゲージ40と、牽引力ゲージ39a’と、省エネゲージ36とが表示される。
【0054】
このように、ファンクションガイド30が表示されていた位置を利用してブルドーザ1の操作中に必要な建設機械情報を表示するので、建設機械情報を示すアイコン等の大きさを小さくする必要はない。その結果、表示装置15の視認性を確保しつつ、実際にブルドーザ1が操作されているときに、ブルドーザ1の操作時に必要な建設機械情報を、より多く表示装置15に表示することができる。また、作業者は、走行操作レバー17と作業機操作レバー18から手を離さずに、ブルドーザ1の操作時に必要とする建設機械情報を把握することができる。さらに、本実施形態では、省エネゲージ36をファンクションガイド30の位置に表示するので、省エネゲージ36が表示されていたスペースSが空くことになる。このため、表示装置15に表示する建設機械情報の量が増加した場合でも、増加分のアイコン41V等を前述したスペースSに表示することができるので、表示される建設機械情報の増加にも対応できる。
【0055】
制御装置20が消したファンクションガイド30の位置に表示される建設機械情報は、複数の建設機械情報をファンクションスイッチ16で切り替えて表示する指標、すなわちマルチゲージ31に割り当てられた建設機械情報であってもよい。マルチゲージ31が表示する建設機械情報は、例えば、作動油圧力、エンジン油圧、バッテリー電圧、牽引力、車速、時計、エンジン回転速度があるが、制御装置20は、これらのうち少なくとも1つをファンクションガイド30の位置に表示してもよい。ファンクションスイッチ16bを1回操作する毎に、マルチゲージ31の表示する建設機械情報が1つずつ切り替わるため、必要な建設機械情報を選択するまでに時間を要することがある。上述した手法により、マルチゲージ31が表示する建設機械情報の数を低減させれば、マルチゲージ31に表示させる建設機械情報を選択する時間を短縮できるので、利便性が向上する。また、上述した手法により、マルチゲージ31が表示する建設機械情報の数が低減した分、新たな建設機械情報をマルチゲージ31が表示する建設機械情報の選択肢として加えてもよい。
【0056】
ブルドーザ1の操作中である場合、表示装置15は、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面となっている。この画面を標準画面という。標準画面は、ブルドーザ1を起動した後において、後述するメニュー画面等を選択しない限り表示される画面であり、ブルドーザ1の操作中である場合の他、ブルドーザ1が停止又は作業していないときでも表示される。図7に示す例では、エンジン水温ゲージ32及び燃料ゲージ34が表示されている。制御装置20は、表示装置15がこのような画面を表示している場合に、ファンクションガイド30の表示を消す。この場合、制御装置20は、すべてのファンクションガイド30の表示を消してもよいし、複数のファンクションガイド30のうち一部の表示を消して、残りを表示するようにしてもよい。
【0057】
ファンクションガイド30の表示が消された場合、ファンクションスイッチ16への入力は受け付けられないようにすることが好ましい。本実施形態においては、制御装置20がファンクションガイド30の表示を消した場合、ファンクションスイッチ16への入力を受け付けないようにしている。このようにすることで、誤ってファンクションスイッチ16を操作した場合であっても表示装置15に表示されている画面の変更は生じないので、作業者は、ブルドーザ1の操作時に必要な建設機械情報を確実に取得することができる。
【0058】
ブルドーザ1の操作中でない場合(ステップS102、No)、ステップS104において、制御装置20は、図8に示すように、表示装置15にファンクションガイド30を表示する。このとき、制御装置20は、ファンクションガイド30を表示したとき、ブルドーザ1の操作中でない場合に比べ、操作時に表示することに意味のある建設機械情報については、表示装置15に表示しない。このような建設機械情報としては、例えば、ブルドーザ1の車速がある。ブルドーザ1の車速は、ブルドーザ1の停止時には0になるが、ブルドーザ1の停止時において車速が0であることが表示装置15に表示されても、このような情報は、作業者にとって、操作時に表示される車速に比べ、意味を持たない。
【0059】
ファンクションガイド30を表示装置15に表示したときには、ブルドーザ1の操作中でない場合に比べ、操作時に表示することに意味のある建設機械情報を表示しないようにすることで、ブルドーザ1の操作中でない場合に比べ、操作時に表示することに意味のある必要な建設機械情報を表示するアイコン、例えば、省エネゲージ36が表示されていたスペースSが空くことになる。その結果、表示装置15に表示する建設機械情報の量が増加した場合でも、増加分のアイコン41V等を前述したスペースSに表示することができるので、表示される建設機械情報の増加にも対応できる。
【0060】
上述した例では、ブルドーザ1が走行中である場合とブレード9を操作している場合とでは、いずれも表示装置15の表示は同一である。しかし、制御装置20は、ブルドーザ1が走行中である場合とブレード9を操作している場合とで、表示装置15の表示を変更してもよい。例えば、ブルドーザ1が走行している場合、制御装置20は、走行に必要な建設機械情報、例えば、車速、燃料消費率等をファンクションガイド30の位置に表示してもよい。また、ブルドーザ1が停止した状態でブレード9が操作されている場合、ブレード9の操作に必要な建設機械情報、例えば、チルト角、昇降量等をファンクションガイド30の位置に表示してもよい。このようにすれば、ブルドーザ1の走行中とブレード9の操作中とで、より適切な建設機械情報を表示装置15に表示できるので、作業者は表示装置15に表示される建設機械情報をより有効に活用することができる。
【0061】
ステップS102において、ブルドーザ1の操作中であるか否かは、操作レバー、具体的には、走行操作レバー17と作業機操作レバー18との少なくとも一方が中立であるか否かに基づいて判断される。制御装置20は、操作レバーが中立の位置にある状態が、予め定めた所定時間を超えて継続するならば中立と判断し、中立の位置にある状態が所定時間以内であれば中立でない、すなわち操作レバーが操作されていると判断する。
【0062】
例えば、走行操作レバー17が前進から後進又は後進から前進に移行している段階において、制御装置20は走行操作レバー17が中立であるとは判断しない。同様に、走行操作レバー17が前進又は後進に操作されている場合、制御装置20は、走行操作レバー17が中立であるとは判断しない。走行操作レバー17が前進と後進との間にある状態、すなわち中立の位置に状態が所定時間を超えて継続した場合、制御装置20は、走行操作レバー17が中立であると判断する。
【0063】
制御装置20は、操作レバーが中立でない場合、すなわち操作レバーが中立の位置にある状態が所定時間以内である場合、ブルドーザ1の操作中であるとして(ステップS102、Yes)、処理をステップS103に進める。また、操作レバーが中立である場合、すなわち操作レバーが中立の位置にある状態が所定時間を超えて継続した場合、ブルドーザ1の操作中でないとして(ステップS102、No)、処理をステップS104に進める。
【0064】
ブルドーザ1は、操作レバーが瞬間的に中立に入った場合、例えば、走行操作レバー17が前進から後進に移行している段階等にはブルドーザ1の操作が継続されるが、上述のようにすることで、操作レバーが瞬間的に中立に入った場合において、ブルドーザ1の操作時における画面の表示が継続される。この場合、表示装置15にファンクションガイド30は表示されない。このため、表示装置15の画面の煩雑な切り替えを回避できるとともに、作業者は、ブルドーザ1の操作時に必要な建設機械情報を表示装置15から取得できる。
【0065】
ブルドーザ1の操作中に、何らかの不具合が発生する場合がある。このような場合、図9に示すように、表示装置15には、エラーコード42と、不具合が発生したことを示す不具合報知用アイコン43とが表示される。ブルドーザ1の操作中に何らかの不具合が発生した場合、制御装置20は、図9に示すように、ブルドーザ1に発生した不具合の情報を表示する画面に切り替えるためのファンクションスイッチ16eを示すためのファンクションガイド30eを表示装置15に表示する。このようにすることで、作業者は、ファンクションスイッチ16eを操作して、不具合の詳細が記述された画面を表示装置15に読み出して、早期に解決を図ることができる。なお、本実施形態では、ファンクションガイド30eが表示される位置には図7に示す省エネゲージ36が表示されている。このため、制御装置20は、省エネゲージ36を消した上でファンクションガイド30eを表示装置15に表示する。
【0066】
<メニュー画面の一例>
図10は、メニュー画面の一例を示す図である。同図に示す表示装置15には、メニュー画面44が表示されている。メニュー画面44は、作業者が情報表示装置100を使いやすいようにカスタマイズするための画面である。メニュー画面44が表示されると、それぞれのファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fは、対応するファンクションガイド30a、30b、30c、30d、30e、30fによってカーソル移動機能及び確定機能等が付与される。
【0067】
図10に示すように、メニュー画面44は、複数の機能を選択できる機能表示タブ45を有している。図10においては、メニュー画面44が表示する機能として省エネガイダンスが選択されている。そして、メニュー画面44には、省エネガイダンスが有する複数の設定項目46a、46b、46c、46dが表示されている。作業者は、ファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fを用いて機能を選択したり、選択した機能の設定項目を設定したりする。
【0068】
表示装置15の表示がメニュー画面44に切り替わった後、所定の時間入力がない場合、制御装置20は、表示装置15の表示を標準画面、すなわち、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面に切り替える。上述したように、メニュー画面44は、設定のためにファンクションガイド30a、30b、30c、30d、30e、30fが表示されている。表示装置15にメニュー画面44が表示されている状態で、走行操作レバー17と作業機操作レバー18との少なくとも一方に入力があると、制御装置20は、表示装置15にメニュー画面44を表示した状態を維持する。すなわち、ファンクションガイド30a、30b、30c、30d、30e、30fが表示されるとともに、制御装置20はファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fの入力を受け付ける。これは、作業者がメニュー画面44を表示しているということは、作業者が何らかの意図を持って表示していることが予想できるので、作業者の意思を優先するためである。
【0069】
表示装置15の表示がメニュー画面44に切り替わった後、制御装置20は、表示装置15にメニュー画面44を表示した状態を維持する。すなわち、表示装置15には、ファンクションガイド30a、30b、30c、30d、30e、30fが表示されるとともに、制御装置20はファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fの入力を受け付ける。制御装置20は、所定の時間、ファンクションスイッチ16a、16b、16c、16d、16e、16fに対する入力がない場合、表示装置15の表示を標準画面、すなわち、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面に切り替える。
【0070】
<変形例>
図11、図12は、本実施形態に係る情報表示方法をブルドーザ以外の建設機械に適用した例を示す図である。本変形例では、ブルドーザ1以外の建設機械として、油圧ショベルを例とする。図11は、油圧ショベルの操作中でない場合の表示装置15の表示例であり、図12は、油圧ショベルの操作中である場合の表示装置15の表示例である。本変形例においては、上述した情報表示装置100(図3参照)を油圧ショベルにそのまま適用している。
【0071】
表示装置15は、エンジン水温ゲージ32、作動油温度ゲージ33、燃料ゲージ34、省エネゲージ36及びファンクションガイド30c、30d、30fを表示している。ファンクションガイド30c、30d、30fに対応するファンクションスイッチ16c、16d、16fに、それぞれ所定の機能が割り振られている。表示装置15が表示する画面には、燃料ゲージ34及びエンジン水温ゲージ32により、少なくとも燃料量の情報及びエンジン水温の情報が表示されている。したがって、表示装置15が表示している画面は標準画面である。
【0072】
油圧ショベルの操作中である場合、図3に示す制御装置20は、図12に示すように、ファンクションガイド30c、30d、30fを消して、そのスペースにブレーカ流量設定値47及びアタッチメント流量設定値48を表示する。このようにすることでブルドーザ1以外の建設機械であっても、建設機械の操作時においては、より多くの建設機械情報を表示できるようになる。また、省エネゲージ36をファンクションガイド30c、30d、30fのスペースに表示させれば、省エネゲージ36が空いたスペースに他の建設機械情報を表示させることもできる。
【0073】
ブレーカ流量設定値47及びアタッチメント流量設定値48は、標準画面以外の画面に含まれるため、これらを表示させる場合、ファンクションスイッチ16を何度も切り替える必要がある。標準画面に表示されている建設機械情報以外の建設機械情報(本変形例ではブレーカ流量設定値47及びアタッチメント流量設定値48)を、ファンクションガイド30c、30d、30fを消した位置に表示するようにすれば、煩雑なファンクションスイッチ16の切り替え操作をしなくても、操作中に所望の建設機械情報を表示装置15に表示させることができる。
【0074】
以上、本実施形態及び変形例は、建設機械を操作している場合、操作時には表示する必要のないファンクションガイドの表示を表示装置から消す。このようにすれば、ファンクションガイドが表示されていた位置に他の建設機械情報、例えば、建設機械の操作時に必要な建設機械情報を表示することができる。ファンクションガイドが表示されていた位置を利用するので、建設機械情報を表現する指標としてのアイコン等の大きさを小さくする必要はない。その結果、表示装置の視認性を確保しつつ、建設機械の操作時に必要な建設機械情報をより多く表示装置に表示することができる。また、作業者は、走行操作レバーと作業機操作レバーから手を離さずに建設機械の操作時に必要とする建設機械情報を把握することができる。また、ファンクションガイドが表示されていた位置に他の建設機械情報を表示することにより空いたスペースに、建設機械のモデルチェンジ等によって追加された機能の情報を表示することもできる。このようにすれば、表示装置に表示する情報の量が増加した場合でも、容易に対応できる。本実施形態及び変形例は、建設機械の種類を問わないが、エンジン水温及び燃料量の表示とともに、車速の表示又はトランスミッションに関する情報(例えば、ミッションオイル温度)の表示等、表示装置に表示される情報が多い、ブルドーザのような建設機械に対して特に好適である。なお、本実施形態及び変形例に係る建設機械の情報表示装置、方法及びコンピュータプログラムの適用対象は、上述した建設機械はブルドーザ及び油圧ショベルに限定されるものではなく、例えば、ホイールローダーその他の建設機械であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ブルドーザ
1B 車体
2 走行装置
5 エンジン
6 トランスミッション
7 油圧ポンプ
9 ブレード
12 キャブ
12S シート
12P 操作ペダル
14 ダッシュボード
15 表示装置
16、16a、16b、16c、16d、16e、16f ファンクションスイッチ
17 走行操作レバー
18 作業機操作レバー
20 制御装置
21 処理部
22 記憶部
23 入出力部
24 通信回線
25 走行制御装置
26 作業機制御装置
27 エンジン制御装置
28P パーキングブレーキ
28L 作業機ロックレバー
29 車速センサ
30、30a、30b、30c、30d、30e、30f ファンクションガイド
31 マルチゲージ
32 エンジン水温ゲージ
34 燃料ゲージ
36 省エネゲージ
39a、39b 機能表示アイコン
39a’ 牽引力ゲージ
40 車速ゲージ
41V アイコン
44 メニュー画面
100 情報表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械に搭載されて、前記建設機械の各種の情報を表示する表示装置と、
前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面において、前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消す制御装置と、
を含むことを特徴とする建設機械の情報表示装置。
【請求項2】
前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力は受け付けられない請求項1に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項3】
前記制御装置は、消した前記ガイド用指標の位置に、前記建設機械の操作中に必要な情報を表示する請求項1又は2に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項4】
前記制御装置が消した前記ガイド用指標の位置に表示される情報は、複数種類の情報を前記表示切替スイッチで切り替えて表示する指標に割り当てられた情報である請求項2に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記建設機械の作業中に前記建設機械に不具合が発生した場合には、前記不具合の情報を表示する画面に切り替えるための表示切替スイッチを示すためのガイド用指標を表示する請求項1から4のいずれか1項に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記建設機械が作業中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示する請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記建設機械を操作するための操作レバーに対する入力がある場合に、前記ガイド用指標の表示を消す請求項1から6のいずれか1項に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記操作レバーが中立の位置にある状態が予め定めた所定時間以内であるときには、前記ガイド用指標の表示を消す請求項7に記載の建設機械の情報表示装置。
【請求項9】
建設機械に搭載されて、前記建設機械の各種の情報を表示する表示装置と、
前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチと、
前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている画面において、前記表示装置の画面中の端部に表示されて前記表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消すとともに、消した前記ガイド用指標の位置に前記建設機械の操作中に必要な情報を表示し、また、前記建設機械が作業中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示し、さらに、前記建設機械の作業中に前記建設機械に不具合が発生した場合には、前記不具合の情報を表示する画面に切り替えるための表示切替スイッチを示すためのガイド用指標を表示する制御装置と、
を含み、前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力は受け付けられないことを特徴とする建設機械の情報表示装置。
【請求項10】
建設機械が作業中であるか否かを判定する手順と、
前記建設機械が作業中である場合、少なくとも燃料量の情報とエンジン水温の情報とが表示されている表示装置の画面において、前記表示装置が表示する情報を切り替えるための表示切替スイッチの機能を案内するガイド用指標の表示を消す手順と、
を含むことを特徴とする建設機械の情報表示方法。
【請求項11】
前記ガイド用指標の表示が消された場合には、前記表示切替スイッチに対する入力を受け付けない請求項10に記載の建設機械の情報表示方法。
【請求項12】
前記建設機械の操作中でない場合、前記ガイド用指標を前記表示装置に表示する請求項10又は11に記載の建設機械の情報表示方法。
【請求項13】
前記建設機械を操作するための操作レバーに対する入力があった場合に、前記ガイド用指標の表示を消す請求項10から12のいずれか1項に記載の建設機械の情報表示方法。
【請求項14】
前記操作レバーが中立の位置にある状態が予め定めた所定時間以内であるときには、前記ガイド用指標の表示を消す請求項13に記載の建設機械の情報表示方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか1項に記載の建設機械の情報表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする建設機械の情報表示用コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−104236(P2013−104236A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249236(P2011−249236)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】