説明

建設機械用キャブ

【課題】 車両の転倒時等にキャブ内の後部空間が変形するのを抑え、内部のオペレータを十分な剛性をもって守ることができるようにする。
【解決手段】 キャブフレーム12の天井側に位置する左,右の上部ピラー27,28を、左,右の前部ピラー22,23の上端側から後方に向けて延設される左,右の上延部材29,30と、上延部材29,30の後端側を左,右の後部ピラー24,25の上端側に連結する左,右の連結部材31,32とによって構成する。そして、左,右の連結部材31,32は、鋳造または鍛造手段により中実な梁部材として形成する。また、連結部材31,32間には、前,後方向に離間して左,右方向に延び両端側が連結部材31,32に溶接により接合される横梁部材33,34を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば油圧ショベル、油圧クレーン等の運転室を形成するために好適に用いられる建設機械用キャブに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の建設機械は、下部走行体上に旋回可能に搭載した上部旋回体にキャブを設け、このキャブによってオペレータ等が乗降する運転室を画成する構成としている。
【0003】
この種の従来技術による建設機械用キャブは、上面部、前面部、後面部および左,右の側面部により略四角形の箱形状に形成されている。そして、例えば左,右の側面部等は、例えば薄い鋼板からなる内側パネルと外側パネルとを互いに重合わせるように接合し、内部に中空のピラー部となる空間部を形成する構成としている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、他の従来技術として、前,後方向および左,右方向に延びる複数のパイプ材を、鋳物製の継手等を用いて互いに連結することにより、骨組構造をなした建設機械用キャブを組立てる構成としたものも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
そして、この場合の建設機械用キャブは、左,右の前部ピラー、左,右の後部ピラーおよび左,右の上部ピラー等を、それぞれ鋼製の金属パイプ材により形成し、これらの前部ピラーと上部ピラーとの間を鋳物製の継手で連結すると共に、後部ピラーと上部ピラーとの間も鋳物製の継手を用いて連結する構成としているものである。
【0006】
【特許文献1】特開2001−182098号公報
【特許文献2】特開2000−198469号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術(特許文献1)では、薄い鋼板からなる内側パネル、外側パネル等を用いてキャブを形成しているため、建設機械用キャブとしての意匠性、成形加工性等を高めることができるという利点がある。しかし、この場合の内側パネル、外側パネルは薄い鋼板で形成されるために、キャブとしての強度を確保することが難しいという問題がある。
【0008】
また、上記従来技術の場合、前記内側パネルと外側パネルとを互いに重合わせるように接合して内部に中空のピラー部となる空間部を形成し、この空間部内に補強板等を設けることにより、キャブとしての強度を高める等の対策も採られている。
【0009】
しかし、内部に補強板を設けるためには、中空のピラー部となる空間部を大きく形成する必要が生じる。そして、キャブの外径寸法を規格寸法の範囲内に収めようとすると、前記ピラー部(空間部)は、キャブの内側に張出すようになるので、これによってキャブ内の居住空間が狭められてしまい、建設機械用キャブとして十分な居住性、操作安定性等を確保するのが難しくなるという問題がある。
【0010】
一方、特許文献2による従来技術は、左,右の前部ピラー、左,右の後部ピラーおよび左,右の上部ピラー等からなる複数のパイプ材を、それぞれ継手を用いて互いに連結することにより、骨組構造をなした建設機械用キャブを組立てる構成としている。
【0011】
しかし、この場合は、継手を用いて複数のパイプ材を互いに連結することにより、骨組構造をなすキャブを組立てる構成としているだけであるため、例えば車両の転倒時等に大きな外力が付加されると、キャブが破損される虞れがあり、キャブ内のオペレータを守るための保安対策を、必ずしも十分には施していないという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、例えば車両の転倒時等にキャブ内の後部空間が変形するのを抑え、内部のオペレータを十分な剛性をもって守ることができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、外部からの衝撃荷重に対する十分な強度、剛性を確保できる上に、キャブ内の居住性、操作安定性等を向上することができるようにした建設機械用キャブを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決するため、本発明は、略四角形の枠体として形成される下側のベース枠体と、該ベース枠体の前端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の前部ピラーと、前記ベース枠体の後端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の後部ピラーと、該各後部ピラーの上端側を前記各前部ピラーの上端側に連結するため左,右方向に離間して前,後方向に延びる左,右の上部ピラーとを備えた建設機械用キャブに適用される。
【0015】
そして、請求項1の発明が採用する構成の特徴は、前記左,右の上部ピラーを、前記各前部ピラーの上端側から後方に向けて延設される左,右の上延部材と、鋳造または鍛造手段を用いて中実な梁部材として形成され該各上延部材の後端側を前記各後部ピラーの上端側に連結する左,右の連結部材とにより構成し、該左,右の連結部材間には、前,後方向に離間して左,右方向に延び両端側が該左,右の連結部材に溶接により接合される複数の横梁部材を設ける構成したことにある。
【0016】
また、請求項2の発明によると、前記横梁部材は、中空構造をなすパイプ材を用いて形成する構成としている。また、請求項3の発明によると、前記左,右の連結部材には、前記横梁部材の両端側が嵌合する嵌合部を形成する構成としている。
【0017】
一方、請求項4の発明によると、前記前部ピラーと後部ピラーとの間には、前記ベース枠体の左,右方向の少なくとも一方側に位置して上向きに立設された中間ピラーを設け、該中間ピラーの上端側は、前記連結部材に溶接により接合する構成としている。
【0018】
また、請求項5の発明によると、前記連結部材の下面には、下向きに突出し前記中間ピラーの上端側に嵌合する嵌合凸部を形成する構成としている。
【0019】
また、請求項6の発明によると、前記前部ピラーと後部ピラーとの間には、前記ベース枠体の左,右方向の少なくとも一方側に位置して上向きに立設された中間ピラーを設け、該中間ピラーの上端側は、前記上延部材に溶接により接合する構成としている。
【0020】
また、請求項7の発明によると、前記中間ピラーの上端と前記上延部材との間には、溶接により両者に接合される継手部材を設ける構成としている。
【0021】
さらに、請求項8の発明によると、前記左,右の前部ピラーと前記左,右の上延部材とは、それぞれ中空構造をなすパイプ材を用いて形成する構成としている。
【発明の効果】
【0022】
上述の如く、請求項1に記載の発明によれば、キャブの天井(ルーフ)側に位置する左,右の上部ピラーを、左,右の前部ピラーの上端側から後方に向けて延設される左,右の上延部材と、該各上延部材の後端側を左,右の後部ピラーの上端側に連結する左,右の連結部材とにより構成しているので、上延部材の後端側と後部ピラーの上端側との間を連結部材により強固に連結することができる。そして、この連結部材は、鋳造または鍛造手段により中実な梁部材として形成されるので、その横断面積を小さくしても十分な強度を確保することができる。また、左,右の連結部材間には、前,後方向に離間して左,右方向に延び両端側が該左,右の連結部材に溶接により接合される複数の横梁部材を設ける構成としているので、これらの横梁部材を用いて左,右の連結部材間(キャブの上部後方)の剛性を高め、十分な強度を確保することができる。
【0023】
従って、運転席に座ったオペレータの頭部側周囲に位置するキャブ内の上部後方空間が、例えば車両の転倒時等に発生する外部からの衝撃荷重で変形したりするのを抑えることができ、キャブ内のオペレータを十分な剛性をもって守ることができる。また、ベース枠体、前部ピラー、後部ピラー、上部ピラーおよび横梁部材等から骨組構造をなして組立てられるキャブは、外部からの衝撃荷重等に対して十分な強度、剛性を確保できる上に、キャブ内に広い空間を形成することができ、キャブ内の居住性、操作安定性等を高めることができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明は、横梁部材を中空構造のパイプ材により形成する構成としているので、例えばパイプ材の引抜き加工等を用いて横梁部材を容易に形成することができ、横梁部材を軽量化できると共に、十分な強度を確保することができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によると、左,右の連結部材には、横梁部材の両端側が嵌合する嵌合部を形成する構成としているので、横梁部材の両端側を左,右の連結部材に嵌合させた状態で、両者の嵌合部に溶接作業を施すことができ、連結部材と横梁部材との接合強度を確実に高めることができる。
【0026】
一方、請求項4に記載の発明によると、前部ピラーと後部ピラーとの間には、ベース枠体の左,右方向の少なくとも一方側から上向きに立設された中間ピラーを設ける構成としているので、この中間ピラーの上端側を連結部材に溶接手段で接合することにより、連結部材の端部を中間ピラーで下側から支えるようにして連結部材の強度、剛性を高めることができる。そして、この中間ピラーには、オペレータがキャブ内に乗降するためのドアを取付けることができ、ドアを開,閉する上での十分な支持強度を中間ピラーに与えることができる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明によると、連結部材の下面には、下向きに突出し中間ピラーの上端側に嵌合する嵌合凸部を形成する構成としているので、連結部材の嵌合凸部を中間ピラーの上端側に嵌合させた状態で、両者の嵌合部に溶接作業等を施すことができ、中間ピラーと連結部材との接合強度を一層高めることができる。
【0028】
また、請求項6に記載の発明は、前部ピラーと後部ピラーとの間に設ける中間ピラーの上端側を上延部材に溶接により接合する構成としているので、この場合には上延部材を中間ピラーで下側から支えるようにして上延部材の強度、剛性等を高めることができると共に、この上延部材を通じて連結部材の曲げ剛性等を向上することができる。
【0029】
また、請求項7に記載の発明は、中間ピラーの上端と上延部材との間に継手部材を設ける構成としているので、溶接による中間ピラーと上延部材との接合強度を、継手部材を用いることによって向上でき、溶接面積も広げることができる。また、中間ピラーの上端と上延部材との間に特別な嵌合部等を設ける必要がなく、上延部材の構造を簡素化し、製作、加工時の作業性を向上することができる。
【0030】
また、請求項8に記載の発明は、左,右の前部ピラーと左,右の上延部材とを、それぞれ中空構造をなすパイプ材を用いて形成する構成としているので、これらの前部ピラーと上延部材とを中空パイプにより軽量化して形成でき、前部ピラーの上端側には上延部材の前端側を、例えば溶接等により接合して設けることができる。また、上延部材は前部ピラーの上端側に、例えばパイプ材の引抜き加工等を用いて一体成形することもでき、前部ピラーおよび上延部材の軽量化、強度アップを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態による建設機械用キャブを油圧ショベルに適用した場合を例に挙げて添付図面に従って詳細に説明する。
【0032】
ここで、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は建設機械としての油圧ショベルで、該油圧ショベル1は、下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回輪3を用いて旋回可能に搭載された上部旋回体4と、後述の作業装置8とにより大略構成されている。
【0033】
また、上部旋回体4は、旋回フレーム5と、車両の後方からみて旋回フレーム5の前部左側に搭載された後述のキャブ11と、該キャブ11の後側等に位置して旋回フレーム5上に設けられた外装カバー6と、旋回フレーム5の後端部に取付けられたカウンタウエイト7とによって大略構成されている。
【0034】
8は上部旋回体4の前部側に俯仰動可能に設けられた作業装置で、該作業装置8は、例えば先端側のバケット8A等を用いて土砂等の掘削作業を行うものである。また、下部走行体2の前側には、排土板9が上,下に回動可能に設けられている。そして、この排土板9は、土砂等の排土作業、地均し作業等を行うときに用いられる。また、排土板9は、油圧ショベル1(車両)の姿勢を安定させるアウトリガーとしても使用されるものである。
【0035】
11は旋回フレーム5の前部左側に搭載されたキャブで、該キャブ11は、オペレータが乗降する運転室を画成し、その内部には運転席、操作レバー(いずれも図示せず)等が配設されている。そして、キャブ11は、図2ないし図5に示す如く、後述のキャブフレーム12、上面パネル36、後面パネル38、左,右の側面パネル39,40およびドア41等によって構成されるものである。
【0036】
12はキャブ11の骨組構造をなすキャブフレームで、該キャブフレーム12は、図3ないし図5に示すように、後述のベース枠体13、前部ピラー22,23、後部ピラー24,25、中間ピラー26、上部ピラー27,28(上延部材29,30、連結部材31,32)および横梁部材33,34等により構成されている。
【0037】
13はキャブフレーム12の下側部分を構成するベース枠体で、該ベース枠体13は、図4、図5に示すように左,右に離間した前側のコーナ部に配置される左,右の前側取付ベース14,15と、後側のコーナ部に配置される後側取付ベース16,17と、左,右の接続フレーム18,19および前,後の接続フレーム20,21とにより構成されている。
【0038】
ここで、左,右の接続フレーム18,19のうち左側に位置する接続フレーム18は、前,後方向の両端が取付ベース14,16に溶接手段等を用いて接合される板状のフレーム材18Aと、後述の中間ピラー26と取付ベース16との間に溶接により接合される角筒状の補強材18Bとにより構成される。そして、この補強材18Bは、図5に示すようにフレーム材18Aの上面側に接合され、接続フレーム18と中間ピラー26との接合強度を高めるものである。
【0039】
一方、左,右の接続フレーム18,19のうち右側の接続フレーム19は、角筒状のパイプ材等からなり、その前,後方向の両端が取付ベース15,17に溶接手段等を用いて接合される。また、前側の接続フレーム20は、左,右方向の両端が取付ベース14,15に接合され、後側の接続フレーム21は、左,右方向の両端が取付ベース16,17に接合されるものである。
【0040】
このようにベース枠体13は、その四隅側に位置する取付ベース14〜17を用いて接続フレーム18〜21の端部を互いに連結することにより、図3、図5に示す如く略四角形の枠体として形成されるものである。そして、ベース枠体13の取付ベース14〜17は、図1に示す旋回フレーム5上に防振マウント(図示せず)等を介して取付けられ、キャブ11に振動減衰作用を与えるものである。
【0041】
22,23はキャブフレーム12の前部に配置される左,右の前部ピラーで、この前部ピラー22,23は、図3に示す如くベース枠体13の前端側から左,右方向に離間して上向きに立設されている。そして、前部ピラー22,23の下端側は、図4、図5に示すようにベース枠体13の取付ベース14,15に当接または嵌合され、この状態で溶接手段を用いて取付ベース14,15に固着されるものである。
【0042】
ここで、前部ピラー22,23は、例えば鉄鋼材料等からなる金属パイプ材を引抜き加工することにより成形され、その上端側は後述の上延部材29、30と一体または別体に形成されるものである。そして、前部ピラー22,23は、上延部材29、30とほぼ同様な横断面形状(例えば、図9に示す略L字状の異形な中空構造)を有している。
【0043】
24,25はキャブフレーム12の後部に配置される左,右の後部ピラーで、この後部ピラー24,25は、図3に示すようにベース枠体13の後端側から左,右方向に離間して上向きに立設されている。そして、後部ピラー24,25の下端側は、図4、図5に示すようにベース枠体13の取付ベース16,17に当接または嵌合され、この状態で溶接手段を用いて取付ベース16,17に固着されるものである。
【0044】
ここで、後部ピラー24,25は、例えば鉄鋼材料等からなる金属パイプ材を引抜き加工することにより形成され、その横断面形状は、図7に示すように中空な凸形状となっている。そして、後部ピラー24,25の上端側には、後述の連結部材31,32が凹凸嵌合および溶接手段等を用いて固着されるものである。
【0045】
26は前部ピラー22と後部ピラー24との間に配設される中間ピラーで、該中間ピラー26は、図4、図5に示す如く下端側がベース枠体13の接続フレーム18に固着され、上端側が後述の連結部材31に固着されるものである。即ち、中間ピラー26は、前部ピラー22と後部ピラー24との間に位置して接続フレーム18の長さ方向中間部から上向きに立設されている。
【0046】
また、中間ピラー26も、例えば鉄鋼材料等からなる金属パイプ材を引抜き加工することにより形成され、その横断面形状は、図8に示す如く略四角形の中空構造となっている。そして、中間ピラー26には、後述のドア41が側面パネル39等を介して取付けられるものである。
【0047】
27,28は前部ピラー22,23の上端側と後部ピラー24,25の上端側との間に設けられる左,右の上部ピラーで、該上部ピラー27,28は、図3ないし図6に示すように前部ピラー22,23の上端側から後方に向けて延設された左,右の上延部材29,30と、後述の連結部材31,32とにより構成されている。この場合、上延部材29,30は、前部ピラー22,23の上端側に一体または別体で形成される。
【0048】
ここで、上延部材29,30を前部ピラー22,23と一体に形成する場合には、例えば金属パイプ材を引抜き加工することにより上延部材29,30を前部ピラー22,23と一体に成形することができる。そして、上延部材29,30の横断面形状は、図9に示す如く略L字状の異形な中空構造(例えば、鳥の嘴形状をなす中空構造)に形成されている。また、上延部材29,30の後端側は、後述の連結部材31,32に突合わせ溶接等の手段を用いて接合されるものである。
【0049】
31,32は上部ピラー27,28の一部を構成する左,右の連結部材で、該連結部材31,32は、例えば鋳造または鍛造等の手段を用いて図6に示す如く中実な梁部材として形成され、その横断面形状は、図10に示す如く略L字状をなす異形な形状(例えば、鳥の嘴形状)となっている。
【0050】
ここで、連結部材31,32を鋳造手段により成形する場合には、例えば加熱溶融状態の鋳鋼材料を予め用意して成形型内に注入し、図6に示すように中実な梁部材として成形する。また、連結部材31,32を鍛造により成形する場合には、例えば型鍛造等の手段を用いて加圧成形することにより形成すればよいものである。
【0051】
この場合、左側に位置する連結部材31の前,後両端側には、下向きに突出する嵌合凸部31A,31Bが一体形成され、この嵌合凸部31A,31Bには、後部ピラー24,中間ピラー26の上端側が嵌合した状態で溶接により接合される。また、右側の連結部材32にも、同様に嵌合凸部32A,32Bが一体形成され、後側の嵌合凸部32Aには、後部ピラー25の上端側が嵌合した状態で溶接により接合されるものである。
【0052】
また、連結部材31,32の左,右方向で互いに対向する面側には、嵌合凸部31A,32Aの上側となる位置に配置された後側突起31C,32Cと、連結部材31,32の長さ方向中間部に配置された中間突起31D,32Dとが一体形成され、これらの後側突起31C,32Cと中間突起31D,32Dは、後述の横梁部材33,34に対する嵌合部を構成するものである。
【0053】
33,34は左,右の連結部材31,32間に設けられる横梁部材で、該横梁部材33,34は、図6に示すように中空構造をなす断面四角形のパイプ材を用いて形成され、その両端側は連結部材31,32の後側突起31C,32Cと中間突起31D,32Dに嵌合されるものである。
【0054】
そして、横梁部材33,34は、左,右の連結部材31,32間に溶接により固着され、これらの連結部材31,32を左,右方向で互いに接合して一体化する。また、横梁部材33,34は、図6に示すように左,右の連結部材31,32の間で前,後に離間して配設され、これらの連結部材31,32と共に略四角形の補強枠部35を形成するものである。
【0055】
36はキャブフレーム12の上面側を覆う上面パネルで、この上面パネル36は、図3ないし図5に示すように薄い金属板をプレス加工することにより形成され、その左,右両側は、上部ピラー27,28(上延部材29,30、連結部材31,32)に溶接手段等を用いて接合されている。
【0056】
また、上面パネル36の前端部は、図3に示すように前部ピラー22,23の上部側に沿って円弧状に延びる縁取部36Aとなっている。そして、キャブ11内の運転席に座ったオペレータの前方視界は、この縁取部36Aの位置まで上方に広げられるものである。
【0057】
37は上面パネル36の後端側に設けられるコーナパネルで、該コーナパネル37は、連結部材31,32の後端側で後部ピラー24,25、横梁部材33の溶接部位等を外側から覆い、キャブフレーム12の上側後部の美観(デザイン性)等を向上させるものである。
【0058】
38はキャブフレーム12の後面側を覆う後面パネルで、該後面パネル38も薄い金属板等をプレス加工することにより形成され、その左,右両側は、後部ピラー24,25に溶接等で接合されている。また、後面パネル38の下端側は、ベース枠体13の接続フレーム21に接合されるものである。
【0059】
39はキャブフレーム12の後部ピラー24と中間ピラー26との間に設けられる左側の側面パネルで、該側面パネル39は、後述するドア41の後側に位置してキャブフレーム12の左側面を覆うものである。そして、側面パネル39の前端側には、中間ピラー26に沿って上,下方向に延びる段差部39Aが一体に形成され、該段差部39Aには、図2に示すドア41が開閉可能に取付けられるものである。
【0060】
40はキャブフレーム12の右側面を覆う右側の側面パネルで、該側面パネル40は、図3ないし図5に示すように前部ピラー23と後部ピラー25との間に設けられ、その下端側は、ベース枠体13の接続フレーム19に接合されるものである。
【0061】
41はキャブ11の一部を構成するドアで、該ドア41は、図2に示すように左側の前部ピラー22と側面パネル39との間に設けられ、その後端側は図3に示す側面パネル39の段差部39Aにヒンジ42,42(図2参照)を介して開閉可能に取り付けられている。
【0062】
即ち、左側の前部ピラー22と側面パネル39との間には、図3に示すようにベース枠体13の接続フレーム18と上延部材29との間に位置してキャブ11の乗降口43が形成され、図2に示すドア41は、この乗降口43を開,閉するものである。
【0063】
44は図3に示す如くキャブ11内に形成される上部後方空間で、該上部後方空間44は、キャブ11内に設置される運転席の上方に位置し、例えば運転席に座ったオペレータの頭部側を、その周囲から取り囲むものである。そして、この上部後方空間44は、例えば図2中に二点鎖線で示す空間部として表されるものである。
【0064】
また、キャブ11には、後面パネル38、左,右の側面パネル39,40およびドア41にそれぞれ窓ガラスが取付けられ、左,右の前部ピラー22,23間には、フロントガラス(図示せず)等が取付けられる。そして、このフロントガラスは、キャブ11内のオペレータに広い前方視界を与えるものである。
【0065】
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、次に、その作動について説明する。
【0066】
まず、キャブ11内に乗込んだオペレータは運転席に座った状態で、例えば走行用レバーを傾転操作すると、下部走行体2により車両を前進,後退することができる。また、土砂等の掘削作業を行うときには、作業用レバーを傾転操作することにより、作業装置8を俯仰動させるように作動できると共に、上部旋回体4を旋回駆動することができる。
【0067】
ところで、このような油圧ショベル1は、例えば不整地や傾斜地で掘削作業等を行うことが多く、場合によっては車両(油圧ショベル1)が転倒してキャブ11に大きな外力が付加され、キャブ11が破損される虞れもある。そして、このような場合に、キャブ11内に乗込んだオペレータに対し十分な保安対策を施すことは、重要な課題となっているものである。
【0068】
そこで、本実施の形態によれば、キャブ11の天井側に位置する左,右の上部ピラー27,28を、左,右の前部ピラー22,23の上端側から後方に向けて延設される左,右の上延部材29,30と、該上延部材29,30の後端側を左,右の後部ピラー24,25の上端側に連結する左,右の連結部材31,32とにより構成している。
【0069】
そして、左,右の連結部材31,32は、鋳造または鍛造手段により中実な梁部材として形成し、該連結部材31,32間には、前,後方向に離間して左,右方向に延び両端側が該連結部材31,32に溶接により接合される横梁部材33,34を設ける構成としている。
【0070】
このため、キャブフレーム12の上部後側部位には、左,右の連結部材31,32と横梁部材33,34とにより、図5、図6に示す如く略四角形の補強枠部35を形成することができる。そして、横梁部材33,34を用いて左,右の連結部材31,32間の剛性を高めることができ、キャブフレーム12の上部後側部位に十分な強度を確保することができる。
【0071】
また、連結部材31,32を鋳造または鍛造手段により中実な梁部材として形成しているので、その横断面積を小さくしても十分な強度を確保することができる。そして、このような連結部材31,32を用いることにより、上延部材29,30の後端側と後部ピラー24,25の上端側との間を強固に連結することができる。
【0072】
この結果、左,右の連結部材31,32と横梁部材33,34とにより、キャブ11(キャブフレーム12)の上部後側部位を、略四角形の補強枠部35を有した頑丈な構造に形成することができ、例えば車両の転倒時等にキャブフレーム12の上部後側部位が変形するのを抑えることができる。
【0073】
即ち、キャブ11内に乗込んだオペレータが運転席に座った状態では、キャブ11内の上部後側となる位置(例えば、図2、図3中に示す上部後方空間44)にオペレータの頭部側が配置される。このため、キャブ11の上部後側部位を頑丈な構造に形成することにより、キャブ11内の上部後方空間44が、例えば車両転倒時の衝撃荷重等で変形したりするのを防止でき、キャブ11内のオペレータを十分な剛性をもって守ることができる。
【0074】
また、本実施の形態によるキャブ11のキャブフレーム12は、ベース枠体13、前部ピラー22,23、後部ピラー24,25、上部ピラー27,28(上延部材29,30と連結部材31,32)および横梁部材33,34等から骨組構造をなして組立てられるので、外部からの衝撃荷重等に対して十分な強度、剛性を確保することができる。
【0075】
そして、このような骨組構造をなすキャブフレーム12を用いることにより、例えば薄い鋼板からなる内側パネル、外側パネル等を用いてキャブを形成する従来技術に比較して、キャブ11内に広い空間を形成することができ、キャブ11内の居住性、操作安定性等を高めることができる。
【0076】
また、左,右の前部ピラー22,23を、中空構造をなすパイプ材を用いて上延部材29,30と一体または別体に形成し、その横断面形状は、図9に示す如く略L字状の異形な中空構造(例えば、鳥の嘴形状をなす中空構造)をなす構成としている。
【0077】
このため、前部ピラー22,23と上延部材29,30とは、横断面が異形な中空構造をなすことにより、その曲げ剛性等を向上することができ、頑丈な構造に形成することができる。そして、上延部材29,30を前部ピラー22,23の上端側に、例えばパイプ材の引抜き加工等を用いて一体成形することができ、前部ピラー22,23および上延部材29,30を軽量化し、強度アップを図ることができる。
【0078】
また、前部ピラー22,23の上端側(上延部材29,30)は、両者の間を左,右方向に延びる部材等を用いて特別に連結する必要がなく、骨組構造をなすキャブフレーム12を構成することができる。このため、キャブ11の前方視界を、例えば図3に示す上面パネル36の前端側に位置する縁取部36Aの位置まで上方に大きく広げることができ、オペレータにとっての前方視界を拡大することができる。
【0079】
また、連結部材31,32間を左,右方向で繋ぐ横梁部材33,34についても、中空構造のパイプ材により形成する構成としているので、例えばパイプ材の引抜き加工等を用いて横梁部材33,34を容易に形成することができ、横梁部材33,34を軽量化できると共に、十分な強度を確保することができる。
【0080】
また、連結部材31,32には、横梁部材33,34の両端側が嵌合する後側突起31C,32Cと中間突起31D,32Dとを一体成形等の手段で形成しているので、横梁部材33,34の両端側を後側突起31C,32Cと中間突起31D,32Dに嵌合させた状態で、両者の嵌合部に溶接作業を施すことができ、連結部材31,32と横梁部材33,34との接合強度を確実に高めることができる。
【0081】
一方、前部ピラー22と後部ピラー24との間には、ベース枠体13の接続フレーム18から上向きに延びる中間ピラー26を設ける構成としているので、この中間ピラー26の上端側を連結部材31に溶接手段で接合することにより、連結部材31の前側端部を中間ピラー26で下側から支えることができ、連結部材31の強度、剛性等を中間ピラー26により高めることができる。
【0082】
そして、この中間ピラー26には、オペレータがキャブ11内に乗降するためのドア41を側面パネル39等を介して取付けることができ、ドア41を開,閉する上での十分な支持強度を中間ピラー26、側面パネル39に与えることができる。また、連結部材31の下面に形成した嵌合凸部31Bには、中間ピラー26の上端側を嵌合させた状態で、両者の嵌合部を溶接等によって接合することにより、中間ピラー26と連結部材31との接合強度を一層高めることができる。
【0083】
従って、本実施の形態によるキャブ11のキャブフレーム12は、例えば車両の転倒時等にキャブ11内の上部後方空間44が変形するのを抑え、内部のオペレータを十分な剛性をもって守ることができる。そして、このようなキャブフレーム12を採用することにより、外部からの衝撃荷重に対する十分な強度、剛性を確保できる上に、キャブ11内の居住性、操作安定性等を向上することができる。
【0084】
次に、図11ないし図13は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施の形態の特徴は、上部ピラーの上延部材を後方へと長く延ばし、該上延部材の後端側には中間ピラーの上端側を、溶接手段等を用いて接合する構成としたことにある。
【0085】
図中、51は本実施の形態で採用したキャブフレームで、該キャブフレーム51は、第1の実施の形態で述べたキャブフレーム12とほぼ同様に、ベース枠体13、後部ピラー24,25、後述の前部ピラー52,53、中間ピラー54、上部ピラー55,56(上延部材57,58、連結部材59,60)および横梁部材61,62等により構成されている。
【0086】
52,53はキャブフレーム51の前部に配置される左,右の前部ピラーで、該前部ピラー52,53は、第1の実施の形態で述べた前部ピラー22,23とほぼ同様に構成されている。
【0087】
54は前部ピラー52と後部ピラー24との間に配設される中間ピラーで、該中間ピラー54は、第1の実施の形態で述べた中間ピラー26とほぼ同様に構成され、その下端側はベース枠体13の接続フレーム18に固着されている。しかし、この場合の中間ピラー54は、上端側が後述の上延部材57にジョイント64を介して接合されるものである。
【0088】
55,56は前部ピラー52,53の上端側と後部ピラー24,25の上端側との間に設けられる左,右の上部ピラーで、該上部ピラー55,56は、図11、図12に示すように前部ピラー52,53に一体または別体に形成され、前部ピラー52,53の上端側から後方に向けて延設された左,右の上延部材57,58と、後述の連結部材59,60とにより構成されている。
【0089】
そして、上延部材57,58は、第1の実施の形態で述べた上延部材29,30と同様に、例えば金属パイプ材を引抜き加工することにより成形されている。しかし、この場合の上延部材57,58は、例えば中間ピラー54の位置を越えて後方に延びるように長尺に形成されている点で、第1の実施形態とは異なるものである。
【0090】
59,60は上部ピラー55,56の一部を構成する左,右の連結部材で、該連結部材59,60は、第1の実施の形態で述べた連結部材31,32と同様に、例えば鋳造または鍛造等の手段を用いて中実な梁部材として形成されている。しかし、この場合の連結部材59,60は、上延部材57,58が長尺に形成されている分だけ、これを補うように短尺に形成されているものである。
【0091】
そして、連結部材59,60の後端側には、下向きに突出する嵌合凸部59A,60Aが一体形成され、この嵌合凸部59A,60Aには、後部ピラー24,25の上端側が嵌合した状態で溶接により接合される。また、連結部材59,60の左,右方向で互いに対向する面側には、嵌合凸部59A,60Aの上側となる位置に後側突起59B,60Bが形成され、連結部材59,60の前端側となる位置には前側突起59C,60Cが一体形成されている。なお、これらの後側突起59B,60Bと前側突起59C,60Cは、後述の横梁部材61,62に対する嵌合部を構成するものである。
【0092】
61,62は左,右の連結部材59,60間に設けられる横梁部材で、該横梁部材61,62は、第1の実施の形態で述べた横梁部材33,34と同様に構成され、その両端側は連結部材59,60の後側突起59B,60Bと前側突起59C,60Cに嵌合されるものである。
【0093】
そして、横梁部材61,62は、左,右の連結部材59,60間に溶接により固着され、これらの連結部材59,60を左,右方向で互いに接合して一体化する。また、横梁部材61,62は、図12に示す如く左,右の連結部材59,60間で前,後に離間して配設され、これらの連結部材59,60と共に略四角形の補強枠部63を形成するものである。
【0094】
64は中間ピラー54の上端と上延部材57との間に設けられる継手部材としてのジョイントで、該ジョイント64は、図13に示すように下部側が中間ピラー54の上端側に嵌合して溶接により接合される嵌合部64Aとなり、上部側には、上延部材57を下側から係合状態で保持する保持部64Bが形成されている。
【0095】
そして、ジョイント64は、例えば鋳造または鍛造等の手段を用いて中実な継手部材として形成され、前記嵌合部64Aと保持部64Bとが一体成形されているものである。そして、ジョイント64は、下側の嵌合部64Aが中間ピラー54の上端側に嵌合した状態で溶接により接合され、上側の保持部64Bは、上延部材57に下側から係合した状態で溶接により接合されるものである。
【0096】
かくして、このように構成される本実施の形態でも、左,右の連結部材59,60と横梁部材61,62とにより、キャブフレーム51の上部後側部位を、略四角形の補強枠部63を有した頑丈な構造に形成することができ、前記第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。
【0097】
しかし、本実施の形態では、上部ピラー55,56を構成する上延部材57,58を長尺に形成し、連結部材59,60を短尺に形成する構成としている。これにより、例えば鋳造または鍛造等の手段を用いて中実な梁部材として形成される連結部材59,60を、短尺に小型化して形成でき、軽量化を図ることができる。
【0098】
また、中間ピラー54の上端と上延部材57との間には、溶接により両者を接合するためのジョイント64を設ける構成としている。このため、ジョイント64を用いることによって、溶接による中間ピラー54と上延部材57との接合強度を向上することができ、両者の溶接面積も広げることができる。
【0099】
そして、中間ピラー54の上端と上延部材57との間には、ジョイント64を用いることにより特別な嵌合部等を設ける必要がなくなり、中間ピラー54と上延部材57の構造を簡素化でき、製作、加工時の作業性を向上することができる。
【0100】
また、本実施の形態では、上延部材57の後端側を中間ピラー54で下側から支えるように支持する構成としているので、上延部材57の強度、剛性を高めることができると共に、この上延部材57を通じて連結部材59の曲げ剛性等を向上することができる。
【0101】
なお、前記第1の実施の形態では、前部ピラー22,23の上端側に上延部材29,30を一体に設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図14に示す第1の変形例のように、前部ピラー22′,23′と上延部材29′,30′とを別体に形成し、その後に溶接等の手段を用いて両者を一体に接合する構成としてもよい。また、連結部材31′(32′)についても、前,後に2分割された分割体31a′,31b′(32a′,32b′)により構成してもよいものである。
【0102】
また、前記第2の実施の形態でも、前部ピラー52,53の上端側に上延部材57,58を一体に設ける構成を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図15に示す第2の変形例のように、前部ピラー52′,53′と上延部材57′,58′とを別体に形成し、その後に溶接等の手段を用いて両者を一体に接合する構成としてもよいものである。
【0103】
また、前記第1の実施の形態では、前部ピラー22と後部ピラー24との間に設ける中間ピラー26を、ベース枠体13の接続フレーム18側に設ける場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えばベース枠体13の接続フレーム19側にも他の中間ピラーを設ける構成としてもよい。そして、この点は第2の実施の形態についても同様である。
【0104】
また、前記各実施の形態では、左,右の連結部材31,32(59,60)間を、2個の横梁部材33,34(61,62)を用いて接合する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば3個以上の横梁部材を用いて左,右の連結部材間を接合する構成としてもよいものである。
【0105】
また、前記各実施の形態では、建設機械用キャブとして油圧ショベル1のキャブ11を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば油圧クレーン等の他の建設機械用キャブにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるキャブが搭載された油圧ショベルを示す正面図である。
【図2】図1中のキャブを拡大して示す正面図である。
【図3】図2に示すキャブからドア、窓ガラス等を取外した状態の斜視図である。
【図4】キャブフレームのベース枠体、前部ピラー、後部ピラーおよび上部ピラー等を示す分解斜視図である。
【図5】図4とは反対側の後方からみたキャブフレームの分解斜視図である。
【図6】図5中の上部ピラー等を拡大して示す分解斜視図である。
【図7】後部ピラーを図6中の矢示 VII−VII 方向からみた拡大断面図である。
【図8】中間ピラーを図6中の矢示VIII−VIII方向からみた拡大断面図である。
【図9】上延部材を図6中の矢示IX−IX方向からみた拡大断面図である。
【図10】連結部材を図6中の矢示X−X方向からみた拡大断面図である。
【図11】第2の実施の形態によるキャブフレームを示す分解斜視図である。
【図12】図11中の上部ピラー等を拡大して示す分解斜視図である。
【図13】中間ピラーを上延部材にジョイントを介して連結した状態を図12中の矢示XIII−XIII方向からみた拡大断面図である。
【図14】第1の変形例による前部ピラー、上延部材および連結部材等を示す分解斜視図である。
【図15】第2の変形例による前部ピラー、上延部材および連結部材等を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0107】
11 キャブ
12,51 キャブフレーム
13 ベース枠体
22,23,52,53,22′,23′,52′,53′ 前部ピラー
24,25 後部ピラー
26,54 中間ピラー
27,28,55,56 上部ピラー
29,30,57,58,29′,30′,57′,58′ 上延部材
31,32,59,60,31′,32′ 連結部材
31B,32B 嵌合凸部
31C,32C,59B,60B 後側突起(嵌合部)
31D,32D 中間突起(嵌合部)
59C,60C 前側突起(嵌合部)
33,34,61,62 横梁部材
35,63 補強枠部
64 ジョイント(継手部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略四角形の枠体として形成される下側のベース枠体と、該ベース枠体の前端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の前部ピラーと、前記ベース枠体の後端側から左,右方向に離間して上向きに立設される左,右の後部ピラーと、該各後部ピラーの上端側を前記各前部ピラーの上端側に連結するため左,右方向に離間して前,後方向に延びる左,右の上部ピラーとを備えた建設機械用キャブにおいて、
前記左,右の上部ピラーは、前記各前部ピラーの上端側から後方に向けて延設される左,右の上延部材と、鋳造または鍛造手段を用いて中実な梁部材として形成され該各上延部材の後端側を前記各後部ピラーの上端側に連結する左,右の連結部材とにより構成し、
該左,右の連結部材の間には、前,後方向に離間して左,右方向に延び両端側が該左,右の連結部材に溶接により接合される複数の横梁部材を設ける構成としたことを特徴とする建設機械用キャブ。
【請求項2】
前記横梁部材は、中空構造をなすパイプ材を用いて形成してなる請求項1に記載の建設機械用キャブ。
【請求項3】
前記左,右の連結部材には、前記横梁部材の両端側が嵌合する嵌合部を形成してなる請求項1または2に記載の建設機械用キャブ。
【請求項4】
前記前部ピラーと後部ピラーとの間には、前記ベース枠体の左,右方向の少なくとも一方側に位置して上向きに立設された中間ピラーを設け、該中間ピラーの上端側は、前記連結部材に溶接により接合する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械用キャブ。
【請求項5】
前記連結部材の下面には、下向きに突出し前記中間ピラーの上端側に嵌合する嵌合凸部を形成してなる請求項4に記載の建設機械用キャブ。
【請求項6】
前記前部ピラーと後部ピラーとの間には、前記ベース枠体の左,右方向の少なくとも一方側に位置して上向きに立設された中間ピラーを設け、該中間ピラーの上端側は、前記上延部材に溶接により接合する構成としてなる請求項1,2または3に記載の建設機械用キャブ。
【請求項7】
前記中間ピラーの上端と前記上延部材との間には、溶接により両者に接合される継手部材を設けてなる請求項6に記載の建設機械用キャブ。
【請求項8】
前記左,右の前部ピラーと前記左,右の上延部材とは、それぞれ中空構造をなすパイプ材を用いて形成する構成としてなる請求項1,2,3,4,5,6または7に記載の建設機械用キャブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−2540(P2006−2540A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−182851(P2004−182851)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】