建設機械の空調装置
【課題】建設機械の空調装置において、外気フィルタの取り外しをキャブのドア部より行えるようにして、内気フィルタおよび外気フィルタの着脱作業を容易にする。
【解決手段】建設機械のキャブ14内にエアコンユニット37が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置30において、前記キャブ14のドア23側の外側面に外気導入口31を設置し、この外気導入口31の内側に配置された外気フィルタ33を乗降口22およびドア23の近傍から着脱可能に形成した。
【解決手段】建設機械のキャブ14内にエアコンユニット37が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置30において、前記キャブ14のドア23側の外側面に外気導入口31を設置し、この外気導入口31の内側に配置された外気フィルタ33を乗降口22およびドア23の近傍から着脱可能に形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の空調装置に関するものであり、特に、外気フィルタの着脱操作を容易にした建設機械の空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の此種建設機械の空調装置は、キャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成されている。例えば、内外気切換部とは別体に外気導入部を形成し、キャブの背面に穿設された取付口に、外側から外気導入部を挿入して取り付けることにより、接続口、接続管を介して内外気切換部と外気導入部とが接続されて空調装置を組み立てる構成とし、これにより、内外気切換部とキャブとが切り離され、床板上に空調装置本体および内外気切換部を予め設置することを可能にした空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図6〜図8はキャブの背面に外気導入口を設けた構成を示し、図6に示すように、キャブ50内のほぼ中央位置にオペーレータ用のシート51が設置され、キャブ50の一側面に乗降口52を開閉するドア53が取り付けられている。前記シート51の後部には空調装置60が設置され、キャブ50の背面に外気導入口61が設けられている。キャブ50の後方にはエンジンや油圧装置などの駆動装置(図示せず)が搭載され、ハウスカバー54で被蔽してある。
【0004】
図7に示すように、前記空調装置60は、前記外気導入口61の内側に外気フィルタボックス62を設置してあり、この外気フィルタボックス62に外気フィルタ63が収納されている。また、前記空調装置60には、外気導入口61のほかに内気導入口64が設けられ、内気導入口64の内側に設けた内気フィルタボックス65に内気フィルタ66が収納されている。内気循環あるいは外気導入で取り入れられたエアは、エアコンユニット67で空調されて、ダクト68を通過して吹出し口69からキャブ50の内部に送り出される。一方、キャブ50の後方に配設されたハウスカバー54は、ハウスフレーム55に開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられている。また、前記外気導入口61に対向した位置には、フレームカバー56が装着されている。
【0005】
図8に示すように、空調装置60のメンテナンスの際、内気フィルタ66を内気フィルタボックス65から前方へ引き出すことにより、容易に内気フィルタ66を取り外して清掃することができる。一方、外気フィルタ63を清掃する場合は、先ずハウスカバー54を開放した後に、さらにフレームカバー56を取り外し、外気フィルタ63をキャブ50の後方へ取り出して清掃する。
【0006】
図9〜図11はキャブの側面に外気導入口を設けた構成を示し、図9および図10に示すように、キャブ50の側面に外気導入口61が設けられ、この外気導入口61を被蔽する点検カバー70が、キャブ50の側面にヒンジ71を介して開閉可能に取り付けられている。また、点検カバー70には空気取り入れ用の小窓72が複数個開穿されている。
【0007】
図11に示すように、空調装置60のメンテナンスの際は、点検カバー70を開放して外気フィルタ63をキャブ50の側方へ取り出し、一方、内気フィルタ66を前方へ引き出して、それぞれのフィルタを清掃する。
【0008】
また、キャブの左側面部に、乗降口を開閉するドアがヒンジを介してセンタピラーに取り付けられ、該ドア後方の側面下側位置に外気フィルタの保守点検用開口部(外気導入口)を設け、この保守点検用開口部を開閉する点検カバーが、前記ドアのヒンジを共用して開閉可能に取り付けられている構成も知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−199125号公報
【特許文献2】特開2006−57245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および図6〜図8に示すように、外気導入口と外気フィルタがキャブの背面に設けられた構成では、外気フィルタを着脱する際に、ハウスカバーを開放して、さらにフレームカバーを取り外す必要がある。
【0010】
特許文献2および図9〜図11に示すように、外気導入口と外気フィルタがキャブの側面に設けられた構成では、点検カバーを開放すれば比較的容易に外気フィルタを着脱することができる。しかし、キャブの側面にヒンジを設けて点検カバーを取り付けるため、コストアップの要因になるとともに、キャブ全体の美観を損ねることにもなる。
【0011】
また、何れの構成も、内気フィルタはキャブのドア部で着脱し、外気フィルタはキャブの背面部または側面部で着脱するので、清掃作業が煩雑となり作業者の負担が増大している。
【0012】
そこで、建設機械の空調装置において、外気フィルタの取り外しをキャブのドア部より行えるようにして、内気フィルタおよび外気フィルタの着脱作業を容易にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことを特徴とする建設機械の空調装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、キャブのドア側の外側面に設置した外気導入口から、キャブ周辺の外気が導入され、外気導入口の内側に配置された外気フィルタにより、外気中に含まれた塵埃などの異物が除去されて空調装置に導入される。また、外気フィルタはドア部から着脱することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して上記外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、前記外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、外気フィルタは、外気導入口の内側に設置された外気フィルタボックスに収納され、収納位置からドア部までスライド可能であるため、外気フィルタを着脱する際は、収納位置から外気フィルタを引き出してドア部から外気フィルタを取り出す。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を上記外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、外気フィルタには把持部が設けられてドア部近傍まで延設されているので、この把持部を把持して引き出せば、ドア部から外気フィルタを着脱することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、上記外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、内気導入口および内気フィルタが外気フィルタボックスの内側に設置されているので、内気フィルタおよび外気フィルタの双方のフィルタをドア部から着脱することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明は、キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したので、外気中に含まれた塵埃などの異物を除去できるとともに、メンテナンス時にはハウスカバーやフレームカバーなどを取り外すことなく、外気フィルタを着脱することができる。したがって、外気フィルタの着脱が容易となり、作業性が向上できる。また、キャブの側面にヒンジなどで点検カバーを取り付けないので、キャブ全体の美観を向上することができる。
【0022】
請求項2記載の発明は、外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したので、請求項1記載の効果に加えて、収納位置から外気フィルタを引き出してドア部から外気フィルタを取り出すことができる。
【0023】
請求項3記載の発明は、外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、把持部を把持して引き出すことにより、ドア部から外気フィルタを容易に着脱することができる。
【0024】
請求項4記載の効果に加えて、外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したので、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、内気フィルタおよび外気フィルタの双方のフィルタをドア部から着脱することができる。したがって、フィルタの着脱操作が簡便となり、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の空調装置について、好適な実施例をあげて説明する。外気フィルタの取り外しをキャブのドア部より行えるようにして、内気フィルタおよび外気フィルタの着脱作業を容易にするという目的を達成するために、本発明は建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことにより実現した。
【実施例1】
【0026】
図1は建設機械の一例として油圧ショベル10を示し、下部走行体11の上に旋回機構12を介して上部旋回体13が旋回自在に載置されている。上部旋回体13にはその前方一側部にキャブ14が設けられ、キャブ14の後方にエンジンや油圧装置などの駆動装置15が搭載され、ハウスカバー16にて被蔽してある。また、上部旋回体13の前方中央部にブーム17が俯仰可能に取り付けられている。更に、ブーム17の先端にアーム18が上下回動自在に取り付けられ、該アーム18の先端にバケット19が取り付けられている。
【0027】
前記キャブ14内のほぼ中央位置にオペーレータ用のシート21が設置され、キャブ14の一側面に乗降口22を開閉するドア23が取り付けられている。前記シート21の後部には空調装置30が設置され、キャブ14の側面に外気導入口31が設けられている。この外気導入口31には、図9に示した従来型のような点検カバーは取り付けられてなく、キャブ14の側面に小窓のみを開穿して外気導入口31が形成されている。
【0028】
図2〜図4に示すように、前記空調装置30は、前記外気導入口31の内側に外気フィルタボックス32を設置してあり、この外気フィルタボックス32に外気フィルタ33が収納されている。この外気フィルタボックス32は、キャブ14内で乗降口22およびドア23(以下、ドア部という)の近傍まで延設されており、前記外気フィルタ33が図示した収納位置からドア部までスライド可能に形成されている。
【0029】
また、前記空調装置30には、外気導入口31のほかに内気導入口34が設けられ、内気導入口34の内側に設けた内気フィルタボックス35に内気フィルタ36が収納されている。内気循環あるいは外気導入で取り入れられたエアは、エアコン本体であるエアコンユニット37で空調されて、ダクト38を通過して吹出し口39からキャブ14の内部に送り出される。
【0030】
ここで、前記外気フィルタ33にはドア部方向に把持部40が設けられ、該把持部40の先端は外気フィルタボックス32のドア部近傍まで延設されて、外気フィルタボックス32より僅かに突出し、ドア部から把持部40の先端を把持できるように形成されている。また、内気フィルタ36にもドア部方向に把持部41が設けられ、該把持部41の先端が内気フィルタボックス35より僅かに突出し、ドア部から把持部41の先端を把持できるように形成されている。
【0031】
図5に示すように、空調装置30のメンテナンスの際、内気フィルタ36の把持部41を把持して内気フィルタボックス35から前方へ引き出して、内気フィルタ36を取り外す。また、外気フィルタ33についても同様に、把持部40を把持して外気フィルタボックス32から前方へ引き出して、外気フィルタ33を取り外す。
【0032】
このように、外気フィルタ33を着脱するに際して、従来型のように、ハウスカバーやフレームカバーなどを取り外すことなく、ドア部から容易に外気フィルタ33を取り出すことができ、内気フィルタ36および外気フィルタ33の双方のフィルタをドア部から容易に着脱することができるので、フィルタの着脱操作が簡便となり、作業者の負担を軽減することができる。また、キャブ14の側面にヒンジなどで点検カバーを取り付けないので、キャブ14全体の美観を向上することができる。
【0033】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係る空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図3】本発明に係る空調装置の稼動時の状態を示す背面図。
【図4】本発明に係る空調装置の外気フィルタの斜視図。
【図5】本発明に係る空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【図6】従来の空調装置でキャブ背面に外気導入口を設けた構成を示す側面図。
【図7】図6の空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図8】図6の空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【図9】従来の空調装置でキャブ側面に外気導入口を設けた構成を示す側面図。
【図10】図9の空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図11】図9の空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0035】
10 油圧ショベル
14 キャブ
22 乗降口(ドア部)
23 ドア(ドア部)
30 空調装置
31 外気導入口
32 外気フィルタボックス
33 外気フィルタ
34 内気導入口
35 内気フィルタボックス
36 内気フィルタ
37 エアコンユニット(本体)
40 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は建設機械の空調装置に関するものであり、特に、外気フィルタの着脱操作を容易にした建設機械の空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の此種建設機械の空調装置は、キャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成されている。例えば、内外気切換部とは別体に外気導入部を形成し、キャブの背面に穿設された取付口に、外側から外気導入部を挿入して取り付けることにより、接続口、接続管を介して内外気切換部と外気導入部とが接続されて空調装置を組み立てる構成とし、これにより、内外気切換部とキャブとが切り離され、床板上に空調装置本体および内外気切換部を予め設置することを可能にした空調装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
図6〜図8はキャブの背面に外気導入口を設けた構成を示し、図6に示すように、キャブ50内のほぼ中央位置にオペーレータ用のシート51が設置され、キャブ50の一側面に乗降口52を開閉するドア53が取り付けられている。前記シート51の後部には空調装置60が設置され、キャブ50の背面に外気導入口61が設けられている。キャブ50の後方にはエンジンや油圧装置などの駆動装置(図示せず)が搭載され、ハウスカバー54で被蔽してある。
【0004】
図7に示すように、前記空調装置60は、前記外気導入口61の内側に外気フィルタボックス62を設置してあり、この外気フィルタボックス62に外気フィルタ63が収納されている。また、前記空調装置60には、外気導入口61のほかに内気導入口64が設けられ、内気導入口64の内側に設けた内気フィルタボックス65に内気フィルタ66が収納されている。内気循環あるいは外気導入で取り入れられたエアは、エアコンユニット67で空調されて、ダクト68を通過して吹出し口69からキャブ50の内部に送り出される。一方、キャブ50の後方に配設されたハウスカバー54は、ハウスフレーム55に開閉可能あるいは着脱可能に取り付けられている。また、前記外気導入口61に対向した位置には、フレームカバー56が装着されている。
【0005】
図8に示すように、空調装置60のメンテナンスの際、内気フィルタ66を内気フィルタボックス65から前方へ引き出すことにより、容易に内気フィルタ66を取り外して清掃することができる。一方、外気フィルタ63を清掃する場合は、先ずハウスカバー54を開放した後に、さらにフレームカバー56を取り外し、外気フィルタ63をキャブ50の後方へ取り出して清掃する。
【0006】
図9〜図11はキャブの側面に外気導入口を設けた構成を示し、図9および図10に示すように、キャブ50の側面に外気導入口61が設けられ、この外気導入口61を被蔽する点検カバー70が、キャブ50の側面にヒンジ71を介して開閉可能に取り付けられている。また、点検カバー70には空気取り入れ用の小窓72が複数個開穿されている。
【0007】
図11に示すように、空調装置60のメンテナンスの際は、点検カバー70を開放して外気フィルタ63をキャブ50の側方へ取り出し、一方、内気フィルタ66を前方へ引き出して、それぞれのフィルタを清掃する。
【0008】
また、キャブの左側面部に、乗降口を開閉するドアがヒンジを介してセンタピラーに取り付けられ、該ドア後方の側面下側位置に外気フィルタの保守点検用開口部(外気導入口)を設け、この保守点検用開口部を開閉する点検カバーが、前記ドアのヒンジを共用して開閉可能に取り付けられている構成も知られている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平6−199125号公報
【特許文献2】特開2006−57245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および図6〜図8に示すように、外気導入口と外気フィルタがキャブの背面に設けられた構成では、外気フィルタを着脱する際に、ハウスカバーを開放して、さらにフレームカバーを取り外す必要がある。
【0010】
特許文献2および図9〜図11に示すように、外気導入口と外気フィルタがキャブの側面に設けられた構成では、点検カバーを開放すれば比較的容易に外気フィルタを着脱することができる。しかし、キャブの側面にヒンジを設けて点検カバーを取り付けるため、コストアップの要因になるとともに、キャブ全体の美観を損ねることにもなる。
【0011】
また、何れの構成も、内気フィルタはキャブのドア部で着脱し、外気フィルタはキャブの背面部または側面部で着脱するので、清掃作業が煩雑となり作業者の負担が増大している。
【0012】
そこで、建設機械の空調装置において、外気フィルタの取り外しをキャブのドア部より行えるようにして、内気フィルタおよび外気フィルタの着脱作業を容易にするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことを特徴とする建設機械の空調装置を提供する。
【0014】
この構成によれば、キャブのドア側の外側面に設置した外気導入口から、キャブ周辺の外気が導入され、外気導入口の内側に配置された外気フィルタにより、外気中に含まれた塵埃などの異物が除去されて空調装置に導入される。また、外気フィルタはドア部から着脱することができる。
【0015】
請求項2記載の発明は、上記外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して上記外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、前記外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0016】
この構成によれば、外気フィルタは、外気導入口の内側に設置された外気フィルタボックスに収納され、収納位置からドア部までスライド可能であるため、外気フィルタを着脱する際は、収納位置から外気フィルタを引き出してドア部から外気フィルタを取り出す。
【0017】
請求項3記載の発明は、上記外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を上記外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、外気フィルタには把持部が設けられてドア部近傍まで延設されているので、この把持部を把持して引き出せば、ドア部から外気フィルタを着脱することができる。
【0019】
請求項4記載の発明は、上記外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の建設機械の空調装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、内気導入口および内気フィルタが外気フィルタボックスの内側に設置されているので、内気フィルタおよび外気フィルタの双方のフィルタをドア部から着脱することができる。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の発明は、キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したので、外気中に含まれた塵埃などの異物を除去できるとともに、メンテナンス時にはハウスカバーやフレームカバーなどを取り外すことなく、外気フィルタを着脱することができる。したがって、外気フィルタの着脱が容易となり、作業性が向上できる。また、キャブの側面にヒンジなどで点検カバーを取り付けないので、キャブ全体の美観を向上することができる。
【0022】
請求項2記載の発明は、外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したので、請求項1記載の効果に加えて、収納位置から外気フィルタを引き出してドア部から外気フィルタを取り出すことができる。
【0023】
請求項3記載の発明は、外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したので、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、把持部を把持して引き出すことにより、ドア部から外気フィルタを容易に着脱することができる。
【0024】
請求項4記載の効果に加えて、外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したので、請求項1,2または3記載の発明の効果に加えて、内気フィルタおよび外気フィルタの双方のフィルタをドア部から着脱することができる。したがって、フィルタの着脱操作が簡便となり、作業者の負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明に係る建設機械の空調装置について、好適な実施例をあげて説明する。外気フィルタの取り外しをキャブのドア部より行えるようにして、内気フィルタおよび外気フィルタの着脱作業を容易にするという目的を達成するために、本発明は建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことにより実現した。
【実施例1】
【0026】
図1は建設機械の一例として油圧ショベル10を示し、下部走行体11の上に旋回機構12を介して上部旋回体13が旋回自在に載置されている。上部旋回体13にはその前方一側部にキャブ14が設けられ、キャブ14の後方にエンジンや油圧装置などの駆動装置15が搭載され、ハウスカバー16にて被蔽してある。また、上部旋回体13の前方中央部にブーム17が俯仰可能に取り付けられている。更に、ブーム17の先端にアーム18が上下回動自在に取り付けられ、該アーム18の先端にバケット19が取り付けられている。
【0027】
前記キャブ14内のほぼ中央位置にオペーレータ用のシート21が設置され、キャブ14の一側面に乗降口22を開閉するドア23が取り付けられている。前記シート21の後部には空調装置30が設置され、キャブ14の側面に外気導入口31が設けられている。この外気導入口31には、図9に示した従来型のような点検カバーは取り付けられてなく、キャブ14の側面に小窓のみを開穿して外気導入口31が形成されている。
【0028】
図2〜図4に示すように、前記空調装置30は、前記外気導入口31の内側に外気フィルタボックス32を設置してあり、この外気フィルタボックス32に外気フィルタ33が収納されている。この外気フィルタボックス32は、キャブ14内で乗降口22およびドア23(以下、ドア部という)の近傍まで延設されており、前記外気フィルタ33が図示した収納位置からドア部までスライド可能に形成されている。
【0029】
また、前記空調装置30には、外気導入口31のほかに内気導入口34が設けられ、内気導入口34の内側に設けた内気フィルタボックス35に内気フィルタ36が収納されている。内気循環あるいは外気導入で取り入れられたエアは、エアコン本体であるエアコンユニット37で空調されて、ダクト38を通過して吹出し口39からキャブ14の内部に送り出される。
【0030】
ここで、前記外気フィルタ33にはドア部方向に把持部40が設けられ、該把持部40の先端は外気フィルタボックス32のドア部近傍まで延設されて、外気フィルタボックス32より僅かに突出し、ドア部から把持部40の先端を把持できるように形成されている。また、内気フィルタ36にもドア部方向に把持部41が設けられ、該把持部41の先端が内気フィルタボックス35より僅かに突出し、ドア部から把持部41の先端を把持できるように形成されている。
【0031】
図5に示すように、空調装置30のメンテナンスの際、内気フィルタ36の把持部41を把持して内気フィルタボックス35から前方へ引き出して、内気フィルタ36を取り外す。また、外気フィルタ33についても同様に、把持部40を把持して外気フィルタボックス32から前方へ引き出して、外気フィルタ33を取り外す。
【0032】
このように、外気フィルタ33を着脱するに際して、従来型のように、ハウスカバーやフレームカバーなどを取り外すことなく、ドア部から容易に外気フィルタ33を取り出すことができ、内気フィルタ36および外気フィルタ33の双方のフィルタをドア部から容易に着脱することができるので、フィルタの着脱操作が簡便となり、作業者の負担を軽減することができる。また、キャブ14の側面にヒンジなどで点検カバーを取り付けないので、キャブ14全体の美観を向上することができる。
【0033】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明が適用された油圧ショベルの側面図。
【図2】本発明に係る空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図3】本発明に係る空調装置の稼動時の状態を示す背面図。
【図4】本発明に係る空調装置の外気フィルタの斜視図。
【図5】本発明に係る空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【図6】従来の空調装置でキャブ背面に外気導入口を設けた構成を示す側面図。
【図7】図6の空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図8】図6の空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【図9】従来の空調装置でキャブ側面に外気導入口を設けた構成を示す側面図。
【図10】図9の空調装置の稼動時の状態を示す平面図。
【図11】図9の空調装置のメンテナンス時の状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0035】
10 油圧ショベル
14 キャブ
22 乗降口(ドア部)
23 ドア(ドア部)
30 空調装置
31 外気導入口
32 外気フィルタボックス
33 外気フィルタ
34 内気導入口
35 内気フィルタボックス
36 内気フィルタ
37 エアコンユニット(本体)
40 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、
前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことを特徴とする建設機械の空調装置。
【請求項2】
上記外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して上記外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、前記外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項3】
上記外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を上記外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の空調装置。
【請求項4】
上記外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の建設機械の空調装置。
【請求項1】
建設機械のキャブ内に本体が設けられ、内気循環と外気導入を切換可能に形成された空調装置において、
前記キャブのドア側の外側面に外気導入口を設置し、この外気導入口の内側に配置された外気フィルタをドア部から着脱可能に形成したことを特徴とする建設機械の空調装置。
【請求項2】
上記外気導入口の内側に外気フィルタボックスを設置して上記外気フィルタを収納し、この外気フィルタボックスをキャブ内でドア部近傍まで延設し、前記外気フィルタを収納位置からドア部までスライド可能に形成したことを特徴とする請求項1記載の建設機械の空調装置。
【請求項3】
上記外気フィルタにはドア部方向に把持部を設け、該把持部の先端を上記外気フィルタボックスのドア部近傍まで延設したことを特徴とする請求項1または2記載の建設機械の空調装置。
【請求項4】
上記外気フィルタボックスの内側に内気導入口および内気フィルタを設置し、この内気フィルタをドア部より取り外し可能に形成したことを特徴とする請求項1,2または3記載の建設機械の空調装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−18599(P2009−18599A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180504(P2007−180504)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(501132804)住友建機製造株式会社 (271)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(501132804)住友建機製造株式会社 (271)
【Fターム(参考)】
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