説明

建設機械の運転状態表示装置

【課題】建設機械の周辺の処理作業を行っている作業者が、建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を知ることができ、建設機械の始動後に安心して作業を行うことができる建設機械の運転状態表示装置を提供する。
【解決手段】建設機械1における旋回体3の外周面の後方部分に設置され、発光ダイオードによる発光パネル17と、電源キースイッチ54のオン信号、ゲートロックレバースイッチ57のオンオフ信号、電流センサ56からの信号を取り込み、電源オン後のゲートロックレバーの上げ下げによるゲートロックレバースイッチ57のオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、発光ダイオードパネル17を制御するコントローラ60とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の運転状態表示装置に係り、更に詳しくは、建設機械の後方近傍にいる作業者等に建設機械が如何なる動作状態にあるかを知らせることができる建設機械の運転状態表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工事現場等で稼動する建設機械の周囲には、作業員やダンプカー等の自走式機械が点在しているため、建設機械の運転手は、建設機械の周囲、特に視界の悪い後方の作業員やダンプカー等の自走式機械に対する安全を考慮することが求められている。
【0003】
そして、建設機械の使用時に、建設機械の後方部にいる作業者に注意を促す方策として、例えば、特許文献1には、建設機械の後方への移動、旋回等の開始動作をセンサで検知し、このセンサの検知信号を制御手段が取り込み、制御手段は建設機械における旋回体の旋回、建設機械の後方への移動等の開始動作に先立って、建設機械における旋回体の後部に設けた発光シ−トの発光態様を制御し、建設機械の周辺に注意を促すものがある。
【0004】
また、同様な観点で、特許文献2には、進行方向判定手段では、入力側に油圧ショベルの旋回体の旋回操作レバーや走行用の操作レバーの動きをセンサで検出し、このセンサからの検出信号に基づいて、旋回体の旋回方向や走行方向を表示パターン決定手段で判定し、旋回方向や走行方向等を示す表示パターンを外部警報表示部を用いて表示し、建設機械の動く方向を知らせるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−298358号公報
【特許文献2】特開平7−102596号公報(段落0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術においては、工事現場内での建設機械の周辺の処理作業を行っている作業者は、建設機械における旋回体の旋回開始、走行開始を知ることができるが、建設機械における旋回体の旋回開始、走行開始以前の状態を知ることができない。
【0007】
このため、作業者にとって、建設機械における旋回体の旋回開始、走行開始以前に建設機械の電源がオンになったかどうかや、電源オン後の建設機械の動作の変化が分かると、建設機械の始動後に安心して作業を行うことができる。
【0008】
本発明の目的は、建設機械の周辺の処理作業を行っている作業者が、建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を知ることができ、建設機械の始動後に安心して作業を行うことができる建設機械の運転状態表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、建設機械の後方近傍にいる作業者に対して建設機械が動作可能な状態であるかを知らせることができる建設機械の運転状態表示装置であって、前記建設機械における旋回体の外周面の後方部分に設置された発光ダイオードパネルと、電源キースイッチと、ゲートロックレバーの上げ下げに連動してオンオフするゲートロックレバースイッチと、エンジンの始動を検出する電流センサと、前記電源キースイッチのオン信号、前記ゲートロックレバースイッチのオンオフ信号、前記電流センサからの信号を取り込み、電源オン後のゲートロックレバーの上げ下げによるゲートロックレバースイッチのオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、前記発光ダイオードパネルを制御するコントローラとを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記エンジンのオートアイドル状態を検出するオートアイドルセンサを更に備え、前記コントローラは、オートアイドルセンサからの信号を取り込み、前記エンジンがオートアイドル状態にあるか否かも含めて前記建設機械の一連の動作の遷移を識別表示するように、前記発光ダイオードパネルを制御することを特徴とする。
【0011】
更に、第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記発光ダイオードパネルは、3原色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルであり、前記コントローラは、前記運転状態の遷移が異なる色の点灯、点滅、明るさで識別表示されるように、前記発光ダイオードパネルを制御することを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1又は第2の発明において、前記発光ダイオードパネルは、単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルであり、前記コントローラは、前記運転状態の遷移が単色の点灯、点滅、明るさの有無で識別表示されるように、前記発光ダイオードパネルを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始以前の動作可能な状態(建設機械のオペレータの動作状態動作可能な状態)を、建設機械の周辺にいる作業者等に極め細やかに注意を促すことができるので、建設機械の周辺にいる作業者等は、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始までの建設機械の動作可能な状態を察知することができる。その結果、作業者による工事現場内での建設機械の周辺の処理作業効率が向上するとともに、その安全性も確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を備えた建設機械の側面図である。
【図2】図1に示す本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を備えた建設機械の旋回体の背面斜視図である。
【図3】本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する建設機械の制御回路図である。
【図4】本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する発光ダイオードパネルの制御回路図である。
【図5】本発明の運転状態表示装置の一実施の形態における各検出器からの検出信号と3原色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルの発光との関係を示す表図である。
【図6】本発明の運転状態表示装置の一実施の形態における各検出器からの検出信号と単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルの発光との関係を示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の建設機械の運転状態表示装置の実施の形態を図面を用いて説明する。
図1乃至図5は、本発明の建設機械の運転状態表示装置の一実施の形態を示すもので、図1は本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を備えた建設機械の側面図、図2は図1に示す本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を備えた建設機械の旋回体の背面斜視図、図3は本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する建設機械の制御回路図、図4は本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する発光ダイオードパネルの制御回路図、図5は本発明の運転状態表示装置の一実施の形態における各検出器からの検出信号と3原色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルの発光との関係を示す表図である。
【0016】
図1及び図2において、建設機械の代表例となるキャノピ仕様の油圧ショベル1は、走行体2と、走行体2上に旋回可能に搭載された旋回体3と、旋回体3の前側で、左,右の中間位置に俯仰動可能に設けられた多関節形式の作業装置4とにより大略構成されている。また、走行体2は、駆動輪2Aと遊動輪2Bとの間に履帯2Cを巻回してなるクローラ式の走行体として構成されている。
【0017】
旋回体3の支持構造体をなす旋回フレーム5の前部側には、フロア部6が設置されている。フロア部6上には、オペレータが着座する運転席7が設けられている。旋回フレーム5の前部側におけるフロア部6には、運転席7の上方を覆うキャノピ8が設けられている。
【0018】
また、運転席7の前側には、左,右方向の中央に位置して走行用レバー9が配設され、左,右両側に位置してアタッチメント(図示せず)等を操作するための補助用ペダル10(左側のみ図示)が配設されている。一方、運転席7の左,右両側には、作業用レバー11(左側のみ図示)が配設されている。また、運転席7前側には、電源のオンオフ、及び後述のエンジンの始動用のキースイッチ(図示せず)が設置されている。
【0019】
また、作業用レバー11の側部には、ゲートロックレバー12が設置されている。ゲートロックレバー12は、押し下げてほぼ水平に配置することにより、乗降口を遮ってオペレータの乗降を規制し(ゲートロック・オン)、引き上げることによって乗降口を開放すると共に、作業用レバー11による操作を無効にする(ゲートロック・オフ)。即ち、ゲートロックレバー12が引き上げられると、これに連動してゲートロックスイッチ(後述する)がオンとなり、例えば、油圧ポンプからの圧油を制御する制御弁のパイロット操作部にパイロット操作圧油を導く2位置切換型のロックバルブが遮断位置に切り換えられ、また、ゲートロックレバー12が押し下げられてほぼ水平に配置されると、これに連動してゲートロックスイッチ(後述する)がオフとなり、例えば、油圧ポンプからの圧油を制御する制御弁のパイロット操作部にパイロット操作圧油を導く2位置切換型のロックバルブが連通位置に切り換えられ、操作レバーによる操作が可能になる。
【0020】
旋回フレーム5の後部側には、動力源となるエンジン13、エンジン13により駆動される油圧ポンプ14等が左,右方向に延在する横置き状態で搭載されている。また、旋回フレーム5には、油圧ポンプ14からの圧油をシリンダ等の油圧作動機器に切換える制御弁、作動油タンク、燃料タンク(いずれも図示せず)等が設けられている。
【0021】
旋回フレーム5の後端部には、カウンタウエイト15が設けられている。カウンタウエイト15は、作業装置4との重量バランスをとるものである。また、カウンタウエイト15は、円弧状に湾曲して左,右方向に延びる凸湾曲形状をなし、左右方向の中間部には、点検用の開口15aが設けられている。
【0022】
前述した旋回体5の周囲等には、外装カバー16が設けられている。この外装カバー16は、フロア部6の下側を覆うフロアカバー16aと、旋回体5の後方部分におけるカウンタウエイト15の側部を覆う側部カバー16bと、カウンタウエイト15の両側部をそれぞれ覆う端部カバー16cと、カウンタウエイト15の点検用の開口15aに位置し開閉可能な後面部カバー16dとを備えている。側部カバー16bには、換気口16dが形成されている。
【0023】
上述した旋回体3の後部を覆う外装カバー16の外表面には、図1及び図2に示すように、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色を発光する発光ダイオードを有する発光ダイオードパネル17が設けられている。この例では、発光ダイオードパネル17を側部カバー16b面内の上部、及び端部カバー16cにそれぞれ設けている。
【0024】
次に、図3を用いて、本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する建設機械の制御回路図を説明する。図3において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分である。
図3において、油圧ショベルである建設機械の制御回路は、エンジン13により駆動される可変容量型のメインの油圧ポンプ31及び固定容量型のパイロットポンプ32と、油圧ポンプ31から吐出される圧油によって駆動される油圧モータ33及び油圧シリンダ34,35を含む複数の油圧アクチュエータ(この油圧アクチュエータは図1に示す油圧ショベル1の作動機器に相当する)と、油圧ポンプ31から油圧モータ33及び油圧シリンダ34,35に供給される圧油の流れ(流量と方向)を制御するパイロット操作式の流量制御弁37〜39を含む複数の流量制御弁と、パイロットポンプ32から吐出される圧油の圧力を一定に保ち、パイロット油圧源40を形成するパイロットリリーフ弁41と、パイロット油圧源40の下流側に接続され、油圧ショベルの運転室の入り口側に設けられたゲートロックレバーの開閉状況によってオンオフ制御される電磁切換形式のゲートロック弁43と、電磁切換弁43の下流側のパイロット油路44に接続され、パイロット油圧源40の油圧を元圧として流量制御弁37〜39を操作するための制御パイロット圧a〜fを生成するリモコン弁45,46,47と、メインの油圧ポンプ31の吐出圧力の上限を規定する安全手段としてのメインリリーフ弁48とを備えている。リモコン弁45,46,47は運転室の運転席の左右に位置する左右の操作レバー装置に内蔵されている。
【0025】
リモコン弁45,46,47の一次ポートは、パイロット油路44に接続されている。リモコン弁45,46,47の二次ポートは、パイロットライン45a,45b;46a,46b;47a,47bに接続されている。リモコン弁45,46,47で生成された制御パイロット圧a〜fはそれらのパイロットラインを介して流量制御弁37〜39の受圧部に導かれる。パイロットライン45a,45b;46a,46b;47a,47bにはシャトル弁群50が接続されている。シャトル弁群50はシャトル弁50a〜50fを含み、シャトル弁50aはリモコン弁45のパイロットライン45a,45b間に接続され、シャトル弁50bはリモコン弁46のパイロットライン46a,46b間に接続され、シャトル弁50cはリモコン弁47のパイロットライン47a,47b間に接続され、シャトル弁50dはシャトル弁50a,50bの出力ポート間に接続され、シャトル弁50eはシャトル弁50c,50d間の出力ポート間に接続され、シャトル弁50fはシャトル弁50eの出力ポートと図示しない他の操作手段のリモコン弁に係わる最終段のシャトル弁の出力ポート間に接続されている。
【0026】
これにより、シャトル弁50a〜50fを含むシャトル弁群50はリモコン弁45〜47の制御パイロット圧a〜fや図示しない他の操作手段のリモコン弁の制御パイロット圧のうちの最高圧力を抽出し、シャトル弁群50の最終段のシャトル弁50fはその最高圧力を出力する。圧力センサ51はその最終段のシャトル弁50fの出力ポートに接続され、シャトル弁50fの出力圧であるその最高圧力を検出することにより、リモコン弁45〜47を含む全てのリモコン弁の制御パイロット圧の有無、すなわちリモコン弁45〜47の操作レバー装置を含む作業に係わる操作手段の操作の有無を検出する。
【0027】
流量制御弁37〜39を含む複数の流量制御弁はセンターバイパス型であり、これら流量制御弁は油圧ポンプ31の吐出油路につながるセンターバイパスライン52に直列に接続され、センターバイパスライン52の最下流側部分52aはタンクTに接続されている。
【0028】
エンジン13には、制御信号に基づいてエンジン13に供給される燃料噴射量を制御し、エンジン13の回転数が後述する車体制御用のコントローラ53からの指令信号が指示する目標回転数に維持されるように制御する電子ガバナ54、及びエンジン13の駆動によって発電するオルタネータ55が設けられている。オルタネータ55には、電流センサ56が接続されている。
【0029】
車体制御用のコントローラ53には、前述した圧力センサ51からのリモコン弁45〜47を含む全てのリモコン弁の制御パイロット圧の有無、すなわちリモコン弁45〜47の操作レバー装置を含む作業に係わる操作手段の操作の有無を検出する信号が入力されている。また、車体制御用のコントローラ53には、運転室内に設けられ、電源のオンオフ、及びエンジン13の始動、停止を制御する電源キースイッチ54と、運転室内に設けられ、エンジン13の目標回転数を設定するエンジンコントロールダイヤル58と、ゲートロックレバー12の上げ下げに連動してオンオフするゲートロックレバースイッチ57とが接続されている。
【0030】
ゲートロックレバー12は運転席の昇降口を制限する下げ位置である第1位置Aと運転席の昇降口を開放する上げ位置である第2位置Bとに選択的に操作可能である。ゲートロックレバー12が第1位置Aにあるときは、ゲートロック弁43のソレノイドを励磁してゲートロック弁43を図示の位置から切り換え、パイロット油圧源40の圧力をリモコン弁45,46,47に導き、これによりリモコン弁45,46,47による制御パイロット圧a〜fの生成を可能とし、その制御パイロット圧a〜fによる流量制御弁37〜39の操作を可能とする。
【0031】
ゲートロックレバー12が第2位置Bに上げ操作されると、ゲートロック弁43のソレノイドの励磁を解除してゲートロック弁43を図示の位置に切り換え、パイロット油圧源40とリモコン弁45,46,47の連通を遮断し、これによりリモコン弁45,46,47による制御パイロット圧a〜fの生成を不能とし、その制御パイロット圧a〜fによる流量制御弁37〜39の操作を不能とする。すなわち、ゲートロックレバー12が第2位置Bに上げ操作されると、リモコン弁45,46,47(コントロールレバーユニット)に対してロック入りの状態となる。
【0032】
ゲートロックレバー12によるゲートロック弁43の位置の切り換えは、ゲートロックレバー12に連動して作動するゲートロックレバースイッチ57のオンオフにより制御され、ゲートロックレバー12が第1位置Aにあるときは、ゲートロックレバースイッチ57がオン(閉)して、ゲートロック弁43のソレノイドを励磁し、ゲートロックレバー12が第2位置Bに操作されると、ゲートロックレバースイッチ57がオフ(開)して、ゲートロック弁43のソレノイドの励磁を解除することにより行う。
【0033】
次に、図4を用いて本発明の運転状態表示装置の一実施の形態を構成する発光ダイオードパネル17を発光制御する制御回路図を説明する。この図4において、図1乃至図3に示す符号と同符号のものは同一部分である。
図4において、発光ダイオードパネル17における符号Rは赤色を発光する発光ダイオード、符号Gは緑色を発光する発光ダイオード、符号Bは青色を発光する発光ダイオードである。黄色の発色は、発光ダイオードR,G,Bを発光させることにより可能である。発光ダイオードパネル17には、発光ダイオードパネル17の点灯、点滅、明るさを制御するコントローラ60が接続されている。コントローラ60は建設機械1の移動、旋回等の動作前の電源オン後のゲートロックレバー12の上げ下げによるゲートロックレバースイッチ57のオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、発光ダイオードパネル17を制御する。
【0034】
コントローラ60には、運転席13の近傍に設置した電源キースイッチ54、エンジン13の始動信号を検出する電流センサ56、車体制御用のコントローラ53からのエンジン13のオートアイドル状態を示すオートアイドル信号61、ゲートロックレバー12の上げ下げに連動してオンオフするゲートロックスイッチ57が接続されている。
【0035】
コントローラ60は、上述した各検出器等からの信号と発光指令信号との関係を記憶する記憶部60aと、上述した検出器等からの信号に基づいて記憶部60aに記憶された発光指令信号を演算し発光ダイオードパネル17に出力する演算部60bとを備えている。
【0036】
コントローラ60における記憶部60aに記憶された上述した各検出器等からの信号と発光指令信号との関係は、例えば、図5に示す表図のようになっている。この表図における上述した各検出器等からの信号と発光指令信号との関係を、図5を用いて説明する。
【0037】
まず、ゲートロックレバー12によるゲートロックのオンオフを考慮しない場合、電源キースイッチ54のオン信号により、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードを青色に発光させる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の青色の発光は、機体にオペレータが乗車し、電源が投入された状態であることを知らせるものである。
【0038】
電源キースイッチ54のオンの状態で、エンジン13が起動されると、電流センサ56からの信号により、発光ダイオードパネル17には赤色の発光信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の赤色の発光は、機体が動作可能な状態であることを知らせるものである。
【0039】
次に、エンジン13が起動している状態で、操作レバーによる操作がない場合には、機体はオートアイドルに制御されるので、コントローラ53からのオートアイドル信号61により、発光ダイオードパネル17には赤色の明るさを下げる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の赤色の明るさの低下は、機体がアイドル状態であることを知らせるものである。
【0040】
次に、機体が操作されるか否かは、オペレータが運転席7に乗車したか、又はオペレータが運転席7から下車したかに関連するので、このオペレータの乗車、下車の動作に関連する前述したゲートロックレバー12の上げ(ゲートロック・オフ)、下げ(ゲートロック・オン)に連動して、発光ダイオードパネル17を発光制御することを以下に説明する。
【0041】
ゲートロック・オフ(ゲートロックレバースイッチ57がオン)の状態で、電源キースイッチ54がオンの場合、電源キースイッチ54のオン信号及びゲートロックレバースイッチ57のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードには、黄色に点滅発光させる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の黄色の点滅発光は、エンジンがかけられない状態になっていることを知らせるものである。
【0042】
次に、ゲートロック・オフ(ゲートロックレバースイッチ57がオン)の状態で、エンジン13が起動されると、電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードには、赤色に発光させる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の赤色の発光は、機体が動作可能な状態であることを知らせるものである。
【0043】
次に、ゲートロック・オン(ゲートロックレバースイッチ57がオフ)の状態で、電源キースイッチ54がオンの場合、電源キースイッチ54のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードには、黄色に発光させる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の黄色の発光は、電源が投入され、エンジン13の始動が可能な状態であることを知らせるものである。
【0044】
次に上述のゲートロック・オン(ゲートロックレバースイッチ57がオフ)の状態で、エンジン13が起動されると、電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードには、赤色を点滅させる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の赤色の点滅は、例えば、現場監督との打合せ、現場状況の監視、休憩等のために、オペレータが機体から下車し、作業用レバー11による操作が無効になっていることを知らせるものである。
【0045】
上述したゲートロック・オン、オフの状態で、エンジン13の起動後、操作レバーによる操作がない場合には、前述したように、機体はオートアイドルに制御されるので、オートアイドル信号により、発光ダイオードパネル17には赤色の明るさを下げる信号が出力される。この発光ダイオードパネル17の赤色の明るさの低下は、機体がアイドル状態であることを知らせるものである。
【0046】
次に、上述した本発明の建設機械の運転状態表示装置の一実施の形態を図1乃至図5を用いて説明する。
本発明の建設機械の運転状態表示装置の一実施の形態を構成するコントローラ60は、運転席13の近傍に設置した電源キースイッチ54、エンジン13の始動信号を検出する電流センサ56、エンジン13のオートアイドル信号61、ゲートロックレバー12の上げ下げに連動してオンオフするゲートロックレバースイッチ57からのオンオフ信号を取り込み、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードを、図5に示すように、予め設定した発色、及び点滅させて、建設機械1が後方への移動、旋回体の旋回動作に入る前の電源オン後のゲートロックレバー12の上げ下げによるゲートロックレバースイッチ57のオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、発光ダイオードパネル17を制御して、建設機械の周辺にいる作業者等に極め細やかに注意を促すことができる。
【0047】
例えば、ゲートロック・オフの状態で、電源キースイッチ54がオンすると、コントローラ60は、電源キースイッチ54のオン信号及びゲートロックレバースイッチ57のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに黄色を点滅させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を黄色点滅させる。この発光ダイオードパネル17の黄色の点滅により、建設機械の周辺にいる作業者等は、エンジンがかけられない状態を察知することができる。
【0048】
次に、上述のゲートロック・オフの状態で、エンジン13が起動されると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオン信号と電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに、赤色に発光させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を赤色に発光させる。この発光ダイオードパネル17の赤色の発光により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体が動作可能な状態であることを察知することができる。
【0049】
次に、上述のゲートロック・オフの状態で、エンジン13の起動後、操作レバーによる操作がない場合には、前述したように、機体はオートアイドルに制御されるので、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオン信号とオートアイドル信号61を取り込み、発光ダイオードパネル17に赤色の明るさを下げる信号を出力する。これにより、発光ダイオードパネル17は赤色の明るさを低下させた状態で発光する。この発光ダイオードパネル17の赤色の明るさの低下により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体がアイドル状態であることを察知することができる。
【0050】
次に、ゲートロック・オン(ゲートロックレバースイッチ57がオフ)の状態で、電源キースイッチ54がオンすると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号と電源キースイッチ54のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに、黄色に発光させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を黄色に発光させる。この発光ダイオードパネル17の黄色の発光により、建設機械の周辺にいる作業者等は、電源が投入され、エンジン13の始動が可能な状態であることを察知することができる。
【0051】
次に上述のゲートロック・オンの状態で、エンジン13が起動されると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号と電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに赤色を点滅させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を赤色点滅させる。
【0052】
この発光ダイオードパネル17の赤色の点滅により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体からオペレータが下車し、作業用レバー11による操作が無効になっていることを察知することができる。
【0053】
次に、上述のゲートロック・オンの状態で、エンジン13の起動後、操作レバーによる操作がない場合には、前述したように、機体はオートアイドルに制御されるので、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号とオートアイドル信号61を取り込み、発光ダイオードパネル17に赤色点滅の明るさを下げる信号を出力する。これにより、発光ダイオードパネル17は赤色の点滅の明るさを低下させた状態で発光する。この発光ダイオードパネル17の赤色点滅の明るさの低下により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体がアイドル状態であることを察知することができる。
【0054】
上述したように、本発明の一実施の形態によれば、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始以前の電源オン後のゲートロックレバー12の上げ下げによるゲートロックレバースイッチ57のオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、発光ダイオードパネル17を制御して、建設機械の周辺にいる作業者等に極め細やかに注意を促すことができるので、建設機械の周辺にいる作業者等は、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始までの建設機械の動作状態を察知することができる。その結果、作業者は、例えば、工事現場内での建設機械の周辺の処理作業が中断しないように早めに処理することができ、作業者の処理作業効率が向上する。また、建設機械のオペレータにとっては、建設機械の周辺にいる作業者等の作業終了まで待たずに、建設機械を稼動させることができるので、建設機械の作業性も向上させることができる。
【0055】
なお、上述の実施の形態における発光ダイオードパネル17の発光色は、適宜、他の色に変更することも可能である。
【0056】
また、上述の実施の形態においては、赤、黄、青の3色の発光する発光パネル17を用いたが、単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネル17を用いることもできる。この場合、上述した実施の形態と同様に、単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネル17は、コントローラ60により、運転状態の遷移が色の明るさの低下と点灯、点滅の有無で識別表示されるように、発光ダイオードパネル17を制御する。
【0057】
上記の単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネル17の発光制御の一例を図6を用いて説明する。
図6において、例えば、ゲートロック・オフの状態で、電源キースイッチ54がオンすると、コントローラ60は、電源キースイッチ54のオン信号及びゲートロックレバースイッチ57のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに単色を点滅させるとともに、明るさを低下して発光させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を単色点滅で明るさが低下して発光させる。この発光ダイオードパネル17の明るさが低下した単色の発光により、建設機械の周辺にいる作業者等は、エンジンがかけられない状態を察知することができる。
【0058】
次に上述のゲートロック・オフの状態で、エンジン13が起動されると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオン信号と電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに単色を点灯させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を単色点灯させる。
【0059】
この発光ダイオードパネル17の単色の点灯により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体からオペレータが下車し、機体が動作可能な状態であることを察知することができる。
【0060】
次に、上述のゲートロック・オフの状態で、エンジン13の起動後、操作レバーによる操作がない場合には、前述したように、機体はオートアイドルに制御されるので、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオン信号とオートアイドル信号61を取り込み、発光ダイオードパネル17に単色の明るさを下げる信号を出力する。これにより、発光ダイオードパネル17は単色の明るさを低下させた状態で発光する。この発光ダイオードパネル17の単色の明るさの低下により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体がアイドル状態であることを察知することができる。
【0061】
次に、ゲートロック・オン(ゲートロックレバースイッチ57がオフ)の状態で、電源キースイッチ54がオンすると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号と電源キースイッチ54のオン信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに、単色の明るさを下げるように発光させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を明るさが低下した単色に発光させる。この発光ダイオードパネル17の明るさが低下した単色の発光により、建設機械の周辺にいる作業者等は、電源が投入され、エンジン13の始動が可能な状態であることを察知することができる。
【0062】
次に、上述のゲートロック・オンの状態で、エンジン13が起動されると、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号と電流センサ56からの信号に基づいて、発光ダイオードパネル17の発光ダイオードに、単色で点滅するように発光させる信号を出力し、発光ダイオードパネル17を単色の点滅で発光させる。この発光ダイオードパネル17の単色の点滅発光により、建設機械の周辺にいる作業者等は、作業用レバー11による操作が無効になっていることを察知することができる。
【0063】
次に、上述のゲートロック・オンの状態で、エンジン13の起動後、操作レバーによる操作がない場合には、前述したように、機体はオートアイドルに制御されるので、コントローラ60は、ゲートロックレバースイッチ57のオフ信号とオートアイドル信号61を取り込み、発光ダイオードパネル17に単色点滅の明るさを下げる信号を出力する。これにより、発光ダイオードパネル17は単色の点滅の明るさを低下させた状態で発光する。この発光ダイオードパネル17の単色点滅の明るさの低下により、建設機械の周辺にいる作業者等は、機体がアイドル状態であることを察知することができる。
【0064】
この実施の形態においても、前述した実施の形態と同様に、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始以前の電源オン後のゲートロックレバー12の上げ下げによるゲートロックレバースイッチ57のオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、発光ダイオードパネル17を制御して、建設機械の周辺にいる作業者等に極め細やかに注意を促すことができるので、建設機械の周辺にいる作業者等は、建設機械の移動、旋回体の旋回等の動作開始までの建設機械の動作可能な状態を察知することができる。その結果、作業者は、例えば、工事現場内での建設機械の周辺の処理作業が中断しないように早めに処理することができ、作業者の処理作業効率が向上する。また、建設機械のオペレータにとっては、建設機械の周辺にいる作業者等の作業終了まで待たずに、建設機械を稼動させることができるので、建設機械の作業性も向上させることができる。
【0065】
なお、上述の実施の形態においては、カウンタウエイト15の点検用の開口15aを覆う開閉可能な後面部カバー16dを備えている関係上、旋回体3の後部を覆う外装カバー16の外表面を構成する側部カバー16b面内の上部、及び端部カバー16cに、発光パネル17をそれぞれ設けたが、旋回体3後部の構成によっては、発光パネル17を帯状に形成し、この発光パネル17を旋回体3の外周面後方部分に設けることも可能である。
【0066】
更に、上述の実施の形態においては、エンジン13の始動信号を検出する電流センサ20を用いたが、キースイッチ19によるエンジン起動信号を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 建設機械
2 走行体
3 旋回体
4 作業装置
7 運転席
11 作業用レバー
12 ゲートロックレバー
13 エンジン
15 カウンタウエイト
16 外装カバー
17 発光パネル
54 電源キースイッチ
56 電流センサ
57 ゲートロックレバースイッチ
60 コントローラ
61 オートアイドル信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の後方近傍にいる作業者に対して建設機械がいかなる動作状態にあるかを知らせることができる建設機械の運転状態表示装置であって、
前記建設機械における旋回体の外周面の後方部分に設置された発光ダイオードパネルと、
電源キースイッチと、
ゲートロックレバーの上げ下げに連動してオンオフするゲートロックレバースイッチと、
エンジンの始動を検出する電流センサと、
前記電源キースイッチのオン信号、前記ゲートロックレバースイッチのオンオフ信号、前記電流センサからの信号を取り込み、電源オン後のゲートロックレバーの上げ下げによるゲートロックレバースイッチのオンオフ状態、及び電源オン後のエンジン始動状態を含む前記建設機械の電源オン後の一連の動作の遷移を識別表示するように、前記発光ダイオードパネルを制御するコントローラとを備えた
ことを特徴とする建設機械の運転状態表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械の運転状態表示装置において、
前記エンジンのオートアイドル状態を検出するオートアイドルセンサを更に備え、
前記コントローラは、オートアイドルセンサからの信号を取り込み、前記エンジンがオートアイドル状態にあるか否かも含めて前記建設機械の一連の動作の遷移を識別表示するように、前記発光ダイオードパネルを制御する
ことを特徴とする建設機械の運転状態表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の建設機械の運転状態表示装置において、
前記発光ダイオードパネルは、3原色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルであり、
前記コントローラは、前記運転状態の遷移が異なる色の点灯、点滅、明るさで識別表示されるように、前記発光ダイオードパネルを制御する
ことを特徴とする建設機械の運転状態表示装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の建設機械の運転状態表示装置において、
前記発光ダイオードパネルは、単色の発光ダイオードを含む発光ダイオードパネルであり、
前記コントローラは、前記運転状態の遷移が単色の点灯、点滅、明るさの有無で識別表示されるように、前記発光ダイオードパネルを制御する
ことを特徴とする建設機械の運転状態表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−67478(P2012−67478A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211744(P2010−211744)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】